JP3987708B2 - 理論空燃比センサ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺状の固体電解質基板の両主面に一対の電極を形成してなるセンサ部と、センサ部を加熱するために絶縁体中に発熱体を埋設してなるヒータ部を備えた理論空燃比センサ素子において、特に早期起動を行うための改良に関する。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
このような酸素濃度を検出する酸素センサとして、図5に示すように酸素イオン導電性を有するジルコニアを主分とする固体電解質101に一対の白金電極102、103を形成し、固体電解質101内部にPt等の発熱体104を埋設した薄いセラミック絶縁層105からなるヒータ106を一体化した理論空燃比センサ素子が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなヒータ106を焼成一体化した図5のセンサ素子では、セラミック絶縁層105に用いるアルミナ等の絶縁材料とジルコニアからなる固体電解質101が、本質的に熱膨張率が異なるため、発熱体104に12Vを付与し白金電極面102を加熱する際、急激な昇温においてはセラミック絶縁層105と固体電解質101の界面から固体電解質101の外表面に向かってクラックが発生するという問題があった。そのため、発熱体104の昇温曲線を緩やかに上昇させる必要があり、その結果、センサの起動が遅いという欠点があった。
【0005】
また従来の理論空燃比センサ素子においては、通常、電極表面の温度分布としては、電極全面を均一に活性化させるために飽和状態で電極全体の温度差が小さくなるように設計されている。この点をさらに詳述するため、典型的な理論空燃比センサ素子に対して、ガス気流のない大気中で、発熱体104に12Vの電圧を印加したときの白金電極102表面における昇温速度の測定結果を図6に示す。
図6においては、電極102における電極先端部Aでの昇温曲線を実線で、また電極後端部Bでの昇温曲線を点線で示している。この図6に示すように、電極先端部Aおよび電極後端部Bの各部位が650℃に達する時間t1、t2は、せいぜいt1が25秒、t2が40秒であり、A−B間では25秒から40秒間で650℃に達することが推測できる。また、40秒経過後のAとBとの温度差Tは50℃程度と小さくなるように設定されている。
【0006】
エンジンにおいて、酸素センサを排気管に設置するとき、エンジンの始動直後は低温の排気ガス気流により、センサ表面温度が大気中での表面温度に比べ、150℃〜200℃、もしくはそれ以上低下するのが一般的であり、このためセンサを早期起動(活性化)するにはt1、t2をより小さくする必要があるが、従来のセンサ素子においては、t1,t2を上記よりも小さくするのも限界であり、これ以上の早期起動を図ることは非常に困難であった。
【0007】
従って、本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、電極の所定の温度到達までの時間を短縮し、活性化を向上させ早期起動が可能な理論空燃比センサ素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の理論空燃比センサ素子は、長尺状の固体電解質基板の先端付近における対向する両主面に一対の電極を形成してなるセンサ部を備えたセンサ基板と、長尺状の絶縁基板の先端付近に発熱体を埋設してなるヒータ部を備えたヒータ基板とを積層一体化してなり、前記電極の長手方向の長さをLとした時、平面的にみて前記電極の先端部を基点として、−0.25L〜1.4Lの領域内に発熱体が形成され、前記センサ基板と前記ヒータ基板とは、前記センサ部およびヒータ部を形成した領域よりも後端側のみで、無機接着材によって接合されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の理論空燃比センサ素子の基本構造の一例を図1に示す。この理論空燃比センサは、センサ基板1とヒータ基板2とから構成されている。
【0016】
センサ基板1は、一端が封止された大気導入孔を有する長尺状の固体電解質基板3と、該基板の一端側近傍における一方の外表面に測定電極5を、該測定電極5と対向する前記大気導入孔側内面に基準電極4を有するセンサ部とが形成されている。
【0017】
即ち、固体電解質基板3は先端が封止された平板状の中空形状からなり、この中空部が大気導入孔3aを形成している。そして、この中空内壁に、空気などの基準ガスと接触する基準電極4が被着形成され、この基準電極4と対向する固体電解質基板3の外面に、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極5が形成されている。
【0018】
基準電極4および測定電極5はいずれも多孔質の白金電極からなり、排気ガスによる電極の被毒を防止する観点から、測定電極5表面には電極保護層として、として、セラミック多孔質層6が形成されている。
【0019】
一方、ヒータ基板2は、上記のセンサ基板1と同様に、平板形状を有しており、セラミック絶縁体7中には、発熱体8が埋設され、発熱部12を形成している。また、セラミック絶縁体7内には、発熱体8に接続するリード部(図示せず)が埋設、形成されている。
