JP3793563B2 - 酸素センサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を検知するための酸素センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
このような酸素濃度を検出する酸素センサ素子として、図4に示すように酸素イオン導電性を有するジルコニア固体電解質の内部に空気室28を有し、前記ジルコニア固体電解質の外表面にPtからなる測定電極24を有し、該測定電極24に対向する空気室側のジルコニア固体電解質表面に、Ptからなる基準電極25を有する固体電解質層23と、さらに空気室28および空気導入孔29を挟んでセンサセルと対向する部分のジルコニア固体電解質23と、空気室28および空気導入孔29の側壁となる固体電解質層30とからなるセンサ基板21と、セラミック絶縁体31に挟まれた発熱体32と電極引出部34を埋設したヒータ基板22とからなる酸素センサが提案されている(特開平10−132780号公報参照)。測定電極24の上には、拡散律速層37が形成され、基準電極25側が+、測定電極24側が−となるように0.4〜0.8V程度の電圧を印加することにより、排気ガス中の酸素濃度に見合った限界電流を検知するようになっていた。
【0004】
この酸素センサは、排気ガスが空気過多な雰囲気であれば、排気ガス中から前記空気室28へ酸素を汲み出すような動作をし、排気ガスが燃料過多であれば、排気ガス中と前記空気室28との間の酸素濃度比により発生する起電力により、前記空気室28から排気ガス中に酸素を汲み出すような動作をするようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、測定電極の上に形成する拡散律速層は、通常溶射により形成するが、ジルコニアからなる固体電解質の表面は非常に平滑になっており、溶射により形成する拡散律速層もしくは保護層は、その保持強度が非常に低く、実車の振動によりジルコニア固体電解質の表面の拡散律速層もしくは保護層が容易に剥離することが判った。
【0006】
また、このように拡散律速層が部分的に剥離することにより、正確な空燃比を検知できなくなってしまうという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸素センサの製造方法は、固体電解質層用のセラミックグリーンシートの一方の面に導電性ペーストからなる測定電極パターンを形成し、他方の面に導電性ペーストからなる基準電極パターンを形成する工程と、前記セラミックグリーンシートの前記一方の面上で、かつ、前記測定電極パターンの周囲に、セラミックスを主成分とし焼結助剤を含むペーストからなる被覆層パターンを形成する工程と、前記セラミックグリーンシート、前記測定電極パターン、前記基準電極パターン及び前記被覆層パターンを同時焼成して固体電解質層、測定電極、基準電極及び多孔質の被覆層を形成する工程と、前記測定電極及び被覆層を覆うように拡散律速層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の製造方法では、前記測定電極パターンの周囲に、前記被覆層パターンを破線状に形成するのが好ましく、さらに、前記固体電解質層がジルコニアを主成分とし、前記被覆層がアルミナを主成分とするのがより好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法により得られる酸素センサ素子の一例を図1、2に示す。
【0015】
この酸素センサ素子1は、ジルコニアからなる固定電解質層3とその対抗する表面に形成された測定電極4、基準電極5および電極引出部6電極パッド7と、前記基準電極5を覆うように形成されている空気室8およびそれに繋がり一端が開放された空気導入孔9と、これらの側壁となる固体電解質層10と、前記固体電解質層3に対抗する位置し前記空気室8および空気導入孔9の蓋となる固体電解質層3とからなるセンサ素子1と、セラミック絶縁体11中に発熱体12を内蔵するヒータ素子10とからなる。そして、センサ素子1とヒータ素子2は、該ヒーター素子2の発熱部が接触するように組付け固定されている。
【0016】
また、測定電極4の周囲には粗面部として被覆層16が形成され、該被覆層16および測定電極4の表面に多孔質ジルコニア、スピネル溶射膜やアルミナ等からなる拡散律速層17が形成されている。この拡散律速層17は、排気ガスからの被毒に対する保護層としての役割と限界電流素子の拡散律速層17としての役割を兼ねている。このような被覆層を形成することにより、拡散律速層および測定電極の保護層の、測定電極に対する密着強度を上げ、耐久性良好な拡散律速層および保護層を形成することが出来るようになる。
【0017】
