JPH11246964A - 蒸着源及び蒸着装置 - Google Patents

蒸着源及び蒸着装置

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JPH11246964A
JPH11246964A JP35554398A JP35554398A JPH11246964A JP H11246964 A JPH11246964 A JP H11246964A JP 35554398 A JP35554398 A JP 35554398A JP 35554398 A JP35554398 A JP 35554398A JP H11246964 A JPH11246964 A JP H11246964A
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JP
Japan
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vapor deposition
electrode
anode electrode
deposition material
trigger
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JP35554398A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Agawa
阿川  義昭
Yoshihiro Yamamoto
佳宏 山本
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Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】同軸型真空アーク蒸着源を用いて形成する薄膜
の品質を向上させる。 【解決手段】同軸型真空アーク蒸着源5のアノード電極
13内で露出する蒸着材料14の先端に、絶縁性物質で
構成された遮蔽物15を設け、蒸着材料14先端表面2
2が露出しないようにする。蒸着材料14の先端表面2
2では蒸発が生じないため、基板19には、側面21か
ら放出され、磁場で飛行方向を曲げられた荷電微粒子3
1だけが到達するので、基板19表面に形成される薄膜
の膜質が向上する。また、本発明の別の蒸着源55で
は、アノード電極63の内壁には、凸部90が設けられ
ているので、荷電微粒子96以外の中性粒子95や巨大
粒子97が飛散してアノード電極63の内壁に衝突して
も、凸部90に付着するので、蒸着源55から外部へは
放出されずに、基板69表面に形成される薄膜の膜質が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蒸着源及び蒸着装置
に係り、特に、同軸型真空アーク蒸着源と、その蒸着源
を用いた蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜は、従来より、半導体装置や液晶表
示装置等の種々の分野に用いられており、スパッタリン
グ装置や蒸着装置等の薄膜形成装置によって、金属薄膜
や磁性薄膜等の多種の薄膜が形成されている。それらの
うち、同軸型真空アーク蒸着源を用いた蒸着装置は、高
真空雰囲気で薄膜を形成できることから、近年注目され
ている技術である。
【0003】図4(a)を参照し、符号105は、従来技
術の同軸型真空アーク蒸着源の一例であり、該蒸着源1
05は、円柱形形状のカソード電極111と、円筒形形
状の絶縁部材110とを有している。カソード電極11
1の先端には、導電性材料が円柱形形状に成形されて成
る蒸着材料114が固定されており、カソード電極11
1と蒸着材料114は、先端部分から蒸着材料114だ
けが突き出されるように、絶縁部材110内に挿入され
ている。
【0004】絶縁部材110の先端部分の外周には、リ
ング形状のトリガ電極112が設けられており、蒸着材
料114を中心として、絶縁部材110やトリガ電極1
12の周囲には、トリガ電極112とは非接触の状態
で、円筒形形状のアノード電極113が配置されてい
る。
【0005】上記のような構成の蒸着源105は、図示
しないチャンバー内に配置され、蒸着装置が構成されて
おり、基板表面に薄膜を形成する場合には、先ず、その
チャンバー内に基板を搬入し、高真空雰囲気にする。
【0006】次いで、アノード電極113とカソード電
