JP2002267844A - 位相差フイルムロール及びその製造方法 - Google Patents

位相差フイルムロール及びその製造方法

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JP2002267844A
JP2002267844A JP2001071485A JP2001071485A JP2002267844A JP 2002267844 A JP2002267844 A JP 2002267844A JP 2001071485 A JP2001071485 A JP 2001071485A JP 2001071485 A JP2001071485 A JP 2001071485A JP 2002267844 A JP2002267844 A JP 2002267844A
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polymer
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Yoji Ito
洋士 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロール状位相差フイルムから作製された偏光
板を液晶表示装置に用いた場合に、表示画面に生じる欠
陥やゴミの付着を減少すること。 【解決手段】 波長450、550、および650nm
でのレターデーション値(Re450、Re550、お
よびRe650)が、下記式(1)と(2)を満たす長
尺状ポリマーフイルムからなり、該フイルム面内の遅相
軸方向の屈折率nx、遅相軸に垂直な方向の屈折率n
y、および厚み方向の屈折率nzが、0.5≦(nx−
nz)/(nx−ny)≦2を満たす長尺状位相差フイ
ルムが、その少なくとも一方の表面に剥離可能な保護膜
が積層された状態でロール状に巻き取られてなる位相差
フイルムロール。 0.6 <(Re450)/(Re550)<0.97:(1) 1.01<(Re650)/(Re550)<1.4 :(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーフイルム
からなる位相差フイルムに関する。特に本発明は、液晶
表示装置に用いられるλ/4板もしくはλ/2板、光デ
ィスクの書き込み用の光ピックアップ装置に用いられる
λ/4板、および反射防止膜として用いられるλ/4板
として用いることのできる位相差フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】λ/4板およびλ/2板などに代表され
る位相差フイルムは、反射防止膜や液晶表示装置に関連
する多くの用途に用いられている。しかし、λ/4板あ
るいはλ/2板と称していても、ある特定波長に対して
λ/4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
特開平5−27118号および同5−27119号の各
公報には、レターデーションが大きい複屈折性フイルム
と、レターデーションが小さい複屈折性フイルムを、そ
れらの光軸が互いに直交するように積層させた位相差フ
イルムが開示されている。二枚のフイルムのレターデー
ションの差が可視光域の全体にわたりλ/4またはλ/
2であれば、位相差フイルムは理論的には、可視光域の
全体にわたりλ/4板またはλ/2板として機能する。
【0003】特開平10−68816号公報に、特定波
長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、そ
れと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となって
いるポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域で
λ/4が得られる位相差フイルムが開示されている。特
開平10−90521号公報にも、二枚のポリマーフイ
ルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成
できる位相差フイルムが開示されている。特開平200
0−137116号、国際特許出願WO00/2670
5号および同WO00/65384号の各明細書には、
従来複数枚のポリマーフイルムを用いて得られていた広
帯域λ/4板を一枚のポリマーフイルムで実現し、さら
に、このλ/4板を反射型液晶表示装置に用いた場合
に、充分にコントラスト特性を改善できることが記載さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなλ/4板も
しくはλ/2板などの位相差フイルムを実現するポリマ
ーフイルムは、ロール状に巻き取られて偏光板メーカー
に出荷されることが多い。偏光板メーカーにおいては、
入荷したロール状の位相差フイルムを巻き出して、偏光
板(または偏光膜)などと貼り合わせる。このような工
程に関しての本発明者の検討の結果、貼り合わせの工程
において、位相差フイルム(ポリマーフイルム)の引掻
強度が低いために、擦り傷やゴミを発生し、ウェブハン
ドリングしにくいという問題があった。また、貼り合わ
せ後の位相差フイルムと偏光板は、さらに液晶表示装置
に貼り合わされる。このような貼り合わせの工程におい
ても、位相差フイルムは製造設備に設けられた多数のロ
ールにより搬送されるために、ロールによる擦り傷を生
じたり、ゴミが付着する問題のあることがわかった。こ
のような位相差フイルムの表面に発生した擦り傷や、位
相差フイルムに付着したゴミは、液晶表示装置の表示画
面上で、欠陥として現れる問題があった。
【0005】従って、本発明の目的は、λ/4板(もし
くはλ/2板)として利用できるポリマーフイルムから
なる位相差フイルムの傷つきやゴミの付着を防止し、歩
留まりの高いロール状の位相差フイルムを提供すること
にある。別の本発明の目的は、傷付きやゴミの付着を防
止することで、位相差フイルムを、液晶表示装置などに
代表される様々な用途に問題なく使用することを可能と
することにもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、長尺状の位
相差フイルムを、その少なくとも一方の面に剥離可能な
保護膜が積層された状態でロール状に巻き取ることで、
表面の傷やゴミの付着が防止できることを見出した。こ
のような保護膜の詳細については後述する。本発明は、
波長450nmで測定したレターデーション値(Re4
50)、波長550nmで測定したレターデーション値
(Re550)、および波長650nmで測定したレタ
ーデーション値(Re650)が、下記式(1)および
(2)を満足する長尺状ポリマーフイルムからなり、そ
して該ポリマーフイルム面内の遅相軸方向の屈折率n
x、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚
み方向の屈折率nzが、0.5≦(nx−nz)/(n
x−ny)≦2の関係を満足する長尺状位相差フイルム
が、その少なくとも一方の表面に、該フイルムの表面を
傷付けることなく剥離可能な保護膜が積層された状態で
ロール状に巻き取られてなる位相差フイルムロールにあ
る。 0.6 <(Re450)/(Re550)<0.97:(1) 1.01<(Re650)/(Re550)<1.4 :(2)
【0007】本発明の位相差フイルムロールは、ポリマ
ーと溶媒とを含むポリマー溶液を溶液流延法により仮支
持体上に流延して長尺状ポリマーフイルムを形成する工
程、該ポリマーフイルムを仮支持体から剥離し、次いで
延伸することにより所定の光学特性を有するポリマーフ
イルムからなる長尺状位相差フイルムを形成する工程、
該位相差フイルムの少なくとも一方の表面に保護膜を剥
離可能に設ける工程、そして保護膜が設けられた位相差
フイルムをロール状に巻き取る工程を含む製造方法によ
り有効に製造することができる。上記保護膜は、位相差
フイルムとして用いるポリマーフイルムの、仮支持体に
