JPH09132813A - 風合の改良された人工毛髪用繊維及び繊維束 - Google Patents

風合の改良された人工毛髪用繊維及び繊維束

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JPH09132813A
JPH09132813A JP28825195A JP28825195A JPH09132813A JP H09132813 A JPH09132813 A JP H09132813A JP 28825195 A JP28825195 A JP 28825195A JP 28825195 A JP28825195 A JP 28825195A JP H09132813 A JPH09132813 A JP H09132813A
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JP
Japan
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fiber
artificial hair
cross
major axis
fibers
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JP28825195A
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English (en)
Inventor
Naohiko Kakita
直彦 垣田
Kenichiro Cho
謙一郎 長
Hiroyuki Nakajima
宏幸 中島
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレード用、エクステンション用をはじめと
する人工毛髪用繊維であって、クリンプ加工での形状の
付き易さ、三つ編み等の手作業時の扱い易さに優れ、し
かも好ましい風合を有する人工毛髪用繊維を提供するこ
と。 【解決手段】 重合体からなる合成繊維であって、断面
形状が、長軸の長さLと短軸の長さWの比(L/W)が
7/1〜3/1の扁平形状で、かつ長軸が、その1箇所
又は2箇所で、90°好ましくは120°を超える角度
θで屈曲又は湾曲した断面形状を有し、単糸繊度が30
〜70デニールの人工毛髪用繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かつら、ヘアピー
ス、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー
等に用いられる人工毛髪用繊維及び繊維束に関するもの
である。特に、ブレード、エクステンションヘアーとし
て用いられた場合には、従来の毛髪用繊維に比べて風合
が改善されて、適度な光沢とソフトな感触を有するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、カツラやヘアピース等の人工毛
髪用繊維としては、アクリル系合成繊維、或いは塩化ビ
ニル系合成繊維が多く用いられている。従来、人工毛髪
用繊維として、実開昭48−13277号、特公昭53
−6253号、実公昭48−6940号、実開昭63−
78026号、特開昭55−51802号等に開示され
たものがある。これらは、人工毛髪用繊維としての風合
いを改善するために、その断面形状を工夫したものであ
る。例えば、実開昭48−13277号のかつら用フィ
ラメントは、まゆ型断面形状における最長部分L、両端
の円形部分の径W、及び中央部のくびれた部分の幅Cの
長さを特定の範囲内に限定したものである。特公昭53
−6253号の人造毛髪用合成繊維は、繊維横断面にお
ける重心を通る最大径(L)を所定の範囲に限定すると
ともに、前記最大径(L)と直交に交わる方向の繊維の
横断面における外周と外周との間の最大長さ(W)と最
大径(L)との比(L/W)を1/1〜1/5の範囲内
に限定したものである。実開昭63−78026号のウ
ィッグ及びブレード用フィラメントは、断面が略円形若
しくは楕円形をなす四本の単位フィラメントが一本の単
位フィラメントに対し他の三本の単位フィラメントを等
間隔をもって放射状に隣り合った断面Y字形であって、
隣接するもの同士の接点が、該単位フィラメントの半径
に略等しい幅で接続したものである。又、特開昭55−
51802号のかつら用フィラメントは、少なくとも2
個の扁平円を部分的に重ねた断面形状を有し、その短軸
の長さWと長軸の長さLとの比L/W、隣り合う2つの
扁平円の中心間の距離C、更に2つの扁平円の中心間を
結ぶ直線と扁平円の長軸のなす角度α等を限定したもの
である。
【0003】しかし、上記のような従来の人工毛髪用繊
維として開発された繊維は、いずれも繊維断面形状の長
さや角度が極めて限られた数値で限定された特異な形状