【0020】
図1の本発明の理論空燃比センサ素子においては、発熱体8に12Vの電圧を印加付与し、発熱部12、続いてセンサ部11が加熱されるとき、測定電極5の表面において電極先端部Aの昇温速度が最も早く、その表面温度が650℃に至るまでの所要時間t1を20秒以下とすることにより、電極先端部Aの直下近傍のセンサ部11の内部抵抗が効果的に低下し、ネルンスト起電力、すなわちセンサ出力が好適に発現する。
【0021】
ここで、到達温度を650℃とした理由は次の通りである。
理論空燃比センサ素子がエンジンの排気管に取り付けられた場合には、前述のようなエンジンの冷却を加味して、測定電極5の直下のセンサ部11の実効温度が約350℃〜400℃であれば起動には十分である。ところが、大気中で測定する場合、電極先端部Aと電極後端部Bの温度が、約350℃〜400℃の温度に到達する時間を測定すると、発熱部12が急激に加熱されているときなのでA、B点の測定値に対し、測定ばらつきが大きくデータの再現性にも乏しい。これに対して、650℃付近では、発熱部12の温度が飽和温度に移行する比較的緩やかな時期であるために、ばらつきが発生しにくく、再現性にも優れていることによる。
【0022】
そこで、理論空燃比センサ素子の測定電極5の表面温度t1と、該センサ素子のエンジン試験にて得られる活性化時間Sから、図2の相関関係を得た。図2において、t1=25秒の点は、図7に示した従来のセンサ素子のデータである。t1が早いほど、エンジン環境下での活性化時間Sも迅速になることが明確である。今後の排気ガス規制などをクリアする上でも、センサ素子がエンジン環境下での活性化時間は、おおむね10秒以下であることが要求されていることから、図2の結果からt1は20秒以下であることが必要であることがわかる。
【0023】
また、実施例に後述するように、t1が20秒以下であるとき、常にt2が35秒以下となる。また、前記所要時間t2時における電極先端部Aと電極後端部Bとの温度差Wが50℃以上、特に70℃以上であることも大きな特徴である。即ち、このことは活性化に当たって、電極内での温度の均一化は必ずしも必要ではなく、少なくとも電極先端部Aにおける急速昇温が最も重要であるという知見による。
【0024】
本発明においては、このような昇温特性を形成するための要件の1つに、発熱体8の設置位置が大きな要因であることを見出し検討した結果、発熱体8の設置位置は、図1に示すように、測定電極5の長手方向の長さをLとしたとき、該電極5の先端部を基点として、−0.25L〜1.4L、特に−0.1L〜1.2Lの領域内に発熱体8を形成することが望ましい。
【0025】
発熱体8の設置場所が、この領域から部分的にも逸脱すると、発熱体8からの発生熱量が、センサ部11以外のセンサ基板、ヒータ基板内部や、センサ素子の周囲環境に過度に散逸し、その結果、t1>20秒、t2>35秒、しいてはt3>17秒になってしまう。
【0026】
なお、上記図1の理論空燃比センサ素子においては、ヒータ部は、ヒータ基板2として別に形成されているが、このヒータ部は、アルミナセラミックスなどの絶縁体中に発熱体を埋設したものをセンサ部が形成された固体電解質基板の内部または表面に同時焼成によって一体化したり、積層面全面を接着材で接着することもできる。しかし、センサ素子の耐久性の点では、図1に示したように、センサ部とヒータ部とをそれぞれ別体として形成し、それらの一部を接着材で接合固定することが望ましい。この構造によれば、熱膨張差が異なる場合においても、両者の接合面が互いにフリーとなっているために、焼成時に発生する熱膨張差に起因する応力によってクラックや剥離が発生するのを防止することができる。
【0027】
そこで、図1の理論空燃比センサ素子についてさらに詳細に説明する。図1のセンサ素子では、センサ基板1とヒータ基板2のセンサ部11及び発熱部12が形成された部分以外の部分で両基板をガラス接合層9を介して接合固定されている。それによって発熱部による熱が接合部に直接付与されることを防止するとともに接合部の温度が高くなるの防止することができる。
【0028】
また、センサ基板1およびヒータ基板2を接合しているガラス接合層9の厚みvは0.05〜0.5mm、特に0.1〜0.4mmであることが望ましく、厚みvが0.05mmよりも小さいと接合力が小さく、また、0.5mmよりも大きいと、センサ部11と発熱部12を形成した部分での両基板の隙間が大きくなり加熱効率が低下し、また、センサ基板1とヒータ基板2との熱膨張差によってガラス接合層9にクラックが発生しやすくなる。
【0029】
さらに、ガラス接合層9の長手方向の長さmは、センサ基板1、ヒータ基板2の全長の0.2〜0.8倍、特に0.3〜0.7倍であることが望ましい。このmが0.2倍よりも小さいと、接合固定力が不十分となり外れやすく、0.8倍よりも長いと、熱膨張差に起因する応力が大きくなり、クラック等が発生しやすくなる。
【0030】
