JP2012257458A - 圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電層に駆動電圧を供給するための電気的接続構造の簡略化とその電気的接続の信頼性向上の両方を実現可能で、さらに、駆動電圧の印加時における余分な静電容量の発生をも抑制できる圧電アクチュエータを提供すること。
【解決手段】圧電アクチュエータ3は、複数の圧力室14を覆い共通電極を兼ねる振動板と、この振動板の上面に複数の圧力室14に跨って連続的に配置された圧電層31と、この圧電層31の上面に形成された複数の個別電極32と、圧電層31及び複数の個別電極32の上面に全面的に形成された絶縁層33と、この絶縁層33の上面に形成された複数の配線部35とを有し、絶縁層33の個別電極32と配線部35の両方と対向する領域には、貫通孔33aが形成されており、個別電極32と配線部35とが、貫通孔33aに充填された導電性材料36により接続されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体を移送する液体移送装置の圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータを備えた液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法に関する。
液体に圧力を付与して移送する液体移送装置として、記録用紙などの被記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドがある。このようなインクジェットヘッドには、それぞれがノズルに連通した複数の圧力室を備えた流路ユニットの一表面に配置され、複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電式のアクチュエータを備えたものがある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
特許文献1(US2004/119790A1号)に記載されたインクジェットヘッドの圧電アクチュエータは、複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層(圧電シート)と、圧電層の表面に複数の圧力室に夫々対応して形成された複数の個別電極と、これら複数の個別電極との間で圧電層を挟む共通電極を備えている。複数の個別電極の表面には、それぞれ複数のランド部が形成されており、これら複数のランド部に、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)の接点部が電気的に接続されている。そして、FPCを介して、駆動装置(ドライバIC)から複数の個別電極に対して選択的に駆動電圧が印加される。
また、特許文献2(米国特許番号5,754,205号、5,922,218号)に記載されたインクジェットヘッドにおいては、複数の圧力室(加圧室)に跨って連続的に配置された圧電層(圧電性膜)の表面に複数の駆動電極(上部駆動電極及び下部駆動電極)が形成され、これら複数の駆動電極からは夫々配線が延びている。複数の配線は、圧電層表面の、駆動電極が配置された変位領域に隣接する配線領域において、所定の一方向に引き出されて配線基板に接続されている。ここで、駆動電極に電圧が印加されるときに、配線と駆動電極の間に挟まれる圧電層との間に余分な静電容量(寄生容量)が発生することを防ぐために、配線領域において、圧電層と複数の配線の間には低誘電層が設けられている。
また、特許文献3(US2004/0060969 A1号)に記載されたインクジェットヘッドにおいては、可撓性を有する帯状の絶縁体と、インクジェットヘッドの複数のヘッド端子に対応して絶縁体の一方の面上に列設された複数の端子ランドと、絶縁体の端子ランドが列設された面上で各端子ランドに独立に配線された複数の導線とを備えるフレキシブル配線基板が、インクジェットの複数のヘッド端子に接続されている。絶縁体の各端子ランドの位置にはそれぞれ、絶縁体を貫通する貫通孔が形成されており、これらの貫通孔を通じて、各端子ランドは絶縁体の他方の面に露出している。絶縁体に形成された貫通孔内に半田等の導電性材料を充填し、フレキシブル配線基板の端子ランドとインクジェットヘッドのヘッド端子とを対向させて位置決めした後、貫通孔内の導電性材料により端子ランドとヘッド端子とを接続する。このとき、各貫通孔内の導電性材料と、隣接する端子ランド及び端子ランドに配線された導線とは、絶縁体を介して隔離されているため、これらが短絡する恐れがない。
米国公開公報US2004/119790A1号(特開2004−136668号公報) 米国特許番号5,754,205号、5,922,218号(特開平9−156099号公報) 米国公開公報US2004/0060969 A1号
ところで、近年、印刷画質の向上とインクジェットヘッドの小型化の両方の要求を満足させるために、複数の圧力室をより高密度に配置する試みがなされているが、複数の圧力室を高密度に配置しようとすると、複数の個別電極も高密度に配置する必要がある。しかし、特許文献1に記載されたインクジェットヘッドのように、FPC等の配線部材を介して駆動装置から個別電極に駆動電圧を供給するように構成されている場合には、複数の個別電極のランド部に接続される配線部材の配線パターンを高密度に形成する必要があるため、配線部材のコストが高くなる。また、平面的に配置された複数の個別電極のランド部を覆うようにFPC等の配線部材が配置された状態で、ランド部に配線部材の接点部が接続されているため、配線部材に外力が作用した場合にはこの配線部材が剥がれやすく、個別電極と配線部材の間の電気的接続の信頼性は低い。
また、特許文献3に記載のインクジェットヘッドにおいても同様に、インクジェットヘッドの圧力室を高密度に配置する場合には、フレキシブル配線基板の配線パターンを高密度に形成する必要があるため、フレキシブル配線基板のコストが高くなる。さらに、インクジェットヘッドとフレキシブル配線基板とは、対応するインクジェットヘッドの各ヘッド端子とフレキシブル配線基板の各ランド端子との間においてのみ接続されているので、フレキシブル配線基板に外力が作用したときに剥がれやすいという問題がある。
