JP2002210955A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2002210955A
JP2002210955A JP2001009185A JP2001009185A JP2002210955A JP 2002210955 A JP2002210955 A JP 2002210955A JP 2001009185 A JP2001009185 A JP 2001009185A JP 2001009185 A JP2001009185 A JP 2001009185A JP 2002210955 A JP2002210955 A JP 2002210955A
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    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/18Electrical connection established using vias

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】各駆動壁に設けた駆動電極に電圧を印加する配
線が上部基板又は下部基板に引き出されるようにしたイ
ンクジェットヘッドのスタック構造化を容易に図り得る
ようにする。 【解決手段】上部基板13及び下部基板11の間に圧電
素子からなる駆動壁とチャンネル部とを交互に並設し、
各駆動壁に設けた駆動電極に電圧を印加する配線17
b、17cを上部基板13又は下部基板11に引き出す
と共に、インクマニホールド部材20に電極24が配設
され、電極24の一端はインクマニホールド部材20の
背面20bに延設されており、他端は駆動電極に電圧を
印加する配線17b、17cと電気的に接続され、それ
ら電極24及び配線17b、17cを経由して各駆動電
極への給電を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッドに関し、特に、チャンネル部を区画する駆動壁に電
界を印加することにより該駆動壁をせん断変形させてチ
ャンネル部内のインクを吐出させるようにしたシェアモ
ード型のインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チャンネル部を区画する駆動壁に
電界を印加することにより該駆動壁をせん断変形させて
チャンネル部内のインクを吐出させるようにしたシェア
モード型のインクジェットヘッドが知られている。
【0003】かかるインクジェットヘッドは、図12に
示すように、圧電素子を含む基板100に円盤状のブレ
ードを用いて複数列の溝の加工を基板途中から行い、そ
の後、該溝側に上部基板101を固着することにより圧
電素子からなる駆動壁102とチャンネル部103とを
交互に形成すると共に、上記駆動壁102に駆動電極1
04をめっき処理等により形成し、該駆動電極104に
電圧を印加することにより駆動壁102をせん断変形さ
せてチャンネル部103内のインクをノズルプレート1
05のノズル孔106から吐出させるようになってい
る。
【0004】上記従来のインクジェットヘッドでは、チ
ャンネル部103は円盤状のブレードにより基板途中か
ら溝加工されるため、該チャンネル部103には徐々に
浅くなる円弧部103aが形成されている。駆動電極1
04はこの円弧部103aを利用してプリント基板10
7とボンディングワイヤ108によって電気的に接続さ
れることで電圧が印加されるようになっているため、イ
ンクジェットヘッドの長さ(チャンネル部103に沿う
方向の長さ)が実際に駆動される駆動壁102の長さ1
02aよりも長くなり、それだけ基板からの取り数(1
枚のウェハーから取れるヘッド数)が少なくなる。例え
ば、駆動壁102の長さが3mmの場合であっても、円
弧部103aの長さが4mm、平坦な部分が3mmとす
ると、ヘッドの長さは10mmとなり、ウェハーの長さ
が50mmのものであっても、外周の耳を取り除いて1
