JP2009045528A - 同軸型真空アーク蒸着源を備えたナノ粒子担持装置およびナノ粒子坦持方法 - Google Patents

同軸型真空アーク蒸着源を備えたナノ粒子担持装置およびナノ粒子坦持方法 Download PDF

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【課題】 同軸型真空アーク蒸発源を備えた坦持装置によって触媒用のナノ粒子を粒子状担体に担持させるに際し、粒子状担体が容器内から外へ飛散しないナノ粒子担持装置、およびナノ粒子担持方法を提供すること。
【解決手段】 カソード電極22の白金をアーク放電によって粒子状担体であるカーボンブラックCに蒸着させて担持させるに際し、ナノ粒子担持装置1のアーク放電用コンデンサユニット28の容量を4400μF以下、アーク放電用直流電源27の放電電圧を100V以下、放電周期を2Hz以上に設定してカーボンブラックCのチャージアップを抑制する。更には、同担持装置1の真空チャンバ11内に設置した熱電子放出機器41から電子を放出させてカーボンブラックCのチャージアップを抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は同軸型真空アーク蒸着源を用いた触媒用ナノ粒子担持装置および触媒用ナノ粒子担持装置に関するものであり、更に詳しくは、触媒用ナノ粒子を粒子状担体に担持させる真空アーク蒸着時において、容器内に収容した粒子状担体が容器外へ飛散することのない触媒用ナノ粒子担持装置および触媒用ナノ粒子担持方法に関するものである。
従来、燃料電池には粉末状のカーボンブラックに触媒作用を示す活性金属として白金を担持させたものが使用されているが、カーボンブラックに白金を担持させる方法としては、白金コロイド液をカーボンブラック含有水溶液と混合することが行なわれている。例えば塩化白金酸イオンを含有する水溶液にジチオン酸ナトリウムを添加して、好ましくは過酸化水素を共存させて、白金コロイドを作製し、これにカーボンブラックを加えて、白金の超微粒子をカーボンブラックに担持させる方法が知られている(特許文献1を参照)。また高分子量顔料分散剤の水溶液中で二価の白金化合物(例えばテトラクロロ白金酸カリウム)とアミン化合物(例えばジメチルアミノエタノール)とを混合することによって、二価の白金化合物を還元して白金コロイドを作製し、その白金コロイド中に活性炭の粉末を浸漬する方法が多くの担持方法の一つとして示されている(特許文献2を参照)。
特開昭54−92588号公報 特開2002−285207号公報
しかし、上記のように、水中に白金の超微粒子が分散されている状態の白金コロイドにカーボンブラックを投入して白金をカーボンブラックに担持させる方法は、白金の超微粒子の中でカーボンブラックに担持されないものが多くなり易く、使用する白金量が過大になるという問題がある。
これに対し、本発明者等は従来のようなウエット系で担持させるのではなく、ドライ系である真空アーク蒸着法によって白金をカーボン粒子に担持させる方法を開発している。すなわち、以下に示すような同軸型真空アーク蒸発源を備えた担持装置によって担持させる方法である。
図1は上記の同軸型真空アーク蒸着源を備えた触媒用ナノ粒子担持装置1を示す断面図である。すなわち、真空チャンバ11の上部に白金を蒸発させる同軸型真空アーク蒸着源21が取り付けられており、真空チャンバ11内の底部には被蒸着材であり担体であるカーボンブラックCを収容し撹拌する容器31が配置されている。また真空チャンバ11の側壁には真空チャンバ11内を排気するための真空排気系であるロータリポンプ12とターボ分子ポンプ13が取り付けられている。
同軸型真空アーク蒸着源21は蒸発材料である白金(Pt)からなる円柱状のカソード電極22と、カソード電極22の外周面に接して同軸に設けられたハット形状の絶縁碍子23と、絶縁碍子23のハットの筒状部の外周面に接し、ハットの鍔部に上端を接して同軸に設けられた円筒状のトリガ電極24と、トリガ電極24の外周面から所定の間隔をあけて同軸に設けられた円筒状であり、下端側が真空チャンバ11内へ開口され、上端側がカソード電極22の上端から離隔した位置で閉じられているアノード電極25とからなっている。
更にトリガ電極24とカソード電極22との間にはトリガ電源26が設けられており、カソード電極22とアノード電極25との間にはアーク発生用の直流電源27が設けられている。そして、トリガ電源26のプラス端子はトリガ電極24に接続され、マイナス端子は上記直流電源27のマイナス端子と同電位とされてカソード電極22に接続されている。トリガ電源26はパルストランスからなり、入力電圧200V、パルス幅μsec単位のパルス電圧を17倍の3.4kV(数μA)に昇圧して出力する。
