JP3038464B2 - イオンプレーティングのプラズマビーム制御方法及び制御装置 - Google Patents

イオンプレーティングのプラズマビーム制御方法及び制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラズマを利用したイオ
ンプレーティングに関し、特にプラズマビームの制御方
法及び制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のイオンプレーティング装置につい
て図8を参照して説明する。このイオンプレーティング
装置は、内部が気密に保たれた真空容器101を備えて
いる。この真空容器101の側壁に形成された装着口1
02には圧力勾配型プラズマ銃のようなプラズマビーム
発生器103が設けられている。真空容器101の装着
口102の周囲外側にはプラズマビームガイド用のステ
アリングコイル104が設置されている。プラズマビー
ム発生器103にはまた、プラズマビーム収束用の第1
中間電極105と、コイル106aを内蔵した第2中間
電極106とが同心的に配置されている。プラズマビー
ム発生器103内には、陰極部を構成するMo(モリブ
デン)筒107が設けられ、このMo筒107内にはL
aB6 (ランタンヘキサボロナイド)の環状板108が
設けられている。
【0003】プラズマビーム発生器103本体と後述す
るハース110との間には直流電圧可変型の主電源10
9が接続され、この主電源109にはまた、抵抗器R1
1、R12を介してそれぞれ、第1中間電極105、第
2中間電極106が接続されている。また、主電源10
9には、スイッチS11と直流の補助放電用電源111
との直列接続部が並列に接続されている。
【0004】真空容器101の底面には、陽極を構成す
るハース110が設置されている。このハース110
は、その本体内にプラズマビームを吸引するための棒磁
石112が埋設されている。ハース110の先端部に
は、蒸着用の蒸着物質113を収納する凹部が形成され
ている。ハース110には主電源109からプラズマビ
ーム発生器103本体に対して正の電位が与えられてい
る。
【0005】ハース110の先端部に対向する真空容器
101内上部には、被処理物体である基板114が搬送
装置115により保持されている。搬送装置115は真
空容器101の外部に設けられたモータ116により基
板114をその面内で回転させる。
【0006】次に、このイオンプレーティング装置の動
作を図9をも用いて説明する。放電開始に際しては、ス
イッチS11をオンにして放電が安定するまで高電圧、
低電流の補助放電用電源111を使用し、放電が安定す
ると低電圧、高電流の主電源109を補助放電が安定し
た時以上の電圧にし、電流を増加させつつスイッチS1
1をオフにして補助放電用電源111の使用を止める。
真空容器101内では、プラズマビーム発生器103本
体の陰極と陽極を構成するハース110との間で放電が
生じ、これによりプラズマビーム120が生成される。
このプラズマビーム120はステアリングコイル104
とハース110内の棒磁石112とにより決定される磁
力線によりガイドされて、ハース110に到達する。こ
れにより、ハース110の先端凹部に収納されている蒸
着物質113が加熱されて蒸発する。この蒸発金属粒子
はプラズマビーム120によりイオン化され、負電圧が
印加された基板114の表面に付着し、被膜が形成され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなイオンプレーティング装置では、図9に白抜きの
矢印で1つの方向を示したように、蒸着物質の粒子の飛
び出す方向が電流値により大きく変化し、基板114に
均一な被膜を形成するのが困難であった。このような問
題点の対策として、基板114を回転させたり、傾斜あ
るいは平行移動させたりする方法が採られているが、装
置の構造が複雑になるという問題がある。
【0008】また、ハース、すなわち陽極上に蒸着物質
113があると、放電開始時の不安定な状態が長時間
(蒸着物質が溶解するまでの時間)続き、陰極部での放
電が速やかに環状板108へ移行しない。これは、陽極
上に塊状の蒸着物質113が存在すると、この蒸着物質
113とハース110との間に隙間が生じて蒸着物質1
13が完全にハース110に接触しないから、プラズマ
が安定しないということに起因している。言い換えれ
ば、蒸着物質113が溶解して陽極との間の隙間が無く
なると、放電は安定する。
【0009】また、放電開始は、スイッチS11を閉じ
