JP2002222703A - 電圧依存性非直線抵抗体磁器及びその製造方法 - Google Patents

電圧依存性非直線抵抗体磁器及びその製造方法

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JP2002222703A
JP2002222703A JP2001349935A JP2001349935A JP2002222703A JP 2002222703 A JP2002222703 A JP 2002222703A JP 2001349935 A JP2001349935 A JP 2001349935A JP 2001349935 A JP2001349935 A JP 2001349935A JP 2002222703 A JP2002222703 A JP 2002222703A
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稔 小笠原
Naoki Senda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的特性が優れておりかつ高い撓み強度と
耐サーマルショック性に優れたバリスタ磁器及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 バリスタ磁器は、Sr、Ba及びCaの
うちの少なくとも1種とTiからなる酸化物を含んでお
り、表面に圧縮応力が存在している。その製造方法は、
還元焼成処理によって得られたSr、Ba及びCaのう
ちの少なくとも1種とTiからなる酸化物を含む磁器を
再酸化処理することによって表面に圧縮応力を生ぜせし
める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧依存性非直線
抵抗体(バリスタ)に用いる磁器に関し、特に、(S
r、Ba、Ca)TiOの組成を有する磁器及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バリスタは、印加電圧の変化に応じて抵
抗値が非直線的に変わる抵抗素子であり、具体的には、
ある電圧値以上の電圧が印加されるとその抵抗値が急激
に低下する抵抗素子である。
【0003】バリスタを主に構成する磁器としては種々
の組成系のものが存在しているが、(Sr、Ba、C
a)TiOの組成を有する複合ペロブスカイト系磁器
は、その抵抗値の非直線性と静電容量性との両機能を併
せ備えているため、電子機器で発生するサージ電圧を吸
収したり、ノイズを除去したりするのに非常に好適であ
る。例えば、DCマイクロモータ用のリングバリスタ等
に適用されている。
【0004】この複合ペロブスカイト系磁器を備えたバ
リスタは、Sr、Ba及びCaのモル比を選ぶことによ
り、バリスタ電圧の温度依存性を制御することができ
る。即ち、動作中の温度上昇に伴なってバリスタ電圧
(抵抗値が急激に低下する電圧)が低下し、バリスタに
過大電流が流れたり熱暴走を起こすことを防止するた
め、温度依存性をゼロ又は正に調整することができる。
特公平8−28287号公報(特開平2−146702
号公報)、特開平3−45559号公報及び特許第29
44697号公報(特開平3−237057号公報)に
は、このようにバリスタ電圧の温度依存性を調整したバ
リスタが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、バリスタ等の電
子機器を実装するにあたって、半田付け作業の迅速化が
図られていること及び高温半田や鉛フリー半田を使用す
ることから、半田付け温度の高温化が進んでいる。この
ため、バリスタは、過酷な半田付け条件にされされるこ
ととなり、局所的なサーマルショックに基づくサーマル
クラックが発生し易くなってきている。
【0006】サーマルショックに強いバリスタを得るこ
とを目的として、特開昭63−276201号公報に
は、TiO系磁器によるリングバリスタが記載されて
いるが、具体的なデータは何等記載されていない。しか
も、このようなTiO系バリスタ磁器は、静電容量に
関する電気的特性及びバリスタ電圧制御性の点で複合ペ
ロブスカイト系バリスタ磁器に比してかなり劣るため、
採用することはできない。
【0007】このように、電気的特性が優れており、か
つ高温の半田付けが行われてもその機能が損なわれない
複合ペロブスカイト系のバリスタ磁器の要求が高まって
いる。また、作業の効率アップを行えるべく、より強度
の優れたバリスタ磁器が望まれている。
【0008】従って本発明の目的は、電気的特性が優れ
ておりかつ高い撓み強度と耐サーマルショック性に優れ
たバリスタ磁器及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、Sr、
Ba及びCaのうちの少なくとも1種とTiからなる酸
化物を含んでおり、表面に圧縮応力が存在するバリスタ
磁器が提供される。
【0010】磁器表面に大きな圧縮応力が存在すること
により、半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、
半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラックが生
じない高い耐サーマルショック性を得ることができる。
即ち、半田付け時は、局所的な加熱によって局所的な膨
張が生じ、これが磁器表面にクラックを発生させるよう
な引張り応力となる。この引張り応力と平衡がとれるよ
うな圧縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導入して
おけば局所的なサーマルショックに強いバリスタ磁器を
得ることができるのである。また、バリスタ磁器表面に
残留圧縮応力が存在すると、撓み強度が増大する。これ
は強化ガラスの場合と同じ原理である。
【0011】X線応力定数を−100MPa/度とした
ときに、圧縮応力が15MPa以上であることが好まし
く、圧縮応力が25MPa以上であることがより好まし
く、圧縮応力が40MPa以上であることがさらに好ま
しい。
【0012】Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物からな
る第1成分と、R(Y及びランタノイド)の酸化物から
選択される少なくとも1種からなる第2成分及びM(N
b及びTa)の酸化物から選択される少なくとも1種か
らなる第3成分の少なくとも一方の成分と、Siの酸化
物からなる第4成分とを含有する磁器であって、a/
(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b
+c)の値が、その三線座標上において、(0.2,
0.0,0.8)の点と(0.0,0.4,0.6)の
点とを結ぶ線分上又はこの線分よりa/(a+b+c)
及びb/(a+b+c)が大きい領域にあり、0.84
≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.16、0.7
5≦(e+f)/d×100≦10.0、g/d×10
0≦0.6であることが好ましい。ただし、aは第1成
分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のB
aをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをC
aOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiO
に換算したモル数、eは第2成分のRをYO3/2、C
eO、PrO11/6、TbO7/4、RO
3/2(その他のランタノイド)にそれぞれ換算したモ
ル数、fは第3成分のMをNbO 5/2、TaO5/2
にそれぞれ換算したモル数、gは第4成分のSiをSi
に換算したモル数である。
【0013】このように、焼結助剤として用いられるS
iOの量をできるだけ小さくすることにより、バリス
タの強度及び耐サーマルショック性を高め、過酷な半田
付け条件による局所的なサーマルショックに基づくサー
マルクラックの発生を抑制すると共に、SiO量の減
少によって生じる焼結性の低下を(a+b+c+e)/
(d+f)で表されるトータルA/B(イオン半径の関
係からAサイト成分の格子内に入り得る他の元素を含め
たAサイト成分のトータルモル数とBサイト成分の格子
内に入り得る他の元素を含めたBサイト成分のトータル
モル数との比)を調整して補償している。さらに、これ
らとAサイトモル比及び半導体化剤の量及び種類をバラ
ンスよく適切に選ぶことによって、バリスタ磁器の強度
及び電気的特性の向上を図ることができる。
【0014】なお、ここでは、Sr、Ba及びCaのみ
によるAサイト成分のモル数とTiのみによるBサイト
成分のモル数との比である単純なA/Bではなく、添加
物をも含めたペロブスカイト構成イオンのモル比である
トータルA/Bなるパラメータを導入している。即ち、
本当に焼結性に寄与するのは、単純なA/Bではなく、
このようなトータルA/Bであると考えられるためであ
る。特に、添加物のうち半導体化剤は重要な固溶イオン
であり、その添加量が多いこのような場合、単純なA/
Bを用いると誤差が大きくなり、トータルA/Bを用い
ることによって初めて正確な制御が可能となり、特性ば
らつきのないバリスタ磁器を提供できるのである。
【0015】a/(a+b+c)、b/(a+b+c)
及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上におい
て、(0.5,0.0,0.5)の点と(0.2,0.
2,0.6)の点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.
2,0.6)の点と(0.1,0.4,0.5)の点と
を結ぶ第2の線分、(0.1,0.4,0.5)の点と
(0.1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及
び(0.1,0.5,0.4)の点と(0.2,0.
