JP4599557B2 - 気体分離膜及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、これまでに実現されていない、高い気体透過性、高い気体選択性及び高い耐水性を備えた気体分離膜及びその製造方法に関するものである。本発明によって、例えば、常温(室温)から、有機高分子膜を用いることができない中高温(約350℃以下)までの領域においても、気体を高選択的に分離することが可能な気体分離膜を提供することができる。本発明の気体分離膜によれば、例えば、天然ガスからヘリウムを分離精製したり、ヘリウム利用施設から放出されるヘリウムを回収して高度に分離精製したりすることができる。
天然ガスからのヘリウムの分離精製、あるいはヘリウム利用施設から放出されるヘリウムの回収・分離精製等、気体の分離に用いられる既存の分離精製技術としては、例えば、大量の分離エネルギーを要する大規模な深冷分離、PSA法等の吸脱着操作による分離精製、省エネルギー的分離法としての有機高分子分離膜による膜分離等がある。これらの分離精製技術のうち、膜分離法は有望な分離精製法として注目されてきたが、有機高分子膜には選択性・透過性が小さいという問題点があるため、未だ多用されるに至っていない。
上記有機高分子膜の問題点が改善された分離精製用の気体分離膜として、ヘリウム、水素等を選択的に透過させる多孔性セラミック膜が用いられている。この多孔性セラミック膜としては、例えば、ゾル−ゲル法を用いて本発明の発明者らにより調製されたシリカ膜(例えば、非特許文献1参照)や、CVD法を用いて米国のガヴァラス博士らにより調製されたシリカ膜等が挙げられる。上記のシリカ膜が形成された後においても、多くの研究者によって気体(ガス)分離のためのシリカ分離膜が研究開発されてきた。しかしながら、これらシリカ分離膜には、耐水性(水蒸気に対する安定性)に欠けるという問題があり、水蒸気中あるいは大気中に放置すると、その分離性能(透過性、選択性)が極端に低下するという問題点がある。
本発明の発明者らは、上記従来のシリカ分離膜の問題点である耐水性を向上させるために、シリカ以外の金属成分(金属酸化物)をシリカに配合した気体分離膜を作製しており、この金属成分が配合された気体分離膜は、従来のシリカ分離膜の耐水性の問題を大きく改善している(例えば、非特許文献2、3参照)。
Masashi Asaeda, Shin Yamasaki著、「Separation of inorganic/organic gas mixtures by porous silica membranes」、ELSEVIER出版、Separation and Purification Technology 25(2001)151-159頁(2001年公開) Vasilis N. Burganos, Richard D. Noble, Masashi Asaeda, Andre Ayral,Johann D. LeRoux編、「Membranes-Preparation, Properties and Applications」Material Research Society、Materials Research Society Symposium Proceedings Volume752、213-218頁 (2003年1月発行) M. Kanezashi and M. Asaeda, 「Thirteenth Symposium on Separation Science and Technology for Energy Applications, Program and Abstracts 21頁、Helium and Hydrogen Separation from Organic Gas Mixtures」(2003年10月27-30日)
上記非特許文献2に記載の気体分離膜は、従来のシリカ分離膜に比べて、耐水性が大きく改善されたものである。しかしながら、気体分離膜による気体分離効率を向上するためには、その気体選択性及び気体透過性のさらなる向上が望まれている。特に、比較的低温(室温〜約300℃)における、気体透過性及び選択透過性(気体選択性)の向上が望まれている。
また、上述したように、シリカ分離膜は耐水性に欠けるという問題点があり、特に、水蒸気存在下であって、かつ300℃〜500℃程度の高温状態という状況において、使用に堪え得る安定性に優れたシリカ分離膜は、これまで開発されていない。このため、気体分離膜の高温安定性を高め、さらなる応用の幅を広げるためにも、水蒸気存在下の300℃〜500℃といった過酷な高温状態において、安定であって、かつ気体透過性及び選択透過性(気体選択性)が優れた気体分離膜の開発が強く望まれている。
本発明の目的は、これまでに実現されていない、水蒸気存在下の高温域での安定性に優れ、かつ高い気体透過性及び高い気体選択性を発揮する新規な気体分離膜、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の気体分離膜の製造方法は、上記課題を解決するために、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されている気体分離膜の製造方法であって、加熱したセラミック基材に、シリカ金属コロイドゾルを調製し、溶媒で希釈した希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させてシリカ金属コロイドゲル層を形成し、当該シリカ金属コロイドゲル層を焼成してシリカ金属複合層とするシリカ金属複合層形成工程を含んでいることを特徴としている。
上記の構成により、気体透過係数及び気体選択性の高い気体分離膜を容易に製造することができる。すなわち、シリカ金属複合層を、希釈シリカ金属コロイドゾルを用いて形成するから、シリカ金属コロイドゾルの粒径および濃度を所望の範囲とすることができる。シリカ金属コロイドゾルの粒径は、その調製濃度によって決まる。このため、シリカ金属コロイドゲル層の形成に適した濃度範囲内で調製されたシリカ金属コロイドゾルは、一定の範囲内の粒径となる。
本発明は、シリカ金属コロイドゾルの粒径及び濃度が、シリカ金属複合層を備える気体分離膜の気体透過係数、及び気体分離性能に影響するという知見に基づき、シリカ金属コロイドゾルを溶媒で希釈し、希釈シリカ金属コロイドゾルとして用いる構成を採用している。このため、調製濃度を調整することにより、シリカ金属コロイドゾルの粒径を任意の大きさとすることができ、また、このシリカ金属コロイドゾルを希釈することによって、その濃度を所望の範囲に調整することができる。
すなわち、シリカ金属コロイドゾルの粒径は、その調製濃度によって決まるから、調製後に希釈することにより、シリカ金属コロイドゾルの粒径と濃度とを制御することが可能になる。このように、本発明の気体分離膜の製造方法によれば、加熱したセラミック基材に接触する希釈シリカ金属コロイドゾルの粒径及び濃度の両方を調整できるから、気体透過性および気体分離性に優れた気体分離膜を製造することができる。
上記希釈シリカ金属コロイドゾルの濃度は、0.5重量%以下であることが好ましい。この濃度範囲とすれば、上記シリカ金属コロイドゲル層にひび割れが生じることによる、気体分離膜の気体透過性や気体分離性等の性能低下を防止することができる。
上記シリカ金属複合層形成工程は、加熱した上記セラミック基材に、第1の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した第1のシリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第1のシリカ金属複合層とする第1のシリカ金属複合層形成工程と、加熱した第1のシリカ金属複合層に、その平均粒径が第1の希釈シリカ金属コロイドゾルよりも小さい第2の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した、第2の希釈シリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第2のシリカ金属複合層を形成する第2のシリカ金属複合層形成工程と、を含んでいても良い。
