JP4764378B2 - アクリル系三角形断面繊維とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細繊度であり、かつ優れた風合いと抗ピル性を有し、良好な品質および性能の繊維製品が得られる、アクリル系三角形断面繊維とその製造方法に関する。
アクリル系繊維は他の合成繊維に比べ最も羊毛に類似した柔軟な風合い、保温性、嵩高性ならびに優れた染色性を有し、衣料用またはインテリア分野に多く利用されている。しかしながらアクリル系繊維の編織物は、着用中にその表面に毛羽、短毛等の絡まりあったピリングと呼ばれる毛玉が発生しやすく、編織物の外観を著しく損ない商品価値を低下させるという実用上の欠点がある。かかる状況を背景としてピリングの発生を防止するためにこれまでにも多くの提案がなされてきた。
例えば、特開昭59−192717号公報(特許文献1)には、サイド・バイ・サイド型のアクリル系複合繊維ではあるが、繊維の引っ張り強度、結節強伸度を特定の範囲とすることによって抗ピル性アクリル系繊維を得る方法が開示されている。また例えば、特開平04−57909号公報(特許文献2)には、溶剤の洗浄と延伸処理を施した糸条の膨潤度を160%〜250%に制御し、さらに強度3g/d以上、結節強度と結節伸度の積が20以下とすることで、抗ピル性アクリル系繊維を得る方法が開示されている。しかし、これらの抗ピル性アクリル系繊維を、天然繊維等の抗ピル性を有さない他の繊維と混合して使用する場合は、抗ピル性が不十分であった。
他の繊維との混合使用における抗ピル性を改善する方法としては、例えば特開昭59−116409号公報(特許文献3)や特開平09−250024号公報(特許文献4)にあるように、繊維の断面形状を真円化し特定の熱処理条件の下で抗ピル性を向上させる方法が開示されている。また例えば、特公昭44−30808号公報(特許文献5)にはノズル孔を多角形の異型断面として紡糸ドラフトと1浴引取速度との関係が、特定の数値領域内を満足するように、ジメチルスルホキシド−水系浴中に紡出して円形口金で紡糸したときと同様の断面形状をもち、しかも他の繊維物性を損なわない抗ピル性アクリル繊維の製造方法が開示されている。
特開昭59−192717号公報 特開平04−57909号公報 特開昭59−116409号公報 特開平09−250024号公報 特公昭44−30808号公報
上記特許文献3及び4に開示された方法によって抗ピル性は改善されるものの、特殊な紡糸製造条件が必要であることや、抗ピル性アクリル繊維の製造工程で接着繊維が多発する等の生産性の問題が発生するものであった。また特許文献5に開示された方法では、得られる繊維はノズル孔の形状を残しておらず、また示された紡糸製造条件において接着繊維が多発する等の問題が発生する課題があった。特に、これらに開示された方法を用いては、昨今市場において求められている、ソフト風合いを有した細繊度の抗ピル性アクリル系繊維を製造することが困難であった。
本発明の目的は、細繊度であり、かつ優れた風合いと抗ピル性を有し、良好な品質および性能の繊維製品が得られる、多角形の異型断面を有する抗ピル性アクリル系繊維とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、多角形の異形断面を有するにも関わらず、抗ピル性を有し、良好な品質および性能の繊維製品が得られる抗ピル性アクリル系繊維が如何なる組成及び構成を備え、しかも同繊維を如何にして安定して製造できるかについて鋭意検討を重ねた結果、以下に示す本発明を見出すに到ったものである。
すなわち、本発明の第1の要旨は、アクリロニトリル単位94.0質量%以上と、ビニル系モノマー単位4.0〜5.8質量%、およびスルホン酸基含有ビニルモノマー単位0.2〜2.0質量%からなり、以下の5つの要件を満たすアクリル系三角形断面繊維にある。
・単繊維繊度:0.3〜1.0dtex、
・引っ張り強度:1.8cN/dtex以上、
・結節強度:2.5cN/dtex以下、
・結節伸度:20%以下、
・繊維断面:(繊維断面周囲長)2 /(繊維断面積)=15〜30
