JP4540222B2 - 酸素センサおよびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素センサおよびその製法に関し、特に自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するための酸素センサおよびその製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。この酸素センサの代表的なものとしては、図6に示すように、ジルコニア固体電解質からなり、先端が封止された円筒管31の内面には、センサ部として白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極32が、また円筒管31の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極33が形成されている。また、測定電極33の表面には、セラミック多孔質層34が形成されている。
【0004】
このような酸素センサは、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極33の表面に、保護層としてセラミック多孔質層34が設けられており、所定温度で円筒管両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0005】
一方、広範囲の空燃比を制御するために用いられている、いわゆる広域空燃比センサ(A/Fセンサ)は、測定電極33の表面に微細な細孔を有するガス拡散律速層としてセラミック多孔質層34を設け、固体電解質からなる円筒管31に一対の電極32、33を通じて印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を測定して希薄燃焼領域の空燃比を制御するものである。
【0006】
上記理論空燃比センサおよび広域空燃比センサとも検知部を約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管31の内側には、検知部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータ35が挿入されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータ35を円筒管31内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、検知部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いためにエンジン始動直後のCO等の検知が困難であり、排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0008】
その問題を回避する方法として、固体電解質からなる円筒管の内面および外面に基準電極、測定電極が設けられ、測定電極の表面に、ガス透過性の多孔性の絶縁層を設け、さらにその中のガス透過性の低いガス非透過層中に白金発熱抵抗体を設けた円筒型のヒータ一体型酸素センサも特開平10−206380号公報に記載されている。
【0009】
一方、本発明者等は、先にジルコニア固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面に基準電極および測定電極を形成してなるセンサと、測定電極が露出するように前記円筒管の外面に測定電極形成部に開口を設けたセラミック絶縁層を積層形成し、測定電極がその開口部から露出するようにし、その少なくとも露出している前記測定電極の周囲のセラミック絶縁層内に発熱抵抗体を埋設してなる急速昇温性に優れたヒータ一体型酸素センサを提案した。
【0010】
しかしながら、このようなヒータ一体型酸素センサは、従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能ではあるが、白金電極からなるセンシング部とヒータとを同時焼成して作製されるため、電極の排気ガスに対する応答性が悪いという大きな問題があった。
【0011】
本発明は、ガス応答性に優れた測定電極を有する酸素センサおよびその製法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の問題について検討した結果、ジルコニア固体電解質と測定電極とを同時焼成した酸素センサに関して、測定電極を構成する金属粒子の端部をジルコニア固体電解質中に埋設し、さらに、金属粒子の露出面の頂部の一部にジルコニア膜を形成し、被測定ガスと接する金属粒子の面積を低減することにより、高温度で同時焼成した測定電極のガス応答性が改善されることを見出し本発明に至った。
【0013】
即ち、本発明の酸素センサは、ジルコニア固体電解質の対向する面に、測定電極と基準電極をそれぞれ設けてなる酸素センサであって、前記測定電極を構成する金属粒子の端部が前記ジルコニア固体電解質に埋設され、且つ前記ジルコニア固体電解質に埋設されていない金属粒子の露出面の頂部に、ジルコニア膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明者等が、先に提案した上記ヒータ一体型酸素センサでは、少なくともジルコニア固体電解質の対向する位置に、白金からなる基準電極と測定電極を形成し、さらにその検知部を加熱するための白金ヒータを埋設したセラミック絶縁層を形成した構造を有しており、検知部とヒータとは同時焼成により作製されている。
