JP2002292261A - ガス分離フィルタ用無機多孔質体およびガス分離フィルタ並びにその製造方法 - Google Patents
ガス分離フィルタ用無機多孔質体およびガス分離フィルタ並びにその製造方法Info
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Abstract
た微細孔を有するとともに、耐熱性および耐湿性の高い
ガス分離フィルタとして好適なガス分離フィルタ用無機
多孔質体およびガス分離フィルタ並びにその製造方法を
提供する。 【解決手段】SiO21molに対して、ZrO2を0.
3〜10molの割合で含有するとともに、2θ=10
−70°の範囲でのX線回折チャートにおいて認められ
る主ピークに対して、該主ピークの高さHに対する高さ
が0.1H以上のピーク数が前記主ピークを含めて2本
であり、かつ平均細孔径が1.5nm以下の細孔を多数
の有することを特徴とする無機多孔質体をガス分離フィ
ルタ1のガス分離膜3として用いる。
Description
有する被処理ガス中から特定ガスのみを選択的に透過し
て分離できるガス分離フィルタ用無機多孔質体に関し、
特に、耐湿性および耐熱性に優れたガス分離フィルタ用
無機多孔質体およびその製造方法に関する。
フィルタが検討されており、例えば、特開平1−281
119号公報では、SiO2−ZrO2系ガラス膜を用い
たガス分離フィルタが記載され、また、特公平7−94
326号公報では、Siアルコキシドに対して、ポリエ
チレングリコール等の有機高分子を分散させた溶液を加
水分解してゾル化した後、Zrアルコキシド溶液を添
加、混合して加水分解することによって、再現性よく細
孔半径5〜10Åの細孔を有し、かつガラスの黒化を抑
制できることが記載されている。
329号公報にて、SiアルコキシドにZrアルコキシ
ドを添加して複合化した後、Siアルコキシド1mol
に対して、100mol以上の水で加水分解することに
よって、細孔径が6.0〜6.8Åの無機多孔質体を得
ることができることを提案した。
ス分離膜は、特に100℃以下で細孔内に水分が付着し
て細孔径が変化する等耐湿性が低く、耐湿性の向上が求
められており、耐湿性向上を目的として多孔質体中のZ
rO2の含有量を増すことが検討されていた。
1−281119号公報では、Siアルコキシドと、Z
rアルコキシドと、塩酸水溶液およびエタノールを単純
に混合しているため、SiアルコキシドとZrアルコキ
シドとを複合化することができず、記載はされていない
もののZrO2が単独で沈殿する等によって、多孔質体
(ガラス膜)が不均質となる結果、多孔質体の細孔径が
大きくなってガス分離性能が低いものであった。
アルコキシドにポリエチレングリコール等の有機高分子
を添加して加水分解した後、Zrアルコキシドを添加し
て加水分解して有機高分子を消失する方法では、高分子
を加熱により消失して分解揮散するのに時間がかかった
り、部分的に分解ガスが発生する等により、多孔質体中
にピンホール等の欠陥が発生する恐れがあった。また、
ゾル溶液中に有機高分子を添加すると、溶液の粘度が高
くなってしまい、薄く、均一な厚みの多孔質膜を形成す
ることができず、ガス透過性能が低下するという問題が
あった。さらに、かかるSiO2系多孔質ガラス膜は、
上述したように耐湿性が低く、また、Siアルコキシド
1molに対して、Zrアルコキシドの添加量を0.3
mol以上に増すと、アルコキシドの均質性が損なわれ
て不均質な多孔質体となり、ガス分離性能が低下してし
まうという問題があった。
のSiアルコキシドとZrアルコキシドとの複合化した
溶液に、Siアルコキシド1molに対して、100m
ol以上の水を添加して加水分解する方法においても、
上述したように耐湿性が低く、Siアルコキシド1mo
lに対して、Zrアルコキシドの添加量を0.3mol
以上に増すと複合アルコキシドの均質性が損なわれて不
均質な多孔質体となってしまうためにガス分離特性が低
下するという問題があった。
その目的は、SiO2とZrO2とを含有し、ガス分離に
適した微細孔を有するとともに、耐熱性および耐湿性の
高いガス分離フィルタとして好適なガス分離フィルタ用
多孔質体およびその製造方法並びにそれを用いたガス分
離フィルタを提供することにある。
対し、Siアルコキシドに対するZrアルコキシドの添
加量を高めつつ、両者を均一に複合化する方法について
検討した結果、Siアルコキシド溶液1molに対し
