JPH1161388A - 真空アーク蒸着装置 - Google Patents

真空アーク蒸着装置

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JPH1161388A
JPH1161388A JP21356097A JP21356097A JPH1161388A JP H1161388 A JPH1161388 A JP H1161388A JP 21356097 A JP21356097 A JP 21356097A JP 21356097 A JP21356097 A JP 21356097A JP H1161388 A JPH1161388 A JP H1161388A
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arc
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毅 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カソード上の全域にわたってアークスポット
の位置を検知して、カソード上のアークスポットの位置
を任意に制御することにより、基材の表面に所望の膜厚
の蒸着膜を形成することができる真空アーク蒸着装置を
提供する。 【解決手段】 アノードとカソードを有し、このカソー
ドを構成する金属を基材の表面に蒸着する真空アーク蒸
着装置において、前記カソードが棒状であり、この棒状
のカソードの軸方向に平行に、複数個のアークスポット
検出用センサーを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空アーク放電を
利用してカソードを構成する金属を基材の表面に蒸着す
る真空アーク蒸着装置に関するもので、特に、長尺のカ
ソード上のアークスポットの位置を検出し、アークスポ
ットの位置を制御する真空アーク蒸着装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】真空アーク蒸着装置は、真空チャンバー
内に設置したカソードとアノードとの間に真空アーク放
電させ、アークの高エネルギーにより、カソードを構成
する金属を蒸発させイオン化して、基材の表面に蒸着す
る装置である。蒸発源をカソードとする真空アーク蒸着
装置として、例えば、図8に示す特開平5−10602
5号公報に記載のものが知られている。この従来のもの
は、真空チャンバー1内の中央に棒状のカソード2が配
置され、真空チャンバー1がアノードとして用いられて
いる。アーク電源13の陰極が前記カソード2の両端と
接続され、アーク電源の陽極が真空チャンバー1と接続
されている。
【0003】本従来例では、アーク電源13からカソー
ド2の両端に投入するアーク電流のバランスを変化させ
ることにより、アークスポットを制御している。カソー
ドの両端部のセンサー15はアークスポットがカソード
2の端部に到達したときに信号を出して、アーク電流の
バランスを自動的に調節して、アークスポットをカソー
ド2の他端に押し返して、カソード上のアークスポット
を、上下方向にくまなく走査させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例では、アークスポットがカソードの端部に到達した
ときのみ、アークスポットの位置を検知できるものであ
る。このため、一端から他端へ移動中のアークスポット
の位置が検知できず不明となり、所望の膜厚を有する蒸
着膜形成に必要なアーク電流バランスの調節が困難であ
った。特に、長尺(例えば、300mm以上)の棒状カ
ソードを用いる真空アーク蒸着装置では、カソード上の
アークスポットの移動速度が一定でなく、アークスポッ
トが偏在する確率が高くなる。このため、長尺のカソー
ドでは、アークスポット位置の不明な領域が長くなるた
め、アーク電流のバランスの調節がさらに困難となり、
基材の表面に所望の膜厚分布の蒸着膜を形成することが
できない場合がある。
【0005】そこで本発明は、カソード上の全域にわた
ってアークスポットの位置を検知して、カソード上のア
ークスポットの位置を任意に制御することにより、基材
の表面に所望の膜厚の蒸着膜を形成することができる真
空アーク蒸着装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、アノー
ドとカソードを有し、このカソードを構成する金属を基
材の表面に蒸着する真空アーク蒸着装置において、前記
カソード面に正対し、カソード面から等距離に、かつ、
カソードの長辺又は長径方向に複数個のアークスポット
検出用センサーを設けてなることを特徴とするものであ
る。複数個のアークスポット検出用センサーを、カソー