拡散律速層17をセンサ基板1の測定電極4の周囲に強固に固着させるためには、センサ基板1表面の粗面部の表面粗さ(Ra)を1.0μm以上とすることが好ましい。表面粗さ(Ra)が1.0μm以下ではアンカー効果が弱くなるので好ましくない。焼結した固体電解質層3表面の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下と非常に平滑になっている。また、測定電極4および基準電極5の表面粗さ(Ra)は、2.0〜7.0μmとなっているので、溶射による拡散律速層17が固着しやすくなっているものと考えている。前記表面粗さ(Ra)は、さらに好ましくは2.0μm以上とすることが良い。なお、本発明における表面粗さとは、算術平均粗さ(Ra)のことである。
【0018】
測定電極4周囲に形成する粗面部の表面粗さ(Ra)を1μm以上とするためには、図1に示すように測定電極4の周囲に被覆層16を形成しても良い。被覆層16は、拡散律速層17をセンサ基板1に固着させるためのアンカーとしての機能を果たす。測定電極4の表面多孔質になっているため拡散律速層17がアンカー効果で強固に固着しているが、固体電解質層3の表面は非常に平滑にできているため拡散律速層17の固着強度が低く、前記被覆層16がないと使用中の熱サイクルで固体電解質層3の剥離し、一部測定電極4の表面からも部分的に剥離し、空燃比の測定が正確に検知できなくなる。
【0019】
また、被覆層16は、厚みを5〜200μmとすることが好ましい。厚み5μm以下では、表面粗さRmaxが小さくなり十分なアンカー効果が期待できない。また、厚みが200μmを越えると、センサ基板1の反りに影響するので好ましくない。センサ基板1の反りが100μmを越えると、ヒータ基板2との接触が悪くなるため加熱時の昇温が遅くなるとともに、センサ基板1とヒータ基板2が片当たりすることになり、磨耗やクラックの発生の原因となるので好ましくない。
【0020】
そして、被覆層16は、測定電極4の外辺から1.5mm以内に形成することが好ましい。測定電極4の外辺から1.5mmを越えて離れて形成すると、被覆層16と測定電極4の間の部分が剥離してしまう場合があるからである。
【0021】
また、被覆層16は、アルミナセラミックスを主成分とするペーストを固体電解質層3の表面に塗布し、同時焼成することにより形成することが好ましい。この時、焼結が進むにつれアルミナセラミックス中に添加していた焼結助剤が固体電解質層3に拡散し、被覆層16はアルミナが多孔質になってしまう。このような反応により、被覆層16を固体電解質層3の表面に強固に固着させることができる。また、この多孔質構造を拡散律速層17のアンカーとして利用することが、拡散律速層17の固着強度を向上させ耐久性を向上させるために有効であることが判った。
【0022】
また、被覆層16の別の製法として、固体電解質層3の表面に固体電解質層3と同組成の原料に樹脂製のポア材を添加したペーストをプリント形成し、固体電解質層3と同時焼成して多孔質な被覆層16としても構わない。この場合、同一組成であるため、被覆層16は、固体電解質層3の表面に強固に固着させることができる。また、測定電極4の上にマスクを被せて測定電極4を保護しながらブラスト加工することにより、測定電極4周囲の固体電解質層3の表面粗さ(Ra)が1μm以上となるようにしても構わない。
【0023】
また、図3に示すように、被覆層16が破線状に測定電極4を周回するように設置しても構わない。このような構成にするメリットとしては、固体電解質層3と被覆層16の焼成収縮や熱膨張率の差による反りの発生を低減する効果がある。また、前記破線の形状については、実線部分の長さは1mm以上とし、そのピッチは1mm以下とすることが好ましい。
【0024】
また、基準電極4および測定電極4はPt粉末に対し20〜70体積%のジルコニア粉末を添加して焼結させたものであり、いずれも多孔質の白金電極からなり、固体電解質−Pt−気相の三重点を多数形成すると共に、ガスが拡散しやすい構造となっている。また、添加したジルコニア粉末が固体電解質層3と焼結し電極を固体電解質層3に強固に固着させるようになっている。
【0025】
一方、ヒータ基板2は、W、Mo、Re等の高融点金属からなる発熱抵抗体12、リード電極14を絶縁層11に挟みこんで密封した構造となっており、上記のセンサ基板1と同様に、平板形状を有している。また、発熱抵抗体12は絶縁層11の表面に形成した電極パッド13に接続され、該電極パッド13に通電することにより、発熱する構造となっている。発熱体12の組成は、発熱容量と昇温速度により好適に選択すればよい。この場合、発熱抵抗体12とリード部14の抵抗比率は室温において、9:1〜7:3の範囲に制御することが好ましい。
【0026】
次に、センサ基板1の作動について説明する。空燃比が空気過剰な場合は、測定電極4と基準電極5に印加した電圧による正の電流が流れるが、空燃比が燃料過多側になると測定電極4と基準電極5の間に空気室7と排気ガスの酸素濃度比に応じた起電力が発生し、該起電力が前記電圧より大きくなるため、空気室7側の空気を排気ガス中にポンピングするような電流が流れる。
【0027】
