JP2002237329A - 非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウム複合酸化物を正極活物質とする
正極、負極および非水系の電解質を有する非水二次電池
において、電池内に炭素数8以上の炭化水素鎖を有する
化合物を含有させ、かつリン酸エステルを含有させる。
上記炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合物として
は、オレイン酸エチルなどのエステルまたはエーテルが
好ましく、また、リン酸エステルとしてはリン酸トリエ
チルなどが好ましい。そして、本発明は、電極積層体の
単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量
で利用する非水二次電池や角形あるいはラミネートフィ
ルムで外装した非水二次電池に適用したときに、その効
果を顕著に発現する。
Description
し、さらに詳しくは、高容量で、かつ過充電時の安全性
が高い非水二次電池に関する。
水二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギ
ー密度、高出力であることから、ますます需要が増える
傾向にあるが、この非水二次電池においても、さらなる
高容量化や充電電圧の高電圧化が検討されていて、充電
時の充電電力量の増加が見込まれている。
化および高電圧化に伴い電池の充電電力量を増加させる
と、過充電時の安全性が低下することがわかってきた。
特に電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3
以上の充電電力量で利用する電池においては、過充電の
安全性を向上させることが必要である。これは、電極積
層体の単位体積当たりの充電電力量が大きくなるほど電
池のトータルエネルギーが増加して過充電時における発
熱が多くなるためである。ここで、電極積層体の体積と
は、正極、負極およびセパレータを積層するかあるいは
巻回したものの電池内における嵩体積であって、後者の
ように巻回して作製した電極積層体においては、その巻
回に際して使用した巻き軸に基づく孔などは体積として
含まない。要するに、電池内において正極、負極および
セパレータが占める嵩体積を合計したものである。ま
た、充電電力量とは、0.2Cレートで放電後に0.2
Cレートで定電流定電圧で満充電電圧まで充電した場合
の電気量と平均電圧との積である。
電時の安全性を向上させるために、LiCoO2 を正
極、黒鉛を負極に用いたリチウムイオン二次電池におい
て過充電時に起きる反応に着目した。すなわち、満充電
状態からさらに充電されると、正極ではLi(リチウ
ム)の脱離が引き続き起こり、充電電流の一部は電解液
(液状電解質)の分解反応やそれに伴うガス発生を生じ
させ、充電が進むにつれて電解液の分解が多くなる。ま
た、負極では負極へのLiの挿入が限界に達し表面に金
属リチウムの析出の割合が多くなってくる。この際に注
目すべきは電極の反応均一性である。電極反応が不均一
であれば、部分的なリチウムの析出が多くなり内部短絡
を起こし局部的に発熱が大きくなる可能性がある。ま
た、不均一であれば正極の高電位部分でのガス発生も多
くなり、その際にたまったガスにより電極反応がさらに
不均一になって電極の変形を引き起こす場合がある。上
記のようなガス発生があった場合、筒形電池では電池ケ
ースが円筒形であるため変形は少ないが、電池ケースが
角形の角形電池やラミネート電池(正極、負極、電解質
およびセパレータなどを含む電池要素をラミネートフィ
ルムで外装した電池)では電池内部の発生ガスによる内
圧上昇に対する抵抗力が弱く、電池が膨れやすく、その
ため電極が変形しやすいという問題があった。
池における問題点を解決し、高容量で、かつ過充電時の
安全性が高い非水二次電池が提供することを目的とす
る。
酸化物を正極活物質とする正極、負極および非水系の電
解質を有する非水二次電池において、電池内に炭素数8
以上の炭化水素鎖を有する化合物を含有させ、かつリン
酸エステルを含有させることによって、上記課題を解決
したものである。
素鎖を有する化合物を含有させ、かつリン酸エステルを
含有させることによって、電極反応が均一になり、過充
電時のLiの析出が均一化して内部短絡や局部的な発熱
や、それに伴うガス発生を抑制し、電池の膨れや電極の
変形を防止することができ、高容量で、かつ過充電時の
安全性が高い非水二次電池が得られるようになる。
以上の炭化水素鎖を有する化合物としてはエステルまた
