JP3860771B2 - 酸素センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するための酸素センサ素子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層(外面:測定電極、内面:基準電極)が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極の表面に、保護層としてセラミック多孔質層が設けられており、所定温度で円筒管両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。この際、理論空燃比センサは約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管の内側には、センサ部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータが挿入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータを円筒管内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、センサ部が活性化温度に達するまでに要する時間(活性化時間)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0006】
近年、この問題を回避する方法として、図4の概略断面図に示すように平板状の固体電解質基板51の外面および大気導入孔54の内面に測定電極52と準電極53とをそれぞれ設けたセンサ部とセラミック絶縁層55の内部に白金ヒータ56を埋設したヒータ部とが一体化された酸素センサ素子が提案されている。
【0007】
しかしながら、このヒータ一体型酸素センサは、上述の従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能ではあるが、本来、大気導入孔54内に形成されるべき基準電極53や基準電極53のリードパターン等が積層時のわずかなズレによって、基準電極53や基準電極53のリードパターンの端部の一部が固体電解質基板内に埋設された状態となり、その結果、急速昇温による熱衝撃の繰り返しによって埋設された部分からクラック等が発生し、センサ素子の寿命を短くしてしまうために、不良品となり、その結果、製造時の歩留まりを低下させる大きな要因となっていた。
【0008】
さらに、酸素センサ素子においては、大気導入孔54は、不可欠の要素であるが、この大気導入孔54によって素子自体の強度が低下するという問題があった。
【0009】
従って、本発明は、素子の強度を保ちつつ、急速昇温によるクラックの発生を防ぐことができる信頼性の高い酸素センサ素子を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題について検討した結果、空気導入孔を所定の形状に制御することによって、素子の強度を高めることができるとともに、急速昇温に対する耐久性をも高めることができることを見出し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明の酸素センサ素子は、固体電解質基板の先端部が封止された大気導入孔を有する平板体であって、前記大気導入孔の内壁に基準電極を形成し、前記基準電極と対向する固体電解質基板の表面に測定電極をそれぞれ設けたセンサ部を具備する酸素センサ素子において、前記大気導入孔は、素子の長手方向に対して直交する断面が台形状であり、素子の長手方向に対して直交する方向における前記基準電極形成側の底面長さが、素子の長手方向に対して直交する方向での前記基準電極幅より長く、且つ対向する底面長さより長いことを特徴とするものであり、該酸素センサ素子には、セラミック絶縁層中に発熱体を埋設したヒータ部を具備することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸素センサ素子の基本構造の例を、図面をもとに説明する。図1は、本発明の酸素センサ素子の一例を説明するための概略断面図、図2に他の例を説明するための概略断面図である。これらは、一般的に理論空撚比センサ素子と呼ばれるものであり、図1、図2の例ではいずれもセンサ部20とヒータ部21を具備するものである。
【0013】
図1の酸素センサ素子においては、ジルコニアからなる酸素イオン導電性を有する固体電解質基板22と、この固体電解質基板22の対向する両面には、空気に接する基準電極23と、排気ガスと接する測定電極24とが形成されており、酸素濃度を検知する機能を有するセンサ部20を形成している。
【0014】
即ち、固体電解質基板22は先端が封止された平板状の中空形状からなり、この中空部が大気導入孔22aを形成している。そして、この大気導入孔22aの内壁には、空気などの基準ガスと接触する基準電極23が被着形成され、この基準電極23と対向する固体電解質基板22の外面に、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極24が形成されている。
【0015】
また、排気ガスによる電極の被毒を防止する観点から、測定電極24表面には電極保護層としてセラミック多孔質層25が形成されている。
【0016】
