JP5013331B2 - 同軸型真空アーク蒸着源 - Google Patents

同軸型真空アーク蒸着源 Download PDF

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Description

本発明は、蒸着源及び蒸着装置に係り、特に、いわゆる同軸型真空アーク蒸着源に用いられる碍子に関するものである。
薄膜は、従来より、半導体装置や液晶装置等の種々の分野に用いられており、スパッタリング装置や蒸着装置等の薄膜形成装置によって、金属薄膜や磁性薄膜等の多種の薄膜が形成されている。それらのうち、同軸型真空アーク蒸着源を用いた蒸着装置が知られている。
従来の同軸型真空アーク蒸着源を用いた蒸着装置の一例を図6の符号101に示す。この蒸着装置101は、真空槽102と、真空槽102の内部天井側に配置された基板ホルダ103と、真空槽102の内部に、基板ホルダ103に対向するように配置された蒸着源105とを有している。また、真空槽102の外部に設けた電源装置106から、蒸着源105に電力を供給する。
この蒸着源105の詳細な構成を図4、図5に示す。この蒸着源105は、ステンレスがΦ30mm×60mmの筒状に形成されてなるアノード電極123を有している。
図6に示すように、真空槽102の内部底面には貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に蓋するように、取付けフランジ150が配置されている。取付けフランジ150には、鉛直に配置された複数本の支柱151の下端が固定されており、支柱151の上端には、蒸着源105のアノード電極123が固定されている。
ここで使用される蒸着源105は、図4、図5に示すように板状のベースフランジ119と、カソード電極112と、蒸着材料111と、トリガ電極113と絶縁碍子114とを有している。
上述したアノード電極123の内部側面には、円板状のベースフランジ119の端部が固定されており、カソード電極112は、このベースフランジ119と絶縁された状態で、ベースフランジ119の表面側に配置されている。
蒸着材料111は、Φ10×22mmの円柱状に形成された蒸発部分と、特に図示しない一端が蒸発部分の底面に垂直に配置された棒状のねじ部とを有している。ねじ部の先端には、ねじが切られている。他方、カソード電極112は銅で出来た電極であり、その上面にはねじ孔が設けられている。蒸着材料111はカソード電極112の上にねじ止め固定されている。
また、カソード電極112と蒸着材料111との間には、絶縁碍子114及びその周囲に配置されたリング状のトリガ電極113が配置されている。この絶縁碍子114は、円筒状の部分と円板状の部分が一体となっており、その形状からハット型碍子と呼称する。トリガ電極113はこのハット型の絶縁碍子114により、カソード電極112と蒸着材料111との両方と絶縁されている。このとき蒸着材料111、絶縁碍子114及びトリガ電極113の側面は、面一になっている。なお、絶縁碍子114は、アルミナで出来ており、純度は96%である。また、高さは15mmである。
上述したベースフランジ119には、貫通孔が設けられており、その貫通孔には、スリーブ116が挿通されており、円筒部分はベースフランジ119の裏面側から露出している。露出した円筒部分の周囲には、アルミナなどの絶縁材からなるリング状のスリーブ押え117が配置されている。スリーブ116の上には、上述したカソード電極112が配置されている。カソード電極112の下端はスリーブ116を挿通してベースフランジ119の裏面側に露出している。カソード電極112の下端にはねじが切られており、そのねじがナット118でねじ止めされることにより、カソード電極112は、スリーブ116及びスリーブ押え117を挟み付けた状態で、ベースフランジ119表面に固定されている。この状態で、カソード電極112の下端は、ベースフランジ119の裏面側に露出している。