上記の構成により、第1のシリカ金属コロイドゾルと第2のシリカ金属コロイドゾルとの組合せにより、形成されるシリカ金属複合層の性質を調整して、製造される気体分離膜の性質を調整することができる。
上記シリカ金属複合層形成工程は、シリカ金属複合層を湿りガスと接触させる湿潤化工程を含んでいても良い。湿潤化工程は、例えば、所定時間シリカ金属複合層と湿りガスとを接触させることや、シリカ金属複合層形成工程中になされる焼成の一部を湿りガス中において行うこと等により実施することができる。
本発明の気体分離膜の製造方法は、上記第1のシリカ金属複合層形成工程と、上記第2のシリカ金属複合層形成工程との間に、第1のシリカ金属複合層と湿りガスとを接触させる湿潤化工程を含んでいてもよい。
上記の構成により、シリカ金属複合層を非常に薄く形成しても、特定気体以外が気体分離膜を通過する原因となる、隙間(ピンホール)が、シリカ金属複合層に形成されることを防止することができる。このため、気体透過係数及び気体選択性が高い、気体分離膜を製造することができる。なお、本発明において「湿りガス」とは、水分を含んだ気体のことをいい、通常、その湿度が20%以上のものをいう。
上記本発明の気体分離膜の製造方法を用いることによって、以下に記載するような、高い透過係数及び高い透過係数数比(高い気体選択性)を有する気体分離膜を製造することが可能になる。
本発明の気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、300℃におけるヘリウム透過係数が2×10-53(STP:Standard Temperature and Pressure)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、75℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃におけるヘリウムとメタンとの透過係数比(He/CH4)が300以上であることを特徴としている。なお、上記STPは、透過した気体の体積を0℃、1気圧の条件下で評価したことを意義しており、透過係数は300℃で測定した結果を示している。
また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、500℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃におけるヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)が500以上であるものである。なお、上記STPは、透過した気体の体積を0℃、1気圧の条件下で評価したことを意義しており、透過係数は500℃で測定した結果を示している。
また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、300℃における水素透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃における水素とメタンとの透過係数比(H2/CH4)が200以上であるものである。なお、上記STPは、透過した気体の体積を0℃、1気圧の条件下で評価したことを意義しており、透過係数は300℃で測定した結果を示している。
また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、500℃における水素透過係数が1×10-63(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃における水素と窒素との透過係数比(H2/N2)が200以上であるものである。上記気体分離膜において、さらに、500℃における水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)が10以上であることが好ましい。なお、上記STPは、透過した気体の体積を0℃、1気圧の条件下で評価したことを意義しており、透過係数は500℃で測定した結果を示している。
本発明の気体分離膜は、上記セラミック基材が多孔性セラミック基材にシリカ−ジルコニア層が積層されてなるものであり、上記シリカ金属複合層はシリカ−ジルコニア層に積層されていることを特徴としている。
上記シリカ金属複合層の厚みは0.5μm以下であることが好ましく、上記シリカ−ジルコニア層の厚みは、10μm以下であることが好ましい。
また、上記シリカ−ジルコニア層と反対側のシリカ金属複合層の表面は、上記多孔性セラミック基材のシリカ−ジルコニア層側表面の凹凸形状よりも平滑であり、且つ当該凸形状を被う領域が隆起しているものであることが好ましい。
上記セラミック基材が、多孔性セラミック基材にシリカ−ジルコニア層が積層されてなるものである場合、上記多孔性セラミック基材の上記シリカ−ジルコニア層側表面の形状は、段差の大きな凹凸形状となっているから、この凹凸形状の平滑化を目的として、シリカ−ジルコニア層が形成される。シリカ−ジルコニア層の目的の一つは、多孔性セラミック基材の凹凸形状を打ち消すことであるから、通常、この目的を達成するために十分な厚みに形成される。
しかしながら、上記本発明の気体分離膜は、上記シリカ−ジルコニア層と反対側のシリカ金属複合層の表面が上記多孔性セラミック基材の凹凸形状よりも平滑化されているものの、当該凸形状を被う領域が依然として隆起する程度の厚さに、シリカ−ジルコニア層が形成されている。すなわち、本発明の気体分離膜のシリカ−ジルコニア層の厚みは、上記多孔性セラミック基材の凹凸形状の凹部を埋めて平滑化するものの、凹凸形状の影響を打ち消すには十分ではない大きさである。この構成によって、シリカ−ジルコニア層表面に形成されるシリカ金属複合層の厚みを薄く且つ均一にできるから、透過係数および気体選択性を向上させることが可能となる。
本発明の気体分離膜の上記シリカ金属複合層は、ニッケル及び/又はコバルトからなるものであることが好ましい。これにより、気体分離膜の耐水性を向上させることができる。
本発明に係る気体分離方法は、上記いずれかの気体分離膜を用いて、所定の気体を選択的に分離する工程を含むものである。
上記の気体分離方法によれば、本発明に係る気体分離膜を用いて、ヘリウム及び/又は水素を選択的に分離することができる。このため、例えば、高温環境下での水素製造過程において、水素を選択的に分離して、水素の製造効率を高めることができる。
本発明に係る気体分離膜の製造方法は、以上のように、加熱したセラミック基材に、希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させてシリカ金属コロイドゲル層を形成し、焼成してシリカ金属複合層を形成するシリカ金属複合層形成工程を含んでいる。
これにより、室温〜高温の幅広い温度領域(より好ましくは75℃以上500℃以下)の範囲において、非常に高いヘリウム透過係数を示し、且つ高い選択性を有する気体分離膜を製造することができる。さらに、室温〜高温の幅広い温度領域(より好ましくは75℃以上500℃以下)の範囲において、非常に高い水素透過係数を示し、且つ高い選択性を有する気体分離膜をも製造することができる。
また、本発明に係る気体分離膜の製造方法によって得られた気体分離膜は、従来のシリカ分離膜の弱点であった水蒸気存在下での高温環境においても、優れた安定性と気体透過性・選択性を保持している。
