JPH075363B2 - Ptc磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

Ptc磁器組成物及びその製造方法

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JPH075363B2
JPH075363B2 JP1188314A JP18831489A JPH075363B2 JP H075363 B2 JPH075363 B2 JP H075363B2 JP 1188314 A JP1188314 A JP 1188314A JP 18831489 A JP18831489 A JP 18831489A JP H075363 B2 JPH075363 B2 JP H075363B2
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一夫 田島
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、定温発熱体、温度センサー、電流制限素子等
に用いられるチタン酸バリウム系PTC(Positive Temper
ature Coefficient)磁器組成物及びその製造方法に関
する。
[従来の技術] 一般に、電流制限素子用のチタン酸バリウム系PTCセラ
ミックスの特性としては、室温での比抵抗が小さいこ
と、抵抗変化率が大きいこと、抵抗温度係数が大きいこ
と、耐電圧が高いこと、などがある。このうち、特に、
電流制限素子用のPTCセラミックスに求められる特性
は、比抵抗が可及的に小さく、かつ、耐電圧が高いこと
があげられる。この理由は、同一定格電圧の素子を互い
に比較した場合に、比抵抗が小さいと、更に低抵抗の素
子を得ることができ、耐電圧が高いと、更に薄型で小型
の素子を得ることができると共に、より高電圧の回路に
も使用することが可能となるからである。
チタン酸バリウム系PTCセラミックスの組成物および製
造方法に関して、従来から多くの提案がなされている
が、いずれの場合も比抵抗を小さくするに従って耐電圧
が低下する。一方、耐電圧を向上させようとすると、比
抵抗が大きくなるという不都合がある。
このため、従来の低抵抗チタン酸バリウム系PTCセラミ
ックスは、比抵抗5Ωcmで耐電圧20〜30V/mm、比抵抗10
Ωcmで耐電圧40〜60V/mm程度であって、これを耐電圧と
比抵抗の比(V/ρ25)でみると、いずれも4〜6又
はこれ以下になり、比抵抗の割りに耐電圧が小さく、実
用的ではない。
従来のチタン酸バリウム系PTCセラミックスは、主成分
であるBaOとTiO2の他に、キュリー点シフタとしてSrO,P
bOを、原子価制御剤としてSb2O3,Nb2O5並びに希土類元
素などを、抵抗温度係数の改良剤としてMnOを、更に焼
結助剤としてSiO2,Al2O3などを組成中に含む。このよう
なPTCセラミックスを製造する場合は、各種の配合原料
を湿式混合した後に約1000〜1200℃の温度で仮焼し、い
わゆる固相反応法によりBaTiO3として結晶化させ、再度
これを粉砕した後に所望の形状に成形し、約1300〜1400
℃の温度で本焼成する。
特に、耐電圧が高く、かつ耐突入電流特性に優れたチタ
ン酸バリウム系半導体磁器組成物として、特公昭63−28
324号公報に記載されたものがある。これに開示されたP
TCセラミックスは、チタン酸バリウムのBaの一部をキュ
リー点シフターであるPb,Srで同時に置換すると共に、
更にCaを含有させることにより耐電圧を向上させたもの
である。これによれば、出発原料にBaCO3,Pb3O4,SrCO3,
CaCO3,TiO2を用い、この他に半導体化剤、更に焼結剤と
してMnCO3,SiO2を所定の比率で配合添加して湿式混合
し、その後、いわゆる固相反応法によりチタン酸バリウ
ム系磁器として結晶化させる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記のPTCセラミックスの耐電圧特性
は、比抵抗の小さなものについては200〜250V/mm程度の
耐電圧を示すものの、比抵抗はせいぜい40〜50Ωcmであ
って、耐電圧と比抵抗の比(V/ρ25)でみると概ね
4〜6の範囲にあり、比抵抗に対する耐電圧は従来の領
域を出ているとはいえない。
一般に、チタン酸バリウム系PTCセラミックスの耐電圧
を向上させるためには、セラミックスの結晶粒径を可及
的に小さくすることによって達成できることが知られて
いる。これに関して、従来技術では下記(1)〜(3)
に示すように種々改良改善を加えている。
(1)結晶粒成長抑制効果および均一化効果をもつ成分
を添加する。
(2)仮焼成後の粉砕粒度を均一微細化する。
(3)本焼成温度を可及的に低く抑える。
特に、上記の従来技術の特徴といえるのは、固相反応法
による原料から出発しているところにある。すなわち、
原料として金属炭酸塩、金属酸化物などを供し、これら
を所定の比率に配合し、湿式混合した後に、いわゆる固
相反応法に従って結晶化させ、所望のセラミックスを得
ている。
しかしながら、上記従来法のいずれの方法においても、