また、本発明の第2の要旨は、18〜25質量%のアクリロニトリル系ポリマーと、75〜82質量%の有機溶媒とからなる紡糸原液に、以下の(1)〜(5)の工程を順に施すアクリル系繊維の製造方法にある。
(1)前記アクリロニトリル系ポリマーを、アクリロニトリル単位94.0質量%以上と、ビニル系モノマー単位4.0〜5.8質量%、およびスルホン酸基含有ビニルモノマー単位0.2〜2.0質量%の範囲で調整して前記紡糸原液を調製すること、
(2)以下の条件を満たす三角形ノズル孔から、紡糸ドラフトを0.85〜1.50として、前記紡糸原液を凝固浴中に吐出すること、
(ノズル孔周囲長)2 /(ノズル孔面積)=16〜25
(3)凝固浴中の溶媒濃度30〜40質量%、温度45〜65℃とすること、
(4)熱水延伸工程で熱水延伸倍率が4.0〜6.0倍となるように延伸すること、及び(5)油剤付与後、乾燥緻密化処理を行い、熱緩和処理を行うこと。
上記アクリロニトリル系ポリマーの還元粘度(0.5%DMF溶液中、25℃で測定)が1.4dl/g以上、2.2dl/g以下であることが好ましい。
本発明のアクリル系繊維は、優れた抗ピル性と編織地風合いを兼備し、良質な品質、性能の繊維製品を得ることが可能な抗ピル性アクリル系繊維を提供することでき、セーター、肌着、ジャージ等の衣料用途において、単独或いは綿、レーヨン、ウール等、他繊維と混紡し、紡績をした際、優れた風合いと品質を有する抗ピル性の繊維製品を提供することを可能にする。繊維断面を三角形状とすることで、繊維の持つ断面2次モーメントが適切なものとなり、繊維が曲がりにくく互いに絡みにくくなる。
本発明の抗ピル性アクリル系繊維の製造方法によれば、細繊度でありながら、優れた風合いと抗ピル性を兼備し、良質な品質、性能の繊維製品を得ることが可能な抗ピル性アクリル系繊維を安定して製造することができる。
アクリロニトリル系ポリマーの還元粘度が、上記の範囲にあれば、安定した紡糸が可能となり、同時に抗ピル性の低下もない。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるアクリロニトリル系重合体は94質量%以上のアクリロニトリル単位を含有することが必要である。アクリロニトリル単位の含有率が94質量%未満の場合は、衣料用繊維として必要な繊維物性を損なうため好ましくない。
また、ビニル系モノマー単位の含有率は4.0質量%以上、5.8質量%以下であることが必要である。ビニル系モノマー単位の含有率が4.0質量%未満の場合は、紡糸原液のゲル化が進行しやすくなるため、紡糸原液工程の管理が困難となる。一方、ビニル系モノマー単位の含有率が5.8質量%より多くなると、抗ピル性能が低下するので好ましくない。
更に、スルホン酸基含有ビニルモノマー単位の含有率は0.2質量%以上、2.0質量%以下であることが必要である。スルホン酸基含有ビニルモノマー単位の含有率が0.2質量%未満の場合は十分な染色性能が得られず、2.0質量%より多く含まれる場合は、染色性能は高まるものの、凝固が遅く、紡糸工程で繊維同士の接着が発生しやすくなる等の紡糸安定性不良による繊維生産性の低下、さらに得られた繊維もリング染色などの染色斑を引き起こすため好ましくない。
アクリロニトリル単位と共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、あるいはこれらの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸アミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、などが挙げられる。また、スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはこれらの金属塩類、およびアミン塩類等が好ましく用いられるが、本発明はここに挙げたモノマーに限定されるものではない。このようなポリマーを得るための重合方法は、水媒体中で実施する懸濁重合法が望ましいが、これに限定されるものではない。
