JP2002291453A - 常温流通可能な密封容器入りゼリー飲料 - Google Patents
常温流通可能な密封容器入りゼリー飲料Info
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Abstract
ゲル化剤(寒天、ローカストビーンガム等)を用いて、
通常の無菌充填方法にて45℃以下で容器に充填し、中
性域のゼリー飲料を製造する。 【効果】 PETボトル等軟包材容器入り中性ゼリー飲
料(常温流通可能)の製造がはじめて可能となり、しか
も通常の無菌充填ラインを改変することなくそのまま利
用できるため、きわめて低コストで製造することができ
る。
Description
封容器入りゼリー飲料の製造に関するものであり、更に
詳細には、PETボトル等軟包材容器入り常温流通可能
な中性域ゼリー飲料の効率的製造も可能とする技術を新
規に提供するものである。
うことで、ゼリー飲料が普及・拡大し、多くの消費者が
好んで飲むようになった。ゼリー飲料は、通常、ゼリー
ほど固く凝固しておらず、飲用することができる固さ
で、喉越しの良いものが多い。
飲料や果汁の入ったゼリー飲料が存在していた。また、
最近では、PET容器などの耐熱性の弱い容器におい
て、果汁の入った酸性域のゼリー飲料は商品化されてき
たが、中性域のゼリー飲料は未だに存在していない。
は、ゼリー飲料自体のpHが低く、微生物の繁殖が抑え
られるため、瞬間殺菌後、通常ラインにて容器にホット
パック充填して製造していた。ホットパック充填する場
合、充填後に冷却工程を設けることが一般的である。こ
のように酸性域のゼリー飲料を製造する場合は、高温で
充填され、充填後に冷却するため、ゲル化剤が充填前に
ゲル化する事なく、ゼリー飲料を製造することができ
る。
ー飲料を製造する場合、一般的には、殺菌条件の制約か
ら、レトルトをかける事の出来る耐熱性のある容器、例
えば缶に充填し、レトルト殺菌をかけて製造していた。
殺菌条件としては、法律上、pH4.6以上の場合12
1℃で4分、つまりF0=4以上との規定がある。も
し、この条件未満であれば10℃以下で(チルドとし
て)保存・流通しなくてはならず、PETボトルなどの
軟包材の容器において、常温流通できる中性域のゼリー
飲料を製造することはできなかった。
開閉可能で透明性のあるPETボトルや、手軽な軟包材
などの容器が好まれている背景がある。これらの容器
は、レトルト殺菌をかける事の出来ない容器であり、製
造方法が限られてしまう問題がある。
じような殺菌条件でも、レトルト殺菌の場合は高温状態
の時間が無菌充填での殺菌より長くなるため、熱劣化が
激しく、品質に影響を及ぼしやすい。特に、熱により褐
変しやすいものは、熱劣化の少ない瞬間殺菌へシフトし
ている。
(ポリエチレンテレフタレート)ボトルその他軟包材の
使用をも可能とするため、レトルト殺菌することなく低
温条件下で製造することができ、しかも、チルド流通で
はなく、常温流通可能な中性域ゼリー飲料を新たに製造
する目的でなされたものである。
成するためになされたものであって、中性域ゼリー飲料
の製造において、レトルト殺菌及びそのための耐熱性容
器(缶等)の使用が必須であって、耐熱性が低いないし
耐熱性を欠くPETボトル等の軟包材の使用はできない
とされていた技術常識にあえて挑戦したものであり、本
発明者らは各方面から検討の結果、レトルト殺菌するこ
となく液体食品を製造する無菌充填ラインに着目した。
ルト殺菌を行わずに製造する場合は、無菌充填ラインを
使用することが一般的である。特に乳成分を含有するも
のは無菌充填ラインで行われる。無菌充填ラインは内容
液を殺菌した後、冷却を行い(温度管理の不能な)無菌
タンクに移して無菌条件下で常温で充填を行う。常温で
充填するため、酸性飲料などのホットパック充填の製造
工程に設置されている充填後の冷却工程はない。このよ
うに、従来、無菌充填ラインは、常温で行われており、
加温(ゾル化)、冷却(ゲル化)という異なった温度で
処理することは行わないため、ゼリー飲料の製造に使用
することはできなかったのである。
料の製造には使用できないとされていたのに対して、本
発明者らはこの技術にあえて着目し、特に、常温充填に
よる軟包材使用の可能性という大きなメリットにはじめ
て着目し、ゼリー飲料製造への無菌充填システムの利用
をはじめて着想し、各方面から鋭意検討を行った。その
結果、従来、ゼリー飲料の製造には使用できないとされ
ていた無菌充填ラインでゼリー飲料を製造する場合、通
常の無菌充填と同じ条件で実施するのが好ましく、耐熱
性が低い容器を用い、充填温度を45℃以下に抑える必
要がある点にはじめて着目した。
ゲル化しないゲル化剤を選択し、これを用いて、ライン
の改造などの投資をすることなく、通常の無菌充填方法