【0015】
このようなヒータ一体型酸素センサでは、発熱体によるジルコニアセル部の加熱効率を高め、急速昇温を行うことができる結果、センサ活性化時間を短縮することができるが、白金電極を高温度で焼結させるため、メッキ法で作製した電極に比べて、ガス応答性が悪いという問題があった。この問題に関して、これまで焼結により作製した電極は、メッキ法で作製した電極と比較して、金属粒子と固体(固体電解質)と気相との、いわゆる3重点の数が少ないためと言われていた。
【0016】
しかしながら、本発明者等は、この問題について研究を重ねた結果、3重点の数以外に、焼結法により作製した電極は、被測定ガスに直接接する電極表面で排気ガス成分同士で化学反応が起こるため、本来化学反応が起こるべき3重点に供給されるガスは、被測定ガスの組成が変化しており、その結果酸素センサ素子が所定の起電力を示さなかったり、あるいはガスに対する応答が見かけ上遅れて観測されることを解明した。つまり、酸素センサとしては、電極と固体(固体電解質)と気相との、いわゆる3重点にのみ被測定ガスを供給できれば、正常な起電力を生じ、ガス応答性が向上できるのである。
【0017】
即ち、本発明では、測定電極を構成する金属粒子の端部をジルコニア固体電解質に埋設するとともに、ジルコニア固体電解質に埋設されていない金属粒子の露出面の一部、特に頂部にジルコニア膜を形成したので、3重点の数を減少させることなく被測定ガスと直接接する電極表面の面積を減少させることができる。その結果、金属粒子で起こる排気ガスの構成成分間で生じるガスの化学反応を抑制し、被測定ガスを直接3重点に供給でき、正常な起電力を生じさせることができ、ガス応答性を向上させることができる。
【0018】
また、金属粒子の端部がジルコニア固体電解質に埋設されているため、金属粒子の粒成長を抑制することができるばかりでなく、ジルコニア固体電解質との接着力を高めることができる。
【0019】
また、本発明の酸素センサでは、金属粒子内にジルコニア粒子が存在することが望ましい。これらジルコニア粒子は、焼結中に金属表面に表面に拡散し、膜状に析出して、金属粒子の頂部でのジルコニア膜の形成や、また金属粒子をジルコニア固体電解質へ埋設することに寄与する。
【0020】
さらに、本発明の酸素センサでは、金属粒子内のジルコニア粒子が0.1〜10体積%であることが望ましい。これにより、センサを高温度で使用する際の、金属粒子の粒成長を抑制することができる。金属粒子内のジルコニア粒子の量が0.1体積%より少ないと、金属粒子が粒成長しやすい。それに対して10体積%を越えると、電極のち密化が起こりやすくなり、その結果ガス応答性が悪くなる傾向が生じる。金属粒子内のジルコニア粒子の量としては、3〜7体積%の範囲が特に優れる。
【0021】
本発明の酸素センサの製法は、ジルコニア固体電解質成形体の対向する面に、ジルコニア粒子を包含する金属粒子と有機樹脂成分とを含有する電極膜を形成し、焼成することを特徴とする製法である。
例えば、ジルコニア固体電解質成形体に、ジルコニア粒子を包含する金属粒子と有機樹脂成分とを含有するペーストを塗布し、焼成すると、金属粒子内のジルコニア粒子の一部が金属粒子の表面に拡散し、金属粒子の表面を被覆するが、ジルコニア固体電解質に近い部分では、この金属粒子表面のジルコニアは、ジルコニア固体電解質と接合し、焼結してジルコニア固体電解質の一部を構成する。それに対して、ジルコニア固体電解質から遠い部分に存在する金属粒子表面のジルコニアはそのまま表面に存在し、金属粒子の露出面の一部にジルコニア膜を形成する。また、金属粒子内のジルコニア粒子に関しては、焼成温度と時間を適切に選択することにより容易に目的の量を残存させることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の酸素センサの一例を示す図面を参照しながら説明する。図1に、酸素センサの一例を示す概略斜視図(a)と、そのA−A断面図(b)、および測定電極の拡大断面図(c)を示した。但し、(a)では説明の便宜上、セラミック保護層13を省略した。
【0023】
図1の酸素センサ1は、酸素イオン導電性を有するセラミック製のジルコニア固体電解質からなり、先端が封止された円筒管2の内面に、第1の電極として、空気などの基準ガスと接触される基準電極3が被着形成され、また、円筒管2を挟んで基準電極3と対向する位置に第2の電極として、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極4が被着形成されている。そして、基準電極3、ジルコニア固体電解質からなる円筒管2および測定電極4によって検知部を形成している。
【0024】
先端が封止された円筒管2の外面には、Al2O3などのセラミック絶縁層6が被着形成されており、そのセラミック絶縁層6には、測定電極4の一部または全部が露出するように開口部7が形成されている。
【0025】
