JP2000264726A - 半導体磁器 - Google Patents

半導体磁器

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JP2000264726A
JP2000264726A JP11076949A JP7694999A JP2000264726A JP 2000264726 A JP2000264726 A JP 2000264726A JP 11076949 A JP11076949 A JP 11076949A JP 7694999 A JP7694999 A JP 7694999A JP 2000264726 A JP2000264726 A JP 2000264726A
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JP
Japan
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semiconductor porcelain
temperature
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semiconductor
metal element
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JP11076949A
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English (en)
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Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Minoru Ogasawara
稔 小笠原
Chihiro Takahashi
千尋 高橋
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比抵抗が低く、かつ耐電圧性能が高く、しか
も、低温で電圧のON−OFFを繰り返したときに抵抗
値変化が少ないBaTiO3系半導体磁器を提供する。 【解決手段】 一般式ABO3で表されるペロブスカイ
ト型結晶を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素と
して少なくともBaを、Bサイトに入る金属元素として
少なくともTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を
含有し、抵抗値が正の温度係数を示す半導体磁器であっ
て、結晶粒内にドメインが観察される半導体磁器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTCR特性を有
し、TVブラウン管の消磁素子等に利用される半導体磁
器、詳しくはBaTiO3系の正特性半導体磁器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】BaTiO3に、SrO、PbO、Ca
Oなどの温度特性調整のための置換成分と、Y23など
の半導体化剤とを添加し、さらに、焼結助剤SiO2
抵抗温度係数改善剤MnOなどを加えた組成物を焼成し
て得られるBaTiO3系半導体磁器は、正の温度係数
をもつ抵抗体、いわゆるPTCサーミスタとして、TV
ブラウン管の消磁素子、過電流制限素子、発熱素子、交
流モータの起動抵抗素子、温度センサ等に一般的に広く
用いられている。
【0003】このような用途では、直流、交流の電圧を
半導体磁器に直接印加するため、圧電磁器には絶縁破壊
電圧の高いことが要求される。しかし、最近、PTCサ
ーミスタ素子に対し小型化、低抵抗化が要求されてお
り、そのため、素子を薄くする設計が主流である。しか
し、半導体磁器を薄くすると、絶縁破壊電圧が低くなっ
てしまう。したがって、耐電圧性能の良好な半導体磁器
が必要とされる。また、半導体磁器は比抵抗が低いこと
が好ましいが、比抵抗が低くなると絶縁破壊電圧も下が
ってしまうので、比抵抗が低く、しかも耐電圧性能が良
好であることが要求される。
【0004】また、最近、信頼性を向上させるために、
低温時に電圧のON−OFFを繰り返したときの抵抗値
変化を抑えること、すなわち低温ON−OFF特性の向
上が要求されるようになってきている。また、従来のB
aTiO3系半導体磁器では、低温でのON−OFFの
繰り返しにより層状割れが生じやすく、層状割れにより
抵抗値が大きく変化してしまうという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比抵
抗が低く、かつ耐電圧性能が高く、しかも、低温で電圧