8,0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1
〜第4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域にある
ことがより好ましい。
【0016】a/(a+b+c)、b/(a+b+c)
及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上におい
て、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.
4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.
4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点と
を結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と
(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、
(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,
0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.
2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点と
を結ぶ第9の線分上又はこれら第5〜第9の線分で囲ま
れる領域にあることがさらに好ましい。
【0017】第1成分、並びに第2成分及び第3成分の
少なくとも一方の成分の組成が、0.96≦(a+b+
c+e)/(d+f)≦1.01であることがより好ま
しい。
【0018】第2成分及び第3成分の少なくとも一方の
成分の組成が、0.75≦(e+f)/d×100≦
4.0であることもより好ましい。
【0019】第4成分の組成が、g/d×100≦0.
3であることもより好ましい。
【0020】磁器が、Li、Na、Mn、Co、Ni、
Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo及びWの酸
化物から選択される少なくとも1種からなる第5成分を
さらに含有しており、0<h/d×100≦1.000
であることも好ましい。ただし、hは第5成分のLi、
Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、G
a、In、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、M
nO、CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、ScO
3/2、FeO3/2、GaO3/2、InO 3/2
MoO、WOに換算したモル数である。
【0021】さらに本発明によれば、還元焼成処理によ
って得られたSr、Ba及びCaのうちの少なくとも1
種とTiからなる酸化物を含む磁器を再酸化処理するこ
とによって表面に圧縮応力を生ぜせしめるバリスタ磁器
の製造方法が提供される。
【0022】還元焼成処理及び再酸化処理によって磁器
表面に大きな圧縮応力を生じさせることにより、半田付
けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け時の局
所的な温度上昇においてもクラックが生じない高い耐サ
ーマルショック性を得ることができる。還元焼成処理と
再酸化処理との組み合わせによる耐サーマルショック性
及び残留圧縮応力の発生は、還元焼成処理における酸素
欠陥の量と、再酸化処理における酸素欠陥の酸素による
補填との関係から類推できる。
【0023】半田付け時は、局所的な加熱によって局所
的な膨張が生じ、これが磁器表面にクラックを発生させ
るような引張り応力となる。この引張り応力と平衡がと
れるような圧縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導
入しておけば局所的なサーマルショックに強いバリスタ
磁器を得ることができるのである。また、バリスタ磁器
表面に残留圧縮応力が存在すると、撓み強度が増大す
る。これは強化ガラスの場合と同じ原理である。
【0024】原料粉末を所定組成となるように秤量して
混合し、仮焼成した後、粉砕して成型し、この成型体を
還元焼成し、再酸化することが好ましい。
【0025】X線応力定数を−100MPa/度とした
ときに、圧縮応力が15MPa以上であることが好まし
く、圧縮応力が25MPa以上であることがより好まし
く、圧縮応力が40MPa以上であることがさらに好ま
しい。
【0026】再酸化処理の温度が、850℃以上かつ1
050℃以下であることが好ましく、900℃以上かつ
1000℃以下であることがより好ましい。このように
組成を変えずに再酸化処理温度を変えることによってバ
リスタ電圧値を制御すれば、大きな表面残留圧縮応力を
維持したまま広範囲のバリスタ電圧値及び十分な非直線
係数αを確保することができる。
【0027】その結果、大きな表面残留圧縮応力による
高強度及び高耐熱性を維持しながら、同じ組成で広範囲
のバリスタ電圧及び実用的なαが得られるため、多種の
材料を用意する必要がなくなり、材料管理が容易にな
る。
【0028】再酸化処理の時間が、32時間以下である
ことが好ましく、0.25時間以上かつ16時間以下で
あることがより好ましく、0.5時間以上かつ8時間以
下であることがさらに好ましい。
【0029】再酸化処理の酸素分圧が、0.1気圧以上
であることも好ましい。
【0030】磁器が、Sr、Ba、Ca及びTiの酸化
物からなる第1成分と、R(Y及びランタノイド)の酸
化物から選択される少なくとも1種からなる第2成分及
びM(Nb及びTa)の酸化物から選択される少なくと
も1種からなる第3成分の少なくとも一方の成分と、S
iの酸化物からなる第4成分とを含有しており、a/
(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b
+c)の値が、その三線座標上において、(0.2,
0.0,0.8)の点と(0.0,0.4,0.6)の
点とを結ぶ線分上又はこの線分よりa/(a+b+c)
及びb/(a+b+c)が大きい領域にあり、0.84
≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.16、0.7
5≦(e+f)/d×100≦10.0、g/d×10
0≦0.6であることが好ましい。ただし、aは第1成
分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のB
aをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをC
aOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiO
に換算したモル数、eは第2成分のRをYO3/2、C
eO、PrO11/6、TbO7/4、RO
3/2(その他のランタノイド)にそれぞれ換算したモ
ル数、fは第3成分のMをNbO 5/2、TaO5/2
にそれぞれ換算したモル数、gは第4成分のSiをSi
に換算したモル数である。
【0031】a/(a+b+c)、b/(a+b+c)
及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上におい
て、(0.5,0.0,0.5)の点と(0.2,0.
2,0.6)の点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.
2,0.6)の点と(0.1,0.4,0.5)の点と
を結ぶ第2の線分、(0.1,0.4,0.5)の点と
(0.1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及
び(0.1,0.5,0.4)の点と(0.2,0.
8,0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1
〜第4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域にある
ことがより好ましい。
【0032】a/(a+b+c)、b/(a+b+c)
及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上におい
て、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.
4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.
4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点と
を結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と
(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、
(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,
0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.
2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点と
を結ぶ第9の線分上又はこれら第5〜第9の線分で囲ま
れる領域にあることがさらに好ましい。
【0033】第1成分、並びに第2成分及び第3成分の
少なくとも一方の成分の組成が、0.96≦(a+b+
c+e)/(d+f)≦1.01であることがより好ま
しい。
【0034】第2成分及び第3成分の少なくとも一方の
成分の組成が、0.75≦(e+f)/d×100≦
4.0であることもより好ましい。
【0035】第4成分の組成が、g/d×100≦0.
3であることもより好ましい。
【0036】磁器が、Li、Na、Mn、Co、Ni、
Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo及びWの酸
化物から選択される少なくとも1種からなる第5成分を
さらに含有しており、0<h/d×100≦1.000
であることも好ましい。ただし、hは第5成分のLi、
Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、G
a、In、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、M
nO、CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、ScO
3/2、FeO3/2、GaO3/2、InO 3/2
MoO、WOに換算したモル数である。
【0037】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態とし
て、リングバリスタの構造を示す平面図及びそのA−A
線断面図である。
【0038】同図において、10はリング形状に形成さ
れたバリスタ磁器、11はその一方の面上に形成された
電極である。電極11はこの実施形態では、等角度を隔
てて3つ設けられている。同図(B)に示すように、バ
リスタ磁器10は内部の半導体部分10aと、その全表
面近傍に形成されたを絶縁層10bとから構成されてい
る。
【0039】以下このバリスタ磁器10の組成について
説明する。
【0040】バリスタ磁器10は、Sr、Ba、Ca及
びTiの酸化物からなる複合ペロブスカイトの第1成分
と、R(RはY及びランタノイド(La、Ce、Pr、
Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb及びLu))の酸化物から選択される少なくと
も1種からなる第2成分及びM(Nb及びTa)の酸化
物から選択される少なくとも1種からなる第3成分の少
なくとも一方の成分と、Siの酸化物からなる第4成分
とを含有している。aは第1成分のSrをSrOに換算
したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモ
ル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、
dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、eは
第2成分のRをYO3/2、CeO、Pr
11/6、TbO 7/4、RO3/2(その他のラン
タノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分の
MをNbO5/2、TaO5/2にそれぞれ換算したモ
ル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数
であるとすると、このバリスタ磁器の組成は、Sr、B
a及びCa、即ちa/(a+b+c)、b/(a+b+
c)及びc/(a+b+c)の値が、図2に示すa/
(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b
+c)の三線座標上において、(0.2,0.0,0.
