JP2004238724A - クランクシャフトの高周波誘導加熱コイル - Google Patents

クランクシャフトの高周波誘導加熱コイル Download PDF

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精一 沢津橋
Hideaki Katanuma
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Abstract

【課題】スラスト幅の狭いクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の焼入において、加熱効率の極端な低下がなく、焼入硬化層パターンの形状が中央部で深くならずにストレート形状にすることができるようなクランクシャフトの高周波誘導加熱コイルを提供する。
【解決手段】高周波電源34に接続される第1リード部40及び第2リード部41と、第1リード部40にそれぞれ接続される直線形状の第1及び第2加熱導体部42,43と、第2リード部41にそれぞれ接続される直線形状の第3及び第4加熱導体部44,45と、第1加熱導体部42と第3加熱導体部44との間に接続された円弧形状の第5加熱導体部46と、第2加熱導体部43と第4加熱導体部45との間に接続され円弧形状の第6加熱導体部47とを備え、第5加熱導体部及び第6加熱導体部46,47に流れる電流の方向を同方向にする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン用等のクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の円筒状外周面を焼入処理のために高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、4気筒エンジン用クランクシャフト1を示すものであって、このクランクシャフト1は、回転中心軸X(ジャーナル部2の軸線と同じ)を軸心とするジャーナル部2a,2b,2c,2d,2eと、回転中心軸Xに対して偏心した位置にあるピン部3a,3b,3c,3dと、カウンターウエイト部4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hとを鍛造加工により一体に成形して成るものである。複数気筒エンジン用クランクシャフトであればピン部3は複数設けられ、図5に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、4つのピン部3a〜3dが設けられる。そして、これらのピン部3a〜3dは、回転中心軸Xの軸線方向に沿って所定の間隔を隔てた箇所において、互いに隣接するカウンターウエイト部4の間にそれぞれ配置される。また、回転中心軸Xの軸線方向において互いに隣接する各ピン部3a〜3dは、エンジンの形式に応じて、回転中心軸Xの回りに所定の位相角度だけ異なる角度位置に配設される。なお、図5に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、左右両端側のピン部3a,3dが互いに同じ位相角度の箇所に配設されると共に、これらのピン部3a,3d間のピン部3b,3cが互いに同じ位相角度の箇所に配設され、左右両端側のピン部3a,3dと中間位置のピン部3b,3cとが互いに180度の位相角度をもって配設される。
【0003】
ここで、上述のピン部3a〜3d及びジャーナル部2a〜2eの形状につき、ピン部3a及びジャーナル部2bを例にとって図6を参照して説明すると、次の通りである。すなわち、ピン部3aは、円筒状外周面αを有する円柱部4と、この円柱部4に連続するフィレットR部(断面円弧状隅部)5と、このフィレットR部5に連続し、かつ、クランクシャフト1の中心軸Xに対して直角に形成されたスラスト部(フィレット部)6とから成っている。また、ジャーナル部2bは、円筒状外周面βを有する円柱部7と、この円柱部7に連続するフィレットR部(断面円弧状隅部)8と、このフィレットR部8に連続し、かつ、クランクシャフト1の中心軸Xに対して直角に形成されたスラスト部(フィレット部)9とから成っている。
【0004】
この種のクランクシャフト1にあっては、クランクシャフト1のピン部3a〜3d及びジャーナル部2a〜2dの円筒状外周面α,βにそれぞれ高周波焼入を施行することにより、耐摩耗性並びに疲労強度の向上を図るようにしている。ピン部3a〜3dの円柱部4の円筒状外周面α又はジャーナル部2a〜2eの円柱部7の円筒状外周面βを高周波焼入するに当たっては、上述の円筒状外周面α又はβ上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、クランクシャフト1を回転中心軸Xのまわりに回転させながら上述の高周波誘導加熱コイルをピン部3a〜3d又はジャーナル部2a〜2eの回転に追従せしめ、円筒状外周面α又はβを所要の焼入温度に高周波誘導加熱した後に焼入冷却を行なうことにより、高周波焼入(焼入処理)を施行するようにしている。