これらのポリマーを湿式紡糸する溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒であることが必要である。中でも、繊維製造における生産性、得られた抗ピル性アクリル系繊維の染色鮮明性と、抗ピル性能のバランスの面からジメチルアセトアミドが好ましい。また、用いるポリマーの還元粘度(0.5%DMF溶液中、25℃で測定)は1.4dl/g以上、2.2dl/g以下であることが好ましい。1.4dl/g未満の場合には、必要とされる引張強度を得られなくなってしまうため好ましくない。また、2.2dl/gを超えると紡糸の糸切れが増加し安定した紡糸が困難となるばかりか、繊維の結節強度や結節伸度が高くなり、必要とされる抗ピル性が得られなくなってしまうため好ましくない。
本発明のアクリル系繊維の繊度は、0.3〜1.0dtexである。一般的なアクリル系繊維の製造方法においては、繊維を細くするために延伸倍率を上げる必要がある。高い倍率で延伸する工程を経たアクリル系繊維はポリマー分子鎖の配向が強く進行しているため抗ピル性能が低下する傾向にあるが、本発明の製造方法を用いることで、0.3〜1.0dtexの極細繊維において顕著なソフト風合いと抗ピル性能を発現させることができる。
また、引っ張り強度は、1.8cN/dtex以上であることが必要である。引っ張り強度が1.8cN/dtexより低い場合、紡績工程等の加工工程通過性が悪くなり、生産性が著しく低下するので好ましくない。
さらに、結節強度が2.5cN/dtex以下、結節伸度が20%以下であるという2つの条件を満たす必要がある。結節強度が2.5cN/dtexより高い場合、結節伸度が20%より高い場合、いずれの場合も抗ピル性が著しく低下するので、好ましくない。
さらに、本発明においては繊維断面が三角形状であることが好ましい。すなわち、繊維断面形状を三角形状に制御することで、繊維製造工程における紡糸性、生産性を低下させることなく、細繊度の抗ピル性アクリル系繊維を製造することができる。この三角形状とは式(1)を満たしている形状のことを示すものである。
(繊維断面周囲長)2 /(繊維断面積)=15〜30 ……(1)
式(1)に示す値が15より小さいと、繊維断面がかなり真円に近づいた形状を有しており、抗ピル性能が低下するために好ましくない。すなわち、繊維断面が真円に近づくことにより、繊維の持つ断面2次モーメントが小さくなり、繊維は曲がりやすく互いに絡みやすい性質に変化してしまうためである。一方、式(1)に示す値が30を越えると、繊維断面がかなり楕円あるいは扁平に近づいた形状を有しており、繊維の持つ断面2次モーメントが小さくなり、繊維は曲がりやすく互いに絡みやすい性質に変化してしまい、抗ピル性が低下してしまうため好ましくない。
また、紡糸原液のポリマー濃度は18〜25質量%のポリマーと、75〜82質量%の有機溶媒からなる必要がある。該紡糸原液中のポリマー濃度が20質量%未満の場合、得られる繊維断面が真円に近づきやすくなり、式(1)に示す値が15以下になりやすいため好ましくない。一方、25質量%を超えると紡糸原液の曳糸性が不足するため安定した紡糸ができなくなるので好ましくない。また、該紡糸原液の温度は60〜95℃であることが好ましい。60℃未満の場合は紡糸原液の曳糸性が不足するだけでなく、粘度が高いためにノズル圧上昇などの操業性悪化の原因となる。95℃より高い場合は紡糸原液のゲル化等の変性を引き起こすことが多く、安定した紡糸が望めなくなる。
前記紡糸原液を湿式紡糸するための凝固浴の組成は、有機溶媒濃度が30〜40質量%、水の成分が60〜70質量%であることが必要である。有機溶媒濃度が30質量%未満の場合は、紡糸性が低下し、凝固浴での糸切れが多くなる傾向となり好ましくない。
40質量%より高い場合は、得られる繊維断面が真円に近づきやすくなり、式(1)に示す値が15以下になりやすいため好ましくない。また、凝固浴の温度は45℃〜65℃にする必要がある。45℃未満の場合、十分な抗ピル性能を示さなくなるので好ましくなく、他方、65℃より高くなると、得られる繊維断面が真円に近づきやすくなり、式(1)に示す値が15以下になりやすいため好ましくない。