本発明によれば、かかる酸素センサ素子において、大気導入孔22aの素子の長手方向に対して直交する断面が台形状であり、大気導入孔22a内部の素子の長手方向に対して直交する方向での基準電極23形成側の底面長さWsが、素子の長手方向に対して直交する方向での基準電極23の幅Wより長く、且つ対向する底面の長さWhより長いことが重要である。基準電極23側の底面長さWsが、基準電極23の幅Wより短くなると、基準電極23の両端が固体電解質基板22内に埋設されてしまい、急速昇温時の熱衝撃によりクラックを生じやすくなってしまう。また、基準電極23側の底面長さWsと基準電極23の幅Wが同じであれば積層時のわずかなずれによって、基準電極23が固体電解質基板22内に埋設されるため、急速昇温時の熱衝撃によりクラックを生じる。一方、基準電極23側の底面長さWsが、対向する底面の長さWhと同じか、あるいは短くなると、素子の強度が落ちるためにエンジン中で破壊される恐れが生じ、信頼性に欠ける。
【0017】
より具体的には、基準電極23の幅W、基準電極23側の底面長さWs、対向する底面の長さWhとは、W/Wsが0.7〜0.95,Wh/Wsが0.5〜0.95であることが適当である。
【0018】
本発明においては、基準電極23および測定電極24はいずれも多孔質の白金からなるもので、白金粒子内にはジルコニア相が存在するとともに、白金粒子内にジルコニア相が0.1〜10体積%の割合で含有されていることによって、白金粒子の粒成長を抑制することができる結果、ガス応答性のよい測定電極24を形成することができる。
【0019】
一方、ヒータ部21は、電気絶縁性を有するセラミック絶縁層26に白金などの発熱体27が埋設された構造からなり、図1の酸素センサ素子においては、ヒータ部21は、センサ部20とともに焼成によって一体化された構造からなり、図2の酸素センサ素子においては、センサ部20とヒータ部21とは、それぞれ別体で形成され、接合材28によって接合された構造からなる。
【0020】
特に、センサ部20の固体電解質基板22とヒータ部21のセラミック絶縁層26との熱膨張係数差が大きい場合には、図2の構造からなることが望ましく、特に、接合箇所は、白金発熱体27や電極23、24が形成されていない使用時において、温度の低い部分にて接合することが望ましい。
【0021】
また、センサ部とヒータ部とを全面にて接合する場合には、センサ部20とヒータ部21との熱膨張係数の違いによる応力を緩和するため、例えばセンサ部20のジルコニア固体電解質基板22とヒータ部21のアルミナセラミック絶縁層26との複合材料、アルミナとジルコニアとを複合化合物層を介在させることが望ましい。
【0022】
本発明の酸素センサ素子において用いられる固体電解質は、ZrO2を含有するセラミックスからなることが望ましく、安定化剤として、Y2O3およびYb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられる。
【0023】
また、ZrO2中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2を用いることにより、イオン導電性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
【0024】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al2O3やSiO2を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al2O3およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0025】
固体電解質基板22の表面に被着形成される基準電極23、測定電極24は、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。
また、センサ動作時に、電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる白金粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。
【0026】
また、電極形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極の厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0027】
一方、白金発熱体27を埋設するセラミック絶縁層26としては、アルミナセラミックスからなる相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましい。
【0028】
この際、焼結性を改善する目的でセラミック絶縁相26中にMg、Ca、Siを総和で1〜10質量%含有していてもよいが、Na、K等のアルカリ金属の含有量としては、マイグレーションによりヒータ部21の電気絶縁性を悪くするため、酸化物換算で50ppm以下に制御することが望ましい。
【0029】
また、相対密度を上記の範囲とすることによって、基板強度が高くなる結果、酸素センサ自体の機械的な強度を高めることができる。
【0030】
また、測定電極24の表面に形成されるセラミック多孔質層25は、厚さ10〜800μmで、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ−アルミナおよびスピネルの群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましい。
【0031】
この多孔質層25の厚さが10μmより薄いか、あるいは気孔率が50%を超えると、電極被毒物質P、Si等が容易に電極に達して電極性能が低下する。それに対して、多孔質層25の厚さが800μmを超えるか、あるいは気孔率が10%より小さくなるとガスの多孔質層25中の拡散速度が遅くなり、電極のガス応答性が悪くなる。特に、多孔質層25の厚さとしては気孔率にもよるが、100〜500μmが適当である。