また、本発明に係る気体分離膜は、300℃におけるヘリウム透過係数が2×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、75℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃におけるヘリウムとメタンとの透過係数比(He/CH4)が300以上である。さらに、本発明に係る気体分離膜は、500℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃におけるヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)が500以上である。このため、分子ふるい的性能を示し、広い温度範囲において、例えばヘリウム等の気体の分離精製に極めて有効である。特に、本発明に係る気体分離膜は、従来、気体分離膜の弱点であった、水蒸気存在下の高温環境下という過酷な状況においても優れた安定性を示すとともに、ヘリウムについて高い選択的透過性を有する。
例えば、本発明の気体分離膜を用いることにより、天然ガスからのヘリウム分離精製、液体ヘリウムやヘリウムガスを利用する設備等から放出されたヘリウムの分離回収・高度精製を、極めて簡単な膜分離装置により行うことができるので工業上有益である。また、本発明の気体分離膜によって、ヘリウム以外に水素を分離することもできる。
すなわち、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、300℃における水素透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃における水素とメタンとの透過係数比(H2/CH4)が200以上である。また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、500℃における水素透過係数が1×10-63(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃における水素と窒素との透過係数比(H2/N2)が200以上である。さらに、500℃における水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)が10以上である。
このため、分子ふるい的性能を示し、広い温度範囲において、例えば、水素の分離精製に極めて有効である。特に、特に、本発明に係る気体分離膜は、従来、気体分離膜の弱点であった、水蒸気存在下の高温環境下という過酷な状況においても優れた安定性を示すとともに、水素について高い選択的透過性を有する。このため、例えば、天然ガスと水蒸気とを混合反応させて水素を製造する過程において、水素を選択的に反応系から分離・除去する方法等に利用可能である。
〔気体分離膜の製造方法〕
本発明の気体分離膜の製造方法は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜の製造方法であって、加熱したセラミック基材に、シリカ金属コロイドゾルを調製し、溶媒で希釈した希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させてシリカ金属コロイドゲル層を形成し、当該シリカ金属コロイドゲル層を焼成してシリカ金属複合層を形成するシリカ金属複合層形成工程を含んでいる。
本実施の形態の気体分離膜の製造方法(以下、本製造方法という)は、加熱したセラミック基材に、希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させることにより、金属コロイドゲル層を形成する。これにより、厚みの非常に薄いシリカ金属コロイドゲル層によりシリカ−ジルコニア層をコーティングすることができる。
セラミック基材としては、例えば、多孔性セラミック基材にシリカ−ジルコニア層を形成したものを用いることができる。
予め加熱された被コーティング物質にコーティング溶液を接触させ、当該溶液の溶媒を瞬間的に蒸発させることによって、被コーティング物質をコーティングする方法をホットコーティング法というが、このホットコーティング法によれば、極めて薄い膜を容易に形成することができる。シリカ−ジルコニア層等の本製造方法における被コーティング物質は、コーティング物質である希釈シリカ金属コロイドゾルと接触する時の温度が約170℃〜190℃程度となるよう予め加熱しておけばよい。
セラミック基材のシリカ−ジルコニア層と希釈シリカコロイドゾルとを接触させる方法は、例えば、シリカ−ジルコニア層と希釈シリカコロイドゾルを含んで濡れている布とセラミック基材とを接触させることや、希釈シリカコロイドゾルをシリカ−ジルコニア層に噴霧すること等により行うことができる。
セラミック基材として、多孔性セラミック基材にシリカ−ジルコニア層が積層されたものを用いる場合、シリカ−ジルコニア層としては、その厚さが10μm未満、好ましくは5μm未満で、その細孔径が10nm以下、好ましくは7nm以下のものが用いられる。例えば、ホットコーティング法を用いれば、数ミクロンの細孔径を有する多孔性セラミック基材表面近傍に、上記のようなシリカ−ジルコニア層(シリカ−ジルコニア薄膜)を、容易に担持させることができる。
(シリカ金属コロイドゾルの調製方法)
本製造方法においてホットコーティングに用いるシリカ金属コロイドゾルは、ケイ酸エチルを硝酸ニッケル等の硝酸金属のアルコール(例えばエタノール)溶液中において、加水分解・縮重合させた後、多量の水及び所定の硝酸を加えて、シリカ金属の濃度を所望の範囲、溶液のpHを1〜3付近にそれぞれ調製した後、この溶液を5〜10時間煮沸することによって得られる。具体的な調製方法の例を以下に記載する。
シリカ金属コロイドゾルは、硝酸金属(例えば、Ni(NO32・6H2O,Co(NO32・6H2O,Fe(NO33・9H2O,Al(NO33・9H2O)と、水とを含むエタノール中における、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解と縮重合反応によって調製することができる。所定量のTEOS(例えば、7.5g)を、所定量の硝酸金属を分散させたエタノール(例えば、100g)に添加した溶液を、加水分解と縮重合反応に十分な時間攪拌する。その後、当該溶液に、所定量の硝酸(例えば、61%のものを2g)と、大量の水(例えば、500g)とを添加し、約10時間沸騰させてシリカ金属コロイドゾルを調製する。当該沸騰中は溶液の総量を一定に保つようにする、そして、最初に含んでいた有機化合物を気化させて取り除くことにより、シリカ金属コロイドゾルが得られる。調製濃度を低くすれば、より小さな平均粒径を持つシリカ金属コロイドが得られる。すなわち、シリカ金属コロイドゾルの調製濃度を変化させることにより、所望の粒径のシリカ金属コロイドゾルを調製することができる。
本製造方法では、所定の粒径となるように、所定の濃度で調製されたシリカ金属コロイドゾルを希釈した希釈シリカ金属コロイドゾルを用いて、ホットコーティング法により、シリカ金属コロイドゲル層を形成している。
希釈前のシリカ金属コロイドゾルの調製濃度は、その下限値を0.1重量%以上とすることが好ましく、0.3重量%以上とすることがより好ましい、また、その上限値を4.0重量%以下とすることが好ましく、2.0重量%以下とすることがより好ましい。シリカ金属コロイドゾルの調製濃度を上記範囲とすることにより、シリカ金属複合層の形成に適した平均粒径のものを調製することができる。