枚のウェハーから製造できるのはたった4ヘッドという
ことになり、極めて生産性が悪いという問題がある。
【0005】このため、本発明者は、上記円弧部103
aをなくし、図3の如く、各駆動電極に電圧を印加する
ための配線を、駆動壁を上下から挟むように対向してい
る上部基板又は下部基板から引き出すようにすること
で、1枚のウェハーからの取り数が多く、極めて生産性
を向上させたインクジェットヘッドを既に提案している
(特願2000−299982号等)。
【0006】このようなインクジェットヘッドは、チャ
ンネル部15はその入口から出口に亘る長さ方向で大き
さと形状が変わらないストレートタイプとなるため、チ
ャンネル部15内にインクを供給するためのインク室及
びインク流路を構成するインクマニホールド部材(図3
においては図示せず)は、該チャンネル部15の一方開
口端側(図3における奥側)に取り付けられる一方、イ
ンクの吐出は、該インクマニホールド部材と反対側のチ
ャンネル部15の他方開口端側(図3における手前側)
から行うようになっており、インクの流入と吐出とが反
対面となる。そして各駆動壁14の駆動電極16への電
圧印加は、上部基板13又は下部基板11から引き出さ
れた電極から行うこととなる。
【0007】しかし、インクジェットヘッド同士を上下
に多段に重ね合わせて多ノズル化(スタック構造化)を
図る場合、各電極17cはこの重合面に位置し、電圧印
加を行うことが困難であるため、インクジェットヘッド
を多段に重ね合わせた場合でも各電極17cに電圧を印
加することのできる構造が望まれている。
【0008】また、ノズル数(=電極数)が多い場合、
通常、プリンター本体との間に駆動ICを介在させるこ
とが行われる。駆動ICはプリンター本体からの信号を
シリアルデータとして受け取り、適切なタイミング信号
により多数の電極に駆動波形を出力するというシリアル
パラレル変換機能を少なくとも有している。この機能に
よりプリンター本体(プリンター制御基板)との間の接
続線の本数は、ノズル数よりも大幅に少なくできる。従
って、インクジェットヘッド自体がこの駆動ICを有す
るようにすれば、インクジェットヘッドとプリンター本
体との間の接続線の本数を大幅に少なくでき、接続構造
の簡素化を図ることができる。このため、駆動ICを実
装しつつ、多段状に重ね合わせることが可能なインクジ
ェットヘッドの構造が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、各駆動壁に設けた駆動電極に電圧を印加する配線が
上部基板又は下部基板に引き出されるようにしたインク
ジェットヘッドのスタック構造化を容易に図り得るよう
にすることにある。
【0010】また、本発明の他の課題は、各駆動壁に設
けた駆動電極に電圧を印加する配線が上部基板又は下部
基板に引き出されるようにしたインクジェットヘッドと
プリンター本体との間の接続構造を簡素化させ、且つス
タック構造化を容易に図り得るようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の発明
よって解決される。
【0012】請求項1記載の発明は、上部基板及び下部
基板の間に圧電素子からなる駆動壁とチャンネル部とを
交互に並設し、各駆動壁に設けた駆動電極に電圧を印加
する配線を上記上部基板又は下部基板に引き出すと共
に、チャンネル部内にインクを供給するためのインク室
及びインク流路を構成するインクマニホールド部材を該
チャンネル部の一方開口端側に取り付けてなり、各駆動
電極に電圧を印加することにより駆動壁をせん断変形さ
せてチャンネル部内のインクを、チャンネル部の他方開
口端側に取り付けたノズルプレートのノズル孔から吐出
させるようにしたインクジェットヘッドであって、上記
インクマニホールド部材に電極が配設され、該電極の一
端はインクマニホールド部材の背面に延設されており、
上記駆動電極に電圧を印加する配線が上記インクマニホ
ールド部材の電極と電気的に接続され、それら電極及び
配線を経由して各駆動電極への給電を可能としたことを