【0032】
ヒータ部21におけるセラミック絶縁層26内に埋設された白金発熱体27は、金属として白金単味、あるいは白金とロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種との合金を用いることができる。
【0033】
なお、ヒータ部21における発熱体27の発熱パターンとしては、長手方向に伸び、長手方向の端部で折り返した構造のみならず、ミアンダ構造であってもよい。
【0034】
また、本発明の酸素センサ素子は、素子全体の厚さとしては、0.8〜1.5mm、特に1.0〜1.2mm、素子の長さとしては45〜55mm、特に45〜50mmが急速昇温性と素子のエンジン中への取付け具合との関係から好ましい。
【0035】
次に、本発明の酸素センサ素子の製造方法について、図1の酸素センサ素子の製造方法を例にして図3の分解斜視図をもとに説明する。
【0036】
まず、固体電解質のグリーンシート41を作製する。このグリーンシート41は、例えば、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製される。
【0037】
次に、上記のグリーンシート41の両面に、それぞれ測定電極24および基準電極23となるパターン42aやリードパターン42b、パット43a、スルホール43bなどを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成する。
【0038】
次に、大気導入孔44を形成したグリーンシート45およびグリーンシート46を作製する。本発明によれば、大気導入孔44に対して、図1の大気導入孔22aで示したような台形状の断面形状に加工する。例えば、図4(a)の断面図に示すように、予めグリーンシート45にパンチングなどによって大気導入孔44を形成した後、図4(b)に示すように、大気導入孔44の縁部に所定の型bを押し当てることによって、所定の角度のテーパaを形成する。
【0039】
その後、この大気導入孔44を形成したグリーンシート45とグリーンシート46とをグリーンシート41に対してアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することによりセンサ部用の積層体Aを作製する。
【0040】
さらに、この時に使用する白金を含有する導電性ペーストとしては、上述のセラミック固体電解質成分からなるジルコニアを1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で包含する白金粒子を用いて、その他に、エチルセルロース等の有機樹脂成分を含有するものを用いることが望ましい。このようなZrO2含有の白金粒子を用いることによって、センサを高温度で使用する場合、白金粒子の焼結を抑制することが出来るので、安定したセンシング機能を保持することが出来るのである。
【0041】
次に、図3に示すようにジルコニアグリーンシート47表面にアルミナ粉末からなるペーストをスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷し、セラミック絶縁層48aを形成する。
【0042】
次に、セラミック絶縁層48aの表面に、発熱パターン49およびリードパターン50を印刷塗布する。そして、アルミナなどの絶縁性ペーストを塗布してセラミック絶縁層48bを印刷塗布することにより、ヒータ部21の積層体Bを作製する。
【0043】
なお、上記のヒータ部21の積層体を作製するにあたり、セラミック絶縁層48a、48bは、上記のように絶縁性ペーストの印刷塗布によって形成する他に、アルミナなどのセラミックスラリーを用いてドクターブレード法などのシート成形方法によって絶縁性シートを形成して積層することもできる。
【0044】
この後、センサ部20の積層体Aとヒータ部21の積層体Bをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら両者を機械的に接着することにより接着一体化した後、これらを焼成する。焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。なお、焼成時には、焼成時のセンサ部Aの反りを抑制するため、錘として平滑なアルミナ等の基板を積層体の上に置くことにより反り量を低減することができる。
【0045】
また、センサ部の積層体Aとヒータ部の積層体Bとを同時焼成して一体化する場合には、両者の熱膨張係数差による応力の発生を低減するために、例えば、センサ部を形成する固体電解質成分とヒータ部のセラミック絶縁層を形成する絶縁成分との複合材料を介在させることが望ましい。
【0046】
その後、必要に応じて、焼成後の測定電極の表面に、プラズマ溶射法等により、アルミナ、ジルコニア、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミックスを形成することによってヒータ部が一体化された酸素センサ素子を形成することができる。
【0047】
なお、上記の方法では、ヒータ部21はセンサ部20と同時焼成して形成した場合について説明したが、センサ部20とヒータ部21とはそれぞれ別体で焼成した後、ガラスなどの適当な無機接合材によって接合することによって一体化することも可能である。
【0048】
【実施例】
図1に示す理論空燃比センサを、図4に従い以下のようにして作製した。
【0049】
