JP3699195B2 - 正特性半導体磁器およびその製造方法 - Google Patents

正特性半導体磁器およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低温発熱、電流制限などに用いられる正の抵抗温度係数を持つ正特性半導体磁器(PTCサーミスタ) の製造方法に関し、詳しくは安定した電気的特性を有するBaTiO3 系PTCサーミスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
BaTiO3 に、Sr、Pb、Caなどの温度特性調整のための置換成分、Y23 などの半導体化剤、焼結助剤SiO2 、抵抗温度係数改善剤MnOなどを加えた組成物を焼成して得られる磁器は、正の温度係数をもつ抵抗体、いわゆるPTCサーミスタとして一般的に広く用いられている。
【0003】
磁器組成物を得る方法として、酸化物や炭酸塩などを原料に用いて仮焼を行う通常の固相反応のほか、特開平2−281601号公報のように金属アルコキシドを原料に用いた液相から合成する方法なども提案されている。液相から合成する方法は固相反応に比べ均質で安定した材料が得られやすいという利点があるにせよ、製造工程が複雑で製造コストが高くなってしまう。
【0004】
このようなことから、一般には固相反応が用いられている。
【0005】
PTCサーミスタでは、この固相反応による材料製造条件、例えば原料の混合度、仮焼温度や雰囲気などが製品の電気的特性に大きく影響する。数多くの製品製造ロットにわたって一定の電気的特性を得るためには、様々な材料製造条件を厳密に管理、制御しなければならず、良質な製品を安価で提供する上での障害になる。
【0006】
例えば、特開平4−119964号公報には、半導体化剤を含んだチタン酸バリウムと平均組成がBa2 (Ti1-x Mnx )Si28 (ただし、0.01≦x≦0.2)の物質とを混合したのち焼成する半導体磁器の製造方法が開示されている。この場合Ba2 (Ti1-x Mnx )Si28 に占めるBaO量は40モル%程度である。
【0007】
また、特開平4−311002号公報には、半導体化剤を含有するチタン酸バリウム系半導体材料と式:(Ba(2-x) Ax)TiSi28 (ただし、A:Li,Na,Kのうちの少なくとも一種、X=0.02〜0.2)で表される材料とを配合した後、これを焼成する正の抵抗温度係数を有する半導体磁器の製造方法が開示されている。この場合(Ba(2-x) Ax)TiSi28 に占めるBaO量は37.5〜39.8モル%程度である。
【0008】
しかし、いずれの場合も製造条件に電気的特性が左右されやすく、また製造条件によっては室温での比抵抗が大きくなりすぎて半導体化が十分でなかったりすることがある。
【0009】
したがって、良好な電気的特性のPTCサーミスタ製品を得ることができ、低コストで特性に対する製造条件の影響を受けにくい材料と製品を製造する方法が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電気的特性にすぐれ、電気的特性に対し製造条件の影響を受けにくい正特性半導体磁器の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記(1)〜(7)の特定事項によって達成される。
(1) BaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物とBa2 TiSi28 相と半導体化剤とを含有し、
ペロブスカイト相に対するBa2 TiSi28 相のXRDのピーク積分強度比(Ba2 TiSi28 相の(211)面ピーク積分強度/ペロブスカイト相の(111)面ピーク積分強度)で表して0.01〜0.2である正特性半導体磁器。
(2) BaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物と半導体化剤とを含有し、Siを実質的に含有しない主組成物およびBaとTiとSiとを、BaO:TiO2 :SiO2 =a:b:c[ただしa+b+c=100モル%]で表して、10≦a≦35、10≦b≦60、30≦c≦80の比率で含有する後添加組成物をそれぞれ予め作製し、
主組成物に後添加組成物を混合したのち本焼成して正特性半導体磁器を得るに際し、
本焼成によって得られる焼成体中のSi含有量がペロブスカイト型酸化物に対しSiO2 換算で0.3〜5モル%となるように後添加組成物を混合する正特性半導体磁器の製造方法。
(3) 前記半導体化剤が、Y、希土類元素、Nb、Ta、W、SbおよびBiの一種類以上である上記(2)の正特性半導体磁器の製造方法。