特徴とするインクジェットヘッドである。
【0013】これにより、インクジェットヘッドを上下
に多段状に重ね合わせても、インクマニホールド部材の
背面に配設されている電極から各駆動電極に電圧を印加
することができるようになるため、スタック構造化を容
易に図り得るものとなる。
【0014】請求項2記載の発明は、前記インクマニホ
ールド部材の電極の他端は、インクマニホールド部材自
体を貫通して、前記駆動電極に電圧を印加する配線と電
気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の
インクジェットヘッドである。
【0015】通常、インクが吐出されるノズル孔を有す
るノズルプレート側は、インク吸引等によりインク付着
が避けられず、電極がこのノズルプレート近傍に配置さ
れると電極腐蝕や漏電の発生が懸念されるが、インクマ
ニホールド部材の電極の他端がインクマニホールド部材
自体を貫通して駆動電極に電圧を印加する配線と電気的
に接続されるようにすることで、電極がインクに関係す
る部分から分離され、インクの付着により腐蝕や漏電を
発生させる虞れがなくなり、安定した品質のインクジェ
ットヘッドを得ることができる。
【0016】請求項3記載の発明は、前記インクマニホ
ールド部材の電極と駆動電極から引き出された前記配線
とが、駆動ICが実装された第3の部材を用いて電気的
に接続されていることを特徴とする請求項1記載のイン
クジェットヘッドである。
【0017】これによりインクジェットヘッドに駆動I
Cを設けることができ、プリンター本体(プリンター制
御基板)との間の接続線の本数をノズル数よりも大幅に
少なくできる。
【0018】また、一般に駆動ICの出力端子と電極と
は、ワイヤボンディングやフリップチップ等の実装手段
によって接続されるが、このような駆動ICの実装をイ
ンクマニホールド部材や基板が組み込まれた状態で行う
ことは困難である。しかし、上記の通り、既に駆動IC
が実装された第3の部材を用いてインクマニホールド部
材の電極と駆動電極から引き出された配線とを電気的に
接続することで、駆動ICの実装を容易に行うことがで
きると共に、駆動電極とインクマニホールド部材の電極
とを電気的に接続する機能と駆動ICを実装する機能と
の両方を持たせることが可能である。このような駆動I
Cが実装された第3の部材としては、TAB(Tape Aut
omated Bonding)のようにFPC(Flexible Print Cir
cuit)基板に駆動ICが実装されているものを用いるこ
とができる。
【0019】請求項4記載の発明は、前記第3の部材が
片面FPCであることを特徴とする請求項3記載のイン
クジェットヘッドである。
【0020】片面FPCは安価であり、しかも薄く曲げ
易い等の利点があり、これを用いることで駆動ICを実
装するインクジェットヘッドの組立てが容易となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。
【0022】図1は、本発明に係るインクジェットヘッ
ドを示す全体斜視図、図2はその側面断面図である。
【0023】図中、10はヘッドチップ、20は該ヘッ
ドチップ10に取り付けられているインクマニホールド
部材であり、これらヘッドチップ10及びインクマニホ
ールド部材20によってインクジェットヘッド1が構成
される。
【0024】ヘッドチップ10は、図3に示すように、
下部基板11の上面に圧電素子12を設け、該圧電素子
12側から複数列の溝を並設すると共に、該溝側から上
部基板13を固着することにより、上部基板13と下部
基板11との間に、圧電素子12からなる駆動壁14と
チャンネル部15とを交互に並設している。
【0025】上記チャンネル部15の形状は、溝の両側
壁が垂直方向に向いており、そして互いに平行である。
また、その入口から出口に亘る長さ方向で大きさと形状
が変わらないストレートタイプである。このようにチャ
ンネル部15がストレートタイプであることにより、泡
抜けが良く、電力効率が高く、発熱が少なく、高速応答