のON−OFFを繰り返したときに抵抗値変化が少ない
BaTiO3系半導体磁器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(3)で特定される事項によって達成される。 (1) 一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結
晶を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素として少
なくともBaを、Bサイトに入る金属元素として少なく
ともTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を含有
し、抵抗値が正の温度係数を示す半導体磁器であって、
結晶粒内にドメインが観察される半導体磁器。 (2) 透過型電子顕微鏡により観察したとき、結晶粒
内に欠陥および転位が実質的に認められない上記(1)
の半導体磁器。 (3) Aサイトに入る金属元素(前記半導体化剤を含
む)のモル比をA、Bサイトに入る金属元素のモル比を
Bとしたとき、 A/B=0.980〜1.000 である上記(1)または(2)の半導体磁器。
【0007】
【発明の実施の形態】半導体磁器 本発明の半導体磁器は、一般式ABO3で表されるペロ
ブスカイト型結晶を有し、ABO3のAサイトに入る金
属元素として少なくともBaを、Bサイトに入る金属元
素として少なくともTiをそれぞれ含み、さらに、半導
体化剤を含有し、抵抗値が正の温度係数を示すものであ
る。
【0008】本発明の半導体磁器では、透過型電子顕微
鏡による観察において、例えば図4に示すように、結晶
粒内にドメインが認められる。結晶粒内にドメインが認
められるBaTiO3系半導体磁器は、耐電圧性能が良
好であり、また、低温ON−OFF特性および抗折強度
も良好である。
【0009】本発明の半導体磁器では、透過型電子顕微
鏡により観察したとき、結晶粒内に欠陥および転位が実
質的に認められない。ドメインが認められ、かつ、欠陥
が認められないBaTiO3系半導体磁器は、耐電圧性
能が極めて良好であり、また、低温ON−OFF特性お
よび抗折強度も極めて良好である。
【0010】ドメインが確認でき、好ましくは欠陥が認
められない半導体磁器は、結晶粒内における元素濃度勾
配、特にAサイト元素の濃度勾配が小さくなる。
【0011】本発明の半導体磁器の組成は特に限定され
ず、一般的なBaTiO3系半導体磁器であれば本発明
の効果は実現するが、Aサイトに入る金属元素(前記半
導体化剤を含む)のモル比をA、Bサイトに入る金属元
素のモル比をBとしたとき、A/B<1であるBaTi
3系半導体磁器では、本発明による効果が特に高くな
る。一般的なBaTiO3系半導体磁器としては、例え
ば以下のようなものが挙げられる。
【0012】Aサイトに入る元素としてBaだけを用い
てもよいが、このほか、例えばCa、SrおよびPbの
少なくとも1種を用いてもよい。Bサイトに入る元素と
しては、Tiを用いる。半導体化剤は、通常、希土類元
素(Yを含む)、Nb、Sb、Bi等から選択すればよ
い。このほか、上述したように、焼結助剤SiO2や抵
抗温度係数改善剤MnOが含まれる。また、A/Bは、
好ましくは0.98〜1.00、より好ましくは0.9
8〜0.998である。
【0013】本発明は、以下に説明する組成の半導体磁
器において、特に効果的である。
【0014】本発明が好ましく適用される半導体磁器
は、主成分として、少なくともBa、CaおよびTiを
含み、必要に応じてさらにPbおよびSrの少なくとも
1種を含む酸化物と、半導体化剤であるR(Rは希土類
元素およびNbから選択された少なくとも1種の元素)
の酸化物とを含有し、副成分としてSiO2とMn酸化
物とを含有し、ペロブスカイト相を有し、抵抗値が正の
温度係数を示す。
【0015】上記酸化物中において、Tiに対するB
a、PbおよびSrのモル百分率は、 60≦Ba≦80、 0≦Pb≦1、 0≦Sr≦30 である。Baの比率が上記範囲を外れると、半導体磁器
に要求される範囲内にキュリー点を収めることが難しく
なる。Pbの比率が高すぎると、製造上の制限が大きく
なり、また、地球環境に及ぼす悪影響も大きくなる。S
rの比率が上記範囲を外れると、半導体磁器に要求され
る範囲内にキュリー点を収めることが難しくなる。な
お、Pbのモル百分率の好ましい範囲は、 0.5≦Pb≦0.9 である。Pbを0.5モル%以上とすることにより、高
い耐電圧が得られる。一方、Pbを0.9モル%以下と
することにより、製造上の制限がより緩和される。
【0016】Tiに対するCaのモル百分率は、 10≦Ca≦25 であり、好ましくは 15≦Ca≦20モル% である。また、Tiに対するRの比率は、0.1モル%