て、エチレングリコールモノアルキルエーテルまたはジ
オールを添加したZrアルコキシド中のZrが0.3〜
10molの割合となるように添加して複合化し、複合
アルコキシドを作製した後、該複合アルコキシド中のS
i1molに対して、1〜30molの水を添加して加
水分解することにより、加水分解ゾル内のSiとZrの
均質性、分散性を高めて、均質で微細孔を有するととも
に、Zrの含有比率を高めて耐熱性および耐湿性の高い
ガス分離フィルタ用として好適な多孔質体を作製できる
ことを知見した。
機多孔質体は、SiO21molに対して、ZrO2を
0.3〜10molの割合で含有するとともに、2θ=
10−70°の範囲でのX線回折チャートにおいて認め
られる主ピークに対して、該主ピークの高さHに対する
高さが0.1H以上のピーク数が前記主ピークを含めて
2本であり、かつ平均細孔径が1.5nm以下の細孔を
多数の有することを特徴とするものである。
められる前記ピークの半価幅が5°以上であること、前
記主ピークのピークトップ値が2θ=25〜33°であ
ることが望ましい。
質支持体の表面に、上記無機多孔質体を0.05〜5μ
mの厚みで被着形成してなることを特徴とするものであ
る。
多孔質体の製造方法は、(a)Siアルコキシド溶液中
のSi1molに対して、エチレングリコールモノアル
キルエーテルまたはジオールを添加したZrアルコキシ
ドをZrが0.3〜10molとなる割合で添加し複合
化して複合アルコキシドを作製する工程と、(b)該複
合アルコキシド中のSi1molに対して、1〜30m
olの水を添加して、前記複合アルコキシドを加水分解
して前駆体ゾルを作製する工程と、(c)該前駆体ゾル
を乾燥した後、350〜700℃の温度で焼成する工程
とを具備することを特徴とするものである。
チレングリコールモノアルキルエーテルまたはジオール
に溶解したZrのアルコキシド溶液中のZr1molに
対して、さらに、β−ジケトン、アセト酢酸エステルお
よびカルボン酸無水物の群から選ばれる少なくとも1種
を0.01〜1molの割合で添加することが望まし
い。
法は、多孔質支持体の表面に、上記工程(b)で作製さ
れた前駆体ゾルを塗布して乾燥した後、350〜700
℃の温度で焼成することを特徴とするものである。
多孔質体は、SiO21molに対して、ZrO2を0.
3〜10molの割合で含有するとともに、2θ=10
−70°の範囲でのX線回折チャートにおいて認められ
る主ピークに対して、該主ピークの高さHに対する高さ
が0.1H以上のピーク数が前記主ピークを含めて2本
であり(図1参照)、かつ平均細孔径が1.5nm以下
の細孔を多数の有することを特徴とするものである。
O2の含有量が0.3molよりも少ない場合は、多孔
質体の耐熱性および耐湿性が低下し、高温に加熱すると
変質して細孔径が変化してしまったり、被処理ガス中に
水蒸気が含まれる場合や水分を含有する雰囲気中に曝さ
れた場合にガス分離フィルタの細孔径が変化してガス分
離特性が変化してしまう。逆に、SiO21molに対
するZrO2の含有量が10molよりも多い場合は、
ZrO2の凝集等が生じて多孔質体が不均質となり、多
孔質体中にピンホール等の欠陥が発生してガス分離特性
が低下する恐れがある。なお、ZrO2の望ましい含有
量は、SiO21molに対して0.55〜6mol、
0.6〜3molである。
回折チャートにおいて認められる主ピークに対して、該
主ピークの高さHに対する高さが0.1H以上のピーク
数が前記主ピークを含めて1本以下である場合は、Si
やZrのネットワーク形成(結合状態)が不十分であ
り、多孔質体の耐熱性および耐湿性が低下し、逆に、前
記主ピークの高さHに対する高さが0.1H以上のピー
ク数が前記主ピークを含めて3本以上である場合は、S
iO2とZrO2との均一分散性が損なわれて多孔質体が
不均質となり、多孔質体の細孔径が所望の範囲から逸脱
する。
離フィルタ用無機多孔質体について、そのX線回折ピー
クの例について示した図1に示すように、X線回折チャ
ートによって認められる前記ピークの半価幅が5°以
上、特に10°以上のブロードピークであることが、S
iO2とZrO2との均質分散性を高めて多孔質体の耐熱
性および耐湿性を高めるために望ましい。
との均質分散性を高めるとともに、耐熱性および耐湿性
を高めるため、前記主ピークのピークトップが2θ=2
5〜33°であることが望ましい。
mよりも大きいと、分子径が1.5nm以下、特に0.