まず、市販の純度が99.9%アルミナ粉末と、Siを0.1重量%含む5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末と、平均粒子径が0.1μmで8モル%のイットリアからなるジルコニアを30体積%結晶内に含有する白金粉末(1)と、アルミナ粉末を20体積%含有する白金粉末(2)をそれぞれ準備した。
【0050】
まず、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加してスラリーを作製し、押出成形により焼結後の厚さが0.4mmになるようなジルコニアのグリーンシート41を作製した。
【0051】
その後、グリーンシート41の両面に、白金粉末(1)を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷して、測定電極と基準電極のパターン42a、リードパターン42b、パット43a、スルホール43bをそれぞれ印刷形成した後、大気導入孔44を形成したグリーンシート45、およびグリーンシート46をアクリル樹脂の接着剤により積層しセンサ部用積層体Aを得た。なお、大気導入孔44の縁部に対しては、図4に示すようにして適宜、所定の型を用いてテーパaを形成した。
【0052】
次に、ジルコニアグリーンシート47表面に上述のアルミナ粉末からなるペーストを用いてスクリーン印刷してセラミック絶縁層48aを焼成後約10μmになるように形成した後、発熱パターン49およびリード部50を、アルミナを含有する白金(2)を含有する導電性ペーストを用いてスクリーン印刷で印刷形成し、さらにこの表面にもう一度アルミナ粉末からなるペーストをスクリーン印刷してセラミック絶縁層48bを形成することにより、ヒータ部用積層体Bを作製した。
【0053】
この後、前述の製造方法に従いセンサ部用積層体Aとヒータ部用積層体Bを接合してヒータ一体化センサ素子の積層体を1500℃、1時間焼成してヒータ一体化センサ素子を作製した。
【0054】
この際、基準電極と大気導入孔上下底面の幅を変化させて、表1に示したような理論空燃比型(λ型)のヒータ一体化の酸素センサ素子を作製した。
【0055】
この実施条件それぞれにつき、各50本ずつ作製した酸素センサ素子について、それぞれ超音波探傷により、基準電極と大気導入孔の位置ずれの確認を行い、積層歩留まりを求めた。また、良品20本については、4点曲げ強度を測定し、平均値を計算により求めた。
【0056】
この後、積層により基準電極と大気導入孔の位置ずれのない良品20本に対して、対して水素、メタン、窒素、酸素の混合ガスを用いて空燃比を12と23の混合ガスを0.5秒間隔で交互にセンサ素子に吹き付けながら、100時間、素子のヒータに12V印加させることにより、素子の破損の有無を確認し、破損した本数を表1に示した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果より、素子の大気導入孔の上底面長さWsが基準電極幅Wと同じか、それより短い試料No.1〜6は積層不良の割合が多く、いずれも歩留まりが50%以下であった。
【0059】
また、大気導入孔上底面長さWsより基準電極幅Wの方が短い試料であっても、WsがWhと同じ、またはWs<Whの試料No.11、12はいずれも4点曲げ強度が低く、素子のヒータに12V印加して急速昇温させる事により破損した。
【0060】
これに対して、一方、本発明品はいずれも歩留まりが高く、12V印加試験によっても破損する事がない素子であった。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、空気導入孔の断面形状を台形状にすることによって、素子の強度を保ちつつ、急速昇温によるクラックの発生を防ぐことができ、信頼性の高い酸素センサ素子を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサ素子の一例を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の酸素センサ素子の他の例を説明するための概略断面図である。
【図3】図2の酸素センサ素子の製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明における大気導入孔を形成する方法を説明するための図である。
【図5】従来のヒータ一体型酸素センサ素子の構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1、22 ・・・固体電解質基板
1a、22a・・・大気導入孔
2、24 ・・・測定電極
3、23 ・・・基準電極
4、25 ・・・セラミック多孔質層
5、26 ・・・セラミック絶縁層
6、27 ・・・白金発熱体
20 ・・・センサ部
21 ・・・ヒータ部
28 ・・・接合材
Claims (2)
- 固体電解質基板の先端部が封止された大気導入孔を有する平板体であって、前記大気導入孔の内壁に基準電極を形成し、前記基準電極と対向する固体電解質基板の表面に測定電極をそれぞれ設けたセンサ部を具備する酸素センサ素子において、前記大気導入孔は、素子の長手方向に対して直交する断面が台形状であり、素子の長手方向に対して直交する方向における前記基準電極形成側の底面長さが、素子の長手方向に対して直交する方向での前記基準電極幅より長く、且つ対向する底面長さより長いことを特徴とする酸素センサ素子。
- セラミック絶縁層中に発熱体を埋設したヒータ部を具備する請求項1記載の酸素センサ素子。
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