一方、特許文献2に記載のインクジェットヘッドでは、複数の駆動電極から複数の配線が配線領域へ引き出されており、駆動装置(配線基板)と駆動電極とがこれら複数の配線を介して接続されていることから、FPCを用いた前述の構成と比べるとその電気的接続の信頼性は高い。しかし、圧力室の数が少ない場合には、変位領域に配置された複数の駆動電極から夫々延びる複数の配線を配線領域のみに配置することは容易であるが、多数の圧力室が高密度に配置される場合には、低誘電層が形成されていない変位領域にも一部の配線を配置せざるを得なくなる。そして、このときには、変位領域において、電圧が印加された配線に直接接する圧電層に余分な静電容量が生じる。
本発明の目的は、圧電層に駆動電圧を印加するための電気的接続構造の簡略化とその電気的接続の信頼性向上の両方を実現可能で、さらに、駆動電圧の印加時における余分な静電容量の発生をも抑制できる圧電アクチュエータ及びその製造方法、並びに圧電アクチュエータを用いた液体移送装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットの一表面に設けられて、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる液体移送装置の圧電アクチュエータであって、前記複数の圧力室を覆う振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記各圧力室に対応して形成された配線部とを備え、前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填されている圧電アクチュエータが提供される。
本発明の第1の態様の圧電アクチュエータでは、絶縁層を貫通し、例えば圧電層の上面まで達する第1貫通孔の内部に充填された導電性材料と、この導電性材料に駆動電圧を供給する駆動装置とが、平坦な絶縁層の表面に形成された複数の配線部を介して接続されることから、駆動装置から駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、さらに、FPC等の配線部材を省略することも可能になる。絶縁層と圧電層との間には空隙がなく、絶縁層は圧電層に密着して形成されているので、例えば絶縁層と圧電層とを引き離す力などに対する絶縁層の機械的強度は非常に大きい。そのため、絶縁層の表面に形成された複数の配線部は、FPC等の配線部材と比べて外力に対する機械的強度が大きい。従って、複数の個別電極の表面に平面的に配置された、FPC等の配線部材を介して駆動装置と個別電極とが接続されている場合に比べて、その機械的接続及び電気的接続の信頼性が高くなる。さらに、配線部と共通電極との間に挟まれる圧電層に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。また、圧電層が絶縁層により保護されているため、製造段階において圧電層が損傷しにくい。尚、本発明は振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様をも含む。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記配線部は、対応する前記圧力室と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記圧力室の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料は、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面まで達していてもよい。この場合には、例えば、圧電層の圧力室と反対側の面と絶縁層との間に個別電極が存在しない場合であっても、その代わりに、第1貫通孔内に充填された導電性材料が圧電層の圧力室と反対側の面まで達することにより、個別電極の役割を果たすことができる。つまり、絶縁層を貫通し、圧電層の上面まで延びる第1貫通孔に充填された導電性材料に、配線部から駆動電圧が印加されたときに、この導電性材料と共通電極との間の圧電層に電界が作用して圧電層が変形し、圧力室内の液体に圧力が印加される。この場合には、これらの効果に加えて、さらに、製造段階において、圧電層の圧力室と反対側の面に複数の圧力室に夫々対応する電極(個別電極)を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、さらに、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面と、前記絶縁層との間に、前記圧力室に対応する個別電極を備え、前記配線部は、対応する前記個別電極と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記個別電極の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料により前記配線部と前記個別電極とが接続していてもよい。この場合、複数の個別電極に対して選択的に駆動電圧が印加されると、個別電極と共通電極との間の圧電層に電界が作用して圧電層が変形し、この圧電層の変形に伴って、駆動電圧が供給された個別電極に対応する圧力室の容積が変化して圧力室内の液体に圧力が印加される。
ここで、圧電層及び複数の個別電極の表面(圧力室と反対側の面)に絶縁層が全面的に形成され、この絶縁層の表面に複数の配線部が形成されている。そして、各個別電極とそれに対応する配線部が、絶縁層に形成された貫通孔内の導電性材料により接続されている。従って、駆動電圧を供給する駆動装置と複数の個別電極とが、平坦な絶縁層の表面に形成された複数の配線部を介して接続されることから、駆動装置と個別電極との間の電気的接続構造が簡単なものになり、さらに、FPC等の配線部材を省略することも可能になる。また、複数の個別電極の表面に平面的に配置されたFPC等の配線部材を介して、駆動装置と個別電極とが接続されている場合に比べて、その電気的接続の信頼性が高くなる。