3〜1.0nmの分子径を有する特定ガスのみを選択的
に透過させるガス選択性が低くなり、ガス分離特性が低
下する。なお、多孔質体中の平均細孔径は、例えば分子
径が0.5nm以下の小さい分子径を有するガス種を分
離するためには、特に0.3〜0.55nm、さらに、
0.3〜0.5nmであることが望ましい。
の表面に、0.05〜5μm、特に0.05〜1μmの
厚みで被着形成した複合多孔質体からなるガス分離フィ
ルタとすることにより、より高いガス分離特性とするこ
とができる。
ルタ用多孔質体を製造する方法について説明する。ま
ず、(a)アルコールに溶解したSiアルコキシドを準
備する。
シシランやテトラエトキシシラン、テトライソプロポキ
シシラン等のテトラアルコキシシランの他、トリアルコ
キシシラン等を好適に使用でき、特にテトラアルコキシ
シランとトリアルコキシシランとを混合することが多孔
質体の平均細孔径の制御の容易性の点で望ましい。
の側鎖にメチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基等
の炭化水素基等の有機官能基が直接結合したものであ
り、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロ
ピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン
等が挙げられ、特に細孔径を容易に精度よく制御でき、
テトラアルコキシシラン(他のアルコキシシラン)やZ
rアルコキシドとの複合化が良好にできる点で、ビニル
トリエトキシシラン、メチルトリエトキシシランおよび
エチルトリエトキシシランの群から選ばれる少なくとも
1種が好適である。
に溶解する。本発明によれば、多孔質支持体とのなじみ
の良さ(濡れ性)、ゾル溶液をディッピング等によって
多孔質支持体表面に塗布する際、素早く乾燥できて液だ
れ等がなく膜厚が均質化できる点、シリコンアルコキシ
ドの溶解性の点、環境に対して無害であり取り扱いが容
易である点からは、メタノール、エタノールおよびプロ
パノールの群から選ばれる少なくとも1種の低級アルコ
ールを用いることが望ましく、特に、多孔質支持体との
濡れ性、比較的早く蒸発でき、かつ粘度が低いことから
成膜した際に液だれ等が生じることなく均一な膜厚の多
孔質体を作製できる点で、エタノールを用いることが望
ましい。
キシドとの複合化を均一化する点で、Siアルコキシド
のSi1molに対して、1〜3molの水と0.01
〜0.1molのHNO3やHClを添加して部分的に
加水分解しておくことが望ましい。なお、Siアルコキ
シドとして、上述した2種(テトラアルコキシシランと
トリアルコキシシラン等)を用いる場合には、細孔径制
御の点でテトラアルコキシシランに対して部分加水分解
処理を施すことが望ましい。
エトキシジルコニウムやテトラプロポキシジルコニウム
およびテトラブトキシジルコニウムの群から選ばれる少
なくとも1種が挙げられ、比較的加水分解速度が遅く、
Siアルコキシドとの複合化が容易である点で、テトラ
エトキシジルコニウムもしくはテトラプロポキシジルコ
ニウムを主とすることが望ましい。
シドに対して、エチレングリコールモノアルキルエーテ
ルまたはジオールを添加することが大きな特徴であり、
これによって、Zrアルコキシドの反応性を低下せしめ
て、より均一にSiアルコキシドとの複合化、分散性を
向上させることができる。
チレングリコールモノアルキルエーテルまたはジオール
を添加しないと、ZrアルコキシドのSiアルコキシド
に対する分散性が低下してしまい、単独で沈殿する等に
より多孔質体が不均一となったり、前記沈殿によって多
孔質体中に大きな粒子が析出してしまい、多孔質体の平
均細孔径が1.5nmを越えたり、ピンホール等の欠陥
が生じてガス分離特性が低下してしまう。
メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノー
ルの群から選ばれる少なくとも1種を用いてもよく、ま
たは2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール
等のエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびジ
オールを溶媒として用いることもできる。なお、Zrア
ルコキシドのZr1molに対するエチレングリコール
モノアルキルエーテルまたはジオールの添加量は総量で
1〜50molであることが望ましい。
シドとの複合化をより促進するために、上記Siアルコ
キシド溶液とZrアルコキシド溶液中のエタノール等の
低級アルコール溶媒の総量1molに対して、エチレン
グリコールモノアルキルエーテルまたはジオールの添加
量を総量で0.005〜0.5molとすることが望ま
しい。
する点、および加水分解後のゾルの安定性を高める点
で、前記エチレングリコールモノアルキルエーテルまた
はジオールを添加したZrアルコキシド溶液中のZr1
molに対して、さらに、β―ジケトン、アセト酢酸エ
ステルおよびカルボン酸無水物の少なくとも1種を0.
01〜1molの添加することが望ましい。
ルコキシド溶液のSi1molに対して、エチレングリ
コールモノアルキルエーテルまたはジオールを添加した
Zrアルコキシド溶液をZrが0.3〜10molの割
合となるように添加して複合化する。
Si1molに対してZrが0.3molより少ない場
合は、上述したように多孔質体の耐熱性およ耐湿性が低
下してしまい、逆に、Si1molに対してZrが10
molより多い場合は、ZrアルコキシドをSiアルコ
キシドと完全に複合化できず、一部が凝集して沈殿等を
生成してしまい、多孔質体が不均質となる。
ドとを複合化する具体的な方法としては、両溶液を添加
した後、特に、70〜120℃で、2〜24時間環流す
ることがSiアルコキシドとZrアルコキシドとの複合
化を促進する上で望ましい。
ルコキシドを加水分解して前駆体ゾルを作製する。本発
明によれば、複合アルコキシド中のSi1molに対し
て、水を1〜30molの割合で添加することが大きな
特徴である。
も少ない場合には、複合アルコキシドを完全に加水分解
することができず、Siアルコキシドの架橋反応による
ネットワークが充分に発達せず、焼成後の多孔質体がも
ろく、多孔質体中にクラック等の欠陥が生じる。逆に、
水の添加量が30molを越える場合には、Zrが先ん
じて単独で加水分解されてしまい、沈殿等が生じてピン
ホール等の欠陥が生じたりZrの添加効果が低下して耐
熱性および耐湿性が低下する。水の添加量の望ましい範
囲は、1〜20mol、特に2〜10molである。
反応熱を放熱して、急激な加水分解反応によりゾルが不
均一となることを防止して多孔質体の細孔径のばらつき
を抑制する点では、20℃以下、特に10℃以下に冷却
した状態行うことが望ましく、作製されたゾルの経時的
な特性変化を防止する点で、加水分解時、または加水分
解後に70℃〜120℃、特に80〜100℃の温度に
て環流することが望ましい。目的および用途に応じて使
い分けることが望ましい。
体の表面に塗布した状態で乾燥してゲル状とした後、3
50〜700℃、特に400〜600℃で焼成すること
により多孔質支持体表面に多孔質体を形成したガス分離
フィルタを作製することができる。
のガス分離フィルタ用無機多孔質体を用いたガス分離フ
ィルタの一例について、その要部拡大断面図である図2
をもとに説明する。図1によれば、ガス分離フィルタ1
は多孔質支持体2の少なくとも一方の表面に形成された
多数の細孔を有するガス分離膜3が形成されている。
SiO2−ZrO2質多孔質体からなることが大きな特徴
あり、これによって、ガス分離フィルタ1は、ガス分離
膜3に水が接触しても多孔質体中の細孔径が変化して経
時的に流体分離特性が低下することなく、例えば、水を
含有する流体の処理や、大気等の水分を含んだ雰囲気下
に曝された場合であっても、分離特性を低下させること
なく耐水性に優れたものとなる。
えば、0.3〜0.4nmに制御することによって、例
えば、0.36nmの分子径を持つN2(窒素)ガスと
0.45〜0.6nmの分子径を持つSF6等のパーフ
ルオロカーボン(PFC)との混合ガスから、N2ガス
のみを選択的に透過させて、非常に高い分離性能を得る
ことができる。
ピンホール等の欠陥のない均一な膜とするために、0.