特に、固体電解質基板がジルコニアを主成分とするセラミックスからなり、ヒータ基板2のセラミック絶縁基板7が、Al23を主成分とするセラミックスからなり、前記発熱体が、W、Mo、Reの少なくとも1種の導体からなる場合において、この構造体の熱膨張差に起因する応力を低減し、繰り返し熱サイクルに対する耐久性を高める上で接合層を形成するガラスの室温〜600℃の熱膨張係数が9〜11×10-6/℃であることが望ましい。特に、このようなガラスとしては、BaOを45〜56重量%、SiO2を36〜45重量%、Al23およびZrO2を0.1〜20重量%の割合で含有するバリウム珪酸系ガラスであることが好適である。このガラスは、結晶化ガラスであり、2BaO・SiO2の結晶を生成する。また、Al23およびZrO2の組成比および添加量を調整することにより、熱膨張率を9〜11×10-6/℃の範囲に調整することができる。
【0031】
また、本発明においては、センサ部11を効率良く加熱するために、発熱体8からヒータ基板2表面までの厚さSが200〜600μmであることが好ましい。この厚さSが200μmより薄いとヒータ基板2の耐熱性、耐熱衝撃性が悪くなり、また、厚さSが600μmを超えるとヒータ基板2からセンサ部11への熱の伝達が悪くなり、その結果、センサ素子のガス応答性が低下する傾向があるからである。発熱体8からヒータ基板2表面までの厚さSとしては、特に300〜400μmが望ましい。
【0032】
また、センサ基板1の全体厚さT1としては、素子強度と熱伝達の観点から0.6〜1.5mm、特に0.8〜1.2mmの大きさが好ましい。また、ヒータ基板2の全体厚さT2としては0.7〜2mm、特に1〜1.5mmが強度の観点から好ましい。ヒータ基板2の厚さT2が0.7mmより薄くなると基板の強度が低くなり、2mmを超えるとヒータ基板2およびそれに隣接するセンサ基板1を加熱するため大きな電気量が必要になるためである。
【0033】
図1の理論空燃比センサ素子において用いられる固体電解質基板3は、ZrO2を含有するセラミックスからなり、安定化剤として、Y23およびYb23、Sc23、Sm23、Nd23、Dy23等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられている。また、ZrO2中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2を用いることにより、イオン導電性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al23やSiO2を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al23およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0034】
固体電解質基板3の表面に被着形成される基準電極4、測定電極5は、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。また、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。また、電極形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極の厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0035】
一方、発熱体8を埋設するセラミック絶縁基板7としては、アルミナセラミックスからなる相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましく、焼結性を改善する目的でMg、Ca、Siを総和で1〜10重量%含有していてもよいが、Na、K等のアルカリ金属は、マイグレーションしてヒータ基板2の電気絶縁性を悪くするため酸化物換算で0.1重量%以下に制御することが望ましい。また、相対密度を上記の範囲とすることによって、基板強度が高くなる結果、酸素センサ自体の機械的な強度を高めることができるためである。
【0036】
また、測定電極5の表面に形成されるセラミック多孔質層6は、厚さ10〜800μmで、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ−アルミナおよびスピネルの群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましい。この多孔質層6の厚さが10μmより薄いか、あるいは気孔率が50%を超えると、電極被毒物質P、Si等が容易に電極に達して電極性能が低下する。それに対して、多孔質層6の厚さが800μmを超えるか、あるいは気孔率が10%より小さくなるとガスの多孔質層6中の拡散速度が遅くなり、電極のガス応答性が悪くなる。特に、多孔質層6の厚さとしては気孔率にもよるが100〜500μmが適当である。
【0037】
ヒータ基板2に埋設された発熱体8は、耐熱性と製造コストの関係からW、Mo、Reの群から選ばれる少なくとも1種から構成されることが望ましい。発熱体8の組成は、発熱容量と昇温速度により好適に選択すればよい。この場合、発熱体8とリード部の抵抗比率は室温において、9:1〜7:3の範囲に制御することが好ましい。発熱体の構造としては、左右で折り返す構造と長手方向で折り返す構造のいずれも用いることが可能である。