さらに、個別電極に接続された配線部と圧電層との間には絶縁層が介在しているため、配線部と共通電極との間の圧電層の部分に余分な静電容量(寄生容量)が発生するのを抑制することができる。そのため、圧電アクチュエータの駆動効率が向上させ、駆動装置のコストを低減させることも可能になる。さらに、この余分な静電容量に起因して圧電層の分極特性が低下するのを防止できる。また、圧電層は一般的に靭性が低いことから、製造段階において圧電層に外力や衝撃等が作用すると圧電層が損傷しやすい。しかしながら、本発明では、圧電層が絶縁層に覆われて保護されており、圧電層に作用する外力や衝撃等が絶縁層により緩和される。そのため、製造段階で圧電層が損傷しにくくなり、製造工程における歩留まりが向上する。尚、本発明は、振動板と共通電極とが別部材で構成されている態様だけでなく、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様をも含む。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記各配線部は対応する前記圧力室と対向する端部を有し、前記端部は前記配線部の他の部分よりも幅広に形成されており、第1貫通孔は、前記絶縁層の、幅広の前記端部と対向する領域に複数形成されていてもよい。このように、配線部の端部が幅広に形成されて、この幅広の端部と対向する領域に複数の第1貫通孔が形成されている場合には、これら複数の第1貫通孔内に夫々充填された導電性材料により、圧力室と対向する圧電層の所望の領域に対して確実に電圧を印加することができる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記絶縁層の、前記圧力室と対向し且つ前記配線部とは対向しない領域に、第2貫通孔が形成されていてもよい。圧電層を保護する絶縁層は、圧電層の変形時にその変形を阻害するように作用する。しかし、本発明においては、絶縁層には、前述の第1貫通孔に加えて、さらに、配線部と対向しない領域に第2貫通孔が形成されており、その分、絶縁層が変形しやすくなっていることから、この絶縁層により圧電層の変形が阻害されにくい。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記導電性材料の弾性率は、前記絶縁層の弾性率よりも小さくてもよい。この場合には、第1貫通孔内に充填された導電性材料の方が絶縁層よりも変形しやすい。つまり、絶縁層に複数の貫通孔が形成され、それらの内部に導電性材料が充填されることによって、絶縁層が変形しやすくなるため、この絶縁層により圧電層の変形が阻害されにくくなる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の配線部と接続された駆動装置が配置されていてもよい。この場合、圧電層に接して電圧を印加する本発明の個別電極及び導電性材料と駆動装置とが、複数の配線部のみで接続されているため、FPC等の配線部材が不要になり、製造コストの面で有利である。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記駆動装置と前記共通電極が、前記圧電層と前記絶縁層とに跨ってこれらの積層方向に延びる導通部を介して接続されていてもよい。従って、圧電層に電圧を印加するための複数の配線部が平坦な絶縁層の表面に形成されているのに加えて、さらに、駆動装置と共通電極とを接続する導通部も絶縁層の表面まで引き出されて、絶縁層の表面において配線部及び導通部と、駆動装置とが接続されている。そのため、駆動装置から圧電層に電圧を印加するための電気的接続構造が、FPC等の配線部材を介して接続される場合と比べて簡単なものになり、その接続の信頼性も高くなる。
本発明の第2の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、前記流路ユニットの一表面に設けられて、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電アクチュエータとを備え、
前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室を覆う振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記圧力室に対応して形成された配線部とを有し、前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填されている液体移送装置が提供される。
本発明の液体移送装置によれば、例えば、圧電層の表面まで達する導線性材料を有する場合には、その導電性材料に駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、その電気的接続の信頼性も高くなる。あるいは、例えば、個別電極を有する場合には、その個別電極に対して駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、その電気的接続の信頼性も高くなる。また、配線部と共通電極との間に挟まれる圧電層に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。さらに、圧電層が絶縁層により保護されているため、製造段階において圧電層が損傷しにくい。これらに加えて、個別電極を形成しない場合には、圧電層の圧力室と反対側の面に複数の圧力室に夫々対応する電極を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。尚、本発明は、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様を含む。
本発明の第3の態様に従えば、前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記絶縁層を全面的に形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層の前記圧力室に対向する領域に、第1貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、第1貫通孔に、前記導電性材料を前記圧電層に達するように充填する充填工程と、前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記導電性材料に接続される前記配線部を形成する配線部形成工程とを含む圧電アクチュエータの製造方法が提供される。この製造方法によれば、種々の効果を奏する本発明の圧電アクチュエータを得ることができる。
本発明の圧電アクチュエータの製造方法において、前記充填工程と前記配線部形成工程とを同時に行ってもよい。この製造方法によれば、第1貫通孔に導電性材料を充填しつつ配線部を形成することができるため、製造工程を簡素化することができる。
