JP2002226911A - クランクシャフト焼入用の高周波誘導加熱コイル - Google Patents
クランクシャフト焼入用の高周波誘導加熱コイルInfo
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Abstract
きるようなクランクシャフト焼入用の高周波誘導加熱コ
イルを提供する。 【解決手段】 クランクシャフト1のジャーナル部又は
ピン部(例えばジャーナル部J1 )の円柱部3aを焼入
するために用いられるクランクシャフト焼入用の高周波
誘導加熱コイル20において、被加熱面である円柱部3
aの円筒状周面γに対向配置されるコイル頭部30を、
コイル頭部30と円柱部3aの円筒状周面γとの間の隙
間がジャーナル部又はピン部の両側のスラスト面δの側
で相対的に狭くなり、かつ、両側のスラスト面δの間の
中央箇所で相対的に広くなるような形状にする。
Description
エンジン又はディーゼルエンジン用のクランクシャフト
のピン部又はジャーナル部を高周波焼入(平焼入)のた
めに高周波誘導加熱するのに用いられるクランクシャフ
ト焼入用の高周波誘導加熱コイルに関するものである。
ィーゼルエンジン用のクランクシャフト1を示すもので
ある。このクランクシャフト1は、鍛造加工による一体
成形品であって、クランクシャフト1の軸線Xに沿って
配列されたジャーナル部J1 ,J2 ,J3 ,J4 ,J5
と、これらのジャーナル部に連設されたカウンタウェイ
ト部CW1 ,CW2 ,CW3 ,CW4 ,CW5 ,C
W6 ,CW7 ,CW8 と、互いに対向配置された一対の
カウンタウェイト部の間にそれぞれ架設されたピン部P
1 ,P2 ,P3 ,P4 とを有している。また、前記軸線
Xに沿った方向における両側箇所の一対のピン部P1 ,
P4 が互いに同一の軸線Y1 を有すると共に、前記軸線
Xに沿った方向における中間箇所の一対のピン部P2 ,
P3 が互いに同一の軸線Y2 を有している。なお、これ
らの軸線Y1 ,Y2 はジャーナル部J1〜J5 の軸線X
から等しい距離だけオフセットされ、ピン部P1 ,P4
とピン部P2 ,P3 とは位相が互いに180度ずれて配
置されている。
ル部J1 〜J5 及びピン部P1 〜P 4 の表面(円筒状周
面)を焼入処理する際には、各々のジャーナル部J1 〜
J5及びピン部P1 〜P4 の上半分部分に半開放鞍型の
高周波誘導加熱コイルを僅かな隙間をもって載置し、ク
ランクシャフト1の軸線(ジャーナル部J1 〜J5 の軸
線)Xを中心に回転駆動させてその回転に高周波誘導加
熱コイルを追従させながら高周波誘導加熱し、その後に
急速冷却を行なうようにしている。
P1 〜P4 の形状は、該ピン部同士及び該ジャーナル部
同士は互いに同じであるため、ここではジャーナル部J
1 及びピン部P1 を例にとって説明すると、次の通りで
ある。すなわち、ジャーナル部J1 は、図5に示すよう
に、円柱部3aと、この円柱部3aに続くR部(隅部)
3bと、このR部3bに続き、かつ、クランクシャフト
1の軸線Xに対して直角に形成されたスラスト部(フィ
レット部)3cとから成っている。また、ピン部P
1 は、円柱部4aと、この円柱部4aに続くR部(隅
部)4bと、このR部4bに続き、かつ、クランクシャ
フト1の軸線Xに対して直角に形成されたスラスト部
(フィレット部)4cとから成っている。
1 及びピン部P1 に形成される焼入硬化層を示してい
る。なお、焼入硬化層αは、ジャーナル部J1 の円柱部
3aのみを高周波誘導加熱して急速冷却させることによ
り得られる焼入硬化層であり、焼入硬化層βは、ピン部
P1 の円柱部4aのみを高周波誘導加熱して急速冷却さ
せることにより得られる焼入硬化層である。このような
円柱部3a,4aの周面のみの焼入を平焼入(フラット
焼入)と称している。
ジャーナル部J1 やピン部P1 に施行する場合には、図
6に示すようにスラスト面と焼入硬化層の端部との間に
所定の焼逃げ幅Aを確保することが要求される。それ
は、焼入処理後の工程において円柱部3a,4aに溝入
れ(溝を造る加工)を行なうため、スラスト部3c,4
cから溝入れされる部位までの領域の一部に焼入が施さ
れてその表面が硬化されると、切削することができずに
刃具を損傷してしまう危険があるからである。従って、
スラスト部3c,4cからの焼逃げ幅Aは、非常に重要
な焼入条件の1つとなっている。