該凝固浴中にノズルから紡糸原液を押し出し繊維状に賦形する際のノズル孔形状は三角形状をしている必要がある。ただし、三角形状は次式(2)を満たすものでなければならない。
(ノズル孔周囲長)2/(ノズル孔面積)=16〜25 ……(2)
また、紡糸ドラフトは0.85〜1.5倍にすることが好ましい。紡糸ドラフトが0.85倍未満の場合は得られた繊維の上記式(1)に示す値が15以下になりやすく、1.5倍より高い場合は紡糸安定性が損なわれてしまう。このように、特定の組成の原液を使用し、特定のノズル孔形状より特定の凝固浴組成に対して特定の紡糸ドラフトで紡出することによって、繊維断面を本発明の要件である三角形状に形成させ、かつ抗ピル性能を付与することができる。
引き続いて、熱水中で繊維中に残留する溶剤を洗浄しながら延伸される。この熱水延伸工程の延伸倍率は4〜6倍であることが必要である。熱水延伸倍率が4倍より低いと、得られた繊維の紡績工程通過性が低下するため好ましくなく、6倍を超えると抗ピル性が低下するので好ましくない。得られた延伸糸に定法により油浴剤処理を施し、少なくとも140℃で乾燥させる。140℃未満で乾燥緻密化処理を行うと、十分な繊維強度が得られないおそれがある。その後、熱緩和条件処理等を施してアクリル繊維とする。熱緩和条件としては、繊維物性、染色性と抗ピル性発現のバランスから、湿熱雰囲気下で100℃から120℃の範囲が好ましい。
以上のような製造方法により得た本発明の抗ピル性アクリル繊維はカットして短繊維とされた後、紡績される。紡績糸の構成は、本発明の抗ピル性アクリル系繊維を100%としても良いし、他の繊維、例えば通常のアクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の合成繊維または化学繊維、綿、ウール、絹等の天然繊維と混紡して、紡績糸とすることも可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、特記しない限りそれぞれ質量%を意味する。
「紡糸原液粘度の測定方法」
50℃における各原液の粘度測定は、JIS Z8803 落球粘度法によって測定した。
「抗ピル性の測定方法」
抗ピル性に関しては、得られた編地を、0.2%owf の保土谷化学工業社製 Aizen Cathilon Blue-BRLH染料溶液で浴比1:100、温度97℃、時間50分間の条件で染色後、60℃の熱風乾燥機で乾燥して、抗ピル性測定用の編地を作成し、ICI法(JIS L 1076 A法にて5時間試験)により抗ピル性を評価した。
「編地風合いの評価方法」
得られた編地を、0.9%owf の保土谷化学工業社製 Aizen Cathilon Blue-BRLH染料溶液で浴比1:100、温度97℃、時間50分間の条件で染色後、60℃の熱風乾燥機で乾燥して、風合い評価用の編地を作成した。
5人の判定員が、その風合い評価用の編地を触感判定し、十分なソフト性を有していると判断されるものに「○」、ソフト性は有しているもののシャリ感が出ていると判断されるものに「×」をつけた。5人全員が○をつけた場合の判定結果を◎とし、○が3人以上いた場合の判定結果を○とし、×が3人以上いた場合の判定結果を×として評価した。
「繊維断面周囲長および繊維断面積の測定方法」
ポリエステルチューブの中心軸と繊維束の軸方向が平行になるように、適量の繊維をポリエステルチューブに挿入し、その繊維軸に垂直方向に切断して、繊維断面観察サンプルを作成する。走査型電子顕微鏡を使用し、繊維断面観察サンプルの各繊維断面を観察して、図1に示したように3辺の長さをそれぞれ測定し、下式より繊維断面周囲長と繊維断面積を算出し、20本の繊維について、平均値を求めた。なお、1μm以下の微細な皺などは繊維断面周囲長に含めず皺の頂点同士を直線で結ぶことで繊維断面周囲長を算出した。
(繊維断面周囲長)=x+y+z
(繊維断面積)=x×(y2 −(x×y)2 /(y+z)2 1/2 ×0.5
以下、実施例と比較例とに基づき本発明を更に詳しく説明する。
「実施例1」
アクリロニトリル単位95質量%、酢酸ビニル単位4.4質量%、メタリルスルホン酸ソーダ単位0.6質量%からなる還元粘度1.6のアクリロニトリル系ポリマーをジメチルアセトアミドに溶解しポリマー濃度24質量%、50℃での粘度が200ポイズの紡糸原液を得た。