8)の点と(0.0,0.4,0.6)の点とを結ぶ線
分上又はこの線分よりa/(a+b+c)及びb/(a
+b+c)が大きい領域(以下第1の領域)にあり、
0.84≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.1
6、0.75≦(e+f)/d×100≦10.0、g
/d×100≦0.6である。
【0041】このAサイトモル比は、より好ましくは、
a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a
+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.
5,0.0,0.5)の点と(0.2,0.2,0.
6)の点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.2,0.
6)の点と(0.1,0.4,0.5)の点とを結ぶ第
2の線分、(0.1,0.4,0.5)の点と(0.
1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及び
(0.1,0.5,0.4)の点と(0.2,0.8,
0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1〜第
4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域(以下第2
の領域)にある。
【0042】さらに、Aサイトモル比は、a/(a+b
+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の
値が、その三線座標上において、(0.4,0.2,
0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の点とを結
ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の点と
(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、
(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.5,
0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.5,
0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点とを結
ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点と
(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上
又はこれら第5〜第9の線分で囲まれる領域(以下第3
の領域)にあることがより好ましい。
【0043】トータルA/Bが、0.96≦(a+b+
c+e)/(d+f)≦1.01であることがより好ま
しい。
【0044】半導体化剤の量が、0.75≦(e+f)
/d×100≦4.0であることがより好ましい。
【0045】SiOの量が、g/d×100≦0.3
であることがより好ましい。
【0046】第1成分はバリスタ磁器10の主たる成分
であり、複合ペロブスカイトにおいては、Sr、Ba及
びCaからなるAサイト成分とTiからなるBサイト成
分とから構成される。第2成分及び第3成分は半導体化
に寄与する金属酸化物であり、第4成分は主に焼結性の
改善のために添加されるものである。
【0047】バリスタとしての電気的特性は、主にバリ
スタ電圧E10の温度特性及び非直線係数αで表わされ
る。バリスタ電圧E10はバリスタに10mAの電流が
流れる際の印加電圧値を表しており、非直線係数αは一
般にα=1/log(E10/E)で表わされる。た
だし、Eはバリスタに1mAの電流が流れる際の印加
電圧値である。
【0048】Aサイト成分であるSr、Ba及びCaの
モル比を、第1の領域に存在するように、より好ましく
は、第2の領域に存在するように、さらに好ましくは第
3の領域に存在するように設定することによって、バリ
スタ電圧E10の制御性、E 10温度特性及び非直線係
数α等の電気的特性を向上させかつバリスタの強度及び
耐サーマルショック性を高めることができる。即ち、S
rが多すぎるとE10温度特性が負となってしまい、少
なすぎると強度が低下してしまう。また、Baが多すぎ
るとE10温度特性の正となる傾向が強くなりすぎてし
まい、少なすぎるとE10温度特性が負となってしま
う。さらに、Caが多すぎても少なすぎてもバリスタ電
圧E10に対する非直線係数αが小さくなってしまう。
加えて、Caが多すぎるとバリスタ電圧E10が極端に
大きくなって制御が困難となり、また、再酸化で素地が
絶縁化してしまうためである。
【0049】主成分(TiO)に対する半導体化剤
(第2及び/又は第3成分)のモル%(金属イオンモル
数で計算)が0.75以上かつ10.0以下となるよう
に、より好ましくは0.75以上かつ4.0以下となる
ように、設定することによって、バリスタの強度及び耐
サーマルショック性を高めることができる。即ち、半導
体化剤が多すぎても少なすぎても強度が低下し、サーマ
ルクラックが発生し易くなってしまうためである。
【0050】トータルA/Bが、0.84以上かつ1.
16以下となるように、より好ましくは0.96以上か
つ1.01以下となるように、設定することによって、
後述するように第4成分(SiO)の量を減らした場
合にも焼結性を改善することができる。即ち、トータル
A/Bが大きすぎても小さすぎても焼結が阻害され、再
酸素化で素地が絶縁化してしまうためである。また、ト
ータルA/Bが大きすぎても小さすぎても強度が低下
し、サーマルクラックが発生し易くなってしまうためで
もある。SiOの量が少なくかつ半導体化剤が上述し
たように多く添加される領域においては、耐サーマルク
ラック性を維持するために、トータルA/Bの上限を
1.16以下、より好ましくは1.01以下に制御する
ことが不可欠となる。
【0051】主成分(TiO)に対する第4成分(S
iO)のモル%が0.6以下となるように、より好ま
しくは0.3以下となるように、設定することによっ
て、バリスタの強度及び耐サーマルショック性を大幅に
高めることができる。即ち、SiOは焼結助剤として
添加され、これが含まれると組成が変動しても安定に焼
成することができるが、その量が増えると、サーマルク
ラックが発生し易くなるためである。なお、SiO
含有量(モル%)が0.6以下又は0.3以下とは、添
加量0の場合も含んでいる。
【0052】バリスタ磁器10が、Li、Na、Mn、
Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、M
o及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からな
る付加添加物をさらに含有していてもよい。その含有量
は、Li、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、S
c、Fe、Ga、In、Mo、WをLiO1/2、Na
1/2、MnO、CoO4/3、NiO、CuO、Z
nO、ScO3/2、FeO3/2、GaO3/2、I
nO3/2、MoO、WOに換算したモル数である
とすると、0<h/d×100≦1.000であること
が好ましい。これにより、非直線係数αが向上する等の
効果がある。
【0053】なお、バリスタ磁器10中には、このよう
な添加物の他に不可避的不純物として他の元素、例えば
P、S、K、Al、Zr等が含まれていてもよい。この
ような元素は、通常、酸化物として存在する。
【0054】前述したように、バリスタ磁器10はペロ
ブスカイト型結晶から構成される多結晶体である。各成
分は、一部は結晶粒に固溶してペロブスカイト型結晶に
入っており、また、一部は結晶粒界に酸化物又は複合酸
化物として存在している。例えば、Ba、Ca、Sr、
Ti、Nb、Ta、Y、ランタノイド等は結晶粒内に多
く存在しており、Mo、W、Mn、Si、Co等は結晶
粒界に多く存在している。
【0055】バリスタ磁器10の平均結晶粒径は、通
常、0.5〜10μm、特に1〜6μm程度である。
【0056】次にこのバリスタ磁器10の製造方法につ
いて説明する。
【0057】バリスタ磁器10は、原料粉末を、混合、
仮焼、粉砕、成型、脱バインダ、還元焼成、再酸化の順
に処理することにより得られる。
【0058】原料粉末には、通常、磁器の構成元素それ
ぞれの化合物の粉末を用いる。原料粉末は、酸化物又は
焼成によって酸化物となる化合物、例えば、炭酸塩、水
