JP2002274935A - 誘電体磁器および積層型電子部品 - Google Patents

誘電体磁器および積層型電子部品

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JP2002274935A JP2001076829A JP2001076829A JP2002274935A JP 2002274935 A JP2002274935 A JP 2002274935A JP 2001076829 A JP2001076829 A JP 2001076829A JP 2001076829 A JP2001076829 A JP 2001076829A JP 2002274935 A JP2002274935 A JP 2002274935A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶粒子を微粒子化した場合でも比誘電率が
大きく、かつ比誘電率の温度特性が良好な誘電体磁器を
提供し、それにより高電圧が印加されても静電容量の低
下率が小さい積層型電子部品を提供する。 【解決手段】 Aサイトの一部がCaで置換されたペロ
ブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶
粒子)と、置換Caを含有していないペロブスカイト型
チタン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)と、Mg
及び希土類元素とを含有し、前記Mg及び希土類元素の
少なくとも一部は、それぞれ、前記BCT型結晶粒子及
びBT型結晶粒子中に固溶しており、前記BCT型結晶
粒子及びBT型結晶粒子の何れもが、0.2〜0.8μ
mの平均粒径を有しており、且つMg及び希土類元素が
粒子中心よりも粒子表面側に偏在したコアシェル型構造
を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体磁器および
積層型電子部品に関するものであり、より詳細には、例
えば誘電体層に印加される直流電圧が2V/μm以上で
あるような高電圧用の積層セラミックコンデンサ等の形
成に特に有用な誘電体磁器及び該磁器を用いて形成され
た積層型電子部品に関する。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の小型化、高性能化に伴
い、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化の要
求が高まってきている。このような要求に応えるため
に、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、
誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共
に、誘電体層の積層数を増やすことにより、小型・高容
量化を図っている。誘電体層の形成に使用される誘電体
材料には、小型・高容量化の為に、高い比誘電率が要求
されることはもちろんのこと、誘電損失が小さく、誘電
特性の温度に対する依存性(温度依存性)や直流電圧に
対する依存性(DCバイアス依存性)が小さい等の種々
の特性が要求される。また、誘電体層の薄層化に伴い、
積層セラミックコンデンサに印加する電界の増大による
信頼性低下を抑制する為に、粒子径のより小さい誘電体
材料が使用されるようになってきた。
【0003】ペロブスカイト型(ABO型)酸化物で
あるチタン酸バリウム(BaTiO )は、コンデンサ
等の電子部品に用いる誘電体材料として広く使用されて
おり、この比誘電率が粒子径に依存する事も知られてい
る。例えば、BaTiO(以下、BTと呼ぶことがあ
る)の比誘電率は、0.5〜1μmの粒子サイズで最大
値を示し、さらに粒径を小さくすると、比誘電率は単調
に減少する。現在、小型・高容量で温度特性に優れた積
層セラミックコンデンサ(MLC)用の誘電体材料とし
ては、BT系材料が主流であり、大きな比誘電率を示す
サブミクロン粒径のBT焼結体が使用されている。ま
た、BT系材料の中でも、ジルコニア等が添加され、添
加成分の元素が固溶し、焼結粒子表面に偏在する(粒子
中心部よりも表面部分に多く存在する)コアシェル構造
を有するものは、添加物による粒成長抑制効果とコアシ
ェル構造により、誘電特性の温度依存性が改善され、温
度特性の良好な誘電体磁器として知られており、MLC
用の誘電体材料として注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した公
知のBT系材料には、DCバイアス依存性が高く、直流
電圧印加による比誘電率の減少が大きいという欠点があ
る。即ち、小型化の為に誘電体層の薄層化を推し進める
と、誘電体層に印加される電界が増大する為、このよう
なBT系材料で形成された誘電体層から成るコンデンサ
では、静電容量の減少が大きく、実効的静電容量が小さ
くなるという問題があった。また、BT焼結粒子の粒径
をサブミクロンよりさらに小さくしていくと、DCバイ
アス依存性を改善できるが、この場合には、比誘電率も
減少してしまう為、小型・高容量・DCバイアス特性を
同時に満足する事はできなかった。
【0005】例えば、特開平9−241075号公報に
は、平均粒径が0.1〜0.3μmであり、温度特性の
異なる2種類以上の微粒子結晶により構成された誘電体
磁器が提案されており、この誘電体磁器は、平坦な温度
特性(誘電特性の温度依存性が小さい)と、優れたDC
バイアス特性を有していることが記載されている。即
ち、1μm以下の粒子サイズでは、平坦な温度特性と優
れたDCバイアス特性を実現するコアシェル構造の形成
が困難であるため、この先行技術では、1μm以下の粒
子サイズで、同様な効果を得る為に、さらなる微粒子化
を行い、誘電体磁器の誘電的活性を小さくすることによ
り、平坦な温度特性と優れたDCバイアス特性を得てい
る。しかるに、上述した様に、BT系材料においては、
比誘電率が粒子サイズと共に単調に減少する。この結
果、0.1〜0.3μmの様な粒子サイズでは、最大で
も2100程度の比誘電率しか得られず、高容量化に限
界があった。また、原料の粒子サイズが0.3μm以下