トリガ電極113には、トリガ配線121の一端が接続されている。トリガ配線121は、その周囲がトリガ配線碍子122によって被覆されている。上述したベースフランジ119には、その表裏を貫通する小孔が設けられ、トリガ配線121及びトリガ配線碍子122は、この小孔を気密に挿通されてベースフランジ119の裏面側に引き出されている。なお、トリガ配線121はステンレスで出来ている。
このように、トリガ配線121、カソード電極112、アノード電極123は、真空槽102の内部に収納され、これらのカソード電極112、トリガ配線121及びアノード電極123は、取付フランジ150を気密に挿通して配置された電流導入端子の一端にそれぞれ接続されている。各電流導入端子の他端は真空槽102の外部に露出しており、ともに真空槽102の外部に配置された電源装置106と接続されている。
この電源装置106は、トリガ電源131とアーク電源132とコンデンサユニット133とを有している。トリガ電源131は、トリガ電極113に、蒸着材料111に対して約3kVの正のパルス状の電圧を印加することができるように構成されている。他方、アーク電源132は、アノード電極123に対して、蒸着材料111に400Vの負の直流電圧を印加することができるように構成されている。また、コンデンサユニット133は1800μFの容量を持ち、アーク電源132によって充電される。
上記のような構成の蒸着装置101を用いて、基板表面に薄膜を形成する場合には、まず、真空槽102内に基板104を搬入して、基板ホルダ103に保持させて蒸着源105と対向配置させておき、真空槽102内を高真空雰囲気にしておく。
次いで、アーク電源132により、アノード電極123に対して、蒸着材料111に400Vの負の直流電圧を印加しておく。その状態でトリガ電源131を起動し、トリガ電極113に約3kVの正のパルス電圧を印加する。
すると、蒸着材料111の表面とトリガ電極113の表面との間に絶縁碍子114の円筒状部分の厚み分の距離(約1mm)を介して印加することで絶縁碍子114の表面でトリガ放電となる沿面放電が発生する。このトリガ放電によって、蒸着材料111の表面から蒸着材料111の構成物質が蒸発し、蒸気や、イオンが発生する。また、蒸着材料111と絶縁碍子114のつなぎ目から電子が発生する。
それらの蒸気、イオン、電子等によってアノード電極123内の圧力が上昇し、アノード電極123と蒸着材料111との間の絶縁耐圧が低下すると、コンデンサユニット133に充電された電荷よって、蒸着材料111とアノード電極123との間でアーク放電が発生する。アーク放電により、蒸着材料111に多量の電流が流入し、ジュール熱により蒸着材料111が蒸発すると、正電荷を有する荷電微粒子が、蒸着材料111の表面からアノード電極123に向けて大量に放出される。
かかるアーク放電によって生じたアーク電流により、アノード電極123内に磁場が形成される。その磁場は、正電荷を有する粒子に対し、アノード電極123の開口部方向に押しやる力を及ぼすので、アノード電極123に向けて放出された荷電微粒子は、真空槽102内に放出され、対向配置された基板104の表面に到達すると、基板104の表面に、薄膜が成長する。
以上が、蒸着装置101の動作であるが、蒸着源105は、一定の期間の寿命を有する。
ここで、従来の同軸型真空アーク蒸着源の寿命には2つのケースがある。
一つはカソード電極である蒸着材料の消耗である。蒸着材料111は蒸発して消耗するため、長期間使用するとトリガ放電が生じなくなり、使用できなくなる。そのときには、蒸着材料111を新しいものと交換する必要がある。
2つ目は、碍子の上部に金属蒸着物が付着し、カソード電極とトリガ電極が電気的に導通し、トリガ電圧が印加できなくなることである。
上述した絶縁碍子114は、円筒状部114aと、円板状部114bとを有するハット型碍子である。円筒状部114aは、リング状に形成され、カソード電極112の表面に配置されている。