接していた側の面に設けることが好ましい。
【0008】本発明の位相差フイルムロールの好ましい
態様は下記の通りである。 (1)保護膜が、水溶性ポリマーからなる。 (2)水溶性ポリマーが、ゼラチン、アルブミン、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、プルラン、ザンタンガム、ペクチ
ン、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリ−N−メチルピロリ
ドン、ポリアクリルアミド、またはアクリル酸共重合
体、メタクリル酸共重合体、ビニルベンゼンスルフォン
酸共重合体、および無水マレイン酸共重合体のうちのい
ずれかの部分加水分解物である。 (3)保護膜として、合成ポリマーから予め形成された
ポリマーフイルムを用いる。 (4)保護膜の厚さが、0.1乃至100μmの範囲に
ある。 (5)ポリマーフイルムが、ポリカーボネートまたは変
性ポリカーボネートからなる。 (6)ポリマーフイルムが、芳香族環を少なくとも二つ
有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子
構造を有する化合物を含むセルロースアセテートフイル
ムである。
【0009】
【発明の効果】本発明者は、ポリマーフイルムからなる
長尺状位相差フイルムを、その少なくとも一方の表面に
剥離可能な保護膜を積層した状態でロール状に巻き取る
ことで、位相差フイルム表面の傷付きやゴミの付着を防
止することに成功した。位相差フイルムは、ロール状に
巻き取られた状態で出荷され、偏光板(あるいは液晶表
示装置)の製造工程において多数のロールにより搬送さ
れることが多い。本発明の位相差フイルムロールは、位
相差フィルムを用いた偏光板などの製造工程において、
傷付きの発生する工程を経た後に所望の場所において表
面に設けられた保護膜を剥離することができる。従っ
て、本発明の位相差フイルムロールを用いることで、従
来の位相差フイルムを取り扱う上で問題となっていた表
面の傷付きなどを効果的に防止することができ、実用的
な使用に適した位相差フイルムを提供することができ
る。本発明の位相差フイルムロールを液晶表示装置に用
いることで、表示画面に現れる欠陥を減少できるため、
液晶表示装置(または偏光板)の歩留まりを向上するこ
とができる。
【0010】
【発明の実施の形態】[位相差フイルムロール]本発明
の位相差フイルムロールは、波長450nmで測定した
レターデーション値(Re450)、波長550nmで
測定したレターデーション値(Re550)、および波
長650nmで測定したレターデーション値(Re65
0)が下記式(1)および(2)を満たし、かつフイル
ムの面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂
直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nz
が、0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関
係を満足する長尺状位相差フイルム(一枚のフイルムか
らなることが好ましい)の少なくとも一方の面に、剥離
可能な保護膜を積層した状態でロール状に巻き取ること
で得られる。 0.6 <Re(450)/Re(550)<0.97 (1) 1.01<Re(650)/Re(550)<1.4 (2)
【0011】レターデーション値(Re)は、下記式に
従って算出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差フイルムの面内の遅相軸方向の屈
折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差フイ
ルムの面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そし
て、dは、位相差フイルムの厚さ(nm)である。
【0012】さらに、位相差フイルムは下記式を満足す
る。 0.5≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 式中、nzは、位相差フイルムの厚み方向の屈折率であ
る。液晶表示装置に用いた場合の視野角の観点から、
1.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦1.8であ
ることが好ましく、更に好ましいのは1.3≦(nx−
nz)/(nx−ny)≦1.7である。
【0013】位相差フイルムを構成するポリマーフイル
ム(通常は一枚)の厚さは、5乃至1000μmである
ことが好ましく、10乃至500μmであることがさら
に好ましく、40乃至200μmであることがさらに好
ましく、70乃至120μmであることが最も好まし
い。
【0014】位相差フイルムをλ/4板として使用する
場合は、波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が100乃至125nmであり、かつ波
長590nmで測定したレターデーション値(Re59
0)が120乃至160nmであり、そして、Re59
0−Re450≧2nmの関係を満足する。Re590
−Re450≧5nmであることがさらに好ましく、R
e590−Re450≧10nmであることが最も好ま
しい。波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が108乃至120nmであり、波長5
50nmで測定したレターデーション値(Re550)
が125乃至142nmであり、波長590nmで測定
したレターデーション値(Re590)が130乃至1
52nmであり、そして、Re590−Re550≧2
nmの関係を満足することが好ましい。Re590−R
e550≧5nmであることがさらに好ましい。また、
Re550−Re450≧10nmであることも好まし
い。
【0015】位相差フイルムをλ/2板として使用する
場合は、波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が200乃至250nmであり、かつ波
長590nmで測定したレターデーション値(Re59
0)が240乃至320nmであり、そして、Re59
0−Re450≧4nmの関係を満足する。Re590
−Re450≧10nmであることがさらに好ましく、
Re590−Re450≧20nmであることが最も好
ましい 波長450nmで測定したレターデーション値(Re4
50)が216乃至240nmであり、波長550nm
で測定したレターデーション値(Re550)が250
乃至284nmであり、波長590nmで測定したレタ
ーデーション値(Re590)が260乃至304nm
であり、そして、Re590−Re550≧4nmの関
係を満足することが好ましい。またRe590−Re5
50≧10nmであることがさらに好ましく、Re59
0−Re550≧20nmであることが最も好ましい。
また、Re550−Re450≧20nmであることも
好ましい。
【0016】[ポリマー]位相差フイルムとして用いる
ポリマーフイルムを構成するポリマーに特に限定はない
が、可視光の透過率が80%以上であるポリマーを用い
ることが好ましい。ポリマーの例としては、ポリカーボ
ネート、変性ポリカーボネート、およびセルロースエス
テル(特に好ましくはセルロースアセテート)を挙げる
ことができる。λ/4板(もしくはλ/2板)を実現す
るのに好ましいセルロースエステルの詳細については、
国際特許出願WO00/65384号明細書に、ポリカ
ーボネートおよび変性ポリカーボネートの詳細について
は、国際特許出願WO00/26705号明細書に記載
されている。
【0017】[ポリマーフイルムの製造]ポリマーフイ
ルムは溶液流延法により製造する。溶液流延法で用いる
溶媒として有機溶媒を用いるソルベントキャスト法によ
りポリマーフイルムを製造することが好ましい。ソルベ
