JP2002227020A - 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品 - Google Patents

人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品

Info

Publication number
JP2002227020A
JP2002227020A JP2001021033A JP2001021033A JP2002227020A JP 2002227020 A JP2002227020 A JP 2002227020A JP 2001021033 A JP2001021033 A JP 2001021033A JP 2001021033 A JP2001021033 A JP 2001021033A JP 2002227020 A JP2002227020 A JP 2002227020A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
weight
artificial hair
acrylic
hair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001021033A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Takada
雅彦 高田
Hiroyuki Nakajima
宏幸 中島
Akio Konishi
章雄 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001021033A priority Critical patent/JP2002227020A/ja
Publication of JP2002227020A publication Critical patent/JP2002227020A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系繊維の特性と塩化ビニル系繊維の
特性をいずれも損なうことなく、広範囲にスタイルをカ
バーできる人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品を提
供する。 【解決手段】 アクリロニトリルが35〜75重量%、
ハロゲン含有ビニル系単量体が25〜65重量%及びこ
れらと共重合可能な他の単量体0〜10重量%からなる
アクリル系共重合体を用いてなり、単繊維の繊度が30
〜85dtexのアクリル系繊維(A)を20〜80重
量部と、単繊維の繊度が30〜85dtexの塩化ビニ
ル系繊維(B)を20〜80重量部とを混合した人工毛
髪繊維は、両繊維の特性がいずれも損なわれることなく
発現することで、触感が良好で嵩高性があり、耐熱性や
染色性の低下がほとんどなく、さらにスタイルアレンジ
が容易で、かつカール弾性、カール形状、カール保持性
に優れ、広範囲なヘアスタイルに適応できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウィッグやヘアア
クセサリーなどの頭飾製品の毛髪素材として用いられ
る、各種スタイルに要求されるカーリング性や触感など
の特性を満足する人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製
品に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に人工毛髪繊維としては、アクリル
系繊維、塩化ビニル系繊維、あるいはポリエステル繊維
など多くの合成繊維が市販されている。これらの合成繊
維は、それぞれに独自の優れた特性を有しており、各繊
維の特性に応じて得意とする頭飾製品が作られている。
しかしながら、これらの繊維には、それ単独で耐熱性、
カーリング性、触感などの、人工毛髪繊維として必要な
特性の全てを同時に備えるものがないため、頭飾製品を
製造する時、単独の繊維では種々の特性を満足させる製
品を作ることができず、繊維の種類ごとに適用しうる頭
飾製品の範囲が限定され、広範囲のヘアスタイルに適用
することはできなかった。
【0003】例えば、アクリル系繊維は、嵩高性や触感
が人毛に似て優れているが、カールが捩じれたり、ゆる
んだりしてカーリング性が良くない欠点があり、ほとん
どウェーブがかかっていないナチュラルスタイルに多く
使用される。一方、塩化ビニル系繊維は、スタイルのア
レンジがしやすく、カールに弾力感があり、経時的にく
ずれにくいなどのカーリング性が優れているが、嵩高性
に乏しく、剛直で櫛通りが悪いため、ウェーブスタイル
や先端にだけカールを付けたストレートスタイルに多く
使用されている。
【0004】このため、アクリル系繊維の特性と塩化ビ
ニル系繊維の特性を合わせもたせるための試みも提案さ
れている。例えば、特開平2−53910号公報では、
共重合体の組成をアクリロニトリル15〜30重量%、
塩化ビニル85〜70重量%にすることにより、美容特