酸化物等を用いることができる。例えば、Baについて
例をあげると、その原料としては、BaCO、BaS
iO、BaO、BaCl、Ba(OH)、Ba
(NO、アルコキシド(例えば(CHO)
a)等のバリウム化合物の少なくとも1種を用いること
ができる。原料粉末の平均粒径は、通常、0.2〜5μ
m程度とする。
【0059】まず、原料粉末を、最終組成が前述した組
成となるように秤量し、通常、湿式混合する。次いで、
脱水処理した後、乾燥し、1080〜1250℃程度で
2〜4時間程度仮焼成する。次いで、仮焼成物を粉砕し
た後、有機バインダを加え、さらに水、pH調整剤、保
湿剤等を加えて混合する。次いで、混合物を成型し、脱
バインダ処理した後、還元雰囲気中で1250〜140
0℃程度で2〜4時間程度焼成して半導体磁器を得る。
【0060】なお、Nb、Ta、Y、ランタノイド、M
o、W、Mn、Si、Co等の各原料粉末については、
仮焼成後の混合の際に添加してもよい。
【0061】このようにして得られた半導体磁器に対
し、目的に応じた適当なバリスタ電圧が得られるよう
に、空気等の酸化性雰囲気中において熱処理(再酸化処
理)を施す。この再酸化処理の昇降温速度は、通常、1
00℃/h〜600℃/h程度で行われる。また、この
再酸化処理の温度は、850℃以上かつ1050℃以下
であることが好ましく、900℃以上かつ1000℃以
下であることがより好ましい。また、その時間は、32
時間以下であることが好ましく、0.25時間以上かつ
16時間以下であることがより好ましい。さらに、その
酸素分圧は、0.1気圧以上であることが好ましい。
【0062】この再酸化処理により、表層部分に絶縁層
10bが形成される。バリスタ特性は、この絶縁層の存
在により発現する。この絶縁層が厚いと非直線係数α及
びバリスタ電圧が大きくなり、薄いと非直線係数α及び
バリスタ電圧が小さくなるので、製品として要求される
特性に応じ、絶縁層が適当な厚さとなるように処理条件
が選択される。
【0063】本発明では、この再酸化処理することによ
って、X線応力定数を−100MPa/度としたとき
に、15MPa以上であることが好ましく、25MPa
以上であることがより好ましく、40MPa以上である
ことがさらに好ましい圧縮応力をバリスタ磁器表面に生
じるようにしているのである。
【0064】このように磁器表面に圧縮応力を持たせる
ことにより、半田付けの際の撓み強度が改善されると共
に、半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラック
が生じない高い耐サーマルショック性を得ることができ
る。
【0065】再酸化処理後、バリスタ磁器の一方の表面
にCu又はCuを主成分とする材料で電極11を形成
し、バリスタとする。
【0066】以上述べた実施形態においては、バリスタ
磁器の一方の表面に電極を設けているが、バリスタ磁器
の両面又は側面に電極を設けることもある。
【0067】
【実施例】以下、具体的実施例により本発明をさらに詳
細に説明する。
【0068】実施例1 この実施例1は、半導体化剤のモル%及び種類、トータ
ルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを
一定にし、Aサイト成分のモル比を変えた試料による比
較である。
【0069】まず、原料としてSrCO、BaC
、CaCO、TiO、NbO /2、SiO
を、表1に示す組成となるようにそれぞれ換算して秤量
し、配合した後、湿式メディアミルを用いて10〜20
時間混合し、脱水、乾燥した。
【0070】得られた混合物を1150℃で仮焼成した
後、粗粉砕し、再度、湿式メディアミルにより10〜2
0時間混合した後、脱水、乾燥した。次いで、混合物に
対し1.0〜1.5重量%のポリビニルアルコールを有
機バインダとして混合して造粒し、成型圧力2t/cm
で成型して、外径12mm、内径9mm、厚さ1.0
mmの成型体を作製した。
【0071】この成型体を600℃程度の空気雰囲気中
で脱バインダ処理した後、N(95容積%)+H
(5容積%)の還元雰囲気中において、約1350℃
で2時間の焼成を行い、半導体磁器を得た。次いで、半
導体磁器を空気中、950℃で2時間の再酸化処理を行
い、バリスタ磁器を得た。
【0072】次いで、図1に示すように、バリスタ磁器
10の一方の表面にCuペーストを塗布し、中性雰囲気
下、750℃で焼き付けることによって同図に示すごと
き3極のCu電極11を形成し、測定用のバリスタ試料
とした。
【0073】次いで、各試料の20℃におけるE及び
10を測定すると共に、測定したE及びE10を用
いて、α=1/log(E10/E)から非直線係数
αを求めた。さらに、バリスタ電圧E10の温度特性
(温度係数)をも求めた。さらにまた、各試料のサーマ
ルクラック試験を行うと共に試料表面の残留圧縮応力を
測定した。
【0074】E及びE10の測定は、図3に示す測定
回路を用いて測定した。この測定回路では、電流計30
がバリスタ31と直流定電流源32との間に直列に接続
され、電圧計33がバリスタ31に並列に接続されてい
る。E及びE10は、バリスタ31にそれぞれ1mA
及び10mAの電流が流れたときのバリスタ31の両端
子間の電圧値を電流計30及び電圧計33を用いて測定
した。
【0075】バリスタ電圧E10の温度特性(温度係
数)ΔE10Tは、各試料について、ΔE10T={E
10(85)−E10(20)}/{E10(20)×
(85−20)}×100 [%/℃]から求めた。な
お、E10(20)及びE10(85)は、それぞれ2
0℃及び85℃の温度におけるバリスタ電圧E10であ
る。これらは恒温槽を用いて測定した。
【0076】サーマルクラック試験は、室温に放置した
試料の電極面にあらかじめ温度を設定した半田コテを共
晶半田を供給しながら3秒間接触させて行った。半田コ
テの温度としては、360℃、400℃及び450℃の
3つの温度を用いた。試料の数は100個とし、クラッ
ク発生の有無をアルコールを用いて目視で判別した。
【0077】試料表面の残留圧縮応力は、X線回折によ
る応力測定法を用いて測定した。試料の主相であるペロ
ブスカイト構造は立方晶系に属するので、磁器表面のX
線回折により、面に垂直な方向のペロブスカイトの面間
隔と面に平行な方向のペロブスカイトの面間隔との比か
ら面方向に発生している表面応力を見積もることができ
る。ここでは、Cr管球を用いた平行ビームで側傾法に
より応力測定を行った。また、測定時には、2度の揺動
を加えた。測定に用いた回折線は、134度近傍の(3
10)である。
【0078】このようなX線回折による応力測定法は公
知であり、例えば、カリティ著、松村源太郎訳、「新版
X線回折要論」、アグネ株式会社、第412頁〜第44
2頁、1980年6月、及び「X線回折ハンドブッ
ク」、理学電機株式会社、第103頁〜第105頁、2
000年2月に詳しく記載されている。
【0079】本実施例において表面の残留応力を見積も
る際に用いた式は、
【0080】
【数1】 である。ただし、σは残留応力(MPa)、Eはヤング
率(MPa)、νはポアソン比、θは標準ブラッグ角
(度)(ここでは、θ=134(度)/2)、ψは試
料面法線と測定法線とのなす角度(度)、2θは回折角
度(度)、Kは材料及び回折角度によって決まる応力定
数(MPa/度)である。
【0081】残留応力の見積もりは、試料面法線及び測
定法線のなす角度ψから求まるsinψに対する測定
された回折角度2θの関係から、その勾配を最小自乗法
で求め、応力定数Kを乗算することによって求められ
る。
【0082】本実施例では、応力定数K=−100MP
a/度としている。これは、上述した式からも明らかな
ように、応力の値はKの値によっていかように設定でき
るので、測定結果の最小自乗法から求められる勾配の値
をそのまま利用できるようにするためである。即ち、応
力定数Kの絶対値が重要なのではなく、どの程度の勾
配、換言すればペロブスカイト相の立方晶からの変形の
程度を表す指標が与えられれば十分なためである。
【0083】実施例1における結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、f/d×1
00=3.00、g/d×100=0.2、(a+b+
c)/(d+f)=0.98と一定にした場合である。
【0086】Aサイト成分のモル比は、バリスタの電気
的特性、特にバリスタ電圧E10の温度特性に大きな影
響を与える。
【0087】試料24及び25(Aサイト成分のモル比
がa/(a+b+c)=0.00、b/(a+b+c)
=0.20、c/(a+b+c)=0.80、及びa/
(a+b+c)=0.00、b/(a+b+c)=0.