て補助放電用電源111により行われるが、この放電は
第1中間電極105とMo筒107との間で行われるの
で、スパッタリング作用により絶縁管(ガラス管)11
8にモリブデンが付着してしまう。これは、絶縁管11
8の清掃あるいは交換のためのメンテナンス期間が短く
なることを意味する。
【0010】更に、放電を安定させるために長時間を要
すると、蒸着物質の種類によっては放電が安定するまで
に蒸着物質が蒸発してしまうという問題点がある。これ
は特に、蒸着物質が昇華性物質、例えばITO(酸化イ
ンジウム)のような場合に顕著である。すなわち、放電
が主放電に移行する前の補助放電の間に蒸発が始って、
主放電が始まる時には蒸着物質の大半が消耗してしまっ
ている。これは蒸着物質が無駄に消費されていることに
なる。このような問題点は、高効率のプラズマビームガ
ンや高出力のプラズマビームガンの場合に顕著になる。
【0011】
【0012】このような問題点に鑑み、本発明の課題
は、設計を難しくすることなく補助放電から主放電への
移行時間の短縮化を図ることのできるプラズマビーム制
御方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の課題は、上記制御方法を実施
するのに適したプラズマビーム制御装置を提案すること
にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるプラズマビ
ーム制御方法は、ビーム発生器からプラズマビームを発
生させ、該プラズマビームをハースの入射面に導き、該
ハース上の蒸着物質を蒸発、イオン化し、該蒸発、イオ
ン化した蒸着物質を前記ハースと対向させて配置された
基板の表面に付着させてイオンプレーティングを行なう
方法において、前記ハースの中心軸に同心で前記ハース
の上部近傍を囲むように環状磁石を含む補助陽極を設
け、前記ビーム発生器から放電を開始する際には、前記
補助陽極側に、主電源に比べて高い電圧及び低い電流の
補助放電用電源を接続することにより、記補助陽極に
プラズマビームの電流を流し、前記放電が安定したら、
前記補助放電電源はオフとし、前記主電源を前記ハース
側に接続し前記ハースにプラズマビームの電流を流す
ようにしたことを特徴とする。
【0015】本発明によるプラズマビーム制御装置は、
ビーム発生器からプラズマビームを発生させ、該プラズ
マビームをハースの入射面に導き、該ハース上の蒸着物
質を蒸発、イオン化し、該蒸発、イオン化した蒸着物質
を前記ハースと対向させて配置された基板の表面に付着
させてイオンプレーティングを行なうイオンプレーティ
ング装置において、前記ハースの中心軸に同心で前記ハ
ースの上部近傍を囲むように環状磁石を設け、該環状磁
石の少なくとも上面を覆う様な環状磁石ケースを設け、
該環状磁石ケースと前記ハースとは絶縁物を介して接続
されており、前記環状磁石ケース及び前記ハースのそれ
ぞれを放電用電源に接続手段を介して接続すると共に、
該接続手段の少なくとも一方に電流制御手段を介在させ
たことを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明においては、放電開始時においてプラズ
マビームは、環状磁石の作る磁力線により、環状磁石ケ
ースとハースの両方に接触する。このことは、環状磁石
ケースとハースを両方とも電極とした放電が可能にな
る。この状態において、環状磁石ケースを補助陽極とし
て使用し、その後、電流制御手段を用いてハース側に徐
々に電流を流し、蒸着物質を溶解して蒸気化、イオン化
を行う。更に、環状磁石ケースに流す電流も増加させる
ことにより、蒸気化した物質のイオン化度を制御するこ
とができる。また、プラズマビームが環状磁石のつくる
カスプ状磁場により、ハース真上を完全に覆うため、よ
り効率的にイオン化を行うことができる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照
して説明する。図1を参照して、本発明を適用したイオ
ンプレーティング装置は、図8に示したイオンプレーテ
ィング装置とは下記の構成において異なり、残りの構成
は基本的に同じである。すなわち、ハース20の周囲に
補助陽極30を設け、これらのそれぞれと直流可変型の
主電源19A及び直流の補助放電用電源19Bとの間に
は、電流制御装置41,42を接続した点が図8に示し
た装置と異なる。
【0018】このイオンプレーティング装置は、真空容
器11の側壁に形成された装着口11cに、圧力勾配型
のプラズマビーム発生器13が設けられている。真空容
器11の外側には、装着口11cを囲むようにプラズマ
