JPH0124886B2 - - Google Patents
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- JPH0124886B2 JPH0124886B2 JP10175681A JP10175681A JPH0124886B2 JP H0124886 B2 JPH0124886 B2 JP H0124886B2 JP 10175681 A JP10175681 A JP 10175681A JP 10175681 A JP10175681 A JP 10175681A JP H0124886 B2 JPH0124886 B2 JP H0124886B2
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- Artificial Filaments (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
本発明は、表面および断面の改質されたアクリ
ロニトリル系合成繊維の製造法に関するものであ
る。 本発明の目的は、スタイラビリテイ(かつらに
した時、巾広いスタイルを作ることができる繊維
性能)が向上し、且つ合成繊維特有のヌメリ感が
改良され、さらに腰の強さ、嵩高性、櫛通り等の
良好なかつらに適した合成繊維を提供することに
ある。更に他の目的は艶消し剤を添加せずとも適
度に艶が消え、且つ染色したとき鮮明な色調を有
するかつらに適した合成繊維を提供することにあ
る。 従来かつら用合成繊維としては、一般にアクリ
ロニトリル系合成繊維(以下、アクリロニトリル
をANと称す)、或は塩化ビニル系合成繊維が使
用されているが、これらかつら用合成繊維はその
素材によつて得意なスタイル分野を有し、例えば
カーリースタイルに適した合成繊維或はストレー
トスタイルに適した合成繊維等に分類されてお
り、人毛の如く巾広いスタイラビリテイを有する
合成繊維は未だ開発されていないのが現状であつ
た。 とりわけかつら用合成繊維の改質手段としては
断面形状の改質が一般的であり、これまでに円
形、楕円形、馬蹄形、まゆ形、リボン形、4つ葉
形、星形等各種の断面形状の合成繊維が開発さ
れ、実用に供されていたが、断面改質のみでは人
毛の如き巾広いスタイラビリテイを有する合成繊
維を得る迄には至らなかつた。 本発明者等は、かかるスタイラビリテイを向上
し得る合成繊維を目標として繊維の表面改質に着
目し、鋭意研究した結果、スタイラビリテイが向
上し、かつ合成繊維特有の金属光沢の消去された
合成繊維の開発に成功し、先に特開昭55−
158322、特開昭56−63006にその技術を開示した。 この上記の新規な合成繊維は繊維表面に繊維軸
方向に連続した平滑表面部分と凹凸表面部分を有
し、該凹凸表面部分が全繊維表面の20〜70%を占
め、更に凹凸の程度が凸部分の最大繊維径の凹部
分の最小繊維径に対する比で1.5〜1.05であり、
かつ隣接する凸部頂点間距離が10〜500μの範囲
である表面構造に係るものである(図3,4に表
面、断面を示す)。 しかしながら、上記合成繊維は前記した様にス
タイラビリテイの向上に於いては極めて高い評価
を得ているが、一方では多少嵩高性、櫛通りに難
点があり、また平滑表面部がキラキラ光ると云う
現象(以下キラツキと称す)が見られた。 本発明者等はこの様な点に鑑み、更に研究を重
ねた結果、断面形状に複数個の突起を付与するこ
とによつてスタイラビリテイ性能を損うことな
く、前記した嵩高性、櫛通りおよびキラツキが改
良されることを見い出し本発明に到達した。 即ち本発明は、スルホン酸基を有する親水性オ
レフイン単量体を0.5〜5重量%含有するアクリ
ロニトリル系共重合体の紡糸原液を3個以上の突
起が放射状乃至渦巻状に配置された異形断面紡糸
ノズルによつて紡糸する、(イ)繊維表面に繊維軸方
向に連続した節状の凹凸を有し、該凹凸の程度が
凸部分の最大繊維径の凹部分の最小繊維径に対す
る比で1.5〜1.05であり、隣接する凸部頂点間の
距離が10μ〜500μの範囲であり、(ロ)3〜10個の突
起が放射方向に連接した断面形状を有する、アク
リロニトリル系合成繊維の製造法を要旨とする。 本発明に係る合成繊維の表面および断面の走査
型電子顕微鏡写真の一例を第1、第2図に示し
た。図で明らかな様に断面は6ケの放射状突起を
有し、かつ表面に繊維軸方向に連続した節状の凹