00、c/(a+b+c)=1.00)を除いた他の試
料1〜23及び26〜32においては、半田コテ温度が
360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。
このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料1〜
23及び26〜32の組成領域における残留圧縮応力
は、いずれも15MPa以上の値であった。
【0088】従って、試料1〜23及び26〜32の組
成領域である第1の領域、即ちa/(a+b+c)、b
/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、図2
に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc
/(a+b+c)の三線座標上において、試料28に対
応する(0.2,0.0,0.8)の点と試料23に対
応する(0.0,0.4,0.6)の点とを結ぶ線分上
又はこの線分よりa/(a+b+c)及びb/(a+b
+c)が大きい領域が本発明の好ましい範囲といえる。
これは、請求項5及び22に規定したAサイトモル比に
対応する。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれ
ば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが
発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲とい
える。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応
力に対応する。
【0089】試料20〜25、27及び28を除いた他
の試料1〜19、26及び29〜32においては、半田
コテ温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生し
なかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかっ
た試料1〜19、26及び29〜32の組成領域におけ
る残留圧縮応力は、いずれも25MPa以上の値であっ
た。
【0090】従って、試料1〜19、26及び29〜3
2の組成領域である第2の領域、即ちa/(a+b+
c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値
が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+
c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、試
料27に対応する(0.5,0.0,0.5)の点と試
料32に対応する(0.2,0.2,0.6)の点とを
結ぶ第1の線分、この(0.2,0.2,0.6)の点
と試料8に対応する(0.1,0.4,0.5)の点と
を結ぶ第2の線分、この(0.1,0.4,0.5)の
点と試料9に対応する(0.1,0.5,0.4)の点
とを結ぶ第3の線分及びこの(0.1,0.5,0.
4)の点と試料19に対応する(0.2,0.8,0.
0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1〜第4線
分よりa/(a+b+c)が大きい領域(ただし試料2
7に対応する(0.5,0.0,0.5)の点を含まな
い)が本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請
求項6及び23に規定したAサイトモル比に対応する。
また、残留圧縮応力が25MPa以上であれば半田コテ
温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しない
ので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。
これは、請求項3及び15に規定した残留圧縮応力に対
応する。
【0091】試料8〜10、16〜28、30及び32
を除いた他の試料1〜7、11〜15、29及び31に
おいては、半田コテ温度が450℃の試験でサーマルク
ラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラック
の発生しなかった試料1〜7、11〜15、29及び3
1の組成領域における残留圧縮応力は、いずれも40M
Pa以上の値であった。
【0092】従って、試料1〜7、11〜15、29及
び31の組成領域である第3の領域、即ちa/(a+b
+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の
値が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+
c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、試
料31に対応する(0.4,0.2,0.4)の点と試
料11に対応する(0.2,0.4,0.4)の点とを
結ぶ第5の線分、この(0.2,0.4,0.4)の点
と試料12に対応する(0.2,0.5,0.3)の点
とを結ぶ第6の線分、この(0.2,0.5,0.3)
の点と試料13に対応する(0.3,0.5,0.2)
の点とを結ぶ第7の線分、この(0.3,0.5,0.
2)の点と試料29に対応する(0.6,0.2,0.
2)の点とを結ぶ第8の線分及びこの(0.6,0.
2,0.2)の点と試料31に対応する(0.4,0.
2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又はこれら第5
〜第9の線分で囲まれる領域が本発明のさらに好ましい
範囲といえる。これは、請求項7及び24に規定したA
サイトモル比に対応する。また、残留圧縮応力が40M
Pa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサー
マルクラックが発生しないので、この範囲もさらに本発
明の好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16
に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0093】実施例2 この実施例2は、半導体化剤の量を変えた試料による比
較である。
【0094】Aサイトモル比、半導体化剤の種類、トー
タルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータ
を一定にし、半導体化剤のモル%を表2に示されるもの
としたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作
製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を
行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定
していない。結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、g/d×100=0.
2、(a+b+c)/(d+f)=0.98と一定に
し、f/d×100を変化させた場合である。
【0097】半導体化剤の量は、バリスタ磁器の耐サー
マルクラック性に影響を与える。半導体化剤がそれぞれ
少なすぎる及び多すぎる試料33及び39を除いた他の
試料4及び34〜38においては、半田コテ温度が36
0℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。この
とき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び3
4〜38の範囲における残留圧縮応力は、いずれも24
MPa以上の値であった。
【0098】従って、試料4及び34〜38のf/d×
100=0.75〜10.00モル%が本発明の好まし
い範囲といえる。これは、請求項5及び22に規定した
半導体化剤量に対応する。また、残留圧縮応力が15M
Pa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサー
マルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好
ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定
した残留圧縮応力に対応する。
【0099】試料33、38及び39を除いた他の試料
4及び34〜37においては、半田コテ温度が400℃
及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかっ
た。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料
4及び34〜37の範囲における残留圧縮応力は、いず
れも40MPa以上の値であった。
【0100】従って、試料4及び34〜37のf/d×
100=0.75〜4.00モル%が本発明のより好ま
しい範囲といえる。これは、請求項9及び26に規定し
た半導体化剤量に対応する。また、残留圧縮応力が40
MPa以上であれば半田コテ温度が400℃及び450
℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範
囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求
項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0101】実施例3 この実施例3は、半導体化剤の種類を変えた試料による
比較である。
【0102】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%、ト
ータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメー
タを一定にし、半導体化剤の種類を表3に示されるもの
としたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作
製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を
行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定
していない。結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、YO
3/2、LaO3/2、CeO、PrO11/6、N
dO3/ 、SmO3/2、EuO3/2、GdO
3/2、TbO7/4、DyO3/2、HoO3/2
ErO3/2、TmO3/2、YbO3/2、LuO
3/2又はNbO5/2+YO3/2(等モル数)をe
モル、TaO5/2、NbO5/ をfモル、SiO
をgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/
(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.
30、(e+f)/d×100=3.00、g/d×1
00=0.2、(a+b+c+e)/(d+f)=0.
98と一定にしている。
【0105】試料4及び40〜56のいずれも半田コテ
温度が360℃の試験及び400℃の試験においてサー
マルクラックが発生しないため、半導体化剤としてNb
/2、TaO5/2、YO3/2、LaO3/2
CeO、PrO11/6、NdO3/2、SmO
3/2、EuO3/2、GdO3/2、TbO7/4
DyO3/2、HoO3/2、ErO3/2、TmO
3/2、YbO3/2、LuO3/2又はNbO5/2
+YO3/2(等モル数)を用いることは本発明の好ま
しい範囲である。このとき、サーマルクラックの発生し
なかった試料4及び40〜56における残留圧縮応力
は、いずれも37MPa以上の値であった。
【0106】実施例4 この実施例4は、トータルA/Bを変えた試料による比
較である。
【0107】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定
にし、トータルA/Bを表4に示されるものとしたこと
以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これ
らについても実施例1の場合と同様な測定を行った。た
だし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していな
い。結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
【0109】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.
00、g/d×100=0.2と一定にし、(a+b+
c)/(d+f)を変化させた場合である。
【0110】試料57及び63を除いた他の試料4及び
58〜62においては、半田コテ温度が360℃の試験
でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サー
マルクラックの発生しなかった試料4及び58〜62の
範囲における残留圧縮応力は、いずれも21MPaを超
える値であった。
【0111】従って、試料4及び58〜62の(a+b
+c)/(d+f)=0.84〜1.16が本発明の好
ましい範囲といえる。これは、請求項5及び22に規定
したトータルA/Bに対応する。また、残留圧縮応力が
15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験
でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発
明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14
に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0112】試料57、58、62及び63を除いた他
の試料4及び59〜61においては、半田コテ温度が4
00℃及び450℃の試験でサーマルクラックが発生し
なかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかっ
た試料4及び59〜61の範囲における残留圧縮応力
は、いずれも40MPaを超える値であった。
【0113】従って、試料4及び59〜61の(a+b
+c)/(d+f)=0.96〜1.01が本発明のよ
り好ましい範囲といえる。これは、請求項8及び25に
規定したトータルA/Bに対応する。また、残留圧縮応
力が40MPa以上であれば半田コテ温度が400℃及
び450℃の試験でサーマルクラックが発生しないの
で、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。こ
れは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応
する。
【0114】表4から分かるように、SiOの量が少
なくかつ半導体化剤が多く添加される領域においては、
耐サーマルクラック性を維持するために、トータルA/
Bの特に上限を制御することが不可欠となる。トータル
A/Bが1.16を越えると360℃でサーマルクラッ
クが発生するようになり、トータルA/Bが1.01を
越えると400℃でサーマルクラックが発生するように
なる。
【0115】実施例5 この実施例5は、SiOのモル%を変えた試料による
比較である。
【0116】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類並びにトータルA/B等の他のパラメータを一定に
し、SiOのモル%を表5に示されるものとしたこと
以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これ
らについて、サーマルクラック試験の温度以外は実施例
1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧
10の温度特性は測定していない。結果を表5に示
す。
【0117】
【表5】
【0118】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.
