JP3956676B2 - 電圧依存性非直線抵抗体磁器の製造方法 - Google Patents

電圧依存性非直線抵抗体磁器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧依存性非直線抵抗体(バリスタ)に用いる磁器に関し、特に、(Sr、Ba、Ca)TiOの組成を有する磁器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バリスタは、印加電圧の変化に応じて抵抗値が非直線的に変わる抵抗素子であり、具体的には、ある電圧値以上の電圧が印加されるとその抵抗値が急激に低下する抵抗素子である。
【0003】
バリスタを主に構成する磁器としては種々の組成系のものが存在しているが、(Sr、Ba、Ca)TiOの組成を有する複合ペロブスカイト系磁器は、その抵抗値の非直線性と静電容量性との両機能を併せ備えているため、電子機器で発生するサージ電圧を吸収したり、ノイズを除去したりするのに非常に好適である。例えば、DCマイクロモータ用のリングバリスタ等に適用されている。
【0004】
この複合ペロブスカイト系磁器を備えたバリスタは、Sr、Ba及びCaのモル比を選ぶことにより、バリスタ電圧の温度依存性を制御することができる。即ち、動作中の温度上昇に伴なってバリスタ電圧(抵抗値が急激に低下する電圧)が低下し、バリスタに過大電流が流れたり熱暴走を起こすことを防止するため、温度依存性をゼロ又は正に調整することができる。特公平8−28287号公報(特開平2−146702号公報)、特開平3−45559号公報及び特許第2944697号公報(特開平3−237057号公報)には、このようにバリスタ電圧の温度依存性を調整したバリスタが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、バリスタ等の電子機器を実装するにあたって、半田付け作業の迅速化が図られていること及び高温半田や鉛フリー半田を使用することから、半田付け温度の高温化が進んでいる。このため、バリスタは、過酷な半田付け条件にされされることとなり、局所的なサーマルショックに基づくサーマルクラックが発生し易くなってきている。
【0006】
サーマルショックに強いバリスタを得ることを目的として、特開昭63−276201号公報には、TiO系磁器によるリングバリスタが記載されているが、具体的なデータは何等記載されていない。しかも、このようなTiO系バリスタ磁器は、静電容量に関する電気的特性及びバリスタ電圧制御性の点で複合ペロブスカイト系バリスタ磁器に比してかなり劣るため、採用することはできない。
【0007】
このように、電気的特性が優れており、かつ高温の半田付けが行われてもその機能が損なわれない複合ペロブスカイト系のバリスタ磁器の要求が高まっている。また、作業の効率アップを行えるべく、より強度の優れたバリスタ磁器が望まれている。
【0008】
従って本発明の目的は、電気的特性が優れておりかつ高い撓み強度と耐サーマルショック性に優れたバリスタ磁器及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法によれば、Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物からなる第1成分と、Nbの酸化物からなる第3成分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有する磁器であって、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又は該第5〜第9の線分で囲まれる領域にあり、表面に圧縮応力が存在するバリスタ磁器が提供される。ただし、aは第1成分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、fは第3成分のNbをNbO5/ に換算したモル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数である。
【0010】
磁器表面に大きな圧縮応力が存在することにより、半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラックが生じない高い耐サーマルショック性を得ることができる。即ち、半田付け時は、局所的な加熱によって局所的な膨張が生じ、これが磁器表面にクラックを発生させるような引張り応力となる。この引張り応力と平衡がとれるような圧縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導入しておけば局所的なサーマルショックに強いバリスタ磁器を得ることができるのである。また、バリスタ磁器表面に残留圧縮応力が存在すると、撓み強度が増大する。これは強化ガラスの場合と同じ原理である。
【0011】
また、焼結助剤として用いられるSiO の量をできるだけ小さくすることにより、バリスタの強度及び耐サーマルショック性を高め、過酷な半田付け条件による局所的なサーマルショックに基づくサーマルクラックの発生を抑制すると共に、SiO 量の減少によって生じる焼結性の低下を(a+b+c+e)/(d+f)で表されるトータルA/B(イオン半径の関係からAサイト成分の格子内に入り得る他の元素を含めたAサイト成分のトータルモル数とBサイト成分の格子内に入り得る他の元素を含めたBサイト成分のトータルモル数との比)を調整して補償している。さらに、これらとAサイトモル比及び半導体化剤の量及び種類をバランスよく適切に選ぶことによって、バリスタ磁器の強度及び電気的特性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、ここでは、Sr、Ba及びCaのみによるAサイト成分のモル数とTiのみによるBサイト成分のモル数との比である単純なA/Bではなく、添加物をも含めたペロブスカイト構成イオンのモル比であるトータルA/Bなるパラメータを導入している。即ち、本当に焼結性に寄与するのは、単純なA/Bではなく、このようなトータルA/Bであると考えられるためである。特に、添加物のうち半導体化剤は重要な固溶イオンであり、その添加量が多いこのような場合、単純なA/Bを用いると誤差が大きくなり、トータルA/Bを用いることによって初めて正確な制御が可能となり、特性ばらつきのないバリスタ磁器を提供できるのである。
【0013】
本発明の製造方法によって提供されたバリスタ磁器においては、X線応力定数を−100MPa/度としたときに、表面の圧縮応力が40MPa以上である。
【0021】