本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、液体移送装置として、ノズルから記録用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。まず、インクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル式のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ102等を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面のインク吐出面に形成されたノズル20(図4参照)の出射口から記録用紙Pに対してインクを噴射する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により前方(紙送り方向)へ排出される。
次に、インクジェットヘッド1について図2〜図7を参照して詳細に説明する。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド1は、圧力室14を含む個別インク流路21(図4参照)が複数形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に配置された圧電アクチュエータ3とを備えている。
まず、流路ユニット2について説明する。図4、図6に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができる。また、ノズルプレート13は、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2〜図4、図6に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14が形成されており、これら複数の圧力室14は、後述の振動板30側(図4、図6の上方)へ開口している。また、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート11の、平面視で圧力室14の長手方向両端部と重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向(図2の上下方向)に延びるマニホールド17が形成されている。また、図2〜図4に示すように、マニホールド17は、平面視で、左側に配列された圧力室14の左半分、及び、右側に配列された圧力室14の右半分と夫々重なるように配置されている。そして、このマニホールド17は、後述の振動板30に形成されたインク供給口18が接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給口18を介してインクが供給される。また、マニホールドプレート12の、平面視で複数の圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、夫々、複数の連通孔16に連なる複数の連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13の、平面視で複数の連通孔19に夫々重なる位置には、複数のノズル20が夫々形成されている。これらのノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
そして、図4に示すように、マニホールド17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、この圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路21が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図2〜図6に示すように、圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の上面に配置された振動板30と、この振動板30の上面(圧力室14と反対側の面)に形成された圧電層31と、この圧電層31の上面に複数の圧力室14に夫々対応して形成された複数の個別電極32とを備えている。
振動板30は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金からなる。この振動板30は、キャビティプレート10の上面に複数の圧力室14を覆うように配設され、キャビティプレート10の上面に接合されている。また、金属製の振動板30は導電性を有しており、この振動板30と個別電極32との間に挟まれた圧電層31に電界を作用させる共通電極を兼ねている。
振動板30の上面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層31が配置されている。図2〜図6に示すように、この圧電層31は振動板30の上面において、複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている。
圧電層31の上面には、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32が形成されている。これら複数の個別電極32は、平面視で、対応する圧力室14の中央部に重なる位置に夫々形成されている。また、個別電極32は金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタン等の導電性材料からなる。
また、図2〜図6に示すように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面には、絶縁層33が全面的に形成されている。この絶縁層33は、アルミナやジルコニア等のセラミックス材料、あるいは、ポリイミド等の合成樹脂材料等の、絶縁性を有する材料からなる。尚、この絶縁層33の誘電率は、圧電層31の誘電率よりも十分に低い。
この絶縁層33の上面には、複数の個別電極32の連通孔15側の端部(インクジェットヘッド1の幅方向外側の端部)と対向する領域から夫々延びる複数の配線部35が形成されている。また、絶縁層33の、個別電極32の端部と配線部35の端部の両方と対向する領域には貫通孔33aが形成されている。さらに、図4、図5に示すように、この貫通孔33a内には導電性材料36が充填されており、この導電性材料36により、絶縁層33の下側に位置する個別電極32と絶縁層33の上側に位置する配線部35とが導通している。