00、(a+b+c)/(d+f)=0.98と一定に
し、g/d×100を変化させた場合である。
【0119】SiOは焼結助剤として添加され、これ
が含まれると組成が変動しても安定に焼成することがで
きるが、その量が増えると、サーマルクラックが発生し
易くなる。
【0120】試料68及び69は、SiOが多すぎる
ため、半田コテ温度が360℃の試験でもサーマルクラ
ックが発生するため、好ましくない。従って、半田コテ
温度が360℃の試験及び400℃の試験においてもサ
ーマルクラックが発生しない試料4及び64〜67が本
発明の好ましい範囲である。これは、請求項5及び22
に規定したSiOのモル%に対応する。このとき、サ
ーマルクラックの発生しなかった試料4及び64〜67
の範囲における残留圧縮応力は、いずれも32MPa以
上の値であった。なお、試料64は、SiOの添加量
が0の場合であるが、実際には、各原料に不純物として
SiOが含まれているため、試料64のSiO含有
量は0とはならない。
【0121】試料67は半田コテ温度が450℃の試験
においてサーマルクラックが発生するため、半田コテ温
度が450℃の試験においてもサーマルクラックが発生
しない試料4及び64〜66が本発明のより好ましい範
囲となる。これは、請求項10及び27に規定したSi
のモル%に対応する。また、残留圧縮応力が40M
Pa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサー
マルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のよ
り好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に
規定した残留圧縮応力に対応する。なお、試料4の周辺
のSiOのモル%が本発明の最も好ましい範囲であ
る。
【0122】実施例6 この実施例6は、付加添加物の種類及び量を変えた試料
による比較である。
【0123】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類、トータルA/B並びにSiO のモル%等の他の
パラメータを一定にし、付加添加物の種類及び量を表6
に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様
にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合
と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10
温度特性は測定していない。結果を表6に示す。
【0124】
【表6】
【0125】組成の表記は、SrOをaモル、BaOを
bモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモル、付加添加物をhモ
ルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+
b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、
f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+
f)=0.98、g/d×100=0.20と一定に
し、h/d×100を変えた場合である。
【0126】付加添加物はバリスタ電圧E10及び非直
線係数α等の電気的特性を調整する作用がある。Mnは
バリスタ電圧E10及び非直線係数αを大きくし、Co
はバリスタ電圧E10を大きくする。また、MoやWは
非直線係数αを大きくする作用が認められる。表6には
示されていないが、その他のLi、Na、Ni、Cu、
Zn、Sc、Fe、Ga及びInにも同様の作用が認め
られる。
【0127】試料74及び78は、添加量が多すぎたた
め、焼結性が阻害され再酸化処理で磁器が絶縁化してい
る。これら試料74及び78を除いた他の試料70〜7
3、75〜77及び79〜80においては、半田コテ温
度が360℃の試験及び400℃の試験でサーマルクラ
ックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの
発生しなかった試料70〜73、75〜77及び79〜
80の範囲における残留圧縮応力は、いずれも29MP
a以上の値であった。
【0128】従って主成分に対するモル%が0より大き
く1.00以下である試料70〜73、75〜77及び
79〜80が本発明の好ましい範囲である。これは、請
求項11及び28に規定した付加添加物の種類及びモル
%に含まれている。
【0129】実施例7 この実施例7は、再酸化処理の条件のうち温度を変えた
試料による比較である。
【0130】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類、トータルA/B並びにSiO のモル%等の他の
パラメータを一定にし、再酸化処理条件を表7に示され
るものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試
料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な
測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性
は測定していない。結果を表7に示す。
【0131】
【表7】
【0132】各試料の組成は、SrOをaモル、BaO
をbモル、CaOをcモル、TiO をdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.
00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d
×100=0.20と一定にしている。
【0133】再酸化処理時間は2時間一定、処理雰囲気
は大気中(酸素分圧が0.2気圧)として試料を作製し
た。
【0134】再酸化処理温度の増加と共にバリスタ電圧
10が広範囲に変化した。
【0135】試料81、82、87及び88を除いたそ
の他の試料4及び83〜86においては、半田コテ温度
が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかっ
た。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料
の範囲における残留圧縮応力は、いずれも20MPa以
上の値であった。
【0136】従って再酸化処理温度が850℃〜105
0℃である試料4及び83〜86が本発明の好ましい範
囲である。これは、請求項17に対応している。また、
残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が
360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、
この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請
求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0137】さらに、試料4、84及び85において
は、半田コテ温度が400℃の試験及び450℃の試験
でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サー
マルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留
圧縮応力は、いずれも40MPa以上の値であった。
【0138】従って再酸化処理温度が900℃〜100
0℃である試料4、84及び85が本発明のより好まし
い範囲である。これは、請求項18に対応している。ま
た、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温
度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないの
で、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。こ
れは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応
する。
【0139】このように組成を変えずに再酸化処理温度
を変えることによってバリスタ電圧値を制御すれば、大
きな表面残留圧縮応力を維持したまま広範囲のバリスタ
電圧値及び十分な非直線係数αを確保することができ
る。その結果、大きな表面残留圧縮応力による高強度及
び高耐熱性を維持しながら、同じ組成で広範囲のバリス
タ電圧及び実用的なαが得られるため、多種の材料を用
意する必要がなくなり、材料管理が容易になる。
【0140】実施例8 この実施例8は、再酸化処理の条件のうち時間を変えた
試料による比較である。
【0141】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類、トータルA/B並びにSiO のモル%等の他の
パラメータを一定にし、再酸化処理条件を表8に示され
るものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試
料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な
測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性
は測定していない。結果を表8に示す。
【0142】
【表8】
【0143】各試料の組成は、SrOをaモル、BaO
をbモル、CaOをcモル、TiO をdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.
00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d
×100=0.20と一定にしている。
【0144】再酸化処理温度は950℃一定、処理雰囲
気は大気中(酸素分圧が0.2気圧)として試料を作製
した。
【0145】再酸化処理時間の増加と共にバリスタ電圧
10が単調増加した。再酸化処理時間が32時間を越
えると残留圧縮応力が急激に低下した。この試料97を
除いたその他の試料4及び89〜96においては、半田
コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生し
なかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかっ
た試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも24M
Pa以上の値であった。
【0146】従って再酸化処理時間が32時以下である
試料4及び89〜96が本発明の好ましい範囲である。
これは、請求項19に対応している。また、残留圧縮応
力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の
試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も
本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び
14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0147】さらに、試料4及び90〜95において
は、半田コテ温度が400℃の試験でサーマルクラック
が発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生
しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれ
も38MPa以上の値であった。
【0148】従って再酸化処理時間が0.25時間〜1
6時間である試料4及び90〜95が本発明のより好ま
しい範囲である。これは、請求項20に対応している。
また、残留圧縮応力が25MPa以上であれば半田コテ
温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しない
ので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。
これは、請求項3及び15に規定した残留圧縮応力に対
応する。
【0149】さらにまた、試料4及び91〜94におい
ては、半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラッ
クが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発
生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いず
れも41MPa以上の値であった。
【0150】従って再酸化処理時間が0.5時間〜8時
間である試料4及び91〜94がさらに好ましい。ま
た、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温
度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないの
で、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。こ
れは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応
する。
【0151】実施例9 この実施例9は、再酸化処理の条件のうち酸素分圧を変
えた試料による比較である。
【0152】Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び
種類、トータルA/B並びにSiO のモル%等の他の
パラメータを一定にし、再酸化処理条件を表9に示され
るものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試
料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な
測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性
は測定していない。結果を表9に示す。
【0153】
【表9】
【0154】各試料の組成は、SrOをaモル、BaO
をbモル、CaOをcモル、TiO をdモル、NbO
5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+
b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、
c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.
