JP2018192674A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板の可動領域が適切な範囲に規制された液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】液体吐出ヘッド7は、貫通孔が形成された第1の基板113と、第1の基板113に設けられ、貫通孔を閉塞することで、第1の基板113と共に、液体を吐出するための吐出口101に連通する圧力室102と、圧力室102に隣接して圧力室102に連通する流路103とを形成する振動板105と、振動板105を挟んで圧力室102の反対側に設けられ、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段100と、第1の基板113の振動板115が設けられた面に対向して設けられた第2の基板114と、第1の基板113と第2の基板114との間に設けられ、圧力発生手段100よりも厚さが厚く、振動板105のうち流路103を形成する領域に固定されてこの領域を支持する振動板支持部121と、を有している。【選択図】図4
Description
本発明は、液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
インクなどの液体を吐出して記録媒体に画像を記録する液体吐出装置には、多くの場合、液体を貯留する圧力室内に圧力を発生させることで、圧力室の一端に形成された吐出口から液体を吐出する方式の液体吐出ヘッドが用いられている。圧力を発生させる方法として、圧電素子によって圧力室を収縮させる方法が知られている。
近年、画像の高精細化や高速記録の要求から、吐出口が高密度に配置された液体吐出ヘッドが求められている。このような要求に対し、圧電素子を用いた液体吐出ヘッドの中でも、圧電素子を高密度かつ高精度に配列することが比較的容易であることから、いわゆるベンドモード型の液体吐出ヘッドが広く用いられている。ベンドモード型の液体吐出ヘッドは、圧電素子と振動板とからなる積層構造を有し、電圧を印加することで圧電素子を面内方向に収縮させ、それにより、振動板を面外方向に変形(曲げ変形)させることで、圧力室内に圧力を発生させるものである。
近年、画像の高精細化や高速記録の要求から、吐出口が高密度に配置された液体吐出ヘッドが求められている。このような要求に対し、圧電素子を用いた液体吐出ヘッドの中でも、圧電素子を高密度かつ高精度に配列することが比較的容易であることから、いわゆるベンドモード型の液体吐出ヘッドが広く用いられている。ベンドモード型の液体吐出ヘッドは、圧電素子と振動板とからなる積層構造を有し、電圧を印加することで圧電素子を面内方向に収縮させ、それにより、振動板を面外方向に変形(曲げ変形)させることで、圧力室内に圧力を発生させるものである。
上述のような液体吐出ヘッドでは、十分な変位量を得るために、圧電素子および振動板が比較的薄い膜厚を有しているため、ヘッドの剛性や耐久性が問題になる。これに対し、特許文献1には、基板の圧電素子および振動板が設けられた面に、パターン化された接着剤を介して配線基板が接合された液体吐出ヘッドが記載されている。この液体吐出ヘッドでは、配線基板が剛性補助部材として機能するため、ヘッド全体の剛性を向上させることができる。また、特許文献2には、振動板の圧電素子が形成されていない領域に絶縁膜からなる補強膜を形成することで、振動板の破損につながる局所的な変位増加を抑制する液体吐出ヘッドが記載されている。
ところで、ベンドモード型の液体吐出ヘッドでは、振動板の可動領域が適切な範囲に規制されていないと、振動板の過剰な変形により振動板が破損したり、圧力室の共振周波数が低下したりする可能性がある。しかしながら、特許文献1に記載の剛性補助部材は、ヘッド全体の剛性を向上させることができるものの、振動板の可動範囲を規制するものではない。また、特許文献2に記載の補強膜は、振動板の変位を規制すべき領域に設けられているが、振動板の厚さを厚くして局所的な変形増加を抑制するものであり、振動板の可動範囲に規制するには十分なものではない。
そこで、本発明の目的は、振動板の可動領域が適切な範囲に規制された液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することである。
そこで、本発明の目的は、振動板の可動領域が適切な範囲に規制された液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の液体吐出ヘッドは、貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、第1の基板に設けられ、貫通孔または凹部を閉塞することで、第1の基板と共に、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、圧力室に隣接して圧力室に連通する流路とを形成する振動板と、振動板を挟んで圧力室の反対側に設けられ、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段と、第1の基板の振動板が設けられた面に対向して設けられた第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に設けられ、振動板のうち流路を形成する領域に固定されてこの領域を支持する振動板支持部と、を有している。振動板支持部は、一態様では、圧力発生手段よりも厚さが厚く、他の態様では、第1の基板と第2の基板との間に圧力発生手段を収容する空間を規定するスペーサとして機能する。
また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、第2の基板とを用意する工程と、第1の基板の上に、貫通孔または凹部を閉塞するように振動板を設け、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、圧力室に隣接して圧力室に連通する流路とを形成する工程と、圧力室に対向する振動板の上に、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段を形成する工程と、流路に対向する振動板の上に、振動板支持部を形成する工程と、振動板支持部を介して第1の基板と第2の基板とを接合し、振動板支持部によって振動板のうち流路を形成する領域を支持する工程と、を含んでいる。振動板支持部を形成する工程は、一態様では、圧力発生手段よりも厚さが厚い振動板支持部を形成し、他の態様では、第1の基板と第2の基板とが接合されたときに圧力発生手段を収容する空間を規定するスペーサとして機能する振動板支持部を形成する。