凸を有している。第3、第4図には特開昭56−
63006に開示した表面および断面の走査型電子顕
微鏡写真を示した。一方、通常の湿式紡糸及び溶
融紡糸で得られた従来のかつら用合成繊維の表面
の1例を第5、第6図に示した。 かかるかつら用合成繊維には前記した様に種々
の断面があるが、繊維表面については繊維軸方向
に微細な小じわが認められるにすぎず、巨視的に
はその表面は平滑であり、本発明の合成繊維に認
められる節状の凹凸は存在しない。この点が本発
明の合成繊維との大なる相異点である。 既に特開昭55−158322、特開昭56−63006に開
示した如く、本発明者らは繊維表面にかかる凹凸
を有する合成繊維が繊維間のからみを増大し製品
かつらの品質に極めて特徴ある効果を生み出すこ
とを見い出した。即ちスタイルのアレンジ性(構
成フアイバーのカツトなしにブラシなどで種々の
スタイルに変えられる性質)、スタイルの保持性
(風や動きでスタイルが乱れない性質)およびさ
か毛の立ち易さ等を著しく向上させ、かかる諸性
質の集約として前記したスタイラビリテイを著し
く向上させることができる。 更に一般のかつら用合成繊維では合成繊維特有
の光沢およびヌメリ感を改良するため、無機系或
は有機系の艶消剤を添加することが通例であり、
従つて艶消剤のためダル感の増大はさけられずく
すんだ色調になるという欠点を有している。 ところで本発明の合成繊維は、繊維軸方向に連
続した節状の凹凸を有し、且つ断面に放射状の突
起を有するという特徴を有し、かかる表面の凹凸
および断面の突起により光が乱反射されキラツキ
が消去されると同時に極めて人毛に近い艶が得ら
れる。従つて、艶消剤を添加する必要がなく染色
しても鮮明な色調が保たれる。加えて、本発明の
合成繊維は合成繊維特有のヌメリ感がなく好まし
い風合を示す。 更に本発明の合成繊維は嵩高性、櫛通りおよび
腰の強さに優れている。即ち断面に突起を有する
ことから、繊維間の表面同志の密着性が改良され
繊維同志が集束し難くなることによつて嵩高性お
よび櫛通りが改良されるものである。 本発明の合成繊維の凹凸の程度は、凸部分の最
大繊維径に対する凹部分の最小繊維径に対する比
で1.5〜1.05であるのが好ましい。1.05未満の場合
は本発明の目的とするスタイラビリテイの向上が
少い。また1.5を越える場合は繊維のガサツキ感
が過大になり、かつら縫製工程でのもつれ、糸切
れ等のトラブルの原因にもなる上、風合上も好ま
しくない。 凹凸の程度(A)を第7図によつて説明すると、
(第7図は繊維の長径に直角の方向から顕微鏡に
より見た側面の模式図である)Aは下式で表わさ
れる。なおd maxは凸部分の最大繊維径、d
minは凹部の最小繊維径を示す。 A=d max/d min 更に隣接する凸部頂点間の距離は通常10μ〜
500μの範囲が好ましい。10μ未満であつても500μ
を越えても凹凸の効果が減少し繊維間のからみが
失われ、かつらにした時目的とする特性が得られ
ない。 一方、本発明の合成繊維の断面に於ける突起の
数は3〜10個である。突起の数が2ケの場合には
断面の周上に平滑な部分が広くなり、いわゆるキ
ラツキ現象を呈すると共に、かつらの性能として
はカールの保持性の低下、嵩高性の低下および櫛
通りの低下がみられ、好ましくない。また突起の
数が10個を越えると実質的に円形断面に近くな
り、そのため繊維の集束性が増加し、櫛通りの低
下や嵩高性の低下につながり好ましくない。 これらの各突起は必ずしも同面積である必要は
ないが、製造の容易さ、特性面からは略同面積で
あるものがよい。 突起の形状については特に規定しないが、円弧
状が触感、風合の面から好ましい。また、これら
の突起の外に、更に微少な突起を設けることも可
能であるが、この場合前記凸凹比に注意を要す
る。 以上本発明で重要な事は前記した構成要件が全
て満される時のみ効果を発揮し、一つの要件でも
欠けると目的の満足すべき合成繊維は得られない
ことである。 本発明において、突起が放射方向に連接した断
面形状は、3個以上の突起が放射状乃至渦巻状に
配置された異形断面ノズルを用い、種々の紡糸方
法によつて製造することができる。たとえば発泡
剤或は適当な粒子径の無機剤を繊維中に含有させ
てもよく、また予め水溶性ポリマーを含有させ、
後でこれを溶出させても良い。今一例としてAN
系合成繊維の場合の製造方法を以下に示す。 スルホン酸基を有する親水性オレフイン単量体
を0.5〜5重量%含有するAN系共重合体をアセト