はエーテルであること、電極中に有機リチウム塩を電解
質中より高濃度で含むこと、負極合剤層の密度が1.5
g/cm2 以上であること、正極合剤層の密度が3.3
g/cm2 以上であることを好ましい形態とし、また、
本発明を電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/c
m3 以上の充電電力量で利用する電池に適用したり、角
形電池やラミネート電池に適用すると、特にその効果が
顕著に発現する。
せる炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合物として
は、エステルまたはエーテルが好適なものとして挙げら
れ、そのエステルの具体例としては、例えば、CH
3 (CH2 )7 CH=CH(CH2 )7 COOC
4 H9 、CH3 (CH2 )7 CH=CH(CH2 )7 C
OOC2 H5 、CH 3 (CH2 )7 CH=CH(C
H2 )7 COOCH3 などのC=C不飽和結合を有する
オレイン酸エステル、C17H35COOC2 H5 などのス
テアリン酸エステル、CH3 (C H2 )14COOC2
H5 などのパルミチン酸エステル、CH3(CH2 )12
COOC2 H5 などのミリスチン酸エステル、C11H23
COOC2H5 などのラウリン酸エステル、C11H23C
OO(CH2 CH2 O)n Hなどが挙げられ、また、そ
れらのエステルのCOO基がSO2 基やSO3 基で置換
したものであってもよい。その一例として、例えば、R
1 −A−R2 (R1 、R2 は少なくとも1つ以上が炭素
数8以上の炭化水素鎖で、AはSO2 またはSO3 )が
挙げられる。また、(R3 O)(R4 O)(R5 O)P
=O、(R3 、R4 、R5 は炭素数1以上の炭化水素鎖
で、そのうちの少なくとも1つは炭素数8以上の炭化水
素鎖を含む)でもよい。
エーテルとしては、例えば、C11H 23O(CH2 CH2
O)n などのアルキルエーテル、Cn H2n+1−C6 H 4
−O(CH2 CH2 O)m Hなどの芳香族を含むエーテ
ルなどが挙げられる。上記例示のエーテルはノニオン性
界面活性剤としての機能を有していて、本発明において
は、電池への悪影響が少ないことから、好適に用いられ
るが、炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合物として
は、そのようなノニオン系のものだけでなく、例えば、
ドデシルベンゼンスルホン酸塩(C12H25C6 H4 SO
3 Na)などのアニオン性界面活性剤、四級アンモニウ
ム塩タイプのカチオン性界面活性剤、あるいはCH
3(CH2 )11N+(CH3 )2 〔(CH2 )7 S
O3 〕などの両性界面活性剤も用いることができる。
合物としては、例示のものをはじめ各種のものを用い得
るが、特にCOO基またはSO3 基を有するエステルが
解離能力を高く好ましい。そして、これらの炭素数8以
上の炭化水素鎖を有する化合物が電極反応を均一化して
過充電のLiの析出を均一にさせ、過充電時の安全性を
高める理由としては、該化合物が、セパレータの孔の壁
面あるいはその近傍の電解液(液状電解質、電解質とし
ては、一般に電解液と呼ばれている液状電解質が多用さ
れるので、以下、多くの場合、「電解液」で代表させて
説明する)中に存在することにより孔の壁面に沿って電
解液が濡れやすくなり、それによって、電極反応が均一
に進行し、また過充電の進行に伴って析出したリチウム
が正極に達して軽微な短絡を均一に起こしやすくなるこ
とによるものと考えられる。
化合物として、炭素数8以上の炭化水素鎖を有すること
を必須条件にしているのは、電解液の電極への濡れ性を
高め、電極が均一に反応しやすくなるようにするために
は炭化水素鎖に関してある程度の長さが必要であり、炭
素数が8以上、つまり、炭素が8個以上連なっていれば
ある程度の濡れ性を確保できるからである。炭化水素鎖
の炭素数は上記のように8以上が必要であり、12以上
が好ましく、15以上がより好ましく、17以上がさら
に好ましい。ただし、炭素数があまり多すぎても電極反
応の均一性が確保し難くなる傾向があるため、50以下
が好ましい。また、炭化水素鎖中にC=C不飽和結合を
有する場合には電極反応の均一性がさらに良くなるので
好ましい。この炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合
物の好ましい構造式としては、C n Hm XR6 であり、
式中のnは8以上、mは15以上、XはCOO、O、S