また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、第2の基板とを用意する工程と、第1の基板の上に、貫通孔または凹部を閉塞するように振動板を設け、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、圧力室に隣接して圧力室に連通する流路とを形成する工程と、圧力室に対向する振動板の上に、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段を形成する工程と、流路に対向する振動板の上に、振動板支持部を形成する工程と、振動板支持部を介して第1の基板と第2の基板とを接合し、振動板支持部によって振動板のうち流路を形成する領域を支持する工程と、を含んでいる。振動板支持部を形成する工程は、一態様では、圧力発生手段よりも厚さが厚い振動板支持部を形成し、他の態様では、第1の基板と第2の基板とが接合されたときに圧力発生手段を収容する空間を規定するスペーサとして機能する振動板支持部を形成する。
このような液体吐出ヘッドおよびその製造方法によれば、振動板のうち流路を形成する領域、すなわち、振動板の変位を規制する構造体が設けられていない領域を振動板支持部によって固定して支持することができる。その結果、振動板の可動を適切に規制することができ、振動板の破損や圧力室の共振周波数の低下を抑制することができる。
以上、本発明によれば、振動板の可動領域が適切な範囲に規制された液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書では、本発明の液体吐出ヘッドについて、液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に搭載され、インクを吐出して記録媒体(記録用紙)に画像を記録する液体吐出ヘッドを例に挙げて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の液体を吐出する液体吐出ヘッド、例えば、導電性の液体を吐出して基板表面に導電パターンを形成する液体吐出ヘッドにも適用可能である。
本明細書では、本発明の液体吐出ヘッドについて、液体吐出装置としてのインクジェット記録装置に搭載され、インクを吐出して記録媒体(記録用紙)に画像を記録する液体吐出ヘッドを例に挙げて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の液体を吐出する液体吐出ヘッド、例えば、導電性の液体を吐出して基板表面に導電パターンを形成する液体吐出ヘッドにも適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の液体吐出ヘッドが搭載されるインクジェット記録装置の概略構成図である。
インクジェット記録装置10は、記録用紙1を搬送する搬送ローラ2と、搬送される記録用紙1を支持するプラテン3と、プラテン3に対向するように配置された4組の液体吐出ヘッドユニット4とを有している。4組の液体吐出ヘッドユニット4は、搬送ローラ2により矢印の方向に搬送される記録用紙1に対し、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4色のインクを吐出して画像を記録する。また、インクジェット記録装置10は、各液体吐出ヘッドユニット4に接続された駆動手段5と、コントローラ6とを有している。駆動手段5は、コントローラ6から送られる画像信号などに基づいて、各液体吐出ヘッドユニット4の後述する圧力発生手段の駆動信号を出力する。
図1は、本発明の液体吐出ヘッドが搭載されるインクジェット記録装置の概略構成図である。
インクジェット記録装置10は、記録用紙1を搬送する搬送ローラ2と、搬送される記録用紙1を支持するプラテン3と、プラテン3に対向するように配置された4組の液体吐出ヘッドユニット4とを有している。4組の液体吐出ヘッドユニット4は、搬送ローラ2により矢印の方向に搬送される記録用紙1に対し、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4色のインクを吐出して画像を記録する。また、インクジェット記録装置10は、各液体吐出ヘッドユニット4に接続された駆動手段5と、コントローラ6とを有している。駆動手段5は、コントローラ6から送られる画像信号などに基づいて、各液体吐出ヘッドユニット4の後述する圧力発生手段の駆動信号を出力する。
図2は、本発明の液体吐出ヘッドを含む液体吐出ヘッドユニットの概略平面図であり、液体を吐出するための吐出口が形成された吐出口面の側から見た平面図である。
液体吐出ヘッドユニット4は、千鳥状に配置された複数の液体吐出ヘッド7を有している。各液体吐出ヘッド7は、X方向に配列された6列の吐出口列を有し、各吐出口列は、171個の吐出口から構成されている。したがって、各液体吐出ヘッド7は、合計1026個の吐出口を有し、1200dpiの解像度での画像記録が可能である。
液体吐出ヘッドユニット4は、千鳥状に配置された複数の液体吐出ヘッド7を有している。各液体吐出ヘッド7は、X方向に配列された6列の吐出口列を有し、各吐出口列は、171個の吐出口から構成されている。したがって、各液体吐出ヘッド7は、合計1026個の吐出口を有し、1200dpiの解像度での画像記録が可能である。
図3から図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成について説明する。図3は、本実施形態の液体吐出ヘッドの長手方向の端部領域を拡大して示す透視平面図であり、吐出口面の反対側から見た平面図である。図4は、図3のA−A線に沿った概略断面図であり、図5(a)および図5(b)は、それぞれ図3のB−B線およびC−C線に沿った概略断面図である。
図3を参照すると、液体吐出ヘッド7は、上述したように、X方向に配列された6列の吐出口列を構成する複数の吐出口101と、それぞれが吐出口101に連通する複数の圧力室102と、それぞれが圧力室102に連通する複数の流路103とを有している。圧力室102および流路103は、X方向と交差するY方向(第1の方向)で互いに隣接し、吐出口101と同様、X方向(第2の方向)にそれぞれ複数配列されている。圧力室102は、流路103を介して、X方向およびY方向に垂直な方向(紙面方向)に延びる貫通流路104に連通している。貫通流路104は、共通流路116(図3には図示せず)に連通し、その一部が流路形成部123によって形成されている。
圧力室102に対向する位置には、インク(液体)を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段として機能する圧電素子100が設けられている。圧電素子100は、圧電素子100ごとに個別に設けられた個別電極117と、吐出口列に対応する複数の圧電素子100に共通に設けられた共通電極121とに電気的に接続されている。個別電極117は、X方向(第2の方向)に沿って圧電素子100ごとに複数設けられ、共通電極121は、X方向(第2の方向)に沿って複数の圧電素子100にわたって連続的に設けられている。また、液体吐出ヘッド7は、圧電素子100が設けられた領域への外部からのインクの侵入を抑制するために、当該領域を取り囲むように液体吐出ヘッド7の周縁部に沿って配置された封止部119を有している。