図2に示すように、絶縁層33の、複数の圧力室14と対向する領域よりも上側(紙送り方向の上流側)の領域にはドライバIC37が配置されている。そして、複数の個別電極32と導電性材料36を介して接続された複数の配線部35は、平坦な絶縁層33の上面において、それぞれ図2における上側へ延びてドライバIC37に接続されている。また、絶縁層33の上面には、ドライバIC37に接続された複数の端子38(例えば、4つ)も形成されており、これら複数の端子38を介して、ドライバIC37と、このドライバIC37を制御するインクジェットプリンタ100の制御装置(図示省略)とが接続されている。そして、制御装置からの指令に基づいて、ドライバIC37から、絶縁層33の上面の配線部35と貫通孔33a内の導電性材料36を介して個別電極32に対して駆動電圧が供給される。
また、図2、図7に示すように、絶縁層33には、ドライバIC37の近傍位置にも貫通孔33bが形成されており、さらに、その下の圧電層31にはこの貫通孔33bに連なる貫通孔31aが形成されている。そして、これら2つの貫通孔33b,31aには導電性材料39(導通部)が充填されており、この導電性材料39は、絶縁層33の上面から圧電層31と絶縁層33とに跨ってそれらの積層方向に延びて、共通電極としての振動板30の上面まで達している。さらに、この導電性材料39は、絶縁層33の上面に形成された配線部40を介してドライバIC37に接続されている。従って、振動板30は、導電性材料39と配線部40を介してドライバIC37に接続されているため、振動板30の電位は、このドライバIC37を介して常にグランド電位に保持されている。
次に、圧電アクチュエータ3のインク吐出動作時における作用について説明する。複数の個別電極32に対してドライバIC37から選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電圧が供給された圧電層31上側の個別電極32の電位とグランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の電位とが異なる状態となり、個別電極32と振動板30の間に挟まれた圧電層31の部分に上下方向の電界が生じる。このとき、圧電層31がその分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。この圧電層31の収縮に伴って振動板30が圧力室14側に凸となるように変形するため、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクの液滴が吐出される。
ここで、前述したように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面には絶縁層33が全面的に形成され、この絶縁層33の上面には個別電極32に対応する配線部35と、共通電極を兼ねる振動板30に対応する配線部40とが形成されている(図2参照)。そして、図4、図7に示すように、個別電極32と配線部35は、絶縁層33に形成された貫通孔33a内の導電性材料36により接続され、振動板30と配線部40も、絶縁層33及び圧電層31にそれぞれ形成された貫通孔33b,31a内の導電性材料39により接続されている。さらに、ドライバIC37も絶縁層33の上面に配置されており、配線部35,40と接続されている。従って、ドライバIC37と、複数の個別電極32及び共通電極としての振動板30とを、細かな配線パターンが形成されたFPC等の配線部材を用いることなく、平坦な絶縁層33の上面に形成された複数の配線部35,40を介して接続することができる。そのため、複数の配線部35,40の電気的接続構造を簡略化でき、製造コスト面で有利である。また、複数の個別電極32の表面に平面的に配置された、FPC等の配線部材を介して、ドライバIC37と、個別電極32及び振動板30とが接続される場合(例えば、前述した特許文献1参照)に比べて、電気的接続の信頼性が高くなる。
また、複数の配線部35と圧電層31との間に、圧電層31よりも誘電率の低い絶縁層33が介在している。この絶縁層により、駆動電圧が付与された配線部35と、振動板30との間の圧電層31の部分に、余分な静電容量が発生するのが抑制される。従って、放電による損失が抑えられることから、圧電アクチュエータ3の駆動効率が向上し、ドライバIC37のコストを低減することも可能になる。さらに、この余分な静電容量に起因して圧電層31の分極特性が低下するのを極力防止できる。
また、PZTなどの圧電セラミックス材料からなる圧電層31は一般的に靭性が低いことから、例えば、インクジェットヘッド1の製造段階において圧電層31に外力や衝撃等が作用したときに、圧電層31に亀裂や割れなどの損傷が発生しやすい。しかし、この第1実施形態の圧電アクチュエータ3では、圧電層31が絶縁層33に覆われて保護されているため、圧電層31に作用する外力や衝撃等が絶縁層33により緩和されて、圧電層31が損傷しにくくなり、製造段階における歩留まりも向上する。
次に、この圧電アクチュエータ3の製造方法について図8を参照して説明する。まず、図8(a)に示すように、振動板30の一表面に圧電層31を形成する。ここで、この圧電層31は、例えば、非常に小さな圧電材料の粒子を基板に吹き付けて高速で衝突させ、基板に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成することができる。あるいは、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などにより形成することもできる。また、PZTのグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板30に貼り付けることにより圧電層31を形成することも可能である。
次に、図8(b)に示すように、圧電層31の上面に、スクリーン印刷などにより複数の個別電極32を形成する。さらに、図8(c)に示すように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面に絶縁層33を全面的に形成する。ここで、例えば、絶縁層33をアルミナやジルコニア等のセラミックス材料により形成する場合には、AD法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などの方法を用いることができる。また、絶縁層33をポリイミド等の合成樹脂材料により形成する場合には、スクリーン印刷、スピンコート、あるいは、ブレード塗布等の方法を用いることができる。