ントキャスト法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶
液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。有機溶媒
は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が
3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステ
ルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素か
ら選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケト
ンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エ
ーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−
O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以
上有する化合物も、有機溶媒として用いることができ
る。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能
基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有
機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を
有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0018】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0019】一般的な方法でポリマー溶液を調製でき
る。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高
温)で処理することを意味する。溶液の調製は、通常の
ソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および
装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方
法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に
メチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマー
の量は、得られる溶液中に10乃至40質量%含まれる
ように調整する。ポリマーの量は、10乃至30質量%
であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中に
は、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶
液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒とを
攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶
液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的
には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉
し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が
沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温
度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至2
00℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃であ
る。
【0020】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0021】溶解するポリマーがセルロースアセテート
の場合、冷却溶解法により、溶液を調製することもでき
る。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させるこ
とが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させることが
できる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解できる
溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液
が得られるとの効果がある。冷却溶解法では最初に、室
温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加す
る。ポリマーの量は、この混合物中に10乃至40質量
%含まれるように調整することが好ましい。ポリマーの
量は、10乃至30質量%であることがさらに好まし
い。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加
しておいてもよい。
【0022】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷
却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始す
る時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始し
てから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値
である。
【0023】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだ
けでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4
℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上である
ことがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最
も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、100
00℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技
術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限
である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と
最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的
な加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上
のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不
充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよ
い。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外
観を観察するだけで判断することができる。
【0024】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0025】調製したポリマー溶液(ドープ)から、溶
液流延法(好ましくはソルベントキャスト法)により長
尺状のポリマーフイルムを製造する。ドープは、ドラム
またはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを
形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35
%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム
またはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが
好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾
燥方法については、米国特許2336310号、同23
67603号、同2492078号、同2492977
号、同2492978号、同2607704号、同27
39069号、同2739070号、英国特許6407
31号、同736892号の各明細書、特公昭45−4
554号、同49−5614号、特開昭60−1768
34号、同60−203430号、同62−11503
5号の各公報に記載がある。
【0026】ドープは、表面温度が10℃以下のドラム
またはバンド上に流延することが好ましい。流延した2
秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフ
イルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに10
0から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して
残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特
公平5−17844号公報に記載がある。この方法によ
ると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可
能である。この方法を実施するためには、流延時のドラ
ムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化する
ことが必要である。本発明に従い調製した溶液(ドー
プ)は、この条件を満足する。製造するフイルムの厚さ
は、40乃至120μmであることが好ましく、70乃
至100μmであることがさらに好ましい。
【0027】[レターデーション上昇剤]ポリマーフイ
ルム(特に好ましくはセルロースアセテートフイルム)
には、レターデーション上昇剤を添加することが好まし
い。レターデーション上昇剤としては、芳香族環を少な
くとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害
しない分子構造を有する化合物を使用できる。レターデ
ーション上昇剤は、ポリマー(特に好ましくはセルロー
スアセテート)100質量部に対して、0.01乃至2
0質量部の範囲で使用することが好ましい。少なくとも
二つの芳香族環を有する化合物は、炭素原子7個分以上
のπ結合性の平面を有する。二つの芳香族環の立体配座
を立体障害しなければ、二つの芳香族環は、同一平面を
形成する。ポリマーフイルムのレターデーションを上昇
させるためには、複数の芳香族環により同一平面を形成
することが重要である。本明細書において、「芳香族
環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環
を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベン
ゼン環)であることが特に好ましい。
【0028】芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ
環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または
7員環であることが好ましく、5員環または6員環であ
ることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、
最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原
子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特
に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサ
ゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾ
ール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、
ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、
ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれ
る。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフ
ェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、
イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミ
ジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が
好ましい。
【0029】レターデーション上昇剤が有する芳香族環
の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12
であることがより好ましく、2乃至8であることがさら
に好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。3以
上の芳香族環を有する場合、少なくとも二つの芳香族環
の立体配座を立体障害しなければよい。二つの芳香族環
の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単
結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合す
る場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形
成できない)。レターデーション上昇機能の観点では、
(a)〜(c)のいずれでもよい。ただし、(b)また
は(c)の場合は、二つの芳香族環の立体配座を立体障
害しないことが必要である。
【0030】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間
の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの
芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環ま
たは非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0031】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0032】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。ただし、置換基は、二つの芳香族環の立体
配座を立体障害しないことが必要である。立体障害で
は、置換基の種類および位置が問題になる。置換基の種
類としては、立体的に嵩高い置換基(例えば、3級アル
キル基)が立体障害を起こしやすい。置換基の位置とし
ては、芳香族環の結合に隣接する位置(ベンゼン環の場
合はオルト位)が置換された場合に、立体障害が生じや
すい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、B
r、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミ
ノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、
ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ
基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルア
ミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪
族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミ
ノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファ
モイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素
環基が含まれる。
【0033】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0034】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0035】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置
換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。
【0036】レターデーション上昇剤の分子量は、30
0乃至800であることが好ましい。レターデーション
上昇剤の沸点は、260℃以上であることが好ましい。
レターデーション上昇剤の具体例としては、特開200
0−111914、同2000−275434号、PC
T/JP00/02619号明細書に記載の化合物があ
げられる。
【0037】[延伸によるRe値のコントロール]ポリマ
ーフイルムは、延伸処理によって屈折率(面内の遅相軸
方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率
nyおよび厚み方向の屈折率nz)を調節することが好
ましい。固有複屈折率が正であると、ポリマー鎖が配向
した方向に屈折率が高くなる。このような固有複屈折率
が正のポリマーを延伸すると、通常、屈折率は、nx>
ny≧nzとなる。これは、面内の方向に配向したポリ
マー鎖が、延伸によってx成分が多くなり、z成分が最
も小さくなるためである。これにより、0.5≦(nx
−nz)/(nx−ny)の関係を満足することができ
る。さらに、(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関
係を満足するためには、一軸延伸の延伸倍率を制御する
か、あるいはアンバランスな二軸延伸を実施して屈折率
を調整すればよい。
【0038】具体的には、最大の延伸倍率SAと、その
延伸方向に垂直な方向の延伸倍率SBとが、1<SA/
SB≦3の関係を満足するように、一軸延伸またはアン
バランス二軸延伸を実施すればよい。延伸倍率は、延伸
する前の長さを1とする場合の相対的な値である。SB
は、1未満の値となる(言い換えると収縮する)場合も
ある。上記式の関係を満足すれば、SBは1未満の値で
あってもよい。さらに、延伸倍率は、正面レターデーシ
ョンがλ/4またはλ/2となるように調整する。
【0039】延伸処理は、同時処理であっても、逐次処
理であってもよいが、ムラの観点から逐次延伸が好まし
い。逐次延伸の場合、最大延伸する方向はフイルムの搬
送方向と一致することが好ましく、ロール間延伸法を用
いることが好ましい。該延伸方法の場合、ロール間距離
(L)と該フイルム幅(W)の比であるL/Wを大きく
すれば、するほど幅方向でのムラは小さくなり、最低で
も2.0以上とすることが必要である。ウェブをハンド
リングする上でロール間距離が大きくなりすぎると、ハ
ンドリングが不安定になるため、L/Wは5.0以下で
あることが好ましい。従って、位相差フイルムを得るに
はL/Wが、2.0乃至5.0の範囲にあることが好ま
しく、2.5乃至4.0の範囲にあることが、さらに好
ましい。該延伸方向と垂直方向に延伸する場合には、テ
ンター延伸装置を用いることが好ましい。
【0040】延伸温度はポリマーのガラス転移温度より
10℃以上高く、結晶化温度より20℃以上低い温度が
好ましく、ガラス転移温度より10℃以上高く、結晶化
温度より40℃以上低い温度がさらに好ましい。ここ
で、ガラス転移温度と結晶化温度は示差走査熱量計(D
SC)を用い、昇温速度10℃/minで測定したとき
の値である。延伸速度は特に制限はないが、1%/秒乃
至40%/秒の範囲にあることが好ましい。40%/秒
以上の延伸速度の場合には、レターデーションのムラが
発生しやすい。延伸処理は、複数回行われてもよく、同
時処理であっても逐次処理であってもよい。延伸時の残
留溶剤量は、共流延法で製膜したフイルムである場合、
0乃至5質量%の範囲にあることが好ましく、0乃至2
質量%の範囲にあることがさらに好ましい。単層流延法
の場合には5乃至60質量%の範囲にあることが好まし
く、10乃至50質量%の範囲にあることがさらに好ま
しく、10乃至40質量%の範囲にあることが最も好ま
しい。
【0041】延伸処理したフイルムに熱処理を施しても
良い。熱処理温度はポリマーフイルムのガラス転移温度
より20℃低い値から10℃高い温度で行うことが好ま
しい。熱処理時間は1秒間乃至3分間の範囲にあること
が好ましく、1秒間乃至2分間の範囲にあることがさら
に好ましく、1秒間乃至1分間の範囲にあることが最も
好ましい。加熱方法はゾーン加熱であっても、赤外線ヒ
ータのような部分加熱であっても良い。
【0042】[保護膜]本発明において、長尺状ポリマー
フイルムからなる位相差フイルムの少なくとも一方の面
には、剥離可能な保護膜が設けられる。保護膜はポリマ
ー溶液を塗布することにより設けてもよいし、予め作製
したポリマーフイルムを貼り合わせることにより設けて
も良い。保護膜を設けた後に、位相差フイルムをロール
状に巻き取ることで本発明の位相差フイルムロールが得
られる。保護膜の厚さは、0.1乃至100μmの範囲
にあることが好ましい。
【0043】保護膜をポリマー溶液の塗布により設ける
場合、ポリマーとしては無色透明なポリマーを用いるこ
とが好ましい。ベタ付きを防ぐために、ポリマーのTg
は室温(25℃)以上であることが好ましい。ポリマー
は、位相差フイルムを溶剤で犯す懸念のない水または溶
剤に可溶なポリマーであることが好ましい。水溶性ポリ
マーの例としては、ゼラチン、アルブミン等のタンパク
質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、プ
ルラン、ザンタンガム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、
でんぷん等の糖誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリ−N−メチルピロリドン、ポリ
アクリルアミド、そしてアクリル酸共重合体、メタクリ
ル酸共重合体、ビニルベンゼンスルフォン酸共重合体、
および無水マレイン酸共重合体の部分加水分解物等の合
成ポリマー等が挙げられる。
【0044】また位相差フイルムに影響のない溶剤を用
いる場合には、その溶剤に可溶なポリマーを用いればよ
い。このようなポリマーの例としては、セルロースブチ
レートフタレート、トリアセチルセルロース、ジアセチ
ルセルロース等のセルロール誘導体、ポリスチレン、ポ
リメチルメタクリレート、ポリ−スチレン−ビニルトル
エン、ポリブチルメタクリレーチ、ポリカーボネート、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の合成ポリマーが挙
げられる。位相差フイルムとして用いられるポリマーフ
イルムを犯す懸念のない溶剤を適宜選定し、その溶剤
と、その溶剤に可溶なポリマーから塗布液を作製して、
保護膜を塗設すればよい。また、保護膜の塗設は、公知
の方法(例えば、押し出しコーティング法、ダイレクト
グラビアコーティング法、リバースグラビアコーティン