性が良い。
【0026】圧電素子12に用いられる圧電材料として
は、電界を加えることにより変形を生じる公知の圧電材
料を用いることができ、有機材料からなる基板、非金属
製の基板等がある。特に、非金属製の圧電材料基板が好
ましく、成形、焼成等の工程を経て形成される圧電セラ
ミックス基板、又は成形、焼成を必要としないで形成さ
れる基板等がある。
【0027】有機材料からなる基板に用いられる有機材
料としては、ポリフッ化ビニリデン等の有機ポリマー
や、有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料等が挙
げられる。
【0028】非金属製の圧電材料基板において、成形、
焼成等の工程を経て形成される圧電セラミックス基板と
しては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。
さらにBaTiO3、ZnO、LiNbO3、LiTaO
3等を用いてもよい。
【0029】PZTとしては、PZT(PbZrO3
PbTiO3)と、第三成分添加PZTがある。添加す
る第三成分としてはPb(Mg1/2Nb2/3)O3、Pb
(Mn1 /3Sb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3
がある。
【0030】また、非金属製の圧電材料基板において、
成形、焼成を必要としないで形成される基板としては、
例えば、ゾル−ゲル法、積層基板コーティング法等で形
成することができる。
【0031】圧電素子12は、2枚の圧電材料基板12
a、12bを分極方向を互いに反対に向けて接合してな
る。これにより圧電素子12に複数列の溝を並設するこ
とで、分極方向が互いに反対方向となる駆動壁14が形
成される。
【0032】圧電材料基板12aと12bを接合する手
段としては、接着剤を用いた接合を採用できるが、接合
可能であれば、特にこれに限定されない。接着剤を用い
て接合する場合、その接着剤層の硬化後の厚みは、1〜
10μmの範囲が好ましい。
【0033】下部基板11及び上部基板13としては、
圧電素子12と同じものを使用すると、貼り合せた時に
ソリ、変形、熱膨張係数の差による剥離等が起こらない
ため好ましい。また、圧電素子12と同じ熱膨張係数を
持つ非圧電性基板であってもよい。非圧電性基板として
は、例えば成形、焼成等の工程を経て形成されるセラミ
ックス基板、又は成形、焼成を必要としないで形成され
る基板等があり、焼成等の工程を経て形成されるセラミ
ックス基板として、例えばAl23、SiO2、それら
の混合、混融体、さらにZrO2、BeO、AlN、S
iC等を用いることができる。その他、有機材料からな
る基板であってもよく、このような基板としては有機ポ
リマーや有機ポリマーと無機物のハイブリッド材料等が
挙げられる。
【0034】各駆動壁14には、チャンネル部15内に
臨んで駆動電極16が形成されている。駆動電極16を
形成する金属は、Ni(ニッケル)、Co(コバル
ト)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等があるが、
NiやCuが好ましく、特に好ましくはNiである。
【0035】駆動電極16の形成は、めっき処理するこ
とにより行われる。めっき方法としは、特に、無電解め
っきにより形成されることが好ましい。無電解めっきに
よれば、均一且つピンホールフリーの金属被膜を形成す
ることができる。
【0036】無電解めっきによる電極形成においては、
Ni−Pめっき又はNi−Bめっきを単独で使用しても
よいし、あるいはNi−PとNi−Bを重層してもよ
い。Ni−PめっきはP含量が高くなると電気抵抗が増
大するので、P含量が1〜数%程度がよい。Ni−Bめ
っきのB含量は、普通1%以下なので、Ni−PよりN
i含量が多く、電気抵抗が低く、且つ、外部配線との接
続性が良いため、Ni−PよりNi−Bの方が好ましい
が、Ni−Bは高価なので、Ni−PとNi−Bを組み
合わせることも好ましい。また、めっき膜の厚みは0.