さらに本発明によれば、還元焼成処理によって得られたSr、Ba及びCa並びにTiの酸化物からなる第1成分と、Nbの酸化物からなる第3成分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有しており、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又は該第5〜第9の線分で囲まれる領域にあり、0.96≦(a+b+c)/(d+f)≦1.01、0.75≦f/d×100≦.0、g/d×100≦0.である磁器を、酸素分圧が0.1気圧以上であり、温度が900℃以上かつ1000℃以下であり、時間が0.5時間以上かつ8時間以下である条件で再酸化処理することによって表面に圧縮応力を生ぜせしめるバリスタ磁器の製造方法が提供される。ただし、aは第1成分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、fは第3成分のNbをNbO5/ に換算したモル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数である。
【0022】
還元焼成処理及び再酸化処理によって磁器表面に大きな圧縮応力を生じさせることにより、半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラックが生じない高い耐サーマルショック性を得ることができる。還元焼成処理と再酸化処理との組み合わせによる耐サーマルショック性及び残留圧縮応力の発生は、還元焼成処理における酸素欠陥の量と、再酸化処理における酸素欠陥の酸素による補填との関係から類推できる。
【0023】
半田付け時は、局所的な加熱によって局所的な膨張が生じ、これが磁器表面にクラックを発生させるような引張り応力となる。この引張り応力と平衡がとれるような圧縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導入しておけば局所的なサーマルショックに強いバリスタ磁器を得ることができるのである。また、バリスタ磁器表面に残留圧縮応力が存在すると、撓み強度が増大する。これは強化ガラスの場合と同じ原理である。
【0024】
原料粉末を所定組成となるように秤量して混合し、仮焼成した後、粉砕して成型し、この成型体を還元焼成し、再酸化することが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法においては、X線応力定数を−100MPa/度としたときに、表面の圧縮応力を40MPa以上とすることができる
【0026】
再酸化処理の温度900℃以上かつ1000℃以下として、組成を変えずに再酸化処理温度を変えることによってバリスタ電圧値を制御すれば、大きな表面残留圧縮応力を維持したまま広範囲のバリスタ電圧値及び十分な非直線係数αを確保することができる。
【0027】
その結果、大きな表面残留圧縮応力による高強度及び高耐熱性を維持しながら、同じ組成で広範囲のバリスタ電圧及び実用的なαが得られるため、多種の材料を用意する必要がなくなり、材料管理が容易になる。
【0036】
磁器が、Li、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からなる第5成分をさらに含有しており、0<h/d×100≦1.000であることも好ましい。ただし、hは第5成分のLi、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、MnO、CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、ScO3/2、FeO3/2、GaO3/2、InO3/2、MoO、WOに換算したモル数である。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態として、リングバリスタの構造を示す平面図及びそのA−A線断面図である。
【0038】
同図において、10はリング形状に形成されたバリスタ磁器、11はその一方の面上に形成された電極である。電極11はこの実施形態では、等角度を隔てて3つ設けられている。同図(B)に示すように、バリスタ磁器10は内部の半導体部分10aと、その全表面近傍に形成されたを絶縁層10bとから構成されている。
【0039】
以下このバリスタ磁器10の組成について説明する。
【0040】
バリスタ磁器10は、Sr、Ba、Ca及びTiの酸化物からなる複合ペロブスカイトの第1成分と、R(RはY及びランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu))の酸化物から選択される少なくとも1種からなる第2成分及びM(Nb及びTa)の酸化物から選択される少なくとも1種からなる第3成分の少なくとも一方の成分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有している。aは第1成分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、eは第2成分のRをYO3/2、CeO、PrO11/6、TbO7/4、RO3/2(その他のランタノイド)にそれぞれ換算したモル数、fは第3成分のMをNbO5/2、TaO5/2にそれぞれ換算したモル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数であるとすると、このバリスタ磁器の組成は、Sr、Ba及びCa、即ちa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、(0.2,0.0,0.8)の点と(0.0,0.4,0.6)の点とを結ぶ線分上又はこの線分よりa/(a+b+c)及びb/(a+b+c)が大きい領域(以下第1の領域)にあり、0.84≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.16、0.75≦(e+f)/d×100≦10.0、g/d×100≦0.6である。
【0041】
このAサイトモル比は、より好ましくは、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.5,0.0,0.5)の点と(0.2,0.2,0.6)の点とを結ぶ第1の線分、(0.2,0.2,0.6)の点と(0.1,0.4,0.5)の点とを結ぶ第2の線分、(0.1,0.4,0.5)の点と(0.1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及び(0.1,0.5,0.4)の点と(0.2,0.8,0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1〜第4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域(以下第2の領域)にある。
【0042】
さらに、Aサイトモル比は、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又はこれら第5〜第9の線分で囲まれる領域(以下第3の領域)にあることがより好ましい。
【0043】
トータルA/Bが、0.96≦(a+b+c+e)/(d+f)≦1.01であることがより好ましい。
【0044】
半導体化剤の量が、0.75≦(e+f)/d×100≦4.0であることがより好ましい。
【0045】
SiOの量が、g/d×100≦0.3であることがより好ましい。
【0046】