そして、この酸素センサは、測定電極4がマイナス、基準電極5がプラスになるような電圧0.4〜0.8Vが印加され、排気ガス中の酸素を空気室8側にポンピングするようになっている。このとき、拡散律速層17があることにより空燃比に比例した電流が流れ、この電流値を測定することにより空燃比を検知することができる。従来、ヒータ部をセンサ基板1中に内蔵させ、センサ基板1の加熱効率を高めることを目指して開発が進められてきたが、ここに来て、コスト優先の方向に転換しつつあり、高融点金属からなる発熱抵抗体12を内蔵するヒータ素子2を別に組合せる方向が主流となりつつある。
【0028】
また、本発明の他の実施形態として、ヒータ部をセンサ基板1に一体化することもできる。ヒータ部を内蔵するヒータ一体型の酸素センサとする場合は、発熱体12の材質は、Ptを主成分とするものにする。
【0029】
一方、センサ基板1とヒータ基板2を組合せて使用するタイプの酸素センサ1のヒータ基板2は、上記のセンサ基板1と同じ平板形状を有し、アルミナを主成分とする絶縁層体11中にW、Mo、Re等からなる発熱抵抗体12が埋設されている。本発明においては、センサ基板1を効率良く過熱するために、発熱抵抗体12からセンサ基板1に接するヒータ基板2の表面までの距離としては200〜600μmとすることが好ましい。前記距離が200μmより薄いとヒータ基板2の耐熱性が悪くなる。また、距離が600μmを超えるとヒータ基板2からセンサ基板1への熱の伝達が悪くなり、その結果センサ基板1のガス応答性が悪くなる。また、発熱抵抗体12からセンサ基板1に接するヒータ基板2表面までの距離としては、特に300〜400μmとすることが望ましい。
【0030】
また、ヒータ基板2の厚みとして0.7〜2mm、特に1〜1.5mmが強度の観点から好ましい。ヒータ基板2が0.7mmより薄くなるとヒータ基板2の強度が低くなり、2mmを超えるとヒータ基板2およびそれに隣接するセンサ基板1を加熱するため大きな電気量が必要になるため好ましくない。
【0031】
また、ヒータ基板2に埋設された発熱抵抗体12は、耐熱性と製造コストの関係からW、Mo、Reの一種以上から構成されることが望ましい。発熱抵抗体12の構造としては、左右で折り返す構造と長手方向で折り返す構造のいずれも用いることが可能である。
【0032】
次に、センサ基板2の構成エレメントについて説明する。
【0033】
排気ガスと直接接する測定電極4表面には排気ガス中の被毒物質から電極を保護する役目と、もう一つは排気ガス中から測定電極4への酸素の拡散量を制御する目的で厚さ10〜800μm、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ-アルミナおよびスピネル等からなるセラミック多孔質層からなる拡散律速層17が設けられている。この拡散律速層17の厚みが10μmより薄いか、あるいは気孔率が50%を超えると、電極被毒物質P、Si等が容易に電極に達して電極性能が悪くなる。それに対して、拡散律速層17の厚みが800μmを超えるか、あるいは気孔率が10%より小さくなるとガスの多孔質層中の拡散速度が遅くなり、電極のガス応答性が悪くなる。特に、気孔径にもよるが拡散律速層17の厚みとしては特に100〜500μmが優れる。また、拡散律速層17は、大気中の限界電流値が3〜10mA程度となるように拡散律速層15の気孔径と厚みを制御すれば良い。
【0034】
固体電解質層3の表面に被着形成される測定電極4と基準電極5、電極引出部6、電極パッド7は、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。また、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる電極中に含まれる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。また、電極引出部6および電極パッド9については、添加する固体電解質成分が母材である固体電解質層3との密着強度を高める役割を果たす。
【0035】
電極の形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、電極の厚みとしては、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
【0036】
次に、ヒータ基板2の作製法について説明する。
【0037】
アルミナのグリーンシートはアルミナ粉末に、適宜、成形用有機バインダを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製する。この際、アルミナ粉末としては、アルミナを主成分として、焼結性を改善する目的でMg、Ca、Siを総和で1〜10重量%添加した粉末が好適に用いられる。また、Na、K等のアルカリ金属はマイグレーションして陰極側に濃縮され、周辺のセラミック絶縁体12の融点を下げ、その他のアルカリ土類金属の濃縮を助長し、これらの金属元素を含有する酸化物の移動により陰極側のセラミック絶縁体11にクラックが発生して電気絶縁性および発熱体12の耐久性を悪くするため0.1重量%以下に制御する必要がある。