ンに溶解し、紡糸原液となした後、通常の異型断
面ノズルを通しアセトン濃度45%温度20℃に保た
れたアセトン―水系凝固浴中に紡出する。ついで
得られた紡糸糸条を温度100℃以上、湿球温度60
℃以上の湿熱風下で乾燥失透回復せしめた後、常
法の延伸、熱処理を行う。 繊維表面の凹凸の程度はアセトン―水系凝固浴
のアセトン濃度、或は浴温度を適宜変更すること
により調節が可能である。また断面の突起の数及
び形状は異型断面ノズルの形状および紡糸ドラフ
トにより決まる。 本発明の一例としたAN系合成繊維の凹凸発現
機構は定かではないが、AN系共重合体の親水性
および凝固浴条件の組み合せにより、紡糸時に生
成した無数のキヤピラリーが後の乾燥工程で熱融
着することにより繊維表面に凹凸が発現するもの
と考えられる。 なお本発明の合成繊維はその特異な断面および
表面構造により、良好な腰の強さ、抗ピル性、ド
ライな触感風合、染色した時の鮮明な色調等の特
性を備え、前記したかつら用途以外に、カーペツ
ト・毛布等その他の用途に適用して良好な性質を
示す。 以下本発明を実施例により更に詳しく説明す
る。 実施例 1 メタクリルスルホン酸ソーダ2重量%、AN50
重量%、塩化ビニル48重量%からなるAN系共重
合体(ηsp=0.20)の23重量%アセトン溶液を紡
糸原液となす(比粘度はジクロヘキサノン2g/
溶液30℃)。この紡糸原液を紡糸速度3m/分
で50孔の*型異型断面ノズルよりアセトン濃度45
重量%および温度20℃のアセトン―水系の凝固浴
中に紡出する。 次いで、糸条を40℃の水洗浴中に導き糸条の水
洗を行い、150%の予備延伸を行つた後、温度120
℃および湿球温度80℃で乾燥失透回復させ、更に
250%熱延伸した後、熱処理を行う。 この様にして得られた50デニールのAN系合成
繊維は図2に示すように、断面形状が放射方向に
連接した6ケの突起を有する。また図1に示すよ
うに、繊維表面には繊維軸方向に連続した節状の
凹凸を有し、且つ凹凸の程度は凸部分の最大繊維
径の凹部分の最小繊維径に対する比で1.3であり、
更に、隣接する凸部頂点間距離は100μ〜300μの
範囲であつた。 本発明のAN系合成繊維のかつらにした時の性
能を従来の合成繊維と比較すると表―1の通りで
あり、スタイラビリテイの向上が認められた。ま
た特開昭56−63006の合成繊維に比較してスタイ
ラビリテイに関しては何ら損しよくなく、キラツ
キ、嵩高性および櫛通りが改良されていた。 なお本発明のAN系合成繊維の光沢は次表に示
す通り通常の合成繊維並の光沢を示すが、ダル感
はなく、染色したとき鮮明な色調を示した。 【表】
ロニトリル系合成繊維の製造法に関するものであ
る。 本発明の目的は、スタイラビリテイ(かつらに
した時、巾広いスタイルを作ることができる繊維
性能)が向上し、且つ合成繊維特有のヌメリ感が
改良され、さらに腰の強さ、嵩高性、櫛通り等の
良好なかつらに適した合成繊維を提供することに
ある。更に他の目的は艶消し剤を添加せずとも適
度に艶が消え、且つ染色したとき鮮明な色調を有
するかつらに適した合成繊維を提供することにあ
る。 従来かつら用合成繊維としては、一般にアクリ
ロニトリル系合成繊維(以下、アクリロニトリル
をANと称す)、或は塩化ビニル系合成繊維が使
用されているが、これらかつら用合成繊維はその
素材によつて得意なスタイル分野を有し、例えば
カーリースタイルに適した合成繊維或はストレー
トスタイルに適した合成繊維等に分類されてお
り、人毛の如く巾広いスタイラビリテイを有する
合成繊維は未だ開発されていないのが現状であつ
た。 とりわけかつら用合成繊維の改質手段としては
断面形状の改質が一般的であり、これまでに円
形、楕円形、馬蹄形、まゆ形、リボン形、4つ葉
形、星形等各種の断面形状の合成繊維が開発さ
れ、実用に供されていたが、断面改質のみでは人
毛の如き巾広いスタイラビリテイを有する合成繊
維を得る迄には至らなかつた。 本発明者等は、かかるスタイラビリテイを向上
し得る合成繊維を目標として繊維の表面改質に着
目し、鋭意研究した結果、スタイラビリテイが向
上し、かつ合成繊維特有の金属光沢の消去された
合成繊維の開発に成功し、先に特開昭55−
158322、特開昭56−63006にその技術を開示した。 この上記の新規な合成繊維は繊維表面に繊維軸
方向に連続した平滑表面部分と凹凸表面部分を有
し、該凹凸表面部分が全繊維表面の20〜70%を占