円板状部114bは、絶縁碍子114の底面に形成されている。絶縁碍子114は、トリガ電極113の中空内部に挿通されている。円筒部分114aは、外径が円筒状のトリガ電極113の内径と等しく、かつその高さがトリガ電極113の高さと等しくなっており、円筒部分114aはトリガ電極113の内部に納まっている。
かかるハット型の絶縁碍子114の内部中空とカソード電極112の孔は連通しており、その内部には、蒸着材料111のねじ部が挿通されている。絶縁碍子114の円板状部分114b、トリガ電極113の外径は互いに等しくなっており、これらの側面は面一になっている。
蒸着材料111はその上端面から蒸発するが、トリガ電極113近傍の蒸着材料111の表面では、トリガ放電によって生じた荷電微粒子の空間密度は均一ではなく、トリガ電極近傍の位置における荷電微粒子の空間密度は、トリガ電極から離れた位置における荷電微粒子の空間密度に比して大きい。従って、アーク電流は、トリガ電極近傍に位置する蒸着材料111の表面において大きく流れ、その結果、蒸着材料111は、トリガ電極近傍のごく一部でその大部分が蒸発して消耗することになる。この場合、蒸着材料111の他端部であるねじ部等は消耗しないが、蒸着材料111を交換する際には、このようにほとんど消耗しない部分まで含めた蒸着材料111全体を交換しなければならなかった。
また、ハット型の絶縁碍子114も放電により消耗するが、このハット型の絶縁碍子114も、トリガ電極113近傍に位置する円筒状部分114aの上端のみが消耗し、トリガ電極113の下に配置される円板状部114bはほとんど消耗しないにも関わらず、その円筒部114aを含めたハット型の絶縁碍子114全体を交換しなければならない。
さらに、放電により、蒸着材料の一部は、ハット型の絶縁碍子114の上面に付着する。蒸着装置を長期間使用すると、付着した蒸着材料の付着量が増え、蒸着材料111とトリガ電極113が、その蒸着材料を介して電気的に接続されてしまうという不都合が生じてしまう。
そこで従来、同軸型アーク蒸着源のメンテナンスに要するコストを低減する試みがなされている。すなわち、蒸着源の構成品を、主として消耗する部分と消耗が少ない部分とに分離できるように構成し、消耗した部分のみを交換するようにするというものである(特許文献1参照)。
特開2002−220655号公報
しかしながら、交換可能であっても、交換頻度が多かった。また、交換部品自体が高価であった。
上記課題の解決のため、従来の同軸型真空アーク蒸着源の交換部品のうち、特に絶縁碍子のコストダウンを行うものである。
一つは、従来のハット型の絶縁碍子の製作に関してである。例えば、絶縁碍子の高さを低くすることにより、材料を少なくすることが可能である。しかしながら、単に高さを低くすると、カソード電極とトリガ電極の間の距離が短くなって、耐電圧を確保できなくなる。
また、従来のハット型の絶縁碍子の交換単位についてである。すなわち、アーク放電により絶縁碍子の円筒部の上部に蒸着材料の一部が付着するが、付着物での電気導通によって発生するジュール熱で溶けて蒸発し、消耗してしまうことがある。従来は、ハット型の絶縁碍子全体を交換していた。また、ハット型の絶縁碍子全体の材質を消耗しにくいものにすると高価になる。
上記課題を解決するため、本発明は、円筒状のアノード電極と、円柱状のカソード電極と、円筒状のトリガ電極と、前記カソード電極に接続された蒸着材料と、前記蒸着材料と前記トリガ電極との間に配置されたハット状の絶縁碍子とを有し、
前記蒸着材料は、前記トリガ電極に近接した位置に配置され、
前記トリガ電極に電圧を印加すると、該トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が蒸発するように構成された蒸着源であって、
