JP3668059B2 - ヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するためのヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法に関するものであり、発熱体と一体化されてなり、酸素濃度検出までの時間を早くするための改良に関する。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主成分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。この酸素センサの代表的なものとしては、図11に示すように、ZrO2 固体電解質からなり、先端が封止された円筒管31の内面には、白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極32が、また円筒管31の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極33が形成されている。また、測定電極33の表面には種々のセラミック多孔質層34が形成されている。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極33の表面に、保護層となる多孔質層34が設けられており、所定温度で円筒管31両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0005】
一方、広範囲の空燃比を制御するために用いられている、いわゆる広域空燃比センサ(A/Fセンサ)は、測定電極33の表面に微細な細孔を有するガス拡散律速層となるセラミック多孔質層34を設け、固体電解質からなる円筒管31に一対の電極32、33を通じて印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を測定して希薄燃焼領域の空燃比を制御するものである。
【0006】
上記理論空燃比センサおよび広域空燃比センサともセンシング部を約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管31の内側には、センシング部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータ35が挿入されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータ35を円筒管31内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、センシング部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0008】
その問題を回避する方法として、図12に示すように、平板型の固体電解質36の表面に測定電極37、基準電極38を形成した酸素センサ素子39に対して平板型のセラミック絶縁基板40の内部発熱体41を埋設したヒータ42を積層一体化してなる平板型の積層型酸素センサ素子が実開昭61−199666号公報等にて提案されている。
【0009】
また、最近では、固体電解質からなる円筒管の内面および外面に基準電極、測定電極が設けられ、測定電極の表面に、ガス透過性の多孔性の絶縁層を設け、さらにその中のガス透過性の低いガス非透過層中に白金発熱体を設けた円筒状のヒータ一体型の酸素センサ素子も特開平10−206380号公報に記載されている。
【0010】
これらのヒータと一体型酸素センサは、従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能であり、センシング部の活性化時間が早いという特徴を有する。
【0011】
ところが、上述の平板型の積層型酸素センサ素子は、形状が平板形状であるために、耐久性、耐熱性が悪く、その結果作動時においてセンサが破壊するという問題があった。
【0012】
また、特開平10−206380号公報に記載されるように、固体電解質部を焼成により、電極をメッキまたはスパッタ法により、電極保護層をプラズマ溶射また、絶縁体層をプラズマ溶射法により順次形成して作製される円筒状のヒータ一体型の酸素センサ素子は、製造方法が複雑で、且つ工程数が多く、その結果、歩留りが悪く、製造コストが高いという問題がある。これに加えて、測定電極の全面に多孔質の絶縁層が形成され、さらにその絶縁層中に発熱体が埋設された構造のために、ヒータ部の接合強度が弱く、耐久性、耐熱性に欠けるという問題があった。
【0013】