め、更に凹凸の程度が凸部分の最大繊維径の凹部
分の最小繊維径に対する比で1.5〜1.05であり、
かつ隣接する凸部頂点間距離が10〜500μの範囲
である表面構造に係るものである(図3,4に表
面、断面を示す)。 しかしながら、上記合成繊維は前記した様にス
タイラビリテイの向上に於いては極めて高い評価
を得ているが、一方では多少嵩高性、櫛通りに難
点があり、また平滑表面部がキラキラ光ると云う
現象(以下キラツキと称す)が見られた。 本発明者等はこの様な点に鑑み、更に研究を重
ねた結果、断面形状に複数個の突起を付与するこ
とによつてスタイラビリテイ性能を損うことな
く、前記した嵩高性、櫛通りおよびキラツキが改
良されることを見い出し本発明に到達した。 即ち本発明は、スルホン酸基を有する親水性オ
レフイン単量体を0.5〜5重量%含有するアクリ
ロニトリル系共重合体の紡糸原液を3個以上の突
起が放射状乃至渦巻状に配置された異形断面紡糸
ノズルによつて紡糸する、(イ)繊維表面に繊維軸方
向に連続した節状の凹凸を有し、該凹凸の程度が
凸部分の最大繊維径の凹部分の最小繊維径に対す
る比で1.5〜1.05であり、隣接する凸部頂点間の
距離が10μ〜500μの範囲であり、(ロ)3〜10個の突
起が放射方向に連接した断面形状を有する、アク
リロニトリル系合成繊維の製造法を要旨とする。 本発明に係る合成繊維の表面および断面の走査
型電子顕微鏡写真の一例を第1、第2図に示し
た。図で明らかな様に断面は6ケの放射状突起を
有し、かつ表面に繊維軸方向に連続した節状の凹
凸を有している。第3、第4図には特開昭56−
63006に開示した表面および断面の走査型電子顕
微鏡写真を示した。一方、通常の湿式紡糸及び溶
融紡糸で得られた従来のかつら用合成繊維の表面
の1例を第5、第6図に示した。 かかるかつら用合成繊維には前記した様に種々
の断面があるが、繊維表面については繊維軸方向
に微細な小じわが認められるにすぎず、巨視的に
はその表面は平滑であり、本発明の合成繊維に認
められる節状の凹凸は存在しない。この点が本発
明の合成繊維との大なる相異点である。 既に特開昭55−158322、特開昭56−63006に開
示した如く、本発明者らは繊維表面にかかる凹凸
を有する合成繊維が繊維間のからみを増大し製品
かつらの品質に極めて特徴ある効果を生み出すこ
とを見い出した。即ちスタイルのアレンジ性(構
成フアイバーのカツトなしにブラシなどで種々の
スタイルに変えられる性質)、スタイルの保持性
(風や動きでスタイルが乱れない性質)およびさ
か毛の立ち易さ等を著しく向上させ、かかる諸性
質の集約として前記したスタイラビリテイを著し
く向上させることができる。 更に一般のかつら用合成繊維では合成繊維特有
の光沢およびヌメリ感を改良するため、無機系或
は有機系の艶消剤を添加することが通例であり、
従つて艶消剤のためダル感の増大はさけられずく
すんだ色調になるという欠点を有している。 ところで本発明の合成繊維は、繊維軸方向に連
続した節状の凹凸を有し、且つ断面に放射状の突
起を有するという特徴を有し、かかる表面の凹凸
および断面の突起により光が乱反射されキラツキ
が消去されると同時に極めて人毛に近い艶が得ら
れる。従つて、艶消剤を添加する必要がなく染色
しても鮮明な色調が保たれる。加えて、本発明の
合成繊維は合成繊維特有のヌメリ感がなく好まし
い風合を示す。 更に本発明の合成繊維は嵩高性、櫛通りおよび
腰の強さに優れている。即ち断面に突起を有する
ことから、繊維間の表面同志の密着性が改良され
繊維同志が集束し難くなることによつて嵩高性お
よび櫛通りが改良されるものである。 本発明の合成繊維の凹凸の程度は、凸部分の最
大繊維径に対する凹部分の最小繊維径に対する比
で1.5〜1.05であるのが好ましい。1.05未満の場合
は本発明の目的とするスタイラビリテイの向上が
少い。また1.5を越える場合は繊維のガサツキ感
が過大になり、かつら縫製工程でのもつれ、糸切
れ等のトラブルの原因にもなる上、風合上も好ま
しくない。 凹凸の程度(A)を第7図によつて説明すると、
(第7図は繊維の長径に直角の方向から顕微鏡に
より見た側面の模式図である)Aは下式で表わさ
れる。なおd maxは凸部分の最大繊維径、d
minは凹部の最小繊維径を示す。 A=d max/d min 更に隣接する凸部頂点間の距離は通常10μ〜
500μの範囲が好ましい。10μ未満であつても500μ