を有しており、製造が必ずしも容易でないのに加えて、
ブレード用やエクステンションヘアー用として用いた場
合に必ずしも好ましい風合を有するものではなく、スタ
イルの保持やストレート性を重視するあまり、硬い触感
の繊維となりがちであった。又、手作業時の扱い易さと
いった点でも充分ではなかった。
【0004】ところで、扁平繊維は、従来からパイル用
途には広く用いられていたが、かつら等の人工毛髪用繊
維としては、ヘタリ感等が敬遠され、人工毛髪用繊維と
しての用途には不向きと考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、この扁
平繊維について鋭意検討を重ねた結果、所定の扁平率、
単糸繊維度を有する扁平繊維であるもの、好ましくは扁
平な断面における長軸が所定の角度で屈曲した形状を含
むものが、ブレード用、エクステンション用をはじめと
する人工毛髪用繊維としての好ましい風合と、クリンプ
加工での形状の付き易さや、三つ編み等の手作業時の扱
い易さに優れていることを知見し、本発明を完成するに
至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、重合体か
らなる合成繊維であって、図1に示すような断面形状が
長軸の長さLと短軸の長さWの比(L/W)が7/1〜
3/1の範囲内にある扁平形状で、単糸繊度が30〜7
0デニール(以下、単にdと略記する。)の範囲である
ことを特徴とする人工毛髪用繊維である。又、請求項2
に係る人工毛髪用繊維は、上記偏平繊維であって、しか
も、その長軸が、90°を超える角度θで屈曲又は湾曲
した断面形状を有する繊維である。更に、請求項3に係
る人工毛髪用繊維は、前記長軸が、その2箇所で、90
°を超える角度θで屈曲又は湾曲した断面形状を有する
繊維である。そして、請求項4に係る人工毛髪用繊維
は、上記偏平繊維であって、その長軸が、120°を超
える角度で屈曲又は湾曲した断面形状を有する繊維であ
る。更に、請求項5に係る人工毛髪用繊維は、前記長軸
が、165°以上、180°未満の範囲で屈曲又は湾曲
した断面形状を有するものである。
【0007】上記のような本発明に係る偏平繊維を人工
毛髪用の繊維束として使用する場合、全繊維中に、断面
形状が長軸の長さLと短軸の長さWの比(L/W)が7
/1〜3/1の範囲内にある扁平形状で、且つ、単糸繊
度が30〜70デニールの範囲である繊維が、全体の繊
維本数の90%以上含まれていることが好ましい。更
に、前記繊維中、断面形状における長軸が、その1箇所
又は2箇所で165°以上、180°未満の範囲で屈曲
又は湾曲した断面形状を有する繊維が全体の繊維本数の
50〜80%含まれていることが好ましい。
【0008】そして、前記のような繊維束を人工毛髪用
として使用する場合、繊維に捲縮加工を施すことが好ま
しい。この繊維束は、ブレード、エクステンションヘア
ー用として好適に用いられる。
【0009】
【発明の実施の態様】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明に係る偏平な繊維のうち、長軸が屈曲又は湾
曲した繊維の場合の長軸の長さLとは、図2に示すよう
な繊維断面における屈曲又は湾曲した長軸の長さL1 と
L2 の合計の長さ(L1 +L2 )をいう。従って、前記
長軸の長さLと短軸の長さWとの比(L/W)とは、
〔(L1+L2 )/W〕をいう。又、前記のような偏平
繊維において、長軸の2箇所で90°を超える角度θで
屈曲又は湾曲した断面形状を有するものにおける長軸の
長さLとは、図3(a)、(b)に示すような繊維断面
における2箇所で屈曲した長軸の長さL1 、L2 及びL
3 の合計の長さ (L1 +L2 +L3 ) をいい、従って、
前記長軸の長さLと短軸の長さWとの比(L/W)と
は、〔(L1 +L2 +L3 )/W〕をいう。
【0010】前記屈曲した扁平繊維の長軸の長さLと短
軸の長さWとの比(L/W)が7/1を超えて扁平なも
のでは、繊維の厚みが小さくなりすぎ、断面が裂けやす
く、又、腰がなくなりすぎてクタクタになり、クリンプ
などの形状の保持性が低下する。一方、長軸の長さLと
短軸の長さWとの比(L/W)が3/1に満たないもの
では、繊維の厚みが大きくなり、ソフトな触感が低下
し、又、三つ編み等の手作業時の扱い易さのメリットが
低下するので好ましくない。
【0011】又、長軸の屈曲部の角度θとは、図2に示
す繊維断面における前記長軸LのL1 とL2 の角度のう
ち内角に相当する角度θ1 のことをいう。又、この長軸
の2箇所で屈曲した繊維における長軸の屈曲部の角度θ
とは、図3(a)、(b)に示す繊維断面における前記
長軸LのL1 とL2 との角度のうち内角に相当する角度
θ1 、及びL2 とL3 との角度のうち内角に相当する角