前記紡糸原液を75℃に調節し、35%ジメチルアセトアミド、温度50℃の凝固浴中に、一辺80μmの正三角形状をしたノズル孔から紡糸ドラフト1.32となるように押し出して湿式紡糸し、次いで沸水中で溶剤を洗浄しながら5.5倍の延伸を施し、続いて油剤を付着させ150℃の熱ローラーで乾燥し、さらに1.5kg/cm2 の加圧スチーム中で緩和処理を行って、単繊維繊度が1.0dtexの繊維を得た。
得られた繊維を38mmにカットし、2インチ紡により1/52の紡績糸となし、前記紡績糸を抗ピル性測定用条件及び染色鮮明性評価用条件で染色後、24ゲージ、48本の丸編み機を用いて天竺組織に製編して、抗ピル性測定用の編地と風合い評価用の編地を作成した。それらの抗ピル性、編地風合いを評価したところ、抗ピル性5級、編地風合いは良好(◎)であった。
「実施例2〜5および比較例1〜8」
実施例1における、ノズル孔形状、凝固浴条件、各延伸倍率、目標繊度を変更して得られた原綿を紡績、編地作成し、それらの抗ピル性と編地風合いを評価した結果を表1に示した。

Figure 0004764378
「実施例6〜10、比較例9〜12」
実施例1〜5、比較例1〜3で得たアクリル系繊維70質量%と沸騰水中での収縮率が18%である1.7dtexの収縮性アクリル繊維30質量%、あるいは沸騰水中での収縮率が20%である1.3dtexの収縮性アクリル繊維30質量%から2インチ紡により1/52の紡績糸を得た。前記紡績糸を染色後、24ゲージ、48本の丸編み機を用いて天竺組織に製編、抗ピル性測定用の編地を作成し、それらの抗ピル性と編地風合いの評価結果を表2に示した。

Figure 0004764378
表1および表2の結果から明らかなように、本発明に関わる諸工程要件を満たす条件にて製造されたアクリル系繊維は、それ自身が優れた抗ピル性能と編地風合いを有するだけでなく、他の繊維と混綿した後も良好な抗ピル性能と編地風合いを発現することが分かる。
本発明に係る抗ピル性アクリル系三角形断面繊維の拡大断面模式図である。
符号の説明
X,Y,Z 三角断面の各辺の長さ
a 深さ1μm以下の皺

Claims (3)

  1. アクリロニトリル単位94.0質量%以上、ビニル系モノマー単位4.0〜5.8質量%、およびスルホン酸基含有ビニルモノマー単位0.2〜2.0質量%からなり、以下の5つの要件を満たすアクリル系三角形断面繊維。
    ・単繊維繊度:0.3〜1.0dtex
    ・引っ張り強度:1.8cN/dtex以上
    ・結節強度:2.5cN/dtex以下
    ・結節伸度:20%以下
    ・繊維断面:(繊維断面周囲長)2/(繊維断面積)=15〜30
  2. 18〜25質量%のアクリロニトリル系ポリマーと、75〜82質量%の有機溶媒とからなる紡糸原液に、以下の(1)〜(5)の工程を順に施すアクリル系三角形断面繊維の製造方法。
    (1)前記アクリロニトリル系ポリマーを、アクリロニトリル単位94.0質量%以上と、前記アクリロニトリルと共重合性を有するビニル系モノマー単位4.0〜5.8質量%、およびスルホン酸基含有ビニルモノマー単位0.2〜2.0質量%の範囲で調整して前記紡糸原液を調製すること、
    (2)以下の条件を満たす三角形ノズル孔から、紡糸ドラフトを0.85〜1.50として、前記紡糸原液を凝固浴中に吐出すること、
    (ノズル孔周囲長)2/(ノズル孔面積)=16〜25
    (3)凝固浴中の溶媒濃度30〜40質量%、温度45〜65℃とすること、
    (4)熱水延伸工程で熱水延伸倍率が4.0〜6.0倍となるように延伸すること、
    (5)油剤付与後、乾燥緻密化処理を行い、熱緩和処理を行うこと。
  3. 前記アクリロニトリル系ポリマーの還元粘度(0.5%DMF溶液中、25℃で測定)が1.4dl/g以上、2.2dl/g以下である請求項2記載のアクリル系三角形断面繊維の製造方法。
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