結晶粒径は平均10μm程度まで小さくなって耐電圧の向
上には寄与するが、同時に比抵抗が増大するので、低比
抵抗で高耐電圧のPTCセラミックスを得ることができな
い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、室温
での比抵抗が小さく、かつ、耐電圧が高いチタン酸バリ
ウム系PTC磁器組成物及びその製造方法を提供するもの
であり、特に電流制限素子用においては、平均結晶粒径
が10μm以下で比抵抗が3〜10Ωcm、かつ、耐電圧が40
〜200V/mmの特性、すなわち耐電圧と比抵抗の比(V
/ρ25)が10以上の特性を有するチタン酸バリウム系PT
C磁器組成物を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係るPTC磁器組成物は、(Ba1−x−y−zSr
PbCa)TiO3からなる主成分組成物に対して、原子
価制御剤としてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一
種以上の元素が0.2〜0.5モル%の割合で、かつ、Mnが0.
02〜0.08モル%およびSiがSiO2換算値で0.45モル%以下
の割合で含まれており、前記主成分組成物が、液相溶液
反応法によりそれぞれ合成されたBaTiO3,SrTiO3,PbTi
O3,並びにCaTiO3を用いて、0.05≦x≦0.2,0.03≦y≦
0.2,0.05≦z≦0.15の比率に成分配合されていることを
特徴とする。
上記PTC磁器組成物の製造方法は、BaTiO3,SrTiO3,PbTiO
3,並びにCaTiO3をそれぞれ液相溶液反応法により合成
し、これら4種のチタン酸塩を用いて主成分の(Ba
1−x−y−zSrPbCa)TiO3が0.05≦x≦0.2,0.
03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15の比率になるように、原子
価制御剤としてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一
種以上の元素を0.2〜0.5モル%の割合で、かつ、Mnを0.
02〜0.08モル%およびSiをSiO2換算値で0.45モル%以下
の割合で成分配合し、これを成形焼成することを特徴と
する。
また、本発明に係るPTC磁器組成物は、(Ba
1−x−y−zSrPbCa)TiO3からなる主成分組成
物に対して、原子価制御剤としてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希
土類元素のうち一種以上の元素が0.2〜0.5モル%の割合
で、かつ、Mnが0.02〜0.08モル%およびSiがSiO2換算値
で0.45モル%以下の割合で含まれており、前記主成分組
成物が、液相溶液反応法により直接0.05≦x≦0.2,0.03
≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15の比率に成分配合されている
ことを特徴とする。
上記PTC磁器組成物の製造方法は、Ba含有物,Sr含有物,P
b含有物,並びにCa含有物を溶液に混合し、これから液
相溶液反応法により主成分の(Ba1−x−y−zSrPb
Ca)TiO3を、0.05≦x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦
z≦0.15の比率で直接合成し、この主成分組成物に対し
て原子価制御剤としてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類元素の
うち一種以上の元素を0.2〜0.5モル%の割合で、かつ、
Mnを0.02〜0.08モル%およびSiをSiO2換算値で0.45モル
%以下の割合で成分配合し、これを成形焼成することを
特徴とする。
更に、本発明に係るPTC磁器組成物は、(Ba
1−x−y−z−aSrPbCaMa)TiO3または(Ba
1−x−y−zSrPbCa)(Ti1−aMa)O3からな
る主成分組成物に対して、原子価制御剤MとしてSb,Bi,
Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一種以上の元素が所定の
割合で、かつ、Mnが0.02〜0.08モル%およびSiがSiO2
算値で0.45モル%以下の割合で含まれており、前記主成
分組成物が、液相溶液反応法により直接0.05≦x≦0.2,
0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15,0.002≦a≦0.005の比
率に成分配合されていることを特徴とする。
上記PTC磁器組成物の製造方法は、Ba含有物,Sr含有物,P
b含有物,Ca含有物,並びに原子価制御剤MとしてSb,Bi,
Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一種以上の元素を溶液に
混合し、これから液相溶液反応法により主成分の(Ba
1−x−y−z−aSrPbCaMa)TiO3または(Ba
1−x−y−zSrPbCa)(Ti1−aMa)O3を、0.