05〜5μm、特に0.1〜1μmであることが望まし
い。
状)、ハニカム状、モノリス状等の筒状または平板状、
波板状等の板状のいずれの形状でもよく、また、筒状の
場合には、その一端が封止されたものであってもよい。
さらに、機械的な強度および体積あたりの膜面積を向上
させる点から、管状の形状においては外径1〜15m
m、肉厚0.2〜3mm、内径0.5〜10mm、板状
の形状においては厚さ0.2〜10mmの形状であるこ
とが望ましい。
イプ状である場合には、パイプの外面または内面のどち
らかに形成され、また、多孔質支持体2の形状が平板状
(層状)である場合には、多孔質支持体2の一方の表面
にガス分離膜3を積層すればよい。
ルミナ、ジルコニア、シリカ、コーディライト、窒化珪
素、炭化珪素等のセラミックスもしくはこれらの複合体
からなることが望ましい。特に、ガス分離膜3との親和
性の高さ、耐熱性、コスト面を考慮するとαアルミナ質
多孔質体が望ましい。
スまたは液体の透過性の点より多孔質支持体2は、気孔
率20〜50%、平均気孔径0.02〜2μm、表面粗
さ(Ra)が2μm以下、特に1μm以下であることが
望ましい。
表面に直接被着形成してもよいが、薄く、かつピンホー
ル等の欠陥のないガス分離膜3を形成する点で、多孔質
支持体2とガス分離膜3との間の平均細孔径を有する中
間層4を両者間に介装して形成することが望ましい。
〜20nm、特に2〜10nmのγAl2O3、Ti
O2、ZrO2およびSiO2の群から選ばれる少なくと
も1種を用いることが望ましく、中間層4の膜厚は、ピ
ンホールやクラック等の生じない均質な層を形成するた
め、および流体透過抵抗の低減を図るために、0.1〜
10μm、特に0.5〜5μmであることが望ましい。
する方法の一例について説明する。まず、平均粒径0.
