JP3981307B2 - 酸素センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するための酸素センサ素子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。
この酸素センサの代表的なものとしては、ZrO2固体電解質からなり、先端が封止された円筒管の内面には、センサ部として白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極が、また円筒管の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極が形成されている。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極の表面に、セラミック保護層が設けられており、所定温度で円筒管両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0005】
上記理論空燃比センサにおいては、センサ部を約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管の内側には、センサ部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータが挿入されている。
【0006】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータを円筒管内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、センサ部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0007】
近年、この問題を回避する方法として、図5に示すように、大気導入孔50を有する平板状の固体電解質基板51の内面および外面に基準電極52と測定電極53をそれぞれ設けると同時に、セラミック絶縁体54の内部に白金からなる発熱体55を埋設し、測定電極53の表面にセラミック保護層56を形成したヒータ一体型のセンサが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このヒータを一体化した酸素センサ素子は、従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能ではあるが、通常、白金電極からなるセンサ部とヒータ部とを高温度で同時焼成して作製されるため、測定電極のガス応答性が悪いという大きな問題があった。その1つの原因が、測定電極を導体ペーストを印刷塗布した後、固体電解質と同時焼成する際に、焼成温度が高いため焼成時に測定電極が緻密化してしまい、その結果、ガスの電極中での拡散速度が減少し、ガス応答性が悪くなるという問題があった。
【0009】
このような測定電極の緻密化を抑制する上では、測定電極中にセラミック粒子を多量に含有せしめることが考えられるが、セラミック粒子の含有量が多いと、ガス応答性が悪くなるといった問題があった。
【0010】
従って、本発明は、測定電極の緻密化を抑制し、ガス応答性の優れた酸素センサ素子を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の問題について検討した結果、測定電極中に同一材料のセラミック粒子からなり配合体積比率を変えた層を設けることにより、焼成時の測定電極の緻密化を抑制することが出来るため、その結果、電極中の気孔率が大きくなり、ガス応答性が改善されることを見出し本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明の酸素センサ素子は、金属粒子とセラミック粒子からなる測定電極と基準電極をそれぞれ設けてなる酸素センサであって、前記測定電極が金属粒子と、同一材料のセラミック粒子とからなるとともに、配合体積比率の異なる少なくとも2層の電極層を備えており、最も表面側の電極層における前記セラミック粒子の含有量が、最も固体電解質基板側の電極層よりも多く、前記測定電極における金属粒子:セラミック粒子の体積比率が、固体電解質基板側の電極層で40:60〜60:40、表面側の電極層で35:65〜5:95であることを特徴とするものである。これによって、排気ガスに対する被毒防止効果を低減することなく、また、測定電極の緻密化を防止し、ガス応答性の劣化を防止できる。
【0014】
前記測定電極における前記固体電解質基板側の電極層の厚みが1〜10μm、前記表面側の電極層の厚みが3〜20μmであることが適当である。
【0015】
また、前記固体電解質基板側の電極層と、表面側の電極層との間に、固体電解質基板側の電極層と、表面側の電極層よりも多量のセラミック粒子を含有する中間層を介在させることによって、被毒防止効果を高めることができる。この中間層の厚みは、1〜100μmであることが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸素センサの基本構造の一例の概略平面図を図1(a)に、図1(a)におけるx−x断面図を図1(b)に示した。この酸素センサ素子は、一般的に理論空撚比センサ素子と呼ばれるものである。