第1成分はバリスタ磁器10の主たる成分であり、複合ペロブスカイトにおいては、Sr、Ba及びCaからなるAサイト成分とTiからなるBサイト成分とから構成される。第2成分及び第3成分は半導体化に寄与する金属酸化物であり、第4成分は主に焼結性の改善のために添加されるものである。
【0047】
バリスタとしての電気的特性は、主にバリスタ電圧E10の温度特性及び非直線係数αで表わされる。バリスタ電圧E10はバリスタに10mAの電流が流れる際の印加電圧値を表しており、非直線係数αは一般にα=1/log(E10/E)で表わされる。ただし、Eはバリスタに1mAの電流が流れる際の印加電圧値である。
【0048】
Aサイト成分であるSr、Ba及びCaのモル比を、第1の領域に存在するように、より好ましくは、第2の領域に存在するように、さらに好ましくは第3の領域に存在するように設定することによって、バリスタ電圧E10の制御性、E10温度特性及び非直線係数α等の電気的特性を向上させかつバリスタの強度及び耐サーマルショック性を高めることができる。即ち、Srが多すぎるとE10温度特性が負となってしまい、少なすぎると強度が低下してしまう。また、Baが多すぎるとE10温度特性の正となる傾向が強くなりすぎてしまい、少なすぎるとE10温度特性が負となってしまう。さらに、Caが多すぎても少なすぎてもバリスタ電圧E10に対する非直線係数αが小さくなってしまう。加えて、Caが多すぎるとバリスタ電圧E10が極端に大きくなって制御が困難となり、また、再酸化で素地が絶縁化してしまうためである。
【0049】
主成分(TiO)に対する半導体化剤(第2及び/又は第3成分)のモル%(金属イオンモル数で計算)が0.75以上かつ10.0以下となるように、より好ましくは0.75以上かつ4.0以下となるように、設定することによって、バリスタの強度及び耐サーマルショック性を高めることができる。即ち、半導体化剤が多すぎても少なすぎても強度が低下し、サーマルクラックが発生し易くなってしまうためである。
【0050】
トータルA/Bが、0.84以上かつ1.16以下となるように、より好ましくは0.96以上かつ1.01以下となるように、設定することによって、後述するように第4成分(SiO)の量を減らした場合にも焼結性を改善することができる。即ち、トータルA/Bが大きすぎても小さすぎても焼結が阻害され、再酸素化で素地が絶縁化してしまうためである。また、トータルA/Bが大きすぎても小さすぎても強度が低下し、サーマルクラックが発生し易くなってしまうためでもある。SiOの量が少なくかつ半導体化剤が上述したように多く添加される領域においては、耐サーマルクラック性を維持するために、トータルA/Bの上限を1.16以下、より好ましくは1.01以下に制御することが不可欠となる。
【0051】
主成分(TiO)に対する第4成分(SiO)のモル%が0.6以下となるように、より好ましくは0.3以下となるように、設定することによって、バリスタの強度及び耐サーマルショック性を大幅に高めることができる。即ち、SiOは焼結助剤として添加され、これが含まれると組成が変動しても安定に焼成することができるが、その量が増えると、サーマルクラックが発生し易くなるためである。なお、SiOの含有量(モル%)が0.6以下又は0.3以下とは、添加量0の場合も含んでいる。
【0052】
バリスタ磁器10が、Li、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からなる付加添加物をさらに含有していてもよい。その含有量は、Li、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、MnO、CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、ScO3/2、FeO3/2、GaO3/2、InO3/2、MoO、WOに換算したモル数であるとすると、0<h/d×100≦1.000であることが好ましい。これにより、非直線係数αが向上する等の効果がある。
【0053】
なお、バリスタ磁器10中には、このような添加物の他に不可避的不純物として他の元素、例えばP、S、K、Al、Zr等が含まれていてもよい。このような元素は、通常、酸化物として存在する。
【0054】
前述したように、バリスタ磁器10はペロブスカイト型結晶から構成される多結晶体である。各成分は、一部は結晶粒に固溶してペロブスカイト型結晶に入っており、また、一部は結晶粒界に酸化物又は複合酸化物として存在している。例えば、Ba、Ca、Sr、Ti、Nb、Ta、Y、ランタノイド等は結晶粒内に多く存在しており、Mo、W、Mn、Si、Co等は結晶粒界に多く存在している。
【0055】
バリスタ磁器10の平均結晶粒径は、通常、0.5〜10μm、特に1〜6μm程度である。
【0056】
次にこのバリスタ磁器10の製造方法について説明する。
【0057】
バリスタ磁器10は、原料粉末を、混合、仮焼、粉砕、成型、脱バインダ、還元焼成、再酸化の順に処理することにより得られる。
【0058】
原料粉末には、通常、磁器の構成元素それぞれの化合物の粉末を用いる。原料粉末は、酸化物又は焼成によって酸化物となる化合物、例えば、炭酸塩、水酸化物等を用いることができる。例えば、Baについて例をあげると、その原料としては、BaCO、BaSiO、BaO、BaCl、Ba(OH)、Ba(NO、アルコキシド(例えば(CHO)Ba)等のバリウム化合物の少なくとも1種を用いることができる。原料粉末の平均粒径は、通常、0.2〜5μm程度とする。
【0059】
まず、原料粉末を、最終組成が前述した組成となるように秤量し、通常、湿式混合する。次いで、脱水処理した後、乾燥し、1080〜1250℃程度で2〜4時間程度仮焼成する。次いで、仮焼成物を粉砕した後、有機バインダを加え、さらに水、pH調整剤、保湿剤等を加えて混合する。次いで、混合物を成型し、脱バインダ処理した後、還元雰囲気中で1250〜1400℃程度で2〜4時間程度焼成して半導体磁器を得る。
【0060】
なお、Nb、Ta、Y、ランタノイド、Mo、W、Mn、Si、Co等の各原料粉末については、仮焼成後の混合の際に添加してもよい。
【0061】
このようにして得られた半導体磁器に対し、目的に応じた適当なバリスタ電圧が得られるように、空気等の酸化性雰囲気中において熱処理(再酸化処理)を施す。この再酸化処理の昇降温速度は、通常、100℃/h〜600℃/h程度で行われる。また、この再酸化処理の温度は、850℃以上かつ1050℃以下であることが好ましく、900℃以上かつ1000℃以下であることがより好ましい。また、その時間は、32時間以下であることが好ましく、0.25時間以上かつ16時間以下であることがより好ましい。さらに、その酸素分圧は、0.1気圧以上であることが好ましい。
【0062】
この再酸化処理により、表層部分に絶縁層10bが形成される。バリスタ特性は、この絶縁層の存在により発現する。この絶縁層が厚いと非直線係数α及びバリスタ電圧が大きくなり、薄いと非直線係数α及びバリスタ電圧が小さくなるので、製品として要求される特性に応じ、絶縁層が適当な厚さとなるように処理条件が選択される。
【0063】