を越えても凹凸の効果が減少し繊維間のからみが
失われ、かつらにした時目的とする特性が得られ
ない。 一方、本発明の合成繊維の断面に於ける突起の
数は3〜10個である。突起の数が2ケの場合には
断面の周上に平滑な部分が広くなり、いわゆるキ
ラツキ現象を呈すると共に、かつらの性能として
はカールの保持性の低下、嵩高性の低下および櫛
通りの低下がみられ、好ましくない。また突起の
数が10個を越えると実質的に円形断面に近くな
り、そのため繊維の集束性が増加し、櫛通りの低
下や嵩高性の低下につながり好ましくない。 これらの各突起は必ずしも同面積である必要は
ないが、製造の容易さ、特性面からは略同面積で
あるものがよい。 突起の形状については特に規定しないが、円弧
状が触感、風合の面から好ましい。また、これら
の突起の外に、更に微少な突起を設けることも可
能であるが、この場合前記凸凹比に注意を要す
る。 以上本発明で重要な事は前記した構成要件が全
て満される時のみ効果を発揮し、一つの要件でも
欠けると目的の満足すべき合成繊維は得られない
ことである。 本発明において、突起が放射方向に連接した断
面形状は、3個以上の突起が放射状乃至渦巻状に
配置された異形断面ノズルを用い、種々の紡糸方
法によつて製造することができる。たとえば発泡
剤或は適当な粒子径の無機剤を繊維中に含有させ
てもよく、また予め水溶性ポリマーを含有させ、
後でこれを溶出させても良い。今一例としてAN
系合成繊維の場合の製造方法を以下に示す。 スルホン酸基を有する親水性オレフイン単量体
を0.5〜5重量%含有するAN系共重合体をアセト
ンに溶解し、紡糸原液となした後、通常の異型断
面ノズルを通しアセトン濃度45%温度20℃に保た
れたアセトン―水系凝固浴中に紡出する。ついで
得られた紡糸糸条を温度100℃以上、湿球温度60
℃以上の湿熱風下で乾燥失透回復せしめた後、常
法の延伸、熱処理を行う。 繊維表面の凹凸の程度はアセトン―水系凝固浴
のアセトン濃度、或は浴温度を適宜変更すること
により調節が可能である。また断面の突起の数及
び形状は異型断面ノズルの形状および紡糸ドラフ
トにより決まる。 本発明の一例としたAN系合成繊維の凹凸発現
機構は定かではないが、AN系共重合体の親水性
および凝固浴条件の組み合せにより、紡糸時に生
成した無数のキヤピラリーが後の乾燥工程で熱融
着することにより繊維表面に凹凸が発現するもの
と考えられる。 なお本発明の合成繊維はその特異な断面および
表面構造により、良好な腰の強さ、抗ピル性、ド
ライな触感風合、染色した時の鮮明な色調等の特
性を備え、前記したかつら用途以外に、カーペツ
ト・毛布等その他の用途に適用して良好な性質を
示す。 以下本発明を実施例により更に詳しく説明す
る。 実施例 1 メタクリルスルホン酸ソーダ2重量%、AN50
重量%、塩化ビニル48重量%からなるAN系共重
合体(ηsp=0.20)の23重量%アセトン溶液を紡
糸原液となす(比粘度はジクロヘキサノン2g/
溶液30℃)。この紡糸原液を紡糸速度3m/分
で50孔の*型異型断面ノズルよりアセトン濃度45
重量%および温度20℃のアセトン―水系の凝固浴
中に紡出する。 次いで、糸条を40℃の水洗浴中に導き糸条の水
洗を行い、150%の予備延伸を行つた後、温度120
℃および湿球温度80℃で乾燥失透回復させ、更に
250%熱延伸した後、熱処理を行う。 この様にして得られた50デニールのAN系合成
繊維は図2に示すように、断面形状が放射方向に
連接した6ケの突起を有する。また図1に示すよ
うに、繊維表面には繊維軸方向に連続した節状の
凹凸を有し、且つ凹凸の程度は凸部分の最大繊維
径の凹部分の最小繊維径に対する比で1.3であり、
更に、隣接する凸部頂点間距離は100μ〜300μの
範囲であつた。 本発明のAN系合成繊維のかつらにした時の性
能を従来の合成繊維と比較すると表―1の通りで
あり、スタイラビリテイの向上が認められた。ま
た特開昭56−63006の合成繊維に比較してスタイ
ラビリテイに関しては何ら損しよくなく、キラツ
キ、嵩高性および櫛通りが改良されていた。 なお本発明のAN系合成繊維の光沢は次表に示
す通り通常の合成繊維並の光沢を示すが、ダル感
はなく、染色したとき鮮明な色調を示した。 【表】
第1〜6図は繊維表面および断面の走査型電子
顕微鏡写真であり、第1〜2図は本発明の合成繊
維の表面および断面(第1図は340倍、第2図860
倍)、第3〜4図は特開昭56−63006の合成繊維の