極111との間に電圧を印加した状態で、トリガ電極1
12にパルス状の電圧を印加すると、トリガ電極112
と蒸着材料114との間でトリガ放電が発生し、それに
よって、アノード電極113と蒸着材料114との間に
アーク放電が誘起される。
【0007】そのアーク放電により、蒸着材料114が
蒸発すると、図4(b)の符号131に示すような正電荷
を有する荷電微粒子が、蒸着材料114の側面121か
らアノード電極113に向けて大量に放出される。
【0008】蒸着材料114とカソード電極111とは
直線状に配置されているため、アーク放電によって生じ
たアーク電流iは、蒸着材料114及びカソード電極1
11内を直線的に流れ、アノード電極113内に磁場を
形成する。
【0009】その磁場は、正電荷を有する粒子に対し、
アノード電極113の開口部118方向に押しやる力F
を及ぼすので、アノード電極113に向けて放出された
荷電微粒子131は、飛行方向が開口部118側に曲げ
られ、チャンバー内に放出される。開口部118には基
板119が対面して配置されており、チャンバー内に放
出された微小粒子131は、基板119表面に到達する
と、薄膜を成長させる。
【0010】蒸着材料114の側面121からは、荷電
微粒子131の他、電荷を有さない中性粒子132や、
正電荷を有していても電荷量に比べて質量が大きい巨大
粒子133もアノード電極113に向けて放出される
が、それらの粒子132、133には、力Fが加わらな
いか、加わっても影響が小さいため、そのまま直進し、
アノード電極113の内周面に衝突し、そこに付着する
と、チャンバー内には放出されない。従って、基板11
9表面には、巨大粒子133は到達しにくくなり、質量
が小さい荷電微粒子131が到達できるので、その結
果、基板119表面に、結晶性の優れた薄膜を形成でき
るようになっている。
【0011】しかしながら、上記のようなアーク放電
は、蒸着材料114の側面121とアノード電極113
との間だけではなく、低頻度であっても蒸着材料114
の先端部表面122とアノード電極113との間にも発
生する。
【0012】先端部表面122上でアーク放電が発生す
ると、先端部表面122から基板19側に向け、中性又
は電荷を有する巨大粒子135、136が放出されてし
まう。そのような巨大粒子135、136は、アノード
電極113とは衝突しないため、チャンバー内に放出さ
れると基板119表面に到達してしまう。そのような巨
大粒子135、136は、いわゆる液滴となって成長中
の薄膜内に混入し、得られる薄膜の膜質が悪化してしま
うという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、同軸型真空アーク蒸着源を用いて形成する薄膜
の品質を向上させる技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、カソード電極と、前記カソ
ード電極の先端に取り付けられた蒸着材料と、前記蒸着
材料と密着して設けられた絶縁部材と、前記絶縁部材に
密着配置されたトリガ電極と、前記蒸着材料近傍に配置
されたアノード電極とを有し、前記アノード電極と前記
カソード電極との間に電圧を印加した状態で、前記トリ
ガ電極に電圧を印加すると、該トリガ電極と前記蒸着材
料との間にトリガ放電が発生し、前記アノード電極と前
記蒸着材料との間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材
料の構成物質が放出されるように構成された蒸着源であ
って、前記蒸着材料の先端部分には、絶縁性物質で構成
された遮蔽物が設けられていることを特徴とする。
【0015】請求項2記載の発明は、筒状に形成された
アノード電極と、前記アノード電極の内部に設けられ、
先端が前記アノード電極の開口よりも内側にあるように
配置されたカソード電極と、前記カソード電極の先端に
取り付けられた蒸着材料と、前記蒸着材料と密着して設
けられた絶縁部材と、前記絶縁部材に密着配置されたト
リガ電極とを有し、前記アノード電極と前記カソード電
極との間に電圧を印加した状態で、前記トリガ電極に電
圧を印加すると、該トリガ電極と前記蒸着材料との間に
トリガ放電が発生し、前記アノード電極と前記蒸着材料
との間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料の構成物