05≦x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15,0.002≦a
≦0.005の比率で直接合成し、この主成分組成物に対し
て、Mnを0.02〜0.08モル%およびSiをSiO2換算値で0.45
モル%以下の割合で成分配合し、これを成形焼成するこ
とを特徴とする。
この場合に、上記の各製造方法における液相溶液反応法
に、シュウ酸塩法および水熱合成法のいずれかを用いる
ことが好ましい。
なお、原子価制御剤として用いる希土類元素には、La,Y
等がある。
[作用] 本発明のPTC磁器組成物は、出発原料としていわゆる化
学法原料を使用するところに特徴がある。化学法原料と
は、シュウ酸塩法、水酸化物法、水熱合成法、アルコキ
シド法等の液相溶液反応法によって得られたBaTiO3,SrT
iO3,PbTiO3,CaTiO3等の結晶又はそれらの固溶体又は混
晶体であって、従来の固相反応法によって得られる原料
(結晶粉末)に比べて、下記(4)〜(6)の特徴を有
する。
(4)粒度が均一微細であって、粉体活性が高い。
(5)高純度である。
(6)分子レベルでの組成の均一性が高い。
発明者等は、このような化学法原料の諸特性に着目し、
チタン酸バリウム系PTCセラミックスの主成分組成物の
出発原料に供することを種々検討した。その結果、チタ
ン酸バリウム系PTCセラミックスの焼結助剤として添加
していたSiO2の添加量を、従来の固相反応法により得ら
れた原料を使用する場合よりも低減できるという知見を
得た。
本発明に係るPTC磁器組成物及びその製造方法において
は、従来の固相反応法に代わりに、出発原料としていわ
ゆる化学法原料を用い、かつ、その化学法原料の特徴を
生かす組成を見出だしたことにより、従来のチタン酸バ
リウム系PTCセラミックスに比べ、特に室温での比抵抗
が低く、かつ耐電圧が高いものとなる。
化学法原料は、前述のように一般に高純度で粒度が均一
微細であって、特に粉体活性が高いなどの特性を有する
ため、従来の固相反応法による原料を出発原料にした場
合には、液相焼結助剤としてSiO2を通常0.5〜2モル%
程度添加する。これに対して、本発明の磁器組成物にお
いては、SiO2をまったく含まないか又はその含有量を0.