以上0.2モル%未満、好ましくは0.1〜0.18モ
ル%である。本発明では、Caの比率を上記範囲内と
し、かつ、Rの比率を上記範囲内に制御することによ
り、低温ON−OFF特性が良好となる。すなわち、低
温で電圧ON−OFFを繰り返したときの抵抗値変化が
小さくなる。これに対し、Caの比率およびRの比率の
少なくとも一方が上記範囲を外れると、低温ON−OF
F特性が悪くなる。また、Rの比率が上記範囲を外れる
と、比抵抗が高くなってしまう。なお、Rのモル百分率
は、金属元素としての値であり、例えばRを0.1モル
%含有する場合、R23としては0.05モル%含有す
ることになる。
【0017】半導体化剤に用いるRは、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびNbから選択
し、好ましくはY、Er、DyおよびHoから選択す
る。
【0018】Ba+Pb+Sr+Ca+Rの含有量をA
とし、Tiの含有量をBとしたとき、 A/B=0.985〜0.998(モル比) である。また、半導体磁器全体に対するSiO2の比率
は、0.1〜0.8重量%である。A/BおよびSiO
2の比率の少なくとも一方が上記範囲を外れると、低温
ON−OFF特性が悪くなってしまう。また、A/Bが
小さすぎると比抵抗が高くなり、A/Bが大きすぎると
抗折強度が低下する。また、SiO2が少なすぎると焼
結しにくくなる。一方、SiO2が多すぎると、焼成時
に生じる液相成分の量が多くなって、焼結体同士や焼結
体と炉材との反応による接着が生じやすくなり、また、
抗折強度も低くなりやすい。
【0019】半導体磁器中のMnの比率は、0.010
〜0.025重量%である。Mn含有量が上記範囲を外
れると、適当な比抵抗が得られにくくなる。
【0020】半導体磁器の主相であるペロブスカイト相
は、X線回折によって確認できる。半導体磁器の平均結
晶粒径は、組成や焼成条件等によって異なるが、通常、
1〜100μm程度である。結晶粒径は、半導体磁器の
断面を鏡面研磨およびエッチングしたのち、光学顕微鏡
または走査型電子顕微鏡により測定すればよい。半導体
磁器中において、SiO2はペロブスカイト相の結晶粒
に囲まれた領域、いわゆる三重点等の多結晶粒界に主と
して存在する。
【0021】上記組成の半導体磁器では、目的、用途等
に応じた特性を実現することが可能である。例えば、室
温(25℃)における比抵抗ρ25として、40Ω・cm以
下を実現できる。なお、このρ25は、直径14mm、厚さ
2.5mm程度の円板状の半導体磁器の両主面にNiめっ
き膜を形成した後、その上にAg膜を焼き付けて電極と
した試料を用いて測定した値である。
【0022】本発明の半導体磁器は、正特性サーミスタ
が適用される各種用途への適用が可能であり、例えば、
自己制御型ヒータ(定温発熱体)、温度センサ、ブラウ
ン管の消磁素子、過電流防止素子などに好適である。
【0023】製造方法 本発明の半導体磁器を製造する方法は特に限定されない
が、以下に説明する方法を利用すれば、A/B<1であ
って、かつ本発明を満足する半導体磁器を、容易に得る
ことができる。
【0024】この半導体磁器の製造工程の流れを、図7
に示す。図示する製造工程は、出発原料を秤量して混合
する秤量・混合工程と、混合された出発原料を仮焼して
仮焼体を得る仮焼工程と、仮焼体に後添加原料を添加す
ると共に、両者を粉砕、混合して、後添加原料を含む仮
焼体粉末を得る後添加および粉砕工程と、仮焼体粉末を
成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼成して焼
結体(半導体磁器)を得る焼成工程とを有する。以下、
各工程について説明する。
【0025】秤量・混合工程 秤量・混合工程では、出発原料中において、Aサイトに
入る金属元素(前記半導体化剤を含む)のモル比をA、
Bサイトに入る金属元素のモル比をBとしたとき、 A/B=1.000±0.005、好ましくは A/B=1.000±0.002 となるように秤量して混合する。A/Bが小さすぎても
大きすぎても、結晶粒内を均質にできなくなり、本発明
の効果が得られなくなる。具体的には、仮焼体が、A/
B=1であるABO3型ペロブスカイト結晶の単一相と
なりにくくなり、Aサイト元素リッチまたはBサイト元
素リッチの異相、例えばBa2TiSi2 8、Ba4Ti
1330、Ba2TiO4、Ba6Ti720などが生じやす
くなる。
【0026】出発原料は、酸化物、複合酸化物や、焼成
によってこれらの酸化物や複合酸化物となる各種化合
物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、
有機金属化合物等から適宜選択して用いることができ
