JP2008308735A - 同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法 - Google Patents

同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 絶縁体である担体粒子の表面に均等に、かつ排ガスの浄化触媒として機能する場所である排ガスと貴金属ナノ粒子と担体との三相界面が効率よく形成されるように貴金属ナノ粒子を担持させること。
【解決手段】 白金の円柱状カソード電極22、その外周の絶縁碍子23、その外周のトリガ電極24、その外周から所定の間隔をあけた円筒状で一端が真空チャンバ11内に開口され他端が閉じられたアノード電極25からなる同軸型真空アーク蒸着源21を備えた真空アーク蒸着装置1を使用し、カソード電極22とアノード電極25との間に間欠的にアーク放電を誘起させて、カソード電極22から蒸発しプラズマ化される白金を担体のアルミナ粒子Pへに到らせ、その表面に白金のナノ粒子を形成させる。
【選択図】 図1

Description

本発明はカーボンナノチューブの製造に使用される下地膜における触媒層、燃料電池用の電極触媒、自動車の排気ガスの浄化触媒等を製造する時に使用される触媒金属のナノ粒子の担持方法に関するものである。
例えば、自動車の排気ガスには、HC系のもの、CO系のもの、NOx系のものの3種類がある。HC系の排気ガスは燃料の未燃焼から、CO系の排気ガスは燃料の不完全燃焼から、そしてNOx系の排気ガスは高温で空気の多い酸化性雰囲気において発生する。自動車の排気ガスの浄化触媒には、自動車の排気ガスの浄化触媒にはパラジウム、白金、ロジウムが使用されているが、自動車の加減速に伴う空燃比(空気と燃料の比率)の変動や高温環境にさらされることにより触媒性能が劣化するほか、燃料中に含まれるリンや硫黄は触媒毒であり触媒は被毒して活性を失う。この自動車の排気ガスの浄化触媒は10年間、10万kmの寿命を有することが要請されている。
上記、自動車の排気ガスの浄化触媒において、パラジウムに比して融点が高い白金を例にとると、従来は白金イオンを含む溶液中で担体のアルミナの粒子に付着させるウエットプロセスか、または電子ビーム蒸着でアルミナの粒子に付着させるドライプロセスが行われている。図3は上記のウエットプロセスを概念的に示す図であり、塩化白金酸等の白金イオンを含む溶液中へアルミナの粒子(左側の黒い丸印)と蒸留水を加えて撹拌すると、溶液中の白金イオンが移行し白金が付着したアルミナの粒子(右側の網掛けの丸印)が形成されるので、これを濾過し乾燥することによって白金を担持したアルミナが作製される(特許文献1を参照)。しかし、この担持方法では白金はアルミナ粒子上の欠陥のあるところに凝集するほか、付着した白金は球形である。
また図4はHOPG(高配向パイロティック・グラファイト)からなる基板に付着させたアルミナ粒子に対して電子ビーム蒸着によって蒸着された白金を示す電子顕微鏡写真であり、図4Aを5倍に拡大したものが図4Bである。HOPGは微視的には極めて平坦な基板であるが、段差(ステップ)になっている箇所があり、このようにして作製される白金の微粒子は基板との密着性が弱いので、白金を担持したアルミナ粒子は移動して、図4に見られるように、段差の箇所に集まり易く白金が偏在すること、また形成される白金の微粒子は球形である。
特開平08-38897号公報
浄化触媒の効率を向上させるには、白金の超微粒子は担体に対し均一に付着していることが望ましい。また、浄化触媒が機能する場所は、図5に示すように、担体(例えばアルミナ粒子)と貴金属ナノ粒子(例えば白金)と排気ガス(HC系、NO系、CO系)との三相が接触する界面であるとされている。そうであるとすると、上記のウエットプロセスでは白金がアルミナ粒子の表面の欠陥部分を主体に付着し表面全体に均一に付着しないほか、白金の形状も球形であるから、アルミナと白金との接触点は非常に小さい。またドライプロセスの電子ビーム蒸着による場合も、白金の微粒子が偏在していること、粒子の形状が球形であることから、同様にアルミナと白金との接触点は非常に小さい。すなわち、排ガス浄化触媒としての効率は低いものとなっている。
本発明は上記の問題に鑑みてなされ、粒子状絶縁体(例えばアルミナ粒子)の表面に貴金属のナノ粒子を均等に担持させ、かつ排ガスの浄化触媒として機能するガスと貴金属の微粒子と担体粒子との三相界面が効率よく形成されるように貴金属のナノ粒子を担持させることができる担持方法を提供することを課題とする。
本発明は、請求項1の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば、次に示す如くである。