00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d
×100=0.20と一定にしている。
【0155】再酸化処理における温度は950℃一定、
時間は2時間一定とし、酸素分圧を変えて試料を作製し
た。
【0156】試料98及び99ではαが小さく残留圧縮
応力も小さい。これら試料を除いたその他の試料4及び
100〜102においては、半田コテ温度が360℃の
試験、400℃の試験及び450℃の試験でサーマルク
ラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラック
の発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、
いずれも40MPaを越えた値であった。
【0157】従って再酸化処理における酸素分圧が0.
10気圧以上である試料4及び100〜102が本発明
の好ましい範囲である。これは、請求項21に対応して
いる。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半
田コテ温度が360℃、400℃の試験及び450℃の
試験の試験でサーマルクラックが発生しないので、この
範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項
4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0158】以上の各表から、各成分の組成及び含有量
並びに再酸化処理条件が本発明の範囲内であれば、上述
した好ましい範囲内の残留圧縮応力が得られ、高い撓み
強度を有しかつ耐サーマルショック性に優れたバリスタ
磁器及びその製造方法を提供することができる。
【0159】以上述べた実施形態及び実施例は全て本発
明を例示的に示すものであって限定的に示すものではな
く、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施す
ることができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲
及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0160】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、磁器表面に大きな圧縮応力が存在することにより、
半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け
時の局所的な温度上昇においてもクラックが生じない高
い耐サーマルショック性を得ることができる。即ち、半
田付け時は、局所的な加熱によって局所的な膨張が生
じ、これが磁器表面にクラックを発生させるような引張
り応力となる。この引張り応力と平衡がとれるような圧
縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導入しておけば
局所的なサーマルショックに強いバリスタ磁器を得るこ
とができるのである。また、バリスタ磁器表面に残留圧
縮応力が存在すると、撓み強度が増大する。これは強化
ガラスの場合と同じ原理である。
【0161】また、還元焼成処理及び再酸化処理によっ
て磁器表面に大きな圧縮応力を生じさせることにより、
半田付けの際の撓み強度が改善され、かつ高い耐サーマ
ルショック性を得ることができる。還元焼成処理と再酸
化処理との組み合わせによる耐サーマルショック性及び
残留圧縮応力の発生は、還元焼成処理における酸素欠陥
の量と、再酸化処理における酸素欠陥の酸素による補填
との関係から類推できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、リングバリスタの
構造を示す平面図及びそのA−A線断面図である。
【図2】Aサイトモル比の好ましい領域を示す特性図で
ある。
【図3】E及びE10の測定回路を示す回路図であ
る。
【符号の説明】
10 バリスタ磁器 10a 半導体部分 10b 絶縁層 11 電極 30 電流計 31 バリスタ 32 直流定電流源 33 電圧計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小笠原 稔 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内 (72)発明者 千田 直樹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA02 AA03 AA08 AA09 AA10 AA11 AA14 AA16 AA20 AA21 AA23 AA24 AA25 AA27 AA28 AA29 AA31 AA32 AA34 AA37 BA04 BA20 GA26 GA34 4G031 AA01 AA04 AA05 AA06 AA07 AA11 AA14 AA15 AA17 AA18 AA19 AA21 AA22 AA23 AA25 AA26 AA27 AA30 BA04 GA08 GA17 5E034 CB01 CC02 DA03 DE07

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sr、Ba及びCaのうちの少なくとも
    1種とTiからなる酸化物を含んでおり、表面に圧縮応
    力が存在することを特徴とする電圧依存性非直線抵抗体
    磁器。
  2. 【請求項2】 X線応力定数を−100MPa/度とし
    たときに、前記圧縮応力が、15MPa以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の電圧依存性非直線抵抗体
    磁器。
  3. 【請求項3】 X線応力定数を−100MPa/度とし
    たときに、前記圧縮応力が、25MPa以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の電圧依存性非直線抵抗体
    磁器。
  4. 【請求項4】 X線応力定数を−100MPa/度とし
    たときに、前記圧縮応力が、40MPa以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の電圧依存性非直線抵抗体
    磁器。
  5. 【請求項5】 Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物から
    なる第1成分と、R(Y及びランタノイド)の酸化物か
    ら選択される少なくとも1種からなる第2成分及びM
    (Nb及びTa)の酸化物から選択される少なくとも1
    種からなる第3成分の少なくとも一方の成分と、Siの
    酸化物からなる第4成分とを含有する磁器であって、a
    /(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+
    b+c)の値が、その三線座標上において、(0.2,
    0.0,0.8)の点と(0.0,0.4,0.6)の
    点とを結ぶ線分上又は該線分よりa/(a+b+c)及
    びb/(a+b+c)が大きい領域にあり、0.84≦
    (a+b+c+e)/(d+f)≦1.16、0.75
    ≦(e+f)/d×100≦10.0、g/d×100
    ≦0.6(ただし、aは第1成分のSrをSrOに換算
    したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモ
    ル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、
    dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、eは
    第2成分のRをYO3/2、CeO、Pr
    11/6、TbO7/4、RO3/2(その他のラン
    タノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分の
    MをNbO5/2、TaO5/2にそれぞれ換算したモ
    ル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数
    である)であることを特徴とする請求項1から4のいず
    れか1項に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  6. 【請求項6】 Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物から
    なる第1成分と、R(Y及びランタノイド)の酸化物か
    ら選択される少なくとも1種からなる第2成分及びM
    (Nb及びTa)の酸化物から選択される少なくとも1
    種からなる第3成分の少なくとも一方の成分と、Siの
    酸化物からなる第4成分とを含有する磁器であって、a
    /(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+
    b+c)の値が、その三線座標上において、(0.5,
    0.0,0.5)の点と(0.2,0.2,0.6)の
    点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.2,0.6)の
    点と(0.1,0.4,0.5)の点とを結ぶ第2の線
    分、(0.1,0.4,0.5)の点と(0.1,0.
    5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及び(0.1,
    0.5,0.4)の点と(0.2,0.8,0.0)の
    点とを結ぶ第4の線分上又は該第1〜第4線分よりa/
    (a+b+c)が大きい領域にあり、0.84≦(a+
    b+c+e)/(d+f)≦1.16、0.75≦(e
    +f)/d×100≦10.0、g/d×100≦0.
    6(ただし、aは第1成分のSrをSrOに換算したモ
    ル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモル数、
    cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、dは第
    1成分のTiをTiOに換算したモル数、eは第2成
    分のRをYO3/2、CeO、PrO11/6、Tb
    7/4、RO3/2(その他のランタノイド)にそれ
    ぞれ換算したモル数、fは第3成分のMをNb
    5/2、TaO5/2にそれぞれ換算したモル数、g
    は第4成分のSiをSiOに換算したモル数である)
    であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項
    に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  7. 【請求項7】 Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物から
    なる第1成分と、R(Y及びランタノイド)の酸化物か
    ら選択される少なくとも1種からなる第2成分及びM
    (Nb及びTa)の酸化物から選択される少なくとも1
    種からなる第3成分の少なくとも一方の成分と、Siの
    酸化物からなる第4成分とを含有する磁器であって、a
    /(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+
    b+c)の値が、その三線座標上において、(0.4,
    0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の
    点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の
    点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線
    分、(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.
    5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.
    5,0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点と
    を結ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点
    と(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分
    上又は該第5〜第9の線分で囲まれる領域にあり、0.