45モル%以下に低く抑えることができ、かつ、焼結温度
も約50℃低くすることができることを見いだした。とり
わけ、化学法原料を出発原料として供することにより、
液相焼結助剤としてのSiO2が無添加の場合であっても焼
結することは、固相反応法による原料を出発原料とする
従来の技術ではまったく予想できないことであり、これ
にも増して結晶粒径が10μm以下で低抵抗化することな
どは思いもよらないことである。このため、セラミック
スの結晶粒径は10μm以下と微細になり、耐電圧が高く
なる。また、SiO2は、通常セラミックスにおいてはガラ
ス相として粒界析出相を形成するものであり、この相は
電気伝導度が小さく、結局SiO2の添加量が増大するに従
ってセラミックス素子としての常温比抵抗が大きくなる
傾向にある。
次に、上記PTC磁器組成物の各添加元素の限定理由につ
いて説明する。
Srは、xが0.05未満では電気的特性が不十分であり、ま
た機械的・熱的強度が低下する傾向にあり、一方、xが
0.2を超えるとキュリー点が80℃以下となって電流制限
素子として実用的でない。
Pbは、yが0.03以下であると高耐電圧比に関して特性改
善の効果が小さくなり、一方、yが0.2を超えるとキュ
リー点が150℃を超えるようになり電流制限素子として
実用的でなくなると共に、常温での比抵抗が逆に高くな
る傾向がある。
Caは、zが0.05以下であると均一微細化、すなわち高耐
電圧化に関する効果がなくなり、一方、zが0.15を超え
ると比抵抗が大きくなる。
原子価制御剤は、その添加量が0.2モル%未満であって
も0.5モル%を超えても、すなわち0.2〜0.5モル%の範
囲を外れると、高抵抗化する傾向にある。
Mnは、その添加量が0.02モル%未満ではPTC領域におけ
る抵抗温度係数が8%/℃以下となって実用的でなく、
一方、0.08モル%を超えると常温比抵抗が急激に高ま
る。
SiO2は、その添加量が0.45モル%を超えると、常温比抵
抗が大きくなり、本発明の目的に合致せず、実用的でな
い。
[実施例] 以下、添附の図面を参照しながら本発明の種々の実施例
について説明する。
実施例1 第1図は、本発明の第1実施例に係るPTC磁器組成物の
製造方法を示す工程図である。第1表は、本発明の実施
例および比較例のセラミックス組成をそれぞれ示す表で
ある。第1表において、No.6,7,10,11,14,15,18〜20,23
〜25,27〜29,32,33はそれぞれ実施例に該当し、No.1〜
5,8,9,12,13,16,17,21,22,26,30,31はそれぞれ比較例に
該当する。
BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,CaTiO3をそれぞれ液相溶液反応
法により合成するために、各原料粉を調整する(工程1
0)。このうち、BaTiO3,SrTiO3,CaTiO3についてはBaC
O3,SrCO3,CaCO3,TiO2を原料にシュウ酸塩法により合成
し、PbTiO3についてはPbO,TiO2を原料に水熱合成法によ
り合成する。以下、説明を簡略化するため、BaTiO3の合
成についてのみ説明する。
BaCO3およびTiO2の粉末をそれぞれ所定の溶液に加え、
十分に撹拌混合する(工程11)。
混合溶液に所定のアルカリ溶液を添加する(工程12)。
BaCO3,TiO2,並びに各溶液間の反応によりBaTiO3が沈殿
する(工程13)。
沈殿物を所定温度に加熱し、乾燥する(工程14)。
乾燥物を粉砕し、秤量する。このとき、成分配合が第1
表中のNo.5〜33となるように、BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,C
aTiO3をそれぞれ秤量する(工程15)。
4種のチタン酸塩を固相状態で混合し、更に、La,Yなど
の希土類元素あるいはSb,Bi,Nb,Taを原子価制御剤とし
て、MnCo3を抵抗温度係数の改良剤として、SiO2を焼結
助剤として、それぞれ適量を添加する(工程16)。な
お、第1表中のSi(mol%)の欄にはSiO2に換算したモ
ル百分率を表示した。
混合物をボールミルにより約10時間かけて粉砕混合した
後に、脱水乾燥する。6%PVAを試料100グラムに対して
約3cc加え、これを成形圧力1000kg/cm3で成形し、直径1
5mmで厚さ1.5mmのペレットとする(工程17)。
ペレットを所定温度で仮焼する(工程18)。
仮焼後、ペレットを粉砕する(工程19)。
粉砕物にバインダを添加し、所望の形状に成形する(工
程20)。
成形物を本焼成する。本焼成の条件は、昇温速度が毎時