本発明では、この再酸化処理することによって、X線応力定数を−100MPa/度としたときに、15MPa以上であることが好ましく、25MPa以上であることがより好ましく、40MPa以上であることがさらに好ましい圧縮応力をバリスタ磁器表面に生じるようにしているのである。
【0064】
このように磁器表面に圧縮応力を持たせることにより、半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラックが生じない高い耐サーマルショック性を得ることができる。
【0065】
再酸化処理後、バリスタ磁器の一方の表面にCu又はCuを主成分とする材料で電極11を形成し、バリスタとする。
【0066】
以上述べた実施形態においては、バリスタ磁器の一方の表面に電極を設けているが、バリスタ磁器の両面又は側面に電極を設けることもある。
【0067】
【実施例】
以下、具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0068】
実施例1
この実施例1は、半導体化剤のモル%及び種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、Aサイト成分のモル比を変えた試料による比較である。
【0069】
まず、原料としてSrCO、BaCO、CaCO、TiO、NbO5/2、SiOを、表1に示す組成となるようにそれぞれ換算して秤量し、配合した後、湿式メディアミルを用いて10〜20時間混合し、脱水、乾燥した。
【0070】
得られた混合物を1150℃で仮焼成した後、粗粉砕し、再度、湿式メディアミルにより10〜20時間混合した後、脱水、乾燥した。次いで、混合物に対し1.0〜1.5重量%のポリビニルアルコールを有機バインダとして混合して造粒し、成型圧力2t/cmで成型して、外径12mm、内径9mm、厚さ1.0mmの成型体を作製した。
【0071】
この成型体を600℃程度の空気雰囲気中で脱バインダ処理した後、N(95容積%)+H(5容積%)の還元雰囲気中において、約1350℃で2時間の焼成を行い、半導体磁器を得た。次いで、半導体磁器を空気中、950℃で2時間の再酸化処理を行い、バリスタ磁器を得た。
【0072】
次いで、図1に示すように、バリスタ磁器10の一方の表面にCuペーストを塗布し、中性雰囲気下、750℃で焼き付けることによって同図に示すごとき3極のCu電極11を形成し、測定用のバリスタ試料とした。
【0073】
次いで、各試料の20℃におけるE及びE10を測定すると共に、測定したE及びE10を用いて、α=1/log(E10/E)から非直線係数αを求めた。さらに、バリスタ電圧E10の温度特性(温度係数)をも求めた。さらにまた、各試料のサーマルクラック試験を行うと共に試料表面の残留圧縮応力を測定した。
【0074】
及びE10の測定は、図3に示す測定回路を用いて測定した。この測定回路では、電流計30がバリスタ31と直流定電流源32との間に直列に接続され、電圧計33がバリスタ31に並列に接続されている。E及びE10は、バリスタ31にそれぞれ1mA及び10mAの電流が流れたときのバリスタ31の両端子間の電圧値を電流計30及び電圧計33を用いて測定した。
【0075】
バリスタ電圧E10の温度特性(温度係数)ΔE10Tは、各試料について、ΔE10T={E10(85)−E10(20)}/{E10(20)×(85−20)}×100 [%/℃]から求めた。なお、E10(20)及びE10(85)は、それぞれ20℃及び85℃の温度におけるバリスタ電圧E10である。これらは恒温槽を用いて測定した。
【0076】
サーマルクラック試験は、室温に放置した試料の電極面にあらかじめ温度を設定した半田コテを共晶半田を供給しながら3秒間接触させて行った。半田コテの温度としては、360℃、400℃及び450℃の3つの温度を用いた。試料の数は100個とし、クラック発生の有無をアルコールを用いて目視で判別した。
【0077】
試料表面の残留圧縮応力は、X線回折による応力測定法を用いて測定した。試料の主相であるペロブスカイト構造は立方晶系に属するので、磁器表面のX線回折により、面に垂直な方向のペロブスカイトの面間隔と面に平行な方向のペロブスカイトの面間隔との比から面方向に発生している表面応力を見積もることができる。ここでは、Cr管球を用いた平行ビームで側傾法により応力測定を行った。また、測定時には、2度の揺動を加えた。測定に用いた回折線は、134度近傍の(310)である。
【0078】
このようなX線回折による応力測定法は公知であり、例えば、カリティ著、松村源太郎訳、「新版X線回折要論」、アグネ株式会社、第412頁〜第442頁、1980年6月、及び「X線回折ハンドブック」、理学電機株式会社、第103頁〜第105頁、2000年2月に詳しく記載されている。
【0079】
本実施例において表面の残留応力を見積もる際に用いた式は、
【0080】
【数1】
Figure 0003956676
である。ただし、σは残留応力(MPa)、Eはヤング率(MPa)、νはポアソン比、θは標準ブラッグ角(度)(ここでは、θ=134(度)/2)、ψは試料面法線と測定法線とのなす角度(度)、2θは回折角度(度)、Kは材料及び回折角度によって決まる応力定数(MPa/度)である。
【0081】
残留応力の見積もりは、試料面法線及び測定法線のなす角度ψから求まるsinψに対する測定された回折角度2θの関係から、その勾配を最小自乗法で求め、応力定数Kを乗算することによって求められる。
【0082】
本実施例では、応力定数K=−100MPa/度としている。これは、上述した式からも明らかなように、応力の値はKの値によっていかように設定できるので、測定結果の最小自乗法から求められる勾配の値をそのまま利用できるようにするためである。即ち、応力定数Kの絶対値が重要なのではなく、どの程度の勾配、換言すればペロブスカイト相の立方晶からの変形の程度を表す指標が与えられれば十分なためである。
【0083】
実施例1における結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003956676
【0085】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、f/d×100=3.00、g/d×100=0.2、(a+b+c)/(d+f)=0.98と一定にした場合である。
【0086】
Aサイト成分のモル比は、バリスタの電気的特性、特にバリスタ電圧E10の温度特性に大きな影響を与える。
【0087】
試料24及び25(Aサイト成分のモル比がa/(a+b+c)=0.00、b/(a+b+c)=0.20、c/(a+b+c)=0.80、及びa/(a+b+c)=0.00、b/(a+b+c)=0.00、c/(a+b+c)=1.00)を除いた他の試料1〜23及び26〜32においては、半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料1〜23及び26〜32の組成領域における残留圧縮応力は、いずれも15MPa以上の値であった。
【0088】
