JP2002220655A - 蒸着源及び蒸着装置 - Google Patents

蒸着源及び蒸着装置

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JP2002220655A
JP2002220655A JP2001017769A JP2001017769A JP2002220655A JP 2002220655 A JP2002220655 A JP 2002220655A JP 2001017769 A JP2001017769 A JP 2001017769A JP 2001017769 A JP2001017769 A JP 2001017769A JP 2002220655 A JP2002220655 A JP 2002220655A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】同軸型アーク蒸着源のメンテナンスに要するコ
ストを低減する技術を提供する。 【解決手段】本発明の蒸着源5は、蒸着材料11と絶縁
碍子14とを有し、蒸着材料11は、蒸発により主に消
耗する部分である主蒸発部分11aと、消耗が少ない従
蒸発部分11bとに分離でき、絶縁碍子14は、主とし
て消耗するつば状碍子14bと、消耗が少ない内筒碍子
14a等とに分離できるように構成されている。このた
め、蒸着材料11や絶縁碍子14が消耗して交換が必要
になった場合でも、主として消耗する主蒸発部分11a
やつば状碍子14bのみを交換すればよいので、交換の
たびごとに、消耗が少ない部分を含めて蒸着材料や絶縁
碍子の全体を交換していた従来に比して、コストを低減
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蒸着源及び蒸着装置
に係り、特に、いわゆる同軸型真空アーク蒸着源と、そ
の蒸着源を用いた蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜は、従来より、半導体装置や液晶表
示装置等の種々の分野に用いられており、スパッタリン
グ装置や蒸着装置等の薄膜形成装置によって、金属薄膜
や磁性薄膜等の多種の薄膜が形成されている。それらの
うち、同軸型真空アーク蒸着源を用いた蒸着装置は、高
真空雰囲気で薄膜を形成できることから、近年注目され
ている技術である。
【0003】従来の蒸着装置の一例を図4の符号101
に示す。この蒸着装置101は、真空槽102と、真空
槽102の内部天井側に配置された基板ホルダ103
と、真空槽102の内部に、基板ホルダ103に対向す
るように配置された蒸着源105とを有している。
【0004】この蒸着源105の詳細な構成を図5に示
す。この蒸着源105は、ステンレスが筒状に成形され
てなるアノード電極123を有している。
【0005】図4に示すように、真空槽102の内部底
面には貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に蓋するよ
うに、取付フランジ150が配置されている。取付フラ
ンジ150には、鉛直に配置された複数本の支柱151
の下端が固定されており、支柱151の上端には、蒸着
源105のアノード電極123が固定されている。
【0006】この蒸着源105は、図5に示すように板
状のベースプレート119と、カソード電極112と、
蒸着材料111と、トリガ電極113と絶縁碍子114
とを有している。
【0007】上述したアノード電極123の内部側面に
は、円板状のベースプレート119の端部が固定されて
おり、カソード電極112は、このベースプレート11
9と絶縁された状態で、ベースプレート119の表面側
に配置されている。
【0008】蒸着材料111は、円柱状に形成された蒸
発部分111aと、一端が蒸発部分の底面に垂直に配置
された棒状のねじ部111bとを有している。ねじ部1
11bの先端には、ねじが切られている。他方、カソー
ド電極112の表面には、ねじ孔が設けられており、ね
じ部111b先端のねじにより、蒸着材料111はカソ
ード電極112にねじ止め固定されている。
【0009】また、カソード電極112と蒸着材料11
1との間には、絶縁碍子114及びその周囲に配置され
たリング状のトリガ電極113が配置されており、トリ
ガ電極113は絶縁碍子114により、カソード電極1
12と蒸着材料111との両方と絶縁されている。この
とき蒸着材料111、絶縁碍子114及びトリガ電極1
13の側面は、面一になっている。
【0010】上述したベースプレート119には、貫通
孔が設けられており、その貫通孔には、円筒部分116
aと、その上部に配置されたリング状部分116bとを
備えたスリーブ116が挿通されており、円筒部分11
6aはベースプレート119の裏面側から露出してい
る。露出した円筒部分116aの周囲には、アルミナな
どの絶縁材からなるリング状のスリーブ押え117が配
置されている。スリーブ116の上には、上述したカソ
ード電極112が配置されている。カソード電極112
の下端は円筒部分116aを挿通してベースプレート1
19の裏面側に露出している。カソード電極112の下
端にはねじが切られており、そのねじがナット118で