圧力室102に対向する位置には、インク(液体)を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段として機能する圧電素子100が設けられている。圧電素子100は、圧電素子100ごとに個別に設けられた個別電極117と、吐出口列に対応する複数の圧電素子100に共通に設けられた共通電極121とに電気的に接続されている。個別電極117は、X方向(第2の方向)に沿って圧電素子100ごとに複数設けられ、共通電極121は、X方向(第2の方向)に沿って複数の圧電素子100にわたって連続的に設けられている。また、液体吐出ヘッド7は、圧電素子100が設けられた領域への外部からのインクの侵入を抑制するために、当該領域を取り囲むように液体吐出ヘッド7の周縁部に沿って配置された封止部119を有している。
封止部119の外側には、フレキシブルプリント基板(FPC)129(図3には図示せず)を介してコントローラ6から送られる駆動信号を受け取るための複数の実装端子128が設けられている。複数の実装端子128のうち、両端の実装端子128は引出電極132を介して共通信号接続部130に電気的に接続され、残りの実装端子128は引出配線127を介して駆動信号接続部125に電気的に接続されている。共通信号接続部130および駆動信号接続部125は、後述するように、配線基板114(図3には図示せず)の、例えば相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタで構成された駆動回路に電気的に接続されている。また、実装端子(接続端子部)128は、引出電極132の下層を形成して封止部119の内側まで延びる導体層141を介して、共通電極121にも電気的に接続されている。
図4を参照すると、液体吐出ヘッド7は、吐出口101が形成された吐出口形成部材112と、圧電素子100が設けられた素子基板(第1の基板)113と、振動板105と、配線基板(第2の基板)114と、流路形成基板115とを有している。
吐出口形成部材112は、素子基板113の一方の面に設けられ、他方の面には振動板105が設けられている。素子基板113には貫通孔が形成され、これが吐出口形成部材112と振動板105に閉塞されることで、吐出口101に連通する圧力室102と、圧力室102に隣接して圧力室102に連通する流路103とが形成されている。なお、吐出口形成部材112が素子基板113と一体になっていてもよく、その場合、素子基板113には凹部が形成され、これが振動板105よって閉塞されることで圧力室102と流路103が形成されることになる。
吐出口形成部材112は、素子基板113の一方の面に設けられ、他方の面には振動板105が設けられている。素子基板113には貫通孔が形成され、これが吐出口形成部材112と振動板105に閉塞されることで、吐出口101に連通する圧力室102と、圧力室102に隣接して圧力室102に連通する流路103とが形成されている。なお、吐出口形成部材112が素子基板113と一体になっていてもよく、その場合、素子基板113には凹部が形成され、これが振動板105よって閉塞されることで圧力室102と流路103が形成されることになる。
振動板105を挟んで圧力室102の反対側には、下電極層106、圧電体層107、および上電極層108から構成された圧電素子100が設けられている。圧電素子100の上には、防湿を目的とした保護膜109が設けられている。保護膜109の上には、下電極層106および上電極層108をそれぞれ露出させる貫通孔を介して電極を引き出す個別引出電極110および共通引出電極111がそれぞれ形成されている。
配線基板114は、素子基板113の振動板105が設けられた面に対向して設けられ、後述するスペーサとして機能する部材を介して素子基板113に接合されている。これにより、素子基板113と配線基板114との間に、圧電素子100を収容するとともに圧電素子100の駆動により振動板105を変位させるための空間が形成されている。素子基板113、振動板105、保護膜109、および配線基板114には、これらを貫通して流路103に連通する貫通流路104が形成されている。流路形成基板115には、貫通流路104に連通して圧力室102にインクを供給する共通流路116が形成されている。
配線基板114は、素子基板113の振動板105が設けられた面に対向して設けられ、後述するスペーサとして機能する部材を介して素子基板113に接合されている。これにより、素子基板113と配線基板114との間に、圧電素子100を収容するとともに圧電素子100の駆動により振動板105を変位させるための空間が形成されている。素子基板113、振動板105、保護膜109、および配線基板114には、これらを貫通して流路103に連通する貫通流路104が形成されている。流路形成基板115には、貫通流路104に連通して圧力室102にインクを供給する共通流路116が形成されている。
素子基板113は、いくつかの電気接続部を介して、配線基板114に電気的に接続されている。具体的には、まず、図4に示すように、個別引出電極110の上には金属からなる個別電極117が形成されており、個別電極117は、その上に形成された接合金属層118を介して、配線基板114の接続パッドに接続されている。さらに、共通引出電極111の上には金属からなる共通電極121が形成されている。共通電極121は、接合接着剤層122によって配線基板114に接合されているが、一方で、図5(b)に示すように導体層141にも接続され、図5(a)に示すように、この導体層141を介して引出電極132に接続されている。引出電極132の上には金属からなる共通信号接続部130が形成されており、共通信号接続部130は、その上に形成された接合金属層131を介して、配線基板114の接続パッドに接続されている。また、図5(b)に示すように、金属からなる駆動信号接続部125は、その上に形成された接合金属層126を介して、配線基板114の接続パッドに接続されている。なお、図5(a)および図5(b)に示すように、引出電極127,132に接続された実装端子128には、FPC129が接続されている。
このような電気的接続により、配線基板114から出力される駆動電圧をそれぞれの圧電素子100の下電極層106に印加することができる。この電圧印加による圧電体層107の変形により、振動板105が変位して圧力室102が膨張収縮することで、圧力室102内のインクを吐出口101から吐出させることができる。なお、個別電極117、共通電極121、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130は、素子基板113と配線基板114との間に圧電素子100を収容する空間を規定するスペーサとしても機能する。
このような電気的接続により、配線基板114から出力される駆動電圧をそれぞれの圧電素子100の下電極層106に印加することができる。この電圧印加による圧電体層107の変形により、振動板105が変位して圧力室102が膨張収縮することで、圧力室102内のインクを吐出口101から吐出させることができる。なお、個別電極117、共通電極121、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130は、素子基板113と配線基板114との間に圧電素子100を収容する空間を規定するスペーサとしても機能する。