寸法公差は、A±1.0mm程度であり、従来より用い
られている平焼入用の半開放鞍型高周波誘導加熱コイル
により平焼入を行なっても問題はない。しかし、近年に
おいては、エンジンの高精度化に伴い、前記円柱部3
a,4a等に嵌め合わされるメタル部品との接触面の嵌
合を良くするために焼入幅W(図6参照)をできるだけ
大きくする必要が生じている。このような場合、焼入幅
Wを広く確保するということは、すなわち、焼逃げ幅A
の寸法公差を狭くすることであり、焼逃げ幅Aの精度を
例えばA±0.5mm或いはA+0.5mm程度にする
必要がある。
導加熱コイルでは、上述の如き精度で焼逃げ幅Aを形成
することができないのが実状である。その理由について
述べると、次の通りである。なお、以下においては、ジ
ャーナル部J1 の円柱部3aを被加熱部とする場合を例
にとって説明する。
クシャフト平焼入用の半開放鞍型高周波誘導加熱コイル
10は、被加熱部である円柱部3aの円筒状周面γの上
半分部分に僅かな隙間を隔てて対向配置されるコイル頭
部11を有している。このコイル頭部11は、2本の電
極である加熱導体12,13とから成り、これらの加熱
導体12,13は互いに平行に配置されると共に図外の
接続導体により互いに直列に接続されている。なお、こ
れらの加熱導体12,13は、断面矩形状のパイプ材か
ら成り、円柱部3aの円筒状周面γの上半分部分に対応
するような円弧形状となされている。かくして、高周波
誘導加熱に際しては、コイル頭部11が円柱部3aの円
筒状周面γの上に所定の間隔を隔てた状態で載置され、
加熱導体12及び加熱導体13が円柱部3aの軸線方向
に沿って円柱部3aの円筒状周面γに対して平行に配置
されるようになっている。なお、これらの加熱導体1
2,13は、互いに反対方向の高周波電流が流れる構造
となることから、加熱導体12,13間の領域における
加熱効率が低下することとなるため、珪素鋼板やダスト
コア等の磁性材(磁束集中部材)14,15を使用して
円柱部3aに対する加熱効率を増加させるようにしてい
る。
コイル10を用いて円柱部3aを高周波誘導加熱して平
焼入した場合に円柱部3aの円筒状周面γに得られる焼
入硬化層パターン(焼入硬化層K)を示している。図8
に示すように、焼入硬化層パターンの両側部分の断面形
状は、円柱部3aの端面部硬化層深さ部Mから表面部N
に至るまでの領域L1 ,L2 で或る角度をもって立ち上
がっている。この場合、前記領域L1 ,L2 の大きさ
(幅)が広くなるほど焼入が不安定となり、得られる焼
入幅Wに大きなバラツキを生じる。
る理由を考察すると、次の通りである。すなわち、従来
の高周波誘導加熱コイル10による高周波誘導加熱時
は、加熱導体12及び加熱導体13のうち円柱部3aに
近接する面部(図9におけるa−b間の面部、及び、c
−d間の面部)により円柱部3aの円筒状周面γが高周
波誘導加熱される。加熱導体12のa−b間の面部及び
加熱導体のc−d間の面部の中点をm,nとすると、円
柱部3aには、m及びnに対応する箇所の近傍より高周
波誘導加熱がなされる。コイル頭部11の加熱導体1
2,13における端側の端部a,dは、内側の端部b,
cに対して加熱効率が低いため、前記端部a,dに対向
する円柱部3a部分の表面温度は低くなり、その部分で
焼入硬化層Sは浅くなる(図8及び図9参照)。従っ
て、円柱部3aの円筒状周面γに形成される焼入硬化層
パターンは、端側で傾斜を伴った形状となる。かくし
て、焼入硬化層パターンの立ち上がり角度のバラツキに
より、円柱部3aの表面の焼入幅Wに違い(バラツキ)
を生じるのである。そして、この焼入幅Wの違いにより
焼逃げ幅Aにバラツキが生じてしまい、焼逃げ幅Aを高
精度で形成することがきないこととなる。
めになされたものであって、その目的は、焼逃げ幅のバ
ラツキを少なく抑えることができるようなクランクシャ
フト焼入用の高周波誘導加熱コイルを提供することにあ
る。
めに、本発明では、クランクシャフトのピン部又はジャ
ーナル部の円柱部を焼入するために用いられるクランク
シャフト焼入用の高周波誘導加熱コイルにおいて、被加
熱面である前記円柱部の円筒状周面に対向配置されるコ
イル頭部を、前記コイル頭部と前記円柱部の円筒状周面
との間の隙間が前記ピン部又はジャーナル部の両側のス
ラスト面の側で相対的に狭くなり、かつ、前記両側のス
ラスト面の間の中央箇所で相対的に広くなるような形状
にしている。また、本発明では、前記コイル頭部を2本