になると、焼結時に容易に固溶体を形成し粒成長してし
まうため、原料粒子サイズを維持したまま緻密な焼結体
を作製するには種々の条件が必要であり、上記先行技術
の誘電体磁器は作製が困難であった。
【0006】更に特開平2000−58378号公報に
は、BaTiOのBaを一部Caで置換した(Ba
1−xCa)TiO(以下、BCTと呼ぶことがあ
る)を用い、コアシェル構造を形成する事により、平坦
な温度特性と、優れたDCバイアス特性を実現できるこ
とが記載されている。しかしながら、BaTiOのB
aの一部をCaで置換した場合には、Ca置換量が少量
であっても、比誘電率が大きく減少する事が知られてい
る。即ち、BCT焼結粒子の粒径をサブミクロンオーダ
ーとすることにより、温度特性やDCバイアス特性を著
しく向上させることはできても、比誘電率を2000よ
りも高めることは困難である。また、BCTは、原料微
結晶の粒成長を抑制し微粒子焼結体を作製する上で必要
不可欠であるMg、希土類元素と混合し、焼成すると、
Caの拡散にともなって、粒成長が起こり易く、コアシ
ェル構造を作製する為には、厳しい条件制御が必要であ
った。特に、サブミクロン以下の粒径を有する原料を用
いた場合、コアシェル構造を形成する上で不可欠である
1200〜1300℃で焼成すると、容易に粒成長を起
こしてしまう。また、BCTに含まれるCa量が多いほ
ど原子拡散による粒成長が起こりやすく、BCTのCa
置換量が数%以上の場合、1200℃〜1300℃の焼
成では、Mgや希土類元素化合物を助剤として用いたと
しても、微粒子焼結体を作製する事は容易ではなかっ
た。更に、1200℃よりも低い低温で焼成した場合、
Mg、希土類元素の拡散が不十分となり易く、コアシェ
ル構造の形成が容易でない問題があった。
【0007】従って、本発明の目的は、比誘電率が大き
く、かつ比誘電率の温度特性、DCバイアス特性が良好
な誘電体磁器を提供することにある。本発明の他の目的
は、上記の誘電体磁器から形成された誘電体層を備え、
高電圧が印加されても静電容量の低下率が小さい積層型
電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、Aサイ
トの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸
バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒子)と、置換Caを
含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶
粒子(BT型結晶粒子)と、Mg及び希土類元素とを含
有し、前記Mg及び希土類元素の少なくとも一部は、そ
れぞれ、前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に
固溶しており、前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒
子の何れもが、0.2〜0.8μmの平均粒径を有して
いることを特徴とする誘電体磁器が提供される。本発明
によれば更に、誘電体層と卑金属からなる内部電極層と
を交互に積層してなる積層型電子部品であって、前記誘
電体層が、前記誘電体磁器から形成されていることを特
徴とする積層型電子部品が提供される。
【0009】本発明において、前記希土類元素として
は、Y、Tb、Dy、Ho、ErおよびYbから成る群
より選択された少なくとも1種であることが好ましく、
BCT型結晶粒子は、Aサイトの2〜22モル%がCa
で置換されていることが好ましい。また、本発明の誘電
体磁器は、前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子
を、合計で、92重量%以上含有していることが好まし
く、前記BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子とを、BC
T/BT=0.05乃至20のモル比で含有しているこ
とが好適である。更に、本発明の誘電体磁器は、Mn
を、MnCO換算で、0.4重量%以下の量で含有し
ているこが望ましい。
【0010】本発明の誘電体磁器においては、BCT型
結晶粒子とBT型結晶粒子とが共存していることが重要
な特徴であり、このような共存系において、BCT型結
晶粒子及びBT型結晶粒子は、粒子中心よりも粒子表面
側に焼結助剤に由来するMg及び希土類元素が偏在した
コアシェル型構造を形成し、この結果、高誘電率であ
り、比誘電率の温度依存性やDCバイアス依存性が極め
て小さいという特性を有している。
【0011】一般に、BTは、逐次相転移に伴う原子の
揺らぎに起因して4000を越す大きな比誘電率を示す
が、逐次相転移の前駆現象である原子の揺らぎに起因し
た高比誘電率の為、DCバイアスの印加による比誘電率
の減少が大きい。一方、BTに見られる3つの逐次相転
移点の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度
は、Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わるこ
とがないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転
移点は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトす
る。即ち、BTが高誘電率を示す大きな要因は、室温近
傍とさらに低温の構造相転移の前駆現象である原子の揺
らぎの増大である為、Aサイトの一部がCaで置換され
たBCTでは、室温近傍及びさらに低温での転移点が低
温側にシフトしており、比誘電率は減少するものの、D
Cバイアス特性は大きく向上する。即ち、本発明の誘電
体磁器では、高比誘電率を示し、温度特性に優れたBT
結晶粒子と、DCバイアス特性に優れたBCT結晶粒子
との共存構造を実現する事により、BT結晶に比べDC
バイアス特性に優れ、また、BCT結晶に比べ高誘電率
であり、且つ誘電特性の温度依存性、DCバイアス依存
性が小さいという特性を示すものである。
【0012】更に、本発明では、BCT型結晶粒子とB
T型結晶粒子がサブミクロンオーダーの平均粒径(0.