性に優れ、広範囲なスタイルが可能な毛髪用繊維が提案
されている。しかし、上記の組成ではアクリル系繊維の
耐熱性、染色性の特徴が発揮され難くなり、得られる繊
維の耐熱性が低く、染色しにくい共重合体が生成されや
すい問題があり、アクリル系繊維の特性と塩化ビニル系
繊維の特性とのいずれも損なうことなく両方の特性を発
揮しうる繊維は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アク
リル系繊維と塩化ビニル系繊維とのそれぞれの特性を損
なうことなく、両方の特性を発揮して、人工毛髪として
使用した場合に広範囲なスタイルをカバーできる人工毛
髪繊維及びそれからなる頭飾製品を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために、アクリル系繊維と塩化ビニル系繊維
とをブレンドすることの着想を得、両者の特性を損なう
ことなく、両繊維の人工毛髪としての特性を同時に発揮
させて広範囲なスタイルをカバーしうる条件を見出し、
本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、アク
リロニトリル35〜75重量%、ハロゲン含有ビニル系
単量体25〜65重量%及びこれらと共重合可能な他の
単量体0〜10重量%からなるアクリル系共重合体を用
いてなり、単繊維の繊度が30〜85dtexであるア
クリル系繊維(A)を20〜80重量部と、単繊維の繊
度が30〜85dtexの塩化ビニル系繊維(B)を2
0〜80重量部とを混合した人工毛髪繊維である。
【0007】前記アクリル系繊維(A)としては、円形
充足度係数1.8以下の断面形状を有する単繊維を繊維
束中に35〜90重量%含有しているものを用いること
がより好ましい。ここでいう繊維断面形状の円形充足度
係数とは、単繊維の断面形状の最大径の長さを直径とす
る円を描いたとき、その円の面積(a)と繊維断面形状
の面積(b)の比であるa/bによって規定されるもの
である。
【0008】また、本発明の頭飾製品は、上記した人工
毛髪繊維を毛髪素材として製造してなるものであり、こ
の人工毛髪繊維は特にウィッグ又はヘアアクセサリーの
毛髪素材として好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いるアクリル系繊維
(A)は、アクリロニトリル35〜75重量%、ハロゲ
ン含有ビニル系単量体25〜65重量%及びこれらと共
重合可能な他の単量体0〜10重量%からなる共重合
体、より好ましくはアクリロニトリル40〜70重量
%、ハロゲン含有ビニル系単量体30〜60重量%及び
これらと共重合可能な他の単量体0.7〜8重量%から
なる共重合体を用いてなるものである。前記共重合体に
おけるアクリロニトリルの割合が35重量%未満の場合
やハロゲン含有ビニル系単量体の割合が65重量%を超
える場合には耐熱性が充分でなく、アクリロニトリルの
割合が75重量%を超える場合やハロゲン含有ビニル系
単量体の割合が25重量%未満の場合には難燃性が充分
でなくなる傾向がある。
【0010】前記ハロゲン含有ビニル系単量体として
は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子または臭素原子
を含有するビニル系単量体であれば、いずれも用いるこ
とができる。このハロゲン含有ビニル系単量体の具体例
としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル及
び臭化ビニリデンなどが挙げられる。これらは1種で用
いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】前記アクリロニトリル及びハロゲン含有ビ
ニル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、たと
えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル
及びアクリル酸プロピルなどのアクリル酸エステル、メ
タクリル酸、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチ
ルなどのメタクリル酸エステル、アクリルアミド、酢酸
ビニル、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸塩(ビニ
ルスルホン酸ナトリウムなど)、スチレンスルホン酸、
スチレンスルホン酸塩(スチレンスルホン酸ナトリウム
など)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸塩(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸ナトリウムなど)などが挙げられる。これらは
1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0012】前記アクリロニトリル、ハロゲン含有ビニ