【0038】
上記のグリーンシートの片面にW、Mo、Re等を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で発熱抵抗体12のパターン形成した後、アクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させてグリ−ンシートを接着させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することによりヒータ基板2の積層体を作製する。
【0039】
ヒータ基板2の焼成は、発熱抵抗体12の酸化を防止する観点から水素等を含有するフォーミング等の還元ガス雰囲気中、1400℃〜1650℃の温度範囲で5〜10時間行う。この際、焼成時のヒータ基板2の反りを抑制するため、錘として平滑なアルミナ等の基板を積層体の上に加重を加えるように置くことにより反り量を低減することが出来る。
【0040】
次に、本発明のセンサ基板1の製造方法の一例を説明する。本発明の酸素センサ1のセンサ基板1は、図1に示すように上記のジルコニアグリーンシートからなる固体電解質層3の両面に、測定電極4および基準電極5を白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で形成し、この後、拡散律速層17となるセラミック多孔質層を測定電極4の表面に形成した後、前記ジルコニアグリーンシートからなる固体電解質層3の基準電極5側の面に空気室8と空気導入孔9の側壁部となる固体電解質層10を形成した後、さらに別の固体電解質層3を積層する。この際、積層は、アクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤をグリーンシート間に介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着させたりすることにより行うことができる。焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1500℃の温度範囲で1〜10時間行う。
【0041】
この後、別体で作製したヒータ基板2と、上記のセンサ基板1を固定して酸素センサを作製する。
【0042】
【実施例】
実施例1
図1に示す空燃比センサ素子を例にして、本発明の実施例を説明する。
【0043】
市販のSi、Mg、Caの酸化物を5重量%含むアルミナ粉末と、Siを0.1重量%含む5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末と、8モル%のイットリアからなるジルコニア粉末を30体積%含有する白金粉末と、W粉末をそれぞれ準備した。
【0044】
まず、5モル%Y2O3含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により焼結後厚みが0.4mmになるようにジルコニアのグリーンシートを作製した。その後、該グリーンシートの両面にジルコニア粉末を含有する白金をスクリーン印刷して、測定電極4と基準電極5を作製した後、粗面部となる被覆層16を測定電極4の外周から0.5mmの位置に周回して形成し、さらに基準電極5側の主面に空気室7および空気導入孔8の側壁となるジルコニアのグリーンシートをアクリル系のバインダを含有する密着液を用いて密着し、さらに空気室7と空気導入孔8の蓋となるグリーンシートを密着して積層体を作製し、1450℃×2時間焼成してセンサ基板1を得た。
【0045】
この時、被覆層16に使用するアルミナの平均粒径を0.2〜2.0μmの間で変量したものを用いた。また、被覆層16用に調整したペーストの濃度と粘度を調整して、被覆層16の表面粗さ(Ra)を調整した。また、アルミナもしくはジルコニアからなる被覆層16用のペースト中に平均粒径30μmのポア材を30体積%添加して、これらのペーストの焼結後の表面粗さ(Ra)を調整した試料も合わせて準備した。なお、被覆層16の表面粗さ(Ra)は、拡散律速層17を形成する前に表面粗さ計で測定した。
【0046】
その後、測定電極4および被覆層16の上にスピネルからなる拡散律速層17を厚み400μm形成した。
【0047】
一方、アルミナ粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、厚みが焼成後0.1〜0.8mmの厚みに成るように押出し成形で種々アルミナのグリーンシートを作製した。この後、グリーンシートにWからなる発熱体12を約40μmの厚みになるようスクリーン印刷で印刷した後、さらにアクリルの密着剤を用いてアルミナのグリーンシートを重ねて積層体を形成した後、1500℃で10時間水素を10%含む窒素ガス中で焼結し、センサ基板1と同じ幅で厚みが1.5mmのヒータ基板2を作製した。
【0048】
この後、上記のセンサ基板1とヒータ基板2を係結して固定し、ヒータ基板2の加熱によりセンサ基板1の拡散律速層17表面が1分間で1000℃になるように加熱し、2分間で40℃以下まで冷却するサイクルを5000サイクル繰り返した後の拡散律速層17の剥離の有無を各条件10個づつ確認した。