200℃で、焼成温度が1280〜1340℃であり、約1時間焼
成した後に炉内にて自然放冷した(工程21)。このよう
にして得られたPTCセラミックスにオーミックコンタク
ト良好なAg電極を焼付けて素子を作成し、このキュリー
点、常温比抵抗、並びに耐電圧をそれぞれ測定した。
実施例2 第2図は、本発明の第2実施例に係るPTC磁器組成物の
製造方法を示す工程図である。
BaCO3,SrCO3,PbO,CaCO3並びにTiO2をそれぞれ調整する
(工程30)。すなわち、成分配合が第1表中のNo.5〜33
となるように、各原料粉をそれぞれ秤量する。
秤量した各原料粉を所定の溶液に加え、十分に撹拌混合
する(工程31)。
混合溶液に所定のアルカリ溶液を添加する(工程32)。
各原料粉および各溶液間の反応により(Ba
1−x−y−zSrPbCa)TiO3が共沈する(工程3
3)。
沈殿物を所定温度に加熱し、乾燥する(工程34)。
乾燥物を粉砕し、秤量する。(工程35)。
(Ba1−x−y−zSrPbCa)TiO3の粉に、更に、
La,Yなどの希土類元素あるいはSb,Bi,Nb,Taを原子価制
御剤として、MnCO3を抵抗温度係数の改良剤として、SiO
2を焼結助剤として、それぞれ適量を添加する(工程3
6)。
混合物をボールミルにより約10時間かけて粉砕混合した
後に、脱水乾燥する。6%PVAを試料100グラムに対して
約3cc加え、これを成形圧力1000kg/cm3で成形し、直径1
5mmで厚さ1.5mmのペレットとする(工程37)。
ペレットを所定温度で仮焼する(工程38)。
仮焼後、ペレットを粉砕する(工程39)。
粉砕物にバインダを添加し、所望の形状に成形する(工
程40)。
成形物を本焼成する。本焼成の条件は、昇温速度が毎時
200℃で、焼成温度が1280〜1340℃であり、約1時間焼
成した後に炉内にて自然放冷した(工程41)。このよう
にして得られたPTCセラミックスにオーミックコンタク
ト良好なAg電極を焼付けて素子を作成し、このキュリー
点、常温比抵抗、並びに耐電圧をそれぞれ測定した。
実施例3 第3図は、本発明の第3実施例に係るPTC磁器組成物の
製造方法を示す工程図である。
BaCO3,SrCO3,PbO,CaCO3並びにTiO2をそれぞれ調整する
(工程50)。すなわち、成分配合が第1表中のNo.5〜33
となるように、各原料粉をそれぞれ秤量する。
秤量した各原料粉に適量の原子価制御剤Mを添加し、こ
れを所定の溶液に溶かし、十分に撹拌混合する(工程5
1)。
混合溶液に所定のアルカリ溶液を添加する(工程52)。
各原料粉および各溶液間の反応により(Ba
1−x−y−z−aSrPbCaMa)TiO3または(Ba
1−x−y−zSrPbCa)(Ti1−aMa)O3が共沈
する(工程53)。
沈殿物を所定温度に加熱し、乾燥する(工程54)。
乾燥物を粉砕し、秤量する。(工程55)。
(Ba1−x−y−z−aSrPbCaMa)TiO3または
(Ba1−x−y−zSrPbCa)(Ti1−aMa)O3
粉に、更に、MnCO3を抵抗温度係数の改良剤として、SiO
2を焼結助剤として、それぞれ適量を添加し、これを混
合する(工程56)。
混合物をボールミルにより約10時間かけて粉砕混合した
後に、脱水乾燥する。6%PVAを試料100グラムに対して
約3cc加え、これを成形圧力1000kg/cm3で成形し、直径1
5mmで厚さ1.5mmのペレットとする(工程57)。
ペレットを所定温度で仮焼する(工程58)。
仮焼後、ペレットを粉砕する(工程59)。
粉砕物にバインダを添加し、所望の形状に成形する(工
程60)。
成形物を本焼成する。本焼成の条件は、昇温速度が毎時
200℃で、焼成温度が1280〜1340℃であり、約1時間焼
成した後に炉内にて自然放冷した(工程61)。このよう
にして得られたPTCセラミックスにオーミックコンタク
ト良好なAg電極を焼付けて素子を作成し、このキュリー
点、常温比抵抗、並びに耐電圧をそれぞれ測定した。
比較例(固相反応法原料による調整) 成分配合が第1表No.1〜4となるように、BaCO3,SrCO3,
PbO,CaCO3,TiO2,Sb2O3,MnCO3,MnCO3,並びにSiO2の粉を
それぞれ秤量し、ボールミルにて10時間粉砕混合した後
に脱水乾燥する。これに6%PVAを加えて一次成形した
後、1050℃の温度で2時間仮焼する。仮焼後、ボールミ
ルにより10時間粉砕し、脱水乾燥した後に、6%PVAを
試料100グラムに対して約3cc加え、これを成形圧力1000
kg/cm2で成形し、直径15mmで厚さ1.5mmのペレットとす
る。