(4) 前記主組成物がMnを含む上記(2)または(3)の正特性半導体磁器の製造方法。
(5) 前記主組成物が固相反応で作製され仮焼温度が1000〜1400℃である上記(2)〜(4)のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
(6) 前記後添加組成物が固相反応で作製され仮焼温度が1000〜1400℃である上記(2)〜(5)のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
(7) 前記本焼成は大気中で行われ、温度が1300〜1400℃である上記(1)〜(6)のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明では、BaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物と半導体化剤とを含有し、Siを実質的に含有しない主組成物およびBaとTiとSiとを所定の比率で含有する後添加組成物をそれぞれ予め作製し、これらの組成物を所定量混合したのち本焼成を行って正特性半導体磁器を製造している。
【0014】
このように、所定組成の主組成物および後添加組成物を予め作製し、その後混合して本焼成するという工程を経ることによって、全成分を混合し仮焼して本焼成する場合に比べて電気的特性に対する製造条件、特に仮焼条件の影響が少なくなり、製造ロットにかかわらず安定した品質のものが得られる。
【0015】
これは、以下の理由によると考えられる。SiはBa、Tiとともにペロブスカイト相以外の微量相であるBa2 TiSi28 を生成する。この相と、未反応のTiO2 は、ともに本焼成時の半導体化挙動に影響を及ぼす。全成分を混合し仮焼すると、本焼成前の材料中のBa2 TiSi28 および未反応のTiO2 の量が仮焼条件によって変化し、本焼成後の電気的特性に影響を及ぼす。この結果、製造ロットにより電気的特性のバラツキが生じやすくなる。これに対し、本発明のように、Siを実質的に含有しない主組成物を用い、後にSiを含有し、Ba量を所定量に規定した後添加組成物を混合して本焼成を行えば材料中のBa2 TiSi28 相の量が一定になりやすく製造ロットによる電気的特性のバラツキを抑制することができるのであろうと考えられる。
【0016】
このようなBa2 TiSi28 相はX線回折(XRD)によって確認することができる。
【0017】
本発明において本焼成後の焼成体におけるBa2 TiSi28 相の占める割合は、ペロブスカイト相に対するBa2 TiSi28 相のXRDのピーク積分強度比(Ba2 TiSi28 相の(211)面ピーク積分強度/ペロブスカイト相の(111)面ピーク積分強度)で表して0.01〜0.2程度である。
【0018】
本発明に用いる主組成物はBaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物と半導体化剤とを含有し、Siを実質的に含有しないものである。
【0019】
ペロブスカイト型酸化物の主成分はBaTiO3 であるが、Baの一部はSr、Pb、Caなどで置換されていてもよく、その置換量は80モル%以下、特に0〜40モル%である。またこれらは化学量論組成から多少はずれたものであってもよい。
【0020】
主組成物に占めるペロブススカイト型酸化物の割合は99重量%以上、特に99〜99.99重量%であることが好ましい。
【0021】
半導体化剤としてはY、希土類元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)、Nb、Ta、W、SbおよびBiのうち一種類以上であることが好ましく、特に原料コストの点からY、La、Ce、Nb、TaおよびSbのうち一種類以上が好ましい。
【0022】
これらの元素は主組成物中においてBaTiO3 を主成分としたペロブスカイト型酸化物のBa、Ti等の構成元素を一部置換する形で含有されていてもよい。
【0023】
半導体化剤の主組成物における含有量は酸化物に換算して0.03〜0.5重量%であることが好ましい。
【0024】
主組成物中にはMnを含有させることが好ましい。Mnを含有させることによって抵抗温度係数を増大させることができる。Mnは主組成物中においてペロブスカイト型酸化物の構成元素を一部置換する形で含有されていてもよい。
【0025】
Mnの主組成物における含有量はMnOに換算して0.1重量%以下、特に0.01〜0.05重量%程度であることが好ましい。
【0026】
主組成物はSiを実質的に含有しないものであり、不純物として含有する場合であってもその含有量は500ppm 以下であることが好ましい。