2〜0.8μm)で共存していることも重要な特徴であ
る。先にも説明した通り、結晶粒子サイズを微小化する
ことは、DCバイアス特性を向上させる上で有利である
が、BCTを単独で用いた場合には、サブミクロンオー
ダーの粒径では、温度特性やDCバイアス特性に有利な
コアシェル型粒子構造(Mgや希土類元素が粒子表面に
偏在している)を形成させることが困難である。即ち、
BCTを、Mg化合物や希土類元素化合物と混合し焼成
すると、Mg、希土類元素がまず液相を形成しBCT結
晶への拡散が起こるが、BCT中のCaは、Mg、希土
類元素より早い拡散速度で動き、特にCa濃度が大きい
場合には容易に粒子間を移動し、粒成長を引き起こす。
Caの拡散を抑制し、粒成長を抑えるためには、焼成温
度を低くし、焼成条件を厳密に制御すればよいが、Ca
の拡散を抑制する事は、Caより拡散速度の遅いMg、
希土類元素の拡散をさらに抑制することになってしま
う。従って、BCTの単独使用では、例えば1200℃
以上の温度での高温焼成が困難であり、Mg及び希土類
元素がBCT結晶粒子表面に偏在するコアシェル構造を
得難い。しかるに本発明においては、BCTに加えてB
Tが使用されているため、BCT結晶単体では容易でな
かった高温焼成による微粒子焼結体を実現できる。即
ち、焼成に際してのCaの拡散が、BCT粒子と共存す
るBT粒子によって抑制され、1200℃以上での高温
焼成が可能となり、焼結性が向上し、原料粒子サイズが
実質上そのまま維持されるばかりか、焼結助剤に由来す
るMgや希土類元素のBT及びBCT結晶粒子中への拡
散が促進され、これら結晶粒子のコアシェル構造の形成
も促進される。かくして本発明の誘電体磁器は、サブミ
クロンオーダーの平均粒径(0.2〜0.8μm)でB
CT型結晶粒子とBT型結晶粒子が共存し、しかも各結
晶粒子は、粒子表面にMgや希土類元素が偏在したコア
シェル型構造を有しており、この結果、高誘電率を有
し、しかも、誘電特性の温度依存性やDCバイアス依存
性も極めて小さいという極めて優れた特性を有してい
る。
【0013】例えば、本発明の誘電体磁器は、後述する
実験例に示されている様に、20℃での比誘電率ε(2
0℃)が2000以上、特に2500以上であり、ま
た、下記式: TCC(%)={ε(T)−ε(20℃)}×100/
ε(20℃) 式中、ε(T)は、任意の温度T(℃)での比誘電率を
示し、ε(20℃)は、20℃での比誘電率を示す、で
表される温度変化率TCCは、±10%以内であり、且
つヒステレシス曲線から下記式: Δε/ε(%)={ε(800V)−ε(0V)}×1
00/ε(0V) 式中、ε(800V)は、800Vの直流電圧を印加し
た時の比誘電率、ε(0V)は、直流電圧を印加しない
時の比誘電率である、で算出される比誘電率のDCバイ
アス依存性Δε/εは、−20%以内である。また、上
述した誘電体磁器により形成された誘電体層と卑金属か
らなる内部電極層とを交互に積層してなる本発明の積層
型電子部品は、誘電体磁器が上記特性を有していること
から、誘電体層の薄層化により、積層数を増やすことな
く、静電容量の大容量化を図ることができ、積層コンデ
ンサとして極めて有用である。また、上記誘電体磁器の
結晶粒径が小さいため、該誘電体磁器により形成される
誘電体層の薄層化も極めて容易であり、さらなる静電容
量の向上、さらなる小型化が実現できる。さらに卑金属
を内部電極として用いることにより、安価な積層型電子
部品が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】(結晶粒子)本発明の誘電体磁器
は、BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子とを含有するも
のであり、上述した様に、このような2種の結晶粒子が
共存していることにより、優れた特性を示す。BCT型
結晶粒子は、Aサイト(Baサイト)の一部がCaで置
換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理
想的には、下記式: (Ba1−xCa)TiO で表されるが、本発明においては、Mg及び希土類元素
が、通常、このBサイトに固溶している(Aサイトに固
溶していることもある)。一方、BT型結晶粒子は、C
a非置換型のペロブスカイト型チタン酸バリウムであ