ド面に正対し、かつ、カソード面から等距離に設けるこ
とによって、カソード上のアークスポットの位置を検知
することができる。カソード上のアークスポットから飛
び出した金属イオンを複数個のアークスポット検出用セ
ンサーにより検出して、この検出した金属イオン量が最
大となるアークスポット検出用センサーの近傍に、アー
クスポットが存在することになる。
【0007】前記アークスポット検出用センサーは、カ
ソードの上のアークスポットから飛び出した金属イオン
からの電荷を検出するものであればよく、例えば、イオ
ンセンサーを用いることができる。
【0008】特に、請求項1記載の発明は、カソードの
長辺又は長径が100mm以上、好ましくは300mm
以上である真空アーク蒸着装置に適用することが望まし
い。カソードの長辺又は長径が100mm以上になると
カソード上のアークスポットが偏在しやすくなり、長辺
又は長径が300mm以上ではアークスポットの偏在の
傾向が著しくなる。このため、カソード上のアークスポ
ット位置を的確に知り、所望の膜厚分布になるように、
真空アーク蒸着装置を制御する必要性が高くなるからで
ある。
【0009】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成のうち、前記カソードが棒状であり、この
棒状のカソードの軸方向に平行に、複数個のアークスポ
ット検出用センサーを設けてなることを特徴とするもの
である。複数個のアークスポット検出用センサーを軸方
向に平行に設けたことによって、棒状のカソード上のア
ークスポットの位置を検知することができる。なお、棒
状のカソードの長さに応じて、アークスポット検出用セ
ンサーを設けることが好ましい。例えば、カソードの長
さ:約100mm(50から150mm)当たり、アー
クスポット検出用センサーを1個設けることが好まし
い。150mmを越えると、アークスポット検出用セン
サーの金属イオンの検出範囲を越えることとなり、アー
クスポット位置を求めることができない場合がある。ア
ークスポットから飛び出す金属イオンは広がりを持って
いるので、50mm未満では、隣同士のアークスポット
検出用センサーが金属イオンを大部分重複して検出する
ので、不必要なアークスポット検出用センサーが生じ
る。
【0010】また請求項3記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成に加え、アークスポット検出用センサーを
基材位置のカソードと反対側の離れた位置に設けたこと
を特徴とするものである。アークスポット検出用センサ
ーを基材位置のカソードと反対側の離れた位置に設けた
のは、アークスポット検出用センサーによる基材への蒸
着の阻害、および、アークスポット検出用センサーの蒸
着によるセンサー機能の劣化を防止するためである。
【0011】また請求項4記載の発明は、請求項1又は
2又は3記載の発明の構成に加え、各アークスポット検
出用センサーのアークスポットの電流の積分値を等しく
なるように制御可能としたアーク電源装置を設けたこと
を特徴とするものである。各アークスポットの電流の積
分値を等しくなるように制御可能な電源装置を設けるこ
とより、基材の表面に所望の膜厚の蒸着膜を形成するこ
とができる。
【0012】また請求項5記載の発明は、請求項1乃至
4のいずれかに記載の発明の構成に加え、アークスポッ
ト検出用センサーのアークスポット信号を受信する受信
手段と、所定の蒸着条件を記憶する記憶手段と、受信し
たアークスポット信号の電流の積分値を演算する演算手
段と、各アークスポット信号の電流の積分値を比較して
真空アーク放電のアーク電流の制御をする制御手段と、
前記蒸着条件と前記各アークスポット信号の電流の積分
値の差異を判断する判断手段とを備えたことを特徴とす
るものである。成膜状況に応じて、アークスポットの位
置を自動制御することができ、基材の表面に、所望の膜
厚の蒸着膜の形成をすることができる。
【0013】また請求項6記載の発明は、請求項1乃至
5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記金属イオ
ンと反応させるプロセスガスの吹出口を前記基板の近傍
(例えば、10〜100mm離れた距離)に配設し、こ
の吹出口の位置を、前記アークスポット検出用センサー
が検出したアークスポット位置に合わせて、移動させる
吹出口移動機構を設けてなることを特徴とするものであ
る。プロセスガスの吹出口を、アークスポット検出用セ
ンサーが検出したアークスポット位置に合わせて移動さ
せることにより、金属イオンとプロセスガスの成分比を
一定の保つとともに、金属イオンとプロセスガスの反応
を迅速に行うことができる。この結果、基材表面の蒸着
膜の中のガス成分濃度を一定に保つことにより、蒸着膜