表面および断面(第3図は340倍、第4図860倍)、
第5〜6図は従来のかつら用合成繊維の表面を示
す写真(何れも170倍)である。第7図は本発明
の合成繊維を繊維の長径に直角の方向から見た側
面の模式図である。
顕微鏡写真であり、第1〜2図は本発明の合成繊
維の表面および断面(第1図は340倍、第2図860
倍)、第3〜4図は特開昭56−63006の合成繊維の
表面および断面(第3図は340倍、第4図860倍)、
第5〜6図は従来のかつら用合成繊維の表面を示
す写真(何れも170倍)である。第7図は本発明
の合成繊維を繊維の長径に直角の方向から見た側
面の模式図である。
Claims (1)
- 1 スルホン酸基を有する親水性オレフイン単量
体を0.5〜5重量%含有するアクリロニトリル系
共重合体の紡糸原液を3個以上の突起が放射状乃
至渦巻状に配置された異形断面紡糸ノズルによつ
て紡糸する、(イ)繊維表面に繊維軸方向に連続した
節状の凹凸を有し、該凹凸の程度が凸部分の最大
繊維径の凹部分の最小繊維径に対する比で1.5〜
1.05であり、隣接する凸部頂点間の距離が10μ〜
500μの範囲であり、(ロ)3〜10個の突起が放射方
向に連接した断面形状を有する、アクリロニトリ
ル系合成繊維の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10175681A JPS584809A (ja) | 1981-06-29 | 1981-06-29 | 合成繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10175681A JPS584809A (ja) | 1981-06-29 | 1981-06-29 | 合成繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS584809A JPS584809A (ja) | 1983-01-12 |
JPH0124886B2 true JPH0124886B2 (ja) | 1989-05-15 |
Family
ID=14309070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10175681A Granted JPS584809A (ja) | 1981-06-29 | 1981-06-29 | 合成繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS584809A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2516181Y2 (ja) * | 1990-02-08 | 1996-11-06 | 日本電気株式会社 | 金具取付構造 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0768646B2 (ja) * | 1985-12-20 | 1995-07-26 | 鐘淵化学工業株式会社 | かつら・ド−ルヘア用フイラメント |
JPH01148806A (ja) * | 1987-12-02 | 1989-06-12 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 毛髪用アクリル系合成繊維 |
JPH02139906A (ja) * | 1988-11-18 | 1990-05-29 | Toray Eng Co Ltd | コイル部品の製造装置 |
JP4420819B2 (ja) | 2002-08-01 | 2010-02-24 | 株式会社カネカ | スタイラビリティが改善されたアクリル系合成繊維 |
-
1981
- 1981-06-29 JP JP10175681A patent/JPS584809A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2516181Y2 (ja) * | 1990-02-08 | 1996-11-06 | 日本電気株式会社 | 金具取付構造 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS584809A (ja) | 1983-01-12 |
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