の加熱導体から構成すると共に、前記コイル頭部のうち
前記円柱部の円筒状周面に最も近接する部分の幅を加熱
導体の全幅に対して50%以下に設定している。
て図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3に
おいて、図4〜図9と同様の部分には同一の符号を付し
て重複する説明を省略する。
鞍型高周波誘導加熱コイル20を備えた高周波焼入装置
21を示すものであって、本装置20は、クランクシャ
フト1のジャーナル部J1 〜J5 及びピン部P1 〜P4
の円柱部3a,4aを平焼入するためのものである。な
お、以下においては、ジャーナル部J1 の円柱部3aを
平焼入する場合を例にとって説明する。
うに、互いに平行状に対向配置された黄銅製の一対の側
板(コイル保持板)22a,22bと、これら一対の側
板22a,22b間に取付けられた半開放鞍型高周波誘
導加熱コイル20と、この高周波誘導加熱コイル20に
給電用リード導体23a,23bを介して高周波電流を
供給する高周波電源24と、高周波電源24と給電用リ
ード導体23a,23bとを接続する接続端子25a,
25bと、これらの接続端子25a,25b及び給電用
リード導体23a,23bを保護するために側板22
a,22bの上部に取付けられた絶縁性材料から成るブ
ロック26と、被加熱部(例えばジャーナル部J1 の円
柱部3a)と高周波誘導加熱コイル20との間の間隔に
僅かな隙間を保つための複数(例えば3個)のセラミッ
ク製又は超硬合金製の接触子(チップ部材)27a,2
7b,27cと、高周波誘導加熱コイル20の下方箇所
において前記一対の側板22a,22bの下端部に取付
けられた焼入冷却用の一対の冷却液噴射環28a,28
bとをそれぞれ具備している。
波誘導加熱コイル20は、被加熱部である円柱部3aの
円筒状周面γの上半分部分に所定の間隔を隔てて対向配
置されるコイル頭部30を有している。このコイル頭部
30は、2本の電極である加熱導体31,32とから成
り、これらの加熱導体31,32は互いに平行に配置さ
れると共に図外の接続導体により互いに直列に接続され
ている。図2(a),(b)に示すように、これらの加
熱導体31,32は、角パイプ材から成り、前記円筒状
周面γの上半分部分に対して僅かな隙間を隔てて対応配
置される加熱導体31,32の下辺部分は、屈曲形状と
なされている。すなわち、被加熱面である円柱部3aの
円筒状周面γに対向配置されるコイル頭部30の形状
は、前記コイル頭部30と前記円柱部3aの円筒状周面
γとの間の隙間が前記ジャーナル部J1 の両側のスラス
ト面δの側で相対的に狭くなり、かつ、前記一対の加熱
導体31,32の対向方向における中央側(円柱部3a
の軸線方向の中央側であって、かつ互いに対向する一対
のスラスト面δの間の中央箇所)で相対的に広くなるよ
うな形状となされている。
32同士の対向方向(円柱部3aの軸線方向)において
相対的に遠く離れた外側部分は、円柱部3aの円筒状周
面γに対して平行に配置される水平面部33,34(図
2(a)において示すp−q間の面部分33、並びにu
−t間の面部分34)となされている。そして、加熱導
体31,32同士の対向方向において相対的に近い位置
の内側部分は、上述の水平面部33,34に対して屈曲
されて円柱部3aの円筒状周面γに対して傾斜状態で配
置される傾斜面部35,36(図2(a)におけるq−
r間の面部分35、並びにt−s間の面部分36)とな
されている。従って、高周波誘導加熱時におけるコイル
頭部30と円柱部3aの円筒状周面γ(被加熱面)との
間の隙間は、円柱部3aの両側のスラスト部3cの側
(スラスト面δの側)で相対的に狭く設定されると共
に、加熱導体31,32間の中央側で相対的に広く設定
されるように構成されている。つまり、コイル頭部30
の下辺形状は、スラスト面δの側すなわちピン部J1 の
軸線X方向の両側で円柱部3aの円筒状周面γに近接せ
しめられ、コイル頭部30の中央側すなわちピン部P1
の軸線X方向の中央側でスラスト面δの側における隙間
(間隔)よりも広くなって前記円筒状周面γからより離
れるような形状となされている。なお、本実施形態にお
いては、従来と同様に、円柱部3aに対する加熱効率を
増加させるために珪素鋼板やダストコア等の磁性材(磁
束集中部材)14,15が前記加熱導体31,32に装
着されている。
は、図外の支持機構によって垂下状態で一対の側板22