本焼成の条件は、昇温速度が毎時200℃で、焼成温度が1
300℃であり、約1時間焼成した後に炉内にて自然放冷
した。このようにして得られたPTCセラミックスにオー
ミックコンタクト良好なAg電極を焼付けて素子を作成
し、このキュリー点、常温比抵抗、並びに耐電圧をそれ
ぞれ測定した。
第1表から明らかなように、各実施例のPTCセラミック
スは比較例のものに比べて、耐電圧と常温比抵抗の比
(V/ρ25)が大幅に増大し、大部分のものが10以上
のV/ρ25値を示すようになる。これに対して、比較
例では、No.1のように組成を本発明の成分組成の範囲内
としても、常温比抵抗ρ25は約100Ωcmと大きい。ま
た、比較例のNo.2〜4のように、SiO2を更に加えていく
と、常温比抵抗ρ25は添加量1モル%において40Ωcmに
低下するものの、添加量2モル%では80Ωcmに増加す
る。つまり、従来法により製造されたPTCセラミックス
は、いずれも本発明方法により製造されたPTCセラミッ
クスにおける常温比抵抗ρ253〜10Ωcm、耐電圧40〜200
V/mmをクリアしないことがわかった。なお、比較例のN
o.5はSr量が不足するので、所望の機械的・熱的強度を
得ることができない。比較例のNo.8はSr量が過剰なため
に、キュリー点が75℃まで低下してしまい、電流制限素
子として実用的ではない。なお、実用的なキュリー点は
80〜150℃の範囲にある。比較例のNo.9はPb量が不足す
るので、比抵抗に対する耐電圧の比率が小さくなりすぎ
る。比較例のNo.12はPb量が過剰なために、キュリー点
が180℃に上昇してしまい、電流制限素子として実用的
ではない。比較例のNo.13はCa量が不足するので、耐電
圧が30V/mmと小さくなりすぎる。比較例のNo.16はCa量
が過剰なために、常温比抵抗が18Ωcmと大きくなりすぎ
る。比較例のNo.17は原子価制御剤であるSb量が不足す
るので、この場合も常温比抵抗が18Ωcmと過大になる。
比較例のNo.21は原子価制御剤であるSb量が過剰なため
に、この場合も常温比抵抗が26Ωcmと過大になる。比較
例のNo.22はMn量が不足するので、PTC領域における抵抗
温度係数が8%/℃以下となって実用的ではない。比較
例のNo.26はMn量が過剰なために、常温比抵抗が20Ωcm
と過大になった。比較例のNo.30,31の両者はともにSiO2
量が過剰なために、常温比抵抗がそれぞれ12Ωcm,28Ωc
mと過大になった。
[発明の効果] 本発明によれば、従来の組成物および製造方法では達成
が困難であった、低比抵抗で、かつ、高耐電圧のPTCセ
ラミックスを得ることができる。この結果、同一定格電
圧に対して、より低抵抗な素子を製造することができる
ため、更に大きな負荷に対する電流制限素子を実用化で
きるほか、同一抵抗素子としては従来より薄型で小型の
ものを実用化できる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第3図は、それぞれ本発明の実施例に係るPT
C磁器組成物の製造方法を示す工程図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(Ba1−x−y−zSrPbCa)TiO3
    らなる主成分組成物に対して、原子価制御剤としてSb,B
    i,Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一種以上の元素が0.2
    〜0.5モル%の割合で、かつ、Mnが0.02〜0.08モル%お
    よびSiがSiO2換算値で0.45モル%以下の割合で含まれて
    おり、 前記主成分組成物が、液相溶液反応法によりそれぞれ合
    成されたBaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,並びにCaTiO3を用い
    て、0.05≦x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15の比
    率に成分配合されていることを特徴とするPTC磁器組成
    物。
  2. 【請求項2】BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,並びにCaTiO3をそ
    れぞれ液相溶液反応法により合成し、これら4種のチタ
    ン酸塩を用いて主成分の(Ba1−x−y−zSrPbCa
    )TiO3が0.05≦x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.