従って、本発明は、円筒型の酸素センサに対してヒータが一体化されてなるとともに、活性化時間が短く、且つ耐久性、耐熱性に優れたヒータ一体型酸素センサ素子を容易に作製するための製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法は、セラミック固体電解質からなる一端が封止された円筒管を作製する工程と、所定箇所に開口部が形成され、且つ該開口部近傍に発熱体を埋設してなる絶縁性セラミックグリーンシートを作製する工程と、前記円筒管の外表面に前記絶縁性セラミックグリーンシートを巻き付けて円筒状積層体を作製する工程と、前記円筒状積層体を焼成する工程と、前記円筒管の前記開口部内の表面に測定電極を、およびそれに対向する円筒管内面に基準電極をそれぞれ形成する工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0016】
また、他の製造方法としては、セラミック固体電解質からなる一端が封止された円筒管を作製する工程と、前記セラミック固体電解質と同様の組成物からなるグリーンシートを作製する工程と、前記セラミック固体電解質グリーンシートの一表面側に、所定箇所に開口部が形成され且つ該開口部近傍に発熱体を埋設してなる絶縁性セラミック層を積層する工程と、前記円筒管の外表面に、前記セラミック固体電解質グリーンシートの他方面側を巻き付けて円筒状積層体を作製する工程と、前記円筒状積層体を焼成する工程と、前記開口部内のセラミック固体電解質表面に測定電極を、およびそれに対向する円筒管内面に基準電極をそれぞれ形成する工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0017】
なお、上記の製造方法においては、前記測定電極の表面にセラミック多孔質層を形成する工程を具備することが望ましい。
【0018】
【作用】
本発明のヒータ一体型酸素センサ素子によれば、円筒型の固体電解質の外面に発熱体を内蔵したセラミック絶縁層を被覆し、しかもその発熱体を測定電極の近傍に配置したことによって、発熱体によるセンシング部の加熱効率を高め、急速昇温を行うことができる結果、センサ活性化時間を短縮することができる。しかも従来の平板型に比較しても、発熱体をセンシング部近傍に形成できるため、センサ活性化時間を短縮でき、優れたセンサ応答性を有する。
【0019】
しかも、本発明の酸素センサ素子は、ヒータが一体化された円筒形状を有するため、平板形状の積層型酸素センサ素子に比較して、あらゆる方向からの応力に対して高い強度を有するとともに応力の集中が少ないことから、熱性および耐久性に優れる。
【0020】
また、本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法によれば、固体電解質からなる円筒管と、発熱体を内蔵するセラミック絶縁層とを同時焼成して作製するために、従来のように、酸素センサとヒータとをそれぞれ個別に作製した後、酸素センサ内にヒータを勘合して使用する酸素センサ素子に比べて製造コストが極めて安価になり、経済性の観点からも優れている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸素センサ素子の一例を図1の概略斜視図(a)およびX1 −X1 断面図(b)をもとに説明する。
図1の酸素センサ素子1は、酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質からなり、先端が封止された円筒管2、即ち断面がU字状の円筒管2の内面に、第1の電極として、空気などの基準ガスと接触される基準電極3が被着形成され、また、円筒管2の基準電極3と対向する外面には、第2の電極として、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極4が被着形成されている。
【0022】
また、本発明によれば、先端が封止された円筒管2の外面に形成された測定電極4の表面またはその近傍にはセラミック絶縁層5が被着形成されている。そして、このセラミック絶縁層5には、測定電極4の一部または全部が露出するように所定の開口部6が形成されており、開口部6の近傍のセラミック絶縁層5中には発熱体7が埋設されている。また、発熱体7は、リード電極8を経由して端子電極9と接続されており、これらを通じて発熱体7に電流を印加することにより、発熱体7が加熱され、測定電極4、円筒管2および基準電極3からなるセンシング部を所定の温度に急速昇温できるように構成されている。
【0023】
(固体電解質)
本発明において用いられるセラミック固体電解質は、ZrO2 を含有するセラミックスからなり、具体的には、Y2 O3 およびYb2 O3 、Sc2 O3 、Sm2 O3 、Nd2 O3 、Dy2 O3 等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2 あるいは安定化ZrO2 が用いられている。
【0024】
また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2 を用いることにより、電子伝導性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