素子基板113と配線基板114との間には、上述した電気接続部の他にも、図4に示すように、貫通流路104の一部を形成する流路形成部123が設けられ、さらに、図5(a)に示すように封止部119が設けられている。流路形成部123および封止部119は共に金属からなり、それぞれ接合接着剤層124を介して配線基板114に接合され、同じく上述のスペーサとして機能する。なお、封止部119は、保護膜109によって、その下の導体層141と電気的に絶縁されており、インク付着による不要な電気的接続の発生を抑制することができる。
図示した例では、個別電極117が素子基板113の個別引出電極111上に形成され、接合金属層118を介して配線基板114に接合されているが、その逆であってもよい。すなわち、個別電極117が素子基板113上に形成され、接合金属層118を介して配線基板114の個別引出電極110に接合されていてもよい。また、流路形成部123についても同様に、図示した例とは逆に、配線基板114上に形成され、接合接着剤層124を介して素子基板113に接合されていてもよい。
図示した例では、個別電極117が素子基板113の個別引出電極111上に形成され、接合金属層118を介して配線基板114に接合されているが、その逆であってもよい。すなわち、個別電極117が素子基板113上に形成され、接合金属層118を介して配線基板114の個別引出電極110に接合されていてもよい。また、流路形成部123についても同様に、図示した例とは逆に、配線基板114上に形成され、接合接着剤層124を介して素子基板113に接合されていてもよい。
配線基板114には、駆動回路として、CMOSトランジスタ、シフトレジスタ、ラッチ回路などから構成されたスイッチング回路が形成されている。配線基板114の駆動回路(スイッチング回路)は、上述したように、圧電素子100に電気的に接続され、実装端子128から入力される駆動信号に応じて、任意の吐出口101に対応する圧電素子100を駆動することができる。実装端子128からの駆動信号には、インクを吐出する吐出口101を選択する吐出口選択信号、圧電素子100を駆動してインクを吐出させる吐出駆動波形信号、吐出を行なわずにメニスカスを振動させて回復動作を行なう非吐出駆動波形信号などが含まれる。
このように、配線基板114に駆動回路を形成することで、実装端子128の数を少なくして素子基板113上での実装領域を狭くすることができ、その結果、液体吐出ヘッド7の小サイズ化および低コスト化が可能になる。なお、配線基板114の駆動回路は、スイッチング回路のみに限定されるものではなく、電力増幅アンプや波形発生手段を備えていてもよい。また、低解像度用など配線数が少ない液体吐出ヘッド7の場合には、駆動回路を備えたチップを別途用意し、実装端子128を介して接続するようになっていてもよい。
このように、配線基板114に駆動回路を形成することで、実装端子128の数を少なくして素子基板113上での実装領域を狭くすることができ、その結果、液体吐出ヘッド7の小サイズ化および低コスト化が可能になる。なお、配線基板114の駆動回路は、スイッチング回路のみに限定されるものではなく、電力増幅アンプや波形発生手段を備えていてもよい。また、低解像度用など配線数が少ない液体吐出ヘッド7の場合には、駆動回路を備えたチップを別途用意し、実装端子128を介して接続するようになっていてもよい。
本実施形態では、図3および図4に示すように、共通電極121が、振動板105のうち圧電素子100にY方向で隣接する領域であって流路103に対向する領域に配置されている。このため、共通電極121は、振動板105のうち流路103を形成する領域、すなわち、振動板105の変位を規制する構造体が設けられていない領域に固定されて、この領域を支持することができる。これにより、振動板105の可動を適切に規制することができ、振動板105の不要かつ過剰な変位を抑制して振動板105の破損を抑制することができる。この振動板支持部として機能する共通電極121は、剛性が高く、まためっきなどにより厚く形成しやすいという利点がある金属で形成されている。そのため、接着剤によって振動板を支持する場合に比べて、振動板105の振動に対する剛性を向上させ、振動板105の過剰な変形をより一層抑制することができる。さらに、振動板105の変位量およびコンプライアンスを規定することができ、十分な振動板105の変位量を確保しながら、圧力室102の共振周波数の低下を抑制するとともに、そのばらつきを少なく保つことができる。
さらに、本実施形態では、共通電極121が上述のように振動板支持部としての機能も兼ねているため、スペース効率が上がり、液体吐出ヘッド7の小サイズ化および低コスト化を実現することもできる。さらに、共通電極121が振動板支持部を兼ねていることは、振動板支持部を作製する工程をわざわざ行う必要がなく、工程数の増加を抑制することができる点でも有利である。
さらに、本実施形態では、共通電極121が上述のように振動板支持部としての機能も兼ねているため、スペース効率が上がり、液体吐出ヘッド7の小サイズ化および低コスト化を実現することもできる。さらに、共通電極121が振動板支持部を兼ねていることは、振動板支持部を作製する工程をわざわざ行う必要がなく、工程数の増加を抑制することができる点でも有利である。
なお、共通電極121は、配線基板114に接着されていない場合にも、圧電素子100の共通電極としての機能だけでなく、振動板105の変位を規制するという機能も果たすことができる。そのため、共通電極121は、必ずしも配線基板114に接着されている必要はない。また、個別電極117と共通電極121の位置を入れ替えることで、圧電素子100ごとに離散的に設けられることになるが、個別電極117を振動板支持部として機能させることもできる。ただし、金属層を厚く形成することで共通電極121の電気抵抗を低下させることができるという点で、共通電極121を振動板支持部として機能させることが好ましい。
ところで、上述した電気接続部の第1の層、すなわち、個別電極117、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130は、例えばAu、Cu、Agなどの貴金属であるか、あるいは、これらを主成分とする合金である第1の金属材料からなる。それに対し、電気接続部の第2の層である接合金属層118,126,131は、例えばIn、Snなどの低融点金属であるか、あるいは、これらを主成分とする合金である第2の金属材料からなる。本実施形態では、第1の金属材料と第2の金属材料とは共晶接合されている。これにより、低い温度での接合が可能になり、プロセス温度による圧電素子100の劣化を抑制することできる。さらに、共晶接合を用いることで、共晶接合後は接合温度よりも高いプロセス温度に耐えることができる。また、接合接着剤層120,122,124として、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾシクロブタン(BCB)樹脂などの熱硬化型の接着剤を用いることで、共晶結合と接着接合を同じプロセスで同時に行うことができる。
