JP2022025333A - プラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置 - Google Patents

プラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電極への異物の付着を抑制しつつ放電を安定させることができるプラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置を提供する。【解決手段】一実施形態に係るプラズマガンは、一端が開放された外筒83と、外筒83の内部に設けられた主陰極84と、外筒83の一端側に取り付けられ、外筒83の一端における断面の大きさよりも小さい開口871を有する蓋体87と、を有する陰極管80を備え、蓋体87の材料は、主陰極84の材料と同一の材料を含んでいる。【選択図】図3

Description

本開示は、プラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置に関する。
特許文献1には、成膜装置に組み付けられているプラズマガンが記載されている。プラズマガンは、第1中間電極及び第2中間電極を含む中間電極と、陰極管が固定されたカソードフランジとを備える。陰極管は、外側のMo筒と、内側のTaパイプとを含む。Mo筒及びTaパイプは共にカソードフランジに固定されている。陰極管の内部にアルゴンガスが供給されると、加速された電子とアルゴンガスとの衝突によってプラズマビームが生成される。プラズマビームは、第1中間電極及び第2中間電極の中央に形成されたオリフィス通路を通過し、成膜室内に放射される。
特開2008-305724号公報
ところで、前述した陰極管のカバーの材料としては、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)等、電極の材料とは異なる高融点材料が用いられる。前述したプラズマビームの発生時には、電極から放出される電子によってイオン化されたガスが高電圧によって加速され、陰極管の内部において陰極管のカバーに衝突する。このとき、陰極管のカバーの材料がスパッタリングされて電極に付着することがある。電極に電極とは異なるカバーの材料が付着すると、当該材料が昇華又は成膜されて異物として膜中に混入して製品の不具合を誘発する可能性がある。また、電極に異物が付着すると、当該異物の付着によって放電が不安定となる可能性があり、異物の管理のために点検整備作業を短い間隔で行わなければならない可能性もある。
本開示は、電極への異物の付着を抑制しつつ放電を安定させることができるプラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係るプラズマガンは、一端が開放された外筒と、外筒の内部に設けられた電極と、外筒の一端側に取り付けられ、外筒の一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体と、を有する陰極管を備え、蓋体の材料は、電極の材料と同一の材料を含んでいる。
このプラズマガンでは、一端が開放された外筒の内部に電極が設けられ、外筒の当該一端には開口付きの蓋体が取り付けられる。蓋体の開口の径は外筒の開口の径よりも小さく、蓋体の材料は電極の材料と同一の材料を含んでいる。従って、陰極管の蓋体の材料が電極に付着しても、蓋体の材料が電極の材料を含むことによって電極に付着する異物の量を低減させることができる。従って、膜中への異物の混入、及び製品の不具合の発生を抑制することができる。また、電極の材料を含む蓋体の材料が電極に付着しても、放電を不安定になりにくくすることができる。更に、蓋体の材料が電極の材料を含むことにより、蓋体を電極として機能させることができる。よって、電極として機能する部分の表面積を増やすことができるので、放電パワーを高めることができる。従って、従来よりも大きな電流を流すことができる。
蓋体は、電極の材料と同一の材料によって構成されていてもよい。この場合、蓋体の材料が電極材料によって構成されるため、電極への異物の付着を回避しつつ、放電を安定させることができる。更に、放電パワーをより高めてより大きな電流を流すことができる。
蓋体は、6ホウ化ランタン(LaB)によって構成されていてもよい。この場合、蓋体がLaBによって構成されるので、一層多くの電子を放出させることができる。従って、蓋体を高熱電子発生源として用いることができるので、更に大きな電流を流すことができる。
本開示の一側面に係る成膜装置は、一端が開放された外筒、外筒の内部に設けられた電極、及び、外筒の一端側に取り付けられ、外筒の一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体、を含む陰極管を有するプラズマガンを備えた成膜装置であって、蓋体の材料は、電極の材料と同一の材料を含んでいる。
この成膜装置では、プラズマガンは、一端が開放された外筒の内部に電極が設けられ、外筒の当該一端には開口付きの蓋体が取り付けられ、蓋体の材料は電極の材料と同一の材料を含んでいる。従って、前述したプラズマガンと同様、陰極管の蓋体の材料が電極に付着しても、蓋体の材料が電極の材料を含むことによって電極に付着する異物の量を低減させることができる。その結果、前述のプラズマガンと同様の効果を得られる。