従って、試料1〜23及び26〜32の組成領域である第1の領域、即ちa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、試料28に対応する(0.2,0.0,0.8)の点と試料23に対応する(0.0,0.4,0.6)の点とを結ぶ線分上又はこの線分よりa/(a+b+c)及びb/(a+b+c)が大きい領域が本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項5及び22に規定したAサイトモル比に対応する。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0089】
試料20〜25、27及び28を除いた他の試料1〜19、26及び29〜32においては、半田コテ温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料1〜19、26及び29〜32の組成領域における残留圧縮応力は、いずれも25MPa以上の値であった。
【0090】
従って、試料1〜19、26及び29〜32の組成領域である第2の領域、即ちa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、試料27に対応する(0.5,0.0,0.5)の点と試料32に対応する(0.2,0.2,0.6)の点とを結ぶ第1の線分、この(0.2,0.2,0.6)の点と試料8に対応する(0.1,0.4,0.5)の点とを結ぶ第2の線分、この(0.1,0.4,0.5)の点と試料9に対応する(0.1,0.5,0.4)の点とを結ぶ第3の線分及びこの(0.1,0.5,0.4)の点と試料19に対応する(0.2,0.8,0.0)の点とを結ぶ第4の線分上又はこれら第1〜第4線分よりa/(a+b+c)が大きい領域(ただし試料27に対応する(0.5,0.0,0.5)の点を含まない)が本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項6及び23に規定したAサイトモル比に対応する。また、残留圧縮応力が25MPa以上であれば半田コテ温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項3及び15に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0091】
試料8〜10、16〜28、30及び32を除いた他の試料1〜7、11〜15、29及び31においては、半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料1〜7、11〜15、29及び31の組成領域における残留圧縮応力は、いずれも40MPa以上の値であった。
【0092】
従って、試料1〜7、11〜15、29及び31の組成領域である第3の領域、即ちa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、図2に示すa/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の三線座標上において、試料31に対応する(0.4,0.2,0.4)の点と試料11に対応する(0.2,0.4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、この(0.2,0.4,0.4)の点と試料12に対応する(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、この(0.2,0.5,0.3)の点と試料13に対応する(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、この(0.3,0.5,0.2)の点と試料29に対応する(0.6,0.2,0.2)の点とを結ぶ第8の線分及びこの(0.6,0.2,0.2)の点と試料31に対応する(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又はこれら第5〜第9の線分で囲まれる領域が本発明のさらに好ましい範囲といえる。これは、請求項7及び24に規定したAサイトモル比に対応する。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲もさらに本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0093】
実施例2
この実施例2は、半導体化剤の量を変えた試料による比較である。
【0094】
Aサイトモル比、半導体化剤の種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、半導体化剤のモル%を表2に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
Figure 0003956676
【0096】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、g/d×100=0.2、(a+b+c)/(d+f)=0.98と一定にし、f/d×100を変化させた場合である。
【0097】
半導体化剤の量は、バリスタ磁器の耐サーマルクラック性に影響を与える。半導体化剤がそれぞれ少なすぎる及び多すぎる試料33及び39を除いた他の試料4及び34〜38においては、半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び34〜38の範囲における残留圧縮応力は、いずれも24MPa以上の値であった。
【0098】
従って、試料4及び34〜38のf/d×100=0.75〜10.00モル%が本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項5及び22に規定した半導体化剤量に対応する。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0099】
試料33、38及び39を除いた他の試料4及び34〜37においては、半田コテ温度が400℃及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び34〜37の範囲における残留圧縮応力は、いずれも40MPa以上の値であった。
【0100】
従って、試料4及び34〜37のf/d×100=0.75〜4.00モル%が本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項9及び26に規定した半導体化剤量に対応する。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が400℃及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0101】
実施例3
この実施例3は、半導体化剤の種類を変えた試料による比較である。
【0102】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、半導体化剤の種類を表3に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