希釈シリカ金属コロイドゾルの濃度は、その下限値を0.01重量%以上とすることが好ましく、0.05重量%以上とすることがより好ましい、また、その上限値を0.5重量%以下とすることが好ましく、0.4重量%以下とすることがより好ましい。希釈シリカ金属コロイドゾルの濃度を上記範囲とすることにより、ホットコーティング法によりシリカ金属コロイドゲル層を形成する際に、当該シリカ金属コロイドゲル層にひび割れが生じることを防止できる。したがって、シリカ金属コロイドゲル層が焼成されたシリカ金属複合層に隙間(ピンホール)が生じることを防ぐことができるから、気体分離膜の気体選択性を良好にできる。本製造方法において、金属コロイドゾルの濃度とはテトラエトキシシラン(TEOS)を溶質として換算した濃度のことをいう。
例えば上記のようにして調製した希釈シリカ金属複合コロイドゾルを、ホットコーティング法によって、シリカ−ジルコニア層などのコーティング対象物質にコーティングして、焼成することによりシリカ金属複合層を形成することができる。この焼成は、例えば、400〜550℃の炉中にて10〜15分間程度行われる。
また、上記の焼成条件の他にも、例えば、後述する実施例に示すように、550〜650℃水蒸気雰囲気下で30分間程度焼成することでも製造できる。特に、この条件下で焼成することにより、水蒸気存在下の高温環境(500℃)といった過酷な状況でも安定した気体分離性能を維持する、高温安定性に優れた気体分離膜を製造することができる。
このように、希釈シリカ金属コロイドゾルホットコーティングに使用することにより、製造された気体分離膜をピンホールの非常に少ないものにできるから、例えば、ヘリウム透過の活性化エネルギー(透過係数の温度依存性)を小さくさせるとともに、気体分離膜の安定性を大幅に改善することができる。また、300℃にてヘリウム透過係数2×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上、He/CH4透過係数比300以上、He/N2透過係数比200以上の気体分離性能を示し、湿り空気中で十分な安定性を示す気体分離膜を作製することが可能となる。
本製造方法により製造される気体分離膜のシリカ金属複合層には、ホットコーティングにより形成されたアモルファスのネットワーク構造を安定に保持する目的で金属が配合されている。
図1は、セラミック気体分離膜のような気体分離膜による気体分離の原理を説明するための、シリカ膜により構成された気体分離膜の模式図である。同図に示すように、シリカ層1のアモルファスネットワーク構造を通過することができるのは、水素分子(H2)やヘリウム分子(He)のように小さい分子のみであり、窒素分子(N2)やメタン分子(CH4)のように比較的大きな分子は通過することができない。この原理によって、シリカ層1によって分子の大きさの異なる気体を分離することができる。
しかしながら、図1に示すように、アモルファスのネットワークをシリカ(SiO2)のみで構成すると、当該ネットワークが水分と接触することにより、水素やヘリウムなどのみを通過させるアモルファス構造が崩壊する。このような崩壊が生じると、気体分離膜の気体透過係数が小さくなるから、上記ネットワーク構造を安定化するために、本製造方法の希釈シリカ金属コロイドゾルには金属が配合されている。
このため、本製造方法のシリカ金属複合層形成工程は、シリカ金属複合層と湿りガスとを接触させる湿潤化工程を含むものとすることができる。仮に、上記シリカ金属複合層形成工程がシリカのみからなるシリカ層を形成するものである場合、湿潤化工程により、シリカ層のアモルファス構造が崩壊する結果、気体分離膜の透過係数が低下すると考えられる。しかしながら、本製造方法のシリカ金属複合層形成工程は、シリカと金属との複合体である希釈シリカ金属コロイドゾルを用いているから、湿潤化工程によって、むしろ、気体分離膜の耐水性を向上させることができる。
また、図1に示すように、シリカ層1のような気体を分離する機能を発揮する層に、微小な隙間(ピンホール)2が存在する場合、サイズの大きな窒素分子(N2)やメタン分子(CH4)等が、隙間2を通過するから、気体分離膜の気体分離性能が低下する。この点、本製造方法によれば、シリカ金属複合層に隙間(ピンホール)が生じることが防がれるから、気体分離性能の良好な気体分離膜を製造することができる。
本製造方法のシリカ金属複合層形成工程は、加熱した上記セラミック基材に、第1の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した第1のシリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第1のシリカ金属複合層とする第1のシリカ金属複合層形成工程と、加熱した第1のシリカ金属複合層に、その平均粒径が第1の希釈シリカ金属コロイドゾルよりも小さい第2の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した、第2の希釈シリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第2のシリカ金属複合層を形成する第2のシリカ金属複合層形成工程と、を含んでいるものであってもよい。
上記のように、シリカ金属複合層を、平均粒径の異なる2種類以上のシリカ金属コロイドゾルを用いて作製することにより、シリカ金属コロイド層に、気体選択性低下の原因となる隙間(ピンホール)が生じることを防止できる。すなわち、その平均粒径の異なる複数種類の希釈シリカ金属コロイドゾルを用いてシリカ金属複合層を形成することにより、気体分離性能がさらに優れる気体分離膜を製造することができる。
第1の希釈シリカ金属コロイドゾルの平均粒径は、第2の希釈シリカ金属コロイドゾルの平均粒径の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。また、第1の希釈シリカ金属コロイドゾルの濃度は、第2の希釈シリカ金属コロイドゾルの濃度の10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがさらに好ましい。平均粒径及び/又は濃度に関し、上記の範囲を満足させる組合せの第1及び第2の希釈シリカ金属コロイドゾルを用いることにより、ピンホールの発生をより確実に防止できる。なお、本製造方法において、「平均粒径」とは、シリカ金属コロイドゾルを無作為に所定数(例えば10)選び出し、当該選び出されたものの粒径の測定結果の平均値をいう。
本製造方法は、上記第1のシリカ金属複合層形成工程と、上記第2のシリカ金属複合層形成工程との間に、第1のシリカ金属複合層と湿りガスとを接触させる湿潤化工程を含んでいてもよい。これにより、湿潤化工程を含まない場合と比較して、シリカ金属複合層の厚みを薄くした場合においてピンホールが生じることを抑制できる。したがって、気体透過係数の大きい気体透過性の良好な気体分離膜を製造することができる。
例えば、ホットコーティングと焼成の操作を、異なるシリカ金属コロイドゾル(例えば2種類)を用いて、それぞれ、2回程度繰り返すことによりシリカ金属複合膜を製造することができる。当該シリカ金属複合膜を、湿りガス(例えば関係湿度60%、40℃の湿り空気)中に、所定時間(例えば、一昼夜)以上放置した後、場合によっては、より平均粒径の小さいシリカ金属コロイドゾルで、更にホットコーティングし、300〜550℃にて焼成する。これにより、高気体透過性、高気体選択性を有するシリカ金属複合膜を作製することができる。また、最終の焼成を加湿空気中で行えば(湿潤化工程)、より耐水性に富んだ高性能気体分離膜を製造することができる。
また、上記の製造方法以外にも、例えば、後述する実施例に示すように、Niドープシリカコロイドゾルを数回担持し、550〜650℃水蒸気雰囲気下で30分間程度焼成し、当該焼成後、高湿度雰囲気下に焼成した気体分離膜を1〜2日間放置し、その後、550〜650℃水蒸気雰囲気下で30分程度焼成し、更に、より低濃度のNiドープシリカコロイドゾルを数回担持し、550〜650℃水蒸気雰囲気下で30分間程度焼成することにより、水素分離能を有する、より高温環境下での耐水性に富んだ高性能の気体分離膜を製造することができる。上記「水蒸気雰囲気下」とは、例えば、50〜100kPa程度の水蒸気分圧環境下を挙げることができる。なお、後述する実施例では、90kPaの水蒸気分圧環境下で焼成を行っている。