グ法、ダイコーティング法、ロールコーティング法な
ど)により実施することができる。
【0045】位相差フイルムとしてセルロースアセテー
トフイルムを用いる場合、位相差フイルムに影響のない
溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、エチレングリコール、シク
ロヘキサノール、エーテル、n−ヘキサン、ベンゼン、
トルエン、キシレン、シクロヘキサン、四塩化炭素など
を挙げることができる。位相差フイルムとしてポリカー
ボネートフイルムを用いる場合、位相差フイルムに影響
のない溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコー
ル、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。塗
布液の塗れ性を良好にするために、位相差フイルム表面
に、コロナ、グロー、あるいは火炎処理のような処理を
施すことが好ましい。
【0046】また、保護膜として、予め作製したポリマ
ーフイルムを貼り合わせる場合には、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、およびポリ塩化ビニリデン等の薄いフイ
ルムを(加圧ローラなどを用いて)ラミネートすればよ
い。
【0047】保護膜の力学的強度を更に良化させるため
に、用いられるポリマーを架橋させることができる。ま
た保護膜中にはこれらのポリマー以外に、接着を防ぐた
めのマット剤、滑り性を良化させるための滑り剤、帯電
防止のための帯電防止剤等を添加してもよい。
【0048】本発明の位相差フイルムは、ポリマー(好
ましくはポリカーボネート系ポリマー、もしくはセルロ
ース系ポリマー)と溶媒とを含むポリマー溶液を溶液流
延法により仮支持体(バンドもしくはドラムなど)上に
流延して長尺状ポリマーフイルムを形成する工程、該ポ
リマーフイルムを仮支持体から剥離し、次いで延伸する
ことにより所定の光学特性を有するポリマーフイルムか
らなる長尺状位相差フイルムを形成する工程、該位相差
フイルムの少なくとも一方の表面に保護膜を剥離可能に
設ける工程、そして保護膜が設けられた位相差フイルム
をロール状に巻き取る工程を経ることで製造することが
できる。保護膜は、位相差フイルムとして用いるポリマ
ーフイルムの、仮支持体に接していた側の面に設けるこ
とが好ましい。
【0049】保護膜は、位相差フイルムの温度が10乃
至50℃の範囲にある状態で設けることがことが好まし
く、温度が高い場合には冷風を吹き付けるなど適当な方
法で冷却することが好ましい。
【0050】[円偏光板]λ/4板と偏光膜とを、λ/
4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が実質的
に45゜になるように積層すると円偏光板が得られる。
実質的に45゜とは、40乃至50゜であることを意味
する。λ/4板の面内の遅相軸の平均的な方向と偏光膜
の偏光軸との角度は、41乃至49゜であることが好ま
しく、42乃至48゜であることがより好ましく、43
乃至47゜であることがさらに好ましく、44乃至46
゜であることが最も好ましい。偏光膜には、ヨウ素系偏
光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏
光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一
般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造す
る。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方
向に相当する。偏光膜のλ/4板とは反対側の面には、
透明保護膜を設けることが好ましい。
【0051】[反射型液晶表示素子]反射型液晶表示装置
は、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、
透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。
下基板と反射電極が反射板を構成する。下配向膜〜上配
向膜が液晶セルを構成する。λ/4板は、反射板と偏光
膜との間の任意の位置に配置することができる。カラー
表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。
カラーフィルター層は、反射電極と下配向膜との間、ま
たは上配向膜と透明電極との間に設けることが好まし
い。反射電極の代わりに透明電極を用いて、別に反射板
を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反
射板としては、金属板が好ましい。反射板の表面が平滑
であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くな
る場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特
許275620号公報記載)を導入することが好まし
い。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造
を導入する代わりに)、偏光膜の片側(セル側あるいは
外側)に光拡散フイルムを取り付けてもよい。
【0052】液晶セルは、TN(twisted nematic )
型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN
(Hybrid Aligned Nematic)型であることが好ましい。
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であ
ることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに
好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。
液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)と
の積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであるこ
とが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさら
に好ましい。
【0053】STN型液晶セルのツイスト角は、180
乃至360゜であることが好ましく、220乃至270
゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性
(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値
は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.
5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。
【0054】HAN型液晶セルは、片方の基板上では液
晶が実質的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレ
チルト角が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層
の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積
(Δnd)の値は、0.1乃至1.0μmであることが
好ましく、0.3乃至0.8μmであることがさらに好
ましい。液晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の
基板であってもよいし、透明電極側の基板であってもよ
い。
【0055】反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時