【0019】
図1においては、酸素センサ素子1は、ジルコニアからなる酸素イオン導電性を有する固体電解質基板2と、この固体電解質基板2の対向する表面には、空気に接する基準電極4と測定電極5とが形成されており、酸素濃度を検知するセンサ部を形成している。
【0020】
即ち、固体電解質基板2は先端が封止された平板状の中空形状からなり、この中空部が大気導入孔3を形成している。そして、この大気導入孔3内壁に、空気などの基準ガスと接触する基準電極4が被着形成され、この基準電極4と対向する固体電解質基板2の外面に、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極5が形成されている。また、排気ガスによる電極の被毒を防止する観点から、測定電極5表面には多孔質体からなるセラミック保護層6が形成されている。
【0021】
また、固体電解質基板2の表面には、測定電極5と接続されるリード7aや電極パッド7bがさらに形成される。
【0022】
また、本発明の酸素センサ素子1においては、セラミック絶縁層8中に発熱体9が埋設されたヒータ部が上記センサ部と一体的に形成されている。このヒータ部は、センサ部と同時焼成して形成されたものである。
【0023】
本発明によれば、かかる酸素センサ素子1において、測定電極5は、金属粒子10とセラミック粒子11とが混在した複合材料によって形成されており、この測定電極5は、金属粒子10とセラミック粒子11との混合比率が異なる少なくとも2層の電極層からなる。
【0024】
そこで、この測定電極5の構造例の拡大図を図2、図3に示した。図2の例においては、電極層aと、電極層bの2層から構成される。この図2の例では、測定電極5の固体電解質基板2側の電極層aと、表面側の電極層bとは、金属粒子10とセラミック粒子11との混合比率が異なり、表面側の電極層bにおけるセラミック粒子含有量が固体電解質基板2側の電極層aよりも多くなっている。
【0025】
本発明によれば、表面側の電極層bにおけるセラミック粒子の含有量を固体電解質基板2側の電極層aよりも多くすることによって、測定電極の緻密化を防止するとともに、電極自身による被毒防止効果を高めるといった作用効果を奏するものである。
【0026】
上記の作用を効果的に発揮させる上では、金属粒子:セラミック粒子の比率が固体電解質基板2側の電極層aで40:60〜60:40、特に45:55〜55:45、表面側の電極層bで35:65〜5:95、特に25:75〜15:85からなることが望ましい。なお、この比率は、各層a、bの縦断面の電子顕微鏡写真を観察したときの、金属粒子10とセラミック粒子11との面積の合計を100としたときの金属粒子10とセラミック粒子11との面積比率であり、各粒子の体積比率での配合比率と実質的に一致するものであった。
【0027】
また、測定電極5を形成する金属粒子10は、断面における短軸径の平均が0.3〜1.3μm、セラミック粒子11は、断面における短軸径の平均が0.2〜1.5μmの大きさで存在することが適当である。
【0028】
また、固体電解質基板2側の電極層aの厚みを1〜10μm、特に3〜8μm、表面側の電極層bの厚みを3〜20μm,特に5〜15μmとすることによってガス応答性をさらに高めることができる。
【0029】
図2の例では、測定電極5は、電極層aと電極層bとの2層構造であったが、このような2層構造の場合、電極層bを通過したガスによってセラミック粒子の含有量が少ない電極層aが測定ガスによって被毒されてしまう恐れがある。そこで、本発明においては、図3に示すように、電極層aと電極層bとの間に、電極層a、電極層bよりもさらに多量のセラミック粒子を含有する中間層cを介在させることによって、ガス応答性を高めることができる。この場合、中間層cの厚みは、1〜100μm、特に20〜50μmであること、また、中間層c中のセラミック粒子の含有量は80%以上が適当である。
【0030】
一方、基準電極6は、必ずしも測定電極5のような多層構造からなる必要はなく、金属粒子:セラミック粒子とが、60:40〜90:10の割合で混合したものであることが望ましい。
【0031】
本発明において、測定電極5および基準電極4を形成する金属粒子10としては、Pt、Rh、Pd、Auの少なくとも一種からなり、とりわけ白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。また、セラミック粒子11としては、ジルコニアまたはアルミナを主成分とするセラミックスからなることが望ましい。とりわけ、Y、Yb、Sc、Ndの少なくとも1種の希土類元素(RE)をRE2O3換算で3〜15モル%、特に6〜10モル%含有するジルコニアが耐食性及び高強度化の点から望ましい。