ル系単量体及びこれらと共重合可能な他の単量体を共重
合して重合体を得る方法としては、通常のビニル重合
法、たとえばスラリー重合法、乳化重合法、溶液重合法
などのいずれの方法により行なってもよく、とくに制限
はない。
【0013】また、本発明に使用する前記アクリル系繊
維(A)は、円形充足度係数が1.8以下の断面形状を
有する単繊維を繊維束中に35〜90重量%含有してい
るものが好ましい。このように、断面形状の円形充足度
係数が1.8以下のアクリル系繊維は、通常のアクリル
系繊維に比べて、スタイルのアレンジがしやすい、カー
ルに弾力感がある、カールを保持しやすいといったカー
リング性が改善される傾向にあり、このため塩化ビニル
系繊維と混合しても、カーリング性が良好で、各種スタ
イルに適用しても良好なスタイルに仕上がり、より広範
囲にスタイルをカバーしやすいことから好ましい。前記
繊維断面形状の円形充足度係数は、例えば、図1に示す
単繊維の繊維断面(図中、黒塗り部分)形状において、
該断面形状の最大径の長さを直径とする円を描いたと
き、その円の面積(a)と繊維断面形状の面積(b)の
比であるa/bによって規定され、具体的には(株)イ
ンタークエストの画像解析ソフトImage−Hype
r IIを用いて繊維断面形状を測定して下式(I)によ
り算出することができる。 円形充足度係数=[π×(繊維断面形状の最大径長/2)2]/(繊維断面形状 の面積)・・・(I)
【0014】上記の繊維断面形状の円形充足度係数(以
下、円形充足度係数という)が1.8以下とは、比較的
円形に近い形状をいい、具体的には、円形、略正方形な
どの略正多角形や、略H型、亜鈴型のような形状が好ま
しく、該形状の周囲が直線であるか曲線であるかは問わ
ない。また断面形状内部に断面積の10重量%以下の空
孔が存在していても良い。空孔が断面積の10重量%を
超えると単繊維が軽くなり、頭飾製品に使用したときに
扱い難いという点で好ましくない。
【0015】本発明に用いるアクリル系繊維(A)とし
ては、上記の円形充足度係数が1.8以下である単繊維
を35〜90重量%含んでいる繊維束が好適であり、こ
れによりカール保持性が優れた人工毛髪繊維とすること
ができる。好ましくは円形充足度係数が1.8以下であ
る単繊維を45〜80重量%、最も好ましくは55〜7
0重量%含むアクリル系繊維がよい。90重量%を超え
ると、カール保持性は優れるものの、加工性が悪いとい
った問題や触感が硬くなる傾向があり、また、35重量
%未満であると良好なカール保持性が得られにくくな
る。
【0016】上記のような円形充足度係数が1.8以下
である単繊維が繊維束中に35〜90重量%含まれるア
クリル系繊維(A)の製造方法としては、単一の製造工
程から得られたアクリル系繊維束中に前記の割合で含ま
れているものを用いても、また、円形充足度係数が1.
8以下である繊維とそれ以外の繊維とを35〜90重量
%/65〜10重量%の比率で混合してもよい。
【0017】円形充足度係数が1.8以下の単繊維が繊
維束中に前記の割合で含まれるアクリル系繊維を単一の
製造工程から製造する方法としては、例えば以下のよう
な方法が挙げられる。例えば、アクリロニトリルの含有
量が低くアセトンに可溶なアクリル系共重合体を用いて
アクリル系繊維を製造する場合には、該アクリル系重合
体をアセトンに25〜36重量%、好ましくは28〜3
2重量%の濃度で溶解して紡糸原液とする。この紡糸原
液の粘度は高い方が、円形充足度係数が低いアクリル系
繊維が得られ易く、B型粘度計で測定した40℃におけ
る粘度が、湿式紡糸の場合は40〜50Poise以上
が好ましく、更に好ましくは55Poise以上であ
る。この紡糸原液を用いて、例えば亜鈴型ノズルで、ノ
ズルドラフト(ノズル孔から吐出される紡糸原液の速度
と引き取り速度の比)が1.2〜2.3、好ましくは
1.4〜2.0で、浴温度15〜30℃、好ましくは2
0〜25℃、濃度10〜30重量%、好ましくは15〜
25重量%のアセトン水溶液の凝固浴に紡出し、その
後、公知の方法で処理することで、目的とするアクリル
系繊維(A)が得られる。更に、前記の紡糸原液に、ポ
リ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビ
ニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチルなどのカルボ
キシル基又はカルボニル基を含む置換基を有するオレフ
ィン系化合物を、アクリル系共重合体100重量部に対
して0.5〜10重量部添加した紡糸原液は、円形充足
度係数が低いアクリル系繊維が得られ易い。
【0018】また、アクリロニトリルの含有量が高いア
クリル系共重合体を用いてアクリル系繊維を製造する場
合は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセ
トアミド(DMAc)などの溶剤に溶解し、紡糸原液濃
度を25〜35重量%、好ましくは27〜32重量%と
し、例えば亜鈴型ノズルを用いて、ノズルドラフト0.