質が、前記開口から放出されるように構成された蒸着源
であって、前記カソード電極の先端と前記アノード電極
の開口との間の、前記アノード電極の内壁には、凸部が
設けられてなることを特徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項2記載の蒸
着源であって、前記凸部は、前記カソード電極側へと傾
けて設けられたことを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項2又は請求
項3記載の蒸着源であって、前記凸部は、前記アノード
電極の内壁に沿って環状に設けられたことを特徴とす
る。
【0018】請求項5記載の発明は、蒸着装置であっ
て、真空排気可能なチャンバーを有し、該チャンバー
に、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の蒸着源
が設けられたことを特徴とする。
【0019】本発明は上述のように構成されており、カ
ソード電極と、カソード電極の先端に取り付けられた蒸
着材料と、蒸着材料と密着して設けられた絶縁部材と、
絶縁部材に密着配置されたトリガ電極と、蒸着材料近傍
に配置されたアノード電極とを有しており、トリガ電極
とカソード電極とが絶縁部材によって非接触状態にされ
ているので、アノード電極とカソード電極との間に電圧
を印加した状態で、トリガ電極に電圧を印加すると、該
トリガ電極と蒸着材料との間にトリガ放電が発生し、ア
ノード電極と蒸着材料との間にアーク放電が誘起される
ように構成されている。
【0020】そのアーク放電は大電流であるので、蒸着
材料の構成物質が蒸発によって外部に放出されるが、蒸
着材料の先端部分には、絶縁性物質で構成された遮蔽物
が設けられているので、蒸着材料の先端部分では、トリ
ガ放電やアーク放電は発生せず、従って、蒸着材料の先
端部分からは、粒子は放出されず蒸着材料の側面からだ
け粒子が放出される。
【0021】この場合、側面から放出された荷電微粒子
は磁場によって曲げられ、チャンバー内に放出された基
板表面に到達できるが、巨大粒子は磁場の影響を受け
ず、また、受けても影響は小さいので、曲げられず、通
常は基板に到達できないので、いわゆる液滴が基板表面
に形成される薄膜中に混入することがない。
【0022】また、アーク放電により発生した荷電微粒
子、中性粒子、巨大粒子のうち、中性粒子と巨大粒子
は、磁場の影響を受けずにアノード電極の内周壁面に向
かって直進するが、本発明の別の蒸着源では、カソード
電極の先端とアノード電極の開口との間の、アノード電
極の内壁に凸部を設けているので、アノード電極の内壁
に衝突した中性粒子と巨大粒子は、開口方向に進行して
も凸部に衝突して付着するか、あるいは凸部との衝突に
よって開口方向と逆方向へと散乱されるため、開口から
蒸着源の外へ放出されなくなる。
【0023】他方、荷電微粒子は、磁場によって曲げら
れて蒸着源の開口から放出されるので、中性粒子や巨大
粒子は基板表面へと到達せず、荷電微粒子のみが、基板
表面に到達して薄膜を成長させるので、中性粒子や巨大
粒子が薄膜中に混入せず、均一な膜質の薄膜を成膜する
ことが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図1(a)の符号1は本発明の蒸着
装置であり、チャンバー17を有している。チャンバー
17内部には、基板ホルダー20と、同軸型真空アーク
方式の蒸着源5とが配置されている。
【0025】この蒸着源5は、それぞれ金属材料で構成
されたアノード電極13、カソード電極11、トリガ電
極12と、アルミナ等の絶縁性材料で構成された絶縁部
材10、遮蔽部材15を有している。カソード電極11
は円柱形形状に成形され、他方、絶縁部材10は円筒形
形状に成形されており、カソード電極11は、絶縁部材
10内に挿入されている。
【0026】トリガ電極12は、リング形状に成形され
ており、絶縁部材10の外周に密着固定されている。ま
た、絶縁部材10内部には、金属材料が円柱形形状に成
形されて成る蒸着材料14が挿入され、その底面が、絶
縁部材10内で、カソード電極11の先端部分に固定さ
れており、先端部分が絶縁部材10の先端から突き出さ
れている。
【0027】アノード電極13は円筒形形状に成形され