a,22b間に保持されており、円柱部3aの円筒状周
面γにに接触子27a,27b,27cが当接された状
態の下でコイル頭部30が前記円筒状周面γに対して僅
かな隙間をもって円柱部3a上に載置されるようになっ
ている。そして、クランクシャフト1の中心軸Xを中心
に回転されるのに伴い、図外のワーク追従機構により、
高周波加熱コイル20のコイル頭部30がジャーナル部
J1 の円柱部3a上に僅かな隙間をもって載置された状
態のまま、ジャーナル部J1 の回動に追従して移動し得
るように構成されている。
28bには冷却液供給用パイプ29が接続されており、
図外の冷却供給源からこれらのパイプ29を通して冷却
液が冷却液噴射環28a,28bに供給され、これらの
冷却液噴射環28a,28bから所定のタイミングで冷
却液が円柱部3aに向けて噴射されるように構成されて
いる。
る場合の動作について説明する。
シャフト1のジャーナル部J1 を高周波誘導加熱して焼
入処理を行なうに当たっては、図外の昇降機構により高
周波焼入装置21が下降移動されて接触子27a,27
b,27cがクランクシャフト1のジャーナル部J1 の
円柱部3aの上半分部分に当接(載置)されると共に、
半開放鞍型高周波誘導加熱コイル20が被加熱面である
前記円筒状周面γの上半分部分に僅かな隙間を隔てて対
向配置される。この際、コイル頭部30の外側の水平面
部33,34がスラスト面δの側で円柱部3aに近接し
て配置され、その中央側の傾斜面部35,36が中央位
置に向かうにつれて徐々に円柱部3aの円筒状周面γか
ら徐々に離れるような配置状態に設定される。
外の回転駆動機構によりその軸線Xを中心に回転駆動さ
れ、これに伴ってジャーナル部J1 が前記軸線Xを中心
に回転駆動される。この際、高周波焼入装置21は図外
の追従機構によりジャーナル部J1 に追従せしめられ、
半開放鞍型高周波誘導加熱コイル20のコイル頭部30
がジャーナル部J1 の円筒状周面γの上半分部分に常に
対向配置された状態が維持される。
ド導体23a,23bを介して半開放鞍型高周波誘導加
熱コイル20に高周波電流が供給され、これに応じてジ
ャーナル部J1 の円筒状周面γの全周面が誘導加熱され
る。次いで、ジャーナル部J 1 の円筒状周面γが所要の
焼入温度に誘導加熱された時点で、半開放鞍型高周波誘
導加熱コイル20への通電が遮断され、冷却液噴射環2
8a,28bからジャーナル部J1 の円筒状周面γに焼
入冷却液が噴射される。これにより、ジャーナル部J1
の円筒状周面γが急速冷却されてその円筒状周面γに所
要深さの焼入硬化層が形成される。
コイル20を用いた場合の作用効果について述べると、
以下の通りである。高周波誘導加熱コイル20のコイル
頭部30に傾斜面部35,36を設けて、コイル頭部3
0と円柱部3aの円筒状周面γとの間の隙間をスラスト
面δ(側壁)の側で狭くし、その中央側で広くするよう
に構成しているので、加熱導体43及び加熱導体44に
高周波電流を流した場合、近接効果により、p−q間の
面部分及びt−u間の面部分(水平面部33,34)と
円柱部3aとの間に生じる磁束の強さは、q−r間の面
部分及びs−t間の面部分(傾斜面部35,36)と円
柱部3aとの間に生じる磁束の強さよりも相対的に強く
なる。そのため、円柱部3aの端面側(スラスト面δの
側)に加熱が集中されてその表面温度が相対的に高く上
昇せしめられることとなるので、円柱部3aの円筒状周
面γに得られる焼入硬化層パターンHは、図3に示すよ
うに、端面部硬化層深さ部Fから表面部Gへの立ち上が
り角度が大きくなり、焼入部と生部の焼境が明確とな
る。従って、この斜めに形成される硬化層パターンの領
域であるL3 ,L4 の幅を狭く設定することができるこ
ととなり、これに伴い端面側の焼入硬化層パターンが安
定することにより円柱部3aの表面における焼入幅のバ
ラツキの程度を少なくすることができる。
示す。実施例 (1) ワーク : 4気筒クランクシャフト (a) 材質 : S45C (b) 被焼入部であるジャーナル部の寸法 〈I〉 ジャーナル径(直径) : 44.5mm 〈II〉 ジャーナル幅 : 22.6mm (2) ジャーナル部の高周波誘導加熱条件 (a) 周波数 : 20kHz (b) 出力 : 42kW (c) 加熱時間: 10sec (d) クランクシャフトの回転数 : 60rpm (3) 冷却条件 (a) 冷却液 : ユーコンクェンチャントA(4%) (b) 液温 : 30℃ (C) 流量 : 50 l/min (e) 冷却時間: 8sec