5〜5μmの範囲が好ましい。
【0037】この駆動電極16は、図4(a)に示すよ
うに、駆動壁14の側面から駆動壁14の上面14aに
延設されており、且つ、その駆動壁14の上面14aに
おいて、各駆動電極16の上端部16aは、隣接する駆
動電極16との間で所定間隔をおいて設けられることで
電気的に分離されている。この電気的分離を行うには、
基板表面にめっき金属を析出させた後、各駆動壁14の
上面をレーザー光の照射によりパターニングしたり、エ
ッチングを行って除去するなどの方法が採用できる。
【0038】上部基板13の裏面には、各チャンネル部
15に対応するように位置して電極17aが形成されて
いる。この各電極17aは、上部基板13が各駆動壁1
4の上面14a側に固着された際に、それぞれ対応する
チャンネル部15内に形成されている駆動電極16の上
端16aと電気的に接続されるようになっている。な
お、一つの電極17aはチャンネル部15を跨ぐように
設けられることで、そのチャンネル部15を挟むように
対向状に配置している駆動電極16の2つの上端16
a、16aと電気的に接続されている。
【0039】また、上部基板13には、各チャンネル部
15に対応するように位置して貫通孔13aが開穿され
ており、各貫通孔13a内に、例えば銀ペースト、銅ペ
ースト、Niペースト等からなる導電性部材17bを、
スクリーン印刷やディスペンサーによる注入等の手段に
より形成することで、各導電性部材17bのチャンネル
部15側に臨む端部はそれぞれ電極17aと電気的に接
続している。この他、導電性部材17bは、無電解めっ
きにより形成することもできる。めっきによる場合は、
貫通孔13a内をめっき液が流れ、析出しためっき金属
が成長していき、最終的には貫通孔13aを埋めるよう
になる。
【0040】一方、上部基板13の上面には、各導電性
部材17bと電気的に接続するように電極17cがそれ
ぞれ形成されている。従って、各電極17cは導電性部
材17bを介して上部基板13裏面の電極17aと導通
し、更に該電極17aによってそれぞれ対応する駆動電
極16と導通しており、これら電極17a、導電性部材
17b及び電極17cにより、各駆動電極16に電圧を
印加するための配線を構成している。
【0041】なお、この貫通孔13aの大きさを適切に
選ぶことで、裏面側の電極17aを省略することも可能
である。すなわち、貫通孔13aが、チャンネル部15
を跨ぐような大きさに形成され、その貫通孔13a内に
導電性部材17bが充填されることで、該導電性部材1
7bのチャンネル部15内に臨む下端部が、上記チャン
ネル部15を挟むように対向状に配置している2つの駆
動電極16の上端16aと電気的に接続可能となる。従
って、この場合は、上記導電性部材17b自体が電極1
7aを兼用する。
【0042】上部基板13と駆動壁14とは異方性導電
接着層によって電気的機械的に接続される。この異方性
導電接着層は、異方性導電接着フィルムや異方性導電剤
を用いることにより形成することができる。異方性導電
フィルムは、熱硬化性樹脂フィルムに金属粒子が分散さ
れているもので、加熱しながら加圧することにより上下
の基板同士を機械的に接続すると共に、加圧されること
によって金属粒子が上下の電極17a及び駆動電極16
同士の電気的な接続を受け持つ。また、異方性導電接着
剤は、エポキシ系接着剤に導電性粒子が分散されてお
り、スクリーン印刷や転写等の方法で塗布した後、加
熱、圧着により上下基板同士の電気的接続を受け持つ。
【0043】なお、電極17a及び駆動電極16の材料
として、金や白金のように表面が酸化しない物質を用い
た場合には、異方性導電接着剤や異方性導電フィルムで
なくても通常の圧着でも電極17a及び16同士の電気
的接続は可能である。
【0044】また、駆動電極16に電圧を印加する配線
を上部基板13の上面に取り出す別の態様として、図4
(b)に示すように、各チャンネル部15の内壁面全面
に駆動電極16を形成し、各チャンネル部15に対応す
るように上部基板13に設けた貫通孔13aに充填され
た導電性部材17bによって、上部基板13の上面に設
けた電極17cと駆動電極16とを導通させるようにし
てもよい。この態様では、導電性部材17b及び電極1
7cによって各駆動電極16に電圧を印加するための配
線が構成される。
【0045】この場合、電極17及び導電性部材17b
を予め上部基板13に設けておき、この上部基板13