の品質を向上でき、さらに真空蒸着の生産性を飛躍的に
高めることができる。
【0014】また請求項7記載の発明は、請求項1乃至
5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記金属イオ
ンと反応させるプロセスガスの吹出口を前記基板の近傍
(例えば、10〜100mm離れた距離)に複数個配設
し、前記アークスポット検出用センサーが検出したアー
クスポット位置に近い前記吹出口からプロセスガスを吹
出す機構を設けてなることを特徴とするものである。ア
ークスポット検出用センサーが検出したアークスポット
位置に近い前記吹出口からプロセスガスを吹出すことに
より、同様に、基材表面の蒸着膜の中のガス成分濃度を
一定に保つことにより、蒸着膜の品質を向上でき、さら
に真空蒸着の生産性を飛躍的に高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明する。図1は本発明の実施の形態の構成を示す図
であり、図2は本発明の実施の形態のアークスポット検
出用センサーの取付状態を示す図であり、図3は本発明
の実施の形態のアークスポット検出用センサーからの信
号を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の
真空アーク蒸着装置は、真空チャンバー1の内部に棒状
のカソード2(長さは600mm)が配置されている。
なお、カソードを冷却するために中空となっている。
【0016】このカソード2の外周に、棒状アノード9
が配設され、この棒状アノード9は、上部リング状アノ
ード3と下部リング状アノード4により固定されてい
る。
【0017】基材8は前記棒状のカソード2の外周側に
配設され、前記基材8は図示しない回転機構により、カ
ソード2の外周を公転するとともに自転する構成になっ
ている。これは、基材の全面を蒸着させるためである。
【0018】さらに、前記右側の基材8の外周側にカソ
ードの軸方向に平行に等間隔で6ヶ所にイオンセンサー
5A(アークスポット検出用センサー)を設けたアーク
スポット検出用センサー群5が配設されている。アーク
スポット検出用センサー群の詳細な取付状態を図2に示
す。
【0019】アークスポット検出用センサーに用いたイ
オンセンサーは長さ100mmの金属パイプの上下端を
絶縁して6個連結したものである。この金属パイプの表
面で、アークスポットから飛び出した金属イオンを補足
するものである。
【0020】前記イオンセンサー5Aは、図1に示すよ
うに、電流計6と直流電源7に接続されており、アース
20により接地されている。イオンセンサー5Aが真空
アーク放電により蒸発した金属イオンを捕捉し、その金
属イオン量を電流計6で読み取った電流量の大小によっ
て判断する。この検出した金属イオン量が最大となるイ
オンセンサー、すなわち、アークスポット検出用センサ
ーに正対する位置のカソードの上に、アークスポットが
存在することになる。このとき、予め、カソード上のア
ークスポットの位置変化を、複数個のアークスポット検
出用センサーが検出する金属イオン量の差異に基づいて
測定しておき、この測定結果を基に、カソード上のアー
クスポット位置を求めることができる。
【0021】アーク電源10は第1アーク電源10Aと
第2アーク電源10Bとからなり、上部のリング状アノ
ード3は第1アーク電源10Aの陽極に接続し、前記下
部のリング状アノード4は第2アーク電源10Bの陽極
に接続されている。また、前記カソード2の上端部は第
1アーク電源10Aの陰極に接続され、前記カソード2
の下端部は第2アーク電源10Bの陰極に接続されてい
る。前記各アーク電源10は、制御装置11によりその
出力電流値を独立して制御され、真空容器1とは絶縁さ
れている。
【0022】本実施の形態の真空アーク蒸着装置の作動
について説明する。前記基材8の表面に蒸着膜を形成さ
せるには、前記カソード2から真空アーク放電を発生さ
せ、カソードを構成する金属を蒸発させて、イオン化さ
せるものである。真空アーク放電の発生は、図示されて
いない真空ポンプにより真空チャンバー1内を排気して
所定圧の真空状態を保ち、その後、図示しないストライ
カ(点火装置)によりカソードに真空アーク放電を発生
させるものである。カソードの表面にアーク電流が集中
したアークスポットが現れ、カソードを構成する金属を
蒸発させ、イオン化させることとなる。この時、アーク
スポットはカソード上を移動する。
【0023】前記金属イオンは、真空チャンバー1内に
設置した基材8に向かって移動し、前記基材8の表面に
蒸着膜を形成する。基材8には、必要に応じて図示しな
い電源によって負の電圧(バイアス電圧)が印加し、前
記金属イオンを加速しながら蒸着膜形成をすることがで
きる。
【0024】基材8の蒸着膜形成に関与しなかった金属