本開示の一側面に係る負イオン生成装置は、対象物に負イオンを照射するための負イオン生成装置であって、真空チャンバー内にプラズマを供給するプラズマ源を備え、プラズマ源は、一端が開放された外筒と、外筒の内部に設けられた電極と、外筒の一端側に取り付けられ、外筒の一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体とを有し、蓋体の材料は、電極の材料と同一の材料を含んでいる。
この負イオン生成装置では、プラズマ源は、一端が開放された外筒の内部に電極が設けられ、外筒の当該一端には開口付きの蓋体が取り付けられ、蓋体の材料は電極の材料と同一の材料を含んでいる。従って、前述したプラズマガンと同様、蓋体の材料が電極に付着しても、蓋体の材料が電極の材料を含むことによって電極に付着する異物の量を低減させることができる。その結果、前述のプラズマガンと同様の効果を得られる。
前述した負イオン生成装置は、プラズマ源が間欠的にプラズマを生成するように前記プラズマ源を制御する制御部を備えてもよい。この場合、プラズマ源に間欠的にプラズマを生成させることができる。
本開示によれば、電極への異物の付着を抑制しつつ放電を安定させることができる。
一実施形態に係る成膜装置の概略構成図である。 プラズマガンの構成を説明する断面図である。 陰極管の構成を説明する断面図である。 温度と電流密度との関係の例を示すグラフである。 融点、電流密度及び仕事関数を材質ごとに示す図表である。 一実施形態に係る負イオン生成装置を備えた成膜装置の概略構成図である。
以下では、図面を参照しながら本開示に係るプラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張している場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
図1は、本実施形態に係る成膜装置を示す側断面図である。本実施形態に係る成膜装置1は、イオンプレーティング法に用いられるイオンプレーティング装置である。まず、本実施形態に係るプラズマガンが適用されうる例示的な成膜装置1について説明する。以下では、便宜上、図1に示されるようにXYZ座標系を用いて説明する。X軸方向は、成膜装置1が成膜する対象となる被成膜物が後述するハース機構2に対向する方向である。Y軸方向は、被成膜物が搬送される搬送方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向である。
成膜装置1は、ハース機構2と、搬送機構3と、輪ハース6と、プラズマガン7と、圧力調整装置8と、チャンバー10とを備える。チャンバー10は、成膜材料Maの膜が形成される被成膜物11を搬送する搬送部10aと、成膜材料Maを拡散する成膜部10bと、プラズマガン7から照射されるプラズマビームPをチャンバー10に受け入れるプラズマ口10cとを有する。搬送部10aは、所定の搬送方向(図中の矢印A方向、Y軸正方向)に沿って設定されている。搬送部10aは、導電性の材料から構成されている。搬送部10aは、接地電位に接続されている。
搬送機構3は、成膜材料Maと対向した状態で被成膜物11を保持する被成膜物保持部16を搬送方向Aに搬送する。搬送機構3は、搬送部10aの内部に設置された複数の搬送ローラ15によって構成されている。搬送ローラ15は、例えば、搬送方向Aに沿って等間隔に配置され、被成膜物保持部16を支持しつつ搬送方向Aに搬送する。なお、被成膜物11は、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板等の板状部材が用いられる。
プラズマガン7は、チャンバー10の内部においてプラズマビームPを生成する。プラズマガン7は、圧力勾配型である。プラズマガン7は成膜部10bの側壁に設けられたプラズマ口10cを介して成膜部10bに接続されている。プラズマガン7において生成されたプラズマビームPは、プラズマ口10cから成膜部10bの内部へ出射される。プラズマビームPは、プラズマ口10cに設けられたステアリングコイル12によって出射方向が制御される。なお、プラズマガン7については後に詳述する。
圧力調整装置8は、チャンバー10に接続され、チャンバー10の内部の圧力を調整する。圧力調整装置8は、例えば、ターボ分子ポンプ又はクライオポンプ等の減圧部と、チャンバー10の内部の圧力を測定する圧力測定部とを有する。
ハース機構2は、成膜材料Maを保持するための機構である。ハース機構2は、チャンバー10の成膜部10bの内部に設けられ、搬送機構3から見てX軸負方向側に配置されている。ハース機構2は、プラズマガン7から出射されたプラズマビームPを成膜材料Maに導く主陽極、又はプラズマガン7から出射されたプラズマビームPが導かれる主陽極である主ハース21を有する。主ハース21には、成膜材料Maが充填される。主ハース21は、チャンバー10が有する接地電位に対して正電位に保たれているため、負電位であるプラズマビームPを吸引する。なお、主ハース21は、図示しない主電源に接続されている。
輪ハース6は、プラズマビームPを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース6は、成膜材料Maを保持する主ハース21の周囲に配置されている。輪ハース6は、コイル6a及び永久磁石6bを有する。輪ハース6は、コイル6aに流れる電流の大きさに応じて、成膜材料Maに入射するプラズマビームPの向き、又は、主ハース21に入射するプラズマビームPの向きを制御する。