本発明の請求項1の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、真空チャンバに、貴金属からなる円柱状のカソード電極と、その外周面に接して同軸に設けられた円筒状の絶縁碍子と、該絶縁碍子の外周面に接して同軸に設けられたトリガ電極と、該トリガ電極の外周面から所定の間隔をあけて同軸に設けられた円筒状で一端側が真空チャンバ内に開口され他端側がカソード電極と離隔した位置で閉じられたアノード電極とからなる同軸型真空アーク蒸着源を備え、かつ真空チャンバ内に同軸型真空アーク蒸着源の開口側と対向して被蒸着体が配置される真空アーク蒸着装置を使用し、カソード電極とアノード電極との間に直流電源とコンデンサを接続して、放電電圧を印加し間欠的に放電させて貴金属を融解、蒸発させ、被蒸着体であり担体である粒子状絶縁体の表面に貴金属のナノ粒子を形成させて担持させる方法である。
このような同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法によれば、同軸型真空アーク蒸着源におけるアーク放電によってカソード電極へ100μsec単位の短時間に多量のアーク電流が流れる。このアーク電流によってカソード電極の周囲にプラズマが形成され、カソード電極を構成している貴金属は部分的に融解されて蒸発し、蒸発した貴金属はプラズマ化されて電子と貴金属イオンに解離される。同時にアーク電流がカソード電極を流れることによりカソード電極を中心とする同心円状に磁場が形成される。カソード電極から放出された電子と貴金属イオンは上記磁場からローレンツ力を受ける。その中で(電荷/質量)比が大きい貴金属イオンはローレンツ力および電子との間のクーロン力によってカソード電極の軸線方向へ加速されて飛翔し、同軸型真空アーク蒸着源に対向して配置されている粒子状絶縁体に衝突して付着、凝集し、粒子状絶縁体の表面に貴金属のナノ粒子を形成する。その結果、粒子状絶縁体上で貴金属ナノ粒子は半球状に形成される。
請求項2の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、前記真空チャンバ内に前記同軸型真空アーク蒸着源の開口側と対向して前記粒子状絶縁体を撹拌可能に収容する容器か設けられており、前記容器内で前記粒子状絶縁体が撹拌しながら前記貴金属のナノ粒子を形成させる担持方法である。
このような同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、容器内で撹拌されている粒子状絶縁体それぞれの全面に貴金属のナノ粒子を均等に形成させる。
請求項3の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、前記コンデンサとして容量が1000μF〜9000μFの範囲内ものを使用する担持方法である。
このような同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、粒子状絶縁体に対し1回のパルス状のアーク放電によりコンデンサの容量に比例する量のナノ粒子が過少または過剰になることなく形成される。
請求項4の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、前記ナノ粒子として、粒子径が1nm〜10nmの範囲内のナノ粒子を形成させる担持方法である。
このような同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、形成されるナノ粒子の粒子径が小さいので、浄化触媒が機能する三相界面の形成場所を格段に多く形成させる。
請求項5の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、前記粒子状絶縁体としてアルミナ(Al23 )、チタニア(TiO2 )、シリカ(SiO2 )、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化錫(SnO2)、酸化カルシウム(CaO)、および酸化マグネシウム(MgO)の内の何れか一種の単体の粒子、または二種以上の混合物の粒子を使用する担持方法である。
このような同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法は、担体となる粒子状絶縁体が金属酸化物であるから高い融点を持ち、高温度の使用環境にも十分に耐える。
請求項1の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法によれば、アーク電流によって形成されるプラズマや、カソード電極を流れるアーク電流が形成する磁場の影響を受けて、カソード電極から放出される貴金属の微粒子は加速されて担体の粒子状絶縁体へ衝突し、付着、凝縮して貴金属のナノ粒子が半球状に形成され、貴金属ナノ粒子と粒子状絶縁体との界面は円周線状になるので、ガス浄化触媒として機能する場所であるガスとの三相界面が効率よく形成される。
請求項2の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法によれば、粒子状絶縁体を撹拌しながらナノ粒子を形成させるので、粒子状絶縁体の全体に対して貴金属のナノ粒子を形成させることができる。