また、上記開口部7の周囲のセラミック絶縁層6中には検知部を加熱するためのPt等からなる発熱抵抗体8が埋設されている。また、セラミック絶縁層6の表面には、さらに発熱抵抗体8による加熱効率を高めるために、Al2O3等からなるセラミック保温層9が積層形成されている。
【0026】
円筒管2の内面に形成された基準電極3は、円筒管2の内面および開口側の端面を経由して円筒管2の外表面に設けたセンサ用端子部11aに接続されている。一方、円筒管2の外面に形成された測定電極4は、セラミック絶縁層6およびセラミック保温層9に形成された開口部7の端面を経由してセラミック保温層9の表面に形成されたリード部10に接続され、さらにセラミック保温層9の表面に形成された端子部11bと接続されている。なお、円筒管2において上記端面に存在するエッジ部はC面取りされ、エッジ部で生じる電気的接続の不良を回避している。
【0027】
また、セラミック保温層9の表面に形成されたリード部10の表面にはさらにZrO2等からなる保護層12が形成されている。この保護層12によって、リード部10を、例えば素子のアッセンブル時の引っかき、あるいは素子の落下時の異物との衝突等の物理的な破壊から保護することができる。この保護層12は固体電解質と同じZrO2で構成することが固体電解質との熱膨張差による応力の発生を防止する上で好ましい。さらに、図1(b)に示すように、少なくとも検知部の表面も、多孔質のセラミック保護層13によって被覆されている。
【0028】
また、センサ用端子部11a、11bには、外部回路との接続のための金属部材14がそれぞれ、例えばAu−Cuロウなどよってロウ付け固定されている。これによって、検知部において発生した検知データがリード部10、センサ用端子部11a、11bおよび金属部材14を経由して外部回路に伝達される。
【0029】
一方、セラミック絶縁層6内に形成された発熱抵抗体8は、同じくセラミック絶縁層6内に形成されたリード部16と、セラミック絶縁層6およびセラミック保温層9を貫通して形成された貫通導体(図示せず)によって、セラミック保温層9の外表面に形成されたヒータ用端子部18と電気的に接続されている。これらのヒータ用端子部18上には発熱用外部電源と接続するための金属部材19がロウ材により固定され、これらを通じて発熱抵抗体8に電流を通ずることにより、発熱抵抗体8が加熱され、測定電極4、円筒管2および基準電極3からなる検知部が所定の温度に急速昇温される。
【0030】
測定電極4の周囲の発熱抵抗体8は、図1に示すように開口部7の両側に均一に、対称的にパターン化して配置されている。
【0031】
また、この発熱抵抗体8は、セラミック絶縁層6内において、発熱抵抗体8は所定の厚みと線幅を有するためにその断面は、図2に示すように、ほぼ楕円として存在するが、本発明によれば、発熱抵抗体8のセラミック絶縁層6との接触面積、言い換えれば、その表面積を小さくするため、発熱抵抗体8の断面において厚みが4μm以下の発熱抵抗体部の総幅(a1+a2)をa、発熱抵抗体の平均の全体線幅をbとすると、a/b=0.2以下、特に0.15以下になるように発熱抵抗体を形成することが望ましい。このa/bが0.2を越えると、発熱抵抗体8が横長の楕円形となり、表面積が増大して、不純物のマイグレーションが起こりやすくなる。
【0032】
本発明では、発熱抵抗体8は、リード部16を経由してヒータ用端子部18と接続されており、これらを通じて発熱抵抗体8に電流を流すことにより発熱抵抗体8が加熱され、円筒管2、基準電極3および測定電極4からなる検知部を加熱する仕組みとなっているが、この際、発熱抵抗体8のリード部16は、幅広い1本のラインで形成することも可能であるが、2本以上のラインで形成することによって、リード部16を挟む上下のセラミック絶縁層6との結合性を高め、素子の強度を高めることができる。
【0033】
さらに、酸素センサの全体の大きさとしては、外径が3〜6mm、特に3〜4mmの円筒体によって形成することが、消費電力を低減するとともに、センシング性能を高めることができる。
【0034】
そして、本発明の酸素センサでは、図1(c)に示すように、測定電極4を構成する金属粒子21の端部がジルコニア固体電解質2に埋設され、ジルコニア固体電解質2に埋設されていない金属粒子21の露出面の頂部の一部にジルコニア膜22が形成されている。
【0035】
このように、金属粒子21の端部をジルコニア固体電解質からなる円筒管2に埋設し(ジルコニア固体電解質2と記すこともある)、金属粒子21の露出面の一部にジルコニア膜22を形成するには、ジルコニア固体電解質成形体に、ジルコニア粒子26を包含する金属粒子21と有機樹脂成分とを含有する電極膜を形成し、焼成することにより、容易に形成できる。
【0036】
この製法により金属粒子21の端部がジルコニア固体電解質2に埋設される理由は、ジルコニア固体電解質成形体に、ジルコニア粒子を包含する金属粒子と有機樹脂成分とを含有するペーストを塗布し、焼成すると、金属粒子21内のジルコニア粒子26の一部が金属粒子21の表面に拡散し、金属粒子21の表面を被覆するが、この金属粒子21表面のジルコニアは、ジルコニア固体電解質2に近い部分では、ジルコニア固体電解質2に付着してその一部を構成するからである。
【0037】