度θ2 のことをいう。そして、この屈曲部の角度θは9
0°を超える角度であることが好ましい。この屈曲角度
が90°未満ではソフト感が低下する場合があり、好ま
しくは120°以上、より好ましくは150°以上、更
に好ましくは165°以上である。一方、角度θが18
0°、即ち直線状であると、繊維表面の金属光沢が増す
場合があるため、長軸の屈曲角度θは165°以上、1
80°未満の範囲であることが好ましい。尚、長軸にお
ける屈曲又は湾曲部の位置は特に限定はなく、適度に光
沢を和らげる効果が出る位置で屈曲、又は湾曲していれ
ばよいが、長軸の長さの中間位置に近い方がより好まし
い。
【0012】前記のように、繊維断面における長軸が2
箇所で屈曲したものとしては、図3(a)に示すよう
に、長軸が2箇所で互いに反対方向に屈曲する場合と、
図3(b)に示すように同じ方向に屈曲する場合とがあ
るが、本発明の場合には、特に限定はなく、いずれか一
方、若しくは両者の混合でもよい。
【0013】又、本発明の人工毛髪用繊維における単糸
繊度は前記のように30〜70dである。繊度が30d
未満であると柔らかすぎて腰がないばかりか、クリンプ
等の形状保持性に劣り、商品価値が低下する。逆に70
dを超えて太い場合は断面の長軸の長さが長くなりすぎ
て、太さ感が不自然となり、又、光沢も強く、ソフトな
触感に乏しくなるため、適切な繊度を選択することが必
要である。ソフトな触感を重視する意味では35〜55
dの範囲がより好ましいが、繊維の素材によって剛性は
異なるため、それぞれの素材に最適な繊度が選択される
べきである。
【0014】上記のような屈曲した扁平断面の繊維によ
り人工毛髪用繊維束が作成されるが、その場合、必ずし
も繊維束を構成する全ての繊維が屈曲した断面形状を有
している必要はなく、断面形状が長軸の長さLと短軸の
長さWの比(L/W)が7/1〜3/1の範囲内にある
扁平形状で、且つ、単糸繊度が30〜70dの範囲であ
る繊維が、全繊維中に、全体の繊維本数の90%以上含
まれていれば、本発明の目的とするソフトな風合いを付
与し、しかもクリンプ加工等の加工性や手作業時の取り
扱い性に優れたブレード用やエクステンションヘアー用
をはじめとする人工毛髪用繊維束を得ることができる。
更に好ましくは、前記長軸の1箇所又は2箇所で、16
5°以上、180°未満の範囲で屈曲又は湾曲した断面
形状を有する繊維が、全繊維中に、全体の繊維本数の5
0〜80%含まれていることである。
【0015】本発明に係る人工毛髪用繊維を構成する重
合体として、アクリル系重合体を用いる場合には、繊維
の耐熱性の観点から、通常、アクリロニトリルを30重
量%以上含有している重合体が用いられる。又、アクリ
ロニトリルの他にこれと共重合しうるビニル系単量体を
用いて共重合してもよい。共重合しうるビニル系単量体
としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、
臭化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はそれ
らのモノ、又はジアルキル置換体、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、メタリルス
ルホン酸、メタクロイルオキシベンゼンスルホン酸、メ
タクロイルオキシプロピルスルホン酸、又はこれらの金
属塩類、及びアンモニウムやアミン塩類、グリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルグリ
シジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等があ
る。この中でも、塩化ビニル、塩化ビニリデンが好まし
い。
【0016】上記のような重合体を、有機溶剤、例えば
アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等に
溶解させて紡糸原液とする。尚、必要に応じて、耐光性
等に効果のある安定剤等を添加してもよい。又、光沢の
調整のために種々の添加剤を適量加えても差し支えな
い。更に、着色繊維とするために、適宜顔料、染料等を
使用してもよい。
【0017】更に、前記重合体として、重合度600〜
1500である塩化ビニル単体の重合体、又は該重合度
で酢酸ビニル等の他の単量体と共重合した塩化ビニルを
主体とする共重合体、又は両者の混合物を用いることが
できる。
【0018】又、本発明の人工毛髪用繊維は、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン、ナイロン、又はポリエステ
ルから製造することもできる。
【0019】本発明の繊維を製造するにあたって、紡糸
ノズルは、湿式紡糸法の場合には、図4(a)〜(c)
に示すような孔形状のものを使用すれば良く、凝固浴で