を、チャンネル部15を溝加工した圧電素子12上面に
エポキシ系接着剤等によって接合した後、前記同様の無
電解めっきにより各チャンネル部15の内壁面全面にめ
っき金属を析出させることで駆動電極16を形成し、導
電性部材17bの下端が上部基板13の底面に形成され
た駆動電極16と電気的に接続することで、電極17c
と駆動電極16とを導通させることができる。
【0046】このようにして構成されたインクジェット
ヘッドチップの前端面には、各チャンネル部15に対応
してそれぞれノズル孔18aが開設されたノズルプレー
ト18をエポキシ系接着剤等によって接合すると共に、
後端面には、各チャンネル部15に対応してそれぞれイ
ンク導入孔19aが開設されたバックプレート19をエ
ポキシ系接着剤等によって接合し、ヘッドチップ10を
構成する。
【0047】インクマニホールド部材20は、ポリイミ
ド、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチッ
クと呼ばれる高機能樹脂等の材質からなり、その内部
に、ヘッドチップ10のバックプレート19に開設され
たインク導入孔19aを通して各チャンネル部15内に
インクを供給するためのインク室及びインク流路21が
成形されており、図示しないインクタンクからインクが
供給され、インク室及びインク流路21内部に貯留され
るようになっている。
【0048】図示する態様におけるインクマニホールド
部材20は、ヘッドチップ10のチャンネル部15の一
方開口端側(バックプレート19側)に、バックプレー
ト19のインク孔19aからインク供給可能とするべく
インク室及びインク流路21を臨ませてエポキシ系接着
剤等により接合されると共に、この接合された状態でヘ
ッドチップ10の両側面及び上面側を取り囲むようにそ
れぞれ延出し、ヘッドチップ10を包持する上面包持部
22a及び側面包持部22bを有している。
【0049】ヘッドチップ10の上面を覆うように設け
られる上面包持部22aには、該ヘッドチップ10の上
部基板13上面に設けられている各電極17cに対応す
る位置に、該上面包持部22aの上面から下面へそれぞ
れ電極23が貫設されており、その下端部がヘッドチッ
プ10の各電極17cと電気的に接続すると共に、上端
部がインクマニホールド部材20の上面20aに臨んで
いる。また、インクマニホールド部材20の上面20a
には、一端がインクマニホールド部材20の背面20b
(ヘッドチップ10との接合面と対向する面)にまで延
設された電極24が配設されており、その他端は上記各
電極23の上端部と電気的に接続している。
【0050】従って、インクマニホールド部材20の電
極23及び電極24は、それぞれ対応するヘッドチップ
10の電極17cと導通しており、これにより、図示し
ないプリンター本体とインクマニホールド部材20の電
極24とを該インクマニホールド部材20の背面20b
において電気的に接続することで、インクマニホールド
部材20の電極24、23及びヘッドチップ10の電極
17cを介して各駆動電極16へ電圧を印加することが
できるようになっている。これにより、図5に示すよう
に、インクジェットヘッド1同士を上下に多段状に重ね
合わせてスタック構造化を図った場合でも、各インクジ
ェットヘッド1の背面20b側から各駆動電極16へ電
圧印加が可能となる。なお、多段状に重ね合わせる段数
は、図示する2段に限定されず、3段以上でもよい。
【0051】インクマニホールド部材20には、図6及
び図7に示すように、上面20aに駆動IC30を直接
実装するようにしてもよい。このように駆動IC30を
インクマニホールド部材20に実装することにより、イ
ンクマニホールド部材20に配設される電極24は、ヘ
ッドチップ10の電極17cと導通する電極24aと、
駆動IC30とプリンター本体側との電気的接続を行う
ためにインクマニホールド部材20の上面20aから背
面20bにかけて配設される駆動IC30との接続用電
極24bとで構成されるが、電極24aの本数(=チャ
ンネル数)に比べて、接続用電極24bの本数が大幅に
少なくなり、インクジェットヘッド1とプリンター本体
との間の接続を簡素にすることができる。この場合、イ
ンクマニホールド部材20の底面20cには、インクジ
ェットヘッド1を上下に多段状に重ね合わせてスタック
構造化を図った場合に、その底面20c側に重合される
他のインクジェットヘッド1の駆動IC30を収納する
ための収納凹部25を形成しておくとよい。この収納凹