配線基板114としてCMOS基板を用いる場合、プロセス温度を450℃程度以下にする必要があるが、上述した材料を用いることで、共晶接合と接着接合の加熱温度を共に450℃以下にすることができる。また、熱硬化型接着剤の劣化を考慮すると、プロセス温度は220℃以下であることが望ましいが、このような要求に対しては、共晶材料としてAuとInの組み合わせを用いることが好ましい。これにより、約150℃で共晶接合が可能になり、その結果、接着剤の劣化を抑制することができるだけでなく、接着剤の硬化温度とも近いためにプロセスが容易になり、さらには、CMOS基板を使用することも可能になる。Au−Inの平衡相図によれば、Au−Inは156℃以上で合金化し、AuInまたはAuIn2になり、それぞれの共晶合金の融点は約450℃と約500℃である。共晶接合後に200℃以上に加熱するプロセスがあったとしても、共晶接合による接合部が再溶融することはない。
配線基板114としてCMOS基板を用いる場合、プロセス温度を450℃程度以下にする必要があるが、上述した材料を用いることで、共晶接合と接着接合の加熱温度を共に450℃以下にすることができる。また、熱硬化型接着剤の劣化を考慮すると、プロセス温度は220℃以下であることが望ましいが、このような要求に対しては、共晶材料としてAuとInの組み合わせを用いることが好ましい。これにより、約150℃で共晶接合が可能になり、その結果、接着剤の劣化を抑制することができるだけでなく、接着剤の硬化温度とも近いためにプロセスが容易になり、さらには、CMOS基板を使用することも可能になる。Au−Inの平衡相図によれば、Au−Inは156℃以上で合金化し、AuInまたはAuIn2になり、それぞれの共晶合金の融点は約450℃と約500℃である。共晶接合後に200℃以上に加熱するプロセスがあったとしても、共晶接合による接合部が再溶融することはない。
素子基板113に設けられた、個別電極117、封止部119、共通電極121、流路形成部123、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130の厚さは、圧電素子100の厚さよりも厚くなっている。これにより、上述したように、配線基板114との間に圧電素子100を収容する空間が形成され、配線基板114が圧電素子100の駆動(変形)を阻害することが抑制される。一例として、圧電素子100の厚さが2〜3μm程度の場合、これらの部材117,119,121,123,125,130の厚さは、5〜10μmであることが好ましい。また、接合接着剤層120,122,124の厚さは、封止部119、共通電極121、および流路形成部123の厚さによりも十分に薄いことが好ましい。これにより、素子基板113と配線基板114との接合部のほとんどが、ほぼ同じ熱膨張率の材料で形成されることで、熱膨張率の差による接合部の剥がれを生じにくくすることができる。
なお、共通電極121は、電気接続部の第1の層である、個別電極117、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130と同じ第1の金属材料からなり、実装端子128も同じく第1の金属材料からなる。ただし、共通電極121は、上述したように、電気抵抗が小さいことが好ましく、このような要件を満たさなくなる場合には、第1の金属材料と異なる金属材料から形成されていてもよい。一方、封止部119および流路形成部123については、上述の部材と同じプロセスで形成することができるという点で、第1の金属材料から形成されていることが好ましい。ただし、耐インク性に優れた液体吐出ヘッド7を得るという観点からは、封止部119および流路形成部123は、耐インク性を有する金属材料から形成されていることが好ましく、そのためには、第1の金属材料と異なる金属材料から形成されていてもよい。
なお、共通電極121は、電気接続部の第1の層である、個別電極117、駆動信号接続部125、および共通信号接続部130と同じ第1の金属材料からなり、実装端子128も同じく第1の金属材料からなる。ただし、共通電極121は、上述したように、電気抵抗が小さいことが好ましく、このような要件を満たさなくなる場合には、第1の金属材料と異なる金属材料から形成されていてもよい。一方、封止部119および流路形成部123については、上述の部材と同じプロセスで形成することができるという点で、第1の金属材料から形成されていることが好ましい。ただし、耐インク性に優れた液体吐出ヘッド7を得るという観点からは、封止部119および流路形成部123は、耐インク性を有する金属材料から形成されていることが好ましく、そのためには、第1の金属材料と異なる金属材料から形成されていてもよい。
次に、図6および図7を参照して、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。ここでは、特に、個別電極、共通電極、および流路形成部の作製工程と、これらに接合される接合金属層および接合接着剤層の作製工程とについて、それぞれ具体例を挙げて説明する。図6は、個別電極、共通電極、および流路形成部の作製工程における素子基板の概略断面図であり、図4の断面図に対応する図である。図7は、接合金属層および接合接着剤層の作製工程における配線基板の概略断面図であり、図4の断面図に対応する図である。なお、図6および図7に示す破線は、その後の工程で形成される貫通流路を表している。
図6に示す作製工程では、素子基板113に、個別電極117、共通電極121、および流路形成部123として、第1の金属材料であるAuのめっきパターンを形成する。
具体的には、まず、素子基板113の圧電素子100が形成された面の全面に、スパッタ法や真空蒸着法により、めっき成長の起点となるシード電極(図示せず)を形成する。シード電極としては、例えばCu/TiやAu/Tiなどが挙げられる。その後、そのシード電極の上に、図6(a)に示すように、フォトレジストを用いて、めっき用のモールドパターン150を形成する。使用するフォトレジストは、液状およびドライフィルムのどちらのタイプであってもよいが、めっきにより形成される金属パターンの高さに応じた厚みが必要であり、10μm以上の厚みを必要とする場合にはドライフィルムタイプが好適である。
次に、図6(b)に示すように、電解めっき法または無電解めっき法により、Auのめっきパターン151を形成する。そして、図6(c)に示すように、化学機械研磨(CMP)法により、Auのめっきパターン151を平坦化した後、図6(d)に示すように、モールドパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去する。こうして、個別電極117、共通電極121、および流路形成部123が作製される。