ビームガイド用のステアリングコイル12が設置されて
いる。プラズマビーム発生器13には、プラズマビーム
収束用の第1中間電極14、第2中間電極15が同心的
に配置されている。第1中間電極14には磁極軸がプラ
ズマビーム発生器13の中心軸と平行になるように永久
磁石14−1が内蔵され、第2中間電極15にはコイル
15−1が内蔵されている。プラズマビーム発生器13
の絶縁管(ガラス管)16内には、LaB6 の環状板1
7を内蔵し、かつキャリアガスの導入可能なMo筒18
とTa(タンタル)パイプ50とが設けられている。真
空容器11の側壁にはまた、Ar(アルゴン)ガス等の
ガス導入口11aと排出口11bとが設けられている。
【0019】プラズマビーム発生器13本体と第1中間
電極14との間には抵抗器R1を介して主電源19Aが
接続されている。主電源19Aに並列に、スイッチS1
と補助放電用電源19Bとの直列接続部が接続され、主
電源19Aと補助放電用電源19Bの正極側の共通接続
点には、抵抗器R2を介して第2中間電極15が接続さ
れ、更に、抵抗器R3を介して接地されると共に、真空
容器11本体が接続されている。第2中間電極15内の
コイル15−1は、ステアリングコイル12と共に励磁
用の第1の直流電源E1に接続されている。一方、ハー
ス20の上部に対向配置させた被処理物体としての基板
40には負バイアス用の直流電源E2が接続されてい
る。なお、図1では、基板40の搬送系については従来
と同様のものを利用するので図示は省略している。
【0020】ハース20、補助陽極30については、図
1では詳細に図示していないが、図2、図3に拡大して
示すように、水冷却系が組合わされる。ハース20は、
磁極軸を上下方向にした永久磁石21と上板22及び下
板23とを有する。上板22は、その上部に蒸着物質収
容のための凹部22−1を、下部には永久磁石21より
十分大きな収容空間22−2をそれぞれ有する。下板2
3は上板22の下面に固着されている。このようにし
て、ハース20内に水冷空間を形成し、下板23には水
導入口23−1と水導出口23−2とを形成している。
【0021】補助陽極30は、ハース20の中心軸と同
心でハース20の上部近傍を囲むように、かつ、磁極軸
を上下方向にした環状永久磁石31と、ハース20の外
周に、これを囲むように所定の隙間をおいて配置されて
環状永久磁石31を永久磁石21よりやや上方の位置で
保持している環状の磁石ケース32とから成る。磁石ケ
ース32は、環状永久磁石31より十分大きな収容空間
33−1を有する環状の上ケース33とこの上ケース3
3の下面に固着された環状の下ケース34とを有する。
このようにして、磁石ケース32内にも水冷空間を形成
し、下ケース34にも水導入口34−1と水導出口34
−2とを形成している。
【0022】なお、ここではハース20と補助陽極30
の水冷系を共通にするため、冷却水配管35から水導入
口34−1を通して補助陽極30内に導入した冷却水
を、水導出口34−2と水導入口23−1とを接続して
いる冷却水配管24を通してハース20内に導入し、更
に水導出口23−2に接続した冷却水配管25を通して
排出するようにしている。勿論、冷却水の流れは上記と
逆であっても良いし、ハース20と補助陽極30とを独
立した水冷却系で冷却するようにしても良い。
【0023】ハース20を構成している上板22及び下
板23と、磁石ケース32を構成している上ケース33
及び下ケース34の材料としては、いずれもハース20
と同様に熱伝導率の良い導電性材料、例えば銅が使用さ
れる。また、下板23と下ケース34との接合箇所に
は、電気的な絶縁板36が介在するようにされている。
この例では、ハース20と補助陽極30との間の絶縁
は、ハース20の底部側では絶縁板36により、ハース
20の側壁側では補助陽極30との間に所定の隙間を置
くことによりそれぞれ実現しているが、ハース20の側
壁側と補助陽極30との間に絶縁板を介在させるように
しても良いことは言うまでも無い。
【0024】なお、低電流による運転の場合には、水冷
却は不要であり、特に永久磁石21、環状永久磁石31
に耐熱性の高いフェライト系の材料を使用する時も水冷
却は不要である。
【0025】ハース20に内蔵されている永久磁石21
は、プラズマビームガイドのために用いられるが、環状
永久磁石31と永久磁石21との距離(環状永久磁石3
1の厚さ方向の距離)が短かい場合は、プラズマビーム
は環状永久磁石31の磁場によりガイドされるので、永
久磁石21を省略することができる。
【0026】図4は補助陽極30に設けられる磁石の他