O 3 またはSO4 、R6 は炭素を有するアルキル基また
はポリエチレンオキサイド基である。
合物は、電池内のいずれに含有させておいても、最終的
には電解液中に溶出するので、電池内のいずれに含有さ
せてもよいが、当初から電解液中に含有させておくこと
が好ましい。
電解液と呼ばれている液状電解質、ゲル状電解質のいず
れも用い得るが、前述のように、通常、液状電解質が用
いられ、また、ゲル状電解質も液状電解質をゲル化剤で
ゲル化したものであるから、上記化合物の電池内への含
有にあたって、その含有量は液状電解質、つまり、電解
質の構成溶媒(以下、「電解質構成溶媒」という)を基
準にとるのが適している。そのような観点から、上記炭
素数8以上の炭化水素鎖を有する化合物の含有量として
は全電解質構成溶媒中の0.05体積%以上が好まし
く、0.1体積%以上がより好ましく、2体積%以下が
好ましく、1体積%以下がより好ましい。すなわち、上
記化合物の電解質構成溶媒中での含有量を0.05体積
%以上にすることによって、電極反応を均一化させる作
用などを充分に発揮させ、また、2体積%以下にするこ
とによって、電池の特性低下を抑制できる。
上の炭化水素鎖を有する化合物とは別に、電池内にリン
酸エステルを含有させる。このリン酸エステルとして
は、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リ
ン酸トリブチルのような一般式(R7 O)(R8 O)
(R9 O)P=Oが好ましい。ここでR7 、R8 、R9
は炭素数0から18までの炭化水素鎖で、そのうちの少
なくとも1つは炭素数1以上であり、また、R7 〜R9
が互いに結合していてもよい。
発生を抑制する作用を有し、電池の膨れ、特に角形電池
やラミネート電池の膨れを抑制し、膨れによる電極の変
形を抑制する。
含有させていてもよいが、電解質中に含有させることが
適しており、その含有量としては、電解質構成溶媒中
0.001体積%以上が好ましく、0.1体積%以上が
より好ましく、0.5体積%以上がさらに好ましく、ま
た、10体積%以下が好ましく、5体積%以下がより好
ましく、2体積%以下がさらに好ましい。つまり、リン
酸エステルの電解質構成溶媒中の含有量を0.001体
積%以上にすることによって、過充電時のガス発生を抑
制する作用を充分に発揮させ、また、10体積%以下に
することによって、電池特性の低下を抑制できる。
じめリチウム塩を存在させておくことが好ましい。これ
は、リチウム塩が上記炭素数8以上の炭化水素鎖を有す
る化合物と併存するによって電極表面に形成される皮膜
が良好なイオン伝導性を有するようになり、電極の均一
反応性が向上し、安全性がより改善される。リチウム塩
としては、例えば、LiBF4 、LiClO4 などの無
機リチウム塩や、LiC4 F9 SO3 、LiC8 F17S
O3 、(C2 F5 SO2 )2 NLi、(CF3SO2 )
(C4 F9 SO2 )NLi、(CF3 SO2 )3CL
i、C6 H5 SO 3 Li、C17H35COOLiなどの有
機リチウム塩などが挙げられるが、熱安定性から有機リ
チウム塩が好ましく、イオン解離性を考慮した場合、特
に含フッ素有機リチウム塩が好ましい。
電解液中に含有させてもよく、もとより、正極および負
極の両方に含有させてもよい。また、このリチウム塩の
電極中の含有量は、電解質中のリチウム塩の含有量より
多い方が好ましい。これは、電極中のリチウム塩濃度が
電極表面の皮膜中のイオン伝導性を向上させるからであ
る。
表面での電解液との反応性を低減させることが好まし
い。正極について説明すると、4V級の活物質、すなわ
ち、LiCoO2 、LiNiO2 など4V以上の電位を
有することのある金属酸化物や、5V級の活物質、すな
わち、LiMn2 O4 、LiMn1.5 Ni0.5 O4 な
ど、およそ4.5〜5.5Vの電位を有することのある
金属酸化物は一種の触媒でもあり、電解液との反応を抑
制するためには、その触媒能を低減させるため正極の表
面に被膜を形成しておくことが好ましい。また、負極に
ついても、炭素材料や金属酸化物、金属窒化物など満充
電電位がリチウム基準で1.0V以下のもの、特に電池
内に組み込んで310mAh/g以上の放電能力を有す
る材料は、電解液との反応性が比較的高いので、電解液
との反応性を低減させるために、負極の表面に被膜を形
成しておくことが好ましい。したがって、正極や負極の
活物質としてはそのような被膜の形成がしやすいものを
選ぶことが好ましい。
上記観点から、例えば、充電時の回路電圧がLi基準で