成膜材料Maとしては、ITO若しくはZnO等の導電性物質、又は、SiON等の絶縁性物質が例示される。成膜材料Maが絶縁性物質によって構成される場合、主ハース21にプラズマビームPが照射されると、プラズマビームPからの電流によって主ハース21が加熱される。主ハース21を介して加熱された成膜材料Maの先端部分は蒸発(気化)し、プラズマビームPによってイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜部10bの内部に拡散する。
成膜材料Maが導電性物質によって構成される場合、主ハース21にプラズマビームPが照射されると、プラズマビームPが成膜材料Maに直接入射する。その結果、成膜材料Maの先端部分が加熱されて蒸発(気化)し、プラズマビームPによってイオン化された成膜材料粒子Mbは、成膜部10bのX軸正方向に移動し、搬送部10aの内部において被成膜物11の表面に付着する。
なお、成膜材料Maは、円柱形状に成形された固体物であり、一度に複数の成膜材料Maがハース機構2に充填される。そして、成膜材料Maの先端部分が主ハース21の上端に対して所定の位置関係を保つように、成膜材料Maの消費に応じて成膜材料Maがハース機構2のX軸負方向側から順次押し出される。
次に、図2を参照しながらプラズマガン7について説明する。図2は、プラズマガン7の例示的な断面図である。プラズマガン7は、第1中間電極71及び第2中間電極72を含む中間電極70と、陰極管80が固定されたカソードフランジ90とを備える。中間電極70とカソードフランジ90との間には、陰極管80を収容するガラス管(絶縁管)92が配置されている。
中間電極70に設けられたオリフィス通路Rによって、ガラス管92の雰囲気圧力はチャンバー10より高く保たれている。ガラス管92の圧力とチャンバー10の圧力との圧力差によって酸素等の反応ガスがガラス管92の内部に混入することを抑制する。その結果、放電のときの酸素の影響を排除して長時間の連続使用を可能としている。なお、中間電極70は、図示しない主電源に接続されている。
第2中間電極72は環状を呈する。第2中間電極72は、チャンバー10に対してシールカラー73を介して固定されている。第2中間電極72のチャンバー10との反対側(カソードフランジ90側)には、シールカラー73を介して環状の第1中間電極71が同心状に重ねられて固定されている。第2中間電極72には、空芯コイル74が内蔵されている。第1中間電極71には、磁極軸が陰極管80の中心線に平行となるように永久磁石75が内蔵されている。第1中間電極71のカソードフランジ90側には、ガラス管92が装着される。
カソードフランジ90の中央には、陰極管80が固定されている。陰極管80について、図3を参照しながら説明する。図3は、陰極管80の断面図である。陰極管80は、中央の管状の補助電極81と、カソードフランジ90に固定された状態で補助電極81を支持するパイプマウント82と、補助電極81を囲むと共にパイプマウント82の外周から補助電極81の軸線方向(延在方向)に突出する外筒83と、外筒83の内部において補助電極81の先端部を囲むように配置された環状の主陰極84(電極)と、を有する。
補助電極81はパイプマウント82の凹部821に挿入された状態で固定されている。凹部821には貫通孔822が連通している。補助電極81が凹部821の内部に固定された状態において補助電極81の内部と貫通孔822とが互いに連通する。パイプマウント82の貫通孔822は、カソードフランジ90(図2参照)に設けられた貫通孔(図示せず)と連通し、アルゴン(Ar)ガス等の放電用の不活性ガスが供給される供給流路となる。従って、補助電極81は、不活性ガスを供給する不活性ガス供給管として機能する。補助電極81は、一例として、タングステン(W)によって構成されている。
外筒83は、補助電極81を取り巻くように設けられる筒状の部材である。外筒83は、補助電極81の先端側(パイプマウント82とは逆側)の一端側を開放している。主陰極84は、例えば、6ホウ化ランタン(Lab)によって構成されている。この場合、低エネルギーでより多くの電子を放出することが可能となる。しかしながら、主陰極84の材料は、6ホウ化ランタン(Lab)以外のものであってもよいし、6ホウ化ランタン(Lab)以外のものを含んでいてもよい。主陰極84等、陰極管80に用いられる電極の材料については後に詳述する。
補助電極81と主陰極84によってカソードが構成される。主陰極84は、例えば、外筒83の内壁に接するように固定された円環状の第1支持部材85及び第2支持部材86(シム)に挟み込まれることによって外筒83に支持される。ただし、外筒83の内部における主陰極84の支持方法は、上記の例に限定されない。なお、主陰極84及び補助電極81によって構成されるカソードは、図示しない主電源に接続されている。
外筒83の先端(パイプマウント82とは反対側の端部)には、円環状の蓋体87が設けられている。蓋体87は開口871を有する。開口871の径(内径)は、外筒83の開口の径よりも小さく、且つ補助電極81の内径よりも大きい。蓋体87は、開口871よりも大きな開口を有する第3支持部材88を介して外筒83に固定される。なお、蓋体87の固定方法については特に限定されない。蓋体87と外筒83によって、主陰極84及び補助電極81が保護される。