前記円筒状のトリガ電極と前記円柱状のカソード電極が前記ハット状の絶縁碍子を挟んで同軸に隣接して固定され、前記円柱状のカソード電極の周りに同軸に円筒状のアノード電極が配置され、
前記ハット状の絶縁碍子は、円筒状部分と円板状部分からなり、
前記円板状部分の側周部に凹所または凸所があることを特徴とする蒸着源である。
すなわち、同軸型真空アーク蒸着源の碍子を、消耗しやすい部分と消耗しにくい部分とに分割し、消耗しやすい部分だけを交換しできるようにした。また、消耗しやすい部分の材質を改善した。
また、部材の価格を抑えるために、円筒状の蒸着材料の高さを低くする。これに伴って、絶縁碍子の円筒状部分ならびに円板状部分の高さを低くする。この際、円板状部分の耐電圧が低下しないように側周面に溝(凹所)または壁(凸所)を形成して沿面距離を長くし、蒸着材料の付着を少なくする。
また、絶縁碍子の消耗を抑えるために円筒部分の消耗量を減じるため碍子の融点を高くする。例えば、碍子の材質がアルミナであれば、純度を99%以上にして融点を高くして蒸発を低減する。さらに融点を高くするためには、アルミナより融点が高いジルコニアやYSZ(Y203−stabilizedZrO2)を使用する。
さらに、コストを抑えるためにハット型の絶縁碍子を、円筒状の部品と、円板状の部品に分割し、さらに、円板状の部品の厚みを薄くし、円板の外側に円周状に溝を入れて沿面距離を長くする。
また、絶縁碍子の部品の交換頻度を下げるために円筒状の部品についてはアルミナの純度を99%以上にして、融点を高くする。さらには、円筒状の部品の材質を融点がさらに高温であるジルコニアあるいはYSZ等を用いる。
一方、碍子の円板状の部品は、消耗しないので、コストダウンの為、アルミナの純度を96%以下とする。
同軸型アーク蒸着源のメンテナンスに要するコストを削減することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に本発明の実施の形態の同軸アーク蒸着源を示す。図2に本発明の実施の形態の蒸着装置1を示す。
本発明の実施形態の蒸着装置を図2の符号1に示す。この蒸着装置1は、真空槽2と、真空槽2の内部天井側に配置された基板ホルダ3と、真空槽2の内部に、基板ホルダ3に対向するように配置された蒸着源5とを有している。また、真空槽2の外部に設けた電源装置6から、蒸着源5に電力を供給する。
この蒸着源5の詳細な構成を図1に示す。この蒸着源5は、ステンレスがΦ30mm×60mmの筒状に形成されてなるアノード電極23を有している。
図2に示すように、真空槽2の内部底面には貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に蓋するように、取付けフランジ50が配置されている。取付けフランジ50には、鉛直に配置された複数本の支柱51の下端が固定されており、支柱51の上端には、蒸着源5のアノード電極23が固定されている。
ここで使用される蒸着源5は、図1に示すように板状のベースフランジ19と、カソード電極12と、蒸着材料11と、トリガ電極13と絶縁碍子14とを有している。
上述したアノード電極23の内部側面には、円板状のベースフランジ19の端部が固定されており、カソード電極12は、このベースフランジ19と絶縁された状態で、ベースフランジ19の表面側に配置されている。
蒸着材料11は、Φ10×17mmの円柱状に形成された蒸発部分と、特に図示しない一端が蒸発部分の底面に垂直に配置された棒状のねじ部とを有している。ねじ部の先端には、ねじが切られている。他方、カソード電極12は銅で出来た電極であり、その上面にはねじ孔が設けられている。蒸着材料11はカソード電極12の上にねじ止め固定されている。