【0032】
なお、このセラミック粒子11は、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で混合されるもので、あわせてセラミック粒子の量が増加すると被毒防止の効果を有する。
【0033】
また、電極形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極の厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0034】
一方、発熱体9を埋設するセラミック絶縁層8としては、相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましい。セラミック絶縁層8としては、アルミナセラミックス、AlとMgとの複合酸化物を主体とするセラミックス、Alと希土類元素との複合酸化物を主体とするセラミックスの群から選ばれる少なくとも1種からなることが耐食性、高強度化の点で望ましい。
【0035】
また、このセラミック絶縁層8には、焼結性を改善する目的でMg、Ca、Siを総和で1〜10重量%含有していてもよいが、Na、K等のアルカリ金属の含有量としては、マイグレーションしてヒータ基板の電気絶縁性を悪くするため酸化物換算で50ppm以下に制御することが望ましい。また、相対密度を上記の範囲とすることによって、基板強度が高くなる結果、酸素センサ自体の機械的な強度を高めることができるためである。セラミック絶縁層8の厚みは、5〜20μmが適当である。
【0036】
また、発熱体9は、上記セラミック絶縁層8との同時焼結性を高める上で白金によって、5〜50μmの厚みで形成されるが、場合によっては白金とロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種との合金を用いることができる。発熱体のパターンとしては、図2に示したようなミアンダ(波型)構造のみならず、長手方向に伸び、長手方向の端部で折り返したU字構造であってもよい。
【0037】
本発明の酸素センサ素子において用いられる固体電解質は、ZrO2を含有するセラミックスからなり、安定化剤として、Y2O3およびYb2O3、Sc2O3、Sm2O3、Nd2O3、Dy2O3等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられている。また、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al2O3やSiO2を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al2O3およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0038】
次に、本発明の酸素センサ素子の製造方法について、図1、図3の酸素センサ素子を例にとり、図4をもとに具体的に説明する。
【0039】
まず、図4に示すようにジルコニアのグリーンシート20を作製する。このグリーンシート20は、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製される。
【0040】
次に、上記のグリーンシート20の両面に、それぞれ測定電極パターン21、基準電極パターン22、リードパターン23、電極パッド24やスル−ホール25などを、例えば、平均粒径が0.3〜1.3μmの白金などの金属粉末と、平均粒径が0.2〜1.5μmのジルコニア、アルミナなどのセラミック粉末を前述したような比率で混合する。そして、前記測定電極を形成する3つの組成の異なる比率で混合して3種類の導電性ペーストを調製する。このときの比率は、前記各層の面積比率を体積比率として調製する。
【0041】
そして、グリーンシート20の表面に、前記電極層a,b,中間層cを形成するために、3種類の導電性ペーストを順次印刷塗布して、3層21a、21b、21cを形成する。
【0042】
次に、上記グリーンシート20の基準電極パターン22を形成した側に、大気導入孔27を形成したグリーンシート28および大気導入孔27の下側の壁を形成するグリーンシート29をアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することによりセンサ用積層体Aを作製する。
【0043】
次に、ジルコニアグリーンシート30表面に、例えば、アルミナからなるセラミックグリーンシート31aを形成する。この後、このセラミックグリーンシート31aの表面に白金を含有する導電性ペーストを用いて発熱体32およびリード部33をスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成し、さらにこの表面にもう一度、アルミナのセラミックグリーンシート31bを形成する。
【0044】