ねじ止めされることにより、カソード電極112は、ス
リーブ116及びスリーブ押え117を挟み付けた状態
で、ベースプレート119表面に固定されている。この
状態で、カソード電極112の下端は、ベースプレート
119の裏面側に露出している。
【0011】トリガ電極113には、トリガ配線121
の一端が接続されている。トリガ配線121は、その周
囲がトリガ配線碍子122によって被覆されている。上
述したベースプレート119には、その表裏を貫通する
小孔が設けられ、トリガ配線121及びトリガ配線碍子
122は、この小孔を気密に挿通されてベースプレート
119の裏面側に引き出されている。
【0012】このように、トリガ配線121、カソード
電極112、アノード電極123は、真空槽102の内
部に収納され、これらのカソード電極112、トリガ配
線121及びアノード電極123は、取付フランジ15
0を気密に挿通して配置された電流導入端子1631
1632、1633の一端にそれぞれ接続されている。各
電流導入端子1631、1632、1633の他端は真空
槽102の外部に露出しており、ともに真空槽102の
外部に配置された電源装置106と接続されている。
【0013】この電源装置106はトリガ電源131と
アーク電源132とを有している。トリガ電源131
は、トリガ電極113に、蒸着材料111に対して正の
パルス状の電圧を印加することができるように構成され
ている。他方、アーク電源132は、アノード電極12
3に対して、蒸着材料111に負の直流電圧を印加する
ことができるように構成されている。
【0014】上記のような構成の蒸着装置101を用い
て、基板表面に薄膜を形成する場合には、まず、真空槽
102内に基板104を搬入して、基板ホルダ103に
保持させて蒸着源105と対向配置させておき、真空槽
102内を高真空雰囲気にしておく。
【0015】次いで、アーク電源132により、アノー
ド電極123に対して、蒸着材料111に負の直流電圧
を印加しておく。その状態でトリガ電源131を起動
し、トリガ電極113に正のパルス電圧を印加する。
【0016】すると、図6にその拡大図を示すように、
蒸着材料111の側面144とトリガ電極113の側面
142との間でトリガ放電(沿面放電)が発生し、蒸着材
料の側面144から蒸着材料111の構成物質が蒸発
し、蒸気や、イオンや電子等が発生する。
【0017】それらの蒸気、イオン、電子等によってア
ノード電極123内の圧力が上昇し、アノード電極12
3と蒸着材料111との間の絶縁耐圧が低下すると、蒸
着材料111とアノード電極123との間でアーク放電
が発生する。アーク放電により、蒸着材料111が蒸発
すると、正電荷を有する荷電微粒子が、蒸着材料の側面
144からアノード電極123に向けて大量に放出され
る。
【0018】かかるアーク放電によって生じたアーク電
流により、アノード電極123内に磁場が形成される。
その磁場は、正電荷を有する粒子に対し、アノード電極
123の開口部125方向に押しやる力を及ぼすので、
アノード電極123に向けて放出された荷電微粒子15
1は、飛行方向が開口部125側に曲げられ、真空槽1
02内に放出され、開口部125に対向配置された基板
104の表面に到達すると、基板104の表面に、薄膜
が成長する。
【0019】蒸着材料の側面144からは、荷電微粒子
151の他、電荷を有さない中性粒子152や、正電荷
を有していても電荷量に比べて質量が大きい巨大粒子1
53もアノード電極123に向けて放出されるが、それ
らの中性粒子152や巨大粒子153は、アノード電極
123内の磁場による力をほとんど受けないため、その
まま直進し、アノード電極123の内周面に衝突し、大
部分はそこに付着する。このため、基板104表面に
は、質量が小さい荷電微粒子151のみが到達できるの
で、その結果、基板104表面に、結晶性の優れた薄膜
を形成できる。
【0020】上述した蒸着材料111は蒸発して消耗す
るため、長期間使用するとトリガ放電が生じなくなり、
使用できなくなる。そのときには、蒸着材料111を新
しいものと交換する必要がある。
【0021】図7(a)、(b)に、蒸着材料111や、絶
縁碍子114の拡大断面図を示す。図7(a)は使用前の
新しい状態の蒸着材料等を示しており、同図(b)は、交
換必要な状態の蒸着材料等を示している。
【0022】上述した絶縁碍子114は、トリガ碍子1
14cと、ハット型碍子114aとを有している。トリ
ガ碍子114cは、リング状に形成され、カソード電極
112の表面に配置されている。
【0023】ハット型碍子114aは、円筒状の内筒部
分114a1と、その底面に形成されたフランジ部分1
14a2とを備えている。内筒部分114a1は、フラン
ジ部分114a2が上方に位置した状態でトリガ電極1
13の中空内部に挿通されている。この内筒部分114
1は、外径が円筒状のトリガ電極113の内径と等し
く、かつその高さがトリガ電極113の高さと等しくな
っており、内筒部分114a1はトリガ電極113の内
部に納まっている。
【0024】かかるハット型碍子114aの内部中空及
びトリガ碍子114cの内部中空とカソード電極112
の孔は連通しており、その内部には、蒸着材料111の