【0027】
主組成物は上記の組成を有するものであればその作製方法については特に制限はないが、主組成物は製造コストの点で有利な固相反応で作製することが好ましい。
【0028】
具体的には、主組成物の組成に応じ、原料を配合して混合した後仮焼して作製する。この場合の原料としては酸化物や複合酸化物が用いられる。このほか焼成によってこれらの酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択して用いることができる。これらの原料は、通常、平均粒径0.1〜3μm 程度の粉末として用いられる。
【0029】
主組成物中のペロブスカイト型酸化物の原料としてはBaCO3 、TiO2 等が用いられる。このほか、必要に応じSrCO3 等を添加することができる。
【0030】
また半導体化剤としてはY23 、La23 、Ce23 、Nb25 、Ta25 、Sb25 等が用いられる。
【0031】
さらに特性向上のために添加が好ましいMnとしてはMnCO3 、Mn(NO32 水溶液等が用いられる。
【0032】
混合は乾式混合によっても湿式混合によってもよく、湿式混合によるときは乾燥してから仮焼すればよい。
【0033】
仮焼は、仮焼温度1000〜1400℃で行うことが好ましい。温度が低いとペロブスカイト相が十分に生成しない。また温度が高いと粉砕が困難になる。仮焼温度は、変動したときに電気的特性への影響を少なくするため、未反応のTiO2 が少なくなる1200〜1400℃であることがさらに好ましい。仮焼時間は、仮焼における最高温度保持時間で表して通常0.5〜6時間程度とし、昇降温速度は100℃/時間〜500℃/時間とすればよい。また仮焼雰囲気は酸化性雰囲気とし、通常は大気中とする。
【0034】
一方、後添加組成物は、BaとTiとSiとを含有するものであり、これらの含有量は、BaO、TiO2 、SiO2 換算で、BaO:TiO2 :SiO2 =a:b:c[ただしa+b+c=100モル%]で表したとき、次の関係を満足するものである。この3元組成図を図1に示す。
【0035】
10≦a≦35
10≦b≦60
30≦c≦80
【0036】
この範囲をはずれると理由は明確ではないが磁器の比抵抗が小さくならず、半導体化が十分でない。また、製造条件のわずかな変動によって特性が変化してしまう。前記の特開平4−119964号公報および特開平4−311002号公報はBaO量aの点で上記範囲をはずれるものである。
【0037】
後添加組成物は、Ba、TiおよびSiを酸化物として含有し、これらの酸化物のみで構成されるものであることが好ましいが、上記関係を満足するものであれば、上記組成のものに対し、他の成分、例えばMnをMnO換算で30重量%以下、特に0.01〜30重量%含有していてもよい。
【0038】
後添加組成物の作製方法には特に制限はないが、主組成物と同様の理由で固相反応で作製することが好ましい。具体的には、組成に応じ、原料を配合して混合した後仮焼すればよい。原料は主組成物のところと同様のものを用いればよく、Ba、Ti源としてはBaCO3 、TiO2 等が挙げられる。またSi源としてはSiO2 等を用いることができる。
【0039】
混合は乾式混合によっても湿式混合によってもよく、湿式混合によるときは乾燥してから仮焼すればよい。
【0040】
仮焼は、仮焼温度1000〜1400℃で行うことが好ましい。温度が低いと均一な相が得られなくなり、温度が高いと粉砕が困難になる。その他の仮焼条件は主組成物の場合と同様とすればよい。
【0041】
上記のように作製した主組成物と後添加組成物とを混合する。この場合後添加組成物は粉砕したものを用いることが好ましい。粉砕は乾式によっても湿式によってもよく、湿式によるときは乾燥しておく。粉砕後の後添加組成物は、平均粒径0.1〜3μm 程度であることが好ましい。後添加組成物の添加量は主組成物に対し0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%である。多すぎても少なすぎても、本焼成後の焼成体中のSi含有量が適正でなくなってしまい、十分な特性が得られなくなる。
【0042】
具体的には、主組成物に上記のように粉砕した後添加組成物を所定量添加配合し、粉砕混合を行う。粉砕混合は通常湿式によることが好ましく、その後乾燥する。このようにして得られた材料の粒径は、平均粒径0.5〜2μm 程度であることが好ましい。
【0043】
後添加組成物の添加量は、上述のとおりであるが、本焼成後の焼成体中においてSi含有量がSiO2 換算でペロブスカイト型酸化物に対し0.3〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル%となる添加量である。