即ち、ジルコニア固体電解質2上には、金属粒子21と、析出したジルコニア粒子23との多孔質な複合体層24が形成され、ジルコニア粒子23はジルコニア固体電解質2と一体となっており、これにより、金属粒子21の下部がジルコニア固体電解質2に埋設されている。複合体層24のジルコニア粒子23の平均粒径は、緻密なジルコニア固体電解質2のジルコニア粒子25よりも小さくされている。
【0038】
さらに、ジルコニア固体電解質2から遠い部分に存在する金属粒子21表面のジルコニアはそのまま存在し、金属粒子21の露出面の頂部にジルコニア膜22が形成されることになる。
【0039】
また、金属粒子21内には、ジルコニア粒子26が存在しており、このジルコニア粒子は、金属粒子21中0.1〜10体積%とされている。本発明では、金属粒子23がジルコニア粒子26を包含することにより、センサを高温度で使用する場合、金属粒子21の焼結を抑制することが出来るので、安定したセンシング機能を保持することが出来るのである。この金属粒子内のジルコニア粒子26は、上記したように、金属粒子21内のジルコニア粒子26が温度と時間が不十分なため金属粒子21表面に拡散しきれず、金属粒子21内部に残留したものである。
【0040】
金属粒子21中におけるジルコニア粒子26の含有量を0.1〜10体積%としたのは、この範囲においては、上述のように金属粒子21を固体電解質2に埋設すると同時に、表面の頂部にジルコニア膜22を形成し、且つセンサを高温度で使用する場合、金属粒子21の焼結を充分抑制出来るためである。金属粒子21内のジルコニア粒子26の量が0.1体積%より少ないと、金属粒子21が粒成長しやすい。それに、対してジルコニア粒子26の量が10体積%を越えると、電極自体のち密化が起こりやすくなり、その結果ガス応答性が悪くなるという傾向を有する。金属粒子21内のジルコニア粒子26の量としては、金属粒子頂部におけるジルコニア膜22形成と金属粒子21の固体電解質2への埋設の程度、および金属粒子の焼結抑制の観点から、3〜7体積%の範囲が特に優れる。
(固体電解質)
本発明において、円筒管2を形成するのに用いられるジルコニア固体電解質は、ZrO2を含有するセラミックスからなり、具体的には、Y2O3、Yb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられている。また、ZrO2中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2を用いることにより、電子伝導性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
【0041】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al2O3やSiO2を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al2O3およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に3重量%以下であることが望ましい。
【0042】
また、固体電解質中のNaの含有量としては、固体電解質からセラミック絶縁層6への拡散進入を防止する観点から200ppm以下、特に100ppmが望ましい。
(セラミック絶縁層)
発熱抵抗体8を埋設するセラミック絶縁層6としては、アルミナおよび/またはマグネシアを含有する酸化物、特に、アルミナ材料、スピネル材料、あるいはアルミナとスピネルとの複合化合物材料が好適に用いられる。この際、セラミック絶縁層6の焼結性を改善する目的で、少量Si成分を添加することが望ましいが、その含有率としては酸化物換算で0.1重量%以上でその効果が見られるものの、Siの含有量が、5重量%を越えるとセラミック絶縁層6中のNaの拡散と偏析が促進され、白金等からなる発熱抵抗体8の寿命が低下しやすいため、Si含有量は0.1〜5重量%の範囲が望ましい。Si含有量としては、0.5〜3重量%が望ましい。特に、0.5〜2重量%がNaの拡散を防止する観点から望ましい。
【0043】
また、このセラミック絶縁層6は、相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましい。これは、セラミック絶縁層6が緻密質であることにより絶縁層6の強度が高くなる結果、酸素センサ自体の機械的な強度を高めることができるためである。さらに、セラミック絶縁層6中のNaの含有量は、50ppm、特に30ppm以下とすることがヒータの寿命を延ばすために望ましい。
(発熱抵抗体)
また、上記セラミック絶縁層6の内部に埋設される発熱抵抗体8としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種の金属、または2種以上の合金からなることが望ましく、特に、セラミック絶縁層6との同時焼結性の点で、そのセラミック絶縁層6の焼成温度よりも融点の高い金属または合金を選択することが望ましい。
【0044】
また、発熱抵抗体8中には上記の金属の他に焼結防止と絶縁層6との接着力を高める観点からアルミナ、スピネル、アルミナ/シリカの化合物、フォルステライトあるいは上述の電解質となり得るジルコニア等を体積比率で10〜80%、特に30〜50%の範囲で混合することが望ましい。