で、45℃以下で充填したところ、中性域のゼリー飲料
を製造することが可能となることを見出しただけでな
く、軟包材容器の使用にもかかわらず、常温流通が可能
であることもはじめて見出し、これらの有用新知見に基
づき、本発明の完成に至った。
は、通常のゼリー飲料を製造する調合方法でよく、ゲル
化剤を水に添加して加温して溶解させ、そのまま温度を
保持して殺菌する方法か、または、常温でゲル化剤を水
に添加し、分散させ、殺菌時の熱によりゲル化剤を溶解
させる方法のどちらでも良い。さらに殺菌条件は、通常
の無菌充填で実施される殺菌条件でよく、F0=4以
上、F0=100以下の殺菌を行う(例えば131℃3
0秒)。
ースを残して容器に充填し、密封した後、20〜25℃
以下でゲル化し、ゼリー状(固化した状態)にする。よ
って、充填温度は25〜45℃が好ましいが、更に好ま
しくは30〜40℃で、ゲル化することなく充填できる
温度である。一度、ゲル化したゼリーは、40℃以上に
してもゲル化したままである。少なくとも殺菌〜充填、
密封工程は無菌条件で行う。
製やガラス製のビン、缶等レトルト殺菌にも耐え得る容
器が使用できるほか、本発明においては、従来のように
高温充填する必要がないため、耐熱性がない、ないしは
耐熱性が低い、軟包材容器等の容器も使用できるという
特徴を有する。本発明において、軟包材容器とは、紙容
器(一部分または全てが紙で作られている容器)、ラミ
ネートや撥水処理等をした加工紙容器、軟質プラスチッ
ク容器その他保形性を有する軟包材製容器をすべて包含
するものであって、PETボトルやカートカン等は好適
な1例として例挙することができる。また、容器には、
吸引部を設けたり、ストロー投入口、各種開口部を設け
たりすることも可能である。
を用いる。例えば、寒天やカラギーナンなどの海藻類、
ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム
などのガム類等、25℃、好ましくは30℃ではゲル化
しないゲル化剤が使用可能である。また、これらを併用
することも可能であって、海藻:ガムを10:1〜1:
10、好ましくは1:10〜1:1更に好ましくは1:
5〜1:1程度するのがよい。さらに、このゲル化剤の
添加量としては、飲用時に容器を振とうしたり、容器を
押したりすることにより、ゼリーを崩すことができる程
度のゲル強度にする必要があり、さらにスプーンを使用
することなく食すことができる程度が好ましい。つま
り、飲用することにより、ゼリーの喉越しを楽しむこと
ができる飲料で、ゼリーの塊が大きいものや固いものよ
りは、ゼリーの塊が小さく、柔らかいものが好まれる。
このようなことから、ゲル化剤の添加量は、0.1〜2
%が好ましい。
用することができる。ただし、可逆性のゲル化剤を用い
る場合は、一度ゲル化したゼリーが可逆性にならない程
度に添加量を抑える。可逆性のゲル化剤を添加する理由
として、より滑らかで、喉越しの良いゼリーにするため
である。
が得られる。すなわち、本発明に係る中性域のゼリー飲
料は、製品のpHが4.6〜9.0の密封用容器に入っ
たものである。さらに、飲用時に容器を振とうすること
により、ゼリーを崩すことができる程度のゲル強度であ
り、スプーンを使用することなく食すことができるゼリ
ー飲料である。また、容器を外部から指で押したり、つ
ぶしたり、変形させたりしてゼリーを崩すことができる
程度のゲル強度を有するものも、本発明のゼリー飲料に
包含される。
ルクプリン風ゼリー、いちごミルク風ゼリー、抹茶ミル
ク風ゼリー、マンゴープリン、コーヒーミルクゼリー、
バナナミルクゼリー、ココナッツミルクゼリー、杏仁豆
腐、プリン風ゼリー、チョコレートムース風ゼリー等が
挙げられ、本発明では特に乳成分を含有したものに効果
的である。乳成分としては、牛乳、加工乳、脱脂粉乳、
脱脂乳、全粉乳、濃縮乳等の少なくともひとつが挙げら
れる。また、この乳成分に乳化剤を添加してもよい。
たデザート系のほかに、スープ、おかゆ、おもゆ、離乳
食等のゼリー飲料も包含され、これらは、容器が持ち易
く、且つ適度なトロミがついていて摂取しやすく、健常
者はもちろん、病中、病後の人、高齢者、乳幼児その他
嚥下機能が低下した人々に対して好適な食事にもなり得
る点で更に特徴的である。
を容器ごと振とう(落下による衝撃や手で振とうした
り)したり、容器を外側から指で押したり、容器をにぎ
ったりして、ゼリーを所望する大きさに砕き、ストロー
で吸引したり、吸口から直接飲用したり、場合によって
は他の容器に移した後、これを飲用してもよく、適宜な
方法でゼリー飲料を食することができる。以下、本発明
の実施例について述べる。
ン風ドリンクゼリーを製造した。すなわち、500ml
の水に、砂糖100g、粉乳30g、カラメル色素0.