請求項3の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法によれば、1回のパルス放電によって適切な量のナノ粒子が形成されるので、そのようなパルス放電を繰り返すことによって製造される粒子状の浄化触媒体は全体が均等な機能を有するものとなる。
請求項4の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法によれば、貴金属のナノ粒子として粒子径が1nm〜10nmの範囲内のものを形成させるので、作製される浄化触媒は触媒活性の高いものとなる。
請求項5の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法によれば、融点が高い金属酸化物を担体とするので、作製される浄化触媒は高温度の使用環境においても変質することなく長時間の連続使用を可能にする。
本発明の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法を一実施の形態例によって説明すれば、真空アーク蒸着装置として、真空チャンバに、貴金属からなる円柱状のカソード電極と、その外周面に接して同軸に設けられた円筒状の絶縁碍子と、該絶縁碍子の外周面に接して同軸に設けられたトリガ電極と、トリガ電極の外周面から所定の間隔をあけて同軸に設けられた円筒状で一端側が真空チャンバ内に開口され他端側がカソード電極と離隔した位置で閉じられたアノード電極とからなる同軸型真空アーク蒸着源を備えており、かつ真空チャンバ内に上記同軸型真空アーク蒸着源の開口側と対向して被蒸着体である粒子状絶縁体を撹拌可能に収容する容器が設けられているものを使用する。
そして、同軸型真空アーク蒸着源においては、放電電圧100V〜400Vの電源、容量1000μF〜9000μFのコンデンサを備え、パルス放電の周期1Hz〜5Hz、放電時間1000μsec以下となるように設定して、トリガ電極とアノード電極との間にトリガ放電を発生させて、カソード電極とアノード電極との間に真空アーク放電を誘起させることにより、カソード電極を構成している貴金属を融解、蒸発させプラズマ化させて真空チャンバ内へ飛翔させ、真空チャンバ内で同軸型真空アーク蒸着源と対向して配置されている被蒸着体であり担体である粒子状絶縁体の表面に貴金属のナノ粒子を形成させて担持させる。カソード電極はその全体が貴金属で構成されていてもよく、また放電部分が貴金属とされているものであってもよい。
本発明で使用する貴金属としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)が使用されるが、それら以外の貴金属、例えばルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)も使用することができる。
また本発明で使用する粒子状絶縁体としては、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化錫(SnO2)、酸化カルシウム(CaO)、および酸化マグネシウム(MgO)の内の何れか一種からなる単体の粒子、または二種以上の混合物(例えばコージェライト)からなる粒子を使用することができる。これらの金属酸化物は何れも融点が高く、高温度の使用環境に耐えることが可能な担体となる。
以下、図面を参照して本発明を実施の形態例によって具体的に説明する。図1は本発明の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法に使用する真空アーク蒸着装置1を示す断面図である。真空アーク蒸着装置1は真空チャンバ11の上部に白金を蒸発させる同軸型真空アーク蒸着源21が取り付けられており、真空チャンバ11内の底部には被蒸着材であり担体であるアルミナ粒子Pを収容し撹拌する撹拌容器31が配置されている。また真空チャンバ11の側壁には真空チャンバ11内を排気するための真空排気系であるロータリポンプ12とターボ分子ポンプ13が取り付けられている。
同軸型真空アーク蒸着源21は蒸発材料である白金(Pt)からなる円柱状のカソード電極22と、カソード電極22の外周面に接して同軸に設けられたハット形状の絶縁碍子23と、絶縁碍子23のハットの筒状部の外周面に接し、ハットの鍔部に上端を接して同軸に設けられた円筒状のトリガ電極24と、トリガ電極24の外周面から所定の間隔をあけて同軸に設けられた円筒状であり、下端側が開口され、上端側がカソード電極22の上端から離隔した位置で閉じられているアノード電極25とからなっている。
更にトリガ電極24とカソード電極22との間にはトリガ電源26が設けられており、
カソード電極22とアノード電極25との間にはアーク用の直流電源27が設けられている。そして、トリガ電源26のプラス端子はトリガ電極24に接続され、マイナス端子は直流電源27のマイナス端子と同電位とされてカソード電極22に接続されている。トリガ電源26はパルストランスからなり、入力電圧200V、周期μsec単位のパルス電圧を17倍の3.4kV(数μA)に昇圧して出力する。