【0005】
図6に示す焼入硬化層S及びSは、前記円柱部4,7の円筒状外周面α,βのみの焼入(フラット焼入)によって得られたものである。従来において、互いに隣接して対向する一対のスラスト部の間の間隔すなわちスラスト幅L,L(図6参照)が狭い種類のクランクシャフト1について高周波焼入を行なう場合には、図7に示すようなオメガ型と呼ばれる高周波誘導加熱コイル10を用いてピン部3a〜3d及びジャーナル部2a〜2eの円筒状外周面α,βを高周波誘導加熱するようにしている。
【0006】
オメガ型と呼ばれる高周波誘導加熱コイル10は、図7及び図8に示すように、図外の高周波電源に接続される第1リード部11及び第2リード部12と、これらの第1リード部11及び第2リード部12の間に接続された円弧形状の加熱導体部13とを互いに直列接続して成るコイル構造体から成るものである。この高周波誘導加熱コイル10にあっては、焼入対象部である前記円筒状外周面α又はβに対して僅かな間隔をもって対向配置される加熱導体部13に珪素鋼板等の磁性体(図示せず)を取付けることによって、被加熱部への磁束を集中させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のオメガ型高周波誘導加熱コイル10を使用してクランクシャフト1のピン部3a〜3d又はジャーナル部2a〜2eを焼入処理した場合には、それらの円筒状外周面α,βの軸方向における焼入硬化層パターンPが図9に示す如く湾曲形状となり、特に、焼入硬化層Sのうち前記円筒状外周面α,βの軸方向の中央部分における深さが相対的に深くなる。その原因は、被加熱部である円筒状外周面α,βの円周方向及び軸方向に位置する高周波誘導加熱コイルの加熱導体部の長さに関係がある。更に具体的に詳述すると、従来より用いられているオメガ型の高周波誘導加熱コイル10の加熱導体部には、直線形状の加熱導体部は設けられておらず、1つの円弧形状の加熱導体部13のみでコイル本体が形成されている。そのため、オメガ型の高周波誘導加熱コイル10に高周波電流I(図8参照)を流して誘導加熱する場合には、被加熱部(ピン部3a〜3d及びジャーナル部2a〜2eの円筒状外周面α,β)に円周方向の誘導電流が発生する。また、上述の加熱導体部には加熱効率を補う目的で珪素鋼板等の磁性体を取付け、これにより被加熱部への磁束を集中させて使用するようにしていることから、被加熱部の軸方向の中央部分に磁束が集中することとなり、軸方向の焼入硬化層パターンPが図9に示す如く軸方向の中央部分で深くかつ軸方向の両端部分で浅いような曲線形状となるのである。
【0008】
このように焼入硬化層パターンPが湾曲形状である場合には、スラスト部6,9の側の部分の加熱温度が相対的に低いために不完全焼入となり、スラスト面からの焼逃げ幅W,W(図6参照)にバラツキを生じやすい。特に、スラスト面からの焼逃げ幅W,Wは重要であり、焼入処理後の工程において、円柱部4,7に溝入れ(溝を形成する加工)を行なうため、スラスト面から溝入れされる部位までの領域の一部に、焼入されて表面が硬化している箇所があると、その硬化部分を切削することができずに刃具を損傷するという不具合を生じるおそれがある。また、円柱部4,7の円筒状外周面α,βにおける焼幅が狭いものの場合には、スラスト幅に対する焼入硬化層幅の比率が低くなるのに伴って、例えばピン部3の円注部4に嵌め合わされるメタル部品との接触面の勘合に問題を生じることとなる。
【0009】
また、図10に示すように、加熱導体部13の一部分であって、被加熱部のスラスト側(例えば、スラスト部4a,4bのスラスト面の側)の部分に対向する両端部分に加熱導体部分14a,14bを突設し、これらの突設部14a,14bをスラスト側の被加熱部分に近づけて近接効果によりスラスト側の被加熱部分をより良く高周波誘導加熱するようにした方法もあるが、このような方法を採用した場合であっても焼入硬化層パターンは図9に示す焼入硬化層パターンPの湾曲形状が少しだけ緩和された程度のものにしかならず、焼入硬化層パターンの形状を湾曲形状からストレート形状(深さが均一で平坦な直線形状)に変えるまでには至っていないのが実状である。
【0010】