【0038】
なお、ヒータ基板2における発熱体8の発熱パターンとしては、後述する図3に示されるようなミアンダ構造のみならず、長手方向に伸び、長手方向の端部で折り返した構造であってもよい。
【0039】
次に、本発明の酸素センサの製造方法について、図1の酸素センサの製造方法を図3の分解斜視図をもとに説明する。
【0040】
まず、センサ基板1の作成方法について説明する。まず、ジルコニアのグリーンシート20を作成する。このグリーンシート20は、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成型用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス成型などの周知の方法により作成される。次にグリーンシート20の両面に、それぞれ測定電極5および基準電極4となるパターン21やリードパターン22などを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成する。なお、この時に測定電極5となるパターンの表面に、多孔質層6となるパターン30を多孔質スラリーを用いて印刷塗布形成してもよい。さらには、測定電極5を形成するパターン21に接続するリードパターン22上には、リード保護層としてパターン31を印刷塗布形成してもよい。
【0041】
次に、上記パターン21、22を印刷したグリーンシート20に対して、大気導入孔23を形成したグリーンシート24、さらにグリーンシート25を、ジルコニア粉末を添加または無添加のアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することによりセンサ基板の積層体を作製する。その後、このセンサ基板用の積層体を焼成する。この焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1500℃の温度範囲で1〜10時間行う。
【0042】
次に、ヒータ基板2の作製法について説明する。アルミナ組成物に、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法によりアルミナグリーンシート26、27を作製する。そして、グリーンシート27の表面に、W、Mo、Reの群から選ばれる少なくとも1種を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で発熱体8のパターン28や、リードパターン29に印刷塗布した後、アルミナ組成物粉末を添加または無添加のアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させてグリ−ンシート26、27を接着させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することによりヒータ基板の積層体を作製し、これを焼成する。
【0043】
ヒータ基板2の焼成は、発熱体8の酸化を防止する観点から水素等と含有するフォーミング等の還元ガス雰囲気中、1400℃〜1600℃の温度範囲で5〜10時間行う。
【0044】
この後、別体で作製した上記センサ基板とヒータ基板とを位置合わせして積層し、ガラスによって接合固定する。
【0045】
【実施例】
図1に示す酸素センサを図3に基づき、以下のようにして作製した。まず、市販のSi、Mg、Caを5重量%含むアルミナ粉末と、Siを1.1重量%含む5モル%Y23含有のジルコニア粉末と、8モル%のイットリアからなるジルコニア粉末を30体積%含有する白金粉末ペーストと、W粉末ペーストおよび5モル%Y23含有のジルコニア粉末と0.2〜1μmの樹脂ビーズからなるセラミック多孔質層ペースト、5モル%Y23含有のジルコニア粉末ペーストをそれぞれ準備した。
【0046】
まず、5モル%Y23含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により焼結後厚さが0.4mmになるようにジルコニアのグリーンシート20を作製した。その後、グリーンシート20の両面にジルコニア粉末を含有する白金粉末ペーストをスクリーン印刷して、測定電極と基準電極のパターン21、リードパターン22、さらに測定電極21上には測定電極21を埋設するようにセラミック多孔質層のパターン30、また測定電極21に接続するリードパターン22上には5モル%Y23含有のジルコニア粉末ペーストを用いてリード被覆層のパターン31をそれぞれ印刷形成した後、大気導入孔23を形成したグリーンシート24、およびグリーンシート25を、5モル%Y23含有のジルコニア粉末をアクリル樹脂と混合したセラミック密着剤により積層した。その後、この積層体を大気中1500℃で1時間焼成して、全長が55mmのセンサ基板を作製した。
【0047】
なお、測定電極、および基準電極の長手方向の長さaについては、a=8mmとした。
【0048】