の条件を適宜調整することにより、目的とする屈曲、湾
曲を有する断面形状の繊維が得られる。又、乾式や溶融
紡糸法の場合には、図5(a)〜(c)に示すような、
扁平で、屈曲又は湾曲した目的とする繊維の断面形状に
近い孔形状のものを使用することが好ましい。
【0020】上記のような本発明に係る人工毛髪用繊維
を頭飾用繊維束とする場合には、繊維に捲縮加工を施す
ことが好ましい。本発明でいう捲縮加工とは、例えば、
2本の歯車状のロールに繊維を挟んで連続的に波形形状
を付与するギアークリンプ方式や、蒸気等で加熱した繊
維をスタフィンボックス等に連続的に押し込んで波形形
状を付与する方法を指すものである。これらの方法によ
り、目的とする商品に合った波形形状を付与すること
で、ブレード、エクステンションヘアー等の加工性も向
上し、繊維の光沢を適度に調節した繊維束が得られる。
【0021】上記のような本発明の人工毛髪用繊維及び
繊維束は、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステン
ションヘアー、ドールヘアー等の頭髪装飾用として用い
るものであるが、ギアークリンプ等の捲縮加工を施した
繊維束は、上記頭飾用繊維束の中でも、特にブレード、
エクステンションヘアー等に好適である。
【0022】
【実施例】
<実施例1>アクリルニトリル49重量%、塩化ビニル
50重量%、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%からな
る共重合体樹脂をアセトンに溶解して28.5重量%の
紡糸原液を調製した。該原液を楕円型ノズル(長軸幅
0.70mm、短軸幅0.35mm、孔数50ケ)を用
いて、30重量%のアセトン水溶液中に湿式紡糸した。
得られた繊維は50℃〜60℃の温水浴中で、2.2倍
延伸し、次いで120℃で乾燥後、2.8倍の熱延伸を
行い、更に145℃で緩和熱処理を施した。この繊維の
単糸繊度は40dであり、又、この繊維の断面形状を走
査電子顕微鏡を用いて観察したところ、長軸の一箇所で
屈曲し、該繊維の平均屈曲角度が150°で、且つ長軸
の長さL(L1 +L2 )と短軸の長さWとの比(L/
W)=(4.7/1)である繊維が、全繊維中に、全体
の繊維本数の23%、長軸の2箇所で屈曲し、該繊維の
平均屈曲角度が131.5°で、且つ長軸の長さL(L
1 +L2 +L3 )と短軸の長さWとの比(L/W)=
(4.9/1)である繊維が同じく58%、又、屈曲が
なくほぼ扁平で、且つ長軸の長さLと短軸の長さWとの
比(L/W)=(5/1)である繊維が同じく11%、
更にランダムに変形した断面の繊維が8%混在してい
た。
【0023】次に、上記のようにして得られた繊維に、
直線距離100mmの間に山と谷の繰り返し単位で平均
10個、山の高さと谷の深さとの合計が平均で7mmと
なるギアークリンプ加工を施し、略波形の繊維束とした
後、一般的なブレード商品である5g×30段の三つ編
み商品を作成し、嵩、ソフト感、加工性の3項目につい
て、5段階評価を行った。
【0024】<比較例1>アクリルニトリル49重量
%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソーダ
1重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解して2
8.5重量%の紡糸原液を調製した。該原液を楕円型ノ
ズル(長軸幅0.85mm、短軸幅0.10mm、孔数
50ケ)を用いて、30重量%のアセトン水溶液中に湿
式紡糸した。得られた繊維は50℃〜60℃の温水浴中
で、2.2倍延伸し、次いで120℃で乾燥後、2.8
倍の熱延伸を行い、更に145℃で緩和熱処理を施し
た。この繊維の単糸繊度は40dであり、又、この繊維
の断面形状を走査電子顕微鏡を用いて観察したところ屈
曲が無くほぼ扁平で、且つ長軸の長さLと短軸の長さW
との比(L/W)=(10/1)である繊維が、全繊維
中、全体の繊維本数の95%存在していた。残りの5%
は緩やかな角度で湾曲したり、長軸の端部で断面が破断
したものである。得られた繊維を実施例1と同様の方法
で三つ編み商品を作成し評価したが、繊維の腰がほとん
どなく、クタクタの触感であり、光沢も強すぎて、商品
性の低いものであった。
【0025】<比較例2>アクリルニトリル49重量
%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソーダ
1重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解して2
8.5重量%の紡糸原液を調製した。該原液を楕円型ノ
ズル(長軸幅0.424mm、短軸幅0.212mm、
孔数72ケ)を用いて、30重量%のアセトン水溶液中