05〜10μm、特に平均粒径0.1〜2μmの所定の
セラミック粉末に所望の有機バインダを加え、プレス成
形、押出し成形、射出成形、鋳込み成形、テープ成形等
の公知の成形手段により所望の形状に成形した後、焼成
することにより多孔質支持体を作製する。なお、多孔質
支持体の焼成は、残留炭素の残存を防止するためには酸
化性雰囲気にて焼成することが望ましい。
2−ZrO2前駆体ゾルを塗布する。溶液の塗布方法とし
ては、多孔質支持体が管状体からなる場合には、送液ポ
ンプやシリンジ(注射器)等を用いて管状体の内面に溶
液を充填し、残部を排出して管内に被着形成する方法
や、管状体の一端を封じた状態で溶液内へ浸漬し、引き
上げて管の外表面に被着形成する方法、さらには、溶液
を管状体の外表面に塗布する方法等が適応できる。ま
た、支持体が平板の場合は、支持体表面にスピンコート
法、噴霧法等によって塗布する方法等が採用できる。な
お、上記塗布法は、多孔質支持体を加熱した状態で行う
こともできる。
質体(ガス分離膜)を形成する場合には、操作が簡単で
取り扱いが容易な点で、ゾル溶液中に多孔質支持体を浸
漬して引き上げるディッピング法が望ましい。
溶液を乾燥してゲル化した後、350〜700℃に加熱
してSiO2−ZrO2多孔質体からなるガス分離膜を作
製することができる。また、多孔質体は複数回の成膜、
焼成を繰り返して所望の厚みに形成することもできる。
中間層を形成する場合、中間層の形成方法は、上記Si
O2−ZrO2多孔質体の塗布方法が好適である。
本発明のガス分離フィルタを用いて被処理流体中から特
定流体を分離する方法について、図3に示す本発明のガ
ス分離フィルタを具備する流体分離モジュールの一例に
ついての概略断面図を基に説明する。図3によれば、流
体分離モジュール(以下、単にモジュールと略す。)5
は、円筒管状のガス分離フィルタ1が複数本収束され、
その両端が支持部材6に接着、固定された収束体7がハ
ウジング8内に収納されている。
レス等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックス
等のガスまたは液体を透過しない部材によって形成され
外部から気密に封止されるものであるが、耐熱衝撃性が
高いことが望ましく、また、ハウジング8内を加圧また
は減圧する場合には機械的強度の高いステンレス等の金
属が好適であり、概略管状体からなることが望ましい。
過しない緻密なアルミナ、シリカ、コーディライト、フ
ォルステライト、ステアタイト、ジルコニア、炭化珪
素、窒化珪素等のセラミックス、ステンレス、チタン、
アルミニウム等の金属、ガラスから選ばれる少なくとも
1種からなるが、多孔質支持体2との熱膨張率が±1×
10-6/℃以内で近似していることが望ましい。
る支持部材6はハウジング8内に配設された固定部材1
0にグランドパッキング、金属製や樹脂製またはゴム製
のガスケット11を介在させて固定、封止されている。
これによりモジュール5の支持部材6によって仕切られ
る領域の気密性を高めてガスまたは液体分離性能を向上
させることができるとともに、フィルタの脱着が可能と
なり、かつモジュール5の外部からの機械的振動や衝撃
等による影響を低減できる。
液体を導入するための被処理流体供給口12と、前記混
合流体を管状のフィルタ1表面に接触せしめて管状のフ
ィルタ1内を透過した特定のガスまたは液体を回収また
は排出するための透過流体排出口13と、前記混合流体
の残部を排出または回収するための残部流体排出口14
とが形成されている。
口13は、ハウジング8内に収納された支持部材6間の
側壁部に1つ設けられているが、流体分離効率を高める
上では被処理流体供給口12に近い側に近接する位置に
設けられることが望ましく、また、複数設けられてもよ
い。
ング8内の支持部材6の間に導入された被処理流体は、
その一部が分離膜3から管状のフィルタ1内を透過して
収束体7外のハウジング8内に収納された支持部材6間
の領域へ移動し、さらに透過流体排出口13からモジュ
ール5外へ排出される。他方、前記被処理流体の残部
は、残部流体排出口14からモジュール5外へ排出され
る。さらに、被処理流体供給口12を加圧するか、また
は透過流体排出口13を減圧することにより両者間に差
圧を設けてガスまたは液体分離性能を高めることも可能