る。これらの原料は、通常、平均粒径0.1〜3μm程
度の粉末として用いられる。
【0027】仮焼工程 仮焼工程では、混合された出発原料を、好ましくは安定
温度1150℃以上で、より好ましくは安定温度118
0℃以上で仮焼する。前記安定温度に維持する時間は、
好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上
である。なお、前記安定温度とは、ほぼ一定に維持され
る最高温度を意味する。安定温度が低すぎるか、安定温
度に維持する時間が短すぎると、未反応の原料や異相が
多く存在しやすくなって結晶粒内の組成や構造を均一に
することが難しくなり、特に、安定温度が低い場合には
均質化が難しい。なお、安定温度は、好ましくは135
0℃以下、より好ましくは1250℃以下である。安定
温度が高すぎると、仮焼体が粉砕しにくくなる。また、
安定温度に維持する時間は、好ましくは6時間以下、よ
り好ましくは4時間以下である。仮焼をこれより長い時
間行っても効果は増強されず、生産性が低くなってしま
う。昇温速度および降温速度は特に限定されないが、好
ましくは100〜400℃/時間、より好ましくは20
0〜300℃/時間である。
【0028】この方法では、秤量・混合工程においてA
/Bを前記範囲とすることにより、Ba2TiSi
28、Ba4Ti1330、Ba2TiO4およびBa6Ti
720等の異相が実質的に存在しない仮焼体を得ること
が可能である。なお、これらの異相が実質的に存在しな
いことは、X線回折パターンにおいて2θ=25〜30
度の範囲に、これら各相に対応するピークが実質的に認
められないことから判定できる。なお、これらのピーク
が実質的に認められないとは、X線回折の条件を、40
kV、30mA、スキャンスピード2度/分、スキャンステ
ップ0.02度、平行スリット1度以下、発散スリット
1度以下、受光スリット0.3mm以下としたときに、上
記ピークが認められないことを意味する。
【0029】後添加および粉砕工程 後添加および粉砕工程とでは、後添加原料を仮焼体に添
加し、仮焼体を粉砕しながら両者を混合する。この後添
加原料の添加により、半導体磁器のA/Bを1未満の所
望の値に調整できる。なお、仮焼体を粗粉砕した後に後
添加原料を添加し、その後、両者を微粉砕する構成とす
ることが好ましい。後添加原料は、通常、平均粒径0.
1〜3μm程度の粉末として添加することが好ましい。
【0030】後添加原料としては、少なくともBサイト
元素を含む化合物、例えばTiO2を用いればよく、好
ましくは、さらにSiO2を用いる。より好ましくは、
SiO2はBa2TiSi28として添加することが望ま
しく、さらに、A/Bを低下させるためBa4Ti13
30を用いることが好ましい。すなわち、Ba2TiSi 2
8とBa4Ti1330とを複合添加することが最も好ま
しい。
【0031】本発明者らは、A/B<1としたBaTi
3系半導体磁器のうち、低温ON−OFF特性が良好
で抗折強度の高いものにおいて、結晶粒界、すなわち、
隣接する結晶粒の間および三重点等の多結晶粒界に、B
2TiSi28およびBa4Ti1330が存在すること
を見いだした。そこで本発明者らは、仮焼体においてA
/Bを実質的に1とし、かつ、上記2種の複合酸化物を
共に後添加する実験を行ったところ、結晶粒内がほぼA
BO3単一相で、かつ、結晶粒界に上記2種の複合酸化
物が存在し、低温ON−OFF特性および抗折強度が極
めて優れた半導体磁器が得られることがわかった。
【0032】Ba2TiSi28およびBa4Ti1330
の製造方法は特に限定されないが、好ましくは以下のよ
うにして製造する。まず、出発原料としてBaCO3
よびTiO2を用意し、Ba2TiSi28の場合にはさ
らにSiO2を用意し、これらをそれぞれの化合物の組
成比に応じて混合した後、空気中等の酸化性雰囲気中で
1000〜1300℃で焼成し、得られた焼成体を所定
の粒径まで粉砕する。
【0033】後添加原料には、上記2種の複合酸化物の
ほか、Mnが含まれていてもよい。Mnは、酸化物とし
て添加してもよく、焼成により酸化物となる化合物とし
て添加してもよいが、好ましくはMn(NO32として
添加する。
【0034】なお、Mnの一部または全部を、出発原料
として添加してもよい。
【0035】それぞれの後添加原料の添加量は、目的と
する半導体磁器組成に応じて決定すればよいが、通常、
Ba2TiSi28の添加量は、出発原料中のTiに対
し、通常、2モル%以下、好ましくは1モル%以下、か
つ一般に0.25モル%以上であり、Ba4Ti1330
の添加量は、出発原料中のTiに対し、通常、1モル%
以下、好ましくは0.5モル%以下、かつ一般に0.0
1モル%以上である。
【0036】この工程では、比表面積が好ましくは1.