ており、上述したカソード電極11、蒸着材料14、絶
縁部材10、トリガ電極12は、アノード電極13とは
非接触の状態で、その内部に配置されている。
【0028】チャンバー17の外部には、トリガ電源5
1とアーク電源52とが設けられており、各電源51、
52の正電位側の端子が、それぞれトリガ電極12とア
ノード電極13に接続され、負電位側の端子は、それぞ
れカソード電極11に接続されている。
【0029】基板ホルダー20は、チャンバー17内
で、アノード電極13の開口部18と平行に対向して配
置されており、上記構成の蒸着装置1を用いて薄膜を形
成する場合には、まず薄膜形成対象である基板19をチ
ャンバー17内に搬入し、基板ホルダー20に保持させ
る。
【0030】次に、不図示の真空排気系によって、チャ
ンバー17内を10-8Pa程度の高真空雰囲気にした
後、アーク電源52を起動し、アノード電極13に、蒸
着材料14に対して正電圧を印加する。
【0031】その状態でトリガ電源51を起動し、トリ
ガ電極12に正のパルス電圧を印加すると、蒸着材料1
4の側面21とトリガ電極12との間でトリガ放電(沿
面放電)が発生し、側面21から蒸着材料14の蒸気が
発生する。
【0032】その蒸気によってアノード電極13内の圧
力が上昇し、アノード電極13と蒸着材料14の間の絶
縁耐圧が低下すると、蒸着材料14とアノード電極13
との間でアーク放電が発生する。
【0033】この蒸着源5では、蒸着材料14の先端部
分には、遮蔽板15が配置され、その底面16を先端部
表面22に密着して固定されており、この蒸着材料14
では、先端部表面22が、アノード電極13内に露出し
ないようにされている。そのため、アーク放電は、蒸着
材料14の先端部表面22とアノード電極13との間で
は発生せず、蒸着材料14の側面21とアノード電極1
3との間でだけ発生するようになっている。その結果、
側面21からは、荷電微粒子31や巨大粒子33がアノ
ード電極13に向けて放出されるのに対し、先端部表面
22からは粒子は放出されない。
【0034】側面21からは、荷電微粒子31、中性粒
子32、巨大粒子33がアノード電極13に向けて放出
されるが、中性粒子32や巨大粒子33は、アーク電流
iが形成する磁場の影響を受けないか、受けても影響は
小さいため、アノード電極13に向けて直進し、その内
周面に衝突し、その部分に付着する。他方、正電荷を有
する荷電微粒子31は、磁場によって力Fを受け、電流
が流れる方向とは逆方向に曲げられ、蒸着源5の開口1
8からチャンバー17内に放出される。そして、基板1
9表面に到達すると、薄膜が成長する。
【0035】このように、本発明の蒸着源5、その蒸着
源5を有する蒸着装置1では、蒸着材料1の先端部表面
22が電気絶縁性の遮蔽板15によって覆われており、
アノード電極13内に露出しないようになっている。従
って、先端部分表面22では、アーク放電が生じず、粒
子は放出されないので、磁場で曲げられた荷電微粒子3
1だけで、基板19表面に薄膜を形成することが可能と
なっている。
【0036】上記アーク電流は大電流であるため、アー
ク電流が流れ始めるとアーク電源52の出力電圧が低下
し、アーク放電が停止する。1回のアーク放電で放出さ
れる荷電微粒子31は、薄膜形成に必要な量と比べると
少量なので、アーク電源52の回復を待って所望回数だ
けトリガ放電を発生させ、繰り返しアーク放電を誘起さ
せることで基板19表面に所望膜厚の薄膜を形成するこ
とが可能となっている。
【0037】なお、上記蒸着源5と遮蔽板15は、同径
の円柱であったが、図2(a)に示した蒸着源5aのよう
に、蒸着材料14よりも大径の遮蔽板15aを先端部分
表面22に固定してもよい。
【0038】また、図2(b)に示す蒸着源5bのよう
に、キャップ状の遮蔽板15bを、蒸着材料14の先端
部分にねじ込んで被せ、先端部分表面22がアノード電
極13内に露出しないようにしてもよい。
【0039】このようにして、図1の蒸着源5では、遮
蔽板を配置する構成をとることで、中性粒子や巨大粒子
が基板表面に付着することを防いでいたが、アノード電
極に直進する中性粒子や巨大粒子がアノードの内周壁面
に付着せずに、蒸着源の開口方向に散乱して、開口から
放出され、基板表面に到達してしまうことがまれにあ
る。
【0040】以下で、本発明の別の実施形態について説
明する。図3(a)の符号81は本発明の蒸着装置であ