イオンの一部は、前記基材8の後方にあるアークスポッ
ト検出用センサー群5に達し、各イオンセンサーに捕捉
され、各イオンセンサーは電流値より捕捉したイオン量
を計測する。この場合は、棒状のカソードの軸方向の各
位置での平均的なイオン量を計測することになる。通
常、アークスポットは棒状のカソードの円周方向で回転
しながら軸方向に移動するので、ある一定時間をとれば
円周方向のアークスポットの存在確率がほぼ等しくなる
と考えることができるため棒状のカソードの軸方向の各
位置での平均的なイオン量を計測することになるもので
ある。
【0025】各イオンセンサーは電流値の測定結果を図
3に示す。 (1)から(6)までの信号が、図2の6つのイオンセ
ンサー5Aからの信号であり、横軸は時間軸であり、縦
軸は電流値を示す。各信号の波の高い部分が金属イオン
をより多く捕捉したことを示し、同じ時間軸で最大の電
流量を示している位置がアークスポットが存在する位置
となる。(1)から(6)までの信号の波が交互に大き
くなっているのは、アークスポットがカソード上を動い
ていることを示しているものである。
【0026】これらイオンセンサーからの信号を基に、
真空アーク放電のアーク電流の制御することにより、基
体の表面の成膜状況に応じてアークスポットの位置を任
意に制御できる。例えば、イオンセンサーの各信号の積
分値を制御パラメータとして、積分値が一定になるよう
にアークスポット位置を制御することにより、基体の表
面に所望の膜厚分布の蒸着膜を形成する。
【0027】アークスポットの位置の制御による所望の
膜厚の蒸着膜の形成方法について、図5に基づきさらに
説明する。(ステップ1)において、所定の蒸着条件を
記憶手段を記憶する。蒸着条件として、例えば、アーク
スポットの電流の積分設定値を入力手段により前記記憶
手段に入力して記憶させるものである。このアークスポ
ットの電流の積分の設定値は予め、実験等により求めて
おく。
【0028】(ステップ2)において、各イオンセンサ
ーのアークスポット信号を受信手段により受信する。こ
の各アークスポット信号を(ステップ3)の演算手段に
より、各アークスポット信号の電流の積分値を演算す
る。次に、(ステップ4)の制御手段により、各アーク
スポット信号の電流の積分値を比較して、各アークスポ
ット検出用センサーのアークスポットの電流の積分値が
等しくなるようにアーク電流を制御をする。
【0029】さらに、(ステップ4)の判断手段によ
り、前記蒸着条件(アークスポットの電流の積分設定
値)と前記各アークスポット信号の電流の積分値の差異
を判断し、前記各アークスポット信号の電流の積分値が
小さい場合は、(ステップ2)にもどり、引き続き真空
蒸着を行う。前記各アークスポット信号の電流の積分値
が大きくなった場合は、真空蒸着を完了する(ステップ
6)。
【0030】このときの真空アーク放電のアーク電流の
制御について説明する。真空アーク放電のアーク電流の
制御には、アノードに流すアーク電流を調整する方法
と、カソードに流すアーク電流を調整する方法がある。
アークスポット位置を制御は、アノードに流すアーク電
流を調整方法(例えば、特願平5−153186号公
報)を用いることにより、より効果的に制御することが
でる。この調整方法を図1により説明する。なお、制御
電源12は制御装置11により、その極性及び制御電流
の大きさを変えることができる構成になっている。
【0031】上下のアーク電源10A、10Bからは、
等しいアーク電流Iを投入し、制御電源12から制御電
流Ixを上部リング状アノード3に向かって投入すれ
ば、上部リング状アノード3にはI+Ixのアーク電流
が流れ、下部リング状アノード4にはI−Ixのアーク
電流が流れることになる。すなわち、制御装置11によ
り制御電流Ixの極性および大きさを変化させることに
より、アノードに流すアーク電流を変えることができ
る。
【0032】このアノードに流すアーク電流を調整する
ことにより、アークスポットの位置を制御できる。例え
ば、上部リング状アノードへのアーク電流を下部リング
状アノードへのアーク電流の比率を 上部リング状アノード/下部リング状アノード比= 3/1 13/12 12/13 1/3 に変えた場合の基体の成膜速度分布量を図4に示す。こ
のように、アノードに流すアーク電流を調整することに
より、アークスポットの位置を制御するものである。図
4において、各ピークの位置がアークスポットの存在確
率が高い領域となり、成膜量が多い。このようにして、
棒状のカソードの軸方向のアークスポットの位置を制御
することができる。前述したように、ある一定時間をと
れば円周方向のアークスポットの存在確率ほぼ等しくな
ると考えることができるために、棒状のカソードの円周
方向の制御を考慮する必要性はすくない。
