JP2009108358A - クランクシャフトの高周波焼入れ方法及び装置 - Google Patents

クランクシャフトの高周波焼入れ方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】クランクシャフトのピン部を均一に高周波焼入れすることが可能な高周波焼入れ方法及び装置を提供する。
【解決手段】加熱コイル2の加熱部3を、ピン部4の回転方向前後に、焼入れ能力が高い領域Aと低い領域Bとに区分し、ピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達した時点の高周波電源の出力を最大にし、この時点から出力を逓減させ、ピン部4の頂部7が領域Aの前端部A1に到達した時点の出力を最小にし、この時点からピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達するまでの間の出力を逓増させる。これにより、ピン部4を全周にわたって均一に高周波焼入れすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランクシャフトのピン部を均一に高周波焼入れする方法及びその装置に関する。
一般に、自動車用エンジンのクランクシャフトの各ピン部を高周波焼入れする場合、半開放鞍型高周波誘導加熱コイル(以下、単に加熱コイルという)を備える高周波焼入れ装置が用いられる。このような高周波焼入れ装置を用いてクランクシャフトの各ピン部を高周波焼入れする場合、各ピン部のヒートマスがクランクシャフトの軸回りの各ピン部の旋回角度位相によって変化する、すなわち、ピン部は、頂部(クランクシャフトの回転中心からの距離が最大となる部分)で軸方向の肉厚が最も薄くなりこの部分でヒートマスが最小となる一方、底部(クランクシャフトの回転中心からの距離が最小となる部分)で軸方向の肉厚が最も厚くなりこの部分でヒートマスが最大となることから、各ピン部の旋回角度位相、すなわち、ピン部の軸方向の肉厚に基き加熱コイルの出力を制御することにより、各ピン部を均一に高周波焼入れすることが行われていた。
例えば、特許文献1には、ヒートマスが最小となる旋回角度位相にピン部が位置する時の加熱コイルの出力を最小にする一方で、ヒートマスが最大となる旋回角度位相にピン部が位置する時の加熱コイルの出力を最大にするように、加熱コイルの出力を制御する技術の開示がある。しかしながら、クランクシャフト用の加熱コイルは、正面視(クランク軸の軸方向からの視線)でアーチ形状をなすピン収容部が相対するピン部の表面の周方向の略1/2に対向している、言い換えると、ピン部は、その表面の周方向の略1/2が同時に、一様に高周波誘導加熱されるため、特許文献1の発明のように、加熱コイルの出力を単に制御しただけでは、クランクシャフトのピン部を均一に高周波焼入れするにしてもその均一の度合いに限界がある。
特開2000−38617号公報
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、クランクシャフトのピン部を均一に高周波焼入れすることが可能な高周波焼入れ方法及び装置を提供することを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの高周波焼入れ方法は、半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、加熱コイルに高周波電力を供給してピン部を高周波誘導加熱しつつ、ピン部を加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ方法であって、加熱コイルの加熱部を、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、に区分し、ピン部の回転時に、ピン部の底部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御することを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明のクランクシャフトの高周波焼入れ装置は、半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、加熱コイルに高周波電力を供給してピン部を高周波誘導加熱しつつ、ピン部を加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ装置であって、加熱コイルの加熱部に、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、の2つの領域A,Bを設け、ピン部の底部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御する出力制御部を備えることを特徴とする。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(4)項の各々が、請求項1〜4の各々に相当する。
(1)半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、加熱コイルに高周波電力を供給してピン部を高周波誘導加熱しつつ、ピン部を加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ方法であって、加熱コイルの加熱部を、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、に区分し、ピン部の回転時に、ピン部の底部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御することを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入れ方法。