【0044】
Si含有量が多くなっても少なくなっても磁器の比抵抗が小さくならない。
【0045】
上記の材料は、その後所定の形状の成形体とされ、本焼成に供される。成形体を得るには、バインダを加えて造粒してもよい。このときのバインダとしてはポリビニルアルコール(PVA)等が用いられる。バインダの添加量は材料に対して0.5〜5重量%程度とすればよい。
【0046】
本焼成は酸化性雰囲気、好ましくは大気中で行うことが好ましく、温度は1300〜1400℃であることが好ましい。温度が低いと磁器の比抵抗が小さくならず、半導体化が十分でない。温度が高いと異常粒成長が起きやすい。
【0047】
また焼成時間は、焼成における最高温度保持時間で表して、0.5〜4時間程度とすればよく、昇降温速度は100℃/時間〜500℃/時間とすればよい。
【0048】
後添加組成物に含まれるBa、Tiの大部分は本焼成後に主組成物とともにペロブスカイト相を構成する。ペロブスカイト相はXRDによって確認でき、焼成体の主相をなす。焼成体の平均グレインサイズは組成や焼成条件等によって異なるが、1〜100μm 程度である。グレインサイズは鏡面研磨およびエッチングしたのちの焼成体断面の光学顕微鏡写真あるいは走査電子顕微鏡(SEM)写真から求めることができる。焼成体中にてSiO2 は主としてペロブスカイト相のグレイン(粒)に囲まれた領域、いわゆる三重点に存在し、半導体化剤は主として粒内に存在し、Mnは本発明の好ましい添加量の範囲内においては粒内、粒界によらず存在する。
【0049】
本発明では、目的・用途等に応じ、所定の特性の正特性半導体磁器を得ることができるが、その一例を挙げれば、室温(25℃)における比抵抗ρ25が10〜400Ωcmで、抵抗温度係数αが10〜20%/℃のものなどである。
【0050】
なお、室温比抵抗は直径14mm、厚さ2.5mm程度の円板状の半導体磁器の両主面にIn−Ga合金を塗布して電極を形成した試料を用いて測定した値である。また抵抗温度係数αは、試料温度を変化させて抵抗を測定し、抵抗が最小値の2倍になったときの温度をT1 、抵抗が最小値の200倍になったときの温度をT2 として、下記式により求めたものである。
【0051】
α=[4.606/(T2 −T1 )]×100
【0052】
本発明で得られる正特性半導体磁器は、自己制御型ヒータ(定温発熱体)、温度センサ、さらにはカラーテレビの消磁や過電流防止に用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0054】
実施例1
試料 No. 1〜18の作製
主組成物の作製
BaCO3 (平均粒径1μm )、SrCO3 (平均粒径1μm )、TiO2 (平均粒径1μm )、Y23 (平均粒径3μm )およびMn(NO32 水溶液(0.1M水溶液)を表1に示すように配合し、ボールミルで湿式混合し、乾燥したのち、表1の条件で4時間(保持時間)仮焼し主組成物を得た。
【0055】
後添加組成物の作製
BaCO3 (平均粒径1μm )、TiO2 (平均粒径1μm )およびSiO2 (平均粒径3μm )を表1に示す組成になるように配合し、ボールミルにて湿式混合し、乾燥したのち、1350℃で1時間(保持時間)仮焼した。この仮焼物をボールミルにて湿式粉砕し、乾燥して後添加組成物を得た。
【0056】
この後添加組成物の平均粒径は1μm であった。
【0057】
半導体磁器材料の作製
主組成物と後添加組成物とを表1に示す比率で配合し、ボールミルにて湿式粉砕混合し、乾燥して半導体磁器材料(焼成体)を得た。この材料の平均粒径は1μm であった。
【0058】
半導体磁器の作製
半導体磁器材料に対しバインダとしてPVAを2重量%加え造粒し、プレスで円板状に成形したものを大気中で1350℃で2時間(保持時間)本焼成して、直径14mm、厚さ2.5mmの円板状の半導体磁器を得た(試料No. 1〜18)。
【0059】
試料 No. 19〜25の作製
試料No. 1〜18の作製に用いたBaCO3 、SrCO3 、TiO2 、Y23 、Mn(NO32 水溶液およびSiO2 を使用し、これらを主組成物と後添加組成物とに分けることなく、表1に示すように配合し、ボールミルで湿式粉砕混合して乾燥し半導体磁器材料(焼成体)を得た。この材料の平均粒径は1μm であった。
【0060】
この材料を用いて、試料No. 1〜18と同様にして半導体磁器を得た(表1の試料No. 19〜25)。
【0061】
上記のようにして得られた試料No. 1〜25の両主面にIn−Ga合金を塗布し、電気的特性として室温(25℃)における比抵抗ρ25を測定した。
【0062】