【0045】
発熱抵抗体8を埋設したセラミック絶縁層6の表面に形成されるセラミック保温層9は、ジルコニアセラミックスからなることが望ましい。このジルコニアからなるセラミック保温層9は、固体電解質とセラミック絶縁層6間の熱膨張差や焼成収縮差等に起因する応力を緩和させ、熱応力をできる限り小さくすることができる。この際、円筒管2と発熱抵抗体8の間とセラミック保温層9と発熱抵抗体8の間の距離はそれぞれ2μm以上であることが望ましい。
(電極)
円筒管2の内面および外面に被着形成される基準電極3、測定電極4は、いずれも白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種、または2種以上の合金が用いられる。特に、ガス応答性の観点からは、白金が最も望ましい。また、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる金属粒子21と固体電解質2と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、金属粒子21にさらにジルコニア固体電解質成分を添加して金属成分100体積%に対して、金属粒子21内に内在するセラミック成分と添加したセラミック成分の総量で1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。
【0046】
また、本発明においては、この開口部7に露出している測定電極4の形状は特に限定するものではなく、また、開口部7は、円筒管2における対照な位置となる2箇所に設けると熱衝撃性を改善することができる。開口部7の広がりとしては、円筒管2の断面の中心に対して30〜90度の範囲とすることにより、開口部の周囲への熱応力の発生を抑制し、また、発熱抵抗体8による加熱効率を高めることができる。この開口部7は40〜80度の範囲が特に優れる。
【0047】
一方、固体電解質からなる円筒管2の内面に形成される基準電極3は、測定電極4の前記開口部7より露出する部分に対向する内面部分に形成されていればよく、測定電極4の露出部面積よりも大きい面積、例えば、円筒管2の内面全面に成されていてもよい。
(多孔質層)
本発明の酸素センサにおいては、図1(b)に示すように、開口部7内にて露出している測定電極4の表面に、多孔質のセラミック保護層13が形成されるが、このセラミック保護層13は、以下の2つの目的で形成される。
【0048】
第1に、排気ガスによって測定電極4が被毒して出力電圧が低下するのを防止することを目的として設けるものであり、露出した測定電極4の表面にジルコニア、アルミナ、マグネシアあるいはスピネル等のポーラスな保護層として形成される。このような保護層を設けた酸素センサは、一般的には理論空燃比センサ(λセンサ)素子として用いることができる。この場合に、セラミック保護層13としては開気孔率が10〜40%の多孔質体からなることが望ましい。
【0049】
第2に、露出した測定電極4の表面に微細な細孔を有するジルコニア、アルミナ、スピネル、マグネシアまたはγ−アルミナの群から選ばれる少なくとも1種のガス拡散律速層として機能させる。このようなガス拡散律速層となるセラミック保護層13としては、開気孔率が5〜30%の多孔質体が望ましい。
【0050】
また、このガス拡散律速層となるセラミック保護層13の表面には、さらに排気ガスの被毒を防止する観点から、前述したアルミナあるいはスピネルからなる前記セラミック保護層を設けることもできる。この様なヒーター体化酸素センサは、後で述べる広域空燃比センサ素子(A/Fセンサ)として応用することが可能である。
【0051】
次に、本発明のヒータ一体型酸素センサの製法について詳述する。
本発明の酸素センサの製造方法について、図1のヒータ一体型酸素センサの製造方法を例にして図3をもとに説明する。
【0052】
(1)まず図3(a)に示すような両端が開放された中空の円筒状成形体27を作製する。この円筒状成形体27は、ジルコニア等の酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、成形用有機バインダーを添加して押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製される。
【0053】
(2)そして、上記固体電解質からなる円筒状成形体27の内面および外面に、基準電極3および測定電極4となるパターン28、29を、例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、スクリーン印刷、パット印刷、ロール転写等で形成する。この時、円筒状成形体27内面への基準電極28の印刷は、導体ペーストを充填して排出して、内面全面に塗布形成することが効率がよい。
【0054】
導電性ペーストとしては、上述のセラミック固体電解質成分からなるジルコニア粒子を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で包含する金属粒子を用い、その他に、エチルセルロース等の有機樹脂成分を含有している。
【0055】