次に、図8(d)に示すように、レーザー加工などにより、絶縁層33に、個別電極32用の複数の貫通孔33aを形成する。尚、図8には図示していないが、このとき同時に、振動板30(共通電極)用の貫通孔33bとこれに連なる圧電層31の貫通孔31a(図7参照)も同時に形成する。この場合、貫通孔33aを形成するときよりも、レーザーの出力を大きくするか、又は、レーザーの照射時間を長くする。さらに、図8(e)に示すように、液滴吐出法やスクリーン印刷などの方法により、貫通孔33aに導電性材料36を充填し、且つ、貫通孔33b,31aに導電性材料39を充填する(図7参照)。さらに、図8(d)に示すように、絶縁層33の上面にスクリーン印刷などにより個別電極32の接続用の配線部35と振動板30の接続用の配線部40(図7参照)を形成する。このとき、複数の個別電極32に対応する複数の配線部35と、振動板30(共通電極)に対応する配線部40とを、平坦な絶縁層33の上面に一度に形成することができるため、配線部35,40の形成を容易に行える。
尚、図8(d)のように絶縁層33に貫通孔33a,33bを形成した後に、スクリーン印刷などの方法により、貫通孔33a,33b内に導電性材料36,39を充填させながら、これら導電性材料36,39と同じ材料で絶縁層33の上面に配線部35,40を形成してもよい。この場合には、導電性材料36,39の充填と配線部35,40の形成を同時に行うことができるため、製造工程を簡素化することができ、製造コスト面で有利である。
次に、前記第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
前記第1実施形態では、絶縁層33の上面のドライバIC37に接続された配線部40と共通電極としての振動板30とが、貫通孔33b,31a内の導電性材料39により接続されているが(図7参照)、図9に示すように、絶縁層33及び圧電層31の側面に、これら絶縁層33と圧電層31とに跨ってそれらの積層方向に延びる配線部51(導通部)が形成され、この配線部51により、絶縁層33の上面の配線部50と振動板30とが接続されていてもよい。尚、この配線部51は、例えば、絶縁層33及び圧電層31の側面に導電性ペーストを塗布することにより形成することができる。
<第2変更形態>
振動板30の上面が共通電極を兼ねている必要は必ずしもなく、図10に示すように、共通電極34が振動板30とは別に設けられていてもよい。但し、振動板30が金属板である場合には、共通電極34が形成される振動板30の上面に、絶縁材料層が形成されるなどして、振動板30の上面が絶縁性を備えている必要がある。振動板30がシリコン材料からなる場合には、振動板30の上面に酸化処理を施して絶縁性を有するようにしてもよい。また、振動板30が、セラミックス材料、あるいは、合成樹脂材料等の絶縁材料からなる場合には、振動板30の上面に直接共通電極34が形成される。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。図11、図12に示すように、第2実施形態のインクジェットヘッド61は、複数の圧力室14が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の一表面に配置された圧電アクチュエータ63とを備えている。流路ユニット2は前記第1実施形態と同じものであり、その説明は省略する。
圧電アクチュエータ63は、圧力室14に対向する個別電極32(図4参照)が省略されている点で、前記第1実施形態の圧電アクチュエータ3とは異なる。図11〜図13に示すように、この圧電アクチュエータ63は、複数の圧力室14を覆い、共通電極を兼ねる金属製の振動板30と、この振動板30の上面に複数の圧力室14に跨って連続的に配置された圧電層31とを有する。圧電層31の上面には前記第1実施形態における個別電極32(図4参照)は形成されていない。その一方で、圧電層31の上面には、前記第1実施形態と同様に、セラミックス材料や合成樹脂材料等の絶縁材料からなる絶縁層73が形成されている。また、この絶縁層73の上面には、その端部75aにおいて複数の圧力室14と夫々対向する複数の配線部75が形成されている。ここで、図11に示すように、各配線部75の端部75aは、圧力室14よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有し、この配線部75の他の部分よりも幅広に形成されている。
また、絶縁層73の、各配線部75の幅広の端部75aと対向する領域(圧力室14と配線部75の両方と対向する領域)には、複数の貫通孔73a(第1貫通孔)が形成されている。さらに、これら複数の貫通孔73aには、それぞれ、配線部75と接続された導電性材料76が圧電層31の上面まで達するように充填されている。つまり、複数の貫通孔73a内に充填された導電性材料76が圧電層31の上面に接しており、これらの導電性材料76が、圧電層31に電圧を印加する前記第1実施形態の個別電極32の役割を果たしている。即ち、前記第1実施形態と同様の構成を有するドライバIC37(図2参照)から配線部75を介して複数の導電性材料76に駆動電圧が印加されると、これら導電性材料76と共通電極としての振動板30との間の圧電層31の部分に電界が生じて、圧電層31が変形する。
この第2実施形態の圧電アクチュエータ63によれば、前記第1実施形態の圧電アクチュエータ3と同様に、複数の貫通孔73a内で圧電層31に接する導電性材料76と、これらの導電性材料76に駆動電圧を供給するドライバIC37とを、平坦な絶縁層73の表面に形成された複数の配線部75を介して接続することができることから、FPC等の配線部材を省略することが可能になり、電気的接続の信頼性も高くなる。また、配線部75と共通電極としての振動板30との間に挟まれる圧電層31に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。さらに、圧電層31が絶縁層73により保護されているため、その製造段階において圧電層31が損傷しにくい。
また、絶縁層73の上面の配線部75の、圧力室14と対向する端部75aが幅広に形成され、さらに、この幅広の端部75aと対向する領域に複数の貫通孔73aが形成されているため、これら複数の貫通孔73a内に夫々充填された導電性材料76により、圧力室14と対向する圧電層31の所望の領域に対して確実に電圧を印加することができる。