4V以上を示すLiCoO2 、LiMn2 O4 、LiN
iO 2 などのリチウム複合酸化物が好適に用いられる。
これは、それらの活物質が充電時にLi基準で4.4V
以上の電位を少なくとも1回以上有することにより、前
記のような正極活物質の触媒作用を低下させるための被
膜が形成され、それによって、電池の発熱を抑制するこ
とができるからである。また、前記のリチウム複合酸化
物は、そのCo、Ni、Mnの一部がそれぞれ他の元素
で置換されていてもよく、また、それらの元素は固溶せ
ずに活物質の周りに局在していてもよい。そのような他
の元素としては、Ge、Ti、Ta、Nb、Ybなどが
好ましく、それらのうち少なくとも1種が含まれるよう
にすることによって、より好ましい特性が得られる。そ
れらの他の元素の置換比としては、前記リチウム複合酸
化物中のCo、Ni、Mnなどのそれぞれに対し、その
0.001原子%以上、より好ましくは0.003原子
%以上、さらに好ましくは0.005原子%以上で、1
0原子%以下が好ましく、より好ましくは5原子%以
下、さらに好ましくは3.5原子%である。Co系のリ
チウム複合酸化物で上記のような他の元素で一部置換し
た好ましい一例を例示すると、LiCo0.97Al0.025
Ge0.005 O2などが挙げられる。
に応じて、例えば鱗片状黒鉛、カーボンブラックなどの
導電助剤を加え、さらに、例えばポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエン
系ラバーなどのバインダーを加えて混合して調製した正
極合剤を溶剤などに分散させて正極合剤含有ペーストと
し(この場合、バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させ
ておいてから、上記正極活物質などと混合してもよ
い)、その正極合剤含有ペーストを基体としての作用を
兼ねる正極集電材に塗布し、乾燥して正極集電材の少な
くとも一部に正極合剤層を形成し、必要に応じて加圧成
形する工程を経て作製される。ただし、正極の作製方法
は、上記例示の方法に限られることなく、他の方法であ
ってもよい。
3.3g/cm3 以上にすることが好ましく、3.4g
/cm3 以上にすることがより好ましい。つまり、本発
明では、前記炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合物
の使用により、そのように、正極合剤層が高密度になっ
ても、電解質の濡れ性を確保できるので、正極活物質の
利用率を低下させることなく、高容量化を達成すること
ができる。
あたって用いる正極集電材としては、例えばアルミニウ
ムを主成分とする箔が好ましく、その純度は98重量%
以上99.9重量%以下が好ましい。従来のリチウムイ
オン二次電池では、通常、純度が99.9重量%より高
い純度のアルミニウム箔が正極集電材として用いられる
が、本発明においては15μm以下の金属箔を用いるこ
とが多いため、ある程度の強度を確保するためには、純
度が99.9重量%未満であることが好ましい。含有す
る金属として特に好ましいのは、鉄とシリコンである。
鉄の含有量は0.5重量%以上が好ましく、より好まし
くは0.7重量%以上で、2重量%以下が好ましく、よ
り好ましくは1.3重量%以下である。シリコンの含有
量は、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは
0.2重量%以上で、1.0重量%以下が好ましく、よ
り好ましくは0.3重量%以下である。また、正極集電
材の引張強度としては150N/mm2 以上が好まし
く、180N/mm2 以上がより好ましく、破断伸びと
しては2%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。
破断伸びが大きい方が好ましいとするのは、電極積層体
の単位体積当たりの充電電力量が大きくなるにつれて正
極の充電時の膨張が大きくなり、正極集電材が切れやす
くなる傾向があり、正極集電材の引張強度や破断伸びが
大きいと切れやすくなるのを防止するのに適しているか
らである。
ンをドープ・脱ドープできるものであればよく、本発明
においては、それを負極活物質と呼ぶが、その負極活物
質の具体例としては、例えば、天然黒鉛、熱分解炭素
類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の
焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性