本項に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ方法によれば、半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部に、ピン部周方向焼入れ能力が相違する2つの領域A(焼入れ能力大)及び領域B(焼入れ能力小)をそれぞれピン部回転方向の前側及び後側に設けることにより、クランクシャフトのピン部の半周を同時に、ピン部回転方向の前側と後側とで異なる焼入れ能力で高周波焼入れすることができ、ピン部に生じさせる高周波誘導加熱をより精密に制御することが可能になる。そして、ピン部の底部、すなわち、ヒートマスが最大の部分(位置)が、加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部、すなわち、ヒートマスが最小の部分(位置)が、加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御することで、クランクシャフトのピン部を全周にわたって均一に高周波焼入れすることができる。
(2)半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、加熱コイルに高周波電力を供給してピン部を高周波誘導加熱しつつ、ピン部を加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ装置であって、加熱コイルの加熱部に、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、の2つの領域A,Bを設け、ピン部の底部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部が加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御する出力制御部を備えることを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
本項に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ装置によれば、半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部に、ピン部周方向焼入れ能力が相違する2つの領域A(焼入れ能力大)及び領域B(焼入れ能力小)をそれぞれピン部回転方向の前側及び後側に設け、出力制御部によって、ピン部の底部、すなわち、ヒートマスが最大の部分(位置)が、加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、ピン部の頂部、すなわち、ヒートマスが最小の部分(位置)が、加熱コイルの加熱部の領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御することで、クランクシャフトのピン部を全周にわたって均一に高周波焼入れすることができる。
(3)加熱コイルの加熱部の各領域A,Bには、ピン部の表面に対向配置される加熱導体と、該加熱導体を取り囲む磁束集中部材とが設けられ、領域Aに配置される加熱導体は、ピン部周方向に沿って、領域Bに配置される加熱導体に対して体積がより大きい磁束集中部材によって取り囲まれることを特徴とする(2)のクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
本項に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ装置によれば、領域Aと領域Bとで加熱導体(電極)を取り囲む磁束集中部材の体積を変える、すなわち、領域Aと領域Bとで高周波誘導加熱時の磁束密度を変えることにより、領域Aと領域Bとの焼入れ能力を変えることが可能になる。
本項の態様において、磁束集中部材(磁束を集中させるための磁性体)は、例えば、従来技術と同じように珪素鋼板によって構成される。なお、領域Aの加熱導体は、領域Bの加熱導体に対して、ピン部周方向へより延長された磁束集中部材によって取り囲まれる。これにより、領域Aの焼入れ能力を、領域Bの焼入れ能力よりも高くすることができる。
(4)加熱コイルの領域Aにおけるピン部のスラスト面とのコイルギャップが、領域Bにおけるピン部のスラスト面とのコイルギャップに対して小さく設定されることを特徴とする(2)又は(3)のクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
本項に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ装置によれば、領域Aにおけるピン部のスラスト面とのコイルギャップを、領域Bにおけるピン部のスラスト面とのコイルギャップよりも小さく設定することにより、領域Aの焼入れ能力、特に、ピン部のスラスト面に対する焼入れ能力を、領域Bの焼入れ能力(ピン部のスラスト面に対する焼入れ能力)よりも高くすることができる。
クランクシャフトのピン部を均一に高周波焼入れすることが可能な高周波焼入れ方法及び装置を提供することができる。
本発明の一実施形態を図1〜図6に基いて説明する。
本実施形態の高周波焼入れ装置1は、半開放鞍型高周波誘導加熱コイル2を備え、クランクシャフト10(図4)のピン部4を全周にわたって均一に高周波焼入れするため、当該加熱コイル2の加熱部3が、ピン部回転方向(図1における反時計回り方向)の前側(図1及び図2における左側)の領域Aと、後側(図1及び図2における右側)の領域Bとに区分され、領域Aの焼入れ能力が、領域Bの焼入れ能力に対して高く設定されている。図1に示されるように、加熱コイル2は、下向きに開口して正面視(図1)でアーチ形に形成される加熱部3を有する。この加熱部3は、クランクシャフト10の焼入れ対象であるピン部4に沿うように延びる加熱導体5(電極)と、この加熱導体5を取り囲む磁束集中部材6と、によって構成される。
図2に示されるように、加熱導体5は、底面視(図2)で略8字状に形成される。また、加熱導体5は、領域Aの幅W1が領域Bの幅W2よりも幅広(W1>W2)に形成され、且つ、中心線CLを対称軸として対称(図2において上下対称)に形成される。これにより、図3に示されるように、本実施形態では、領域Aの加熱導体5aとピン部4のスラスト面4b(以下、単にスラスト面4bという)とのコイルギャップG1が、領域Bの加熱導体5bとピン部4のスラスト面4bとのコイルギャップG2よりも小さく設定される(G1>G2)。なお、コイルギャップG1及びG2は、加熱コイル2に対して、クランクシャフト10を軸方向(図4における左右方向)へ位置決めさせることにより設定される。また、加熱コイル2の加熱部3には、セラミックス製の複数個のチップ部材が配設され、これらチップ部材をピン部4の外周面4aに接触させることにより、当該加熱部3とピン部4の外周面4aとのコイルギャップが一定に保たれる。ここでも、領域Aの加熱導体5aとピン部4の外周面4aとのコイルギャップが、領域Bの加熱導体5bとピン部4の外周面4aとのコイルギャップよりも小さく設定される。