り、理想的には、下記式: BaTiO で表されるが、上記のBCT型結晶粒子と同様、このB
T型結晶粒子においても、このBサイトに、通常、Mg
及び希土類元素が固溶している。
【0015】本発明において、上記BCT型結晶粒子に
おけるAサイト中のCa置換量は、2〜22モル%、特
に5〜15モル%であることが好ましい。Ca置換量が
この範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温に
シフトし、BT型結晶粒子との共存構造により、コンデ
ンサとして使用する温度範囲において優れたDCバイア
ス特性を確保できるからである。例えば、Ca置換量が
上記範囲よりも少量の時は、その誘電特性は、BT型結
晶粒子と大きな差異がなく、BCT型結晶粒子を用いる
有効性が小さくなってしまう。一方、Ca置換量が上記
範囲よりも多くなると、CaTiOが容易に析出して
しまい、誘電率の低下を生じるおそれがある。
【0016】また、BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒
子は、何れも、0.2〜0.8μmを有しており、特に
比誘電率を高め、且つ比誘電率の温度依存性を抑制する
ためには、0.3〜0.7μmの平均粒径を有している
ことが好ましい。例えば、これら結晶粒子の平均粒径が
0.2μmよりも小さいと、これら結晶粒子の比誘電率
は何れも低く、誘電体磁器の比誘電率を高めることが困
難となってしまう。また、焼成に際して、両者の間で容
易に固溶が生じ、共存構造の実現が困難となるからであ
る。更に、これら結晶粒子の平均粒径が0.8μmより
も大きくなると、その粒子サイズの増大に伴って、比誘
電率が単調に減少してしまい、やはり高誘電率の誘電体
磁器を得ることができなくなってしまう。
【0017】本発明においては、既に述べた通り、BC
T型結晶粒子及びBT型結晶粒子の何れにも、Mg及び
希土類元素が固溶している。これらの元素成分は、原料
粒子の焼結性を高め、粒成長を抑制し、前述した平均粒
径の結晶粒子を形成させるための焼結助剤として使用さ
れるMg化合物及び希土類元素化合物に由来するもので
あり、希土類元素としては、特に制限されるものではな
いが、特にY、Tb、Dy、Ho、Er及びYbを例示
することができ、これら希土類元素は、一種単独でも2
種以上であってもよい。また、Mg及び希土類元素は、
焼結助剤に由来するものであることから、用いたMg及
び希土類元素の殆どがBCT結晶粒子中及びBT結晶粒
子中固溶するが、一部が、これら結晶粒子の粒界に存在
する場合がある。粒界に存在する場合は主として非晶質
として存在する。
【0018】上述したBCT結晶粒子及びBT結晶粒子
内に固溶したMg及び希土類元素は、何れの結晶粒子に
おいても、粒子の中心部に比して粒子表面に多く分布し
ている。即ち、BCT結晶粒子及びBT結晶粒子の何れ
も、粒子表面にMg及び希土類元素が偏在したコアシェ
ル構造を有している。このようなコアシェル構造が形成
される理由は以下の通りである。BT及びBCT結晶粒
子は、何れも、焼結時に原子拡散による粒成長を起こし
やすく、微小粒径の緻密焼結体を得にくい。特に、用い
た原料粒子サイズがサブミクロンより小さい場合、粒子
体積に対し、表面積が大きな割合を占め、表面エネルギ
ーが大きいことによって、エネルギー的に不安定な状態
になってしまう。このため、焼成に際して、原子拡散に
よる粒成長を生じ、表面積が小さくなって表面エネルギ
ーの低下による安定化が生じる。従って、粒成長が起こ
りやすく、微小サイズの粒子からなる緻密焼結体は得に
くいものとなっている。具体的には、0.2μmより小
さい微小粒子サイズのBTおよびBCTの焼結体は、容
易に固溶・粒成長を生じ、粒子間の原子の移動を抑制す
るものを粒子間に導入しなければ1μmを越える大きな
粒子サイズからなる焼結体が形成されてしまい、サブミ
クロン以下の微小粒子サイズからなる緻密な焼結体を得
るのは困難である。しかるに、微小結晶原料とともに、
MgとYの様な希土類元素を添加剤として導入し、さら
に焼成条件を調整する事により、原料結晶粒子のサイズ
を反映した微小粒子焼結体を得る事ができる。これらの
添加物は、粒子表面に拡散し液相を形成する事により、
焼結を促進するとともに、粒界近傍及び粒界に存在して
母相であるBT、BCT結晶粒子間におけるBa、C
a、Ti原子の移動を抑制し、粒成長を抑制する。この