炭などの炭素質材料が挙げられる。また、Si、Sn、
Inなどの合金またはLiに近い低電位で充放電できる
酸化物または窒化物なども負極活物質として用いること
ができる。
合、該炭素質材料としては下記の特性を持つものが好ま
しい。すなわち、その(002)面の面間隔(d002 )
は0.35nm以下が好ましく、より好ましくは0.3
45nm以下、さらに好ましくは0.34nm以下であ
る。また、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)は3.0
nm以上が好ましく、より好ましくは8.0nm以上、
さらに好ましくは25.0nm以上である。そして、平
均粒径は8〜40μm、特に10〜35μmが好まし
く、純度は99.5重量%以上が好ましい。
極活物質に必要に応じて前記正極の場合と同様の導電助
剤やバインダーなどを加えて混合し、得られた負極合剤
を溶剤などに分散させて負極合剤含有ペーストとし(こ
の場合、バインダーなどはあらかじめ溶剤に溶解させて
おいてから負極活物質などと混合してもよい)、その負
極合剤含有ペーストを基体としての作用を兼ねる負極集
電材に塗布し、乾燥して負極集電材の少なくとも一部に
負極合剤層を形成し、必要に応じて加圧成形する工程を
経ることによって作製される。ただし、負極の作製方法
は、上記例示の方法によることなく、他の方法によって
もよい。そして、負極活物質として炭素質材料を用いる
場合は、その負極合剤層の密度を1.5g/cm3 以上
にするのが高容量のためには好ましく、より好ましくは
1.55g/cm3 以上であり、さらに好ましくは1.
6g/cm3 以上である。
化しやすくなるが、均一に反応し難くなり安全性が低下
する傾向がある。しかし、本発明では、そのように高密
度化した場合でも、炭素数8以上の炭化水素鎖を有する
化合物の使用により、電解質の濡れ性が確保でき、負極
の反応が均一化して良好な安全性が得られる。
しては銅箔が好適に用いられるが、特に表面を粗面化し
た電解銅箔が好適に用いられる。
解質、ゲル状ポリマー電解質のいずれも用い得るが、通
常、液状電解質が用いられるので、この液状電解質に関
して、以下、「電解液」という表現を用い、それを中心
に詳細に説明する。
媒にリチウム塩などの電解質塩を溶解させることによっ
て調製される。この溶媒は前記における「電解質構成溶
媒」に相当するものであるが、この溶媒としてはエステ
ルが好適に用いられる。特に鎖状エステルは、電解液の
粘度を下げ、イオン伝導度を高めることから好適に用い
られる。このような鎖状エステルとしては、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカー
ボネートなどの鎖状のカーボネート類、プロピオン酸メ
チルなどの鎖状アルキルエステル類などが挙げられ、そ
れらの中でも特に鎖状のカーボネート類が好ましい。
率が高いエステル(誘電率30以上のエステル)を混合
して用いると負荷特性などが向上するので好ましい。こ
のような誘電率が高いエステルとしては、例えば、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコー
ルサルファイト(EGS)などのイオウ系エステルなど
が挙げられるが、それらの中でも、特に環状構造のもの
が好ましく、とりわけ環状のカーボネートが好ましく、
エチレンカーボネートが最も好ましい。
は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオ
キソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒ
ドロフラン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。その
ほか、アミン系またはイミド系有機溶媒や、含イオウ系
または含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。
そして、これらの溶媒はそれぞれ単独でまたは2種以上
混合して用いることができる。
塩などの電解質塩としては、例えば、LiClO4 、L
iPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、
LiCF3 SO3 、LiC4 F9 SO3 、LiCF3 C
O2 、Li2 C2 F4 (SO 3 )2 、LiN(RfSO
2 )(RfSO2 )、LiN(RfOSO2 )、LiC
(RfSO2 )3 、LiCn F2n+1SO3 (n≧2)、
LiN(RfOSO2)2 〔ここでRf、Rf′はフル