【0025】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2 に対して、Al2 O3 やSiO2 を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al2 O3 およびSiO2 の添加量は総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0026】
(電極)
円筒管2の表面に被着形成される基準電極3、測定電極4は、いずれも白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種、または2種以上の合金が用いられる。また、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。
【0027】
(セラミック絶縁層)
一方、発熱体7を埋設するセラミック絶縁層5としては、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ジルコニア、ガラス等のセラミック材料が好適に用いられる。この時、セラミック絶縁層としてジルコニアを用いる場合には、ジルコニア自体が固体電解質であり、発熱体7からのもれ電流が酸素濃度検知に影響を及ぼすことがないように、円筒管2との間に、アルミナ、スピネル、フォルステライトなどの中間層を形成することが望ましい。さらに、セラミック絶縁層5としてガラス絶縁層にはガラスを用いることができるが、この場合は耐熱性の観点から、BaO、PbO、SrO、CaO、CdOのうちの少なくとも1種を5重量%以上含有するガラス、特に、結晶化ガラスであることが望ましい。
【0028】
また、このセラミック絶縁層5は、相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましい。これは、セラミック絶縁層5が緻密質であることにより絶縁層の強度が高くなる結果、酸素センサ素子1自体の機械的な強度を高めることができるためである。
【0029】
(発熱体)
また、上記セラミック絶縁層5の内部に埋設される発熱体7としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種の金属、または2種以上の合金からなることが望ましく、特に、セラミック絶縁層5との同時焼結性の点で、そのセラミック絶縁層5の焼成温度よりも融点の高い金属または合金を選択することが望ましい。
【0030】
なお、セラミック絶縁層5の内部に発熱体7を埋設してなるヒータ部の構造は、図1(b)の断面図に示すように、固体電解質からなる円筒管2の表面に内部に発熱体7が埋設されたセラミック絶縁層5を積層した構造の他に、図2の要部断面図(a)に示すように、円筒管2の外面に、内部に発熱体7が埋設されたアルミナ、スピネル、フォルステライト等のセラミック絶縁層5を形成し、さらにそのセラミック絶縁層5の外面に、ジルコニア層10を形成することができる。このジルコニア層10は、固体電解質とセラミック絶縁層5間の熱膨張差や焼成収縮差等に起因する応力を緩和させ、熱応力をできる限り小さくしたり、セラミック絶縁層5内に埋設されている発熱体7による熱を保温し、酸素センサ素子全体の急激な温度の変化を防止するためのものである。
【0031】
なお、かかる構成において、発熱体7は、図2(a)のように、セラミック絶縁層5内部に埋設できる他、図2(b)に示すように、ジルコニア層10中に埋設したり、図2(c)に示すように、セラミック絶縁層5とジルコニア層10との間に配設することもできる。
【0032】
いずれの場合においても、発熱体7は、円筒管2や電極に対して直接接することなく、アルミナなどの固体電解質性能を有さないセラミック絶縁層5を介して配設されていることが必要であって、円筒管2と発熱体7間のセラミック絶縁層5の厚みは少なくとも2μm以上であることが望ましい。
【0033】
また、本発明においては、上記発熱体7は、セラミック絶縁層5に設けられた開口部6の近傍に埋設されているものであるが、この開口部6の形状としては、図1では、円筒管の側面において測定電極4が露出するように、縦長の開口部6が設けられているが、この開口部6としては、図3の他の例の斜視図(a)およびX2 −X2 断面図に示すように、固体電解質からなる円筒管2の先端の封止部表面に測定電極4を形成し、先端近傍の側面部に、発熱体7を埋設したセラミック絶縁層5を設けてもよい。この場合、先端部が開口部6となる。なお、開口部6の形状は、円形状あるいは四角形状のいずれであっても構わない。
【0034】