上述したように、アノード電極25とカソード電極22との間には電圧100V、電流が数Aであるアーク発生用の直流電源27が設けられており、同直流電源27のプラス端子は接地されてグランド電位にあり、アノード電極25に接続されている。そして、アーク発生用の直流電源27と並列に容量8800μFのアーク発生用のコンデンサユニット28が設けられており、コンデンサユニット28の一方の端子は上記直流電源27のプラス端子側に接続され、他方の端子は直流電源27のマイナス端子側に接続されている。なお、コンデンサユニット28は容量2200μF、耐圧100Vのコンデンサが4個並列に接続されているものである。コンデンサユニット28は直流電源27によって随時蓄電されるが、その蓄電に約1秒かかるので、コンデンサユニット28からの放電を繰り返す場合の放電の周期は約1Hzとなる。
カーボンブラックCの容器31は真空チャンバ11の下方の外部に設けた回転駆動源32によって回転される。すなわち、回転駆動源32の回転軸33が真空チャンバ11内へ図示を省略した真空シール機構を介して挿通され、更に真空チャンバ11内に設けられた固定台34を回転可能に挿通されており、その回転軸33の上端に容器31が取り付けられている。そして、固定台34に取り付けた支柱35に支持された固定羽根36を容器31の底面に近い深さに位置させたものであり、容器31が回転されることによって内部に収容されているカーボンブラックCが撹拌される。
続いて、図1に示したナノ粒子担持装置1を使用して、容器31内の担体であるカーボンブラックCの表面に同軸型真空アーク蒸発源21のカソード電極22の構成材料であり蒸発材料である白金のナノ粒子を形成させる担持方法について説明する。なお、容器31内に所定量のカーボンブラックCが収容され、容器31は回転駆動源32によって回転されて撹拌が開始されており、かつロータリポンプ12、続いてターボ分子ポンプ13を起動して真空チャンバ11内が所定の真空度まで真空排気され、要すれば図示を省略した供給源から不活性ガスが導入されて、真空度10-5Paに維持されており、コンデンサユニット28はアーク発生用の直流電源27によって蓄電されているものとする。その状態で、先ずトリガ電源26からトリガ電極24へ電圧3.4kVのパルス電圧を出力してカソード電極22の下端とトリガ電極24の下端との間の絶縁碍子23の下端面に沿面放電、すなわちトリガ放電を生起させる。
そのトリガ放電に誘起されてカソード電極22とアノード電極25との間にアーク放電が発生する。すなわちコンデンサユニット28に蓄電されている電荷が真空アーク放電し、カソード電極22へ多量のアーク電流(2000A〜5000A)が200μsec〜550μsecの間に流入する。このアーク電流によって、カソード電極22の下端の近傍にはプラズマが形成され、かつカソード電極22を構成している白金は下端面が部分的に融解されて蒸発するが、蒸発した白金はプラズマ化されて電子と白金イオンとに解離される。そしてアーク電流がカソード電極22を流れることにより、カソード電極22を中心にして同心円筒状に磁場が形成される。従って、カソード電極22から放出された電子と白金イオンは磁場からローレンツ力を受け、電子はローレンツ力によって、また(電荷/質量)比が大きい原子状の白金イオンはローレンツ力および電子との間のクーロン力によって、カソード電極22の軸心方向へ加速されて飛翔し、容器31内で撹拌されているカーボンブラックCに衝突して付着し凝集する。
このようにして、カーボンブラックCの表面に白金ナノ粒子(粒子径1nm〜10nm)を均等に担持させることはできるが、この真空アーク蒸着の際に、カーボンブラックCが容器31からスモーク状に舞い上がり飛散するという現象を生じた。これに対し、容器31の周壁の高さを大にすることによって多少は改善されるが、高さを大にし過ぎて、例えば、容器31の上端を同軸型真空アーク蒸着源21の下端と同程度まで高くすると、同軸型真空アーク蒸着源21がカーボンブラックCで汚れて短絡するような事態を招いた。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、同軸型真空アーク蒸発源を備えた触媒用ナノ粒子担持装置によって金属ナノ粒子を粒子状担体に担持させるに際し、容器内に収容した粒子状担体が容器外へ飛散しないナノ粒子担持装置およびナノ粒子担持方法を提供することを課題とする。
上記の課題は請求項1または請求項4の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば次に示す如くである。
請求項1のナノ粒子担持装置は、真空チャンバと、蒸着材料であり触媒活性を有する金属からなるカソード電極、トリガ電極、アノード電極、トリガ電源、およびアーク発生用の並列に設けられた直流電源とコンデンサを備えた同軸型真空アーク蒸発源と、被蒸着材料である粒子状担体を収容する容器とを備えたナノ粒子担持装置において、真空アーク蒸着時にカソード電極から蒸発し容器内の粒子状担持体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量の調整手段が設けられている装置である。
このようなナノ粒子担持装置は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷量を抑制することにより、容器内の粒子状担体がチャージアップすることを抑制する。