ねじ部111bが挿通されている。トリガ碍子114
c、フランジ部分114a2、トリガ電極113及び蒸
発部分111aの外径は互いに等しくなっており、これ
らの側面は面一になっている。
【0025】上述したように、蒸着材料111はその側
面から蒸発するが、トリガ電極113近傍の蒸着材料1
11の側面では、トリガ放電によって生じた荷電微粒子
の空間密度は均一ではなく、トリガ電極近傍の位置にお
ける荷電微粒子の空間密度は、トリガ電極から離れた位
置における荷電微粒子の空間密度に比して大きい。従っ
て、アーク電流は、トリガ電極近傍に位置する蒸着材料
111の側面において大きく流れ、その結果、蒸着材料
111は、図7(b)に示すように、トリガ電極近傍のご
く一部の側面でその大部分が蒸発して消耗することにな
る。この場合、ねじ部111b等はほとんど消耗しない
が、蒸着材料111を交換する際には、このようにほと
んど消耗しないねじ部111bまで含めた蒸着材料11
1全体を交換しなければならなかった。
【0026】また、図7(b)に示すように、ハット型碍
子114aも放電により消耗するが、このハット型碍子
114aも、トリガ電極113近傍に位置するフランジ
部分114a2のみが消耗し、トリガ電極113内部に
配置される円筒部114aはほとんど消耗しないにも関
わらず、その円筒部114aを含めたハット型碍子11
4a全体を交換しなければならない。
【0027】さらに、放電により、蒸着材料の一部は、
トリガ配線碍管122の表面に付着する。蒸着装置を長
期間使用すると、付着した蒸着材料の付着量が増え、蒸
着材料がベースプレートとトリガ配線の両方に付着する
と、ベースプレート及びトリガ配線が、その蒸着材料を
介して電気的に接続されてしまうことがある。ベースプ
レート119はアノード電極123に直接接触し、互い
に電気的に接続されているので、絶縁されるべきトリガ
電極113とアノード電極123とが短絡するという不
都合が生じてしまう。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、同軸型真空アーク蒸着源のメンテナンスのコス
トを低減する技術を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、アノード電極と、カソード
電極と、トリガ電極と、前記カソード電極に接続された
蒸着材料とを有し、前記蒸着材料は、その一面が前記ア
ノード電極と対向し、前記トリガ電極に近接した位置に
配置され、前記カソード電極と前記アノード電極との間
に電圧を印加した状態で、前記トリガ電極に電圧を印加
すると、該トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放
電が発生し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間に
アーク放電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が蒸発
するように構成された蒸着源であって、前記蒸着材料
は、前記アノード電極と対向する一面が前記トリガ電極
に近い位置に位置し、かつ前記構成物質が主として蒸発
する部分である主蒸発部分と、前記アノード電極と対向
する一面が前記主蒸発部分に比して前記トリガ電極と遠
い位置に位置し、前記主蒸発部分に比して前記構成物質
の蒸発量が少ない部分である従蒸発部分とを有し、前記
主蒸発部分は、前記従蒸発部分に対して交換可能に構成
されている。請求項2記載の発明は、請求項1記載の蒸
着源であって、前記従蒸発部分は、前記カソード電極に
着脱可能に取り付けられるように構成されている。請求
項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1
項記載の蒸着源であって、前記主蒸発部分はリング状に
形成され、前記従蒸発部分は、軸部分と、該軸部分の先
端に固定されたフランジ部とを有し、前記軸部分が、前
記主蒸発部分を挿通して配置されている。請求項4記載
の発明は、請求項2又は請求項3のいずれか1項記載の
蒸着源であって、前記軸部分の先端には、ねじが設けら
れ、前記従蒸発部分は、前記カソード電極にねじ止め固
定できるように構成されている。請求項5記載の発明
は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の蒸着源
であって、前記蒸着材料と前記トリガ電極との間に配置
された絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、主として前記
アーク放電又はトリガ放電により消耗する部分である主
消耗部分と、前記主消耗部分に比して前記アーク放電又
はトリガ放電により消耗する量が少ない部分である従消
耗部分とを備え、前記主消耗部分は、前記蒸着材料の前
記従蒸発部分を前記カソード電極から取り外した状態で
交換可能に構成されている。請求項6記載の発明は、請
求項5記載の蒸着源であって、前記従消耗部分は、円筒
状に形成され、前記主消耗部分は、リング状に形成さ
れ、前記従消耗部分の底面に配置されている。請求項7
記載の発明は、筒状のアノード電極と、端部が前記アノ
ード電極の内部壁面に固定された状態で、前記アノード