ジャーナル部J1 の円柱部3aに平焼入れを施したとき
の、円柱部3aの焼逃げ幅を円周方向に45゜の角度毎
に測定したところ、その焼逃げ幅は、2.0mmから
2.5mmであり、後工程における溝入れ加工や相手部
品との嵌合に問題を生じるレベルではないことが確認さ
れた。
コイル頭部30の寸法条件について実験したところ、円
柱部3aに最も近接する水平面部33,34の幅Z1 を
加熱導体33,34の全幅Z2 (図2(b)参照)に対
して50%以下に設定した場合に上述の如き効果を最も
顕著に得ることができることが判明した。
が、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、
本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可
能である。例えば、加熱導体33のp−q−r面部、及
び、加熱導体34のs−t−u面部で形成される形状
は、円柱部3aとの隙間がスラスト面δの側で相対的に
狭く中央側で相対的に広く成るような形状であればどの
ような形状にしても良い。また、p−q間及びt−u間
の長さ、p−q間の面とq−r間の面との間の角度及び
t−u面とs−t面との間の角度も適宜に設定可能であ
り、q−r間の面及びs−t間の面の長さを変えること
や、p−q−r間の面部及びs−t−u間の面部の形状
を円弧形状としてその曲率半径の寸法を適宜に設定する
ことにより、円柱部3aに形成される焼入硬化層パター
ンを任意に変更することが可能である。また、既述の実
施形態に係る高周波誘導加熱コイル20は、クランクシ
ャフト1のピン部P1 〜P4 の円柱部4aを平焼入する
のにも適用することが可能である。
のジャーナル部又はピン部の円柱部の円筒状周面に対向
配置されるコイル頭部を、コイル頭部と円柱部の円筒状
周面との間の隙間がピン部又はジャーナル部の両側のス
ラスト面の側で相対的に狭くなり、かつ、両側のスラス
ト面の間の中央箇所で相対的に広くなるような形状にし
たものであるから、円柱部の円筒状周面に作用する磁束
は、円柱部の軸線方向の中央部分よりもその両端側部分
において強くなって円柱部の両端側部分に加熱が集中さ
れることとなる。そのため、円柱部のスラスト面の側に
おける焼入硬化層パターンの立ち上がり角度を大きくす
ることができ、ひいては焼逃げ幅のバラツキの程度を少
なく抑えるることができる。その結果、焼逃げ幅が安定
することに伴い、次工程である溝入れ加工等に支障を生
じることがなくなり、更に、相手部品との嵌合が良好と
なるような高精度のクランクシャフトを提供することが
できる。
入用の半開放鞍型高周波誘導加熱コイルを備えた高周波
焼入装置を示す側面図である。
された高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を示す断面
図、図2(b)は加熱導体の拡大断面図である。
ターンを示す断面図である。
円柱部にそれぞれ形成される焼入硬化層を概略的に示す
正面図である。
正面図である。
高周波誘導加熱コイルを示す図2と同様の断面図であ
る。
高周波誘導加熱コイルを用いて得られる焼入硬化層パタ
ーンを示す断面図である。
ーンとの相互関係を示す断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 クランクシャフトのジャーナル部又はピ
ン部の円柱部を焼入するために用いられるクランクシャ
フト焼入用の高周波誘導加熱コイルにおいて、被加熱面
である前記円柱部の円筒状周面に対向配置されるコイル
頭部を、前記コイル頭部と前記円柱部の円筒状周面との
間の隙間が前記ジャーナル部又はピン部の両側のスラス
ト面の側で相対的に狭くなり、かつ、前記両側のスラス
ト面の間の中央箇所で相対的に広くなるような形状にし
たことを特徴とするクランクシャフト焼入用の高周波誘
導加熱コイル。 - 【請求項2】 前記コイル頭部を2本の加熱導体から構
成すると共に、前記コイル頭部のうち前記円柱部の円筒
状周面に最も近接する部分の幅を加熱導体の全幅に対し
て50%以下に設定したことを特徴とする請求項1に記
載のクランクシャフト焼入用の高周波誘導加熱コイル。
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