請求項2のナノ粒子担持装置は、電荷量の調整手段が、コンデンサの静電容量と直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整する手段である装置である。このようなナノ粒子担持装置は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷量を抑制することができる。
請求項3のナノ粒子担持装置は、電荷量の調整手段が、真空チャンバ内に設置され、金属ナノ粒子が有する電荷の少なくとも一部を中和させるための電子を放出する電子放出源である装置である。このようなナノ粒子担持装置は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷量を抑制することができる。
請求項4のナノ粒子担持方法は、真空チャンバ内において、蒸着材料であり触媒活性を有する金属からなるカソード電極、トリガ電極、アノード電極、トリガ電源、およびアーク発生用の並列に設けられた直流電源とコンデンサを備えた同軸型真空アーク蒸発源を用いて、容器に収容された被蒸着材料である粒子状担体に金属ナノ粒子を担持させるナノ粒子担持方法であって、真空アーク蒸着時にカソード電極から蒸発し形成される金属ナノ粒子が有する電荷量を調整して前記粒子状担体に蒸着させる方法である。
このようなナノ粒子担持方法は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量を調整することにより、容器内の粒子状担体がチャージアップすることを抑制する。
請求項5のナノ粒子担持方法は、電荷量を調整する方法が、コンデンサの静電容量と直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整する方法である。このようなナノ粒子担持方法は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷量を抑制することができる。
請求項6のナノ粒子担持方法は、電子放出源から供給する電子によって金属ナノ粒子が有する電荷の少なくとも一部を中和させる方法である。このようなナノ粒子担持方法は、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の有する電荷量を抑制することができる。
請求項1のナノ粒子担持装置によれば、真空アーク蒸着時にカソード電極から蒸発し粒子状担持体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量の調整手段が設けられているので、被蒸着体である粒子状担体にチャージアップする電荷量を低減させて真空アーク蒸着中に容器内の粒子状担体が容器外へ飛散することを抑制し、ナノ粒子担持装置の生産性を高める。
請求項2のナノ粒子担持装置によれば、コンデンサの静電容量と直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整して、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量を低減させることができるので、粒子状担体にチャージアップする電荷量を抑制することができ、容器内の粒子状担体がチャージアップして容器外へ飛散することを抑制する。
請求項3のナノ粒子担持装置によれば、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷の少なくとも一部を電子放出源から放出される電子によって中和するので、粒子状担体にチャージアップする電荷量を抑制することができ、容器内の粒子状担体がチャージアップして容器外へ飛散することを抑制する。
請求項4の触媒用ナノ粒子担持方法によれば、真空アーク蒸着時にカソード電極から蒸発し粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量を調整するので、容器内の粒子状担体がチャージアップすることを抑制するので、被蒸着体である粒子状担体にチャージアップする電荷量を低減させて真空アーク蒸着中に容器内の粒子状担体が容器外へ飛散することを抑制し、ナノ粒子を担持した粒子状担体の歩留まりを高める。
請求項5の触媒用ナノ粒子担持方法によれば、コンデンサの静電容量と直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整することによって、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷量を抑制するので、被蒸着体である粒子状担体にチャージアップする電荷量を低減させ、真空アーク蒸着中に容器内の粒子状担体が容器外へ飛散することを抑制する。