5m2/g以上、より好ましくは2.0〜3.0m2/gとなる
ように、後添加原料を含む仮焼体を粉砕する。比表面積
が小さすぎると、後添加物の分散が悪くなるので、磁器
の特性がばらつき、耐電圧性能および低温ON−OFF
特性が悪くなるほか、比抵抗が大きくなってしまう。比
表面積の上限は特にないが、比表面積を大きくするため
には粉砕時間を長くする必要があり、生産効率が落ちる
ので、比表面積は上記範囲を超える必要はない。また、
効果の点からも、比表面積を上記範囲を超える値とする
必要はない。
【0037】成形工程 成形工程では、必要に応じポリビニルアルコール(PV
A)等のバインダを加えて造粒した後、所定の形状に成
形する。バインダの添加量は、粉末に対して0.5〜5
重量%程度とすればよい。
【0038】成形圧力は特に限定されないが、好ましく
は0.5〜3t/cm2である。成形体の密度も特に限定さ
れないが、好ましくは2.9〜3.5g/cm3、より好ま
しくは3.1〜3.3g/cm3である。
【0039】焼成工程 焼成は、空気中等の酸化性雰囲気中で行う。焼成工程に
おける安定温度は1300〜1400℃とすることが好
ましい。安定温度が低いと磁器の半導体化が十分に進ま
ず、比抵抗が低くならない。一方、安定温度が高いと異
常粒成長が起きやすい。安定温度に維持する時間は、好
ましくは0.5〜4時間程度であり、昇降温速度および
降温速度は、好ましくは100〜400℃/時間であ
り、より好ましくは、昇温速度は200〜350℃/時
間、降温速度は150〜300℃/時間である。
【0040】なお、成形体中がバインダを含む場合、焼
成前に、600〜800℃で1〜3時間熱処理する脱バ
インダ工程を設けることが好ましい。
【0041】
【実施例】表1に示す半導体磁器試料を、以下の手順で
作製した。
【0042】表1に後添加法として示す方法では、出発
原料としてBaCO3、SrCO3、CaCO3、PbO
およびTiO2を用い、通常法として示す方法では、こ
れらに加え、Mn(NO32水溶液およびSiO2を用
い、これらをボールミルで湿式混合した後、乾燥させて
原料粉末を得た。
【0043】この原料粉末を円柱状に成形した後、空気
中において表1に示す条件で仮焼した。表1に、安定温
度およびこの温度に維持した時間(安定時間)を示す。
【0044】得られた仮焼体を、ボールミルにより湿式
粉砕した。後添加法を利用したサンプルでは、仮焼体を
粗粉砕した後、後添加物として表1に示す化合物および
Mn(NO32水溶液を添加し、ボールミルにより湿式
混合した。なお、表1に示す複合酸化物とは、Ba2
iSi28およびBa4Ti1330である。Ba2TiS
28は、 BaCO3:40モル%、 TiO2:20モル%、 SiO2:40モル% を配合し、ボールミルで湿式粉砕した後、乾燥し、空気
中において1150℃で2時間熱処理した後、ボールミ
ルで湿式粉砕し、乾燥することにより製造した。一方、
Ba4Ti1330は、 BaCO3:23.53モル%、 TiO2:76.47モル% を配合し、ボールミルで湿式粉砕した後、乾燥し、空気
中において1150℃で2時間熱処理した後、ボールミ
ルで湿式粉砕し、乾燥することにより製造した。
【0045】表1に、通常法の場合は出発原料中の金属
元素のモル比を、後添加法の場合は後添加原料添加後の
金属元素のモル比を、それぞれ示す。また、表1に、各
試料中のMn含有量とSiO2含有量とを示す。
【0046】次に、仮焼体粉末に対しバインダとしてP
VAを1重量%加えて造粒し、これを圧力500kg/cm2
で成形して円盤状の成形体を得た。この成形体を空気中
において1320℃で1時間焼成し、直径14mm、厚さ
2.5mmの円盤状の半導体磁器を得、電気特性測定用試
料とした。
【0047】これらの試料について、下記の測定および
試験を行った。
【0048】比抵抗(R25)の測定 電気特性測定用試料の両面にNiめっき膜を形成した
後、その上にAg膜を焼き付けて電極とし、マルチメー
ターにより25℃での抵抗値を測定して、比抵抗を計算
式 ρ=R×S/t (ρ:比抵抗、R:抵抗値、S:試料表面積、t:試料
厚さ)により求めた。結果を表2に示す。
【0049】破壊電圧(VB)の測定 上記電極を形成した電気特性測定用試料について、ま
ず、50Vの交流電圧を1分間印加することにより、予
備加熱を行った後、100Vの電圧を1分間印加した後
の電流値を測定した。次いで、さらに50V高い電圧を
1分間印加した後の電流値を測定した。この操作を繰り