Figure 0003956676
【0104】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、YO3/2、LaO3/2、CeO、PrO11/6、NdO3/2、SmO3/2、EuO3/2、GdO3/2、TbO7/4、DyO3/2、HoO3/2、ErO3/2、TmO3/2、YbO3/2、LuO3/2又はNbO5/2+YO3/2(等モル数)をeモル、TaO5/2、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、(e+f)/d×100=3.00、g/d×100=0.2、(a+b+c+e)/(d+f)=0.98と一定にしている。
【0105】
試料4及び40〜56のいずれも半田コテ温度が360℃の試験及び400℃の試験においてサーマルクラックが発生しないため、半導体化剤としてNbO5/2、TaO5/2、YO3/2、LaO3/2、CeO、PrO11/6、NdO3/2、SmO3/2、EuO3/2、GdO3/2、TbO7/4、DyO3/2、HoO3/2、ErO3/2、TmO3/2、YbO3/2、LuO3/2又はNbO5/2+YO3/2(等モル数)を用いることは本発明の好ましい範囲である。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び40〜56における残留圧縮応力は、いずれも37MPa以上の値であった。
【0106】
実施例4
この実施例4は、トータルA/Bを変えた試料による比較である。
【0107】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、トータルA/Bを表4に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表4に示す。
【0108】
【表4】
Figure 0003956676
【0109】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、g/d×100=0.2と一定にし、(a+b+c)/(d+f)を変化させた場合である。
【0110】
試料57及び63を除いた他の試料4及び58〜62においては、半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び58〜62の範囲における残留圧縮応力は、いずれも21MPaを超える値であった。
【0111】
従って、試料4及び58〜62の(a+b+c)/(d+f)=0.84〜1.16が本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項5及び22に規定したトータルA/Bに対応する。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0112】
試料57、58、62及び63を除いた他の試料4及び59〜61においては、半田コテ温度が400℃及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び59〜61の範囲における残留圧縮応力は、いずれも40MPaを超える値であった。
【0113】
従って、試料4及び59〜61の(a+b+c)/(d+f)=0.96〜1.01が本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項8及び25に規定したトータルA/Bに対応する。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が400℃及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0114】
表4から分かるように、SiOの量が少なくかつ半導体化剤が多く添加される領域においては、耐サーマルクラック性を維持するために、トータルA/Bの特に上限を制御することが不可欠となる。トータルA/Bが1.16を越えると360℃でサーマルクラックが発生するようになり、トータルA/Bが1.01を越えると400℃でサーマルクラックが発生するようになる。
【0115】
実施例5
この実施例5は、SiOのモル%を変えた試料による比較である。
【0116】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類並びにトータルA/B等の他のパラメータを一定にし、SiOのモル%を表5に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについて、サーマルクラック試験の温度以外は実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表5に示す。
【0117】
【表5】
Figure 0003956676
【0118】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+f)=0.98と一定にし、g/d×100を変化させた場合である。
【0119】
SiOは焼結助剤として添加され、これが含まれると組成が変動しても安定に焼成することができるが、その量が増えると、サーマルクラックが発生し易くなる。
【0120】
試料68及び69は、SiOが多すぎるため、半田コテ温度が360℃の試験でもサーマルクラックが発生するため、好ましくない。従って、半田コテ温度が360℃の試験及び400℃の試験においてもサーマルクラックが発生しない試料4及び64〜67が本発明の好ましい範囲である。これは、請求項5及び22に規定したSiOのモル%に対応する。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料4及び64〜67の範囲における残留圧縮応力は、いずれも32MPa以上の値であった。なお、試料64は、SiOの添加量が0の場合であるが、実際には、各原料に不純物としてSiOが含まれているため、試料64のSiO含有量は0とはならない。
【0121】
試料67は半田コテ温度が450℃の試験においてサーマルクラックが発生するため、半田コテ温度が450℃の試験においてもサーマルクラックが発生しない試料4及び64〜66が本発明のより好ましい範囲となる。これは、請求項10及び27に規定したSiOのモル%に対応する。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。なお、試料4の周辺のSiOのモル%が本発明の最も好ましい範囲である。
【0122】
実施例6
この実施例6は、付加添加物の種類及び量を変えた試料による比較である。
【0123】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、付加添加物の種類及び量を表6に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表6に示す。
【0124】
【表6】