具体的には、まず、素子基板113の圧電素子100が形成された面の全面に、スパッタ法や真空蒸着法により、めっき成長の起点となるシード電極(図示せず)を形成する。シード電極としては、例えばCu/TiやAu/Tiなどが挙げられる。その後、そのシード電極の上に、図6(a)に示すように、フォトレジストを用いて、めっき用のモールドパターン150を形成する。使用するフォトレジストは、液状およびドライフィルムのどちらのタイプであってもよいが、めっきにより形成される金属パターンの高さに応じた厚みが必要であり、10μm以上の厚みを必要とする場合にはドライフィルムタイプが好適である。
次に、図6(b)に示すように、電解めっき法または無電解めっき法により、Auのめっきパターン151を形成する。そして、図6(c)に示すように、化学機械研磨(CMP)法により、Auのめっきパターン151を平坦化した後、図6(d)に示すように、モールドパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去する。こうして、個別電極117、共通電極121、および流路形成部123が作製される。
図7に示す作製工程では、配線基板114に、接合金属層118として、第2の金属材料であるInのパターンをリフトオフで形成した後、接合接着剤層120,122,124として、接着剤のパターンを形成する。
具体的には、まず、図7(a)に示すように、配線基板114上に、フォトレジストを用いて、マスクパターン152を形成する。次に、図7(b)に示すように、真空蒸着法により、金属膜153としてAu/In/Ti/Au/Ti(例えば、40/2000/20/200/20nm)を成膜する。Inは低融点金属であるため、スパッタ法によって2000nmもの厚さのIn膜を連続的に成膜しようとすると、ターゲット自体が高温になって溶融してしまうおそれがある。その場合には、成膜レートが著しく低下して膜厚を制御できなくなる可能性がある。したがって、In膜の成膜には蒸着法を用いることが好ましい。なお、最表面のAuはInの酸化防止膜として機能し、AuとInの間のTiはInの下層側のAuへの拡散防止層として機能する。その後、図7(c)に示すように、マスクパターン152を剥離液によって除去することで、接合金属層118が作製される。
具体的には、まず、図7(a)に示すように、配線基板114上に、フォトレジストを用いて、マスクパターン152を形成する。次に、図7(b)に示すように、真空蒸着法により、金属膜153としてAu/In/Ti/Au/Ti(例えば、40/2000/20/200/20nm)を成膜する。Inは低融点金属であるため、スパッタ法によって2000nmもの厚さのIn膜を連続的に成膜しようとすると、ターゲット自体が高温になって溶融してしまうおそれがある。その場合には、成膜レートが著しく低下して膜厚を制御できなくなる可能性がある。したがって、In膜の成膜には蒸着法を用いることが好ましい。なお、最表面のAuはInの酸化防止膜として機能し、AuとInの間のTiはInの下層側のAuへの拡散防止層として機能する。その後、図7(c)に示すように、マスクパターン152を剥離液によって除去することで、接合金属層118が作製される。
次に、図7(d)に示すように、配線基板114の接合金属層118が形成された面の全面に、スピンコート法などにより、接着剤154としてBCB(例えば、ダウ・ケミカル社製のCYCLOTENE(登録商標)シリーズ)を塗布する。接着剤154は、配線基板114上に選択的に形成される必要があるが、BCBはそのような接着剤として好適に用いられる。そして、図7(e)に示すように、フォトレジストを用いて、マスクパターン155を形成した後、図7(f)に示すように、CF4/O2(1:4)ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法により、接着剤154をパターニングする。このとき、接着剤154としてBCBを用いた場合、フォトレジストとBCBとのエッチング選択比が1:1であるため、マスクパターン155は、少なくとも接着剤154の膜厚以上の膜厚で形成される必要がある。最後に、図7(g)に示すように、マスクパターン155を剥離液によって除去することで、接合接着剤層120,122,124が作製される。
なお、素子基板113と配線基板114との接合は、BCBからのデガスやInの酸化を抑制するために、真空下または窒素などの不活性ガス下で行われる。接合条件(温度、荷重、時間)は、Inの溶融温度、BCBのキュア温度、Au−Inの拡散速度によって決定され、一例として、接合温度が200℃、接合圧力(荷重)が10MPa、接合時間が60minである。このような接合条件下で、真空チャンバ内で素子基板113と配線基板114との接合を行ったところ、個別電極117と接合金属層118との接合界面にAu−Inの拡散合金層が形成されていることが走査型電子顕微鏡(SEM)により確認された。このことから、個別電極117と接合金属層118とは共晶接合されていると考えられる。また、接合シェア強度を測定したところ、個別電極117と接合金属層118との接合部、および、接合接着剤層122,124による接合部のいずれも、20MPa以上の十分な強度があることが確認された。
(第2の実施形態)
図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成について説明する。図8は、本実施形態の液体吐出ヘッドの概略断面図であり、図4の断面図に対応する図である。
本実施形態では、個別電極117、封止部119、共通電極121、および流路形成部123の構成が第1の実施形態と異なっており、これらの表面のみがAuによってめっきされ、コア部分はNi層によって形成されている。具体的には、個別電極117は、Ni層133と、その表面に形成され、接合金属層118と共晶接合されたAuめっき層134とから構成されている。封止部119は、Ni層135と、その表面に形成され、接合接着剤層120に接合されたAuめっき層136とから構成されている。共通電極121は、Ni層137と、その表面に形成され、接合接着剤層122に接合されたAuめっき層138とから構成されている。流路形成部123は、Ni層139と、その表面に形成され、接合接着剤層124に接合されたAuめっき層140とから構成されている。
なお、封止部119、共通電極121、および流路形成部123は、接合接着剤層120,122,124を介して配線基板114に接合されるため、必ずしも表面にAuめっき層が形成されていなくてもよい。また、それぞれのコア部分は、Auよりも安価な材料からなる層であればNi層に限定されるものではなく、Ag層やCu層であってもよい。
図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成について説明する。図8は、本実施形態の液体吐出ヘッドの概略断面図であり、図4の断面図に対応する図である。