返し、試料が破壊するか電流値が100mAを超えたとき
の印加電圧値を破壊点と見なし、その1回前の印加電圧
を破壊電圧とした。結果を表2に示す。
【0050】低温ON−OFF試験 上記電極を形成した電気特性測定用試料に、−20℃の
低温恒温槽中で290Vの電圧を60秒間印加し、その
後、電圧を300秒間オフにする。これを1サイクルと
して、500サイクル終了時の抵抗値変化が±20%を
超えない場合を○とし、抵抗値変化が±20%を超える
場合を×とした。
【0051】元素濃度勾配 結晶粒内と結晶粒界との元素濃度を、TEM−EDSに
より調べた。そして、Sr濃度とCa濃度との大小関係
が、結晶粒内と結晶粒界とで逆転しているものを元素濃
度勾配ありとし、逆転していないものを元素濃度勾配な
しとした。結果を表1に示す。また、TEM−EDSに
より得られた結果のうち、サンプルNo.6の結晶粒界の
ものを図8(A)に、結晶粒内のものを図8(B)にそ
れぞれ示し、サンプルNo.1の結晶粒界のものを図9
(A)に、結晶粒内のものを図9(B)にそれぞれ示
す。
【0052】結晶粒内のドメインおよび欠陥の有無 試料を切断して断面を研磨した後、透過型電子顕微鏡に
より観察し、ドメインの有無および欠陥(転位を含む)
の有無を調べた。結果を表2に示す。なお、表2に示す
試料の一部の透過型電子顕微鏡写真を、図1〜6に示
す。表2には、図番号を示してある。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表1および表2から、本発明の効果が明ら
かである。すなわち、ドメインが認められる試料では、
比抵抗が比較的低いにもかかわらず破壊電圧が高く、ま
た、低温ON−OFF特性が良好である。なお、各試料
の比抵抗と破壊電圧との関係を示すグラフを、図10に
示す。図10においてR25=20〜80Ωcmの範囲にお
いてグラフ中の直線よりも上側に存在する試料は、比抵
抗に対する破壊電圧が高いといえる。図10から、ドメ
インが観察される本発明試料では、比抵抗に対する破壊
電圧が十分に高いといえる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、比抵抗が低く、かつ耐
電圧性能が高く、しかも、低温で電圧のON−OFFを
繰り返したときに抵抗値変化が少ないBaTiO3系半
導体磁器が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】結晶構造を示す図面代用写真であって、半導体
磁器の透過型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の製造方法における工程の流れを示すフ
ローチャートである。
【図8】(A)および(B)は、半導体磁器の結晶粒界
および結晶粒内におけるTEM−EDSデータをそれぞ
れ示すグラフである。
【図9】(A)および(B)は、半導体磁器の結晶粒界
および結晶粒内におけるTEM−EDSデータをそれぞ
れ示すグラフである。
【図10】半導体磁器の比抵抗と破壊電圧との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 千尋 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA06 AA11 BA05 CA01 CA07 5E034 AA10 AC06 AC20 DA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式ABO3で表されるペロブスカイ
    ト型結晶を有し、ABO3のAサイトに入る金属元素と
    して少なくともBaを、Bサイトに入る金属元素として
    少なくともTiをそれぞれ含み、さらに、半導体化剤を
    含有し、抵抗値が正の温度係数を示す半導体磁器であっ
    て、 結晶粒内にドメインが観察される半導体磁器。
  2. 【請求項2】 透過型電子顕微鏡により観察したとき、
    結晶粒内に欠陥および転位が実質的に認められない請求
    項1の半導体磁器。
  3. 【請求項3】 Aサイトに入る金属元素(前記半導体化
    剤を含む)のモル比をA、Bサイトに入る金属元素のモ
    ル比をBとしたとき、 A/B=0.980〜1.000 である請求項1または2の半導体磁器。
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