さらに、図4の他の例の斜視図(a)およびX3 −X3 断面図に示すように、セラミック絶縁層5に多数の開口部6を設けて、それぞれの開口部6から測定電極4を露出させ、その開口部6の近傍に発熱体7を埋設することも可能である。また、測定電極4は、前記円筒管2の外面に大面積で形成し、その表面に積層されたセラミック絶縁層5に設けられた開口部6より一部の電極部分を露出させてもよいし、セラミック絶縁層5の開口部6に位置する部分のみに測定電極4を形成して測定電極4の全部を開口部6より露出させてもよい。
【0035】
一方、固体電解質からなる円筒管2の内面に形成される基準電極3は、内面に測定電極4の前記開口部6より露出する部分に対向する部分に形成されていればよいが、測定電極4の露出部分に対向する部分を含む大面積、例えば、内面全面に形成されていてもよい。
【0036】
(多孔質層)
本発明の酸素センサ素子においては、図5の要部拡大断面図に示すように、測定電極4のセラミック絶縁層5に形成された開口部6を通じて露出している部分に、セラミック多孔質層11を形成することができる。
【0037】
セラミック多孔質層11は、排気ガスによって測定電極4が被毒して出力電圧が低下するのを防止するために、露出した測定電極4の表面にジルコニア、アルミナ、マグネシアあるいはスピネル等のポーラスな保護層として設けることができる。このような保護層を設けた酸素センサは、一般的には理論空燃比センサ(λセンサ)素子として用いることができる。この場合に、セラミック保護層11としては開気孔率が10〜40%の多孔質体からなることが望ましい。
【0038】
他の形態として、露出した測定電極4の表面に微細な細孔を有するジルコニア、アルミナ、スピネル、マグネシアまたはγ−アルミナの群から選ばれる少なくとも1種のガス拡散律速層として、セラミック多孔質層11を形成する。このようなガス拡散律速層としては、開気孔率が5〜30%の多孔質体が望ましい。また、このガス拡散律速層の表面には、さらに排気ガスの被毒を防止する観点から、前述したアルミナあるいはスピネルからなる前記セラミック保護層を設けることが望ましい。この様なヒーター体化酸素センサ素子は、広域空燃比センサ素子(A/Fセンサ)として応用することが可能である。
【0039】
(第1の製造方法)
次に、本発明の酸素センサ素子の第1の製造方法について、図1の酸素センサ素子をの製造方法を例にして図6をもとに説明する。
図1の酸素センサ素子を作製するには、まず図6(a)に示すような円筒管12を作製する。この円筒管12は、ジルコニア等の酸素イオン伝導性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加して押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により一端が封止された直径1〜10mmの円筒状成形体を作製することにより作製される。
【0040】
この時、用いられる固体電解質粉末としては、ジルコニア粉末に対して、安定化剤としてY2 O3 およびYb2 O3 、Sc2 O3 、Sm2 O3 、Nd2 O3 、Dy2 O3 等の希土類酸化物粉末を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%の割合で添加した混合粉末、あるいはジルコニアと上記安定化剤との共沈原料粉末が用いられる。また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2 粉末、または共沈原料を用いることもできる。
【0041】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記固体電解質粉末に、Al2 O3 やSiO2 を5重量%以下、特に2重量%以下の割合で添加することも可能である。
【0042】
次に、上記固体電解質からなる円筒管12の内面および外面に、基準電極および測定電極となるパターン13、14を、白金等を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で形成する。この時、円筒管12内面への印刷は、導体ペーストを充填して排出してして、内面全面に塗布形成してもよい。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、開口部17を有し、開口部17の近傍に発熱体16が埋設された絶縁性セラミックグリーンシート15を形成する。絶縁性セラミックグリーンシート15は、まず、セラミック絶縁層を形成するためのアルミナ、スピネル、フォルステライト、ジルコニア、ガラス等のセラミック粉末を用いて、適宜成形用有機バインダーを添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いてドクターブレード法、押し出し成形法、プレス法などにより所定厚さのグリーンシートを作製する。グリーンシートの厚みは、シートの取り扱いの観点から50〜500μm、特に100〜300μmの範囲が特に好ましい。
【0044】