本実施形態では、個別電極117、封止部119、共通電極121、および流路形成部123の構成が第1の実施形態と異なっており、これらの表面のみがAuによってめっきされ、コア部分はNi層によって形成されている。具体的には、個別電極117は、Ni層133と、その表面に形成され、接合金属層118と共晶接合されたAuめっき層134とから構成されている。封止部119は、Ni層135と、その表面に形成され、接合接着剤層120に接合されたAuめっき層136とから構成されている。共通電極121は、Ni層137と、その表面に形成され、接合接着剤層122に接合されたAuめっき層138とから構成されている。流路形成部123は、Ni層139と、その表面に形成され、接合接着剤層124に接合されたAuめっき層140とから構成されている。
なお、封止部119、共通電極121、および流路形成部123は、接合接着剤層120,122,124を介して配線基板114に接合されるため、必ずしも表面にAuめっき層が形成されていなくてもよい。また、それぞれのコア部分は、Auよりも安価な材料からなる層であればNi層に限定されるものではなく、Ag層やCu層であってもよい。
次に、図9を参照して、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる工程、すなわち、個別電極、共通電極、および流路形成部の作製工程のみ説明する。図9は、個別電極、共通電極、および流路形成部の作製工程における素子基板の概略断面図であり、図8の断面図に対応する図である。
まず、図9(a)に示すように、図6(a)示す工程と同様の手順で、素子基板113の圧電素子100が形成された面に、めっき用のモールドパターン150を形成する。次に、これをマスクとして、図9(b)に示すように、電解めっき法または無電解めっき法により、Niのめっきパターン156を形成する。その後、図9(c)に示すように、CMP法により、Niのめっきパターン156を平坦化した後、図9(d)に示すように、モールドパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去する。こうして、個別電極117、共通電極121、および流路形成部123のコア部分となるNi層133,137,139が作製される。最後に、図9(e)に示すように、無電解めっき法により、Ni層133,137,139の表面をAuで置換し、Auめっき層134,138,139を形成する。
Auめっき層134,138,139の厚みとしては、接合信頼性に関わるため、1〜3μm程度の厚みが必要となる。また、Auめっきは、基板全面に施されるため、Auめっき層134,138は、露出している個別引出電極110および共通引出電極111にもそれぞれ形成される。これらは、本実施形態では特に問題にならないが、個別引出電極110およびへのめっきを抑制するためには、Niのめっきパターン156以外の部分に保護膜を形成することが必要になる。なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に素子基板113と配線基板114との接合を行ったところ、接合部における共晶接合と接合シェア強度が第1の実施形態と同様に確認された。
まず、図9(a)に示すように、図6(a)示す工程と同様の手順で、素子基板113の圧電素子100が形成された面に、めっき用のモールドパターン150を形成する。次に、これをマスクとして、図9(b)に示すように、電解めっき法または無電解めっき法により、Niのめっきパターン156を形成する。その後、図9(c)に示すように、CMP法により、Niのめっきパターン156を平坦化した後、図9(d)に示すように、モールドパターン150を剥離液によって除去し、シード電極をエッチングによって除去する。こうして、個別電極117、共通電極121、および流路形成部123のコア部分となるNi層133,137,139が作製される。最後に、図9(e)に示すように、無電解めっき法により、Ni層133,137,139の表面をAuで置換し、Auめっき層134,138,139を形成する。
Auめっき層134,138,139の厚みとしては、接合信頼性に関わるため、1〜3μm程度の厚みが必要となる。また、Auめっきは、基板全面に施されるため、Auめっき層134,138は、露出している個別引出電極110および共通引出電極111にもそれぞれ形成される。これらは、本実施形態では特に問題にならないが、個別引出電極110およびへのめっきを抑制するためには、Niのめっきパターン156以外の部分に保護膜を形成することが必要になる。なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に素子基板113と配線基板114との接合を行ったところ、接合部における共晶接合と接合シェア強度が第1の実施形態と同様に確認された。
7 液体吐出ヘッド
100 圧電素子(圧力発生手段)
105 振動板
113 素子基板(第1の基板)
114 配線基板(第2の基板)
121 共通電極(振動板支持部)
100 圧電素子(圧力発生手段)
105 振動板
113 素子基板(第1の基板)
114 配線基板(第2の基板)
121 共通電極(振動板支持部)
Claims (15)
- 貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、
前記第1の基板に設けられ、前記貫通孔または凹部を閉塞することで、前記第1の基板と共に、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に隣接して該圧力室に連通する流路とを形成する振動板と、
前記振動板を挟んで前記圧力室の反対側に設けられ、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段と、
前記第1の基板の前記振動板が設けられた面に対向して設けられた第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、前記圧力発生手段よりも厚さが厚く、前記振動板のうち前記流路を形成する領域に固定されて該領域を支持する振動板支持部と、を有する液体吐出ヘッド。 - 貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、
前記第1の基板に設けられ、前記貫通孔または凹部を閉塞することで、前記第1の基板と共に、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に隣接して該圧力室に連通する流路とを形成する振動板と、
前記振動板を挟んで前記圧力室の反対側に設けられ、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段と、