【0033】さらに、真空チャンバー1には窒素、酸
素、炭化水素等のプロセスガスを導入し、前記カソード
を構成する金属との化合物(窒化物、酸化物、炭化物ま
たはこれらの複合化合物)の蒸着膜を形成する別実施の
形態を図6、図7に基づきさらに説明する。本実施の形
態は、前述の実施の形態の真空アーク蒸着装置に、反応
性ガスの導入口を設けたものである。図6は、アクチュ
エータにより上下に動く構造のプロセスガス導入管を設
けた真空アーク蒸着装置を示す図であり、図7は、複数
本のプロセスガス導入管を設けた図である。
【0034】まず、図6により説明する。プロセスガス
の吹出口を基材の外周側の外側10〜100mmに設け
る。このプロセスガスの吹出口22はプロセスガス導入
管21により真空チャンバー1の外の窒素、酸素、炭化
水素等のプロセスガスの供給機構と連結されている。こ
のプロセスガス導入管21は真空チャンバー1上に配設
されたアクチュエータ23により上下に動く構造になっ
ている。このアクチュエータ23は、アークスポット検
出用センサー5より得られるカソード2上のアークスポ
ット位置に合わせて、プロセスガス導入管を移動させて
プロセスガスの吹出口を、カソード上のアークスポット
位置に正対させる。例えば、図6において、カソード上
のアークスポット位置がAの場合は、プロセスガスの吹
出口をA’に、カソード上のアークスポット位置がBの
場合は、プロセスガスの吹出口をB’にするものであ
る。
【0035】このように、アークスポット位置にあわせ
て、プロセスガスの吹出口を移動させるので、基材表面
に蒸着される反応生成物中のガス成分濃度を一定に保つ
ことができる。このため、従来のプロセスガスの吹出口
が固定されている場合に比べ、蒸着膜のガス成分のバラ
ツキが少なくなり、蒸着膜の品質を飛躍的に向上させ
る。さらに、金属イオンとプロセスガスの反応をより迅
速に行うことができ、蒸着の生産性が向上する。
【0036】次に、図7について説明する。図7は、金
属イオンと反応させるプロセスガスの吹出口22を基板
8から基板の外周方向に10〜100mmの位置に、1
00mm毎にアークスポット検出用センサー5のそれぞ
れに正対する位置に6個配設したものである。カソード
2上のアークスポット位置と対応するアークスポット検
出用センサーに正対するプロセスガスの吹出口22から
フロセスガスを吹出し機構24によりプロセスガスを吹
き出させて金属イオンと反応させるものである。前述の
図5の実施の形態と同様に、蒸着膜のガス成分のバラツ
キが少なくなり、蒸着膜の品質を飛躍的に向上させる。
さらに、金属イオンとプロセスガスの反応をより迅速に
行うことができ、蒸着の生産性が向上する。
【0037】以上、本実施の形態は、アークスポット検
出用センサー群が有するイオンセンサーの数が6個で、
アークスポット検出用センサー群の設置は1か所の例を
示したが、本実施の態様に限定されるものでない。アー
クスポット検出用センサー群の配設位置や設置個数、お
よびアークスポット検出用センサー群が有するイオンセ
ンサーの数は、蒸着条件により変えることができる。本
実施の形態では、基材8はカソード2の外周を公転する
ので、イオンセンサー群は、1ヶ所あればばよい。な
お、基材8はカソード2の外周を公転しない場合は、イ
オンセンサー群を複数ヶ所設ける必要がある。
【0038】本実施の形態は、長尺で棒状のカソードで
あるが、長方形や楕円状の平板のカソードも本発明の技
術的範囲に入る。平板のカソードの長辺又は長径方向
に、アークスポット検出用センサーを配設することによ
り、棒状のカソードの場合と同様にアークスポット位置
を検出でき、所望の膜厚分布を有する蒸着膜を得ること
ができる。
【0039】
【発明の効果】そこで本発明は、カソード上の全域にわ
たってアークスポットの位置を検知して、カソード上の
アークスポットの位置を任意に制御することにより、基
材の表面に所望の膜厚分布の蒸着膜を形成することを可
能となる。また、プロセスガスの吹出口を、アークスポ
ット位置にあわせて移動することにより、蒸着膜のガス
成分のバラツキが少なくでき、蒸着膜の品質を飛躍的に
向上させる。さらに、金属イオンとプロセスガスの反応
をより迅速に行うことができ、蒸着の生産性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のアークスポット検出用セ
ンサーの取付状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態のアークスポット検出用セ
ンサーからの信号を示す図である。
【図4】アーク電流バランスと成膜速度分布の関係を示
す図である。
【図5】アークスポットの位置の制御による基体の表面
への均一な蒸着膜および所望の膜厚の蒸着膜の形成方法