その後、成形したグリーンシート表面に発熱体16として白金粉末を含む導電性ペーストを発熱体パターンにスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷した後、その上にさらにもう1枚の上記グリーンシートを積層するか、またはセラミック粉末のスラリーを印刷法あるいは転写法で塗布して、発熱体16を埋設する。開口部17は、発熱体16形成後、あるいは形成前にパンチングなどによって形成することにより作製される。
【0045】
次に、図6(c)に示すように、上記円筒管12の表面に、上記絶縁性セラミックグリーンシート15を巻き付けて円筒状積層体18を作製する。この際、上記絶縁性セラミックグリーンシート15を上記円筒管12の表面に巻き付けるには、上記絶縁性セラミックグリーンシート15と円筒管12との間にアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することができる。
【0046】
この時、巻き付けされた絶縁性セラミックグリーンシート15の合わせ目は、焼成時の収縮を考慮し、シート端部同志を重ねるか、あるいは所定の間隔をおいて接着してもよい。
【0047】
そして、上記円筒状積層体18を円筒管12を構成する固体電解質および絶縁性セラミックグリーンシート15とを同時に焼成することにより一体化することができる。前記ヒータ素体15とセンサ素体12とが一体化された焼結体を作製する。
【0048】
具体的には、固体電解質としてジルコニアを用いた場合には、アルゴンガス等の不活性雰囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10時間程度焼成すればよい。
【0049】
なお、上記の製造方法においては、測定電極および基準電極の形成を絶縁性セラミックグリーンシート15を巻き付ける前の円筒管12に対して形成したが、測定電極および基準電極の形成は、これに限られることなく、円筒管12の表面に上記絶縁性セラミックグリーンシート15を巻き付けた円筒状積層体18に対して電極ペーストをデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で円筒管12の内面および絶縁性セラミックグリーンシート15における開口部17内の円筒管12の表面に印刷した後、上記のような条件で焼成してもよい。
【0050】
さらには、測定電極および基準電極を形成することなく、上記の方法に従い、円筒状積層体18を作成し、これを焼成した後に、円筒管12の内面およびセラミック絶縁層における開口部17内に電極ペーストを印刷して焼き付け処理するか、あるいはスパッタ法やメッキ法などの薄膜法によって形成することもできる。
【0051】
(第2の製造方法)
次に、本発明の酸素センサ素子の第2の製造方法について、図1の酸素センサ素子の製造方法を例にして図7をもとに説明する。
まず、第1の製造方法と同様にして図7(a)に示すような円筒管20を作製する。なお、この円筒管20の内面には、基準電極(図示せず)を白金等を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で形成してもよい。この時、円筒管20内面への基準電極の印刷は上記導体ペーストを円筒管20内に充填後、排出して、内面全面に塗布形成してもよい。
【0052】
次に、円筒管20と同様な組成物からなる固体電解質を用いて図7(b)に示すような固体電解質グリーンシート21を作製する。このグリーンシートは、固体電解質粉末を用いて、適宜成形用有機バインダーを添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いてドクターブレード法、押し出し成形法、プレス法などにより作製できる。なお、この固体電解質グリーンシートの厚みは、シートの取り扱いの観点から50〜500μm、特に100〜300μmの範囲が特に好ましい。
【0053】
なお、図7(b)に示すように、この固体電解質グリーンシート21の表面の所定箇所に白金などの導電ペーストを印刷塗布して測定電極22を形成してもよい。
【0054】
そして、図7(c)に示すように、上記の固体電解質グリーンシート21の一表面側に、所定箇所に開口部23が形成され且つ開口部23近傍に発熱体24を埋設してなる絶縁性セラミック層25を積層する。
【0055】
例えば、前記第1の製造方法における絶縁性セラミックグリーンシート15と同様な方法によって絶縁性セラミックグリーンシート25aを作製する。この絶縁性セラミックグリーンシート25aの厚みは、シートの取り扱いの観点から50〜500μm、特に100〜300μmの範囲が特に好ましい。そして、このグリーンシート25aの所定箇所に開口部23をパンチング等によって形成する。
【0056】