に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモ
ードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示
であるノーマリーブラックモードでも用いることができ
る。ノーマリーホワイトモードの方が好ましい。
【0056】[ゲストホスト反射型液晶表示素子]ゲスト
ホスト反射型液晶表示素子は、下基板、有機層間絶縁
膜、金属反射板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液
晶層、上配向膜、上透明電極、光拡散板、上基板および
反射防止層が、この順に積層された構造を有する。下基
板および上基板は、ガラス板またはプラスチックフイル
ムからなる。下基板と有機層間絶縁膜との間には、TF
Tが取り付けられている。液晶層は、液晶と二色性色素
との混合物からなる。液晶層は、スペーサーにより形成
されているセルギャップに液晶と二色性色素との混合物
を注入して得られる。光拡散板を設ける代わりに、金属
反射板の表面に凹凸を付けることで、金属反射板に光拡
散機能を付与してもよい。反射防止層は、反射防止機能
に加えて、防眩機能も有していることが好ましい。
【0057】位相差フイルムロールを切断して得られる
λ/4板は、上記で説明した反射型液晶表示素子のλ/
4板として好ましく使用できる。λ/4板を備えた反射
型液晶表示素子については、特開平6−222350
号、同8−36174号、同10−268300号、同
10−292175号、同10−293301号、同1
0−311976号、同10−319442号、同10
−325953号、同10−333138号、および同
11−38410号の各公報に記載がある。
【0058】
【実施例】[比較例1] (位相差フイルムロールAの作製)下記の組成物を混合
して、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製し
た。
【0059】 ──────────────────────────────────── セルロースアセテート溶液組成 ──────────────────────────────────── セルロースアセテート(酢化度59.5%) 120質量部 トリフェニルホスフェート 9.36質量部 ビフェニルジフェニルホスフェート 4.68質量部 下記のレターデーション上昇剤 1.2質量部 トリベンジルアミン 2.4質量部 メチレンクロリド 543.14質量部 メタノール 99.35質量部 n−ブタノール 19.87質量部 ────────────────────────────────────
【0060】
【化1】
【0061】バンド流延機を用いてドープを製膜バンド
上に流延し、室温で1分間乾燥後、さらに45℃で5分
間乾燥した。乾燥後のセルロースアセテートフイルム中
の溶剤残留量が30質量%の状態で、フイルムをバンド
から連続的に剥離し、120℃で10分間乾燥した後、
130℃で流延方向と平行な方向に1.52倍の倍率で
延伸して長尺状位相差フイルムを作製した。延伸の際に
は、フイルムの延伸方向と垂直な方向は自由に収縮でき
るようにした。L/W比が2.7となるように延伸間距
離(ロール間延伸法におけるロール間距離)を調整し
た。また、延伸したときの応力は5.5kg/mm2
あった。さらに長尺状位相差フイルムを120℃で30
分間乾燥して溶剤残留量が0.1質量%となった後にロ
ール状に巻き取り、厚さが107μmの位相差フイルム
ロールAを得た。
【0062】位相差フイルムロールAの外周部からサン
プルを切断し、エリプソメーター(M−150、日本分
光(株)製)を用いて、波長450nm、550nm、
590nm、および650nmにおけるレターデーショ
ン値(Re)を測定したところ、それぞれ、120.5
nm、137.5nm、143.4nm、147.1n
mであった。したがって、このセルロースアセテートフ
イルムは、広い波長領域でλ/4を達成していた。さら
に、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーシ
ョンの角度依存性の測定から、波長550nmにおける
フイルム面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸
に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nz
を求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算し
たところ、1.50であった。
【0063】[比較例2] (位相差フイルムロールBの作製)反応槽に水酸化ナト
リウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに下記構
造を有するモノマーA、およびBをモル比でA:B=3
2:68となるように溶解させ、少量のハイドロサルフ
ァイドを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20
℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらにp−
ter―ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリ
エチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を
終了させ、ポリカーボネート重合体を得た。この重合体
をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度15質量
%のドープを作製した。
【0064】
【化2】
【0065】
【化3】
【0066】バンド流延機を用いてドープを製膜バンド
上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で15分間乾
燥した。乾燥後のポリカーボネートフイルム中の溶剤残
留量が30質量%の状態で、フイルムをバンドから連続
的に剥離し、120℃で5分間乾燥した後、130℃で
流延方向とは直交する方向に約1.0倍の倍率で延伸
し、さらに流延方向と平行な方向に温度200℃で2.
5倍の倍率で延伸して長尺状位相差フイルムを作製し
た。延伸の際には、フイルムの延伸方向と垂直な方向は
自由に収縮できるようにした。L/W比が3.7となる
ように延伸間距離を調整した。また、延伸したときの応
力は0.5kg/mm2 であった。さらに長尺状位相差
フイルムを180℃で30分間乾燥して溶剤残留量が
0.1質量%となった後にロール状に巻き取り、厚さが
95μmの位相差フイルムロールBを得た。
【0067】位相差フイルムロールBの外周部からサン
プルを切断し、エリプソメーター(M−150、日本分
光(株)製)を用いて、波長450nm、550nm、
590nm、650nmにおけるレターデーション値
(Re)を測定したところ、それぞれ、105.3n
m、140.0nm、154.0nm、158.3nm
であった。したがって、このポリカーボネートフイルム
は、広い波長領域でλ/4を達成していた。さらに、ア
ッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの
角度依存性の測定から、波長550nmにおけるフイル
ム面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直
な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求
め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算したと
ころ、1.60であった。
【0068】[実施例1]比較例1および2で作製した
位相差フイルムロールのそれぞれについて、片面(製膜
バンドに接していた側の面)に、厚さ70μmの市販の