Figure 0003956676
【0125】
組成の表記は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモル、付加添加物をhモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d×100=0.20と一定にし、h/d×100を変えた場合である。
【0126】
付加添加物はバリスタ電圧E10及び非直線係数α等の電気的特性を調整する作用がある。Mnはバリスタ電圧E10及び非直線係数αを大きくし、Coはバリスタ電圧E10を大きくする。また、MoやWは非直線係数αを大きくする作用が認められる。表6には示されていないが、その他のLi、Na、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga及びInにも同様の作用が認められる。
【0127】
試料74及び78は、添加量が多すぎたため、焼結性が阻害され再酸化処理で磁器が絶縁化している。これら試料74及び78を除いた他の試料70〜73、75〜77及び79〜80においては、半田コテ温度が360℃の試験及び400℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料70〜73、75〜77及び79〜80の範囲における残留圧縮応力は、いずれも29MPa以上の値であった。
【0128】
従って主成分に対するモル%が0より大きく1.00以下である試料70〜73、75〜77及び79〜80が本発明の好ましい範囲である。これは、請求項11及び28に規定した付加添加物の種類及びモル%に含まれている。
【0129】
実施例7
この実施例7は、再酸化処理の条件のうち温度を変えた試料による比較である。
【0130】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、再酸化処理条件を表7に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表7に示す。
【0131】
【表7】
Figure 0003956676
【0132】
各試料の組成は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d×100=0.20と一定にしている。
【0133】
再酸化処理時間は2時間一定、処理雰囲気は大気中(酸素分圧が0.2気圧)として試料を作製した。
【0134】
再酸化処理温度の増加と共にバリスタ電圧E10が広範囲に変化した。
【0135】
試料81、82、87及び88を除いたその他の試料4及び83〜86においては、半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも20MPa以上の値であった。
【0136】
従って再酸化処理温度が850℃〜1050℃である試料4及び83〜86が本発明の好ましい範囲である。これは、請求項17に対応している。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0137】
さらに、試料4、84及び85においては、半田コテ温度が400℃の試験及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも40MPa以上の値であった。
【0138】
従って再酸化処理温度が900℃〜1000℃である試料4、84及び85が本発明のより好ましい範囲である。これは、請求項18に対応している。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0139】
このように組成を変えずに再酸化処理温度を変えることによってバリスタ電圧値を制御すれば、大きな表面残留圧縮応力を維持したまま広範囲のバリスタ電圧値及び十分な非直線係数αを確保することができる。その結果、大きな表面残留圧縮応力による高強度及び高耐熱性を維持しながら、同じ組成で広範囲のバリスタ電圧及び実用的なαが得られるため、多種の材料を用意する必要がなくなり、材料管理が容易になる。
【0140】
実施例8
この実施例8は、再酸化処理の条件のうち時間を変えた試料による比較である。
【0141】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、再酸化処理条件を表8に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表8に示す。
【0142】
【表8】
Figure 0003956676
【0143】
各試料の組成は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d×100=0.20と一定にしている。
【0144】
再酸化処理温度は950℃一定、処理雰囲気は大気中(酸素分圧が0.2気圧)として試料を作製した。
【0145】
再酸化処理時間の増加と共にバリスタ電圧E10が単調増加した。再酸化処理時間が32時間を越えると残留圧縮応力が急激に低下した。この試料97を除いたその他の試料4及び89〜96においては、半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも24MPa以上の値であった。
【0146】
従って再酸化処理時間が32時以下である試料4及び89〜96が本発明の好ましい範囲である。これは、請求項19に対応している。また、残留圧縮応力が15MPa以上であれば半田コテ温度が360℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項2及び14に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0147】
さらに、試料4及び90〜95においては、半田コテ温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも38MPa以上の値であった。
【0148】
従って再酸化処理時間が0.25時間〜16時間である試料4及び90〜95が本発明のより好ましい範囲である。これは、請求項20に対応している。また、残留圧縮応力が25MPa以上であれば半田コテ温度が400℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項3及び15に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0149】
さらにまた、試料4及び91〜94においては、半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも41MPa以上の値であった。
【0150】
従って再酸化処理時間が0.5時間〜8時間である試料4及び91〜94がさらに好ましい。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が450℃の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明のより好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0151】