    15の比率になるように、原子価制御剤としてSb,Bi,Nb,T
    a,並びに希土類元素のうち一種以上の元素を0.2〜0.5モ
    ル%の割合で、かつ、Mnを0.02〜0.08モル%およびSiを
    SiO2換算値で0.45モル%以下の割合で成分配合し、これ
    を焼成することを特徴とするPTC磁器組成物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】(Ba1−x−y−zSrPbCa)TiO3
    らなる主成分組成物に対して、原子価制御剤としてSb,B
    i,Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一種以上の元素が0.2
    〜0.5モル%の割合で、かつ、Mnが0.02〜0.08モル%お
    よびSiがSiO2換算値で0.45モル%以下の割合で含まれて
    おり、 前記主成分組成物が、液相溶液反応法により直接0.05≦
    x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15の比率に成分配
    合されていることを特徴とするPTC磁器組成物。
  4. 【請求項4】Ba含有物,Sr含有物,Pb含有物,並びにCa含
    有物を溶液に混合し、これから液相溶液反応法により主
    成分の(Ba1−x−y−zSrPbCa)TiO3を、0.05
    ≦x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15の比率で直接
    合成し、この主成分組成物に対して原子価制御剤として
    Sb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類元素のうち一種以上の元素を
    0.2〜0.5モル%の割合で、かつ、Mnを0.02〜0.08モル%
    およびSiをSiO2換算値で0.45モル%以下の割合で成分配
    合し、これを焼成することを特徴とするPTC磁器組成物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】(Ba1−x−y−z−aSrPbCa
    )TiO3または(Ba1−x−y−zSrPbCa
    (Ti1−a)O3からなる主成分組成物に対して、原
    子価制御剤MとしてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類元素のう
    ち一種以上の元素が所定の割合で、かつ、Mnが0.02〜0.
    08モル%およびSiがSiO2換算値で0.45モル%以下の割合
    で含まれており、 前記主成分組成物が、液相溶液反応法により直接0.05≦
    x≦0.2,0.03≦y≦0.2,0.05≦z≦0.15,0.002≦a≦0.
    005の比率に成分配合されていることを特徴とするPTC磁
    器組成物。
  6. 【請求項6】Ba含有物,Sr含有物,Pb含有物,Ca含有物,
    並びに原子価制御剤MとしてSb,Bi,Nb,Ta,並びに希土類
    元素のうち一種以上の元素を溶液に混合し、これから液
    相溶液反応法により主成分の(Ba1−x−y−z−aSr
    PbCa)TiO3または(Ba1−x−y−zSrPb
    Ca)(Ti1−a)O3を、0.05≦x≦0.2,0.03≦
    y≦0.2,0.05≦z≦0.15,0.002≦a≦0.005の比率で直
    接合成し、この主成分組成物に対して、Mnを0.02〜0.08
    モル%およびSiをSiO2換算値で0.45モル%以下の割合で
    成分配合し、これを焼成することを特徴とするPTC磁器
    組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】液相溶液反応法に、シュウ酸塩法および水
    熱合成法のいずれかを用いることを特徴とする請求項2,
    4,6にそれぞれ記載のPTC磁器組成物の製造方法。
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