    84≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.16、
    0.75≦(e+f)/d×100≦10.0、g/d
    ×100≦0.6(ただし、aは第1成分のSrをSr
    Oに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換
    算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算した
    モル数、dは第1成分のTiをTiOに換算したモル
    数、eは第2成分のRをYO3/2、CeO、PrO
    11/6、TbO7/4、RO3/2(その他のランタ
    ノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分のM
    をNbO5/2、TaO5/2にそれぞれ換算したモル
    数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数で
    ある)であることを特徴とする請求項1から4のいずれ
    か1項に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  8. 【請求項8】 前記第1成分、並びに前記第2成分及び
    前記第3成分の少なくとも一方の成分の組成が、0.9
    6≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.01である
    ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載
    の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  9. 【請求項9】 前記第2成分及び前記第3成分の少なく
    とも一方の成分の組成が、0.75≦(e+f)/d×
    100≦4.0であることを特徴とする請求項5から8
    のいずれか1項に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  10. 【請求項10】 前記第4成分の組成が、g/d×10
    0≦0.3であることを特徴とする請求項5から9のい
    ずれか1項に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  11. 【請求項11】 前記磁器が、Li、Na、Mn、C
    o、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo
    及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からなる
    第5成分をさらに含有しており、0<h/d×100≦
    1.000(ただし、hは第5成分のLi、Na、M
    n、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、I
    n、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、MnO、
    CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、Sc
    3/2、FeO3/2、GaO3/2、In
    3/2、MoO、WOに換算したモル数である)
    であることを特徴とする請求項5から10のいずれか1
    項に記載の電圧依存性非直線抵抗体磁器。
  12. 【請求項12】 還元焼成処理によって得られたSr、
    Ba及びCaのうちの少なくとも1種とTiからなる酸
    化物を含む磁器を再酸化処理することによって表面に圧
    縮応力を生ぜせしめることを特徴とする電圧依存性非直
    線抵抗体磁器の製造方法。
  13. 【請求項13】 原料粉末を所定組成となるように秤量
    して混合し、仮焼成した後、粉砕して成型し、該成型体
    を還元焼成し、再酸化することを特徴とする請求項12
    に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記還元焼成処理及び再酸化処理が、
    X線応力定数を−100MPa/度としたときに、15
    MPa以上の圧縮応力を発生させるものであることを特
    徴とする請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記還元焼成処理及び再酸化処理が、
    X線応力定数を−100MPa/度としたときに、25
    MPa以上の圧縮応力を発生させるものであることを特
    徴とする請求項12又は13に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記還元焼成処理及び再酸化処理が、
    X線応力定数を−100MPa/度としたときに、40
    MPa以上の圧縮応力を発生させるものであることを特
    徴とする請求項12又は13に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記再酸化処理の温度が、850℃以
    上かつ1050℃以下であることを特徴とする請求項1
    2から16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記再酸化処理の温度が、900℃以
    上かつ1000℃以下であることを特徴とする請求項1
    2から16のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記再酸化処理の時間が、32時間以
    下であることを特徴とする請求項12から18のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記再酸化処理の時間が、0.25時
    間以上かつ16時間以下であることを特徴とする請求項
    12から18のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記再酸化処理の時間が、0.5時間
    以上かつ8時間以下であることを特徴とする請求項12
    から18のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記再酸化処理の酸素分圧が、0.1
    気圧以上であることを特徴とする請求項12から21の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記磁器が、Sr、Ba、Ca及びT
    iの酸化物からなる第1成分と、R(Y及びランタノイ
    ド)の酸化物から選択される少なくとも1種からなる第
    2成分及びM(Nb及びTa)の酸化物から選択される
    少なくとも1種からなる第3成分の少なくとも一方の成
    分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有してお
    り、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/
    (a+b+c)の値が、その三線座標上において、
    (0.2,0.0,0.8)の点と(0.0,0.4,
    0.6)の点とを結ぶ線分上又は該線分よりa/(a+
    b+c)及びb/(a+b+c)が大きい領域にあり、
    0.84≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.1
    6、0.75≦(e+f)/d×100≦10.0、g
    /d×100≦0.6(ただし、aは第1成分のSrを
    SrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaO
    に換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算
    したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算した
    モル数、eは第2成分のRをYO3/2、CeO、P
    rO11/6、TbO7/4、RO3/2(その他のラ
    ンタノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分
    のMをNbO 5/2、TaO5/2にそれぞれ換算した
    モル数、gは第4成分のSiをSiO に換算したモル
    数である)であることを特徴とする請求項12から22
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記磁器が、Sr、Ba、Ca及びT
    iの酸化物からなる第1成分と、R(Y及びランタノイ
    ド)の酸化物から選択される少なくとも1種からなる第
    2成分及びM(Nb及びTa)の酸化物から選択される
    少なくとも1種からなる第3成分の少なくとも一方の成
    分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有してお
    り、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/
    (a+b+c)の値が、その三線座標上において、
    (0.5,0.0,0.5)の点と(0.2,0.2,
    0.6)の点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.2,
    0.6)の点と(0.1,0.4,0.5)の点とを結
    ぶ第2の線分、(0.1,0.4,0.5)の点と
    (0.1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及
    び(0.1,0.5,0.4)の点と(0.2,0.
    8,0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又は該第1〜第
    4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域にあり、
    0.84≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.1
    6、0.75≦(e+f)/d×100≦10.0、g
    /d×100≦0.6(ただし、aは第1成分のSrを
    SrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaO
    に換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算
    したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算した
    モル数、eは第2成分のRをYO3/2、CeO、P
    rO11/6、TbO7/4、RO3/2(その他のラ
    ンタノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分
    のMをNbO5/2、TaO5/2にそれぞれ換算した
    モル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル
    数である)であることを特徴とする請求項12から22
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記磁器が、Sr、Ba、Ca及びT
    iの酸化物からなる第1成分と、R(Y及びランタノイ
    ド)の酸化物から選択される少なくとも1種からなる第
    2成分及びM(Nb及びTa)の酸化物から選択される
    少なくとも1種からなる第3成分の少なくとも一方の成
    分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有してお
    り、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/
    (a+b+c)の値が、その三線座標上において、
    (0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,
    0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,
    0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結
    ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と
    (0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、
    (0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,
    0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.
    2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点と
    を結ぶ第9の線分上又は該第5〜第9の線分で囲まれる
    領域にあり、0.84≦(a+b+c+e)/(d+
    f)≦1.16、0.75≦(e+f)/d×100≦
    10.0、g/d×100≦0.6(ただし、aは第1
    成分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分の
    BaをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaを
    CaOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiO
    に換算したモル数、eは第2成分のRをYO3/2
    CeO、PrO11/6、TbO /4、RO3/2
    (その他のランタノイド)にそれぞれ換算したモル数、
    fは第3成分のMをNbO5/2、TaO5/2にそれ
    ぞれ換算したモル数、gは第4成分のSiをSiO
    換算したモル数である)であることを特徴とする請求項
    12から22のいずれか1項に記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記第1成分、並びに前記第2成分及
    び前記第3成分の少なくとも一方の成分の組成が、0.
    96≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.01であ
    ることを特徴とする請求項23から25のいずれか1項
    に記載の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記第2成分及び前記第3成分の少な
    くとも一方の成分の組成が、0.75≦(e+f)/d
    ×100≦4.0であることを特徴とする請求項23か
    ら25のいずれか1項に記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第4成分の組成が、g/d×10
    0≦0.3であることを特徴とする請求項23から25
    のいずれか1項に記載の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記磁器が、Li、Na、Mn、C
    o、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo
    及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からなる
    第5成分をさらに含有しており、0<h/d×100≦
    1.000(ただし、hは第5成分のLi、Na、M
    n、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、I
    n、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、MnO、
    CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、Sc
    3/2、FeO3/2、GaO3/2、In
    3/2、MoO、WOに換算したモル数である)
    であることを特徴とする請求項23から28のいずれか
    1項に記載の製造方法。
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