である。
ィルタ管であったが本発明はこれに限定されるものでは
なく、平板形状のフィルタであってもよい。
(TEOS)のSi1molに対して、エタノールを1
00mol、水を1mol、HClを0.07molの
混合溶液を添加して部分加水分解ゾルを作製し、これに
ビニルトリエトキシシラン(VTES)のSi1mol
に対して、エタノールを100mol添加した溶液を表
1に示す割合で添加して撹拌した。
(ZNP)のZr1molに対して、表1に示す溶媒1
0molと添加剤とを添加、混合した混合溶液を作製
し、上記Siアルコキシド溶液のSi総量1molに対
して、Zr量が表1に示す比率となるように添加して、
70〜120℃に制御した温度で12時間環流して複合
アルコキシドを作製した。
総量1molに対して、表1に示す量の水とエタノール
100molを混合した溶液を用いて、表1に示す温度
で加水分解し、更にその温度で3時間攪拌して、前駆体
ゾル溶液を作製した。
mのアルミナ粉末に対して、所定の有機バインダ、潤滑
剤、可塑剤および水を添加、混合し、押出成形にて管状
の成形体を作製した後、1200℃にて焼成して、外径
2.0mm、内径1.1mm、長さ10cmで、平均粒
径0.2μm、気孔率39%を有するαアルミナ多孔質
支持管を作製した。
にアルミニウムトリセカンダリーブトキシド(ASB
D)を0.5mol添加、混合し、これに触媒として硝
酸をアルコキシド1molに対して0.07mol加え
て95℃で16時間攪拌することで加水分解して中間層
用の前駆体ゾル溶液となるベーマイトゾルを作製した。
して前記ベーマイトゾル溶液(中間層用ゾル溶液)中に
ディッピングして支持体の外表面にゾル溶液を被着形成
し、乾燥後500℃で1時間焼成することを4回繰り返
してγアルミナからなる中間層を形成した後、該中間層
表面に上述したSi−Zr前駆体ゾル溶液を表1に示す
焼成温度以外は同様の方法で被着形成してガス分離フィ
ルタを作製した。
ゴン吸着法によりガス分離膜(SiO2−ZrO2多孔質
体)の平均細孔径を求めた。
0°の範囲でX線回折測定を行い、そのチャートから主
ピークPを特定し、該主ピークPの高さHに対する高さ
が0.1H以上のピークの本数(主ピークも含めて)、
主ピークPの半値幅w、主ピークPのピークトップ値
(2θ)を確認した。結果は表1に示した。また、図1
に試料No.1、3、4、22についてのXRDチャー
トを示した。
用いて、図3のガス分離モジュールを作製し、各ガス分
離フィルタの内面にHeガスを流しながら、ガス分離フ
ィルタの外面にH2ガス、N2ガスおよびSF6ガスの各
ガスをそれぞれ被処理ガス供給口から10リットル/分
の流量でハウジング内へ供給して、30分経過後に透過
ガス排出口から排出される各ガスの流量を膜流量計とガ
スクロマトグラフィ(ヤナコ社製G2800)によって
求め、それぞれのガスの透過率を測定した。また、各ガ
スの透過率から、H2ガスとN2ガスとの透過係数比、お
よびN2ガスとSF6ガスとの透過係数比を見積もった
(A)。結果は表2に示した。
ールに対して、200℃に加熱した状態で、被処理ガス
供給口から20体積%のH2O(水蒸気)を含む空気を
10リットル/分の流量で導入してガス分離フィルタ内
に10時間流通させた後、上述した方法と同様に、ガス
分離フィルタでの各ガス(H2ガス、N2ガスおよびSF
6ガス)の透過特性を測定し(B)、また、耐湿試験前
後のN2ガスの透過率の変化の度合(変化率)を算出し
た。結果は表2に示した。
molに対してZrO2の含有量が0.3molより少
ない試料No.1では、ガス分離フィルタの耐湿性が低
く、また、SiO21molに対してZrO2の含有量が
10molを越える試料No.6では、ジルコニアが単
独で沈殿してしまい、耐湿性が低いものであった。
olより少ない試料No.11では、加水分解が進行せ
ず、XRDチャートのピーク本数が1本となり、また、
クラックの発生によってガス分離性能が低下した。逆
に、加水分解に用いた水の添加量が30molを越える
試料No.14では、複合アルコキシドが不均質となっ
てXRDピークが4本となり、また多孔質体中にピンホ
ールが生じて、ガス分離性能が低下した。また、耐湿試
験前後のN2ガスの透過率の変化も大きいものであっ
た。