請求項6の触媒用ナノ粒子担持方法によれば、真空チャンバ内に設置した電子放出源から放出される電子によって、カソード電極から粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子の電荷の少なくとも一部を中和するので、被蒸着体である粒子状担体にチャージアップする電荷量を低減させ、真空アーク蒸着中に容器内の粒子状担体が容器外へ飛散することを抑制する。
上記の同軸型真空アーク蒸発源21を備えた触媒用ナノ粒子担持装置1によって白金ナノ粒子をカーボンブラックCに担持させる時に、容器31内のカーボンブラックCが容器31外へ飛散する原因について探求し、その原因は真空アーク蒸着の際に、白金イオンがカーボンブラックC上に多量に降り注ぐために、カーボンブラックCが(+)にチャージアップすることにあるのではないかと考えられた。
上記の考えに基づいて、図1に示した触媒用ナノ粒子担持装置1を使用し、同軸型真空アーク蒸着源21におけるアーク放電用コンデンサユニット28の容量は上記と同様の8800μFとして、アーク放電用直流電源27の放電電圧を変化させ、放電周期を1Hz、放電回数を20000発として放電させた時のカーボンブラックCの飛散量を実測したところ、表1に示すような結果が得られた。なお、カーボンブラックCにはキャボット社の製品(商品名;VulcanXC−72)の2gを使用した。
Figure 2009045528
表1から明らかなように、放電電圧が大であるほど、換言すれば、1回の放電によって形成されるプラズマのエネルギーが大となり、そのプラズマ内を通過する白金ナノ粒子に生ずる電荷量が大になるほど、カーボンブラックCの飛散量は急激に増大すると言える。
実施例1の結果に基づいて、アーク発生用コンデンサユニット28の容量を4400μF以下とし、アーク発生用直流電源27の放電電圧を100V以下、放電周期を2Hz以上とし、放電回数は同一の蒸着量が得られる回数として放電させた時の、放電条件によるカーボンブラックCの飛散量を表2に示した。
Figure 2009045528
表1の試験番号2と表2の試験番号6とを比較し、試験番号2におけるコンデンサユニット28の容量8800μFを試験番号6では(1/2)の4400μFとし、試験番号2における直流電源27の放電周期1Hzを試験番号6では2倍の2Hzとし、試験番号2と同一の蒸着量が得られるように、試験番号2における放電回数20000発を試験番号6では40000発として放電させたが、カーボンブラックCの飛散量は試験番号2では200mgであるに対し試験番号6では50mgであり、(1/4)に減少した。
なお、次式(1)に示すように、蒸着量の指標としての成膜量Rは放電エネルギーEに比例するとされている。
R ∝ E(=CV2/2) (式1)
式(1)において成膜量Rは単位面積・単位時間当たりの蒸着膜の厚さである。また、Cはコンデンサユニット28の容量であり、Vは直流電源27の放電電圧である。
試験番号2と試験番号6とは、 放電エネルギーEは同一であるから、カーボンブラックCは同様にチャージアップされ、その飛散量も同一になると考えられる。しかし、試験番号6においてカーボンブラックCの飛散量が小さいのは、コンデンサユニット28の容量を(1/2)とすることにより、放電電圧を同一、放電間隔を(1/2)、従って放電回数を2倍としても、1回の放電毎に形成されるプラズマのエネルギーは小となり、例えばプラズマ密度が低下するので、そのプラズマ内を通過する白金ナノ粒子が白金イオンと電子とに解離される度合いは低下し、白金イオンによるカーボンブラックCのチャージアップ(表面電位、帯電量)が低下して、カーボンブラックC同士の反発力が低減したことを推測させる。
また、表2の試験番号8においては、表1の試験番号2と同様の蒸着量が得られるように、コンデンサユニット28の容量を試験番号2の(1/8)の1100μFとして、放電周期を試験番号2の8倍の8Hz、従って放電回数を16000発として放電させたところ、試験番号8におけるカーボンブラックCの飛散量は試験番号2の(1/10)の20mgとなった。
実施例1と実施例2においては、放電条件を限定することによってカーボンブラックCのチャージアップを抑制することでき、その結果、カーボンブラックCが容器31から外への飛散を抑制し得ることを示したが、真空チャンバ11内の同軸型真空アーク蒸着源の近傍、または粒子状担体を収容する容器の近傍に電子放出源を設置し、カソード電極22からカーボンブラックCへ向かって飛翔する白金イオンの少なくとも一部を上記電子放出源から放出される電子によって中和させることによっても、カーボンブラックCのチャージアップを抑制することができる。