金属粒子内にジルコニア粒子を包含するには、例えば、白金結晶内にジルコニア粒子を含有するには、白金粉末と、例えば比表面積がBET値で30(m2/g)以上のジルコニア微粉末と、バインダーを加え3本ロールなどを用いて、24時間以上混合することにより白金結晶内にジルコニア粒子を収容することができる。
【0056】
その後、ジルコニア材料を石油系溶媒に分散したスラリーを円筒状成形体27の先端側の端部より約3mmの深さまで注入し乾燥する。石油系溶媒を用いる理由は、ジルコニア粉末が分散し易く、内径の小さな円筒状成形体27に注入しやすいことに加えて、スラリーの乾燥が早いことである。この際、石油系溶媒の量としては、ジルコニア材料100重量%に対して、石油系溶媒を5〜15重量%含有するスラリーが好ましい。この際、アクリル系のバインダーをスラリーに1〜5重量%添加すると、この先端封止材と円筒状成形体27の内壁との接着力が増加する。この後、円筒管先端を円弧などの所定の形状に加工する。このようにしてセンサ素体Aを作製する。
【0057】
(3)次に、図3(b)に示すようなヒータ素体Bを形成する。まず、上述のジルコニア粉末を含有するスラリーを用いて50〜500μm、特に100〜300μmの厚さのセラミック絶縁層を形成するためのジルコニアからなるグリーンシート33を作製する。その後、このグリーンシート33表面に、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ジルコニア、ガラス等のセラミック粉末を用いて、適宜成形用有機バインダーを添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いてスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷した後、その表面に白金などの金属粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷して、リードパターンを含む発熱抵抗体パターン34を形成する。そして、再度、セラミック絶縁体からなるスラリーを塗布する。その後、開口部35をパンチングなどによって形成することにより、グリーンシート33と発熱抵抗体パターン34と、グリーンシート36との積層体からなるヒータ素体Bが得られる。
【0058】
なお、発熱抵抗体パターン34の印刷時には、スクリーン印刷機にメッシュを設けず、また開口部は印刷面に向かって狭くなるようなスクリーン印刷機を用いると発熱抵抗体断面の両端が細くなりにくく、前記a/bを小さくすることができる。また、リードパターンは、リードを挟むセラミック絶縁層同士の接着性を高める上で、複数本に分割することが望ましい。
【0059】
(4)次に、図3(c)に示すように、上記円筒状のセンサ素体Aの表面に、ヒータ素体Bを巻き付けて円筒状積層体を作製する。この際、ヒータ素体Bをセンサ素体Aに巻き付けるには、ヒータ素体Bとセンサ素体Aとの間にアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することができる。この時、巻き付けされたヒータ素体Bの合わせ目は、焼成時の収縮を考慮し、シート端部同志を重ねるか、あるいは所定の間隔をおいて接着してもよい。また、円筒管の先端とヒータ素体Bの巻き付け位置は、焼成後0.5〜2mmになるように調整する。
【0060】
(5)そして、上記の円筒状積層体を、アルゴンガス等の不活性雰囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10時間程度焼成することによりセンサ素体Aとヒータ素体Bとを同時焼成することができるが、その条件は金属粒子内が含有するジルコニア粉末の量および金属粒子の大きさで決まる。平均粒子径が1〜4μmの金属粒子を用いた場合、焼成は大気中1400〜1500℃、1〜2時間が最適な焼成条件である。
【0061】
なお、上記の製法では、電極パターン28、29を円筒状成形体27形成時に塗布したが、これらの電極パターン28、29の形成は、電極を有しない円筒状成形体27の表面にヒータ素体Bを巻き付けて円筒状積層体を作製した後、円筒状積層体に対して、電極ペーストをスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写法あるいは浸漬法によって円筒状成形体27の内面およびヒータ素体Bにおける開口部35内の円筒状成形体27表面に塗布するか、またはスパッタ法やメッキ法にて形成することもできる。
【0062】
さらに、図1のセラミック保護層13を形成するには、焼成後に、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の粉末をゾルゲル法、スラリーディップ法、印刷法などによって印刷塗布し、焼き付け処理したり、上記セラミックスをスパッタ法あるいはプラズマ溶射法により被覆して形成するか、または、円筒状積層体を作製する際に予めセラミック保護層13を形成するスラリーを塗布した後に、同時に焼成し形成することも可能である。
【0063】
上記の製法によれば、1回の焼成工程でセンサ、ヒータ、セラミック部材の一体物を作製することができ、別途接合工程を必要としないことから、製造歩留りや製造コストの低減を図ることができるために非常に好ましい。