の例を示し、環状永久磁石31に代えて、2つの環状電
磁石31A,31Bを同心状に組合わせたものを用いる
ことができる。なお、環状電磁石31A,31Bのそれ
ぞれの磁極軸の方向は中心軸と同じ方向であって、磁極
の向きは互いに逆向きとなるようにする。
【0027】図5は補助陽極30に用いられる磁石の更
に他の例を示す。この例では、環状永久磁石を、多数の
棒状永久磁石31−1を同一円周上に等間隔で配置する
ことにより実現している。これらの棒状永久磁石31−
1は、磁極軸が上下方向を向き、2枚の環状磁性体(例
えば、SUS430等)板31−2でそれらの上下から
挟むようにして一体化される。
【0028】図6、図7はそれぞれ、補助陽極30に用
いる磁石として、環状永久磁石31(図6)、環状電磁
石31A,31B(図7)を用いた場合の磁力線図であ
る。図6の場合、環状永久磁石31の磁極の向きは上下
逆でも良い。一方、図7においては、環状電磁石31
A,31Bによる磁力線の方向は図7の方向と逆でも良
いが、環状電磁石31Aと31Bの磁力線の方向は常に
互いに逆でなければならない。いずれにしても、蒸着金
属を基板に蒸着させる際、プラズマビームは補助陽極に
おける環状磁石ケースに接触し、かつ、カスプ状磁場に
よりハースを取囲む様に形成されているので、蒸発した
金属粒子は必ずプラズマビーム内を通ることになり、イ
オン化効率が高くなって、励起された状態となる。
【0029】図1に戻って動作について説明する。スイ
ッチS1をオンにして補助放電用電源(400V〜60
0Vの高電圧、低電流電源)19Bをオンとし、放電を
開始する。また、補助陽極30側の電流制御装置41を
オンにして、ハース20側の電流制御装置42はオフの
状態にしておく。この場合、第1中間電極14とMo筒
18との間で放電が始まると共に、プラズマビームの電
流は補助陽極30に流れるのでプラズマが安定しやすい
(従来のように蒸着物質が載っているハース20側にプ
ラズマビームの電流が流れないのでプラズマの安定が早
い)。この間、ハース20にはプラズマビームの電流は
流れていないので、ハース20に載っている蒸着物質は
プラズマビームの輻射熱で多少は加熱されるが、従来の
様に急激に加熱されることはない。プラズマが安定した
時点で主電源(低電圧、高電流電源)19Aを電流0の
状態から徐々に増加させてスイッチS1をオフとし、補
助陽極30側の電流制御装置41をオフ、ハース20側
の電流制御装置42をオンにして通常の処理作業を行な
う。
【0030】上述した補助放電から主放電への切り替え
に際しては、デジタル的にオン、オフするよりは、アナ
ログ的に主放電に移行させる方が好ましい。また、ハー
ス20側、補助陽極30側に流れる電流を制御すること
により、イオン化度を制御することができるという特徴
がある。この電流制御方法としては、可変抵抗器やトラ
ンジスタ等の直接制御手段を用いても良いが、発熱や回
路素子の問題があるので、SCRやGTOあるいはIG
BT素子を用いてパルス幅制御により電流制御を行う。
【0031】ところで、上記実施例では、ハース20、
補助陽極30のそれぞれに電流制御装置41、42を接
続しているが、この電流制御装置はハース20、補助陽
極30のいずれか一方に接続されるだけでも良い。例え
ば、放電開始に際して主放電への切り替え時間を短縮す
ることを企図する場合には、電流制御装置はハース20
側のみに接続される。その理由は、放電開始に際しては
プラズマビームの電流を補助陽極30側に流す必要があ
り、補助陽極30側に主電源19Aが接続されていても
何等問題は無い。しかし、放電開始に際しては、プラズ
マビームの電流はハース20側に流れない方が良いの
で、電流制御装置によりハース20と電源との接続を断
にする必要があるからである。
【0032】一方、蒸着物質のイオン化制御を重視する
場合、電流制御装置は補助陽極30側のみに接続され
る。これは、放電が安定した後には、ハース20側にの
みプラズマビームの電流を定常的に流せば良く、電流制
御装置により補助陽極30と電源との接続を断にするか
らである。そして、放電が安定した後に蒸着物質のイオ
ン化制御を行う場合には、この電流制御装置により補助
陽極30に流れる電流を制御する。
【0033】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば以下のような効果が得られる。
【0034】1.ハースの周囲に組合わせた環状磁石に
より蒸着物質の粒子の飛び出す方向が一定するから、基
板に成膜される物質を有効に使用できる。したがって、
蒸着物質の無駄な消費が少なくなる。