電極内に配置された板状のベースプレートと、カソード
電極と、前記カソード電極に接続された状態で前記アノ
ード電極内に配置された蒸着材料と、前記蒸着材料近傍
に配置されたトリガ電極と、前記トリガ電極に接続され
たトリガ配線とを有し、前記カソード電極と前記アノー
ド電極との間に電圧を印加した状態で、前記トリガ電極
に電圧を印加すると、該トリガ電極と前記蒸着材料との
間にトリガ放電が発生し、前記アノード電極と前記蒸着
材料との間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料の構
成物質が蒸発して、前記アノード電極の開口から放出さ
れるように構成された蒸着源であって、前記ベースプレ
ートの端部の一部は、前記アノード電極の内部壁面と非
接触であって、前記ベースプレートの端部の一部と前記
アノード電極の内部側面との間に空隙が形成され、前記
トリガ配線は、前記空隙を挿通するように配置されてい
る。請求項8記載の発明は、蒸着装置であって、真空槽
と、前記真空槽の内部天井側に配置された基板ホルダ
と、前記基板ホルダと対向して前記真空槽の内部底面側
に配置された請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載
の蒸着源とを有する。
【0030】本発明の蒸着源によれば、蒸着材料は、構
成物質が主に蒸発する部分である主蒸発部分と、主蒸発
部分に比して構成物質の蒸発量が少ない部分である従蒸
発部分とを有し、主蒸発部分は、従蒸発部分に対して交
換可能に構成されている。
【0031】このため、主蒸発部分のみが蒸発して消耗
しても、蒸着材料全体を交換しなければならなかった従
来と異なり、従蒸発部分は交換せずに、主蒸発部分のみ
を交換することにより、蒸着材料の交換に要するコスト
を低減できる。
【0032】なお、本発明の蒸着源において、蒸着材料
とトリガ電極との間に配置された絶縁部材を有し、この
絶縁部材は放電により主として消耗する部分である主消
耗部分と、主消耗部分に比して消耗する量が少ない部分
である従消耗部分とを備え、主消耗部分は、蒸着材料の
従蒸発部分を前記電極から取り外した状態で交換可能に
構成してもよい。
【0033】このように構成することにより、主消耗部
分のみが蒸発して消耗しても、絶縁部材全体を交換しな
ければならなかった従来と異なり、従消耗部分は交換せ
ずに、主消耗部分のみを交換することにより、交換に要
するコストを低減できる。
【0034】また、本発明の蒸着源において、筒状のア
ノード電極と、ベースプレートと、トリガ配線とを有
し、ベースプレートの端部の一部は、アノード電極の内
部壁面と非接触であり、トリガ配線は、ベースプレート
の端部の一部とアノード電極の内部壁面との間の空隙を
通ってベースプレートの表面側から裏面側に位置するよ
うに構成してもよい。
【0035】このように構成することにより、トリガ配
線とベースプレートとの間の距離を大きくとることがで
きるので、蒸着源を長期間使用し、カソードターゲット
の構成物質がトリガ配線に付着し、その付着量が多くな
っても、ベースプレートにはほとんど接触しないように
なるので、トリガ配線とベースプレートとが構成物質を
介して短絡しにくくなる。また、トリガ配線の周囲を絶
縁碍管で被覆した場合には、トリガ配線とベースプレー
トとの間の距離が大きくなることにより、従来に比して
その絶縁碍管の交換を容易にすることができる。また、
本発明の蒸着装置によれば、本発明の蒸着源を備えてい
るので、蒸着源のメンテナンスに要するコストや手間を
軽減することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図1(a)の符号1は本発明の蒸着
装置であり、真空槽2を有している。真空槽2内部に
は、基板ホルダ3と、同軸型真空アーク方式の蒸着源5
とが配置されている。
【0037】本発明の一実施形態の蒸着装置を図1の符
号1に示す。この蒸着装置1は、真空槽2と、真空槽2
の内部天井側に配置された基板ホルダ3と、真空槽2の
内部底面に、基板ホルダ3に対向するように配置された
蒸着源5とを有している。
【0038】この蒸着源5の詳細な構成を図2に示す。
この蒸着源5は、ステンレスが円筒状に成形されてなる
アノード電極23を有している。真空槽2の内部底面に
は貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に蓋するよう
に、取付フランジ50が配置されている。取付フランジ
50には、鉛直に配置された支柱51の下端が固定され
ており、その上端には、蒸着源5のアノード電極23が
固定されている。
【0039】この蒸着源5は、板状のベースプレート1
9と、カソード電極12と、蒸着材料11と、トリガ電
極13と絶縁碍子14とを有している。上述したアノー
ド電極23の内部には、その外径がアノード電極23の
内径に等しく、円板状に形成された金属製のベースプレ
ート19が取り付けられており、カソード電極12は、
このベースプレート19と絶縁された状態で、ベースプ
レート19の表面側に配置されている。
【0040】蒸着材料11は、リング状の主蒸発部分1
1aと、従蒸発部分11bとを有している。この従蒸発