に湿式紡糸した。得られた繊維は50℃〜60℃の温水
浴中で、1.4倍延伸し、次いで120℃で乾燥後、
2.5倍の熱延伸を行い、更に145℃で緩和熱処理を
施した。この繊維の単糸繊度は35dであり、又、この
繊維の断面形状を走査電子顕微鏡を用いて観察したとこ
ろ、長軸の一箇所で屈曲し、該繊維の平均屈曲角度が1
20°で、且つ長軸の長さL(L1 +L2 )と短軸の長
さWとの比(L/W)=(2.5/1)である繊維が、
全繊維中、全体の繊維本数の45%、長軸の2箇所で屈
曲し、該繊維の平均屈曲角度が120°で、且つ長軸の
長さL(L1 +L2+L3 )と短軸の長さWとの比(L
/W)=(2.8/1)である繊維が同じく27%、
又、屈曲がなくほぼ扁平で、且つ長軸の長さLと短軸の
長さWとの比(L/W)=(2.5/1)である繊維が
同じく21%、更にランダムに変形した断面の繊維が同
じく7%混在していた。得られた繊維は実施例1と同様
の方法で三つ編み商品を作成し評価したが、光沢は自然
であるものの繊維が硬く、ソフトな触感に乏しい商品と
なった。
【0026】<実施例2>極限粘度が0.53のポリエ
チレンテレフタレートを、溶融押し出し機にて紡糸し
た。使用ノズルは扁平型(長軸幅0.98mm、短軸幅
0.20mm、孔数20ケ)を用いた。紡糸温度は27
0〜285℃で引き取り速度は400m/minで行っ
た。得られた繊維を引き続き80℃熱水中にて2倍延伸
し、更に85℃熱水中にて2.5倍延伸し、140℃ヒ
ーターロールにて熱処理を施した。この繊維の単糸繊度
は35dであり、又、この繊維の断面形状を走査電子顕
微鏡を用いて観察したところ、屈曲が無くほぼ扁平で、
且つ長軸の長さLと短軸の長さWとの比(L/W)=
(4.5/1)である繊維が、全繊維中、全体の繊維本
数の98%存在していた。残りの2%は緩やかな角度で
湾曲したりしたものである。得られた繊維は実施例1と
同様の方法で三つ編み商品を作成し評価した。
【0027】<実施例3>重合度が1200であるポリ
塩化ビニル樹脂をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解
して20重量%の紡糸原液を調製した。該原液を扁平型
ノズル(長軸幅0.85mm、短軸幅0.15mm、孔
数50ケ)を用いて、60重量%のN,N−ジメチルホ
ルムアミド水溶液中に湿式紡糸した。得られた繊維は5
0重量%のN,N−ジメチルホルムアミド水溶液中で2
倍延伸し、50℃以上の温水で水洗した後、120℃で
乾燥後、2倍の延伸を行ない、更に135℃で緩和熱処
理を施した。この繊維の単糸繊度は45dであり、又、
この繊維の断面形状を走査電子顕微鏡を用いて観察した
ところ、長軸の一箇所で屈曲し、該繊維の平均屈曲角度
が170°で、且つ長軸の長さL(L1 +L2 )と短軸
の長さWとの比(L/W)=(5.5/1)である繊維
が、全繊維中、全体の繊維本数の75%、又、屈曲がな
くほぼ扁平で、且つ長軸の長さLと短軸の長さWとの比
(L/W)=6/1である繊維が同じく25%であっ
た。又、前記長軸の一ケ所で屈曲したもののうち、その
屈曲角度が165°以上180°未満の断面形状のもの
の本数が同じく71%であった。
【0028】<実施例4>MI(JIS K7210に
よるメルトインデックス)=10g/10minのポリ
プロピレンを、溶融押し出し機にて扁平型ノズル(長軸
幅0.6mm、短軸幅0.2mm、孔数20ケ)を通し
て、紡糸筒へ溶融紡糸した。紡糸温度は240〜265
℃で引き取り速度は200m/minであった。これを
更に4倍延伸して得られた繊維は、断面がやや変形して
長軸の1箇所で屈曲し、平均屈曲角度が172°で、且
つ長軸の長さL(L1 +L2 )と短軸の長さWとの比
(L/W)=(4.2/1)である繊維が、全繊維中、
全体の繊維本数の70%、又、屈曲がなくほぼ扁平で、
且つ長軸の長さLと短軸の長さWとの比(L/W)=
(4.6/1)である繊維が同じく30%であった。こ
の繊維の単糸繊度は35dであった。
【0029】以上の実施例1〜4、及び比較例1、2の
結果を下記の表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【0032】
【発明の効果】上記のように、本発明に係る人工毛髪用
繊維は、特定の断面形状を有しており、ブレード用、エ
クステンション・ヘアー用をはじめとする人工毛髪用繊
維としての好ましい風合と、クリンプ加工等の加工性
や、手作業時の扱い易さに優れたものである。
【0033】更に、これらの繊維にギアークリンプ等の
捲縮加工を施した繊維束を用いることにより、嵩高性に
優れたブレード、エクステンションヘアー用等の頭飾用
商品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る人工毛髪用繊維の断面説明図で