実施例9
この実施例9は、再酸化処理の条件のうち酸素分圧を変えた試料による比較である。
【0152】
Aサイトモル比、半導体化剤のモル%及び種類、トータルA/B並びにSiOのモル%等の他のパラメータを一定にし、再酸化処理条件を表9に示されるものとしたこと以外は実施例1の場合と同様にして試料を作製し、これらについても実施例1の場合と同様な測定を行った。ただし、バリスタ電圧E10の温度特性は測定していない。結果を表9に示す。
【0153】
【表9】
Figure 0003956676
【0154】
各試料の組成は、SrOをaモル、BaOをbモル、CaOをcモル、TiOをdモル、NbO5/2をfモル、SiOをgモルと表し、a/(a+b+c)=0.35、b/(a+b+c)=0.35、c/(a+b+c)=0.30、f/d×100=3.00、(a+b+c)/(d+f)=0.98、g/d×100=0.20と一定にしている。
【0155】
再酸化処理における温度は950℃一定、時間は2時間一定とし、酸素分圧を変えて試料を作製した。
【0156】
試料98及び99ではαが小さく残留圧縮応力も小さい。これら試料を除いたその他の試料4及び100〜102においては、半田コテ温度が360℃の試験、400℃の試験及び450℃の試験でサーマルクラックが発生しなかった。このとき、サーマルクラックの発生しなかった試料の範囲における残留圧縮応力は、いずれも40MPaを越えた値であった。
【0157】
従って再酸化処理における酸素分圧が0.10気圧以上である試料4及び100〜102が本発明の好ましい範囲である。これは、請求項21に対応している。また、残留圧縮応力が40MPa以上であれば半田コテ温度が360℃、400℃の試験及び450℃の試験の試験でサーマルクラックが発生しないので、この範囲も本発明の好ましい範囲といえる。これは、請求項4及び16に規定した残留圧縮応力に対応する。
【0158】
以上の各表から、各成分の組成及び含有量並びに再酸化処理条件が本発明の範囲内であれば、上述した好ましい範囲内の残留圧縮応力が得られ、高い撓み強度を有しかつ耐サーマルショック性に優れたバリスタ磁器及びその製造方法を提供することができる。
【0159】
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0160】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、磁器表面に大きな圧縮応力が存在することにより、半田付けの際の撓み強度が改善されると共に、半田付け時の局所的な温度上昇においてもクラックが生じない高い耐サーマルショック性を得ることができる。即ち、半田付け時は、局所的な加熱によって局所的な膨張が生じ、これが磁器表面にクラックを発生させるような引張り応力となる。この引張り応力と平衡がとれるような圧縮応力をバリスタ磁器表面にあらかじめ導入しておけば局所的なサーマルショックに強いバリスタ磁器を得ることができるのである。また、バリスタ磁器表面に残留圧縮応力が存在すると、撓み強度が増大する。これは強化ガラスの場合と同じ原理である。
【0161】
また、還元焼成処理及び再酸化処理によって磁器表面に大きな圧縮応力を生じさせることにより、半田付けの際の撓み強度が改善され、かつ高い耐サーマルショック性を得ることができる。還元焼成処理と再酸化処理との組み合わせによる耐サーマルショック性及び残留圧縮応力の発生は、還元焼成処理における酸素欠陥の量と、再酸化処理における酸素欠陥の酸素による補填との関係から類推できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、リングバリスタの構造を示す平面図及びそのA−A線断面図である。
【図2】Aサイトモル比の好ましい領域を示す特性図である。
【図3】E及びE10の測定回路を示す回路図である。
【符号の説明】
10 バリスタ磁器
10a 半導体部分
10b 絶縁層
11 電極
30 電流計
31 バリスタ
32 直流定電流源
33 電圧計

Claims (4)

  1. 還元焼成処理によって得られたSr、Ba及びCa並びにTiの酸化物からなる第1成分と、Nbの酸化物からなる第3成分と、Siの酸化物からなる第4成分とを含有しており、a/(a+b+c)、b/(a+b+c)及びc/(a+b+c)の値が、その三線座標上において、(0.4,0.2,0.4)の点と(0.2,0.4,0.4)の点とを結ぶ第5の線分、(0.2,0.4,0.4)の点と(0.2,0.5,0.3)の点とを結ぶ第6の線分、(0.2,0.5,0.3)の点と(0.3,0.5,0.2)の点とを結ぶ第7の線分、(0.3,0.5,0.2)の点と(0.6,0.2,0.2)の点とを結ぶ第8の線分及び(0.6,0.2,0.2)の点と(0.4,0.2,0.4)の点とを結ぶ第9の線分上又は該第5〜第9の線分で囲まれる領域にあり、0.96≦(a+b+c)/(d+f)≦1.01、0.75≦f/d×100≦.0、g/d×100≦0.(ただし、aは第1成分のSrをSrOに換算したモル数、bは第1成分のBaをBaOに換算したモル数、cは第1成分のCaをCaOに換算したモル数、dは第1成分のTiをTiOに換算したモル数、fは第3成分のNbをNbO5/ に換算したモル数、gは第4成分のSiをSiOに換算したモル数である)である磁器を、酸素分圧が0.1気圧以上であり、温度が900℃以上かつ1000℃以下であり、時間が0.5時間以上かつ8時間以下である条件で再酸化処理することによって表面に圧縮応力を生ぜせしめることを特徴とする電圧依存性非直線抵抗体磁器の製造方法。
  2. 原料粉末を所定組成となるように秤量して混合し、仮焼成した後、粉砕して成型し、該成型体を還元焼成し、再酸化することを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  3. 前記還元焼成処理及び再酸化処理が、X線応力定数を−100MPa/度としたときに、40MPa以上の圧縮応力を発生させるものであることを特徴とする請求項又はに記載の製造方法。
  4. 前記磁器が、Li、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo及びWの酸化物から選択される少なくとも1種からなる第5成分をさらに含有しており、0<h/d×100≦1.000(ただし、hは第5成分のLi、Na、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Fe、Ga、In、Mo、WをLiO1/2、NaO1/2、MnO、CoO4/3、NiO、CuO、ZnO、ScO3/2、FeO3/2、GaO3/2、InO3/2、MoO、WOに換算したモル数である)であることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の製造方法。
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