オロアルキル基〕、ポリマーイミドリチウム塩などが単
独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの電解
質塩が電極表面の被膜中に取り込まれると、被膜にイオ
ン伝導性が付与され、特にLiPF6 はイオン伝導性の
付与作用が大きいので好ましい。電解液中における電解
質塩の濃度は特に限定されるものではないが、0.3m
ol/l以上が好ましく、0.4mol/l以上がより
好ましく、1.7mol/l以下が好ましく、1.5m
ol/l以下がより好ましい。
ル化剤によってゲル化したものに相当するが、そのゲル
化にあたっては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
エチレンオキサイド、ポリアクリルニトリルなどの直鎖
状ポリマーまたはそれらのコポリマー、紫外線や電子線
などの活性光線の照射によりポリマー化する多官能モノ
マー(例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エ
トキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの四官能
以上のアクリレートおよび上記アクリレートと同様の四
官能以上のメタクリレートなど)などが用いられる。た
だし、モノマーの場合、モノマーそのものが電解液をゲ
ル化させるのではなく、上記モノマーをポリマー化した
ポリマーがゲル化剤として作用する。
液をゲル化させる場合、必要であれば、重合開始剤とし
て、例えば、ベンゾイル類、ベンゾインアルキルエーテ
ル類、ベンゾフェノン類、ベンゾイルフェニルフォスフ
ィンオキサイド類、アセトフェノン類、チオキサントン
類、アントラキノン類、アミノエステルなども使用する
こともできる。
について言及すると、セパレータとしては薄い方が高容
量化が測れることから好ましく、具体的には20μm以
下のものが好ましく、15μm程度の薄いものでも用い
ることができる。
のの方が電池内部の温度上昇時の短絡が起こりにくくな
ることから好ましく、具体的には、105℃、8時間で
の幅方向の熱収縮率が5%以下のものが好ましく、3%
以下のものがより好ましく、1%以下のものがさらに好
ましい。
伴い電池の充電電力量が大きくなると、過充電時の安全
性が低下し、特に電極積層体の単位体積当たり0.59
Wh/cm2 以上の充電電力量で利用する電池において
は、過充電時の安全性の確保が問題になるが、本発明は
そのような高充電電力量で利用する電池の過充電時にお
いても高い安全性を確保することができるので、本発明
を電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm2 以
上の充電電力量で利用される電池に適用すると、その効
果が顕著に発現し、さらに電極積層体の単位体積当たり
0.64Wh/cm2 以上の充電電力量で利用する電池
に適用すると、その効果がより顕著に発現し、電極積層
体の単位体積当たり0.67Wh/cm2 以上の充電電
力量で利用する電池に適用すると、その効果が最も顕著
に発現する。ただし、本発明は、電極積層体の単位体積
当たりが0.59Wh/cm2 未満の充電電力量で利用
する電池にも、もちろん、適用することができ、その場
合においても、過充電時の安全性を高め得る。
充電時のガス発生を抑制することができるので、本発明
を、電流遮断弁などのような電池内部のガス発生を抑制
する機構や防爆用ベントなどのような電池内部に発生し
たガスを外部に排出する機構を有さず、しかも変形しや
すい角形電池やラミネート電池に適用すると、その効果
が顕著に発現する。
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。
と、オレイン酸エチル〔CH3 (CH2 )7 CH=CH
(CH2 )7 COOC2 H5 〕と、リン酸トリエチルと
を体積比33:66.4:0.1:0.5の割合で混合
し、この混合溶媒にLiPF6 を1.2mol/l溶解
させて、組成が1.2mol/l LiPF6 /EC:
MEC:OLET:TEP(33:66.4:0.1:
0.5体積比)で示される電解液を調製した。この電解
液における、ECはエチレンカーボネートの略称で、M
ECはメチルエチルカーボネートの略称であり、OLE
Tはオレイン酸エチルの略称であって、TEPはリン酸
トリエチルの略称である。
O2 に、導電助剤としてカーボンと、リチウム塩として
(C2 F5 SO2 )2 NLiを、重量比94:3:0.