り、チャンバー67を有している。チャンバー67内部
には、基板ホルダー70と、同軸型真空アーク方式の蒸
着源55とが配置されている。
【0041】この蒸着源55は、それぞれ金属材料で構
成されたアノード電極63、カソード電極61、トリガ
電極62と、アルミナ等の絶縁性材料で構成された絶縁
部材60を有している。カソード電極61は円柱形形状
に成形され、他方、絶縁部材60は円筒形形状に成形さ
れており、カソード電極61は、絶縁部材60内に挿入
されている。
【0042】トリガ電極62は、リング形状に成形され
ており、絶縁部材60の外周に密着固定されている。ま
た、絶縁部材60内部には、金属材料が円柱形形状に成
形されて成る蒸着材料64が挿入され、その底面が、絶
縁部材60内で、カソード電極61の先端部分に固定さ
れており、先端部分が絶縁部材60の先端から突き出さ
れている。
【0043】アノード電極63は円筒形形状に成形され
ており、その内周壁面には、内周壁面に沿ってリング状
の凸部90が設けられている。凸部90は、アノード電
極63の開口68と、カソード電極61の先端との間に
複数設けられており、各凸部90は、カソード電極61
の先端側へと傾けられて設けられている。上述したカソ
ード電極61、蒸着材料64、絶縁部材60、トリガ電
極62は、アノード電極63とは非接触の状態で、その
内部に配置されている。
【0044】チャンバー67の外部には、トリガ電源7
1とアーク電源72とが設けられており、各電源71、
72の正電位側の端子が、それぞれトリガ電極62とア
ノード電極63に接続され、負電位側の端子は、それぞ
れカソード電極61に接続されている。
【0045】基板ホルダー70は、チャンバー67内
で、アノード電極63の開口部68と平行に対向して配
置されており、上記構成の蒸着装置81を用いて薄膜を
形成する場合には、まず薄膜形成対象である基板69を
チャンバー67内に搬入し、基板ホルダー70に保持さ
せる。
【0046】次に、不図示の真空排気系によって、チャ
ンバー67内を10-8Pa程度の高真空雰囲気にした
後、アーク電源72を起動し、アノード電極63に、蒸
着材料64に対して正電圧を印加する。
【0047】その状態でトリガ電源71を起動し、トリ
ガ電極62に正のパルス電圧を印加すると、蒸着材料6
4の側面91とトリガ電極62との間でトリガ放電(沿
面放電)が発生し、側面91から蒸着材料64の蒸気が
発生する。
【0048】その蒸気によってアノード電極63内の圧
力が上昇し、アノード電極63と蒸着材料64の間の絶
縁耐圧が低下すると、蒸着材料64とアノード電極63
との間でアーク放電が発生する。
【0049】このとき側面91や、先端部表面92から
は、荷電微粒子96、中性粒子95、巨大粒子97がア
ノード電極63に向けて放出される。正電荷を有する荷
電微粒子96は、アーク電流iによって生じる磁場によ
って力Fを受け、電流iが流れる方向とは逆方向に曲げ
られ、蒸着源55の開口68からチャンバー67内に放
出される。そして、基板69表面に到達すると、薄膜が
成長する。他方、中性粒子95や巨大粒子97は、アー
ク電流が形成する磁場の影響を受けないか、受けても影
響は小さいため、アノード電極63に向けて直進する。
【0050】図3の蒸着源55では、アノード電極63
の内壁に凸部90が複数個設けられているので、アノー
ド電極63に向けて直進した中性粒子95や巨大粒子9
7が、アノード電極63の内壁に衝突した後に開口方向
へと散乱しても、これらの粒子95、97は凸部90に
衝突し、凸部90に付着するか、もしくは開口68方向
と反対方向に散乱されるため、開口68方向へは散乱さ
れず、基板表面まで到達しない。
【0051】従って、磁場で曲げられた荷電微粒子96
だけで、基板69表面に薄膜を形成することができるの
で、従来に比して膜質が良くなる。上記アーク電流は大
電流であるため、アーク電流が流れ始めるとアーク電源
72の出力電圧が低下し、アーク放電が停止する。1回
のアーク放電で放出される荷電微粒子96は、薄膜形成
に必要な量と比べると少量なので、アーク電源72の回
復を待って所望回数だけトリガ放電を発生させ、繰り返
しアーク放電を誘起させることで基板69表面に所望膜
厚の薄膜を形成することが可能となっている。
【0052】なお、図3の蒸着源55では、アノード電