〔気体分離膜〕
本発明の気体分離膜の製造方法によって得られる気体分離膜について、図2ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、300℃におけるヘリウム透過係数が2×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、75℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃におけるヘリウムとメタンとの透過係数比(He/CH4)が300以上のものである。このように高い気体透過係数および気体選択性を有する気体透過膜は、上述した本発明の気体分離膜の製造方法を用いることにより、初めて実現したものである。
上記セラミック基材としては、例えば、多孔性セラミック基材にシリカ−ジルコニア層が積層されてなるものを用いることができ、この場合、上記シリカ金属複合層はシリカ−ジルコニア層に積層される。上記多孔性セラミック基材は、多孔性のセラミックであれば特に限定されないが、例えば、α−アルミナ、ムライト、γ−アルミナ、ジルコニア、チタニアなどが挙げられる。
上記多孔性セラミック基材に積層されるシリカ−ジルコニア層は、その厚みが、10μm未満であることが好ましく、5μm未満であることがより好ましい。また、シリカ−ジルコニア層形成された細孔の細孔径は、10nm以下が好ましく、7nm以下がより好ましい。本実施形態において、細孔径とは、後述する実施例1で図4に示すように、ケルヴィンの毛管凝縮径でその細孔分布を評価したときに、無次元空気流速が0.01以下になる上限値をいう。
本発明の気体分離膜は、上記シリカ−ジルコニア層と反対側のシリカ金属複合層の表面が、上記多孔性セラミック基材のシリカ−ジルコニア層側表面の凹凸形状よりも平滑であり、且つ当該凸形状を被う領域が隆起しているものであることが好ましい。図2に示す、本発明の気体分離膜の概略構造を参照しながら、上述の構造について説明する。
本発明の気体分離膜にシリカ−ジルコニア層4を形成する目的の一つは、多孔性セラミック基材3の凹凸を平滑化することである。ここで、シリカ−ジルコニア層4を十分に厚くすれば、多孔性セラミック基材3の凹凸の影響を打ち消すことも可能である。しかしながら、本実施の形態においては、シリカ−ジルコニア層4の厚さが、多孔性セラミック基材3の凹部を埋めるものの凹凸を打ち消すことはない大きさとしている。このため、シリカ−ジルコニア層4に形成されたシリカ金属複合層5の表面は、多孔性セラミック基材3のシリカ−ジルコニア層4側表面の凹凸形状よりも平滑であるが、当該セラミック基材3の凸形状を被う領域が他の領域よりも隆起しており、多孔性セラミック基材3の凹凸を反映した形状となっている。
このように構成することによって、多孔性セラミック基材3の凹凸の影響を打ち消すために十分な厚さのシリカ−ジルコニア層4を形成した場合よりも、気体分離膜の気体透過性及び気体分離性を向上させることができる。
上記シリカ金属複合層の厚みは0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。シリカ金属複合層を上記の厚みにすることにより、シリカ金属複合層の気体透過性を良好にすることができる。
上記シリカ金属複合層の金属としては、ニッケル及び/又はコバルトが好ましく、ニッケルがより好ましい。これにより、シリカ金属複合層の耐水性を向上させることができる。また、上記シリカ金属複合層の金属がニッケルである場合(シリカニッケル複合層)は、シリカ金属複合層に含まれるニッケルの量は、その下限が、20モル%以上であることが好ましく、25モル%以上であることがより好ましい、また、その上限が、60モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましい。本実施の形態において、上記シリカ金属複合層の金属が、ニッケル及び/又はコバルトであるとは、シリカ金属複合層が、シリカ(SiO2)と、ニッケル及び/又はコバルトの酸化物(酸化ニッケル及び/又は酸化コバルト)である場合を含んでいる。
図3は、本発明の気体分離膜の構造を示す図である。同図に示すように、本実施の形態の気体分離膜は、多孔性セラミック基材3、シリカ−ジルコニア層4及びシリカ金属複合層5がこの順序に積層されてなるものである。
同図に示されているように、シリカ−ジルコニア層4は、多孔性セラミック基材3の凹凸部に入り込むように形成されており、その厚みは均一ではない。本実施形態の気体分離膜におけるシリカ−ジルコニア層4の厚みは、シリカ金属複合層5の面に略垂直な方向の断面のシリカ−ジルコニア層4を無作為に所定数(例えば10)選び出し、当該選び出されたものの厚みを測定した結果を平均した値をいう。また、シリカ金属複合層5は、シリカ−ジルコニア層4にしみ込むように形成されているが、当該領域もシリカ金属複合層5に含まれることとする。また、シリカ金属複合層5の厚みとは、シリカ−ジルコニア層4について説明した方法と同様にして求めた値をいう。
また、上述したもの以外にも、本発明に係る気体分離膜としては、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、500℃におけるヘリウム透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃におけるヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)が500以上であるものを挙げることができる。なお、上記「500℃におけるヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)」は、好ましくは800以上、さらに1000以上であることがより好ましい。
このように、本発明に係る気体分離膜は、水蒸気存在下であって500℃程度の過酷な高温環境下でも、ヘリウムについて高い選択的透過特性を示し、高温安定性に非常に優れたものである。特に、水蒸気分圧が高い高温状態においても安定性と気体の選択的透過性は維持される点が優れている。
また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、300℃における水素透過係数が1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ300℃における水素とメタンとの透過係数比(H2/CH4)が200以上であるものを挙げることができる。なお、上記「300℃における水素とメタンとの透過係数比(H2/CH4)」は、250以上であることがより好ましく、280以上であることがさらに好ましい。
このように、本発明に係る気体分離膜は、室温〜300℃程度の温度領域において、水素について優れた選択的透過性を示す。
また、本発明に係る気体分離膜は、セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されてなる気体分離膜であって、500℃における水素透過係数が1×10-63(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であり、且つ500℃における水素と窒素との透過係数比(H2/N2)が200以上である。また、上記「500℃における水素透過係数」は、3×10-63(STP)・m-2・s-1・kPa-1以上であることがより好ましい。