また、カソード電極12と蒸着材料11との間には、絶縁碍子14及びその周囲に配置されたリング状のトリガ電極13が配置されている。この絶縁碍子14は、円筒状の部分と円板状の部分から構成されており、その形状からハット型碍子と呼称する。トリガ電極13はこのハット型の絶縁碍子14により、カソード電極12と蒸着材料11との両方と絶縁されている。このとき蒸着材料11、絶縁碍子14及びトリガ電極13の側面は、面一になっている。なお、絶縁碍子14の円筒状部分14aは、アルミナで出来ており、純度は99%である。また、高さは10mmである。また、絶縁碍子14の円板状部分14bは、アルミナで出来ており、純度は96%である。また、円板状部分14bの側周面には、溝が形成されている。
上述したベースフランジ19には、貫通孔が設けられており、その貫通孔には、スリーブ16が挿通されており、円筒部分はベースフランジ19の裏面側から露出している。露出した円筒部分の周囲には、アルミナなどの絶縁材からなるリング状のスリーブ押え17が配置されている。スリーブ16の上には、上述したカソード電極12が配置されている。カソード電極12の下端はスリーブ16を挿通してベースフランジ19の裏面側に露出している。カソード電極12の下端にはねじが切られており、そのねじがナット18でねじ止めされることにより、カソード電極12は、スリーブ16及びスリーブ押え17を挟み付けた状態で、ベースフランジ19表面に固定されている。この状態で、カソード電極12の下端は、ベースフランジ19の裏面側に露出している。
トリガ電極13には、トリガ配線21の一端が接続されている。トリガ配線21は、その周囲がトリガ配線碍子22によって被覆されている。上述したベースフランジ19には、その表裏を貫通する小孔が設けられ、トリガ配線21及びトリガ配線碍子22は、この小孔を気密に挿通されてベースフランジ19の裏面側に引き出されている。なお、トリガ配線21はステンレスで出来ている。
このように、トリガ配線21、カソード電極12、アノード電極23は、真空槽2の内部に収納され、これらのカソード電極12、トリガ配線21及びアノード電極23は、取付フランジ50を気密に挿通して配置された電流導入端子の一端にそれぞれ接続されている。各電流導入端子の他端は真空槽2の外部に露出しており、ともに真空槽102の外部に配置された電源装置6と接続されている。
この電源装置6は、トリガ電源31とアーク電源32とコンデンサユニット33とを有している。トリガ電源31は、トリガ電極13に、蒸着材料11に対して約3kVの正のパルス状の電圧を印加することができるように構成されている。他方、アーク電源32は、アノード電極23に対して、蒸着材料11に400Vの負の直流電圧を印加することができるように構成されている。また、コンデンサユニット33は1800μFの容量を持ち、アーク電源32によって充電される。
上記のような構成の蒸着装置1を用いて、基板表面に薄膜を形成する場合には、まず、真空槽2内に基板4を搬入して、基板ホルダ3に保持させて蒸着源5と対向配置させておき、真空槽2内を高真空雰囲気にしておく。
次いで、アーク電源32により、アノード電極23に対して、蒸着材料11に400Vの負の直流電圧を印加しておく。その状態でトリガ電源31を起動し、トリガ電極13に約3kVの正のパルス電圧を印加する。
すると、蒸着材料11の表面とトリガ電極13の表面との間に絶縁碍子14の円筒状部分の厚み分の距離(約1mm)を介して印加することで絶縁碍子14の表面でトリガ放電となる沿面放電が発生する。このトリガ放電によって、蒸着材料11の表面から蒸着材料11の構成物質が蒸発し、蒸気や、イオンや電子等が発生する。また、蒸着材料11と絶縁碍子14のつなぎ目から電子が発生する。
それらの蒸気、イオン、電子等によってアノード電極23内の圧力が上昇し、アノード電極23と蒸着材料11との間の絶縁耐圧が低下すると、コンデンサユニット133に充電された電荷よって、蒸着材料11とアノード電極23との間でアーク放電が発生する。アーク放電により、蒸着材料11に多量の電流が流入し、ジュール熱により蒸着材料11が蒸発すると、正電荷を有する荷電微粒子が、蒸着材料11の側面からアノード電極23に向けて大量に放出される。