結果を表1に示す。また、図1には試料No. 1、8〜14の後添加組成物の組成を示す。さらに、図2、図3には仮焼条件(主組成物と後添加組成物とを別々に作製するときは主組成物のもの)に対する電気的特性の依存性を示すグラフを示す。図2には試料No. 1、3、4、19〜21について仮焼温度との関係を示し、図3には試料No. 1、5〜7、19、23〜25について仮焼雰囲気の酸素濃度との関係を示している。
【0063】
【表1】
Figure 0003699195
【0064】
表1から、本発明の製造方法によって得られる試料は室温での比抵抗ρ25が小さく、また主組成物の仮焼条件に対する依存性が少なく、一定した性能を示すことが分かる。特に、後添加組成物の添加量を好ましい範囲に制御するとρ25が小さくなる。
【0065】
これに対し、後添加組成物の組成が本発明の範囲外になったり、後添加組成物の添加量が本発明の範囲外になったりすると、ρ25が極端に大きくなる。また、主組成物と後添加組成物とを分けることなく、一括して製造する方法を採用すると仮焼条件、特に仮焼温度や仮焼雰囲気中の酸素濃度にρ25が影響されやすいことがわかる。
【0066】
このことは、図2、図3からも明らかである。図2の結果からは、本発明による試料No. 1、3、4では仮焼温度が変化してもρ25がほとんど変化しないのに対し、試料No. 19〜21では仮焼温度のわずかな変化によってρ25が大きく変化することがわかる。また、図3の結果からは、試料No. 1、5〜7では酸素濃度の変化によってρ25がほとんど変化しないのに対し、試料No. 19、23〜25ではρ25の酸素濃度のわずかな変化による変化が大きいことがわかる。なお、試料No. 19〜21では仮焼温度を1130℃、1150℃、1170℃と変化させているが、1230℃、1250℃、1270℃と変化させた場合も同様の傾向を示した。また、試料No. 19、23〜25では1150℃にて酸素濃度を変化させているが、1250℃にて変化させた場合も同様の傾向を示した。
【0067】
以上より、本発明の製造方法は、適正な組成を設定し、かつ主組成物と後添加組成物とを分けて作製するという工程を経ることにより、仮焼条件に左右されず安定して高性能の半導体磁器を提供できることがわかる。
【0068】
なお、表1中の本発明の試料No. 1〜9、10、16、17について、前述のようにして抵抗温度係数を求めたところ、10〜20%/℃の範囲にあり、実用上十分であることがわかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、仮焼条件等の製造条件に電気的特性が左右されず、電気的特性にすぐれ安定した性能の正特性半導体磁器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における後添加組成物の組成範囲を示す3元組成図である。
【図2】本発明の焼成体に対する仮焼温度の影響を示すグラフである。
【図3】本発明の焼成体に対する仮焼雰囲気の酸素濃度の影響を示すグラフである。

Claims (6)

  1. BaTiO を主成分としたペロブスカイト型酸化物と半導体化剤とを含有し、Siを実質的に含有しない主組成物およびBaとTiとSiとを、BaO:TiO :SiO =a:b:c[ただしa+b+c=100モル%]で表して、10≦a≦35、10≦b≦60、30≦c≦80の比率で含有する後添加組成物をそれぞれ予め作製し、
    主組成物に後添加組成物を混合したのち本焼成して正特性半導体磁器を得るに際し、
    本焼成によって得られる焼成体中のSi含有量がペロブスカイト型酸化物に対しSiO 換算で0.3〜5モル%となるように後添加組成物を混合する正特性半導体磁器の製造方法。
  2. 前記半導体化剤が、Y、希土類元素、Nb、Ta、W、SbおよびBiの一種類以上である請求項1の正特性半導体磁器の製造方法。
  3. 前記主組成物がMnを含む請求項1または2の正特性半導体磁器の製造方法。
  4. 前記主組成物が固相反応で作製され仮焼温度が1000〜1400℃である請求項1〜3のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
  5. 前記後添加組成物が固相反応で作製され仮焼温度が1000〜1400℃である請求項1〜4のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
  6. 前記本焼成は大気中で行われ、温度が1300〜1400℃である請求項1〜5のいずれかの正特性半導体磁器の製造方法。
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