5〜1.2、好ましくは0.8〜1.0で、浴温度15
〜35℃、濃度30〜70重量%、好ましくは50〜6
5重量%のDMF、DMAcなどの水溶液からなる凝固
浴に紡出し、その後、公知の方法で処理するなどの方法
で目的とするアクリル系繊維(A)を得ることができ
る。
【0019】また、前記塩化ビニル系繊維(B)は、塩
化ビニル系樹脂を溶融紡糸して得られたものが好まし
く、該塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合
体、塩素化塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと50重
量%までの他の共重合可能な単量体の一種類又は二種類
以上との(多元)共重合体、或いはこれらの混合物が挙
げられる。前記共重合可能な単量体の代表的なものとし
ては、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、マレイン酸エステルなどが挙げられる。
【0020】アクリル系繊維(A)及び塩化ビニル系繊
維(B)の単繊維の繊度は、いずれも30〜85dte
xの範囲内であるのが好ましく、40〜70dtexの
範囲内であることがより好ましい。前記繊度が30dt
ex未満であると人工毛髪用としては柔らかすぎで、か
つスタイリングが難しく、85dtexを超えると硬く
なる傾向にある。
【0021】アクリル系繊維(A)と塩化ビニル系繊維
(B)の混合割合は、各種スタイルの要求品質により適
宜選択されるものであるが、その範囲は、(A)が20
〜80重量部、(B)が20〜80重量部、より好まし
くは(A)が25〜75重量部、(B)が25〜75重
量部である。(A)が20重量部未満では、触感が硬
く、嵩高性が少ない傾向にあり、80重量部を超えると
カール弾性が弱くなる傾向にある。前記アクリル系繊維
(A)と塩化ビニル系繊維(B)との混合方法について
は、均一に混合できる方法であれば特に制限はなく、ハ
ックリングなどの公知の方法により混合すればよい。
【0022】本発明の人工毛髪を毛髪材料として製造さ
れる頭飾製品としては、具体的には、ウイッグ、ブレー
ド、ウィービング、ヘアーピースなどのヘアアクセサリ
ーなどの頭飾製品が例示できるが、特にウィッグ、ヘア
アクセサリーが好ましい。ここでいうウィッグとは、婦
人用、紳士用を問わず頭部に面で取り付ける、主におし
ゃれを楽しむための装飾品であり、その装着面積によっ
て部分ウィッグ、ハーフウィッグ、七分ウィッグ、フル
ウィッグなどに分けられる。一方、ヘアアクセサリーと
は、自毛や頭皮に取り付けるウィッグを除く装飾品の総
称であり、例えばヘアピンやヘアクリップなどを介して
自毛に取り付けて自毛を長く見せるエクステンション
や、頭皮に沿って網状に編んで自毛に縫い合わせたり、
頭皮や自毛に接着剤などで主に帯状に取り付けるウィー
ビング(単に繊維を束ねたものや、当業者では一般にウ
エフトとよばれる繊維を腰ミノ状に加工した繊維束、さ
らにそれらにカール形状を付与した装飾品)などが挙げ
られる。
【0023】本発明の人工毛髪繊維を用いてこれら頭飾
製品を製造する方法は、公知の製法でよい。例えば、ウ
ィッグを作る場合は、繊維束をウィッグ用ミシンで縫製
してミノ毛を作り、これをパイプに巻いて熱セットにて
カールを付与し、カールの付いたミノ毛をヘアキャップ
に縫い付けスタイルを整えることにより製造できる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれによって何ら限定されるもので
はない。尚、実施例中の評価方法は、以下の通りであ
る。
【0025】(触感)専門美容師による官能評価を行
い、下記の4段階で評価した。 優:アクリル系繊維特有の人毛に似た非常に柔らかな触
感。 良:アクリル系繊維特有の人毛に似たやや柔らかな触
感。 やや不良:塩化ビニル系繊維特有のやや剛直で硬い触
感。 不良:塩化ビニル系繊維特有の剛直で硬い触感。
【0026】(カール形状)カールを付与した繊維束を
吊り下げた時の、上から1番目と6番目のカールのらせ
ん状の周期長さ(cm)を測定する。両者の長さが同じ
であるほど、即ち長さの差が小さいほどカールが均一で
きれいであることを示している。
【0027】(カール弾性)上下運動する装置に、カー
ルを付与した繊維束を吊り下げ、上下幅2cmで90回
/分上下させた時の、繊維束の下の先端が上下する幅
(cm)を測定する。幅が大きいほどカールに弾力性が
あることを示している。
【0028】(嵩高性)長さ100cm、重さ100g
の繊維束を用い、これを25cmにカットして束ねる。
この繊維束を、縦4cm、横30cm、高さ12cmの
容器に挿入し、縦3.9cm、横30cm、厚み2m
m、重さ約28gの薄板を乗せる。容器内に充填された
繊維束の高さ(cm)を3ケ所測定し、その平均値を求
める。高さが高いほど嵩高性に優れる。
【0029】(製造例1)[アクリル系繊維の作成] 乳化重合で得られたアクリロニトリル50重量%、塩化