部25は、多段状に重ね合わせた際の駆動IC30の放
熱を考慮して、インクマニホールド部材20の側面20
d(片側又は両側)若しくは背面20bまで延長させる
ことが好ましい。
【0052】また、インクマニホールド部材20に駆動
IC30を設ける場合は、該インクマニホールド部材2
0の背面20bに延設された駆動ICとの接続用電極2
4bとヘッドチップ10の各駆動電極16に電圧を印加
するための配線(電極17c)とが、駆動IC30が実
装された第3の部材を用いて電気的に接続されるように
することも好ましい。
【0053】この具体的構成を図8及び図9に示す。
【0054】この態様において、ヘッドチップ10は、
図1及び図2に示す態様と上下を逆にしてインクマニホ
ールド部材20に取り付けられており、プリンター本体
側と駆動IC30との接続用電極24bが、インクマニ
ホールド部材20の下面20cから背面20bにかけて
配設されている。また、図1及び図2に示す態様と上下
を逆にする代わりに、電極17cを下部基板11側から
引き出すようにしてヘッドチップ10を構成するように
してもよい。
【0055】この駆動ICとの接続用電極24bとヘッ
ドチップ10の電極17cとの電気的接続を受け持つ第
3の部材として、ここでは片面FPC40を用いてい
る。この片面FPC40の一面には駆動IC30が実装
されており、該駆動IC30と同一面には、該駆動IC
30とヘッドチップ10の各電極17cとをそれぞれ電
気的に接続するための配線41a及び駆動IC30とイ
ンクマニホールド部材20に配設された各接続用電極2
4bとをそれぞれ電気的に接続するための配線41bが
それぞれ形成されている。
【0056】この駆動IC30が実装された片面FPC
40を、ヘッドチップ10とインクマニホールド部材2
0とを接合した後に、駆動IC30の取付け面側をヘッ
ドチップ10及びインクマニホールド部材20側に向け
て、片面FPC40に形成されている各配線41aとヘ
ッドチップ10の各電極17cとの電気的接続及び同じ
く各配線41bとインクマニホールド部材20の各接続
用電極24bとの電気的接続を行う。これらの電気的接
続には、半田や異方性導電フィルムを用いた加熱圧着を
採用することができる。
【0057】この態様によれば、駆動IC30をインク
ジェットヘッド1に実装することによる上記利点に加
え、ヘッドチップ10の電極17cとインクマニホール
ド部材20の接続用電極24bとが同一面であるため、
組立工程が簡易化される利点がある。特に、片面FPC
40は電気的接続を行う面と片面FPC40に実装され
ている駆動IC30とが同一面となり、また、薄く曲げ
易いため、より組立工程が簡易化されると共に、安価で
あるため低コスト化を図ることができる。
【0058】なお、インクマニホールド部材20の下面
20cには、片面FPC40に実装されている駆動IC
30を収容するための凹部26が形成されており、ヘッ
ドチップ10及びインクマニホールド部材20に片面F
PC40を電気的に接続した際の駆動IC30を収容
し、該駆動IC30による片面FPC40のインクマニ
ホールド部材20からの浮き上がりを防止するようにし
ている。
【0059】また、インクマニホールド部材20の上面
20aには、スタック構造化を図る際に、該上面20a
側に重ね合わされる他のインクジェットヘッド1の片面
FPC40を収容するためのザグリ部(掘り込み部)2
7が形成されている。これにより、図10の如く片面F
PC40を用いて駆動IC30を設けたインクジェット
ヘッド1同士を多段に重ね合わせた場合に、ヘッド間を
密に重合させることができる。
【0060】この場合、駆動IC30は上下のインクマ
ニホールド部材20間に埋め込まれた状態となり放熱が
困難になる。このため、インクマニホールド部材20に
形成した凹部26をインクマニホールド部材20の側面
20d(片側又は両側)に延長させると共に、駆動IC
30に放熱用金属31を取り付け、図9及び図11に示
すように、この放熱用金属31を凹部26に沿って側面
20dに延出させ、駆動IC30の熱を放熱用金属31
を介してインクマニホールド部材20の側面20dから
外部に向けて放熱させるようにするとよい。また、図示
しないが、凹部26をインクマニホールド部材20の背
面20b側に延出させ、同様にして背面20bから外部
に向けて放熱させるようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】本発明は以上のように構成してなるか