また、別法として、図11に示すような高周波誘導加熱コイル20を使用することがある。なお、この高周波誘導加熱コイル20は、高周波電源に接続される第1リード部21及び第2リード部22と、被加熱物の円周方向に対向する円弧形状の第1加熱導体部23,第2加熱導体部24、第3加熱導体部25,及び第4加熱導体部26と、第1加熱導体部23及び第2加熱導体部24間に接続された直線形状の第5導体部27と、第3加熱導体部25及び第4加熱導体部26間に接続された直線形状の第6導体部28と、第2加熱導体部24及び第4加熱導体部26を互いに接続する接続導体部29とから構成されている。そして、第1加熱導体部23と第2加熱導体部24とに流される高周波電流の方向は互いに逆向きとなされると共に、第3加熱導体部25と第4加熱導体部26とに流される高周波電流Iの方向は互いに逆向きとなされるようになっている。
【0011】
このような構成の高周波誘導加熱コイル20にあっては、焼入する部位が狭い場合には、被加熱物の形状に対応して、第1加熱導体部23と第2加熱導体部24との間の距離、並びに、第3加熱導体部25と第4加熱導体部26との間の距離G(図11参照)を狭くする必要がある。しかし、前記距離Gを各加熱導体部23〜26の幅よりも狭くした場合には、互いに逆方向に流れる電流Iにより、誘導磁束が互いに打ち消し合って加熱効率が極端に減少する問題を生じる。
【0012】
本発明は、以上のような実状を勘案してなされたものであって、その目的は、スラスト幅の狭いクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の焼入において、加熱効率の極端な低下がなく、焼入硬化層パターンの形状が中央部で深くならずにストレート形状にすることができるようなクランクシャフトの高周波誘導加熱コイルを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の円筒状外周面を焼入処理のために高周波誘導加熱するクランクシャフトの高周波誘導加熱コイルにおいて、
(a) 高周波電源に接続される第1リード部及び第2リード部と、
(b) 前記第1リード部にそれぞれ接続されると共に、前記第1リード部との接続部から互いに逆方向に向けて延びるように配置された直線形状の第1加熱導体部及び第2加熱導体部と、
(c) 前記第2リード部にそれぞれ接続されると共に、前記第2リード部との接続部から互いに逆方向に向けて延びるように配置され、かつ、前記直線形状の第1加熱導体部及び第2加熱導体部に対して間隔を隔てた位置において平行に配置された直線形状の第3加熱導体部及び第4加熱導体部と、
(d) 前記第1加熱導体部と前記第3加熱導体部との間に接続された円弧形状の第5加熱導体部と、
(e) 前記第2加熱導体部と前記第4加熱導体部との間に接続され、かつ、前記円弧形状の第5加熱導体部に対して間隔を隔てた位置において平行に配置された円弧形状の第6加熱導体部と、をそれぞれ有し、
前記第1加熱導体部と第5加熱導体部と第3加熱導体部とが直列接続されると共に、前記第2加熱導体部と第6加熱導体部と第4加熱導体部とが直列接続されており、
前記第1加熱導体部,第5加熱導体部,及び第3加熱導体部から成る直列接続回路部と、前記第2加熱導体部,第6加熱導体部,及び第4加熱導体部から成る直列接続回路部とが互いに対称の関係をもって対向配置されるようにしている。
【0014】
また、本発明では、前記第1加熱導体部を流れる電流の方向と前記第2加熱導体部を流れる電流の方向とが互いに逆方向であると共に、前記第3加熱導体部を流れる電流の方向と前記第4加熱導体部を流れる電流の方向とが互いに逆方向であり、前記第5加熱導体部に流れる電流の方向と前記第6加熱導体部を流れる電流の方向が互いに同方向であるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4において、図5〜図11と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、クランクシャフト1のピン部3a〜3d(以下、総括的にピン部3と記載する)の円柱部4の円筒状外周面α(又は、ジャーナル部2の円柱部7の円筒状外周面β)を高周波焼入するために用いられる高周波焼入装置を30示すものであって、この高周波焼入装置30は、図1に示すように、黄銅製の一対の側板31a,31bと、これら一対の側板31a,31b間に挟持状態で保持された本発明に係る半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル32と、この高周波誘導加熱コイル32にリード33a,33bを介して高周波電流を供給する高周波電