尚、圧電層31を保護する絶縁層73は、圧電層31の変形時にはその変形を阻害するように作用するため、圧電層31の上面に絶縁層73を設けることにより、圧電アクチュエータ63の駆動効率は多少低下する。しかし、この第2実施形態では、絶縁層73に複数の貫通孔73aが形成されており、さらに、これら複数の貫通孔73aに充填された導電性材料76の弾性率(例えば、エポキシ系導電性接着剤:4GPa)は、絶縁層73の弾性率(例えば、アルミナ:300GPa、ポリイミド:6GPa)よりも小さくなっている。即ち、貫通孔73a内に充填された導電性材料76の方が絶縁層73よりも変形しやすい材料である。従って、絶縁層73に複数の貫通孔73aが形成され、それらの内部に導電性材料76が充填されることによって、貫通孔73a及び導電性材料76がない場合よりも絶縁層73が変形しやすくなるため、絶縁層73により圧電層31の変形が阻害されにくくなる。
次に、圧電アクチュエータ63の製造方法について図14を参照して説明する。まず、図14(a)に示すように、振動板30の一表面に圧電層31を形成する。ここで、この圧電層31は、AD法、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などにより形成することができる。あるいは、PZTのグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板30に貼り付けることにより圧電層31を形成することも可能である。
次に、図14(b)に示すように、圧電層31の上面に絶縁層73を全面的に形成する(絶縁層形成工程)。ここで、例えば、絶縁層73をアルミナやジルコニア等のセラミックス材料により形成する場合には、AD法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などの方法を用いることができる。また、絶縁層73をポリイミド等の合成樹脂材料により形成する場合には、スクリーン印刷、スピンコート、あるいは、ブレード塗布の方法を用いることができる。
そして、図14(c)に示すように、レーザー加工などにより、絶縁層73に、複数の貫通孔73aを形成する(貫通孔形成工程)。そして、図14(d)に示すように、液滴吐出法やスクリーン印刷などの方法により、複数の貫通孔73aに、導電性材料76を圧電層31の上面まで達するように充填する(充填工程)。さらに、図14(e)に示すように、絶縁層73の上面に、スクリーン印刷などにより幅広の端部75aを有する配線部75を形成する(配線部形成工程)。
この第2実施形態においては、前記第1実施形態と同様に、配線部形成工程において、複数の圧力室14に夫々対応する複数の配線部75を、平坦な絶縁層73の上面に一度に形成することができるため、これら配線部75の形成を容易に行える。これに加えて、圧電層31の圧力室14と反対側の面に、複数の圧力室14に夫々対応する個別電極を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。
尚、この第2実施形態においても、図14(c)のように絶縁層73に貫通孔73aを形成した後に、スクリーン印刷などの方法により、貫通孔73a内に導電性材料76を充填しつつ、導電性材料76と同じ材料で絶縁層73の上面に配線部75を形成してもよい。この場合には、導電性材料76の充填と配線部75の形成を同時に行うことができるため、製造工程を簡素化することができ、製造コスト面で有利である。
次に、前記第2実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第2実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
前記第2実施形態では、絶縁層73の、配線部75の幅広の端部75aと対向する領域にのみ複数の貫通孔73a(第1貫通孔)が形成されているが、図15、図16に示すように、絶縁層73Aの、圧力室14と対向するが配線部75とは対向しない領域にも、複数の貫通孔73b(第2貫通孔)が形成されていてもよい。このように、配線部75と対向しない領域にも複数の貫通孔73bが形成されることにより、絶縁層73Aがさらに変形しやすくなり、この絶縁層73Aにより圧電層31の変形が阻害されにくくなる。尚、当然ながら、配線部75と対向する領域に形成された貫通孔73aとは異なり、配線部75と対向しない領域に形成された複数の貫通孔73bには導電性材料76は充填されない。
<第2変更形態>
図17、図18に示すように、絶縁層73Bの、配線部75の幅広の端部75aと対向する領域に、この端部75aの面積に略等しい開口面積を有する大径の貫通孔73cが1つ形成され、この大径の貫通孔73cに導電性材料76Bが充填されていてもよい。この場合には、前記第2実施形態よりも導電性材料76Bと圧電層31との接触面積が広くなるため、圧電層31に対してさらに確実に電圧を印加することができる。
<第3変更形態>
また、この第2実施形態に対しても、前述した前記第1実施形態に対する変更(ドライバIC37と振動板30の導通部が絶縁層及び圧電層の側面に形成された形態(図9参照)や、共通電極34が振動板30とは別に設けられた形態(図10参照))と同様の変更を加えることが可能である。
以上、本発明をインクジェットヘッドに適用した形態について第1実施形態及び第2実施形態を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な形態は、これら第1実施形態及び第2実施形態に限られるものではない。例えば、インク以外の液体を移送する種々の液体移送装置に本発明を適用することも可能である。