結果、結晶粒子表面に、Mg及び希土類元素が拡散固溶
した結晶相が形成されることになる。即ち、Mg及び希
土類元素が粒子表面に偏在したコアシェル構造が形成さ
れる。尚、このようなコアシェル構造の形成は、これら
の結晶粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確
認することができる。
【0019】上述したBCT型結晶粒子及びBT型結晶
粒子は、合計で92重量%以上の割合で誘電体磁器中に
含まれていることが好ましい。即ち、その合計量が92
重量%よりも少ないと、これら結晶粒子の優れた特性が
損なわれてしまうおそれがある。また、BCT型結晶粒
子とBT型結晶粒子とは、BCT/BT=0.05乃至
20、特に、0.25乃至4のモル比で存在しているこ
とが好ましい。即ち、BCT型結晶粒子の割合が上記範
囲よりも少ないか或いはBT型結晶粒子の割合が上記範
囲よりも多いと、BCT型結晶粒子の優れた特性、例え
ば温度特性やDCバイアス特性が損なわれてしまうおそ
れがある。また、BCT型結晶粒子の割合が上記範囲よ
りも多いか或いはBT型結晶粒子の割合が上記範囲より
も少ないと、BT型結晶粒子を共存させた技術的意義が
失われ、例えば誘電率の低下を生じたり、BCT結晶粒
子における焼成時のCa拡散を有効に抑制することが困
難となり、焼結性の低下や粒成長を生じ、BT及びBC
T結晶粒子のコアシェル構造の形成が抑制され、温度特
性やDCバイアス特性の低下を生じるおそれがある。
【0020】また本発明の誘電体磁器においては、それ
ぞれ酸化物換算で、0.05乃至0.5重量%、特に
0.1乃至0.5重量%のMgと、0.1乃至1.7重
量%、特に0.1乃至1.5重量%の希土類元素とを含
有していることが好ましい。これらは、前記の如く、焼
結助剤に由来する元素成分であり、少なくとも一部はB
CT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に固溶している。
これら元素成分の量が上記範囲よりも少ないと、緻密な
焼結体を得ることが困難となるばかりか、コアシェル構
造も有効に形成されず、誘電体磁器の温度特性やDCバ
イアス特性も低下する傾向がある。また、これらの元素
成分の量が上記範囲よりも多いと、上記結晶粒子の粒界
への析出量が増大する結果、誘電体磁器の優れた特性が
全般的に低下する傾向がある。
【0021】(他の成分)さらに、本発明の誘電体磁器
は、上述した結晶粒子やMg、希土類元素成分以外の他
の成分を含有していてもよく、例えば、Mnを、MnC
換算で0.4重量%以下、特に0.05乃至0.4
重量%の割合で含有していることができる。Mnは、還
元雰囲気における焼成によって生成するBT、BCT結
晶中の酸素欠陥を補償し、絶縁的信頼性を向上させるた
めに使用される助剤に由来するものであり、このような
Mn成分を含有させることにより、誘電体磁器の電気的
絶縁性が増大し、また高温負荷寿命を大きくし、コンデ
ンサ等の電子部品としての信頼性が高められる。尚、M
n含量が上記範囲よりも多量となると、誘電体磁器の絶
縁性が低下するおそれがある。このようなMnは、主と
して非晶質でBT結晶粒子やBCT結晶粒子の粒界に存
在するが、その一部は、結晶粒子内に拡散固溶し(やは
り表面に偏在する)、コアシェル構造を形成することも
ある。また耐還元性を向上するとともに、異常粒成長を
抑制するために少量のBaCO3を含有していてもよ
い。また、結晶粒子の焼結性を高めるために、少量のガ
ラス成分を含有していてもよいし、更に少量のフィラー
等を含有していてもよい。
【0022】(誘電体磁器の製造)本発明の誘電体磁器
を製造するには、例えばゾルゲル法、蓚酸法、水熱合成
法により生成された、所定の組成を有するBCT粉末及
びBT粉末を用いる。これらBCT粉末及びBT粉末
は、Mgや希土類元素が固溶していないものである。
尚、Aサイトの一部がCaで置換されたBCT粉末は、
CaCO3とTiO2とCa非置換のBTとを混合し、1
000℃以上の温度で大気中で熱処理を行うことによっ
て得られる。また、焼成によって僅かであるが平均粒径
の変動を生じることがあるため、前述したサブミクロン
オーダーの平均粒径を有するBCT型結晶粒子及びBT
型結晶粒子を析出させるために、用いるBCT粉末及び
BT粉末の平均粒径は0.1〜1μmの範囲にあるのが