【0064】
また、本発明では、測定電極、測定電極とジルコニア固体電解質との界面に、即ち、複合体層24とジルコニア固体電解質2との界面に、リコニアスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷により厚さ5〜200μmで、気孔率がジルコニア固体電解質2よりも大きく、複合体層24の気孔率よりも小さい7〜30%のジルコニア固体電解質からなる多孔質層を形成することもできる。
(他のセンサ構造)
本発明のヒータ一体型酸素センサは、図1の構造のものに限定されるものでなく、種々の酸素センサに適用することができる。そこで、図4には、いわゆるA/Fセンサの例について、その(a)概略斜視図と、(b)横断面図を示した。
【0065】
このヒータ一体型空燃比センサは、固体電解質からなり一端が封止された円筒管40の外側に、空間41を介して、さらに拡散孔42aを有する固体電解質層42を設け、前記円筒管40の内外面に基準電極43および測定電極44からなる第1の電極対を形成すると同時に、空間41を介して形成した固体電解質層42の内外面に内側電極45、外側電極46からなる第2の電極対を形成したものである。そして、これらの検知部の周囲に発熱抵抗体37を埋設したセラミック絶縁層48を配置した構造からなる。この空燃比センサにおいては、第2の電極45、46間に電流を流し、空間41内の酸素濃度が一定になるように第1の電極43、44で検知しながら空間41内に酸素ガスを流入させたり、あるいは排出させたりして、排気ガス中の空燃比を測定するものである。
【0066】
本発明によれば、この図4の酸素センサにおいても、測定電極を構成する金属粒子の端部をジルコニア固体電解質に埋設するとともに、ジルコニア固体電解質に埋設されていない金属粒子の露出面の一部にジルコニア膜を形成することにより、被測定ガスと直接接する電極表面の面積を減少させ、ガス応答性を向上できるとともに、金属粒子の粒成長を抑制することができ、高感度で長時間安定したセンシング性能を維持することができる。
【0067】
また、本発明では、作製した素子は、自己通電などの方法で水素を0.1%以上含むN2あるいはArからなる還元ガス中に、300℃以上の温度で1分から10時間暴露することにより、ガス応答性を改善することができる。処理温度としては、600℃で10分以上行うことが特に好ましい。また、活性化処理は、測定電極の他、基準電極についても行うことが好ましい。
【0068】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、これらの構造に限定されたものではなく、同時焼成により作製された少なくとも内外に対向する一対の多孔性の電極を有する酸素センサであれば、適応できることは言うまでもない。
【0069】
【実施例】
(実施例1)
市販の純度99.8%でアルミナ粉末と、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末と、平均粒子径が約1μmの白金粉末と、比表面積がBET値で約50(m2/g)の8モル%Y2O3含有のジルコニア微粉末を結晶内に約0.01〜50体積%含有する平均結晶粒子径が約2μmの白金粉末をそれぞれ準備した。
【0070】
まず、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により焼結後の外径が約4mm、内径が2mmになるように両端が開放された円筒状成形体を作製し、その表面に、上記白金粉末およびセラミック粉末を合わせて95重量%、有機樹脂成分としてエチルセルロースを5%重量含有する導電性ペーストを、長方形状の測定電極パターンおよびリードパターンを印刷塗布するとともに、円筒状成形体の内部全面にも上記導電性ペーストを塗布して基準電極パターンを形成した。なお、測定電極パターンおよび基準電極パターンの厚みは焼成後に約5μmとなるように調整した。
【0071】
また、円筒状成形体の先端部をジルコニア粉末100重量部に対してミネラルスピリッツを20重量部添加したスラリー中に浸漬した後、乾燥して一端を封止し、円筒状のセンサ素体Aを作製した。
【0072】
また、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を加えてスラリーを作製し、厚みが約200μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートに前記測定電極パターンの形状と一致する長方形状の開口部をパンチングによって開けた。
【0073】
その後、開口部以外の部分にアルミナ粉末からなるペーストを約20μmの厚みに塗布した後、平均粒子径が1μmの白金粉末を含む導体ペーストを用いてグリーンシート表面に印刷塗布して、発熱抵抗体パターンを形成した。この際、発熱抵抗体パターンの幅や厚みは、焼結後に平均線幅が0.25mm、平均最大厚みが20μmとなるようにした。さらに、その上に再度上記のアルミナ粉末からなるペーストを焼成後約20μmとなるように塗布し、発熱抵抗体パターンをグリーンシート間に埋設してなる図3(b)に示す構造のヒータ素体Bを作製した。
【0074】