図2は、図1のナノ粒子担持装置1の真空チャンバ11内に電子放出源として熱電子放出器41を設置したナノ粒子担持装置2を示す断面図である。すなわち、熱電子放出器41は、熱電子放出材料であるタングステン(W)のフィラメント42と、当該フィラメント42に通電して加熱するための直流電源43とからなる。フィラメント42は線径1mm、長さ80mmのものをスパイラル状に成形してコイル・スプリングの如き形状としたものであり、直流電源43によって例えば6V、25A(=150W)程度の通電を行うことによりフィラメント42が赤熱して熱電子を放出する。このような熱電子放出器41を設けたナノ粒子担持装置2を使用して、実施例1の表1における試験件番号2と同一の放電条件、すなわち、アーク放電用コンデンサユニット28の容量を8800μF、アーク放電用直流電源27の放電電圧を100V、放電周期1Hz、放電回数20000発として放電させたると共に、熱電子放出器41から熱電子を放出させた時のカーボンブラックCの飛散量は30mgであった。すなわち、カソード電極22からカーボンブラックCへ向かって飛翔する白金イオンの大部を熱電子によって中和することにより、表1の試験番号2と比較して、カーボンブラックCの飛散量はほぼ(1/7)に減少した。
以上、本発明の同軸型真空アーク蒸着源を用いたナノ粒子担持装置およびナノ粒子担持方法を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば実施例3においては、熱電子放出機器41にタングステン製のフィラメント42を使用したが、タングステン以外の熱電子放出材料、例えばタリウム(Ta)、モリブデン(Mo)、または六硼化ランタン(LaB6)を適切な形状に成形して使用することができる。加熱方法としてフィラメント42を直流電源43によって通電して抵抗加熱したが、抵抗加熱以外の方法、例えば熱電子放出材料を筒状とし、その外周に接して筒状発熱体を設けてもよい。
また実施例3においては電子放出源として熱電子放出機器41を採用したが、放電管内に希ガスを導入し、プラズマを点火して電子を引き出すような機器も使用することができる。
なお実施例においては燃料電池に使用されるに触媒を例示して本発明を説明したが、本発明は自動車の排ガス浄化装置における触媒や、カーボンナノチューブ製造時における下地膜用の触媒にも同様に適用される。
実施例1および実施例2で使用したナノ粒子担持装置を示す断面図である。 実施例3で使用した熱電子放出器を備えたナノ粒子担持装置を示す断面図である。
符号の説明
1・・・真空アーク蒸着装置、 11・・・真空チャンバ、
21・・・同軸型真空アーク蒸発源、 22・・・カソード電極、
23・・・絶縁碍子、 24・・・トリガ電極、
25・・・アノード電極、 26・・・トリガ電源、
27・・・アーク用直流電源、 28・・・コンデンサユニット、
31・・・容器、 32・・・回転駆動源、
33・・・回転軸、 36・・・固定羽根、
41・・・熱電子放出機器、 42・・・フィラメント、
43・・・加熱用直流電源、 51・・・プラズマによる電子供給機器、
52・・・中心電極、 53・・・外周電極、
54・・・筒状絶縁体、 55・・・高周波交流電源、
56・・・Heガス導入管、 57・・・放電空間、
58・・・磁石.

Claims (6)

  1. 真空チャンバと、蒸着材料であり触媒活性を有する金属からなるカソード電極、トリガ電極、アノード電極、トリガ電源、およびアーク発生用の並列に設けられた直流電源とコンデンサを備えた同軸型真空アーク蒸発源と、被蒸着材料である粒子状担体を収容する容器とを備えたナノ粒子担持装置において、
    真空アーク蒸着時に前記カソード電極から蒸発し前記容器内の前記粒子状担体へ向かって飛翔する金属ナノ粒子が有する電荷量の調整手段が設けられていることを特徴とするナノ粒子担持装置。
  2. 前記電荷量の調整手段が前記コンデンサの静電容量と前記直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整する手段であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子担持装置。
  3. 前記電荷量の調整手段が前記真空チャンバ内に設置され、前記金属ナノ粒子が有する電荷の少なくとも一部を中和させるための電子を放出する電子放出源であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子担持装置。
  4. 真空チャンバ内において、蒸着材料であり触媒活性を有する金属からなるカソード電極、トリガ電極、アノード電極、トリガ電源、およびアーク発生用の並列に設けられた直流電源とコンデンサを備えた同軸型真空アーク蒸発源を用いて、容器に収容された被蒸着材料である粒子状担体に金属ナノ粒子を担持させるナノ粒子担持方法であって、
    真空アーク蒸着時に前記カソード電極から蒸発し形成される金属ナノ粒子が有する電荷量を調整して前記粒子状担体に蒸着させることを特徴とするナノ粒子担持方法。
  5. 前記電荷量を調整する方法が、前記コンデンサの静電容量と前記直流電源の放電電圧との少なくとも何れか一方を調整する方法であることを特徴とする請求項4に記載のナノ粒子担持方法。
  6. 前記電荷量を調整する方法が、電子放出源から放出される電子によって前記金属ナノ粒子が有する電荷の少なくとも一部を中和させる方法であることを特徴とする請求項4に記載のナノ粒子担持方法。
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