極63の内壁に沿ってリング状の凸部90を複数設けて
いるが、本発明はこれに限らず、複数の突起をアノード
電極63の内壁に散在するように設けてもよい。
【0053】また、図3の蒸着源55において、リング
状の凸部90は、カソード電極61の先端側へと傾けら
れて配置されているが、本発明はこれに限らず、カソー
ド電極61の内壁と垂直に配置されていてもよい。
【0054】
【発明の効果】巨大粒子(液滴)が基板方向に放出されな
いので、膜質のよい薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):本発明の一実施形態の蒸着装置 (b):本発明の一実施形態の蒸着源
【図2】(a)、(b):本発明の他の実施形態の蒸着源
【図3】(a):本発明においてアノード電極内周壁面に
凸部を設けた実施形態の蒸着装置 (b):本発明においてアノード電極内周壁面に凸部を設
けた実施形態の蒸着源
【図4】(a)、(b):従来技術の同軸型真空アーク蒸着
装置
【符号の説明】 1、81……蒸着装置 5、55……蒸着源 1
0、60……絶縁部材 12、62……トリガ電極 13、63……アノード
電極 14、64……蒸着材料 15、15a、15b
……遮蔽物 17、67……チャンバー 90……凸

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カソード電極と、 前記カソード電極の先端に取り付けられた蒸着材料と、 前記蒸着材料と密着して設けられた絶縁部材と、 前記絶縁部材に密着配置されたトリガ電極と、 前記蒸着材料近傍に配置されたアノード電極とを有し、 前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印
    加した状態で、前記トリガ電極に電圧を印加すると、該
    トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生
    し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放
    電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が放出されるよ
    うに構成された蒸着源であって、 前記蒸着材料の先端部分には、絶縁性物質で構成された
    遮蔽物が設けられていることを特徴とする蒸着源。
  2. 【請求項2】筒状に形成されたアノード電極と、 前記アノード電極の内部に設けられ、先端が前記アノー
    ド電極の開口よりも内側にあるように配置されたカソー
    ド電極と、 前記カソード電極の先端に取り付けられた蒸着材料と、 前記蒸着材料と密着して設けられた絶縁部材と、 前記絶縁部材に密着配置されたトリガ電極とを有し、 前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印
    加した状態で、前記トリガ電極に電圧を印加すると、該
    トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生
    し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放
    電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が、前記開口か
    ら放出されるように構成された蒸着源であって、 前記カソード電極の先端と前記アノード電極の開口との
    間の、前記アノード電極の内壁には、凸部が設けられて
    なることを特徴とする蒸着源。
  3. 【請求項3】前記凸部は、前記カソード電極側へと傾け
    て設けられたことを特徴とする請求項2記載の蒸着源。
  4. 【請求項4】前記凸部は、前記アノード電極の内壁に沿
    って環状に設けられたことを特徴とする請求項2又は請
    求項3記載の蒸着源。
  5. 【請求項5】真空排気可能なチャンバーを有し、該チャ
    ンバーに、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の
    蒸着源が設けられたことを特徴とする蒸着装置。
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