ら、各駆動壁に設けた駆動電極に電圧を印加する配線が
上部基板又は下部基板に引き出されるようにしたインク
ジェットヘッドとプリンター本体との間の接続をインク
ジェットヘッドの背面側において行うことができるた
め、スタック構造化を容易に図ることができるようにな
る。
【0062】また、インクジェットヘッドに駆動ICを
容易に実装可能であるため、プリンター本体との間の接
続構造を簡素化させることができ、加えて、インクジェ
ットヘッドとプリンター本体との間の接続をインクジェ
ットヘッドの背面側において行うことができるため、ス
タック構造化を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの全体斜視
【図2】本発明に係るインクジェットヘッドの側面断面
【図3】ヘッドチップを示す一部破断する部分斜視図
【図4】(a)ヘッドチップの一例を示す正面断面図、
(b)ヘッドチップの他の一例を示す正面断面図
【図5】インクジェットヘッドのスタック構造を示す全
体斜視図
【図6】本発明に係るインクジェットヘッドの他の例を
示す全体斜視図
【図7】図6に示すインクジェットヘッドの側面断面図
【図8】本発明に係るインクジェットヘッドの更に他の
例を示す側面断面図
【図9】図8に示すインクジェットヘッドの底面図
【図10】図8に示すインクジェットヘッドのスタック
構造を示す側面断面図
【図11】図8に示すインクジェットヘッドのスタック
構造を示す全体斜視図
【図12】従来のインクジェットヘッドを示す部分破断
斜視図
【符号の説明】
1:インクジェットヘッド 11:下部基板 12:圧電素子 12a、12b:圧電材料基板 13:上部基板 14:駆動壁 15:チャンネル部 16:駆動電極 17a、17c:電極(配線) 17b:導電性部材(配線) 18: ノズルプレート 18a:ノズル孔 19:バックプレート 20:インクマニホールド部材 20a:上面 20b:背面 20c:底面 20d:側面 21:インク室及びインク流路 22a上面包持部 22b側面包持部 23、24(24a、24b):電極 25:収納凹部 26:凹部 27:ザグリ部 30:ヘッド駆動用IC 31:放熱用金属 40:片面FPC 41a、41b:配線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部基板及び下部基板の間に圧電素子から
    なる駆動壁とチャンネル部とを交互に並設し、各駆動壁
    に設けた駆動電極に電圧を印加する配線を上記上部基板
    又は下部基板に引き出すと共に、チャンネル部内にイン
    クを供給するためのインク室及びインク流路を構成する
    インクマニホールド部材を該チャンネル部の一方開口端
    側に取り付けてなり、各駆動電極に電圧を印加すること
    により駆動壁をせん断変形させてチャンネル部内のイン
    クを、チャンネル部の他方開口端側に取り付けたノズル
    プレートのノズル孔から吐出させるようにしたインクジ
    ェットヘッドであって、 上記インクマニホールド部材に電極が配設され、該電極
    の一端はインクマニホールド部材の背面に延設されてお
    り、他端は上記駆動電極に電圧を印加する配線と電気的
    に接続され、 それら電極及び配線を経由して各駆動電極への給電を可
    能としたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】前記インクマニホールド部材の電極の他端
    は、インクマニホールド部材自体を貫通して、前記駆動
    電極に電圧を印加する配線と電気的に接続されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】前記インクマニホールド部材の電極と駆動
    電極から引き出された前記配線とが、駆動ICが実装さ
    れた第3の部材を用いて電気的に接続されていることを
    特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】前記第3の部材が片面FPCであることを
    特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
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