また、上記のグリーンシート31a、31bを積層する代わりに、アルミナ粉末からなるペーストをスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷して形成することもできる。
【0045】
なお、グリーンシート30の裏面には、電極パッド34が設けられ、リード部33と、グリーンシート30や31aに形成されたスルーホール35を通じて、電極パッド34と接続されている。
【0046】
次に、上述のセンサ用積層体Aとヒータ用積層体Bをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら両者を機械的に接着することにより接着して積層体を作製する。
【0047】
その後、積層体を焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。この際、焼成時の反りを抑制するため、錘として平滑なアルミナ等の基板を積層体の上に置くことにより反り量を低減することができる。
【0048】
なお、必要に応じて、測定電極の表面に、焼結後に蒸発または燃焼して消失するような、有機物粒子やカーボン粒子からなる気孔形成剤を所定量含有したジルコニアなどのセラミック保護層を形成するためのセラミック組成物を含有するスラリーを用い、スラリーディップ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写により測定電極21表面に所定の厚み印刷した後、上記の焼成と同時に焼成することによって、セラミック保護層26を形成することができる。また、このセラミック保護層は測定電極、固体電解質と同時に焼成して形成することも可能である。
【0049】
【実施例】
図1に示すヒータを一体化した理論空燃比センサ素子を図4に基づき作製した。
【0050】
まず、5モル%のY2O3を含有するジルコニア粉末に、ポリビニルアルコール溶液を添加してスラリーを作製し、押出成形により焼結後、厚さが0.4mmになるようなジルコニアのグリーンシート20を作製した。
【0051】
そして、このグリーンシート20の表面に、平均粒径が0.5μmの白金粉末と、平均粒径が0.8μmのアルミナ粉末、またはY2O3を8モル%含有する平均粒径が0.5μmのジルコニア共沈原料の粉末とを用いて、表1に示す割合でこれらを混合し、この混合物にバインダーとしてアクリル樹脂を添加し、溶媒としてTPOを用いて混合して、組成の異なる白金ペーストを調製し、それらをグリーンシート20の表面から表1の順序で形成した。
【0052】
また、基準電極パターン22、リードパターン23、電極パッド24を前記白金粉末80体積%、前記ジルコニア粉末20体積%の割合で混合し前記と同様にして調製した白金ペーストを焼成後の厚みが10μmとなるように印刷塗布した。また、グリーンシート20の所定箇所にスルーホール25を形成し、上記白金ペーストを充填した。
【0053】
次に、大気導入孔27を形成した厚さ600μmのグリーンシート28および厚さ400μmのグリーンシート29とをアクリル樹脂の密着剤により積層しセンサ用積層体Aを得た。
【0054】
次に、厚さ400μmのジルコニアグリーンシート30表面に平均粒径が0.5μmのアルミナ粉末に有機バインダーとしてアクリル樹脂を添加してアルミナスラリーを作製し、このスラリーをスクリーン印刷により焼成後10μmの厚みになるように塗布してセラミック絶縁層31aを形成した。その後、平均粒径が0.5μmのアルミナ粉末を20体積%、白金粉末を80体積%含有する白金ペーストを用いて、焼成後の厚みが約15μmとなるようにスクリーン印刷により発熱体パターン32とリードパターン33を形成した。そして、その表面にもう一度アルミナスラリーを用いてセラミック絶縁層31bを焼成後10μmになるように形成し、ヒータ用積層体Bを作製した。
【0055】
この後、センサ用積層体Aとヒータ用積層体Bを接着剤を介して接合してヒータ一体化センサ素子の積層体を得た。
【0056】
また、この後、セラミック保護層として、8モル%イットリア含有のジルコニア粉末に、大きさが約10μmの樹脂ビーズを添加したスラリーを調製し、スクリーン印刷により測定電極パターン表面に、焼成後の厚みが100μmとなる厚みで形成した。
【0057】
その後、上記積層体を1500℃の温度で1時間焼成して、ヒータを一体化した酸素センサ素子を作製した。
【0058】
作製した酸素センサ素子に対して、ガス応答性の評価を行った。評価は、酸素センサ素子を金属性のハウジングに組み込み、排気量1500ccの4気筒ガソリンエンジンの外部のエンジン制御用のコンピュータによって、排気ガス温度を350℃に維持しつつ、排気ガスの空燃比を14.0から15.4へ、また逆に15.4から14.0に切り替えた際、センサ素子の出力が0.6Vから0.3Vへ、また0.3Vから0.6Vへ変化するに必要な応答時間TRLと、TLRをそれぞれ測定した。測定時間は、エンジン始動後100時間と500時間の2回測定した。この際、比較のため市販のヒータ一体型センサ素子も測定に用いた。結果を表1に示す。
【0059】