あり、長軸の屈曲がほとんどない例を示すものである。
【図2】 本発明に係る人工毛髪用繊維の断面説明図で
あり、長軸が1箇所で屈曲した繊維の例を示す。
【図3】 (a)、(b)共に、本発明に係る人工毛髪
用繊維の断面説明図であり、(a)は長軸が2箇所で互
いに反対方向へ屈曲した例を示すものであり、(b)は
長軸が2箇所で同じ方向へ屈曲した例を示すものであ
る。
【図4】 本発明に係る人工毛髪用繊維を製造するため
の紡糸ノズルの孔形状を示す概略図であり、(a)〜
(c)はいずれも湿式紡糸法で用いるものの例を示した
ものである。
【図5】 本発明に係る人工毛髪用繊維を製造するため
の紡糸ノズルの孔形状を示す概略図であり、(a)〜
(c)はいずれも溶融紡糸法で用いるものの例を示した
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/62 302 D01F 6/62 302A

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体からなる合成繊維であって、断面
    形状が、長軸の長さLと短軸の長さWの比(L/W)が
    7/1〜3/1の範囲内にある扁平形状で、単糸繊度が
    30〜70デニールの範囲であることを特徴とする人工
    毛髪用繊維。
  2. 【請求項2】 前記長軸が、90°を超える角度θで屈
    曲又は湾曲した断面形状を有する請求項1記載の人工毛
    髪用繊維。
  3. 【請求項3】 前記長軸が、その2箇所で、90°を超
    える角度θで屈曲又は湾曲した断面形状を有する請求項
    1記載の人工毛髪用繊維。
  4. 【請求項4】 長軸が、120°を超える角度で屈曲又
    は湾曲した断面形状を有する請求項2又は請求項3に記
    載の人工毛髪用繊維。
  5. 【請求項5】 前記長軸が、165°以上、180°未
    満の範囲で屈曲又は湾曲した断面形状を有する請求項2
    又は請求項3に記載の人工毛髪用繊維。
  6. 【請求項6】 前記重合体が、アクリロニトリルを30
    重量%以上含有するアクリル系重合体である請求項1〜
    請求項5のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  7. 【請求項7】 前記重合体が、重合度600〜1500
    である塩化ビニルの単独重合体、又は塩化ビニルを主体
    とする共重合体、又は両者の混合物である請求項1〜請
    求項5のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  8. 【請求項8】 前記重合体が、ポリオレフィンである請
    求項1〜請求項5のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  9. 【請求項9】 前記重合体が、ナイロンである請求項1
    〜請求項5のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  10. 【請求項10】 前記重合体が、ポリエステルである請
    求項1〜請求項5のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  11. 【請求項11】 頭髪装飾用である請求項1〜請求項1
    0のいずれかに記載の人工毛髪用繊維。
  12. 【請求項12】 頭髪装飾が、かつら、ヘアピース、ブ
    レード、エクステンションヘアー、又はドールヘアーで
    ある請求項11記載の人工毛髪用繊維。
  13. 【請求項13】 重合体からなる合成繊維からなる繊維
    束であって、全繊維中に、断面形状が長軸の長さLと短
    軸の長さWの比(L/W)が7/1〜3/1の範囲内に
    ある扁平形状で、且つ、単糸繊度が30〜70デニール
    の範囲である繊維が、全体の繊維本数の90%以上含ま
    れていることを特徴とする人工毛髪用繊維束。
  14. 【請求項14】 前記長軸が、その1箇所又は2箇所
    で、165°以上、180°未満の範囲で屈曲又は湾曲
    した断面形状を有する繊維が、全体の繊維本数の50〜
    80%含まれている請求項13記載の人工毛髪用繊維
    束。
  15. 【請求項15】 繊維に捲縮加工を施して繊維束を形成
    してなることを特徴とする請求項13又は請求項14に
    記載の人工毛髪用繊維束。
  16. 【請求項16】 ブレード、エクステンションヘアー用
    である請求項13〜請求項15のいずれかに記載の人工
    毛髪用繊維束。
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