部分11bは、軸部11b1と、その一端に固定された
フランジ部11b2を備え、軸部11b1は主蒸発部分1
1aを挿通して配置されている。この軸部11b1の他
端にはねじが切られている。他方、カソード電極12の
表面にはねじ孔が設けられ、軸部11b1先端がこのね
じ孔に締め付けられることで、蒸着材料11はカソード
電極12にねじ止め固定されている。
【0041】カソード電極12と蒸着材料11との間に
は、本発明の絶縁部材の一例である絶縁碍子14と、そ
の周囲に配置されたリング状のトリガ電極13とが配置
されており、トリガ電極13、絶縁碍子14及び蒸着材
料11の側面は面一になっている。この状態で、トリガ
電極13は絶縁碍子14により、カソード電極12と蒸
着材料11との両方と電気的に絶縁されている。
【0042】上述したベースプレート19には、貫通孔
が設けられており、その貫通孔には、円筒部分16a
と、その上部に配置されたリング状部分16bとを備え
たスリーブ16が挿通され、この円筒部分16aはベー
スプレート19の裏面側から露出している。露出した円
筒部分16aの周囲には、アルミナなどの絶縁材からな
るリング状のスリーブ押え17が配置されている。スリ
ーブ16の上には、上述したカソード電極12が配置さ
れている。カソード電極12の下端は円筒部分16aを
挿通してベースプレート19の裏面側に突出している。
カソード電極12の下端にはねじが切られており、その
ねじがナット18でねじ止めされることにより、カソー
ド電極12は、スリーブ16及びスリーブ押え17を挟
み付けた状態で、ベースプレート19表面に固定されて
いる。この状態でカソード電極12は、スリーブ16及
びスリーブ押え17でベースプレート19とは絶縁され
ており、カソード電極12の下端は、ベースプレート1
9の裏面側に突出している。
【0043】ベースプレート19の端部の一部は切削さ
れており、アノード電極23がベースプレート19の側
面に固定された状態では、その端部の一部とアノード電
極23の内部側面との間に空隙が形成されている。その
空隙を図2の符号19aに示す。
【0044】また、トリガ電極13には、トリガ配線2
1の一端が接続されている。トリガ配線21は、その周
囲がトリガ配線碍管22によって被覆されている。これ
らのトリガ配線21及びトリガ配線碍管22は、ベース
プレート19の端部と所定距離離間した状態で空隙19
aを挿通し、ベースプレート19の裏面側に引き出され
ている。ここではトリガ配線碍管22と、ベースプレー
ト19端部との距離は約2mmになっている。
【0045】上述したように、カソード電極12及びト
リガ配線21は、それぞれがベースプレート19の裏面
側に突出している。取付フランジ50には、それを気密
に挿通する3本の電流入力端子631、632、633
垂直に配置されており、カソード電極12及びトリガ配
線21は、ベースプレート19の裏面側に配置されたコ
ネクタ621、622を介して、二本の電流入力端子63
1、632の一端にそれぞれ接続されている。また、アノ
ード電極23はベースプレート19と電気的に接続され
ているが、ベースプレート19には残り一本の電流入力
端子633が接続されており、カソード電極12、トリ
ガ配線21及びアノード電極23はそれぞれ電流入力端
子631、632、633と電気的に接続されている。
【0046】各電流入力端子631、632、633の下
端は、取付フランジ50の下方から真空槽2の外部に露
出しており、これらの電流入力端子631、632、63
3は、ともに真空槽2の外部に配置された電源装置6と
接続されている。
【0047】この電源装置6はトリガ電源31とアーク
電源32とを有している。トリガ電源31は、その出力
端子がそれぞれ電流入力端子631、632及びコネクタ
621、622を介して、トリガ配線21とカソード電極
12に接続されている。トリガ配線21はトリガ電極1
3と電気的に接続され、カソード電極12は蒸着材料1
1と電気的に接続されており、トリガ電源31を起動す
ると、トリガ電極13に、蒸着材料11に対して正のパ
ルス状電圧が印加される。ここでは、トリガ電極13
に、蒸着材料11に対して+3.4kVのパルス状の電
圧が印加される。
【0048】他方、アーク電源32は、その出力端子が
電流入力端子631、633を介してアノード電極23と
カソード電極12に接続されており、その出力端子間に
電圧を生じさせ、その電圧をアノード電極23と蒸着材
料11との間に印加することができるように構成されて
いる。かかるアーク電源32は、アノード電極23に対
して、蒸着材料11に負の直流電圧を印加できるように
なっており、ここでは−90Vの直流電圧を印加してい
る。
【0049】上記のような構成の蒸着装置1を用いて、
基板表面に薄膜を形成する場合には、まず、予め真空槽
2内に基板4を搬入し、基板4の表面が蒸着源5と対向
するように基板ホルダ3に保持させ、真空槽2内を高真
空雰囲気にしておく。
【0050】次いで、アーク電源32により、アノード
電極23に対して、蒸着材料11に負の直流電圧を印加
した状態で、トリガ電源31を起動し、トリガ電極13
に正のパルス電圧を印加する。
【0051】すると、蒸着材料11の側面とトリガ電極