よい。BCT粉末とBT粉末との混合比は、例えば、モ
ル比が前述した範囲となるように設定される。
【0023】上記のBCT粉末とBT粉末との混合粉末
に、所定量のMg及び希土類元素の酸化物あるいは炭酸
塩、更に必要により、Mnの炭酸塩やガラス等の任意成
分を加えて回転ミルなどで10〜30時間湿式混合し、
乾燥する。次いで、ポリビニルアルコール等の有機バイ
ンダや有機溶媒を所定量添加して成形用スラリーを調製
する。このスラリーを、引き上げ法、ドクターブレード
法、リバースロールコータ法、グラビアコータ法、スク
リーン印刷法、グラビア印刷等の周知の成形法を用いて
所定形状に成形し、成形体を、大気中、真空中または窒
素中で脱脂した後、大気中または還元雰囲気中で、11
50〜1350℃、特に1200〜1300℃の焼成温
度で1〜10時間焼成することにより、本発明の誘電体
磁器を得ることができる。かくして得られる本発明の誘
電体磁器は、高誘電率を有し、しかも、誘電特性の温度
依存性やDCバイアス依存性も極めて小さいという極め
て優れた特性を有している。例えば、20℃での比誘電
率ε(20℃)が2000以上、特に2500以上であ
り、温度変化率TCCは、±10%以内であり、比誘電
率のDCバイアス依存性Δε/εは、−20%以内であ
る。
【0024】(積層型電子部品)上記のような特性を有
する本発明の誘電体磁器は、例えば誘電体層に印加され
る直流電圧が2V/μm以上であるような高電圧用の積
層セラミックコンデンサとして有効に適用される。この
積層型電子部品は、上述した誘電体磁器から形成された
誘電体層と、卑金属からなる内部電極層とを交互に積層
して構成され、通常、この積層体の側面には、内部電極
層と電気的に接続された外部電極が設けられており、こ
の外部電極を通じて静電容量が取り出されるようになっ
ている。また、内部電極層を形成する卑金属としては、
Ni、Cu等があるが、特に安価という点からNiが好
適に使用される。
【0025】かかる積層型電子部品は、先に述べた誘電
体磁器の製造方法に準拠して製造される。即ち、先に述
べた方法にしたがって、本発明の誘電体磁器を製造する
ための成形用スラリーを調製し、前記成形法により、誘
電体層を形成するセラミックグリーンシート(誘電体シ
ート)を成形する。この誘電体シートの厚みは、電子部
品の小型、大容量化という見地から、1〜10μm、特
に1〜5μmであることが望ましい。次に、この誘電体
シートの表面に、Ni等の卑金属を含有する導電性ペー
ストを、スクリーン印刷法、グラビア印刷、オフセット
印刷法等の周知の印刷方法により塗布し内部電極パター
ンを形成する。内部電極パターンの厚みは、コンデンサ
の小型、高信頼性化という点から2μm以下、特に1μ
m以下であることが望ましい。このようにして表面に内
部電極パターンが塗布された誘電体シートを複数枚積層
圧着し、この積層成形体を、大気中250〜300℃、
または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中500
〜800℃で脱脂した後、非酸化性雰囲気で1150〜
1350℃で2〜3時間焼成する。さらに、所望によ
り、酸素分圧が0.1〜10−4Pa程度の低酸素分圧
下、900〜1100℃で5〜15時間再酸化処理を施
すことにより、還元された誘電体層が酸化され、良好な
絶縁特性を有する誘電体層と内部電極層とが交互に積層
された積層体が得られる。最後に、得られた積層焼結体
に対し、各端面にCuペーストを塗布して焼き付け、N
i/Snメッキを施し、内部電極と電気的に接続された
外部電極を形成して積層セラミックコンデンサが得られ
る。
【0026】このような積層セラミックコンデンサから
なる積層型電子部品では、高誘電率で、優れたDCバイ
アス特性を有する本発明の誘電体磁器により形成された
誘電層を備えているため、印加直流電圧が2V/μm以
上であるような高電圧用に極めて有用であり、また、高
容量化・小型化をさらに推し進めることができる。更
に、平均粒径の小さい誘電体磁器を用いていることによ
り、誘電体層厚みを容易に薄層化することができ、静電
容量の向上、小型化が可能になると共に、Ni、Cu等
の卑金属を導体として用いることにより、安価な積層セ
ラミックコンデンサが得られる。
【0027】
【実施例】実験例1 水熱合成法により得られたBaTiO(平均粒径0.