源34と、高周波電源34とリード33a,33bを接続するための一対の接続端子35a,35bと、これら一対の接続端子35a,35b及びリード33a,33bを保持するために側板31a,31bの上端に取付けられた絶縁性材料から成るブロック36と、クランクシャフト1を水平に支持して回転中心軸Xを中心に回転駆動するための回転駆動機構(図示せず)と、前記側板31a,31b間に取付けられた例えば3つの接触子(セラミックや超硬合金製のチップ部材)37a,37b,37cを介してクランクシャフト1の各ピン部3の円筒状外周面α上に高周波誘導加熱コイル32を僅かな隙間を隔てて対向配置した状態の下で、前記回転駆動機構にてクランクシャフト1をその回転中心軸Xを中心に回転駆動させるのに伴って前記回転中心軸Xのまわりに公転運動するピン部3に高周波誘導加熱コイル32を追従させるための4辺リンク機構等から成る追従機構(図示せず)と、前記高周波誘導加熱コイル32にて高周波誘導加熱されたピン部3の円筒状外周面αに焼入冷却液を噴射するための一対の焼入冷却液噴射環38a,38bとをそれぞれ備えている。
【0017】
上述の高周波誘導加熱コイル32は、図2に示すように、高周波電源34に接続される第1リード部40及び第2リード部41と、第1リード部40にそれぞれ接続されると共に、第1リード部40との接続部Mから互いに逆方向に向けて延びるように配置された直線形状の第1加熱導体部42及び第2加熱導体部43と、第2リード部41にそれぞれ接続されると共に、第2リード部41との接続部Nから互いに逆方向に向けて延びるように配置され、かつ、直線形状の第1加熱導体部42及び第2加熱導体部43に対して所定の間隔(加熱対象のピン部3の直径に対応する間隔)を隔てた位置において平行に配置された直線形状の第3加熱導体部44及び第4加熱導体部45と、第1加熱導体部42と第3加熱導体部44との間に接続された円弧形状の第5加熱導体部46と、第2加熱導体部43と第4加熱導体部45との間に接続され、かつ、円弧形状の第5加熱導体部46に対して間隔を隔てた位置において平行に配置された円弧形状の第6加熱導体部47とをそれぞれ有している。
【0018】
そして、第1加熱導体部42と第5加熱導体部46と第3加熱導体部44とが直列接続されると共に、第2加熱導体部43と第6加熱導体部47と第4加熱導体部45とが直列接続されており、第1加熱導体部42,第5加熱導体部46,及び第3加熱導体部44から成る直列接続回路部Aと、第2加熱導体部43,第6加熱導体部47,及び第4加熱導体部45から成る直列接続回路部Bとが互いに対称の関係をもって対向配置されている。
【0019】
かくして、図3に示すように、第1加熱導体部42を流れる電流Iの方向と第2加熱導体部43を流れる電流Iの方向とが互いに逆方向であると共に、第3加熱導体部44を流れる電流Iの方向と第4加熱導体部を流れる電流Iの方向とが互いに逆方向であり、かつ、第5加熱導体部46に流れる電流Iの方向と第6加熱導体部を流れる電流Iの方向が互いに同方向であるように構成されている。なお、前記電流I,Iは、互いに等しい大きさに設定されるようになっている。
【0020】
また、上述の高周波誘導加熱コイル32は、円弧形状の第5加熱導体部46及び第6加熱導体部47の開放部分が下方に向けられた状態で垂直に保持されており、ピン部3の高周波誘導加熱を行なうに際しては、ピン部3の円柱部4の円筒状外周面αに接触子37a,37b,37cが当接され、これにより高周波誘導加熱コイル32の第1〜第6加熱導体部42〜47の各部とピン部3の円筒状外周面αとの間に僅かな間隔が保たれるようになっている。そして、高周波誘導加熱コイル32の第1加熱導体部42及び第2加熱導体部43から成る直線形状部Cが、被加熱体であるピン部3の一側部の近傍位置において前記ピン部3の軸線Yに対して平行に対向配置されると共に、高周波誘導加熱コイル32の第3加熱導体部44及び第4加熱導体部45から成る直線形状部Dがピン部3の他側部の近傍位置において前記ピン部3の軸線Y(図2参照)に対して平行に対向配置されるようになっている。
【0021】
この場合、既述の直線形状部C,Dは、ピン部3の軸線Yを挟む両側部すなわちピン部3の直径方向の対称位置に配置されるようになっている。また、高周波誘導加熱コイル32の円弧形状の第5加熱導体部46及び第6加熱導体部47は、ピン部3の円筒状外周面αに沿うように配置(すなわち、ピン部3の軸線Yを中心とする円周面に一致するように配置)されると共に、ピン部3の左右一対のスラスト部6に近い位置においてそのスラスト面に対向して配置されるようになっている。かくして、クランクシャフト1がその中心軸Xを中心に回転されるのに伴い、図外の追従機構により、高周波誘導加熱コイル32がピン部3の上に載置された状態のままピン部3に追従して移動され、ピン部3の円筒状外周面αが高周波誘導加熱コイル32にて高周波誘導加熱されるようになっている。