上記気体分離膜において、さらに、500℃における水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)が10以上である。なお、上記「500℃における水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)」は、好ましくは20以上、さらにいえば25以上であることがより好ましい。
このように、本発明に係る気体分離膜は、気体分離膜にとって非常に過酷な状況である水蒸気存在下の高温状態(500℃程度)でも、優れた安定性と水素についての選択的透過性を示す。特に、水蒸気分圧が高い高温状態においても安定性と気体の選択的透過性は維持される点が優れている。このため、例えば、水素の分離精製や、天然ガスと水蒸気との混合反応により水素を製造する過程において、水素を選択的に分離・除去する際に好適に利用できる。
具体的には、現在、水素の製造過程では、天然ガスと水蒸気とを高温環境下(例えば、800℃程度)で反応させて製造している。この水素製造の反応は可逆反応であるため、生成した水素を反応系にとどめおくと、反応が平衡状態となり、水素の生成効率が低下する。そこで、生成した水素を反応系から選択的に分離して除去することが必要となるが、この際、本発明に係る気体分離膜を使用することができる。特に、上記水素製造の反応は吸熱反応であるため、より低温で反応を行う方が生成効率を高めることができる。
このため、天然ガスと水蒸気とを500℃付近で混合・反応させる水素生成反応系において、本発明に係る気体分離膜を用いて、生成した水素を反応系から順次分離して除去することにより、水素生成の効率を高めることができる。
また、上記水素の製造過程において、水素を除く際、反応系から水蒸気を漏らさないことが、水素の生成効率を高める点で重要な要素の一つとなるが、本発明に係る気体分離膜によれば、500℃での水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)が大きいため、反応系に水蒸気をとどめたまま、水素のみを選択的に除去することができる。このため、効率的な水素製造方法に利用することができる。
また、上述したように、本発明に係る気体分離膜は、シリカにニッケルをドープして得られるものであることが好ましいが、シリカとニッケルの混合比は、Si/Ni=2:1〜4:1の範囲であることが好ましい。上記の比率でシリカとニッケルとを混合することにより、高温安定性に優れ、かつヘリウム及び水素について高い選択透過性を有する気体分離膜を得ることができる。
〔実施例〕
以下に本発明の気体分離膜及びその製造方法の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。以下の実施例においては、部は重量部を表し、%は重量%を表すものとする。
本実施例では、多孔性セラミック基材としての平均細孔径約1μmの多孔性α−アルミナ管(外径10mm、長さ100mm)の外表面上に、シリカ−ジルコニア膜を担持したものをセラミック基材として用いた。図4は当該基材のシリカ−ジルコニア膜(細孔径:約6nm未満)の細孔径分布の例を示したものである。
シリカ金属コロイドゾルとしての、シリカ/ニッケル=1/2となるようにして、シリカニッケルコロイドゾルを2種類の異なる濃度で調製し、2.0%調製シリカニッケルコロイドゾル(2.0%調製ゾル)及び0.5%調製シリカニッケルコロイドゾル(0.5%調製ゾル)を得た。この2種類のシリカニッケルコロイドゾルを、水で0.4%〜0.05%に希釈し、希釈シリカニッケルコロイドゾルを調製した。具体的には、2.0%調製ゾルを5倍に希釈して0.4%とし、0.5%調製ゾルを10倍に希釈して0.05%とした。
上記のようにして調製した希釈シリカニッケルコロイドゾル(0.4%、0.05%)を、基材のシリカ−ジルコニア膜に、ホットコーティング法によって塗布した。具体的には、180℃に加熱されたシリカ−ジルコニア膜に、希釈シリカニッケルコロイドゾルを含んだ布を接触させることにより、シリカ−ジルコニア膜をシリカニッケルコロイド膜でコーティングした。このシリカニッケルコロイド膜を550℃で焼成して、シリカ−酸化ニッケル複合膜を形成した。
このようにして、2.0%調製ゾルを希釈した希釈シリカニッケルコロイドゾル(0.4%)を用いて、シリカニッケルコロイド膜を形成した後、焼成する操作を2回繰り返した。すなわち、シリカ−酸化ニッケル複合膜表面に、さらにシリカニッケルコロイド膜を形成して、焼成することにより、第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜を形成した。
上記のようにして形成された第1のシリカ−酸化ニッケル複合層の表面に、0.5%調製ゾルを用いて調製した希釈シリカニッケルコロイドゾル(0.05%)により、第2のシリカ金属複合層としての第2のシリカ−酸化ニッケル複合膜を形成した。第2のシリカ−酸化ニッケル複合膜は、2.0%調製ゾルでなく0.5%調製ゾルを用いたこと以外は、第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜と同様にして形成した。
上記のようにして、第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜と第2のシリカ−酸化ニッケル複合膜とからなるシリカ−酸化ニッケル複合層を、多孔性セラミック基材としての多孔性α−アルミナ管のシリカ−ジルコニア膜上に形成して、気体分離膜を調製した。
本実施例においては、この気体分離膜を、湿り空気(関係湿度60%、40℃)中に放置した後に、330℃で15分焼成(乾燥)した。なお、本実施例では焼成時間を15分としたが、15分以上焼成することとしても良い。
上記のように調製された、本実施例の気体分離膜の純ガス(He、N2、CH4)透過特性を測定した結果を示す。図5は、気体分離膜の純ガス透過性を測定するガス透過・分離装置の概略図を示すものである。本実施例において用いたガス透過・分離装置は、ガスボンベ11、ガス乾燥器12、圧力調節器13、圧力計14、ストップバルブ15、三方コック16、加湿器17、ヒータ18、分離膜19、ニードルバルブ20、ガスサンプラー21、石鹸膜流量計22、温度調節器23及びガスクロマトグラフ24が、図5に示したように接続されて構成されたものである。
上記のガス透過・分離装置を用いて、本実施例の気体分離膜の純ガス(He、N2、CH4)透過特性を測定した結果を図6及び表1、表2に示す。図6に示すように、本実施例の気体分離膜は、製膜直後において、300℃におけるHe/CH4透過係数比が631と300を上回っており、300℃におけるヘリウムの透過係数が2.617×10-53(STP)と2×10-53(STP)を上回っていた。また、本実施例の気体分離膜は、75℃においても、He/CH4透過係数比が255と200を上回っており、ヘリウムの透過係数が1.278×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1と1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1を上回っていた。そして、図6に示すとおり、本実施例の気体分離膜は、ヘリウム透過係数の温度依存性(活性化エネルギー;7.1kJ/mol)も比較的小さいものであった。