その後、グリーンシート25aの開口部23の近傍に発熱体24として白金粉末を含む導電性ペーストを発熱体パターンにスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷した後、その上にさらにもう1枚の上記グリーンシート25bを積層するか、またはセラミック粉末のスラリーを印刷法あるいは転写法で塗布することにより、発熱体24を絶縁性セラミック層25内に埋設する。開口部23は、発熱体24を埋設後に形成してもよい。
【0057】
そして、この発熱体24が埋設された絶縁性セラミック層25を、固体電解質グリーンシート21の表面に形成されている測定電極22が開口部23から露出するように積層することによって、図7(c)に示すような積層体を作製することができる。
【0058】
(巻き付け)
次に、図7(d)に示すように、上記円筒管20の表面に固体電解質グリーンシート21の他方面側を巻き付けて円筒状積層体26を作製する。この際、上記固体電解質グリーンシート21を上記円筒管20の表面に巻き付けるには、上記固体電解質グリーンシート21と円筒管20との間にアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することができる。
【0059】
この時、巻き付けされた固体電解質グリーンシート21の合わせ目は、焼成時の収縮を考慮し、シート端部同志を重ねるか、あるいは所定の間隔をおいて接着してもよい。
【0060】
(同時焼成)
そして、上記円筒状積層体26を円筒管20や固体電解質グリーンシート21を構成する固体電解質および絶縁性セラミック層25とを同時に焼成することにより一体化することができる。
【0061】
具体的には、固体電解質としてジルコニアを用いた場合には、アルゴンガス等の不活性雰囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10時間程度焼成すればよい。
【0062】
(他の電極形成法)
なお、上記の第2の製造方法においては、測定電極および基準電極の形成は、上記の方法に限定されず、円筒管20の表面に上記固体電解質グリーンシート21を巻き付けた円筒状積層体26に対して白金などの電極ペーストをデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写によって、円筒管20の内面および絶縁性セラミック層25における開口部23内の固体電解質グリーンシート21の表面に印刷した後、上記のような条件で焼成してもよい。
【0063】
さらには、測定電極および基準電極を形成することなく、上記の方法に従い、円筒状積層体26を作製し、これを焼成した後に、円筒管21の内面およびセラミック絶縁層における開口部23内に電極ペーストを印刷して焼き付け処理するか、あるいはスパッタ法やメッキ法などの薄膜法によって形成することもできる。
【0064】
(多孔質層の形成法)
なお、前述の理論空燃比センサや広域空燃比酸素センサを作製する場合には、第1および第2の方法において、測定電極の表面に、アルミナ、スピネル、ジルコニア等のセラミック粉末をゾルゲル法、スラリーディップ法、印刷法などによって印刷塗布し、焼き付け処理したり、上記セラミックスをスパッタ法あるいはプラズマ溶射法により被覆してセラミック保護層やガス拡散律速層を形成する。また、他の方法としては、円筒状積層体を作製する際に予め測定電極表面にセラミック保護層やガス拡散律速層を形成し、円筒状積層体と、同時に焼成し形成することも可能である。
【0065】
また、第1および第2の製造方法において、上記焼成前に、発熱体を埋設した絶縁性セラミック層の表面に、ジルコニア粉末のスラリーを塗布したり、ジルコニア粉末を用いて作製されたグリーンシートをさらに積層した後に、焼成することによって図2で示したようなジルコニア層10を形成することができる。
【0066】
(他の構造)
なお、本発明の酸素センサ素子は、固体電解質からなる円筒管の形状において、封止された一端は、先端が球状でも良いし、円柱状であってもよく、またセンサ強度や作製の容易性から円筒管は先端に向かってテーパ状に細くなるような構造のものであってもよい。
【0067】
【実施例】
(実施例1)
市販のスピネル粉末と、アルミナ粉末と、5モル%Y2 O3 含有のジルコニア粉末と、白金粉末をそれぞれ準備した。まず、5モル%Y2 O3 含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により外径が約5mm、内径が3mmの一端が封じた円筒状成形体を作製した。
【0068】
また、スピネル粉末にポリビニルアルコール溶液を加えてスラリーを作製し、約200μmのグリーンシートを作製した。このスピネル粉末からなるグリーンシートに開口部をパンチングによって形成した後、その開口部の近傍に白金粉末を含む導体ペーストを発熱体パターン状にスクリーン印刷した後、その上に、さらにスピネル粉末を塗布し発熱体を埋設したヒータ素体を作製した。
【0069】