【0022】
また、上述の一対の冷却液噴射環38a,38bには、冷却液供給用パイプ50a,50bがそれぞれ接続されており、冷却液が図外の冷却液供給源からこれらのパイブ50a,50bを通して冷却液噴射環38a,38bに供給され、これらの冷却液噴射環38a,38bから所定のタイミングで冷却液がピン部3に向けて噴射され、これにより焼入冷却処理がなされるように構成されている。
【0023】
本発明に係るクランクシャフト1の高周波誘導加熱コイル32は、クランクシャフト1のスラスト部6の側面(スラスト面)に対向して円弧形状の第5加熱導体部46及び第6加熱導体部47を配置するようにした型式の誘導加熱コイル体であるので、ピン部3の軸線Yの方向の中央部分よりも左右両側の一対のスラスト部6の側の方が相対的に誘導加熱され易い。そのため、本発明の高周波誘導加熱コイル32によれば、スラスト部6の側の高周波誘導加熱を促進することができることから、加熱温度が加熱範囲において均一になり、その結果、焼入処理により形成される焼入硬化層パターンT(焼入硬化層S)を図4に示すように深さが均一で平坦なストレート形状にすることができる。さらに、高周波誘導加熱コイル32の第5加熱導体部46及び第6加熱導体部47にそれぞれ流れる電流I,Iの方向が互いに同一の方向であるため、高周波誘導加熱時の誘導磁束を増幅する作用効果がある。一方、加熱導体部を2本(第5及び第6加熱導体部46,47)としたことに伴い加熱導体部に取付ける珪素鋼板等の磁性体51a,51b(図1参照)をより多く装着可能となり、これにより加熱効率の向上を図ることが可能である。
【0024】
以下に、本発明の具体的な実施例を示す。
実施例
Figure 2004238724
【0025】
上記焼入条件でクランクシャフト1のピン部3の円柱部4の円筒状外周面αを高周波焼入したところ、図4に示すようなストレート形状の焼入硬化層パターンTを得ることができた。なお、この場合、焼入硬化層の深さは、約2.1mm、焼入硬化層の表面硬度(ビッカース硬度Hv)は、約700であった。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、ピン部3の円柱部4,フィレットR部5,及びスラスト部(フィレット部)6から成る一連の連続箇所を焼入するフィレットR焼入に、本発明に係る高周波加熱誘導加熱コイル32の第1〜第6加熱導体部42〜47の断面形状を前記円柱部4,フィレットR部5,及びスラスト部6の形状に合うように変形することによって対応可能である。また、クランクシャフトのジャーナル部2a〜2eの焼入にも本発明に係る高周波誘導加熱コイル32を適用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明に係る高周波誘導加熱コイルは、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部(被加熱部)の円筒状外周面に対応配置されるコイル部分を、互いに対称に配置された2つの円弧形状の加熱導体部(第5加熱導体部及び第6加熱導体部)にて構成するようにしたので、ピン部又はジャーナル部の円筒状外周面の軸方向の中央部分よりもスラスト側の部分が高周波誘導加熱され易くなる。そのため、上述の2つの円弧形状の加熱導体部をクランクシャフトのスラスト部に対応して配置することによって、ストレート形状の焼入硬化層パターンを得ることが可能となる。そして、スラスト部の間の幅(スラスト幅)の狭いクランクシャフトを焼入処理する場合であっても、加熱効率の極端な低下がなく、スラスト面からの焼逃げ幅が安定した焼入硬化層パターンを形成することができるので、焼入後の工程においてピン部又はジャーナル部の円柱部に溝入れ(溝を形成するための加工)を行なう際に、刃具の損傷がなく、円柱部に嵌め合わされるメタル部品との接触面の勘合に問題を生じることなく、焼入精度が安定したクランクシャフトを得ることができる。さらに、従来では1本であった加熱導体部を2本の加熱導体部としているので、磁束集中用の珪素鋼板等から成る磁性体を当該加熱導体部により多く装着することが可能となり、これにより加熱効率の向上を図ることが可能となる。
【0028】