上述したように、アノード電極25とカソード電極22との間には電圧100V、電流が数Aであるアーク用の直流電源27が設けられており、直流電源27のプラス端子は接地されてグランド電位にあり、アノード電極25に接続されている。そして、直流電源27と並列に容量8800μFのコンデンサユニット28が設けられており、一方の端子は直流電源27のプラス端子側に接続され、他方の端子は直流電源27のマイナス端子側に接続されている。なお、コンデンサユニット28は容量2200μF、耐圧100Vのコンデンサが4個並列に接続されているものである。コンデンサユニット28は直流電源27によって随時蓄電されるが、その蓄電に約1秒かかるので、コンデンサユニット28からの放電を繰り返す場合の放電の周期は約1Hzとなる。
アルミナ粒子Pの撹拌容器31は真空チャンバ11の下方の外部に設けた回転駆動源32によって回転される。すなわち、回転駆動源32の回転軸33が真空チャンバ11内へ図示を省略した真空シール機構を介して挿通され、更に真空チャンバ11内に設けられた固定台34を回転可能に挿通されており、その回転軸33の上端に撹拌容器31が取り付けられている。そして、固定台34に取り付けた支柱35に支持された固定羽根36を撹拌容器31の底面に近い深さに位置させたもので、撹拌容器31が回転されることによって内部に収容されているアルミナ粒子Pが撹拌されるものである。
続いて、図1に示した真空アーク蒸着装置1を使用して、撹拌容器31内の担体であるアルミナ粒子Pの表面に同軸型真空アーク蒸発源21のカソード電極22の構成材料であり蒸発材料である白金のナノ粒子を形成させる担持方法について説明する。なお、撹拌容器31内に所定量のアルミナ粒子Pが収容され、撹拌容器31は回転駆動源32によって回転されて撹拌が開始されており、かつロータリポンプ12、続いてターボ分子ポンプ13を起動して真空チャンバ11内が所定の真空度まで真空排気され、要すれば図示を省略した供給源から不活性ガスが導入されて、真空度10-5Paに維持されており、コンデンサユニット28はアーク用の直流電源27によって蓄電されているものとする。その状態で、先ずトリガ電源26からトリガ電極24へ電圧3.4kVのパルス電圧を出力してカソード電極22の下端とトリガ電極24の下端との間の絶縁碍子23の下端面に沿面放電、すなわちトリガ放電を生起させる。
そのトリガ放電に誘起されてカソード電極22とアノード電極25との間にアーク放電が発生する。すなわち、コンデンサユニット28に蓄電されている電荷が真空アーク放電し、カソード電極22へ多量のアーク電流(2000A〜5000A)が200μsec〜550μsecの間に流入する。このアーク電流によって、カソード電極22の下端の近傍にはプラズマが形成され、かつカソード電極22を構成している白金は下端面が部分的に融解されて蒸発するが、蒸発した白金はプラズマ化されて電子と白金イオンとに解離される。そしてアーク電流がカソード電極22を流れることにより、カソード電極22を中心にして同心円状に磁場が形成される。従って、カソード電極22から放出された電子と白金イオンは磁場からローレンツ力を受け、電子はローレンツ力によって、また(電荷/質量)比が大きい原子状の白金イオンはローレンツ力および電子との間のクーロン力によって、カソード電極22の軸心方向へ加速されて飛翔し、撹拌容器31内で撹拌されているアルミナ粒子Pに衝突して付着し凝集する。
その結果、アルミナ粒子Pの表面に白金ナノ粒子(粒子径1nm〜10nm)が半球状に形成され、白金ナノ粒子とアルミナ粒子Pとの界面は円周線状になる。従って、これを排ガスの浄化触媒として使用する時に、触媒として機能する場所であるガスと白金ナノ粒子とアルミナ粒子Pとの三相界面が効率よく形成される。図2は、上記のようにしてアルミナ粒子Pの表面に白金ナノ粒子を担持させたものの透過型電子顕微鏡(TEM)による写真であり、図2A、図2Bのそれぞれには対応するスケールを示している。すなわち、図2Bは図2Aを約10倍に拡大したものである。
なお、図2Bが図2Aの何れの部分に相当するかは示すかの関係はない。図2Bは、アルミナ粒子Pの表面に白金ナノ粒子が半球状に形成されて面接触したようになっていることを示しており、白金ナノ粒子とアルミナ粒子Pとの界面が円周状に形成されていることが明白である。すなわち、これを排ガスの浄化触媒として利用する時、触媒として機能する場所である排ガスと白金ナノ粒子とアルミナ粒子Pとの三相界面が効率的に形成されるものとなっている。
このようにして、コンデンサユニット28に蓄電されていた電荷が放出され終わるとアーク放電は停止する。上記のトリガ放電を多数回(例えば10000回)繰り返し、そのトリガ放電毎にアーク放電を誘起させることにより、撹拌容器31内で撹拌されているアルミナ粒子Pの全体に白金のナノ粒子が均等に形成される。