【0049】
剥離の有無は、市販のガムテープを拡散律速層17の表面に貼り付けたのち剥ぐ剥離テストを3サイクル繰り返して、20倍の双願を用いて剥離の有無を確認した。
【0050】
結果を、表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から判るように、被覆層16の表面粗さ(Ra)が1.0μm未満であるNo.1、2は昇温テスト後の剥離テストにおいて、半数以上のものに拡散律速層17の剥離が発生した。これに対し、被覆層16の表面粗さ(Ra)が1.0μm以上であるNo.3〜7は、剥離は殆ど発生せず良好な性能を示した。No.3は、被覆層16の上の拡散律速層17の一部に剥離が見られたが、拡散律速性能に影響の出ないレベルであった。
【0053】
実施例2
ここでは、被覆層16の厚みと幅に対する拡散律速層17の固着強度の変化を調査した。
【0054】
試料は、実施例1と同様な方法で作製し、アルミナからなる被覆層16の厚みを2〜250μmの間で変量し、幅を0.2〜2.5mmの間で変量した試料を準備した。
【0055】
この後、上記のセンサ基板2とヒータ基板10を係結して固定し、振動試験機に自由端長20mmとなるように各条件10個づつセットし、振幅を1.0mmに固定して0〜30Gまで20分間で上げ20分間で下げる試験を100サイクル実施し、市販のガムテープを拡散律速層17の表面に貼り付けたのち剥ぐ剥離テストを3サイクル繰り返して、20倍の双願を用いて剥離の有無を確認した。
【0056】
また、センサ基板1の反りを表面粗さ計を用いて測定した。測定電極4の周囲について、1インチ長さ当たりの反り量を測定した。測定電極4部分については、その端部の段差により電極厚みを測定し反り量を修正した。反り量の判断基準は、200μmを越えるものはNGとし、200μm以下のものはOKとした。
【0057】
結果は、表2に示した。
【0058】
【表2】
【0059】
表2の結果から判るように、被覆層16の厚みが5μm未満であるNo.1は、一部のサンプルに拡散律速層17の剥離が発生した。また、被覆層16の幅が0.5mm未満であるNo.9にも一部のサンプルに剥離が発生した。また、被覆層16の厚みが200μmを越えるNo.8、および幅が2mmを越えるNo.14は、センサ基板1に100μm以上の反りが発生し、センサ基板1の一部にこれに対し、被覆層16の厚みを5〜200μmとしたNo.2〜7、10〜13、15は、拡散律速層17の剥離は発生しなかった。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、固体電解質基板の外表面における測定電極の周囲に粗面部が形成され、この粗面部と測定電極を覆うように拡散律速層が形成された酸素センサを得ることができるので、測定電極の表面に形成する拡散律速層の固着強度を高め、耐久性の良好な酸素センサを提供することができる。また、測定電極パターンの周囲に、被覆層パターンを破線状に形成するときには、固体電解質層と被覆層の焼成収縮や熱膨張率の差による反りの発生を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサの一例を示す展開斜視図である。
【図2】本発明の酸素センサの他の実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の酸素センサ他の実施形態を示す平面図である。
【図4】従来の酸素センサの他の例を示す展開斜視図である。
【符号の説明】
1 センサ基板
2 ヒータ基板
3 固体電解質層
4 測定電極
5 基準電極
6 リード電極
7 電極パッド
8 空気室
9 空気導入孔
10 空気室側壁
11 絶縁層
12 発熱抵抗体
13 電極パッド
14 リード電極
15 ビアホール
16 被覆層
17 拡散律速層
Claims (3)
- 固体電解質層用のセラミックグリーンシートの一方の面に導電性ペーストからなる測定電極パターンを形成し、他方の面に導電性ペーストからなる基準電極パターンを形成する工程と、前記セラミックグリーンシートの前記一方の面上で、かつ、前記測定電極パターンの周囲に、セラミックスを主成分とし焼結助剤を含むペーストからなる被覆層パターンを形成する工程と、前記セラミックグリーンシート、前記測定電極パターン、前記基準電極パターン及び前記被覆層パターンを同時焼成して固体電解質層、測定電極、基準電極及び多孔質の被覆層を形成する工程と、前記測定電極及び被覆層を覆うように拡散律速層を形成する工程とを含む酸素センサの製造方法。
- 前記測定電極パターンの周囲に、前記被覆層パターンを破線状に形成する請求項1記載の酸素センサの製造方法。
- 前記固体電解質層がジルコニアを主成分とし、前記被覆層がアルミナを主成分とする請求項1または2記載の酸素センサの製造方法。
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