以上のように構成された陰極管80を含むプラズマガン7では、ガスタンク(図示せず)から供給される不活性ガスがパイプマウント82の貫通孔822、及び補助電極81の内部を通過する。そして、当該不活性ガスは、補助電極81の先端から放出されてガラス管92の内部空間に供給される。これにより、プラズマガン7の内部では、カソード(主陰極84及び補助電極81)側の圧力が高くなる圧力勾配が生じる。
図示しない主電源によってアノードとなる主ハース21と、カソードとなる主陰極84及び補助電極81と、の間に電圧を印加すると、補助電極81においてグロー放電が行われる。このグロー放電により、補助電極81の先端部分の温度が上昇し、この熱で主陰極84が加熱されて高温となる。その結果、補助電極81及び主陰極84においてアーク放電(直流アーク放電)が行われ、カソード(補助電極81及び主陰極84)から高熱の電子が放出されてプラズマが発生する。発生したプラズマは、第1中間電極71及び第2中間電極72の中央に形成されたオリフィス通路Rを通過し、プラズマ口10cからチャンバー10の内部に放射される。チャンバー10の内部に放出されたプラズマは、プラズマビームPとしてチャンバー10の内部においてステアリングコイル12等によってガイドされながら主ハース21に到達し、主ハース21に収納された成膜材料Maを加熱する。蒸発した金属粒子はプラズマ中でイオン化し、負電圧に印加された被成膜物11に付着し、被成膜物11上に膜が形成される。
陰極管80の外筒83、第1支持部材85、第2支持部材86及び第3支持部材88は、例えば、モリブデン(Mo)によって構成されている。一方、蓋体87の材料は、主陰極84の材料と同一の材料を含んでいる。前述したように、主陰極84の材料は、例えば6ホウ化ランタン(Lab)であるため、蓋体87の材料は6ホウ化ランタン(Lab)を含んでいる。
図4は陰極管80の電極として用いられる材料の温度と電流密度との関係を示すグラフであり、図5は陰極管80の電極として用いられる材料の特性を示す表である。図4及び図5に示されるように、陰極管80の電極は、6ホウ化ランタン(Lab)、W/Th(トリウム分散タングステン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)及びRe(レニウム)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。しかしながら、陰極管80の電極の材料としては、仕事関数φwが小さい、すなわち、低温時であっても高い電流密度を得られることが好ましく、その観点では、6ホウ化ランタン及びトリウム分散タングステンが好ましい。但し、6ホウ化ランタンは、トリウム分散タングステンと比較して、入手容易性が高く且つ種々の動作環境で使用可能であるため、コストが抑えられると共に取扱性が良好であるという利点がある。従って、本実施形態では、陰極管80の電極(主陰極84)の材料として、6ホウ化ランタンが用いられる。
前述したように、蓋体87の材料は、陰極管80の電極の材料と同一の材料を含む。従って、蓋体87は、6ホウ化ランタン(Lab)、W/Th(トリウム分散タングステン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Zr(ジルコニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)及びRe(レニウム)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。また、蓋体87の材料としては、6ホウ化ランタン及びトリウム分散タングステンが好ましく、更に6ホウ化ランタンが好ましい。この場合、蓋体87を陰極管80の電極(主陰極84)と同様に機能させることができる。なお、外筒83、第1支持部材85、第2支持部材86及び第3支持部材88の材料が蓋体87の材料と同様であってもよい。
次に、本実施形態に係るプラズマガン7の作用効果について説明する。図3に示されるように、プラズマガン7では、一端が開放された外筒83の内部に主陰極84が設けられ、外筒83の一端には開口871付きの蓋体87が取り付けられる。蓋体87の開口871の径は外筒83の開口の径よりも小さく、蓋体87の材料は主陰極84の材料と同一の材料を含んでいる。従って、陰極管80の蓋体87の材料が主陰極84に付着しても、蓋体87の材料が主陰極84の材料を含むことによって主陰極84に付着する異物の量を低減させることができる。
従って、膜中(成膜材料Ma中)への異物の混入、及び製品(被成膜物11)の不具合の発生を抑制することができる。また、主陰極84の材料を含む蓋体87の材料が主陰極84に付着しても、放電を不安定になりにくくすることができる。更に、蓋体87の材料が主陰極84の材料を含むことにより、蓋体87を電極として機能させることができる。よって、電極として機能する部分の表面積を増やすことができるので、放電パワーを高めることができる。従って、従来よりも大きな電流を流すことができる。
前述したように、蓋体87は、主陰極84の材料と同一の材料によって構成されていてもよい。この場合、蓋体87の材料が電極材料によって構成されるため、主陰極84への異物の付着を回避しつつ、放電を安定させることができる。更に、放電パワーを高めてより大きな電流を流すことができる。