【0035】2.補助放電の際、プラズマビームの電流
は、環状磁石側に流れるので、プラズマの安定が早くな
り、蒸着物質の蒸発を極力押えることができると共に、
Mo筒のスパッタリング作用により絶縁管が汚れること
を極力防止してそのメインテナンスのための間隔を長く
することができる。
【0036】3.蒸着金属を基板に蒸着させる際、プラ
ズマビームは環状磁石ケースに接触し、かつ、ハースを
取囲む様に形成されているので、蒸発した金属粒子は必
ずプラズマビーム内を通ることになり、イオン化度が高
くなって、反応しやすくなり、励起された状態となる。
【0037】4.ハースと補助陽極に接続されている各
電流制御装置の電流値を変えることにより、トータル放
電電流と蒸発用放電電流を制御することができ、成膜レ
ートと成膜物質のイオン化率を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したイオンプレーティング装置の
一実施例の構造と電源の接続関係を示す縦断面図であ
る。
【図2】図1に示されたハース及び補助陽極の水冷却系
の構造を示した縦断面図である。
【図3】図2のA−A′線による横断面図である。
【図4】図1の補助陽極に組合わされる磁石の他の例を
示した斜視図である。
【図5】図1の補助陽極に組合わされる磁石の更に他の
例を示した斜視図である。
【図6】図2に示された補助陽極を用いる場合のハース
周辺の磁力線を示した図である。
【図7】図4に示された環状磁石を内蔵した補助陽極を
用いる場合のハース周辺の磁力線を示した図である。
【図8】従来のイオンプレーティング装置の構造と電源
の接続関係を示した縦断面図である。
【図9】図8に示した装置のプラズマビームの形成状態
とし、ハース上の蒸着物質からの金属粒子の飛び出し方
向を説明するための図である。
【符号の説明】
11 真空容器 12 ステアリングコイル 13 プラズマビーム発生器 14 第1中間電極 15 第2中間電極 16 絶縁管 18 Mo筒 19A 主電源 19B 補助放電用電源 20 ハース 21 永久磁石 30 補助陽極 31 環状永久磁石 36 絶縁板 40 基板 41、42 電流制御装置 50 Taパイプ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビーム発生器からプラズマビームを発生
    させ、該プラズマビームをハースの入射面に導き、該ハ
    ース上の蒸着物質を蒸発、イオン化し、該蒸発、イオン
    化した蒸着物質を前記ハースと対向させて配置された基
    板の表面に付着させてイオンプレーティングを行なう方
    法において、前記ハースの中心軸に同心で前記ハースの上部近傍を囲
    むように環状磁石を含む補助陽極を設け、 前記ビーム発生器から放電を開始する際には、前記補助
    陽極側に、主電源に比べて高い電圧及び低い電流の補助
    放電用電源を接続することにより、記補助陽極にプラ
    ズマビームの電流を流し、 前記放電が安定したら、前記補助放電電源はオフとし、
    前記主電源を前記ハース側に接続し前記ハースにプラ
    ズマビームの電流を流すようにしたイオンプレーティン
    グのプラズマビーム制御方法。
  2. 【請求項2】 ビーム発生器からプラズマビームを発生
    させ、該プラズマビームをハースの入射面に導き、該ハ
    ース上の蒸着物質を蒸発、イオン化し、該蒸発、イオン
    化した蒸着物質を前記ハースと対向させて配置された基
    板の表面に付着させてイオンプレーティングを行なうイ
    オンプレーティング装置において、前記ハースの中心軸
    に同心で前記ハースの上部近傍を囲むように環状磁石を
    設け、該環状磁石の少なくとも上面を覆う様な環状磁石
    ケースを設け、該環状磁石ケースと前記ハースとは絶縁
    物を介して接続されており、前記環状磁石ケース及び前
    記ハースのそれぞれを放電用電源に接続手段を介して接
    続すると共に、該接続手段の少なくとも一方に電流制御
    手段を介在させたことを特徴とするイオンプレーティン
    グのプラズマビーム制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のプラズマビーム制御装置
    において、前記電流制御手段としてパルス幅制御の可能
    な素子を用いることを特徴とするイオンプレーティング
    のプラズマビーム制御装置。
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