一方、アルミナ粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、厚さが焼成後0.5mmの厚さに成るように押出し成形で種々アルミナのグリーンシート26、27を作製した。このグリーンシート27に、所定の位置、所定の長さの発熱体8となるべく、W粉末ペーストを約30μmの厚さでスクリーン印刷した。なお、発熱体8の長手方向の設定位置bについては、最終的に前記センサ基板とヒータ基板が無機接着材で固定されるとき、前記センサ基板の測定電極21の先端部を基点としたとき−0.3a≦b≦1.5aの領域となるようにした。該グリーンシート27は、W発熱体を埋設するように、グリーンシート26を、アルミナ粉末をアクリル樹脂と混合したセラミック密着剤を用いて積層され、ヒータ基板のグリーン積層体を形成した。このグリーン積層体を1500℃、10時間、水素を10%含む窒素ガス中で焼成し、全長が55mmのヒータ基板を作製した。この時ヒータの抵抗は、室温で約3オームであった。
【0049】
この後、センサ基板およびヒータ基板のリード側端部に、長さ20mmでSiO240重量%、BaO51重量%、Al233.5重量%、ZrO25.5重量%の組成からなる室温〜600℃の熱膨張係数が10×10-6/℃のバリウム珪酸ガラスを配置し、1000℃で加熱して、センサ基板とヒータ基板とを接合固定した。なお、ガラス接合層の厚みは0.16mmとした。
【0050】
このようにして得られた各酸素センサにおいて、セラミック多孔質層30の表面のうち、測定電極21の電極先端部と電極後端部に相当する部位にφ0.1mmの熱電対を取り付け、発熱体28を通電加熱するべく直流12Vを印加した時の各部位の650℃到達時間t1、t2、t3を測定した。また、t2時における電極先端部Aと電極後端部Bとの温度差W(t1−t2)を測定した。いずれも測定結果を表1に示す。
【0051】
なお、表1中の試料No.4について昇温曲線を図4に示した。
【0052】
【表1】
Figure 0003987708
【0053】
表1の結果から、発熱体28の設定位置が−0.25a≦b≦1.4aである試料、すなわちNo.2〜6、No.8〜9は、t1が20秒以下であり、さらにはt2が35秒以下であり、センサ部の活性化が早いことが判った。
【0054】
これに対し、試料No.1では、−0.3a≦b≦1.5aであるため、発熱体28の電力密度(入力電力量の発熱体面積比)が大幅に低下し、その結果、t1およびt2が非常に遅くなった。さらに、試料No.7では発熱体28をヒータ基板内部に深く設置したため、センサ基板においてセンサ部以外の部位の加熱に、発熱熱量が消費され、t1およびt2が遅い結果を生じた。
【0055】
さらに、表1から次の二つのことが認められた。第1に、試料No.2〜6、No.8〜9より、t3が17秒以下のときは、t1が20秒以下、t2が35秒以下の関係を満足していた。また第2に、試料No.8より、t3=5秒を達成できるのは、発熱体28の長さを測定電極21より小さく設定するときであるが、試料No.9の様に、発熱体28の長さを、より縮めると電力密度は大きくなるものの、発熱体28の後端部と測定電極21の後端部の距離が大きくなるため、t3はむしろ大きくなる傾向にあった。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、固体電解質の対向する両主面に一対の電極を形成してなるセンサ部と、前記センサ部を加熱するための発熱体を絶縁層中に内蔵するヒータ部を有するセンサ素子において、前記発熱体に12Vの電圧を印加直後における前記センサ部の電極先端部の昇温速度が最も早く、その表面温度が650℃に至るまでの所要時間t1が20秒以下とすることにより、測定電極の表面の一部を急速に加熱する、言い換えれば、センサ部の一部を急速に加熱することで、ネルンスト起電力を好適に発現せしめ、早期の起動性に優れたセンサ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサ素子の一例を説明するための概略断面図である。
【図2】図1のセンサ素子の電極先端部が650℃に到達する時間と、エンジン中でのセンサ素子の起動時間の関係を説明するための図である。
【図3】図1のセンサ素子を製造する方法を説明するための分解斜視図である。
【図4】実施例における試料No.4の理論空燃比センサ素子の昇温曲線を示す。
【図5】従来のセンサ素子の一例を示す概略断面図である。
【図6】従来のセンサ素子の電極表面での昇温速度を説明するための図である。
【符号の説明】
1 センサ基板
2 ヒータ基板
3 固体電解質基板
4 基準電極
5 測定電極
7 アルミナ絶縁体
8 発熱体
9 ガラス接合層
11 センサ部
12 発熱部

Claims (1)

  1. 長尺状の固体電解質基板の先端付近における対向する両主面に一対の電極を形成してなるセンサ部を備えたセンサ基板と、長尺状の絶縁基板の先端付近に発熱体を埋設してなるヒータ部を備えたヒータ基板とを積層一体化してなり、前記電極の長手方向の長さをLとした時、平面的にみて前記電極の先端部を基点として、−0.25L〜1.4Lの領域内に発熱体が形成され、前記センサ基板と前記ヒータ基板とは、前記センサ部およびヒータ部を形成した領域よりも後端側のみで、無機接着材によって接合されていることを特徴とする理論空燃比センサ素子。
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