前述したように、蓋体87は、6ホウ化ランタン(Lab)によって構成されていてもよい。この場合、蓋体87がLabによって構成されるので、一層多くの電子を放出させることができる。従って、蓋体87を高熱電子発生源として用いることができるので、更に大きな電流を流すことができる。
以上、成膜装置1について説明した。しかしながら、成膜装置の構成は、前述した各例に限定されない。成膜装置には、半導体膜に負イオンを照射する負イオン生成装置が組み込まれていてもよい。以下では、図6を参照しながら、負イオン生成装置124が組み込まれた成膜装置101について説明する。
成膜装置101において用いられる負イオンは、電子親和力が正の物質であり、酸素の負イオンが用いられてもよい。負イオンとして、原子では、H、C、O、F、Si、S、Cl、Br、又はI等、分子では、O、Cl、Br、I、CH、OH、CN、HCl、HBr、NH、NO、NO、CCl、又はSF等が用いられる。負イオン生成装置124が半導体膜に対してどの程度の負イオンを照射するかは特に限定されないが、例えば、被照射膜に対して1×1019cm-3以上の負イオンを照射してもよい。負イオンの照射量は、表面析出又は粒界析出する程度の量であってもよい。この場合、照射された負イオンは、半導体膜に対して拡散し、有効なドーパントとして機能する。
成膜装置101は、いわゆるイオンプレーティング法に用いられるイオンプレーティング装置である。なお、説明の便宜上、図6には、XYZ座標系を示す。Y軸方向は、後述する非単結晶基板103が搬送される方向である。X軸方向は、非単結晶基板103と後述するハース機構とが対向する方向である。Z軸方向は、Y軸方向とX軸方向とに直交する方向である。
成膜装置101は、非単結晶基板103の板厚方向が水平方向(図6ではX軸方向)となるように、非単結晶基板103を直立、又は直立させた状態から傾斜した状態で、非単結晶基板103が真空チャンバー110内に配置されて搬送される、いわゆる縦型の成膜装置である。成膜装置101は、真空チャンバー110、搬送機構113、成膜部114、負イオン生成装置124、及び磁場発生コイル130を備えている。
真空チャンバー110は、非単結晶基板103を収納し成膜処理を行う。真空チャンバー110は、成膜材料Maの膜が形成される非単結晶基板103を搬送するための搬送室110aと、成膜材料Maを拡散させる成膜室110bと、プラズマ源107からビーム状に照射されるプラズマPを真空チャンバー110に受け入れるプラズマ口110cとを有する。
成膜室110bは、例えば、負イオンの原料にプラズマPを供給することで原料に電子を付着させる負イオン生成室である。成膜室110bは、壁部110wとして、搬送方向(矢印A)に沿った一対の側壁と、搬送方向(矢印A)と交差する方向(Z軸方向)に沿った一対の側壁110h,110iと、X軸方向と交差して配置された底面壁110jと、を有する。搬送機構113は、成膜材料Maと対向した状態で非単結晶基板103を保持する非単結晶基板保持部材116を搬送方向(矢印A)に搬送する。例えば非単結晶基板保持部材116は、非単結晶基板103の外周縁を保持する枠体である。搬送機構113は、搬送室110a内に設置された複数の搬送ローラ115によって構成されている。搬送ローラ115は、搬送方向(矢印A)に沿って等間隔に配置され、非単結晶基板保持部材116を支持しつつ搬送方向(矢印A)に搬送する。なお、非単結晶基板103は、例えば非単結晶基板やプラスチック基板などの板状部材が用いられる。
続いて、成膜部114の構成について詳細に説明する。成膜部114は、イオンプレーティング法により成膜材料Maの粒子を非単結晶基板103に付着させる。成膜部114は、プラズマ源107と、ステアリングコイル125と、ハース機構122と、輪ハース106とを有する。プラズマ源107は、例えば圧力勾配型のプラズマガンであり、その本体部分が成膜室110bの側壁に設けられたプラズマ口110cを介して成膜室110bに接続されている。プラズマ源107は、真空チャンバー110内でプラズマPを生成する。プラズマ源107において生成されたプラズマPは、プラズマ口110cから成膜室110b内へビーム状に出射される。
プラズマ源107は、電極160により一端が閉塞されている。プラズマ源107は、前述したプラズマガン7と同様、図3に例示されるように、一端が開放された外筒83の内部に電極160が設けられ、外筒83の一端には開口871付きの蓋体87が取り付けられる。蓋体87の開口871の径は外筒83の開口の径よりも小さく、蓋体87の材料は電極160の材料と同一の材料を含んでいる。蓋体87は、例えば、電極160の材料と同一の材料によって構成されている。
図6に示されるように、電極160とプラズマ口110cとの間には、第1の中間電極(グリッド)161と、第2の中間電極(グリッド)162とが同心的に配置されている。第1の中間電極161内にはプラズマPを収束するための環状永久磁石161aが内蔵されている。第2の中間電極162内にもプラズマPを収束するため電磁石コイル162aが内蔵されている。