1μm)粉末と、CaCO粉末(平均粒径0.3μ
m)と、TiO粉末(平均粒径0.1μm)を混合
し、1000℃以上の温度で大気中熱処理を行い、表1
に示すようなCa置換量及び平均粒径を有するBCT粉
末を調製した。尚、表1において、Ca置換量は、式:
(Ba1−xCa)TiOにおけるxの値で示し
た。上記のBCT粉末と、表1に示す平均粒径を有する
BT粉末とを、表1に示す割合で混合し、更にMgCO
、Y、Tb、Dy、Ho
Er、Yb、MnCO、BaCOを表
1に記載する量だけ添加した。(尚、表1において、M
g量は酸化物換算での値で示した。)更にSi、Li、
Ba及びCaを含有するガラスフィラーを、全量中1.
2重量%添加し、イソプロパノール(IPA)を溶媒と
して3mmφのZrOボールを用いて回転ミルで12
時間湿式混合した。得られたスラリーを乾燥した後、有
機バインダを約2重量%添加して造粒し、これを厚さ約
1mm、直径16mmに成形した。この成形体を脱脂し
た後、大気中にて表1に示す温度で2時間焼成し、誘電
体磁器(試料No.1〜32)を得た。
【0028】この焼結体の断面を、マイクロオージェ電
子分光法により観察し、Ca元素を含有する粒子と含有
しない粒子を、それぞれBCT及びBTと同定し、イン
ターセプト法により、BCT結晶粒子及びBT結晶粒子
の平均粒径を求めた。さらに、上記誘電体磁器を厚さ4
00μmに研磨加工し、試料上下面にIn−Gaを塗布
して電極を形成した。電気特性は、LCRメータを用い
て−25℃〜85℃の温度範囲で、AC1V、測定周波
数:1kHzの条件で静電容量を測定し、比誘電率を算
出した。比誘電率の温度変化率TCCを、下記式: TCC(%)={ε(T)−ε(20℃)}×100/
ε(20℃) より求めた。20℃を基準温度としている。また、分極
−電界ヒステレシス特性測定装置を用いて、DCオフセ
ット電圧(800V)を30秒印加後、DCオフセット
電圧を印加したままで、微小電圧(100V,100H
z)によるヒステレシス曲線を測定し、その傾きからD
Cバイアス印加時の比誘電率ε(800V)を算出し、
下記式: △ε/ε={ε(800V)−ε(0V)}×100/
ε(0V) により、20℃での比誘電率のDCバイアス依存性△ε
/εを求めた。上記結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】この表2から、BCTを含まない試料N
o.1は、比誘電率は約3340と大きいが、DCバイ
アス依存性が−34%と大きい。一方、BTとBCTの
共存構造の実現した本発明の試料では、比誘電率200
0以上、特には2500以上、比誘電率の変化率も±1
0%以内であり、かつDCバイアス依存性も−20%以
内と優れている。また、本発明の試料では、マイクロオ
ージェ電子分光法及び透過型電子顕微鏡により誘電体磁
器の粒子の結晶構造、組成を分析したところ、BT、B
CT結晶粒子が存在しており、各BT、BCT結晶粒子
内において、中心部と周辺部において組成の相違が確認
でき、Ba、Ca、Tiは均一に存在し、周辺部におい
てはMgと、Y、Tb、Dy、Ho、Er、Ybが検出
されたが、中心部においては検出されず、いわゆるコア
シェル構造を呈していた。一方、試料No.29におい
ては、BTとBCT及び添加物が完全固溶し、所望の構
造が得られなかった。また、原料粒径が1μmであり、
焼結体平均粒子径が1μmであるNo.30、31、3
2についても良好なDCバイアス特性が得られなかっ
た。
【0033】実験例2 まず、実験例1と同様にして、BCT粉末、BT粉末、
MgCO、MnCO 、Y、BaCOを表1
に示す割合で混合し、更に、ブチラール樹脂およびトル
エンを加えてセラミックスラリーを調製した。このスラ
リーを、ドクターブレード法によりPETフィルム上に
塗布し、乾燥機内で60℃で15秒間乾燥後、これを剥
離して厚み9μmのセラミックグリーンシートを形成
し、これを10枚積層して端面セラミックグリーンシー
ト層を形成した。そして、これらの端面セラミックグリ
ーンシート層を、90℃で30分の条件で乾燥させた。
この端面セラミックグリーンシート層を台板上に配置
し、プレス機により圧着して台板上にはりつけた。一
方、PETフィルム上に、上記と同一のセラミックスラ
リーをドクターブレード法により塗布し、60℃で15
秒間乾燥後、厚み5.5μmのセラミックグリーンシー
トを多数作製した。次に、平均粒径0.2μmのNi粉
末の合量45重量%に対して、エチルセルロース5.5
重量%とオクチルアルコール94.5重量%からなるビ
ヒクル55重量%を3本ロールで混練して内部電極ペー
ストを作製した。この後、得られたセラミックグリーン
シートの一方の表面に、スクリーン印刷装置を用いて、
上記した内部電極ペーストを内部電極パターン状に印刷
し、グリーンシート上に長辺と短辺を有する長方形状の
内部電極パターンを複数形成し、乾燥後、剥離した。こ
の後、端面セラミックグリーンシート層の上に、内部電
極パターンが形成されたグリーンシートを300枚積層
し、この後、端面セラミックグリーンシートを積層し、
コンデンサ本体成形体を作製した。
【0034】次に、コンデンサ本体成形体を金型上に載
置し、積層方向からプレス機の加圧板により圧力を段階
的に増加して圧着し、この後さらにコンデンサ本体成形
体の上部にゴム型を配置し、静水圧成形した。この後、