13の側面との間でトリガ放電(沿面放電)が発生し、蒸
着材料11の側面から、その構成物質が蒸発し、蒸気が
発生する。
【0052】その蒸気によってアノード電極23内部の
圧力が上昇し、アノード電極23と蒸着材料11との間
の絶縁耐圧が低下すると、蒸着材料11とアノード電極
23との間でアーク放電が発生する。
【0053】アーク放電により、蒸着材料11が蒸発す
ると、正電荷を有する荷電微粒子が、蒸着材料11の側
面からアノード電極23に向けて大量に放出される。か
かるアーク放電によって生じたアーク電流により、アノ
ード電極23内に磁場が形成される。その磁場は、正電
荷を有する粒子に対し、アノード電極23の開口部25
方向に押しやる力を及ぼすので、アノード電極23に向
けて放出された荷電微粒子は、飛行方向が開口部25側
に曲げられ、真空槽2内に放出され、開口部25に対向
配置された基板4の表面に到達すると、基板4の表面に
薄膜が成長する。
【0054】蒸着材料11の側面からは、中性粒子や、
質量が大きい巨大粒子もアノード電極23に向けて放出
されるが、それらの中性粒子や巨大粒子は、アノード電
極23内の磁場による力をほとんど受けないため、その
まま直進し、アノード電極23の内周面に衝突し、大部
分はそこに付着する。
【0055】従って、基板4表面には、巨大粒子は到達
しにくくなり、質量が小さい荷電微粒子が到達できるの
で、その結果、基板4表面に、結晶性の優れた薄膜を形
成できる。
【0056】以上のように、本実施形態の蒸着装置1で
は基板4の表面に結晶性の良い薄膜を形成することがで
きるが、かかる蒸着装置1を長期間使用すると、蒸着材
料11が蒸発により消耗し、トリガ放電が生じなくなっ
てしまう。また、上述したトリガ放電又はアーク放電に
より、トリガ電極13近傍の絶縁碍子14も消耗して、
トリガ電極13と蒸着材料11との間の絶縁性が確保で
きなくなる。従って、これらの蒸着材料11や、絶縁碍
子14は、一定の期間ごとに交換する必要がある。
【0057】上述した絶縁碍子14の詳細な構成を以下
で説明する。この絶縁碍子14は図2に示すように、内
筒碍子14aと、つば状碍子14bと、トリガ碍子14
cとからなる。このうち、内筒碍子14aは本発明の主
消耗部分の一例を構成し、つば状碍子14bとトリガ碍
子14cは本発明の従消耗部分の一例を構成している。
【0058】内筒碍子14aは、絶縁材が円筒上に形成
されてなる。内筒碍子14aは、その外径は円筒状のト
リガ電極13の内径と等しく、かつ、その高さがトリガ
電極13の高さと等しくなっており、内筒碍子14aは
トリガ電極13の中空内部にちょうど納まった状態で配
置されている。
【0059】かかる内筒碍子14aの内部中空と、つば
状碍子14b及びトリガ碍子14cの内部中空とは連通
しており、その内部には、蒸着材料11の軸部11b1
が挿通されている。
【0060】つば状碍子14b及びトリガ碍子14c
は、いずれもリング状に形成され、それぞれが内筒碍子
14aの上下に配置されている。つば状碍子14b、ト
リガ碍子14c、トリガ電極13の外径は、蒸着材料の
主蒸発部分11aの外径と等しくなっており、主蒸発部
分11a、つば状碍子14b、トリガ電極13及びトリ
ガ碍子14cの側面は面一になっている。
【0061】以下で、蒸着材料11及び絶縁碍子14の
交換工程について図3(a)〜(d)を参照しながら説明す
る。図3(a)は、蒸着材料11及び絶縁碍子14が消耗
して、交換が必要になった状態を示している。
【0062】図3(a)に示すように、蒸着材料11のう
ち、主として消耗しているのは、トリガ電極13の側面
近傍に配置された主蒸発部分11aのみであり、従蒸発
部分11bはほとんど消耗していない。
【0063】同様に、絶縁碍子14のうち、主として消
耗しているのは、その側面がトリガ電極13の側面近傍
に配置されたつば状碍子14bであり、内筒碍子14a
や、トリガ碍子14cはほとんど消耗していない。
【0064】図3(a)の状態から、まず、蒸着材料11
の従蒸発部分11bを回し、軸部11b1先端のねじを
緩め、カソード電極12から従蒸発部分11bを取り外
した後、従蒸発部分11bを主蒸発部分11a、つば状
碍子14b、内筒碍子14a及びトリガ碍子14cから
引き抜く。その状態を図3(b)に示す。
【0065】上述したように、主として消耗しているの
は主蒸発部分11aとつば状碍子14bのみであるの
で、図3(b)に示す状態から、消耗したつば状碍子14
bと、主蒸発部分11aのみを取り外す。
【0066】次いで、トリガ電極13及び内筒碍子14
aの上に、新しいつば状碍子14b′と新しい主蒸発部
分11a′とを順次乗せ、新しいつば状碍子14b′の
中空の開口及び新しい主蒸発部分11a′の中空の開口
とが内筒碍子14aの中空と連通するように位置合わせ
する。その後、主蒸発部分11aの上方に、軸部11b
1の先端が下方に位置するように、従蒸発部分11bを
配置する(図3(c))。
【0067】その状態で、従蒸発部分11bを下降さ
せ、従蒸発部分11bの軸部11b1を、新しい主蒸発
部分11a′、新しいつば状碍子14b′、内筒碍子1
4a及びトリガ碍子14cの中空に挿通させ、従蒸発部