ビニル49重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%
からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解して、29重量
%の紡糸原液を作成した。更に、前記樹脂100重量部
に対しポリ酢酸ビニルのアセトン溶液(日本合成化学
(株)製のゴーセニールK40−Y2)を1.0重量
部、上記紡糸原液に混合した。この原液を、亜鈴型の紡
糸ノズルを用い、ノズルドラフトが1.6となる条件で
20重量%で20℃のアセトン水溶液中に紡出し、得ら
れた繊維を、水洗浴60℃で脱溶剤及び1.5倍延伸
し、次いで130℃で乾熱処理後、120℃で2.5倍
の乾熱延伸を行い、さらに150℃の乾熱で弛緩熱処理
を行った。こうして得られたアクリル系繊維の単糸繊度
は56dtexであった。又、断面形状は略H型である
ものが69重量%、それ以外のものが31重量%であ
り、(株)インタークエストの画像解析ソフトImag
e−Hyper IIにより測定した単繊維の断面形状か
ら円形充足度係数を求めたところ、断面形状が略H型で
あるものについては円形充足度係数が1.33〜1.6
8、それ以外の形状のものでは円形充足度係数が1.5
0〜2.32であり、円形充足度係数が1.8以下の断
面形状を有する単繊維の割合は全体の70重量%であっ
た。
【0030】(製造例2)[塩化ビニル系繊維の作成] 塩化ビニル樹脂(重合度1000)100重量部、エポ
キシ化大豆油3.0重量部、錫系安定剤1.5重量部、
鹸化度10以上の滑剤3.0重量部、鹸化度10以下の
滑剤0.8重量部をリボンブレンダーを用いて110℃
で40分攪拌混合した後、押出機を用いて、シリンダー
温度140℃、ダイス温度145℃でペレット化した。
この樹脂ペレットを、L/D=20の30mmφ押出機
に孔径0.5mmφの丸型ノズルを取付け、シリンダー
温度150〜180℃、ノズル温度180±15℃の範
囲で押出し、ノズル直下に設けた加熱紡糸筒内(200
〜300℃雰囲気)で約0.5〜1.5秒熱処理し、第
一の引取りロールによって紡糸した。次に、第二の延伸
ロールとの間で110℃の熱風循環箱を通して2.5倍
に延伸した。さらに115℃に温度調節した箱の中に設
置した2対の円錐形ロール間を引回し、連続的に25%
の緩和処理を施した。得られた繊維の単糸繊度は62d
texであった。
【0031】(実施例1)製造例1で作成したアクリル
系繊維75重量部と製造例2で作成した塩化ビニル系繊
維25重量部を混合しながらハックリングして糸条を整
えた。混合して得られた人工毛髪繊維について、触感と
嵩高性を評価した。さらにこの人工毛髪繊維を用い、長
さ70cm、総繊度10万dtexの束を作成し、直径
25mmのアルミパイプに巻き込み、対流型乾燥機で1
10℃で1時間熱セットを行い、カール形状を付与し
た。カール形状を付与した繊維について、カール弾性と
カール形状を評価した。評価結果を表1に示す。
【0032】(実施例2)製造例1で作成したアクリル
系繊維50重量部と製造例2で作成した塩化ビニル系繊
維50重量部を混合した以外は、実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0033】(実施例3)製造例1で作成したアクリル
系繊維25重量部と製造例2で作成した塩化ビニル系繊
維75重量部を混合した以外は、実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0034】(比較例1)製造例1で作成したアクリル
系繊維のみを用い、その他は実施例1と同様に評価し
た。結果を表1に示す。
【0035】(比較例2)製造例1で作成したアクリル
系繊維85重量部と製造例2で作成した塩化ビニル系繊
維15重量部を混合した以外は、実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0036】(比較例3)製造例1で作成したアクリル
系繊維15重量部と製造例2で作成した塩化ビニル系繊
維85重量部を混合した以外は、実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0037】(比較例4)製造例2で作成した塩化ビニ
ル系繊維のみを用い、その他は、実施例1と同様に評価
した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果から、アクリル系繊維と塩化ビ
ニル系繊維とを特定の割合で混合することで、塩化ビニ
ル系繊維の欠点である、根元のカールが縦長に伸びた
り、嵩高性が小さく、触感が良くないといった品質が改
善され、さらに、アクリル系繊維の欠点であるカール弾
性が改善され、あらゆるスタイルに適応できることがわ
かる。
【0040】(実施例4)実施例2の人工毛髪繊維を用
いて、塩化ビニル系繊維の特性が生かせるストレートス