また、図6及び表2に示すとおり、本実施例の気体分離膜は、湿りガス中に4日間放置した後においても、高い気体透過係数及び高い気体選択性を示した。図6では内部が黒く塗リ潰されているマークが製造直後の測定結果を示しており、内部を塗り潰していないものが湿り空気(40℃、関係湿度60%)中に4日間放置した後の測定結果を示している。具体的には、本実施例の気体分離膜は、湿りガス中に4日間放置した後においても、300℃におけるHe/CH4透過係数比が836と300を上回っており、300℃におけるヘリウムの透過係数が2.375×10-53(STP)と2×10-53(STP)を上回っていた。また、当該気体分離膜のHe/CH4透過係数比は240と200を上回っており、ヘリウムの透過係数が1.147×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1と1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1を上回っていた。
このように本実施例の気体分離膜は、75℃以上300℃以下の広い温度範囲において、透過係数及び気体選択性のいずれにおいても高い値を示し、その気体分離性能は分子ふるい的であることが分かる。
また、本実施例の気体分離膜を用いて、300℃におけるHe/CH4混合ガス分離を行った結果を図7に示す。図7は、当該気体分離膜の純ガス透過係数比の値として600を用い、混合物側圧力/透過側圧力(Pu/Pd)の圧力比を2とした場合、及び4とした場合について、それぞれの分離条件において得られた推算結果(計算に基づいて得られた推定結果)と実験結果とを比較したものである。
図7によれば、(Pu/Pd)を2及び4のいずれに設定した場合においても、実験結果と推算とが良好に一致していることが認められる。また、圧力比(Pu/Pd)を大きくすれば、一段の膜分離で高純度のヘリウム(He)が得られることが分かる。ここでの推算は膜分離における透過流束を考慮した物質収支から求められる次の式(1)−(3)によった。
ここで、XA、YAはそれぞれ、混合物中及び透過ガス中のA成分の組成分率を表しており、β、γは次式で与えられるものである。
式中αは透過係数比である。
さらに、本実施例の気体分離膜による湿り混合ガスの分離の可能性を検討するため、露点25℃のHe/H2O混合ガス、露点25℃のN2/H2O混合ガスの透過試験を行った。当該透過試験の結果を図8に示す。同図に示すように、約150℃以上では、湿り混合ガス中に含有されている水蒸気が、Heガス及びCH4ガスの透過へ与える影響は非常に小さいことが分かる。このように、本実施例の気体分離膜によれば、湿り混合ガスが約150℃以上であれば、湿り混合ガス中に多少の水蒸気が含まれていても、水蒸気を含まないものとほぼ同程度の気体分離が可能であることが分かる。
また、一般に、気体分離膜は、水蒸気を含む雰囲気中に保存することによりその透過係数が不可逆的に小さくなることが知られている。しかしながら、本実施例の気体分離膜は、40℃、関係湿度60%の湿り空気中に10日間保存した後、300℃の乾燥He中に3日間保持した後その透過係数を測定した結果、透過係数の値が、表2に示した結果と同様に、初期透過係数(製造直後の透過係数)の値の90%以上にまで回復することを確認している。
そして、本実施例の気体分離膜は、上記条件で保存した後に、He/N2の選択性及びHe/CH4の選択性も減少しておらず、水蒸気と接触する条件下に保存した後においてもその高い気体選択性が維持されており、水蒸気に対する安定性が非常に高いことを確認している。
実施例1と同じ方法を用いて、シリカ金属コロイドゾルとして、調製後3週間以内のフレッシュなシリカニッケルコロイドゾルを2種類の異なる濃度で調製し、1.0%調製シリカニッケルコロイドゾル(1.0%調製ゾル)、0.5%調製シリカニッケルコロイドゾル(0.5%調製ゾル)を得た。
上記1.0%調製ゾルを水で希釈して、0.2%希釈シリカニッケルコロイドゾルを調製した。この0.2%希釈シリカニッケルコロイドゾルを、ホットコーティング法により、実施例1と同基材のシリカ−ジルコニア膜上に塗布し、550℃で焼成すること2回繰り返して、第1のシリカ金属複合層としての第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜を形成した。
上記のようにして第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜が形成された基材を、湿りガスとしての湿り空気(関係湿度60%、40℃)中に2日間放置した。この湿潤化工程の後、ホットコーティング法によって、0.5%調製ゾルを0.1wt%に希釈して調製した0.1%希釈シリカニッケルコロイドゾルを上記第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜に塗布した後、550℃加湿空気中で焼成するという操作を2回繰り返して、実施例1と同様な構造をした気体分離膜を調製した。
図9は、本実施例の気体分離膜を、500℃、水蒸気分圧70kPaの高温水蒸気中に放置した場合の気体透過係数の変化を示すグラフである。同図に示すように、本実施例の気体分離膜は、水蒸気を含む高温雰囲気中に保存した場合でも、気体透過係数が変化せず、水蒸気に対する安定性が非常に高いものであることが分かる。図9に示した気体透過係数の値を表3に示す。
図10は、本実施例の気体分離膜のヘリウム(He)及び窒素(N2)の透過係数の温度依存性を示すグラフである。同図に示すように、本実施例の気体分離膜は、300℃以上の高温においても極めて大きいヘリウム透過係数を示し、且つHe/N2透過係数比が600以上であり、分子ふるい的特性を示した。
図10の300℃における気体透過係数と、図6に示した300℃における気体透過係数との比較により、本実施例の気体分離膜の気体分離係数は、実施例1のものよりも大きくなっていることが認められる。これは、本実施例の気体分離膜の製造が、第1のシリカ−酸化ニッケル複合膜が形成された基材を、湿りガスとしての湿り空気(関係湿度60%、40℃)中に2日間放置する工程を含むことによるものと考える。
実施例2と同様の方法にて製造した気体分離膜を用いて、本実施例に係る気体分離膜の水素透過係数について検討した。その結果を図11に示す。図11は、本実施例の気体分離膜のヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、及びメタン(CH4)の透過係数の温度依存性を示すグラフである。同図に示すように、本実施例の気体分離膜は、室温〜300℃付近の温度域において極めて大きい水素透過係数(約1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1)を示し、且つH2/CH4透過係数比は、50℃で97、100℃で137、200℃で216、そして300℃で280を示すことがわかった。
このことから、本実施例に係る気体分離膜は、室温〜300℃付近の温度領域において、メタンや窒素から、水素のみを選択的に分離できることがわかった。すなわち、本実施例に係る気体分離膜は、室温〜300℃付近の温度領域において、ヘリウムを選択的に透過させるだけでなく、水素をも高い選択性で透過させる性質を有することが明らかとなった。
本実施例では、水蒸気存在下の高温状態でも優れた安定性を有し、かつヘリウム及び/又は水素の選択的透過性を有する気体分離膜の製造を検討した。具体的には、水素高透過性を得るためには、薄膜化を図ることが重要であるため、以下のような製造方法により気体分離膜を調製した。なお、ゾルコーティング方法はホットコーティング方法を用いた。
まず、上述の実施例1,2と同様に、数nm程度の平均細孔径を有する中間層をシリカ−ジルコニアコロイドゾル(Si/Zr=1/1)で形成した。その後、NiドープシリカコロイドゾルA(2wt%)を数回担持し、550〜650℃水蒸気雰囲気下にて30分間程度焼成した。焼成後、高湿度雰囲気下に膜を1〜2日間放置し、550〜650℃水蒸気雰囲気下にて30分間程度焼成した。さらに、NiドープシルカコロイドゾルC(0.5wt%)を数回担持し、550〜650℃水蒸気雰囲気下にて30分間程度焼成し、本実施例に係る気体分離膜を作製した。なお、本実施例に記載の製造方法によれば、実施例1,2に記載の製造方法に比べて、約1/3程度のコーティング回数で製膜が可能となった。