分11bの先端を、トリガ碍子14c下方のカソード電
極12の表面に形成された孔まで到達させる。軸部11
1の先端にはねじが切られており、このねじをカソー
ド電極12にねじ止めすると、新しい主蒸発部分11
a′、新しいつば状碍子14b′、内筒碍子14a、ト
リガ電極13及びトリガ碍子14cは、従蒸発部分11
bとカソード電極12との間に挟み付けられた状態で、
密着して固定される。その状態を図3(d)に示す。以上
の工程を経て交換は終了する。
【0068】以上説明したように、本実施形態の蒸着材
料11は、主として蒸発する主蒸発部分11aと、これ
に比して蒸発が少ない従蒸発部分11bとに分離可能で
あり、また、絶縁碍子14は、主として消耗するつば状
碍子14bと、消耗が少ない内筒碍子14aとに分離可
能であるので、蒸着材料11やハット型碍子14の交換
の際には、消耗した部分である主蒸発部分11aや、つ
ば状碍子14bのみを交換することができる。
【0069】交換した後に、蒸着源5を使用し、主蒸発
部分11aや、つば状碍子14bが交換必要な状態にな
っても、従蒸発部分11bや内筒碍子14aはほとんど
消耗しないため、主蒸発部分11aや、つば状碍子14
bを複数回交換した場合においても、従蒸発部分11b
や内筒碍子14a等の交換回数は、主蒸発部分11a
や、つば状碍子14bの交換回数に比してごく少なくて
済む。
【0070】その結果、従蒸発部分11bや内筒碍子1
4aは、かなりの長期にわたって交換しなくともよいの
で、交換のたびごとに、消耗しない部分を含めた蒸着材
料全体やハット型碍子全体を交換していた従来に比し
て、新品の部品に要するコストを削減することができ、
交換の際に要するコストを従来に比して低減することが
できる。
【0071】さらに、本発明では、上述したように、ア
ノード電極23がベースプレート19の側面に固定され
た状態で、ベースプレート19の端部の一部とアノード
電極23の内部側面との間には空隙19aが形成されて
おり、この空隙19aを通ってトリガ配線21及びトリ
ガ配線碍管22は、ベースプレート19の裏面側に引き
出されている。
【0072】このとき、ベースプレート19とトリガ配
線碍管22の表面との間の距離は、従来に比して約2倍
に大きくなっているので、蒸着装置1を長期間使用し、
トリガ配線碍管22の表面に蒸着材料が付着し、その付
着量が増えても、付着した蒸着材料がベースプレート1
9とトリガ配線21の両方に付着し、ベースプレート1
9及びトリガ配線21が、その蒸着材料を介して短絡す
るという不都合はほとんど生じない。また、ベースプレ
ート19とトリガ配線碍管22の表面との間の距離が3
〜4mmと大きいことにより、トリガ配線碍管表面がベー
スプレートと密着していた従来よりも、トリガ配線碍管
22の交換が容易になる。
【0073】なお、本実施形態では、蒸着材料11がリ
ング状の主蒸発部分11aと、フランジ部11b2及び
軸部11b1を備えた従蒸発部分11bとを備えたもの
としたが、本発明の従蒸発部分はカソード電極12に着
脱可能に取り付けられるように構成されていればいかな
る形状でもよく、また、主蒸発部分は、従蒸発部分をカ
ソード電極12から取り外した状態で、交換できるよう
に構成されていれば、いかなる形状でもよい。
【0074】これと同様に、本発明の主消耗部分の一例
であるつば状碍子14a2は、リング状に形成されてい
るが、本発明の主消耗部分はこれに限られるものではな
く、従蒸発部分11bを取り外した状態で交換できるよ
うな形状に構成されていれば、いかなる形状でもよい。
【0075】また、本発明において、ベースプレート1
9端部とトリガ配線碍管22との間の距離を2mmとして
いるが、この間の距離はこれに限られるものではなく、
この距離が2mm以上、例えば3mmになるように構成して
もよい。この距離を大きくとることにより、トリガ配線
21とベースプレート19との間の絶縁性を十分に確保
することができる。
【0076】さらに、トリガ配線21表面とベースプレ
ート19端部との間の距離を3mm以上とることができる
場合には、トリガ配線21とベースプレート19端部と
の間の絶縁性を十分に確保することができるので、トリ
ガ配線碍管22を設ける必要もなくなる。この場合に
は、メンテナンスの際にトリガ配線碍管22を交換しな
くて済むので、メンテナンス作業を更に軽減することが
できる。
【0077】
【発明の効果】同軸型アーク蒸着源のターゲット交換等
のメンテナンスに要するコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の蒸着装置を説明する断面
【図2】本発明の一実施形態の蒸着源を説明する断面図
【図3】(a):本発明の一実施形態の蒸着材料交換の際
の手順を説明する第1の図 (b):本発明の一実施形態の蒸着材料交換の際の手順を
説明する第2の図 (c):本発明の一実施形態の蒸着材料交換の際の手順を
説明する第3の図 (d):本発明の一実施形態の蒸着材料交換の際の手順を
説明する第4の図
【図4】従来の蒸着装置を説明する断面図
【図5】従来の蒸着源を説明する断面図
【図6】蒸着源の蒸発状態を説明する図
【図7】(a):従来の蒸着源の構成を説明する断面図 (b):従来の蒸着源の動作を説明する断面図