以上、本発明の同軸型真空アーク蒸着源を使用するナノ粒子の担持方法を実施の形態例によって説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば本実施の形態例においては、同軸型真空アーク蒸発源21のカソード電極22とトリガ電極24との間の絶縁碍子23をハット形状のものとした真空アーク蒸発装置を使用したが、トリガ電極22の下端とカソード電極22の下端との間でのみトリガ放電が発生するものである限りにおいて、絶縁碍子23の形状は限定されない。
また、同軸型真空アーク蒸発源21のカソード電極22の下端面とアノード電極25の下端とを同一の平面上に位置させた真空アーク蒸発装置を使用したが、アーク放電が円滑に行われる限りにおいて、アノード電極25の下端の位置は限定されない。
また本実施の形態例においては、アルミナ粒子Pを収容した撹拌容器31の回転と、撹拌容器31の底面近くまで挿入した固定羽根36とによって、アルミナ粒子Pを撹拌する方式を採用したが、容器を固定し羽根を回転させてもよく、また容器に振動を与えて、アルミナ粒子Pを撹拌するようにしてもよい。・・・・を例示したが、・・としてもよい。
また本実施の形態例においては、常温のアルミナ粒子Pに白金ナノ粒子を形成させたが、白金ナノ粒子Pを一定の温度に上昇させた状態で白金ナノ粒子を形成させるようにしてもよい。
本発明の実施の形態例で使用する同軸型真空アーク蒸着源を備えた真空アーク蒸着装置の構成を示す断面図である。 本発明の担持方法によって形成されたアルミナ粒子上の白金のナノ粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。 従来例のウエットプロセスによるアルミナ粒子への白金の担持方法を概念的に示す図である。 他の従来例のドライプロセスによって白金を担持させたアルミナ粒子を示す電子顕微鏡写真である。 排ガスの浄化触媒が機能する場所としての貴金属とその担体と排ガスとの三相界面を概念的に示す図である。
符号の説明
1・・・真空アーク蒸着装置、 11・・・真空チャンバ、
21・・・同軸型真空アーク蒸発源、 22・・・カソード電極、
23・・・絶縁碍子、 24・・・トリガ電極、 25・・・アノード電極、
26・・・トリガ電源、 27・・・アーク用直流電源、
28・・・コンデンサユニット、 31・・・アルミナ粒子の撹拌容器、
32・・・回転駆動源、 33・・・回転軸、 36・・・固定羽根、

Claims (5)

  1. 真空チャンバに、貴金属からなる円柱状のカソード電極と、その外周面に接して同軸に設けられた円筒状の絶縁碍子と、該絶縁碍子の外周面に接して同軸に設けられたトリガ電極と、前記トリガ電極の外周面から所定の間隔をあけて同軸に設けられた円筒状で一端側が前記真空チャンバ内に開口され他端側が前記カソード電極と離隔した位置で閉じられたアノード電極とからなる同軸型真空アーク蒸着源を備え、かつ前記真空チャンバ内に前記同軸型真空アーク蒸着源の開口側と対向して被蒸着体が配置される真空アーク蒸着装置を使用し、
    前記カソード電極と前記アノード電極との間に直流電源とコンデンサを接続して、放電電圧を印加し間欠的に放電させて前記貴金属を融解、蒸発させ、前記被蒸着体であり担体である粒子状絶縁体の表面に前記貴金属のナノ粒子を形成させて担持させることを特徴とする同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法。
  2. 前記真空チャンバ内に前記同軸型真空アーク蒸着源の開口側と対向して前記粒子状絶縁体を撹拌可能に収容する容器か設けられており、前記容器内で前記粒子状絶縁体が撹拌しながら前記貴金属のナノ粒子を形成させる請求項1に記載の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法。
  3. 前記コンデンサとして容量が1000μF〜9000μFの範囲内ものを使用する請求項1または請求項2に記載の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法。
  4. 前記ナノ粒子として、粒子径が1nm〜10nmの範囲内の微粒子を形成させる請求項1から請求項3までの何れかに記載の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法。
  5. 前記粒子状絶縁体として、アルミナ(Al23 )、チタニア(TiO2 )、シリカ(SiO2 )、セリア(CeO2 )、ジルコニア(ZrO2 )、酸化錫(SnO2)、酸化カルシウム(CaO)、および酸化マグネシウム(MgO)の内の何れか一種の単体の粒子、または二種以上の混合物の粒子を使用する請求項1から請求項4までの何れかに記載の同軸型真空アーク蒸着源を用いるナノ粒子の担持方法。
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