を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の構成を示す図であ
る。
【図7】本発明の別の実施の形態の構成を示す図であ
る。
【図8】従来の真空アーク蒸着装置の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 カソード 3 上部リング状アノード 4 下部リング状アノード 5 アークスポット検出用センサー群 5A イオンセンサー(アークスポット検出用センサ
ー) 6 電流計 7 直流電源 8 基材 9 棒状アノード 10 アーク電源 10A 第1アーク電源 10B 第2アーク電源 11 制御装置 12 制御電源 13 アーク電源 14 制御回路 15 センサー 16 コイル電源 17 電磁コイル 18 ストライカ 19 絶縁器 20 アース 21 プロセスガス導入管 22 プロセスガスの吹出口 23 アクチュエータ 24 吹出し機構

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノードとカソードを有し、このカソー
    ドを構成する金属を基材の表面に蒸着する真空アーク蒸
    着装置において、 前記カソード面に正対し、カソード面から等距離に、か
    つ、カソードの長辺又は長径方向に、複数個のアークス
    ポット検出用センサーを設けてなることを特徴とする真
    空アーク蒸着装置。
  2. 【請求項2】 前記カソードが棒状であり、この棒状の
    カソードの軸方向に平行に、複数個のアークスポット検
    出用センサーを設けてなることを特徴とする請求項1記
    載の真空アーク蒸着装置。
  3. 【請求項3】 前記アークスポット検出用センサーを基
    材位置のカソードの反対側の離れた位置に設けてなる請
    求項1又は2記載の真空アーク蒸着装置。
  4. 【請求項4】 前記各アークスポット検出用センサーが
    検出した金属イオン量の積分値を等しくなるように制御
    可能としたアーク電源装置を設けてなる請求項1又は2
    又は3記載の真空アーク蒸着装置。
  5. 【請求項5】 前記各アークスポット検出用センサーの
    金属イオン量を受信する受信手段と、所定の蒸着条件を
    記憶する記憶手段と、受信した各金属イオン量の積分値
    を演算する演算手段と、各金属イオン量の積分値を平均
    化するように、カソードのアーク電流の制御をする制御
    手段とを備えてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の
    真空アーク蒸着装置。
  6. 【請求項6】 前記金属イオンと反応させるプロセスガ
    スの吹出口を前記基板の近傍に配設し、この吹出口の位
    置を、前記アークスポット検出用センサーが検出したア
    ークスポット位置に合わせて、移動させる吹出口移動機
    構を設けてなることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の真空アーク蒸着装置。
  7. 【請求項7】 前記金属イオンと反応させるプロセスガ
    スの吹出口を前記基板の近傍に複数個配設し、前記アー
    クスポット検出用センサーが検出したアークスポット位
    置に近い前記吹出口からプロセスガスを吹出す機構を設
    けてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載の真空アーク蒸着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006312764A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Ulvac Japan Ltd 蒸着装置
JP2009045528A (ja) * 2007-08-16 2009-03-05 Ulvac Japan Ltd 同軸型真空アーク蒸着源を備えたナノ粒子担持装置およびナノ粒子坦持方法
JP2010229472A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Onward Giken:Kk 真空アーク放電発生装置及び蒸着装置
JP2013112822A (ja) * 2011-11-24 2013-06-10 Toyota Motor Corp アーク放電評価方法
KR101440316B1 (ko) * 2014-04-30 2014-09-18 주식회사 유니벡 박막 코팅을 위한 진공 챔버 내부 아크 스팟 생성장치

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