また、請求項2に記載の本発明は、円弧形状の第5加熱導体部に流れる電流の方向と円弧形状の第6加熱導体部を流れる電流の方向が互いに同方向であるようにしたものであるから、高周波誘導加熱時における誘導磁束を増幅する作用効果を得ることができ、効率良く高周波誘導加熱を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波誘導加熱コイルを備えたクランクシャフトの高周波焼入装置の側面図である。
【図2】本発明に係る高周波誘導加熱コイルを概念的に示す斜視図である。
【図3】本発明に係る高周波誘導加熱コイルの各加熱導体部に流れる電流を概念的に示す説明図である。
【図4】本発明に係る高周波誘導加熱コイルを用いて焼入処理をした場合に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【図5】4気筒エンジン用クランクシャフトの正面図である。
【図6】クランクシャフトのピン部及びジャーナル部の円柱部の円筒状外周面に形成される焼入硬化層を示す断面図である。
【図7】従来のオメガ型の高周波誘導加熱コイルを概念的に示す斜視図である。
【図8】図7の高周波誘導加熱コイルに流れる電流を概念的に示す説明図である。
【図9】図7の高周波誘導加熱コイルを用いて焼入処理をした場合に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【図10】従来より用いられている高周波誘導加熱コイルの形状を示す断面図である。
【図11】別の従来の高周波誘導加熱コイルを示す平面図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト
2a〜2e ジャーナル部
3a〜3d ピン部
4a〜4h カウンターウエイト部
30 高周波焼入装置
34 高周波電源
32 高周波誘導加熱コイル
40 第1リード部
41 第2リード部
42 第1加熱導体部
43 第2加熱導体部
44 第3加熱導体部
45 第4加熱導体部
46 第5加熱導体部
47 第6加熱導体部
α,β 円筒状外周面
,I 電流
A,B 直列接続回路部
C,D 直線形状部
M,N 接続部

Claims (2)

  1. クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の円筒状外周面を焼入処理のために高周波誘導加熱するクランクシャフトの高周波誘導加熱コイルにおいて、
    (a) 高周波電源に接続される第1リード部及び第2リード部と、
    (b) 前記第1リード部にそれぞれ接続されると共に、前記第1リード部との接続部から互いに逆方向に向けて延びるように配置された直線形状の第1加熱導体部及び第2加熱導体部と、
    (c) 前記第2リード部にそれぞれ接続されると共に、前記第2リード部との接続部から互いに逆方向に向けて延びるように配置され、かつ、前記直線形状の第1加熱導体部及び第2加熱導体部に対して間隔を隔てた位置において平行に配置された直線形状の第3加熱導体部及び第4加熱導体部と、
    (d) 前記第1加熱導体部と前記第3加熱導体部との間に接続された円弧形状の第5加熱導体部と、
    (e) 前記第2加熱導体部と前記第4加熱導体部との間に接続され、かつ、前記円弧形状の第5加熱導体部に対して間隔を隔てた位置において平行に配置された円弧形状の第6加熱導体部と、をそれぞれ有し、
    前記第1加熱導体部と第5加熱導体部と第3加熱導体部とが直列接続されると共に、前記第2加熱導体部と第6加熱導体部と第4加熱導体部とが直列接続されており、
    前記第1加熱導体部,第5加熱導体部,及び第3加熱導体部から成る直列接続回路部と、前記第2加熱導体部,第6加熱導体部,及び第4加熱導体部から成る直列接続回路部とが互いに対称の関係をもって対向配置されていること、を特徴とするクランクシャフトの高周波誘導加熱コイル。
  2. 前記第1加熱導体部を流れる電流の方向と前記第2加熱導体部を流れる電流の方向とが互いに逆方向であると共に、前記第3加熱導体部を流れる電流の方向と前記第4加熱導体部を流れる電流の方向とが互いに逆方向であり、
    前記第5加熱導体部に流れる電流の方向と前記第6加熱導体部を流れる電流の方向が互いに同方向であること、を特徴とする請求項1記載のクランクシャフトの高周波誘導加熱コイル。
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CN102329943B (zh) * 2010-07-12 2013-07-17 中国有色(沈阳)冶金机械有限公司 一种大型电渣熔铸42CrMo钢曲轴的热处理方法

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