かかるアーク放電によって生じたアーク電流により、アノード電極23内に磁場が形成される。その磁場は、正電荷を有する粒子に対し、アノード電極23の開口部方向に押しやる力を及ぼすので、アノード電極23に向けて放出された荷電微粒子は、真空槽2内に放出され、対向配置された基板4の表面に到達すると、基板4の表面に、薄膜が成長する。
同軸型真空アーク蒸着源の寿命は2つあり、一つはカソードの消耗である。2つ目は、碍子の上部に金属蒸着物が付着し、カソードとトリガ電極が電気的に導通し、トリガ電圧が印加できなくなることである。
上述した蒸着材料11は蒸発して消耗するため、長期間使用するとトリガ放電が生じなくなり、使用できなくなる。そのときには、蒸着材料11を新しいものと交換する必要がある。
上述した絶縁碍子14は、円筒状部14aと、板状部14bとを有するハット型碍子である。円筒状部14aは、リング状に形成され、カソード電極12の表面に配置されている。
円板状部14bは、絶縁碍子14の底面に形成されフランジ状である。絶縁碍子14は、トリガ電極13の中空内部に挿通されている。円筒部分14aは、外径が円筒状のトリガ電極13の内径と等しく、かつその高さがトリガ電極13の高さと等しくなっており、内筒部分14aはトリガ電極13の内部に納まっている。
かかるハット型碍子14の内部中空とカソード電極12の孔は連通しており、その内部には、蒸着材料11のねじ部が挿通されている。絶縁碍子14の円板状部分14b、トリガ電極13の外径は互いに等しくなっており、これらの側面は面一になっている。
以上のように構成自体は従来と同じである。差異点は、図1において、絶縁碍子14が、分割して構成されることである。すなわち、円筒状部分14aと板状部分14bである。
円筒状部分14aは円筒の高さ方向を短くする。本実施例では10mmとした。また、材質はアルミナで純度99%以上にしている。
また、板状部分14bも高さ方向を短くする。さらに、円周の側面に溝部を形成した。また、材質はアルミナで純度96%とした。
この結果、従来の絶縁碍子114では寿命が10000回〜30000回であったものが、本願発明の絶縁碍子14では40000回〜60000回に伸びた。
なお、本発明では、絶縁碍子14の高さを低くしたことにより、副次的に蒸着材料111をコストダウンすることもできる。すなわち、碍子の高さを従来15mmであったものを10mmとしたことで、カソード電極である蒸着材料111の長さも従来22mm必要であったが、本発明の蒸着材料11では、17mmに短縮することが出来た。その分、部材の価格が下がった。
以上まとめると、本発明の同軸真空アーク蒸着源用ハット型碍子によれば、ハット型碍子を円筒部品と板状部品に2分割して、寿命を2倍近く伸ばすことができた。さらに、円筒部品と板状部品に分割したことにより、製造しやすくなり、価格を下げることができた。
また、消耗部品である円筒部品の材質を変えたことにより、交換頻度が下がり、ランニングコストが減った。
以上のように、本発明の実施の形態について、円板状部分の外周面に溝(凹所)を有するハット型の絶縁碍子を例にとって説明したが、勿論、本願発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば実施例では、円板状部分の外周面に溝(凹所)を有するハット型の絶縁碍子を用いたが、円板状部分の外周面に壁(凸所)を有するハット型の絶縁碍子でも良い。沿面距離を稼ぐことが出来れば同様の効果が得られる。
また、ハット型の絶縁碍子を円筒部品と円筒部品の外周側に嵌った円環状の板状部品に分割したが、2個とは限らず、2個以上の複数個に分割しても良い。また、円環の枚数、高さ、円環の厚み、材質を適宜変えることにより、交換頻度を調整可能である。