次に、上記の円筒状のセンサ素体の表面に、接着剤としてアクリル系樹脂を用いて上記ヒータ素体を巻き付け円筒状積層体を作製した。その後、この円筒状積層体を大気中にて、1500℃で2時間焼成し、焼成一体化した。
【0070】
その後、円筒管の開口部内の表面と、円筒管の内面全面に白金からなる多孔質の基準電極および測定電極を無電解メッキによって2μmの厚さが形成した。
【0071】
その後、開口部内の測定電極の表面に、プラズマ溶射によりスピネルからなる気孔率が30%のセラミック保護層を200μmの厚みで形成して図1に示すような理論空燃比センサを作製した。
【0072】
作製した酸素センサの評価には、基準電極に空気を、測定電極にHC、CO、H2 および空気(O2 )を所定の空気過剰率になるように供給した。700℃において空気過剰率が0.95になるように上記の混合ガスを供給した時のセンサ素子の活性化時間を測定した結果を図8に示す。この際、比較のために市販の円筒管の内部にヒータが挿入されたコップ形状の酸素センサの活性化時間も合わせて測定した。
【0073】
図8の結果より、市販のコップ形状の酸素センサ素子は、センサ素子の活性化に約50秒を要するのに対して、本発明のヒータ一体型の酸素センサ素子は15秒で作動することが分かる。
【0074】
また、図9に本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の700℃における出力電圧と空気過剰率との関係を示す。これより出力電圧が空気過剰率が1付近で出力電圧が急激に変化することがわかる。これより発明の理論空燃比センサとして、理論空燃比近傍の燃料と空気の混合比率を制御するに充分な機能を有することが明らかである。
【0075】
また、ここで作製したヒータ一体化酸素センサ素子と、図12に示したように、平板型のジルコニア固体電解質による酸素センサと、アルミナセラミックスを絶縁基板として、白金からなる発熱体が埋設されたヒータとが積層一体化された平板型のヒータ一体型酸素センサ素子に対して温度サイクルを加えた際の信頼性の比較を行った。この際、試料数はそれぞれ20個とした。信頼性の評価は室温から700℃まで20秒で立ち上げ、その後、室温まで急冷した。これを1サイクルとし、10万回行った後のセンサ中に埋設したヒータの抵抗値の初期値に対する増加率を調べた。
【0076】
その結果、平板形状のヒータ一体型酸素センサのヒーターの抵抗値の増加率の平均値は3.5%であった。それに比較して、本発明品の抵抗の増加率の平均値は0.4%であり、優れた耐熱サイクル性を有することが確認された。
【0077】
(実施例2)
実施例1におけるセンサ素子において、測定電極の表面へのスピネルの溶射に代えて、測定電極の表面にスラリーディップ法によりジルコニア粉末を塗布し、1000℃で1時間焼き付けて、気孔率が約15%のガス拡散律速層を形成し、広域空燃比センサ素子を作製した。
【0078】
広域空燃比センサ素子の700℃における限界電流値と空燃比の関係を図10に示した。この図10より限界電流値と空燃比が単一の曲線で表わされることがわかる。これにより本発明の酸素センサは希薄燃焼領域においても空気と燃料の比率を検出する充分な機能を有することが分かる。また、ガス拡散律速層を設けた本発明の酸素センサの700℃までの立ち上げ時間は同様に15秒であった。
【0079】
(実施例3)
実施例1の5モル%Y2 O3 含有の共沈法によるジルコニア粉末にポリビニルアルコールを添加し押し出し成形法により厚み約300μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートの表面にスクリーン印刷法によりアルミナからなる絶縁体層を塗布した その後、開口部をパンチングによって形成した後、開口部の近傍に白金粉末を含有する導電性ペーストを発熱体パターンにスクリーン印刷し、さらに白金製発熱体パターンの表面にスクリーン印刷で絶縁層としてアルミナ粉末を含有するペーストを塗布乾燥してヒータ素体を作製した。
【0080】
次に、実施例1で作製した円筒状のセンサ素体の表面に、上記のヒータ素体を巻き付けて円筒状積層体を作製した後、この円筒状積層体を大気中、1500℃で2時間焼成した。
【0081】
その後、実施例1と同様にして固体電解質からなる円筒管の封止された先端の内面および外面にそれぞれ白金からなる基準電極と測定電極とをメッキによって形成した後、プラズマ溶射により測定電極の表面にスピネルからなる気孔率が28%のセラミック保護層を200μmの厚みで形成し理論空燃比センサを作製した。
【0082】
さらに、焼成後の円筒状積層体に対して、実施例1と同様にして固体電解質からなる円筒管の内面および開口部内の外面にそれぞれ白金からなる基準電極と測定電極とをメッキによって形成した後、測定電極の表面にジルコニア粉末を含有するスラリーを塗布した後、1100℃で焼き付けて気孔率が約15%のガス拡散律速層を50μmの厚みで形成し、図1と同様な形状の広域空燃比センサ素子を作製した。