1g、プリン香料1gを添加し、溶解させた。また、各
種ゲル化剤の混合物を300mlの湯に添加し、溶解さ
せた。(ゲル化剤の種類と添加量は下記表を参照。)次
に2つの溶解液を混合し、混合液を50℃以上に保持し
たまま、全量が1kgになるよう湯を添加し調合液を得
た。90℃10分間加熱攪拌溶解後、131℃、30秒
のUHT殺菌を行った。この殺菌済みの溶液を充填する
際に、充填温度を60℃と、35℃の2区分に分け、各
充填温度まで冷却したものをPETボトルに充填した。
その後、10℃まで冷却し、出来あがったゼリー飲料の
評価を行った。
造をした。さらに、60℃充填容器には、コストの高い
耐熱性のあるPETボトル容器を、35℃充填容器に
は、コストの安い耐熱性のないPETボトル容器を用い
た。得られた製品のpHは、何れも6.8であった。結
果を下記表1に示す。表における符号は、それぞれ、次
のことを示す。 ◎;問題無く充填できる。 △;若干問題あるが、充填できる。 ×;充填できない。
クプリン風ゼリーを製造した。すなわち、15Lの水に
砂糖2kg、粉乳600g、ミルクプリンフレーバー2
0gを投入し溶解後、ゲル化剤を添加し分散させた。
(ゲル化剤の添加量は下記表を参照。)この溶液に水を
添加して20kgの調合液を得た。131℃、30秒で
UHT殺菌してゲル化剤を溶解後、無菌雰囲気下で充填
温度の35℃まで冷却し、PETボトルに充填・密封し
た。
ム:寒天が2:1に配合したものを用いた。出来あがっ
たゼリー飲料の評価を行った。得られた結果を下記表2
に示す。
熱性のない軟包材容器でも、中性域のゼリー飲料を製造
することが可能となった。特に微生物による品質劣化の
影響を受けやすい乳を含有したものに効果的である。
填ラインでゼリー飲料を製造するには、無菌充填ライン
の構造上、酸性域ゼリー飲料の製造のように高温で充填
を行い、その後冷却する工程を工業的に低コストで実施
する事は実質的に不可能であった。理由としては、高温
充填するために、耐熱性のある容器を準備する必要があ
り、容器のコストが嵩むこと、さらに、充填後に冷却工
程を導入することも必要になるため、ラインを改造する
のは非常に莫大な投資がかかり、利益を生み出すことが
できなくなるからである。
したものであって、特に工業上のメリットはきわめて大
きいものがある。
Claims (8)
- 【請求項1】 ゲル化剤を用い、殺菌処理した後冷却
し、容器に充填、密封して製造してなり、出来上がりの
製品のpHが4.6〜9である無菌化により製造され
る、常温流通可能な密封容器入りゼリー飲料。 - 【請求項2】 容器が軟包材容器であること、を特徴と
する請求項1に記載のゼリー飲料。 - 【請求項3】 乳成分を含有してなること、を特徴とす
る請求項1又は2に記載のゼリー飲料。 - 【請求項4】 ゲル化剤を用い、殺菌処理した後冷却
し、容器に充填、密封して製造してなり、出来上がりの
製品のpHが4.6〜9である、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載のゼリー飲料の製造方法であって、殺菌条
件としてF0=4以上、F0=100以下で殺菌処理す
ること、を特徴とするゼリー飲料の製造方法。 - 【請求項5】 充填温度として、25〜45℃、で充填
すること、を特徴とする請求項4に記載の方法。 - 【請求項6】 ゲル化剤として、熱に対して不可逆性の
ゲル化剤を使用すること、を特徴とする請求項4又は5
に記載の方法。 - 【請求項7】 ゲル化剤を0.1〜2%使用すること、
を特徴とする請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】 全製造工程の内、少なくとも、殺菌処理
〜容器への充填、密封工程については、これを無菌条件
下で実施すること、を特徴とする請求項4〜7のいずれ
か1項に記載の方法。
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