また、本実施形態では、領域Aの加熱導体5aを取り囲む磁束集中部材6aの体積は、領域Bの加熱導体5bを取り囲む磁束集中部材6bの体積よりも大きく、領域Aの加熱導体5aは、領域Bの加熱導体5bに対して、より多くの部分(加熱部3の周方向へ沿ってより長い部分)が磁束集中部材6aによって取り囲まれる。このように、本実施形態では、加熱コイル2の加熱部3の領域Aの加熱導体5aを、領域Bの加熱導体5bよりも大量の磁束集中部材6で取り囲み、且つ、領域Aの加熱導体5aとスラスト面4bとのコイルギャップG1を、領域Bの加熱導体5bとスラスト面4bとのコイルギャップG2よりも小さく設定することにより、領域Aにおける加熱効率が領域Bにおける加熱効率よりも高く設定される、すなわち、領域Aの焼入れ能力が領域Bの焼入れ能力よりも高く設定されている。
また、高周波焼入れ装置1は、加熱コイル2に高周波電力を供給する高周波電源と、該高周波電源の出力を制御するコントロールユニット(出力制御部)とを含む。なお、これら高周波電源及びコントロールユニットは従来技術のものが使用される。そして、本実施形態では、図1に示されるように、ピン部4の外周面4aのうち上方を向いた面(半周)に加熱コイル2の加熱部3を対向させ、この状態で、ピン部4を軸回りに図1における反時計回り方向へ回転させた時に、ヒートマスが最大となる底部8、すなわち、隣りに位置するジャーナル部9(図4)との間の壁部11の肉厚T8が最大となる底部8が、加熱コイル2の加熱部3の領域Aの前端部A1に到達した時点(図5の(4))で、高周波電源の出力(加熱コイル2に供給される高周波電力)が最大となり、このピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達した時点から高周波電源の出力を逓減させるように、コントロールユニットによって高周波電源の出力を制御する。
さらに、本実施形態では、ヒートマスが最小となる頂部7、すなわち、隣りに位置するジャーナル部9との間の壁部11の肉厚T7が最小となる頂部7が、加熱コイル2の加熱部3の領域Aの前端部A1に到達した時点(図5の(2))で、高周波電源の出力が最小となり、このピン部4の頂部7が領域Aの前端部A1に到達した時点から該ピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達するまでの間の高周波電源の出力を逓増させるように、コントロールユニットによって高周波電源の出力を制御する。なお、この時の高周波電源の出力は、図6に示されるような正弦波によって表され、従来技術の出力制御、すなわち、加熱コイル2の加熱部3の領域Aと領域Bとの焼入れ能力が同一である場合の波形(図6に破線で示される)と比較すると、90°だけ進角させた制御になっている。
次に、本実施形態の高周波焼入れ方法を説明する。なお、本実施形態の高周波焼入れ方法では、クランクシャフト10を軸回りに回転させる。すなわち、ピン部4をクランク中心Oの回りに自転させずに公転させ、加熱コイル2を相対するピン部4に追従させるが、説明の便宜上、固定された加熱コイル2に対してピン部4が軸回りに回転する場合を想定し、図5における(1)の状態、すなわち、クランクシャフト10が上死点に位置する状態を角度位相0°、図5における(2)の状態、すなわち、ピン部4を(1)の角度位相0°の状態から図5における反時計回り方向へ90°だけ回転させた状態を角度位相90°、図5における(3)の状態、すなわち、ピン部4を(1)の角度位相0°の状態から図5における反時計回り方向へ180°だけ回転させた状態を角度位相180°、及び、図5における(4)の状態、すなわち、ピン部4を(1)の角度位相0°の状態から図5における反時計回り方向へ270°だけ回転させた状態を角度位相270°とする。
まず、ロボット等で支持したクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部4を、加熱コイル2の加熱部3に係合させる。この状態では、領域Aの加熱導体5aとピン部4の外周面4a及びスラスト面4bとのコイルギャップ、ならびに、領域Bの加熱導体5bとピン部4の外周面4a及びスラスト面4bとのコイルギャップが、設定されたコイルギャップに保持される。この状態で、ピン部4を軸回りに図1における反時計回り方向へ回転させる。そして、図6に示されるように、ピン部4の角度位相が270°の時点(図5の(4))で、高周波電源の出力(加熱コイル2に供給される高周波電力)を最大とし、このピン部4の位相角度が270°の時点から高周波電源の出力を逓減させ、角度位相が90°の時点(図5の(2))で、高周波電源の出力を最小とし、さらに、この角度位相が90°の時点から270°に到達するまでの間の高周波電源の出力を逓増させる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、半開放鞍型高周波誘導加熱コイル2の加熱部3を、焼入れ対象であるクランクシャフト10のピン部4の回転方向前側の領域Aと後側の領域Bとに区分すると共に、領域Aの焼入れ能力を領域Bの焼入れ能力よりも高く設定しておいて、ピン部4を軸回りに回転させてピン部4を高周波誘導加熱する時に、ピン部4の肉厚が最も厚くヒートマスが最大となる底部8が加熱コイル2の加熱部3の領域Aの前端部A1に到達した時点の高周波電源の出力(加熱コイル2に供給される高周波電力)を最大にし、このピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達した時点から高周波電源の出力を逓減させ、ピン部4の肉厚が最も薄くヒートマスが最小となる頂部7が加熱コイル2の加熱部3の領域Aの前端部A1に到達した時点の高周波電源の出力を最小にし、このピン部4の頂部7が領域Aの前端部A1に到達した時点から該ピン部4の底部8が領域Aの前端部A1に到達するまでの間の高周波電源の出力を逓増させるように、コントロールユニット(出力制御部)によって高周波電源の出力を制御する。