タイル(根本から下へほぼストレート状で、毛先にカー
ルがある)とアクリル系繊維の特性が生かせるナチュラ
ルスタイル(根本から毛先まで穏やかなウェーブがほぼ
均一に付いている)との2種類のヘアスタイルを作成
し、専門美容師によりスタイルを評価した。結果を表2
に示す。
【0041】(比較例5)比較例1の繊維を用いた以外
は実施例4と同様にしてヘアスタイルを作成し、同様に
評価した。結果を表2に示す。
【0042】(比較例6)比較例4の繊維を用いた以外
は実施例4と同様にしてヘアスタイルを作成し、同様に
評価した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2の結果から、本発明の人工毛髪繊維
は、アクリル系繊維の特性を生かせるヘアスタイル及び
塩化ビニル系繊維の特性が生かせるヘアスタイルのいず
れのヘアスタイルにおいても、それぞれの繊維よりも良
好なヘアスタイルを作成できることがわかる。
【0045】
【発明の効果】本発明の人工毛髪繊維は、アクリル系繊
維と塩化ビニル系繊維とを特定の割合で混合すること
で、それぞれの繊維が有する特性をいずれも損なうこと
なく発現させることができ、触感が良好で嵩高性に優
れ、かつスタイルアレンジが容易で、しかもカール弾
性、カール形状、カール保持性に優れるなどの特性を有
する。このため、この人工毛髪繊維は、特定のヘアスタ
イルのみでなく広範囲なヘアスタイルの頭飾製品に適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 繊維断面形状の円形充足度係数を計算するた
めのパラメーターとなる繊維断面形状、最大径長及びそ
れを直径とする円の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA09 BB03 BB72 BB76 BB91 CC07 DD02 DD14 DD20 EE01 EE14 EE20 MB13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル35〜75重量%、ハ
    ロゲン含有ビニル系単量体25〜65重量%及びこれら
    と共重合可能な他の単量体0〜10重量%からなるアク
    リル系共重合体を用いてなり、単繊維の繊度が30〜8
    5dtexであるアクリル系繊維(A)を20〜80重
    量部と、単繊維の繊度が30〜85dtexの塩化ビニ
    ル系繊維(B)を20〜80重量部とを混合した人工毛
    髪繊維。
  2. 【請求項2】 前記アクリル系繊維(A)として、円形
    充足度係数1.8以下の断面形状を有する単繊維を繊維
    束中に35〜90重量%含有するものを用いてなる請求
    項1記載の人工毛髪繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の人工毛髪繊維を
    毛髪素材として製造してなる頭飾製品。
  4. 【請求項4】 前記人工毛髪繊維からウィッグ又はヘア
    アクセサリーを製造してなる請求項3記載の頭飾製品。
JP2001021033A 2001-01-30 2001-01-30 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品 Pending JP2002227020A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001021033A JP2002227020A (ja) 2001-01-30 2001-01-30 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001021033A JP2002227020A (ja) 2001-01-30 2001-01-30 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002227020A true JP2002227020A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18886652

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001021033A Pending JP2002227020A (ja) 2001-01-30 2001-01-30 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002227020A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005082184A1 (ja) * 2004-02-27 2005-09-09 Kaneka Corporation 人工頭髪繊維束及びそれからなる頭飾製品