ラミネートフイルム(サンエー科学(株)製、商品名P
AC−2−70G)を保護膜として、ラミネーターで張
り合わせ、ロール状に巻き取り、本発明の位相差フイル
ムロールCA(位相差フイルムロールAを用いた)およ
びCB(位相差フイルムロールBを用いた)を得た。
【0069】[実施例2]比較例1および2で作製した
位相差フイルムロールのそれぞれについて、片面(製膜
バンドに接していた側の面)に、680ゼラチン5質量
%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.0
5質量%を含む水溶液をワイヤーバーにより塗布、そし
て乾燥して、1μm厚の保護膜を設け、ロール状に巻き
取り、本発明の位相差フイルムロールDA(位相差フイ
ルムロールAを用いた)およびDB(位相差フイルムロ
ールBを用いた)を得た。
【0070】[傷の評価]表面粗さRaが1.0、直径
が150mmのロールを10本平行に並べて、実施例1
および2で作製した位相差フイルムロールを、その保護
膜がロール側となるようにして、テンション10Kg/
幅、そしてライン速度50m/分の条件で走行させた。
同様に比較例1および2で作製した位相差フイルムロー
ルについても10本のロールを走行させた。ロールを走
行させた後の位相差フイルムロールについて、表面の傷
の状態を目視にて評価した。実施例1および2で作製し
た位相差フイルムロールについては、保護膜を剥離した
後に傷の評価を行った。位相差フイルムロール表面の傷
を評価した結果を第1表に示す。
【0071】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 傷の評価 ──────────────────────────────────── 比較例1 位相差フイルムロールA 表面に無数の傷(走行方向に平行) 比較例2 位相差フイルムロールB 表面に無数の傷(走行方向に平行) 実施例1 位相差フイルムロールCA 傷なし 位相差フイルムロールCB 傷なし 実施例2 位相差フイルムロールDA 傷なし 位相差フイルムロールDB 傷なし ────────────────────────────────────
【0072】さらに、実施例および比較例で作製した位
相差フイルムロールと、偏光膜とを粘着剤を用いて連続
的に貼り合わせて、それぞれロール状の偏光板を作製し
た。この際、実施例で作製した位相差フイルムロールを
用いる場合には、偏光膜が、位相差フイルムロールの保
護膜が設けられた面とは反対側の面に配置されるように
して貼り合わせた。得られた偏光板を切断して(実施例
で作製した位相差フイルムロールを用いる場合には保護
膜を剥離した後に)液晶表示装置に実装した。その結
果、実施例で作製した位相差フイルムロールから得られ
た偏光板を実装した液晶表示装置は、比較例の位相差フ
イルムロールから得られた偏光板を実装した場合に比べ
て、表示画面上に現れる欠陥や、付着したゴミが大幅に
減少した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 11:00 B29L 11:00 C08L 1:12 C08L 1:12 Fターム(参考) 2H049 BA03 BA06 BA07 BB33 BB44 BB49 BB54 BC03 BC22 4F071 AA09 AA50 AA78 AF30 AF31Y AF35Y AH16 BA02 BB02 BC01 BC02 4F210 AA01 AG01 AG03 AH73 QC02 QG01 QG18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長450nmで測定したレターデーシ
    ョン値(Re450)、波長550nmで測定したレタ
    ーデーション値(Re550)、および波長650nm
    で測定したレターデーション値(Re650)が、下記
    式(1)および(2)を満足する長尺状ポリマーフイル
    ムからなり、そして該ポリマーフイルム面内の遅相軸方
    向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率n
    y、および厚み方向の屈折率nzが、0.5≦(nx−
    nz)/(nx−ny)≦2の関係を満足する長尺状位
    相差フイルムが、その少なくとも一方の表面に、該フイ
    ルムの表面を傷付けることなく剥離可能な保護膜が積層
    された状態でロール状に巻き取られてなる位相差フイル
    ムロール。 0.6 <(Re450)/(Re550)<0.97:(1) 1.01<(Re650)/(Re550)<1.4 :(2)
  2. 【請求項2】 該保護膜が、水溶性ポリマーからなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の位相差フイルムロー
    ル。
  3. 【請求項3】 該水溶性ポリマーが、ゼラチン、アルブ
    ミン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
    ス、カルボキシメチルセルロース、プルラン、ザンタン
    ガム、ペクチン、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビ
    ニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ−N−
    メチルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリル酸共
    重合体、メタクリル酸共重合体、ビニルベンゼンスルホ
    ン酸共重合体、および無水マレイン酸共重合体のうちの
    いずれかの部分加水分解物であることを特徴とする請求
    項2に記載の位相差フイルムロール。
  4. 【請求項4】 該保護膜として、合成ポリマーから予め
    形成されたポリマーフイルムを用いることを特徴とする
    請求項1に記載の位相差フイルムロール。
  5. 【請求項5】 該保護膜の厚さが、0.1乃至100μ
    mの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の位相
    差フイルムロール。
  6. 【請求項6】 該ポリマーフイルムが、ポリカーボネー
    トまたは変性ポリカーボネートからなることを特徴とす
    る請求項1に記載の位相差フイルムロール。
  7. 【請求項7】 該ポリマーフイルムが、芳香族環を少な
    くとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害
    しない分子構造を有する化合物を含むセルロースアセテ
    ートフイルムであることを特徴とする請求項1に記載の
    位相差フイルムロール。
  8. 【請求項8】 ポリマーと溶媒とを含むポリマー溶液を
    溶液流延法により仮支持体上に流延して長尺状ポリマー
    フイルムを形成する工程、該ポリマーフイルムを仮支持
    体から剥離し、次いで延伸することにより所定の光学特
    性を有するポリマーフイルムからなる長尺状位相差フイ
    ルムを形成する工程、該位相差フイルムの少なくとも一
    方の表面に保護膜を剥離可能に設ける工程、そして保護
    膜が設けられた位相差フイルムをロール状に巻き取る工
    程を含むことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいず
    れかの項に記載の位相差フイルムロールの製造方法。
  9. 【請求項9】 該保護膜を、位相差フイルムとして用い
    るポリマーフイルムの、仮支持体に接していた側の面に
    設けることを特徴とする請求項8に記載の位相差フイル
    ムロールの製造方法。
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