ステアリングコイル125は、プラズマ源107が装着されたプラズマ口110cの周囲に設けられている。ステアリングコイル125は、プラズマPを成膜室110b内に導く。ステアリングコイル125は、ステアリングコイル用の電源(不図示)により励磁される。ハース機構122は、成膜材料Maを保持する。ハース機構122は、真空チャンバー110の成膜室110b内に設けられ、搬送機構113から見てX軸方向の負方向に配置されている。ハース機構122は、プラズマ源107から出射されたプラズマPを成膜材料Maに導く主陽極又はプラズマ源107から出射されたプラズマPが導かれる主陽極である主ハース117を有する。
主ハース117は、成膜材料Maが充填されたX軸方向の正方向に延びた筒状の充填部117aと、充填部117aから突出したフランジ部117bとを有する。プラズマPが入射する主ハース117の充填部117aには、成膜材料Maを充填するための貫通孔117cが形成されている。そして、成膜材料Maの先端部分が、この貫通孔117cの一端において成膜室110bに露出している。成膜材料Maが絶縁性物質からなる場合、主ハース117にプラズマPが照射されると、プラズマPからの電流によって主ハース117が加熱され、成膜材料Maの先端部分が蒸発又は昇華し、プラズマPによりイオン化された成膜材料粒子(蒸発粒子)Mbが成膜室110b内に拡散する。また、成膜材料Maが導電性物質からなる場合、主ハース117にプラズマPが照射されると、プラズマPが成膜材料Maに直接入射し、成膜材料Maの先端部分が加熱されて蒸発又は昇華し、プラズマPによりイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜室110b内に拡散する。成膜室110b内に拡散した成膜材料粒子Mbは、成膜室110bのX軸正方向へ移動し、搬送室110a内において非単結晶基板103の表面に付着する。
輪ハース106は、プラズマPを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース106は、成膜材料Maを保持する主ハース117の充填部117aの周囲に配置されている。輪ハース106は、環状のコイル109と環状の永久磁石部120と環状の容器112とを有し、コイル109及び永久磁石部120は容器112に収容されている。輪ハース106は、コイル109に流れる電流の大きさに応じて、成膜材料Maに入射するプラズマPの向き、または、主ハース117に入射するプラズマPの向きを制御する。
続いて、負イオン生成装置124の構成について詳細に説明する。負イオン生成装置124は、プラズマ源107と、原料ガス供給部140と、制御部150と、回路部134とを有する。プラズマ源107は、成膜室110b内において間欠的にプラズマPを生成する。具体的には、プラズマ源107は、制御部150によって成膜室110b内において間欠的にプラズマPを生成するように制御される。
制御部150は、例えば、真空チャンバー110内におけるプラズマPの生成状態を制御する。制御部150は、真空チャンバー110内におけるプラズマPの電子温度を低下させる。原料ガス供給部140は、真空チャンバー110の外部に配置されている。原料ガス供給部140は、成膜室110bの側壁(例えば、側壁110h)に設けられたガス供給口141を通し、真空チャンバー110内へ酸素負イオンの原料ガスである酸素ガスを供給する。原料ガス供給部140は、例えば成膜処理モードから酸素負イオン生成モードに切り替わると、酸素ガスの供給を開始する。また、原料ガス供給部140は、成膜処理モード及び酸素負イオン生成モードの両方において酸素ガスの供給を行い続けてもよい。
ガス供給口141の位置は、成膜室110bと搬送室110aとの境界付近の位置であってもよい。この場合、原料ガス供給部140からの酸素ガスを、成膜室110bと搬送室110aとの境界付近に供給することができるので、当該境界付近において後述する酸素負イオンの生成が行われる。よって、生成した酸素負イオンを、搬送室110aにおける非単結晶基板103に好適に付着させることができる。
制御部150は、真空チャンバー110の外部に配置されている。制御部150は、回路部134が有する切替部を切り替える。制御部150による切替部の切り替えについては、以下、回路部134の説明と併せて詳述する。回路部134は、可変電源180と、第1の配線171と、第2の配線172と、抵抗器R1~R4と、短絡スイッチSW1,SW2と、を有する。可変電源180は、接地電位にある真空チャンバー110を挟んで、負電圧をプラズマ源107の電極160に、正電圧をハース機構122の主ハース117に印加する。これにより、可変電源180は、プラズマ源107の電極160とハース機構122の主ハース117との間に電位差を発生させる。
第1の配線171は、プラズマ源107の電極160を、可変電源180の負電位側と電気的に接続する。第2の配線172は、ハース機構122の主ハース117(陽極)を、可変電源180の正電位側と電気的に接続している。抵抗器R1は、一端がプラズマ源107の第1の中間電極161と電気的に接続されていると共に、他端が第2の配線172を介して可変電源180と電気的に接続されている。すなわち、抵抗器R1は、第1の中間電極161と可変電源180との間において直列接続されている。