これにより、加熱コイル2の加熱部3の焼入れ能力が全領域で一様である従来技術と比較して、ピン部4に発生させる高周波誘導加熱をより精密に制御することが可能になり、スラスト面4bを含むピン部4を全周にわたって均一に高周波焼入れすることができる。
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施形態の高周波電源の出力波形は正弦波であると説明したが、それに近似する波形であれば厳密に正弦波である必要はなく、ここで重要なのは、出力(電力)が最大及び最小となるピン部4の角度位相である。
同様に、加熱コイル2の加熱部3の各領域A,Bにおける要件は、領域Aの焼入れ能力が領域Bの焼入れ能力よりも高いことであり、磁束集中部材6やコイルギャップに差をつけるのは、そのための一手段に過ぎず、例えば、加熱導体5の形状や配置等により領域Aの焼入れ能力を領域Bの焼入れ能力よりも高くすることができるのであれば、そのように構成してもよい。
本実施形態の正面図であり、特に、加熱コイルの概略構造を示す図である。 図1における加熱コイルの底面図であり、特に、8字形状の加熱導体とそれを取り囲む磁束集中部材を示す図である。 本実施形態の説明図であり、(a)は領域Aにおけるコイルギャップを、(b)は領域Bにおけるコイルギャップを示す図である。 クランクシャフト、特に、一般的な4気筒エンジンのクランクシャフトの平面図である。 クランクシャフトの回転中心Oの回りを公転するピン部の周期をクランクシャフトの上死点を基点として4等分した各位置におけるピン部と該ピン部に相対する加熱コイルの加熱部を示す図である。 本実施形態の高周波電源の出力波形を示す図である。
符号の説明
1 高周波焼入れ装置、2 加熱コイル(半開放鞍型高周波誘導加熱コイル)、3 加熱部、4 ピン部、4b スラスト面、5 加熱導体、6 磁束集中部材、7 頂部、8 底部、10 クランクシャフト

Claims (4)

  1. 半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、前記加熱コイルに高周波電力を供給して前記ピン部を高周波誘導加熱しつつ、前記ピン部を前記加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、前記ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ方法であって、
    前記加熱コイルの加熱部を、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて前記領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、に区分し、
    前記ピン部の回転時に、前記ピン部の底部が前記加熱コイルの加熱部の前記領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が前記領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、前記ピン部の頂部が前記加熱コイルの加熱部の前記領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が前記領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が前記領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御することを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入れ方法。
  2. 半開放鞍型高周波誘導加熱コイルの加熱部をクランクシャフトの焼入れ対象となるピン部に対してコイルギャップを設けて対向させ、この状態で、前記加熱コイルに高周波電力を供給して前記ピン部を高周波誘導加熱しつつ、前記ピン部を前記加熱コイルに対して軸回りに一方向へ回転させることにより、前記ピン部が全周にわたって高周波焼入れされるクランクシャフトの高周波焼入れ装置であって、
    前記加熱コイルの加熱部に、ピン部回転方向前側に配置される領域Aと、ピン部回転方向後側に配置されて前記領域Aに対して焼入れ能力が小さい領域Bと、の2つの領域A,Bを設け、
    前記ピン部の底部が前記加熱コイルの加熱部の前記領域Aの前端部に到達した時点で出力が最大となり、このピン部の底部が前記領域Aの前端部に到達した時点から出力を逓減させて、前記ピン部の頂部が前記加熱コイルの加熱部の前記領域Aの前端部に到達した時点で出力が最小となり、さらに、このピン部の頂部が前記領域Aの前端部に到達した時点から該ピン部の底部が前記領域Aの前端部に到達するまでの間の出力を逓増させるように、高周波電源の出力を制御する出力制御部を備えることを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
  3. 前記加熱コイルの加熱部の各領域A,Bには、前記ピン部の表面に対向配置される加熱導体と、該加熱導体を取り囲む磁束集中部材とが設けられ、
    前記領域Aに配置される前記加熱導体は、ピン部周方向に沿って、前記領域Bに配置される前記加熱導体に対して体積がより大きい前記磁束集中部材によって取り囲まれることを特徴とする請求項2に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
  4. 前記加熱コイルの前記領域Aにおける前記ピン部のスラスト面とのコイルギャップが、前記領域Bにおける前記ピン部のスラスト面とのコイルギャップに対して小さく設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載のクランクシャフトの高周波焼入れ装置。
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