前記第1の基板の前記振動板が設けられた面に対向して設けられた第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板との間に前記圧力発生手段を収容する空間を規定するスペーサとして機能するとともに、前記振動板のうち前記流路を形成する領域に固定されて該領域を支持する振動板支持部と、を有する液体吐出ヘッド。 - 前記振動板支持部が金属からなる、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記振動板支持部が、前記圧力発生手段に電気的に接続されている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧力室、前記流路、および前記圧力発生手段が、前記圧力室と前記流路とが隣接する第1の方向と交差する第2の方向にそれぞれ複数配列され、
前記振動板支持部が、前記第2の方向に沿って連続的に設けられ、複数の前記圧力発生手段の共通電極として機能する、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記圧力室、前記流路、および前記圧力発生手段が、前記圧力室と前記流路とが隣接する第1の方向と交差する第2の方向にそれぞれ複数配列され、
前記振動板支持部が、前記第2の方向に沿って前記圧力発生手段ごとに複数設けられ、それぞれの前記圧力発生手段の個別電極として機能する、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記複数の圧力発生手段と前記振動板支持部とが設けられた領域を取り囲むように前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた封止部と、
前記第1の基板の前記振動板が設けられた面の、前記封止部の外側に設けられた接続端子部と、
前記第1の基板に設けられ、前記振動板支持部と前記接続端子部とを電気的に接続し、前記封止部に電気的に絶縁された導体層と、を有する、請求項3から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられ、前記第1の基板と前記第2の基板とを電気的に接続する電気接続部を有し、
前記電気接続部が、少なくとも表面が第1の金属材料からなる第1の層と、前記第1の層に共晶接合され、第2の金属材料からなる第2の層であって、前記第2の金属材料が前記第1の金属材料との共晶合金の融点よりも低い融点を有する、第2の層とを有する、請求項3から7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1の金属材料が、Au、Cu、Ag、または、そのいずれかを主成分とする合金であり、前記第2の金属材料が、In、Sn、または、そのいずれかを主成分とする合金である、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記電気接続部の前記第1の層が、表面にAuがめっきされたNi層を含む、請求項8または9に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記振動板支持部が、前記電気接続部の前記第1の層と同じ層構造を有する、請求項8から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた流路形成部であって、前記第2の基板と前記振動板とを貫通して前記流路に連通する貫通流路の一部を形成する流路形成部を有し、
前記流路形成部が、前記電気接続部の前記第1の層と同じ層構造を有する、請求項8から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記圧力発生手段が圧電素子である、請求項1から12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、第2の基板とを用意する工程と、
前記第1の基板の上に、前記貫通孔または凹部を閉塞するように振動板を設け、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に隣接して該圧力室に連通する流路とを形成する工程と、
前記圧力室に対向する前記振動板の上に、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段を形成する工程と、
前記流路に対向する前記振動板の上に、前記圧力発生手段よりも厚さが厚い振動板支持部を形成する工程と、
前記振動板支持部を介して前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記振動板支持部によって前記振動板のうち前記流路を形成する領域を支持する工程と、を含む、液体吐出ヘッドの製造方法。 - 貫通孔または凹部が形成された第1の基板と、第2の基板とを用意する工程と、
前記第1の基板の上に、前記貫通孔または凹部を閉塞するように振動板を設け、液体を吐出するための吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室に隣接して該圧力室に連通する流路とを形成する工程と、
前記圧力室に対向する前記振動板の上に、液体を吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段を形成する工程と、
前記流路に対向する前記振動板の上に、前記第1の基板と前記第2の基板とが接合されたときに前記圧力発生手段を収容する空間を規定するスペーサとして機能する振動板支持部を形成する工程と、
前記振動板支持部を介して前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記振動板支持部によって前記振動板のうち前記流路を形成する領域を支持する工程と、を含む、液体吐出ヘッドの製造方法。
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JP2017097409A Pending JP2018192674A (ja) | 2017-05-16 | 2017-05-16 | 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018192674A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102152468B1 (ko) * | 2019-12-20 | 2020-09-04 | 한국기계연구원 | 잉크젯 헤드 소자, 잉크젯 헤드 조립체 및 잉크젯 헤드 소자 제조방법 |
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2017
- 2017-05-16 JP JP2017097409A patent/JP2018192674A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102152468B1 (ko) * | 2019-12-20 | 2020-09-04 | 한국기계연구원 | 잉크젯 헤드 소자, 잉크젯 헤드 조립체 및 잉크젯 헤드 소자 제조방법 |
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