抵抗器R2は、一端がプラズマ源107の第2の中間電極162と電気的に接続されていると共に、他端が第2の配線172を介して可変電源180と電気的に接続されている。すなわち、抵抗器R2は、第2の中間電極162と可変電源180との間において直列接続されている。抵抗器R3は、一端が成膜室110bの壁部110wと電気的に接続されていると共に、他端が第2の配線172を介して可変電源180と電気的に接続されている。すなわち、抵抗器R3は、成膜室110bの壁部110wと可変電源180との間において直列接続されている。
抵抗器R4は、一端が輪ハース106と電気的に接続されていると共に、他端が第2の配線172を介して可変電源180と電気的に接続されている。すなわち、抵抗器R4は、輪ハース106と可変電源180との間において直列接続されている。短絡スイッチSW1,SW2は、それぞれ前述の制御部150から指令信号を受信することにより、ON/OFF状態に切り替えられる切替部である。この切替部により、電極(第2の中間電極162)への電流の流れ易さが切り替わる。
短絡スイッチSW1は、抵抗器R2に並列接続されている。短絡スイッチSW1は、成膜処理モードであるか酸素負イオンモードであるかに応じて、制御部150によってON/OFF状態が切り替えられる。短絡スイッチSW1は、成膜処理モードにおいてはOFF状態とされる。これにより、成膜処理モードにおいては、第2の中間電極162と可変電源180とが抵抗器R2を介して互いに電気的に接続されるので、第2の中間電極162と可変電源180との間には電流が流れにくい。その結果、プラズマ源107からのプラズマPが真空チャンバー110内に出射され、成膜材料Maに入射する。
一方、短絡スイッチSW1は、酸素負イオン生成モードにおいては、プラズマ源107からのプラズマPを真空チャンバー110内で間欠的に生成するため、制御部150によってON/OFF状態が所定間隔で切り替えられる。短絡スイッチSW1がON状態に切り替えられると、第2の中間電極162と可変電源180との間の電気的な接続が短絡するので、第2の中間電極162と可変電源180との間に電流が流れる。すなわち、プラズマ源107に短絡電流が流れる。その結果、プラズマ源107からのプラズマPが真空チャンバー110内に出射されなくなる。
短絡スイッチSW1がOFF状態に切り替えられると、第2の中間電極162と可変電源180とが抵抗器R2を介して互いに電気的に接続されるので、第2の中間電極162と可変電源180との間には電流が流れにくい。その結果、プラズマ源107からのプラズマPが真空チャンバー110内に出射される。このように、短絡スイッチSW1のON/OFF状態が制御部150によって所定間隔で切り替えられることにより、プラズマ源107からのプラズマPが真空チャンバー110内において間欠的に生成される。すなわち、短絡スイッチSW1は、真空チャンバー110内へのプラズマPの供給と遮断とを切り替える切替部である。
短絡スイッチSW2は、抵抗器R4に並列接続されている。短絡スイッチSW2は、例えば成膜処理モードになる前の非単結晶基板103の搬送前の状態であるスタンバイモードであるか成膜処理モードであるかに応じて、制御部150によってON/OFF状態が切り替えられる。短絡スイッチSW2は、スタンバイモードではON状態とされる。これにより、輪ハース106と可変電源180との間の電気的な接続が短絡するので、主ハース117よりも輪ハース106に電流を流しやすくなり、成膜材料Maの無駄な消費を防ぐことができる。
一方、短絡スイッチSW2は、成膜処理モードではOFF状態とされる。これにより、輪ハース106と可変電源180が抵抗器R4を介して電気的に接続されるので、輪ハース106よりも主ハース117に電流を流しやすくなり、プラズマPの出射方向を好適に成膜材料Maに向けることができる。なお、短絡スイッチSW2は、酸素負イオン生成モードではON状態又はOFF状態のいずれの状態とされてもよい。
磁場発生コイル130は、負イオン生成室である成膜室110bでの負イオン生成中、成膜室110b内の電子が搬送室110aへ流入するのを抑制する。磁場発生コイル130は、真空チャンバー110内であって、成膜室110bと搬送室110aとの間に設けられている。磁場発生コイル130は、例えばハース機構122と搬送機構113との間に配置されている。より具体的には、磁場発生コイル130は、成膜室110bの搬送室110a側の端部と、搬送室110aの成膜室110b側の端部とに介在するように位置している。磁場発生コイル130は、互いに対向する一対のコイル130a,130bを有する。各コイル130a,130bは、例えば成膜室110bから搬送室110aへ向かう方向(ハース機構122から搬送機構113へ向かう方向)に交差する方向で互いに対向している。磁場発生コイル130は、例えば、成膜室110bから搬送室110aへ向かう方向と交差する方向に伸びる磁力線を有する封止磁場を真空チャンバー110内に形成する。
磁場発生コイル130は、成膜処理モードにおいては励磁されず、酸素負イオン生成モードにおいて磁場発生コイル130用の電源(不図示)により励磁される。ここで、成膜処理モードとは、真空チャンバー110内で非単結晶基板103に対して成膜処理を行うモードである。酸素負イオン生成モードは、真空チャンバー110内で非単結晶基板103に形成された膜の表面に付着させるための酸素負イオンの生成を行うモードである。