1の割合で加えて混合し、得られた混合物と、ポリフッ
化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液
と混合(ポリフッ化ビニリデンの混合割合は重量比で
2.9となる割合)して正極合剤含有ペーストを調製し
た。得られた正極合剤含有ペーストを70メッシュの網
を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ15μm
のアルミニウムを主成分とする金属箔からなる正極集電
材の両面に塗布量が26.7mg/cm2 (乾燥後の正
極合剤重量)となるようにリード体の取付部を除き均一
に塗布して乾燥し、その後、ローラープラス機により加
圧成形した後、切断し、リード体を溶接により取り付
け、帯状の正極を作製した。上記正極における正極合剤
層の密度は3.4g/cm3 であり、また、上記正極の
作製にあたって用いた正極集電材は、主成分がアルミニ
ウムで、鉄を1重量%、シリコンを0.15重量%含有
していて、純度は98重量%以上であり、その引張強度
は185N/mm2 で、濡れ性は38dyne/cm、
破断伸びは3%であった。
2)面の面間隔(d002 )が0.335nm、c軸方向
の結晶子の大きさ(Lc)が98nm、平均粒径が20
μmという特性を持つ炭素材料〕と(C2 F5 SO2 )
2 NLiとポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリド
ンに溶解させた溶液と混合して負極合剤含有ペーストを
調製した。この時の黒鉛系炭素材料と(C2 F5 S
O2 )2 NLiとポリフッ化ビニリデンとの割合は重量
比で94.9:0.1:5であった。上記のようにして
得られた負極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通
過させて大きなものを取り除いた後、厚さ10μmの帯
状の銅箔からなる負極集電材の両面に塗布量が13.0
mg/cm2 (乾燥後の負極合剤重量)でかつ表面側の
長さ276mm、裏面側の長さ215mmになるように
リード体の取付部を除き均一に塗布して乾燥し、その
後、ローラープラス機により加圧成形し、切断した後、
リード体を溶接により取り付け、帯状の負極を作製し
た。なお、この負極における負極合剤層の密度は1.6
g/cm3 であった。
エチレンフィルムからなるセパレータを介して上記帯状
負極に重ね、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように
加圧して扁平状巻回構造の電極体とした。それをテープ
止めした後、外寸が厚み(奥行き)5mm、幅29.5
mm、高さ48mmの角形の電池ケースに挿入し、リー
ド体、封口用蓋板の溶接を行い、ついで前記電解液を電
池ケース内に注入し、電解液がセパレータなどに充分に
浸透した後、封止し、予備充電、エイジングを行い、図
1に示すような構造で図2に示すような外観を有する角
形の非水二次電池を作製した。なお、上記電池の作製に
あたって使用したセパレータは、透気度が560秒、長
さ方向の引張強度が150N/cm2 、105℃、8時
間での幅方向の熱収縮率が1%であった。
ると、正極1と負極2は前記のようにセパレータ3を介
して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して
扁平状巻回構造の電極体6として、角形の電池ケース4
に上記電解液とともに収容されている。ただし、図1で
は、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあた
って使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示
していない。
の外装ケースとなるものであり、この電池ケース4は正
極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部には
ポリテトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体5が
配置され、前記正極1、負極2およびセパレータ3から
なる扁平状巻回構造の電極体6からは正極1および負極
2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リ
ード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開
口部を封口するアルミニウム合金製の蓋板9にはポリプ
ロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼
製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体
12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付け
られている。
開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによっ
て、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉
されている。
を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋
板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリー
ド板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リー
ド体8と端子11とを導通させることによって端子11
が負極端子として機能するようになっているが、電池ケ
ース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合
もある。
に示す斜視図であり、この図2は上記電池が角形電池で
あることを示すことを目的として図示されたものであっ
て、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構
成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図
1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていな
い。
C)の電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流
充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始
から7時間経過した時点で充電を終了した。次いで0.
16A(0.2C)で3Vまで放電した、充電時の正極
電位はリチウム基準でおよそ4.5Vであった。
H5 に代えてC11H23COOC2 H5 を用いた以外は、
実施例1と同様に電池を作製した。
C)の電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流
充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始
から7時間経過した時点で充電を終了した。次いで0.