次に、上記のセンサ素体Aの表面に、接着剤としてアクリル系樹脂を用いて上記ヒータ素体Bを巻き付け円筒状積層体を作製した。その後、この円筒状積層体を大気中にて、表1に示す温度で2時間焼成し、焼成一体化した。この時、センサ素体の端面から、ヒータ素体の巻き付け位置は、焼成後2mmになるようにヒータ素体Bの巻き付け位置を設定した。
【0075】
その後、開口部内の測定電極の表面に、プラズマ溶射によりスピネルからなる気孔率が約30%のセラミック保護層を100μmの厚みで形成して図1に示すような理論空燃比センサを作製した。
【0076】
作製した酸素センサ素子について、600℃においてCO,CO2,H2,N2,C3H8のガスを混合して、空燃比を14から15に瞬時に変化させた時の素子のガス応答時間を求めた。測定原理は、図5に示すようにw点において空燃比を14から15に変化させると起電力が急激に低下するが、この起電力差を100%とした場合、本発明では起電力差が60%になる点nまでの時間をガス応答時間と定義した。
【0077】
また、電極内のジルコニア粒子の割合に関しては、本発明では走査型電子顕微鏡により1μmのダイヤモンドペーストを用いて鏡面仕上げした任意の金属粒子100個について断面の写真を撮影し、その写真から金属粒子の全断面積pと全ジルコニア粉末が占める全断面積qの比率q/pをジルコニア粒子の内在比率(体積%)と定義した。表1の数値は、電極粒子100個の平均値を示す。
【0078】
また、比較のために、市販の平板型のヒータ一体型の酸素センサについても同様な試験を行なった。この酸素センサでは、測定電極はジルコニア固体電解質の表面に金属粒子が付着して構成されていた。
【0079】
さらに、白金単体と30体積%のジルコニア粉末とを乳鉢中で一時間混合 した試料についての酸素センサも作製し、同様の評価を行った。これらの結果を表1に記載した。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、金属粒子の端部が固体電解質に埋設されおらず、且つ金属粒子の頂部にジルコニア膜が形成されていない試料No.12およびNo.13では、ガス応答性が悪いことが分かる。それに対して、金属粒子の端部が固体電解質に埋設されると同時に、金属粒子の頂部にジルコニア膜が形成され、金属粒子に対してジルコニア粉末の量が1〜50体積%で、金属粒子内0.1〜10体積%のジルコニア粉末が残存している本発明の試料は全てガス応答性が優れていた。
(実施例2)
実施例1の試料No.7を、400℃で10時間と800℃で0.5時間水素ガスを0.1%含有するN2雰囲気中でそれぞれ熱処理を行い、実施例1に従いガス応答性を調べた。その結果、ガス応答時間は、400℃で10時間処理したものが50ms、800℃で0.5時間処理したものが40msと、熱処理しないものに比べて改善が見られた。
【0082】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の酸素センサによれば、測定電極を構成する金属粒子の端部をジルコニア固体電解質に埋設するとともに、ジルコニア固体電解質に埋設されていない金属粒子の露出面の頂部にジルコニア膜を形成したので、被測定ガスと直接接する電極表面の面積を減少させ、電極表面で起こる化学反応を抑制し、被測定ガスを直接3重点に供給でき、正常な起電力を生じさせることができ、ガス応答性を向上できる。また、金属粒子の端部がジルコニア固体電解質に埋設されているため、金属粒子の接着力が高く、その結果急速昇温を繰り返しても電極の剥離がない極めて耐久性に優れた酸素センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータ一体型酸素センサの一例を説明するための(a)概略斜視図と、(b)A−A断面図と、(c)測定電極を拡大して示す断面図である。
【図2】図1の酸素センサにおける発熱抵抗体の要部拡大断面図である。
【図3】本発明のガスセンサを製造する方法の一例を説明するための工程図である。
【図4】本発明のヒータ一体型酸素センサの他の例を説明するための(a)概略斜視図と、(b)X−X断面図である。
【図5】ガス応答時間の測定法の説明図である。
【図6】従来の酸素センサを示す断面図である。
【符号の説明】
2 円筒管(ジルコニア固体電解質)
3 基準電極
4 測定電極
21 金属粒子
22 ジルコニア膜
26 ジルコニア粒子
Claims (4)
- ジルコニア固体電解質の対向する面に、測定電極と基準電極をそれぞれ設けてなる酸素センサであって、前記測定電極を構成する金属粒子の端部が前記ジルコニア固体電解質に埋設され、且つ前記ジルコニア固体電解質に埋設されていない金属粒子の露出面の頂部に、ジルコニア膜が形成されていることを特徴とする酸素センサ。
- 金属粒子内にはジルコニア粒子が存在することを特徴とする請求項1記載の酸素センサ。
- 金属粒子内にジルコニア粒子が0.1〜10体積%存在することを特徴とする請求項2記載の酸素センサ。
- ジルコニア固体電解質成形体の対向する面に、ジルコニア粒子を包含する金属粒子と有機樹脂成分とを含有する電極膜を形成し、焼成することを特徴とする酸素センサの製法。
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