また、ハット型の絶縁碍子を円筒部品と円筒部品の外周側に嵌った円環状の板状部品に分割したが、ハット型の絶縁碍子を軸方向に分割しても良い。例えば、ハット型の円筒状部分と円板状部分に分けても良いし、円板状部分に設けた溝の部分で分割しても良い(図3参照)。また、2個とは限らず、2個以上の複数個に分割しても良い。また、円筒または円板の枚数、高さ、材質を適宜変えることにより、交換頻度を調整可能である。
本発明の実施の形態の同軸型真空アーク蒸着源を説明する断面図(正面)である。 本発明の蒸着装置を説明する断面図である。 本発明の実施の形態の同軸型真空アーク蒸着源の変形例を説明する断面図(正面)である。 従来の同軸型真空アーク蒸着源を説明する断面図(正面)である。 従来の同軸型真空アーク蒸着源を説明する断面図(側面)である。 従来の蒸着装置を説明する断面図である。
符号の説明
1・・・蒸着装置、2・・・真空槽、3・・・基板ホルダ、4・・・基板、5・・・蒸着源、6・・・電源装置、
11・・・蒸着材料、12・・・カソード電極、12a・・・電極ホルダ部、12b・・・下端部、13・・・トリガ電極、14・・・絶縁碍子、14’・・・絶縁碍子、14a・・・円筒、14b・・・円板、14c・・・ハット、14d・・・円板、16・・・スリーブ、17・・・スリーブ押さえ、17a・・・上側スリーブ押さえ、17b・・・下側スリーブ押さえ、18・・・ナット、
21・・・トリガ配線、22・・・トリガ配線碍子、23・・・アノード電極、
31・・・トリガ電源、32・・・アーク電源、33・・・コンデンサユニット、
50・・・取付けフランジ、51・・・支柱、
101・・・蒸着装置、102・・・真空槽、103・・・基板ホルダ、104・・・基板、105・・・蒸着源、106・・・電源装置、
111・・・蒸着材料、112・・・カソード電極、112a・・・電極ホルダ部、112b・・・下端部、112c・・・ねじ、113・・・トリガ電極、114・・・絶縁碍子、114a・・・円筒、114b・・・円板、116・・・スリーブ、117・・・スリーブ押さえ、117a・・・上側スリーブ押さえ、117b・・・下側スリーブ押さえ、118・・・ナット、
121・・・トリガ配線、122・・・トリガ配線碍子、123・・・アノード電極、
131・・・トリガ電源、132・・・アーク電源、133・・・コンデンサユニット、
150・・・取付けフランジ、151・・・支柱、

Claims (3)

  1. 円筒状のアノード電極と、円柱状のカソード電極と、円筒状のトリガ電極と、前記カソード電極に接続された蒸着材料と、前記蒸着材料と前記トリガ電極との間に配置されたハット状の絶縁碍子とを有し、
    前記蒸着材料は、前記トリガ電極に近接した位置に配置され、
    前記トリガ電極に電圧を印加すると、該トリガ電極と前記蒸着材料との間にトリガ放電が発生し、前記アノード電極と前記蒸着材料との間にアーク放電が誘起され、前記蒸着材料の構成物質が蒸発するように構成された蒸着源であって、
    前記円筒状のトリガ電極と前記円柱状のカソード電極が前記ハット状の絶縁碍子を挟んで同軸に隣接して固定され、前記円柱状のカソード電極の周りに同軸に円筒状のアノード電極が配置され、
    前記ハット状の絶縁碍子は、円筒状部分と円板状部分からなり、
    前記ハット状の絶縁碍子の円筒状部分と円板状部分とを分割可能にし、前記円筒状部分の絶縁碍子を前記円板状部分の絶縁碍子より融点の高い材料で構成し、
    前記円板状部分の高さを前記円筒状部分より低くし、前記円板状部分の側周部に凹所または凸所を形成して沿面距離を長くしたことを特徴とする蒸着源。
  2. 前記ハット状の絶縁碍子の前記円板状部分は前記円筒状部分の外周側に嵌った円環状の碍子に分割可能としたことを特徴とする請求項1に記載の蒸着源。
  3. 前記ハット状の絶縁碍子は、前記円筒状部分と前記円板状部分とを軸方向に分割可能としたことを特徴とする請求項1に記載の蒸着源。
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