温度が350℃より低い試料No.17では、XRDピ
ークが1本となり、また、細孔径が大きくなり、ガス分
離性能が低下した。逆に、SiO2−ZrO2多孔質体の
焼成温度が700℃を越える試料No.20では、XR
Dピークが4本となり、また、平均細孔径が0.3nm
よりも小さくなって、いずれのガスもほとんど透過しな
かった。
てエチレングリコールモノアルキルエーテルまたはジオ
ールを用いなかった試料No.22では、複合アルコキ
シドが不均質となってXRDピークが4本となり、また
耐湿性が低いものであった。
〜5、7〜10、12、13、15、16、18、1
9、21では、いずれもSiO21molに対してZr
O2が0.3〜10molの割合で含有するものであ
り、かつX線回折チャートにおいて認められる主ピーク
に対して、該主ピークの高さHに対する高さが0.1H
以上のピーク数が前記主ピークを含めて2本であり、か
つ平均細孔径が1.5nm以下の多孔質体となり、耐湿
試験前のH2/N2選択率が15以上、N2/SF6選択率
が8以上とガス分離性能が高く、耐水試験前後のN2選
択率の比が0.6以上と耐水性にも優れるものであっ
た。
て、エチレングリコールモノアルキルエーテルまたはジ
オールを添加したZrアルコキシドを0.3〜10mo
lの割合で添加して複合アルコキシドを作製した後、該
複合アルコキシド中のSi1molに対して、1〜30
molの水を添加して加水分解することにより、Zrの
含有比率を高めて耐熱性および耐湿性を向上できるとと
もに、加水分解ゾル内のZrの分散性を高めて、均質で
微細孔を有するガス分離フィルタ用として好適な多孔質
体を作製できる。
線回折チャートの一例を示す図である。
ス分離膜として用いたガス分離フィルタの一例を示す模
式図である。
ガス分離フィルタを備えたガス分離モジュールの一例を
示す概略断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】SiO21molに対して、ZrO2を0.
3〜10molの割合で含有するとともに、2θ=10
−70°の範囲でのX線回折チャートにおいて認められ
る主ピークに対して、該主ピークの高さHに対する高さ
が0.1H以上のピーク数が前記主ピークを含めて2本
であり、かつ平均細孔径が1.5nm以下の細孔を多数
の有することを特徴とするガス分離フィルタ用無機多孔
質体。 - 【請求項2】前記X線回折チャートによって認められる
前記ピークの半価幅が5°以上であることを特徴とする
請求項1記載のガス分離フィルタ用無機多孔質体。 - 【請求項3】前記主ピークのピークトップ値が2θ=2
5〜33°であることを特徴とする請求項1または2記
載のガス分離フィルタ用無機多孔質体。 - 【請求項4】多孔質支持体の表面に、請求項1乃至3の
いずれか記載のガス分離フィルタ用無機多孔質体を0.
05〜5μmの厚みで被着形成してなることを特徴とす
るガス分離フィルタ。 - 【請求項5】(a)Siアルコキシド溶液中のSi1m
olに対して、エチレングリコールモノアルキルエーテ
ルまたはジオールを添加したZrアルコキシドをZrが
0.3〜10molとなる割合で添加し複合化して複合
アルコキシドを作製する工程と、(b)該複合アルコキ
シド中のSi1molに対して、1〜30molの水を
添加し、前記複合アルコキシドを加水分解して前駆体ゾ
ルを作製する工程と、(c)該前駆体ゾルを乾燥した
後、350〜700℃の温度で焼成する工程とを具備す
ることを特徴とするガス分離フィルタ用無機多孔質体の
製造方法。 - 【請求項6】前記工程(a)において、前記エチレング
リコールモノアルキルエーテルまたはジオールに溶解し
たZrのアルコキシド溶液中のZr1molに対して、
さらに、β−ジケトン、アセト酢酸エステルおよびカル
ボン酸無水物の群から選ばれる少なくとも1種を0.0
1〜1molの割合で添加することを特徴とする請求項
5記載のガス分離フィルタ用無機多孔質体の製造方法。 - 【請求項7】多孔質支持体の表面に、請求項5または6
記載の工程(b)で作製された前駆体ゾルを塗布して乾
燥した後、350〜700℃の温度で焼成することを特
徴とするガス分離フィルタの製造方法。
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