【符号の説明】
1……蒸着装置 2……真空槽 5……蒸着源 11…
…蒸着材料 11a……主蒸発部分 11b……従蒸発
部分 12……カソード電極 13……トリガ電極 1
4……絶縁碍子(絶縁部材) 14a……内筒碍子(従消
耗部分) 14b……つば状碍子(主消耗部分) 19…
…ベースプレート 19a……空隙 21……トリガ配
線 23……アノード電極

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノード電極と、カソード電極と、トリガ
    電極と、前記カソード電極に接続された蒸着材料とを有
    し、 前記蒸着材料は、その一面が前記アノード電極と対向
    し、前記トリガ電極に近接した位置に配置され、 前記カソード電極と前記アノード電極との間に電圧を印
    加した状態で、前記トリガ電極に電圧を印加すると、該
    トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生
    し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放
    電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が蒸発するよう
    に構成された蒸着源であって、 前記蒸着材料は、前記アノード電極と対向する一面が前
    記トリガ電極に近い位置に位置し、かつ前記構成物質が
    主として蒸発する部分である主蒸発部分と、 前記アノード電極と対向する一面が前記主蒸発部分に比
    して前記トリガ電極と遠い位置に位置し、前記主蒸発部
    分に比して前記構成物質の蒸発量が少ない部分である従
    蒸発部分とを有し、 前記主蒸発部分は、前記従蒸発部分に対して交換可能に
    構成された蒸着源。
  2. 【請求項2】前記従蒸発部分は、前記カソード電極に着
    脱可能に取り付けられるように構成された請求項1記載
    の蒸着源。
  3. 【請求項3】前記主蒸発部分はリング状に形成され、 前記従蒸発部分は、軸部分と、該軸部分の先端に固定さ
    れたフランジ部とを有し、前記軸部分が、前記主蒸発部
    分を挿通して配置された請求項1又は請求項2のいずれ
    か1項記載の蒸着源。
  4. 【請求項4】前記軸部分の先端には、ねじが設けられ、 前記従蒸発部分は、前記カソード電極にねじ止め固定で
    きるように構成された請求項2又は請求項3のいずれか
    1項記載の蒸着源。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載
    の蒸着源であって、前記蒸着材料と前記トリガ電極との
    間に配置された絶縁部材を有し、 前記絶縁部材は、主として前記アーク放電又はトリガ放
    電により消耗する部分である主消耗部分と、 前記主消耗部分に比して前記アーク放電又はトリガ放電
    により消耗する量が少ない部分である従消耗部分とを備
    え、 前記主消耗部分は、前記蒸着材料の前記従蒸発部分を前
    記カソード電極から取り外した状態で交換可能に構成さ
    れた蒸着源。
  6. 【請求項6】前記従消耗部分は、円筒状に形成され、 前記主消耗部分は、リング状に形成され、前記従消耗部
    分の底面に配置された請求項5記載の蒸着源。
  7. 【請求項7】筒状のアノード電極と、 端部が前記アノード電極の内部壁面に固定された状態
    で、前記アノード電極内に配置された板状のベースプレ
    ートと、 カソード電極と、 前記カソード電極に接続された状態で前記アノード電極
    内に配置された蒸着材料と、 前記蒸着材料近傍に配置されたトリガ電極と、 前記トリガ電極に接続されたトリガ配線とを有し、 前記カソード電極と前記アノード電極との間に電圧を印
    加した状態で、前記トリガ電極に電圧を印加すると、該
    トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生
    し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放
    電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が蒸発して、前
    記アノード電極の開口から放出されるように構成された
    蒸着源であって、 前記ベースプレートの端部の一部は、前記アノード電極
    の内部壁面と非接触であって、前記ベースプレートの端
    部の一部と前記アノード電極の内部側面との間に空隙が
    形成され、 前記トリガ配線は、前記空隙を挿通するように配置され
    た蒸着源。
  8. 【請求項8】真空槽と、 前記真空槽の内部天井側に配置された基板ホルダと、 前記基板ホルダと対向して前記真空槽の内部底面側に配
    置された請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の蒸
    着源とを有する蒸着装置。
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