このコンデンサ本体成形体を所定のチップ形状にカット
し、大気中300℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲
気中500℃に加熱し、脱バインダーを行った。さら
に、10−7Paの酸素/窒素雰囲気中、1200〜1
250℃で2時間焼成し、さらに、10−2Paの酸素
/窒素雰囲気中にて1000℃で再酸化処理を行い、電
子部品本体を得た。焼成後、電子部品本体の端面にCu
ペーストを900℃で焼き付け、さらにNi/Snメッ
キを施し、内部電極と接続する外部端子を形成した。こ
のようにして得られた積層セラミックコンデンサの内部
電極間に介在する誘電体層(試料No.33、34)の
厚みは4μmであった。また誘電体層の有効積層数は3
00層であった。表2に測定結果を示す。尚、DCバイ
アス依存性△ε/εは、下記式: {ε(8V)−ε(0V)}×100/ε(0V) より求め、その他の特性は実験例1と同様にして求め
た。表2の結果から、比誘電率は3000以上を示し、
温度変化率、DCバイアスとも優れた特性を示した。
【0035】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器では、比誘電率が2
000以上で、比誘電率の温度特性が±10%以内で、
かつ2V/μmのDCバイアス印加による比誘電率の変
化率が20%以内の特性を有し、それにより高電圧が印
加されても静電容量の低下率が小さい小型・高容量の積
層セラミックコンデンサを実現することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA03 AA04 AA06 AA07 AA08 AA11 AA19 CA01 CA03 CA04 CA07 5E001 AB03 AE02 AE03 AH01 AH09 AJ01 AJ02 5G303 AA01 AB05 AB11 AB20 BA12 CA01 CB03 CB06 CB17 CB18 CB35 CB40 CB41 CC03 CD01 DA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Aサイトの一部がCaで置換されたペロ
    ブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶
    粒子)と、置換Caを含有していないペロブスカイト型
    チタン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)と、Mg
    及び希土類元素とを含有し、 前記Mg及び希土類元素の少なくとも一部は、それぞ
    れ、前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子中に固溶
    しており、 前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の何れもが、
    0.2〜0.8μmの平均粒径を有していることを特徴
    とする誘電体磁器。
  2. 【請求項2】 前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒
    子は、何れもMg及び希土類元素が粒子中心よりも粒子
    表面側に偏在したコアシェル型構造を有している請求項
    1に記載の誘電体磁器。
  3. 【請求項3】 前記希土類元素が、Y、Tb、Dy、H
    o、ErおよびYbから成る群より選択された少なくと
    も1種である請求項1に記載の誘電体磁器。
  4. 【請求項4】 前記BCT型結晶粒子は、Aサイトの2
    〜22モル%がCaで置換されている請求項1に記載の
    誘電体磁器。
  5. 【請求項5】 前記BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒
    子を、合計で、92重量%以上含有している請求項1に
    記載の誘電体磁器。
  6. 【請求項6】 前記BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子
    とを、BCT/BT=0.05乃至20のモル比で含有
    している請求項5に記載の誘電体磁器。
  7. 【請求項7】 酸化物換算で、0.05乃至0.5重量
    %のMgを含み、且つ酸化物換算で0.1乃至1.7重
    量%の希土類元素を含有している請求項5に記載の誘電
    体磁器。
  8. 【請求項8】 前記Mg及び希土類元素の一部は、前記
    BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の粒界に非晶質の
    形で存在している請求項1に記載の誘電体磁器。
  9. 【請求項9】 マンガンをMnCO換算で0.4重量
    %以下の量で含有している請求項1に記載の誘電体磁
    器。
  10. 【請求項10】 誘電体層と卑金属からなる内部電極層
    とを交互に積層してなる積層型電子部品であって、前記
    誘電体層が、請求項1の誘電体磁器から形成されている
    ことを特徴とする積層型電子部品。
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