16A(0.2C)で3Vまで放電した、また、この実
施例2の電池の充電時の正極電位はリチウム基準でおよ
そ4.5Vであった。
H5 とリン酸トリエチルを添加せず、そのぶんエチレン
カーボネートとメチルエチルカーボネートとを増量し
て、両者の体積比が33:67にした以外は、実施例1
と同様に電池を作製した。
C)の電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流
充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始
後から7時間経過した時点で充電を終了した。また、こ
の比較例1の電池の充電時の正極電位はリチウム基準で
およそ4.5Vであった。
H5 を添加せず、そのぶんエチレンカーボネートを増量
した以外は、実施例1と同様に電池を作製した。
C)の電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流
充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始
後から7時間経過した時点で充電を終了した。また、こ
の比較例1の電池の充電時の正極電位はリチウム基準で
およそ4.5Vであった。
ボネートを増量した以外は、実施例1と同様に電池を作
製した。
C)の電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流
充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始
後から7時間経過した時点で充電を終了した。次いで
0.2Aで3Vまで放電した。この比較例3の電池の充
電時の正極電位はリチウム基準でおよそ4.5Vであっ
た。
池を4.4V満充電後、0.5Aで6Vまで過充電し、
到達する最高温度(最高到達温度)を測定し、各電池の
過充電時の最高到達温度と比較例1の電池の過充電時の
最高到達温度とを比較し、表1にはそれを過充電時の最
高到達温度差(比較例1の電池との差)として示す。な
お、この過充電時の最高到達温度に関して、表1中に数
値が−(マイナス)で表示されているものは、過充電時
の最高到達温度が比較例1の電池の過充電時の最高到達
温度より低いことを示している。また、表1には各電池
の電極積層体の単位体積当たりの充電電力量を示すが、
この電極積層体の単位体積当たりの充電電力量は、電極
積層体の体積(V)(正極、負極およびセパレータのか
さ体積の合計)と、3Vまで0.2Cで放電した後、
0.2Cで4.4Vの定電流定電圧充電で満充電まで充
電を行った(この場合、充電を8時間行った)ときの電
力量(W)とから、W/Vで求めたものである。
例1〜2の電池は、比較例1〜3の電池に比べて、過充
電時の最高到達温度が低く、電極積層体の単位体積当た
りの充電電力量が0.67Wh/cm3 以上という高充
電電力量で、しかも、角形の電池ケースを用いた場合に
おいても、温度が上昇しにくく、過充電時の安全性が高
いことを示していた。
量で、かつ過充電時の安全性が高い非水二次電池を提供
することができた。
図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図
である。
斜視図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 リチウム複合酸化物を正極活物質とする
正極、負極および非水系の電解質を有し、電池内に炭素
数8以上の炭化水素鎖を有する化合物を含み、かつリン
酸エステルを含むことを特徴とする非水二次電池。 - 【請求項2】 炭素数8以上の炭化水素鎖を有する化合
物がエステルまたはエーテルである請求項1記載の非水
二次電池。 - 【請求項3】 電極中に有機リチウム塩を電解質中より
高濃度で含む請求項1または2記載の非水二次電池。 - 【請求項4】 負極が負極集電材の少なくとも一部に負
極合剤層を形成してなり、該負極合剤層の密度が1.5
g/cm3 以上である請求項1〜3のいずれかに記載の
非水二次電池。 - 【請求項5】 正極が正極集電材の少なくとも一部に正
極合剤層を形成してなり、該正極合剤層の密度が3.3
g/cm3 以上である請求項1〜4のいずれかに記載の
非水二次電池。 - 【請求項6】 正極、負極およびセパレータからなる電
極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の
充電電力量で利用する請求項1〜5のいずれかに記載の
非水二次電池。 - 【請求項7】 電池形状が角形である請求項1〜6のい
ずれかに記載の非水二次電池。 - 【請求項8】 正極、負極、電解質およびセパレータを
含む電池要素をラミネートフィルムで外装した請求項1
〜6のいずれかに記載の非水二次電池。
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