次に、上述の製造方法にて作製した気体分離膜を用いて、500℃・水蒸気分圧(Steam)は90〜400kPa条件下にて、高温安定性並びに各気体の透過係数の経時変化を調べた。その結果を図12の下のパネルに示す。図12中、“I”〜“V”で示す各領域の水蒸気分圧は、それぞれ90、150、200、300、400kPaである。なお、水素(H2)は、水蒸気分圧が300kPa時から透過させた。また、図12中、上のパネルは、ヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)、及び水素と窒素との透過係数比(H2/N2)を示す図である。
図12の下のパネルに示すように、窒素(N2)透過係数は、水蒸気分圧によらず、ほぼ一定値を示した。ヘリウム(He)透過係数は、水蒸気分圧が大きくなるにつれ、初期に若干の減少が確認されたが、その後定常状態(1×10-53(STP)・m-2・s-1・kPa-1)に達した。水素(H2)透過係数も、水蒸気分圧によらず、ほぼ一定値を示した。なお、400kPa実験終了時には各気体の透過係数は定常に達し、本実施例の気体分離膜は、水蒸気存在下の高温環境においての安定性を有することがわかった。試験終了時の水素透過係数は3×10-63(STP)・m-2・s-1・kPa-1であった。
また、図12の上のパネルに示すように、ヘリウムと窒素との透過係数比(He/N2)は、1000倍以上であり、水素と窒素との透過係数比(H2/N2)は、210倍であることがわかった。また、水素と水蒸気との透過係数比(H2/H2O)は25倍であった。
さらに、本実施例の気体分離膜の気体透過係数の温度依存性について調べた。その結果を図13に示す。具体的には、上述の水蒸気分圧が400kPa実験の終了間際(図12における経過時間が97h時点)の気体分離膜を用いて気体透過係数の温度依存性について調べた。
その結果、図13に示すように、水蒸気分圧が400kPa実験の終了間際の水素透過の活性化エネルギーは、90kPa試験終了間際(図12における経過時間が20h付近)の活性化エネルギー(19〜20kJ/mol)と比較して、若干大きくなった(23.4kJ/mol)。このことから、水蒸気分圧が高くなることにより、緻密化が進行するものの、一定水蒸気分圧下では緻密化はほとんど進行せず、安定性を有する水素分離膜の作製が可能であると考えられる。なお、水蒸気分圧が400kPa実験の終了間際のヘリウム透過の活性化エネルギーは、17.8kJ/molであった。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の気体分離膜の製造方法により得られる気体分離膜は、気体透過係数及び気体選択性が高いから、ヘリウムや水素等を分離・精製する用途に用いることができる。
気体分離の原理を説明するためのシリカ膜により構成された気体分離膜の模式図である。 本発明の気体分離膜の概略構造を示す模式図である。 本発明の気体分離膜の構造を示す図である。 本発明の実施例1において用いたセラミック基材を構成するシリカ−ジルコニア膜の細孔径分布の例を示すグラフである。 本発明の実施例1である気体分離膜の純ガス透過性の測定に用いたガス透過・分離装置の概略を示す概略図である。 実施例1の気体分離膜について、純ガス(He、N2、CH4)透過特性を測定した結果を示すグラフである。 実施例1の気体分離膜を用いて、300℃におけるHe/CH4混合ガス分離を行った結果を示すグラフである。 実施例1の気体分離膜を用いて、露点25℃のHe/H2O、N2/H2O混合ガスの透過試験を行った結果を示すグラフである。 500℃・水蒸気分圧70kPaの高温水蒸気中に放置した場合の、放置時間の経過に伴う、実施例2の気体分離膜の透過係数の変化を示すグラフである。 本実施例2の気体分離膜のHe及びN2の透過係数の温度依存性を示すグラフである。 本実施例3の気体分離膜のHe、H2、N2及びCH4の透過係数の温度依存性を示すグラフである。 本実施例4の気体分離膜の高温安定性並びにHe、H2、及びN2の透過係数の経時変化、さらにHeとN2との透過係数比及びH2とN2との透過係数比を調べた図である。 本実施例4の気体分離膜のHe、H2、N2の高温状態(300〜500℃)での温度依存性を示すグラフである。
3 多孔性セラミック基材
4 シリカ−ジルコニア層
5 シリカ金属複合層

Claims (9)

  1. セラミック基材にシリカ金属複合層が積層されている気体分離膜の製造方法であって、
    多孔性セラミック基材の凹部を埋めるものの凹凸を打ち消すことはない大きさの厚みで、シリカ−ジルコニア層を該多孔性セラミック基材に積層することによってセラミック基材を作製するセラミック基材作製工程、および
    加熱したセラミック基材に、0.1重量%以上4重量%以下の濃度のシリカ金属コロイドゾルを調製し溶媒で0.01重量%以上0.5重量%以下の濃度に希釈した希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させてシリカ金属コロイドゲル層を該シリカ−ジルコニア層上に形成し、当該シリカ金属コロイドゲル層を焼成してシリカ金属複合層とするシリカ金属複合層形成工程を含んでいることを特徴とする気体分離膜の製造方法。
  2. 上記シリカ金属複合層形成工程は、
    加熱した上記セラミック基材に、第1の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した第1のシリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第1のシリカ金属複合層とする第1のシリカ金属複合層形成工程と、
    加熱した第1のシリカ金属複合層に、その平均粒径が第1の希釈シリカ金属コロイドゾルよりも小さい第2の希釈シリカ金属コロイドゾルを接触させて形成した、第2の希釈シリカ金属コロイドゲル層を焼成して、第2のシリカ金属複合層を形成する第2のシリカ金属複合層形成工程と、を含んでいることを特徴とする請求項に記載の気体分離膜の製造方法。
  3. 上記シリカ金属複合層形成工程は、シリカ金属複合層と湿りガスとを接触させる湿潤化工程を含んでいることを特徴とする請求項1、又は2に記載の気体分離膜の製造方法。
  4. 上記第1のシリカ金属複合層形成工程と、上記第2のシリカ金属複合層形成工程との間に、第1のシリカ金属複合層と湿りガスとを接触させる湿潤化工程を含んでいることを特徴とする請求項に記載の気体分離膜の製造方法。
  5. 上記シリカ金属複合層の厚みが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の気体分離膜の製造方法。
  6. 上記シリカ−ジルコニア層の厚みが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の気体分離膜の製造方法。
  7. 上記シリカ金属複合層の金属が、ニッケル及び/又はコバルトであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の気体分離膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の気体分離膜の製造方法によって、製造されたことを特徴とする気体分離膜。
  9. 請求項に記載の気体分離膜を用いて、所定の気体を選択的に分離する工程を含むことを特徴とする気体分離方法。
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