【0083】
この後、実施例1に従い、センサ特性の評価を行った結果、本発明のヒータ一体型酸素センサ素子の700℃までの活性時間は、理論空燃比センサで17秒、広域空燃比センサで16秒であった。
【0084】
また、本発明の広域空燃比センサの700℃における出力電圧と空気過剰率との関係については、図9と同様な結果が得られた。また、ガス拡散律速層を設けた広域空燃比センサの700℃における限界電流値と空燃比との関係については図10と同様な結果が得られた。
【0085】
信頼性の評価は、実施例1に従い室温から700℃まで20秒で立ち上げ、その後室温まで急冷するという熱処理を1サイクルとしこれを20万回行った後のセンサ中のヒータの抵抗値の初期値に対する増加率を100個の理論空燃比センサ素子、および広域空燃比センサについてそれぞれ調べた。その結果、抵抗率の増加率は理論空燃比センサが0.5%、広域空燃比センサが0.4%と小さい値であった。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の酸素センサ素子によれば、円筒型をなし、且つ酸素センサとヒータとを同時焼成して一体化した構造を有することから、平板型のヒータ一体型酸素センサよりも高い強度を有するために、熱性および耐久性に優れ、また、従来のヒータを円筒管内部に内蔵する円筒型の酸素センサに比較して、電極に隣接してヒータを設けたために、昇温速度が早くなり、平板形状の積層型センサ素子と同等以上にセンサ応答性に優れる。しかも製造工程を簡略化できるために製造コストが安価になり、経済性の観点からも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサ素子の一例を説明するための(a)概略斜視図と(b)X1 −X1 断面図を示す。
【図2】ヒータ部の種々の構造を説明するための要部拡大断面図である。
【図3】本発明の酸素センサ素子の他の例を説明するための(a)概略斜視図と(b)X2 −X2 断面図を示す。
【図4】本発明の酸素センサ素子の他の例を説明するための(a)概略斜視図と(b)X3 −X3 断面図を示す。
【図5】図1の酸素センサ素子の測定電極表面に多孔質層を形成した場合の概略断面図である。
【図6】本発明の酸素センサ素子の製造方法の一例として、図1のセンサ素子を製造する方法の工程図を示す。
【図7】本発明の酸素センサ素子の製造方法の他の例として、図1のセンサ素子を製造する方法の工程図を示す。
【図8】実施例1において、700℃において空気過剰率が0.95になるように混合ガスを供給した時のセンサ素子の活性化時間を測定した結果を示す。
【図9】実施例1のヒータ一体型酸素濃度センサ素子の700℃における出力電圧と空気過剰率との関係を示す。
【図10】広域空燃比センサの700℃における限界電流値と空燃比の関係を示す。
【図11】従来の円筒型酸素センサの概略断面図を示す。
【図12】従来のヒータ一体型の平板型酸素センサの概略斜視図を示す。
【符号の説明】
1 酸素センサ素子
2 円筒管
3 基準電極
4 測定電極
5 セラミック絶縁層
6 開口部
7 発熱体
11 多孔質層
Claims (3)
- セラミック固体電解質からなる一端が封止された円筒管を作製する工程と、
所定箇所に開口部が形成され、且つ該開口部近傍に発熱体を埋設してなる絶縁性セラミックグリーンシートを作製する工程と、
前記円筒管の外表面に前記絶縁性セラミックグリーンシートを巻き付けて円筒状積層体を作製する工程と、
前記円筒状積層体を焼成する工程と、
前記円筒管の前記開口部内の表面に測定電極を、およびそれに対向する円筒管内面に基準電極をそれぞれ形成する工程と、を具備することを特徴とするヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法。 - セラミック固体電解質からなる一端が封止された円筒管を作製する工程と、
前記セラミック固体電解質と同様な組成物からなるグリーンシートを作製する工程と、
前記セラミック固体電解質グリーンシートの一表面側に、所定箇所に開口部が形成され且つ該開口部近傍に発熱体を埋設してなる絶縁性セラミック層を積層する工程と、
前記円筒管の外表面に、前記セラミック固体電解質グリーンシートの他方面側を巻き付けて円筒状積層体を作製する工程と、
前記円筒状積層体を焼成する工程と、
前記開口部内のセラミック固体電解質表面に測定電極を、およびそれに対向する円筒管内面に基準電極をそれぞれ形成する工程と、を具備することを特徴とするヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法。 - 前記測定電極の表面にセラミック多孔質層を形成する工程を具備する請求項1または請求項2記載のヒータ一体型酸素センサ素子の製造方法。
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