以上、負イオン生成装置124を備えた成膜装置101では、図3に例示されるように、プラズマ源107において、一端が開放された外筒83の内部に電極160が設けられ、外筒83の一端には開口871付きの蓋体87が取り付けられる。蓋体87の開口871の径は外筒83の開口の径よりも小さく、蓋体87の材料は電極160の材料と同一の材料を含んでいる。従って、蓋体87の材料が電極160に付着しても、蓋体87の材料が電極160の材料を含むことによって電極160に付着する異物の量を低減させることができる。
具体例として、電極160がLaBによって構成されており、蓋体87がタングステンによって構成されている場合、負イオン生成装置124の使用では、電極160にタングステンが付着し更に付着したタングステンが剥がれないことがあるので、装置停止後の再放電が安定しないことが想定される。これに対し、本実施形態では、蓋体87の材料が電極160の材料を含むことによって電極160に付着するタングステンの量を低減できるので、電極160の安定化に寄与する。従って、負イオン生成装置124を備えた成膜装置101からは前述した成膜装置1と同様の効果が得られる。
以上、本開示に係るプラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形してもよい。本開示に係るプラズマガン、成膜装置、及び負イオン生成装置の各部の構成、機能、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、前述した成膜装置1、プラズマガン7、陰極管80及び負イオン生成装置124の構成は一例に過ぎず、成膜装置、プラズマガン、陰極管及び負イオン生成装置の形状及び構成等は適宜変更されてもよい。
1,101…成膜装置、2…ハース機構、3…搬送機構、6,106…輪ハース、6a…コイル、6b…永久磁石、7…プラズマガン、8…圧力調整装置、10…チャンバー、10a…搬送部、10b…成膜部、10c,110c…プラズマ口、11…被成膜物、12…ステアリングコイル、15,115…搬送ローラ、16…被成膜物保持部、21…主ハース、70…中間電極、71…第1中間電極、72…第2中間電極、73…シールカラー、74…空芯コイル、75…永久磁石、80…陰極管、81…補助電極、82…パイプマウント、83…外筒、84…主陰極(電極)、85…第1支持部材、86…第2支持部材、87…蓋体、88…第3支持部材、90…カソードフランジ、92…ガラス管、103…非単結晶基板、107…プラズマ源、109…コイル、110…真空チャンバー、110a…搬送室、110b…成膜室、110h…側壁、110i…側壁、110j…底面壁、110w…壁部、112…容器、113…搬送機構、114…成膜部、116…非単結晶基板保持部材、117…主ハース、117a…充填部、117b…フランジ部、117c…貫通孔、120…永久磁石部、122…ハース機構、124…負イオン生成装置、125…ステアリングコイル、130…磁場発生コイル、130a,130b…コイル、134…回路部、140…原料ガス供給部、141…ガス供給口、150…制御部、160…電極、161,162…中間電極、161a…環状永久磁石、162a…電磁石コイル、171,172…配線、180…可変電源、821…凹部、822…貫通孔、871…開口、Ma…成膜材料、Mb…成膜材料粒子、P…プラズマビーム(プラズマ)、R…オリフィス通路、R1,R2,R3,R4…抵抗器、SW1,SW2…短絡スイッチ。

Claims (6)

  1. 一端が開放された外筒と、
    前記外筒の内部に設けられた電極と、
    前記外筒の前記一端側に取り付けられ、前記外筒の前記一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体と、
    を有する陰極管を備え、
    前記蓋体の材料は、前記電極の材料と同一の材料を含んでいる、
    プラズマガン。
  2. 前記蓋体は、前記電極の材料と同一の材料によって構成されている、
    請求項1に記載のプラズマガン。
  3. 前記蓋体は、6ホウ化ランタン(LaB)によって構成されている、
    請求項1又は2に記載のプラズマガン。
  4. 一端が開放された外筒、前記外筒の内部に設けられた電極、及び、前記外筒の前記一端側に取り付けられ、前記外筒の前記一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体、を含む陰極管を有するプラズマガンを備えた成膜装置であって、
    前記蓋体の材料は、前記電極の材料と同一の材料を含んでいる、
    成膜装置。
  5. 対象物に負イオンを照射するための負イオン生成装置であって、
    真空チャンバー内にプラズマを供給するプラズマ源を備え、
    前記プラズマ源は、
    一端が開放された外筒と、
    前記外筒の内部に設けられた電極と、
    前記外筒の前記一端側に取り付けられ、前記外筒の前記一端における断面の大きさよりも小さい開口を有する蓋体とを有し、
    前記蓋体の材料は、前記電極の材料と同一の材料を含んでいる、
    負イオン生成装置。
  6. 前記プラズマ源が間欠的にプラズマを生成するように前記プラズマ源を制御する制御部を備える、
    請求項5に記載の負イオン生成装置。
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