WO2006135059A1 (ja) * 2005-06-16 2006-12-21 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha 人工毛髪用繊維束及びそれを用いた頭髪装飾製品
JP2009018846A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 人工毛髪用繊維の梱包方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005082184A1 (ja) * 2004-02-27 2005-09-09 Kaneka Corporation 人工頭髪繊維束及びそれからなる頭飾製品
US7501177B2 (en) 2004-02-27 2009-03-10 Kaneka Corporation Artificial hair fiber bundle and hair decorative product using the same
JP5122133B2 (ja) * 2004-02-27 2013-01-16 株式会社カネカ 人工頭髪繊維束及びそれからなる頭飾製品
WO2006135059A1 (ja) * 2005-06-16 2006-12-21 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha 人工毛髪用繊維束及びそれを用いた頭髪装飾製品
AP2364A (en) * 2005-06-16 2012-02-10 Denki Kagaku Kogyo Kk Fiber bundle for artificial hair and head decoration article comprising the same.
JP4889635B2 (ja) * 2005-06-16 2012-03-07 電気化学工業株式会社 人工毛髪用繊維束及びそれを用いた頭髪装飾製品
KR101154906B1 (ko) 2005-06-16 2012-06-13 덴끼 가가꾸 고교 가부시키가이샤 인공 모발용 섬유 다발 및 그것을 사용한 두발 장식 제품
JP2009018846A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 人工毛髪用繊維の梱包方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5492779B2 (ja) みの毛、それを用いた頭飾製品及びみの毛の製造方法
CN101516219B (zh) 加工性得到改善的人工毛发用纤维和使用该纤维的头发装饰品
KR0130470B1 (ko) 인조 모발용 폴리비닐 클라로이드 섬유 및 그 제조방법
US5083967A (en) Fiber for doll's hair
JP5122133B2 (ja) 人工頭髪繊維束及びそれからなる頭飾製品
WO2007094176A1 (ja) 人工毛髪用繊維、人工毛髪用繊維束、頭飾製品、及び人工毛髪用繊維の製造方法
KR100634108B1 (ko) 인공 모발 및 그 제조법
KR20150044965A (ko) 인공 모발 및 이를 이용한 가발
JPH08302519A (ja) 嵩高性に優れた人工毛髪用繊維
JP2007009336A (ja) 人工毛髪用繊維束
JP2002227020A (ja) 人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品
JP4191930B2 (ja) 人工毛髪およびその製造法
JP4857469B2 (ja) 人工毛髪
JPH01148806A (ja) 毛髪用アクリル系合成繊維
JP2002227028A (ja) アクリル系人工毛髪繊維およびそれからなる頭飾製品
JPH09132813A (ja) 風合の改良された人工毛髪用繊維及び繊維束
JP2002235256A (ja) カール特性の改善された毛髪用繊維及びそれからなる頭飾製品
JPS584811A (ja) 新規な捲縮特性を有するアクリル系ステ−プル・ファイバ−およびその紡績糸
KR20190000291A (ko) 3차원 권축을 가지는 편평 아크릴로나이트릴계 섬유 및 이 섬유를 사용한 파일 포백
WO2000052241A1 (fr) Multifilament destine a un tissu a poils du type mohair, tissu a poils comprenant ce multifilament, et procede de fabrication de ce tissu
JP2002242016A (ja) 難燃性の改善された人工毛髪繊維及びそれからなる頭飾製品
JP2002227021A (ja) 複合頭髪用繊維束
JP2001064817A (ja) 改良された人工毛髪用繊維束及びそれからなる頭飾製品
JP4722881B2 (ja) 合成繊維束、及び合成繊維束の製造方法
JP2011058139A (ja) 人工毛髪用繊維束