この際、測定電極の断面を走査型電子顕微鏡(3000倍)を用いて写真撮影を5個所行い、写真から求めた電極層a、b、cの断面積に対する気孔の総面積の割合を気孔率として算出した。また、測定電極の各層の厚みについては、同様に走査型電子顕微鏡で(300〜1000倍)で断面の写真撮影を5箇所行い、一つの断面につき5個所の厚みを測定し、それらの平均を厚みとした。
【0060】
【0061】
表1より、測定電極が実質的に1層からなる従来品(No.27)と固体電解質基板側の電極層のセラミック比率の方が表面層側の電極層のセラミック比率よりも多いNo.12の場合、ガス応答性においては、応答時間が150msを越える値を示し、非常に応答性が悪かった。
【0062】
これに対して、本発明に基づき、表面側の電極層bにおけるセラミック粒子の含有量を固体電解質基板側の電極層aよりも多くすることによって500時間経過後においても150ms以下の良好な特性を示した。
【0063】
その中でも、電極層aが金属粒子:セラミック粒子=40:60〜60:40、電極層bが金属粒子:セラミック粒子=35:65〜5:95のとき、本発明の試料は全て、ガス応答性および長時間運転における測定電極の被毒防止効果も大きく、ガス応答性の劣化も小さく、500時間経過後においても110ms以下の優れた特性を示した。また、中間層cを設けることによって、さらにガス応答性を高めることができた。
【0064】
なお、この例における電極層aの厚さは5μm、電極層bは10μm、中間層cは10μmであった。
【0065】
実施例2
実施例1における表1の試料No.5および試料No.18に示された2層または3層構造の測定電極において、電極層a、b、cの厚みを種々変化させて、ガス応答性について実施例1と同様に評価を行った。
【0066】
【表2】
【0067】
その結果、電極層aが1〜10μm、電極層bが3〜20μm、電極層cが1〜100μmの範囲の時、ガス応答性および長時間運転における電極の被毒防止効果も大きく、ガス応答性の劣化も小さく、500時間経過後においても110ms以下の優れた特性を示した。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、被測定ガスと接する測定電極表面の緻密化を抑制し、測定電極の被毒を防止しつつガス応答性の優れた酸素センサ素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサの基本構造の一例の(a)概略平面図、(b)(a)におけるx−x断面図を示した。
【図2】本発明の酸素センサ素子の測定電極の拡大断面図である。
【図3】本発明の酸素センサ素子の他の測定電極の拡大断面図である。
【図4】図1の本発明の酸素センサ素子の製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図5】従来の円筒型のヒータ一体型酸素センサ素子の構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 酸素センサ素子
2 固体電解質基板
3 大気導入孔
4 基準電極
5 測定電極
6 セラミック保護層
8 セラミック絶縁層
9 発熱体
10 金属粒子
11 セラミック粒子
a,b 電極層
c 中間層
Claims (5)
- ジルコニア固体電解質基板の対向する主面に、金属粒子とセラミック粒子からなる測定電極と基準電極をそれぞれ設けてなる酸素センサであって、
前記測定電極が金属粒子と、同一材料のセラミック粒子とからなるとともに、配合体積比率の異なる少なくとも2層の電極層を備えており、
最も表面側の電極層における前記セラミック粒子の含有量が、最も固体電解質基板側の電極層よりも多く、
前記測定電極における金属粒子:セラミック粒子の体積比率が、固体電解質基板側の電極層で40:60〜60:40、表面側の電極層で35:65〜5:95であることを特徴とする酸素センサ素子。 - 前記測定電極における少なくとも2層の電極層に配合されている金属粒子が同一材料であることを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ素子。
- 前記測定電極における前記最も固体電解質基板側の電極層の厚みが1〜10μm、前記最も表面側の電極層の厚みが3〜20μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素センサ素子。
- 前記固体電解質基板側の電極層と、表面側の電極層との間に、固体電解質基板側の電極層および表面側の電極層よりも多くのセラミック粒子を含有する中間層を介在させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の酸素センサ素子。
- 前記中間層の厚みが1〜100μmであることを特徴とする請求項4に記載の酸素センサ素子。
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