図1は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 図2はインクジェットヘッドの平面図である。 図3は図2の一部拡大図である。 図4は図3のIV-IV線断面図である。 図5は図4の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。 図6は図3のVI-VI線断面図である。 図7は図2のVII-VII線断面図である。 図8は第1実施形態の圧電アクチュエータの製造工程を示す図であり、図8(a)は圧電層形成工程、図8(b)は個別電極形成工程、図8(c)は絶縁層形成工程、図8(d)は貫通孔形成工程、図8(e)は導電性材料の充填工程、図8(f)は配線部形成工程をそれぞれ示す。 図9は第1実施形態の変更形態に係る図7相当の断面図である。 図10は第1実施形態の別の変更形態に係る図4相当の断面図である。 図11は第2実施形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 図12は図11のXII-XII線断面図である。 図13は図12の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。 図14は第2実施形態の圧電アクチュエータの製造工程を示す図であり、図14(a)は圧電層形成工程、図14(b)は絶縁層形成工程、図14(c)は貫通孔形成工程、図14(d)は導電性材料の充填工程、図14(e)は配線部形成工程をそれぞれ示す。 図15は第2実施形態の変更形態に係る図11相当の一部拡大平面図である。 図16は図15のXVI-XVI線断面図である。 図17は第2実施形態の別の変更形態に係る図11相当の一部拡大平面図である。 図18は図17のXVIII-XVIII線断面図である。
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
14 圧力室
30 振動板
31 圧電層
32 個別電極
33 絶縁層
33a 貫通孔
34 共通電極
35 配線部
36 導電性材料
39 導電性材料(導電部)
51 配線部(導電部)
61 インクジェットヘッド
63 圧電アクチュエータ
73,73A,73B 絶縁層
73a 貫通孔(第1貫通孔)
73b 貫通孔(第2貫通孔)
73c 貫通孔75 配線部
75a 端部
76,76B 導電性材料
本発明は、液体を移送する液体移送装置の圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータを備えた液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法に関する。
液体に圧力を付与して移送する液体移送装置として、記録用紙などの被記録媒体にインクを吐出するインクジェットヘッドがある。このようなインクジェットヘッドには、それぞれがノズルに連通した複数の圧力室を備えた流路ユニットの一表面に配置され、複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電式のアクチュエータを備えたものがある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
特許文献1(US2004/119790A1号)に記載されたインクジェットヘッドの圧電アクチュエータは、複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層(圧電シート)と、圧電層の表面に複数の圧力室に夫々対応して形成された複数の個別電極と、これら複数の個別電極との間で圧電層を挟む共通電極を備えている。複数の個別電極の表面には、それぞれ複数のランド部が形成されており、これら複数のランド部に、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)の接点部が電気的に接続されている。そして、FPCを介して、駆動装置(ドライバIC)から複数の個別電極に対して選択的に駆動電圧が印加される。
また、特許文献2(米国特許番号5,754,205号、5,922,218号)に記載されたインクジェットヘッドにおいては、複数の圧力室(加圧室)に跨って連続的に配置された圧電層(圧電性膜)の表面に複数の駆動電極(上部駆動電極及び下部駆動電極)が形成され、これら複数の駆動電極からは夫々配線が延びている。複数の配線は、圧電層表面の、駆動電極が配置された変位領域に隣接する配線領域において、所定の一方向に引き出されて配線基板に接続されている。ここで、駆動電極に電圧が印加されるときに、配線と駆動電極の間に挟まれる圧電層との間に余分な静電容量(寄生容量)が発生することを防ぐために、配線領域において、圧電層と複数の配線の間には低誘電層が設けられている。
また、特許文献3(US2004/0060969 A1号)に記載されたインクジェットヘッドにおいては、可撓性を有する帯状の絶縁体と、インクジェットヘッドの複数のヘッド端子に対応して絶縁体の一方の面上に列設された複数の端子ランドと、絶縁体の端子ランドが列設された面上で各端子ランドに独立に配線された複数の導線とを備えるフレキシブル配線基板が、インクジェットの複数のヘッド端子に接続されている。絶縁体の各端子ランドの位置にはそれぞれ、絶縁体を貫通する貫通孔が形成されており、これらの貫通孔を通じて、各端子ランドは絶縁体の他方の面に露出している。絶縁体に形成された貫通孔内に半田等の導電性材料を充填し、フレキシブル配線基板の端子ランドとインクジェットヘッドのヘッド端子とを対向させて位置決めした後、貫通孔内の導電性材料により端子ランドとヘッド端子とを接続する。このとき、各貫通孔内の導電性材料と、隣接する端子ランド及び端子ランドに配線された導線とは、絶縁体を介して隔離されているため、これらが短絡する恐れがない。
米国公開公報US2004/119790A1号(特開2004−136668号公報) 米国特許番号5,754,205号、5,922,218号(特開平9−156099号公報) 米国公開公報US2004/0060969 A1号
ところで、近年、印刷画質の向上とインクジェットヘッドの小型化の両方の要求を満足させるために、複数の圧力室をより高密度に配置する試みがなされているが、複数の圧力室を高密度に配置しようとすると、複数の個別電極も高密度に配置する必要がある。しかし、特許文献1に記載されたインクジェットヘッドのように、FPC等の配線部材を介して駆動装置から個別電極に駆動電圧を供給するように構成されている場合には、複数の個別電極のランド部に接続される配線部材の配線パターンを高密度に形成する必要があるため、配線部材のコストが高くなる。また、平面的に配置された複数の個別電極のランド部を覆うようにFPC等の配線部材が配置された状態で、ランド部に配線部材の接点部が接続されているため、配線部材に外力が作用した場合にはこの配線部材が剥がれやすく、個別電極と配線部材の間の電気的接続の信頼性は低い。
また、特許文献3に記載のインクジェットヘッドにおいても同様に、インクジェットヘッドの圧力室を高密度に配置する場合には、フレキシブル配線基板の配線パターンを高密度に形成する必要があるため、フレキシブル配線基板のコストが高くなる。さらに、インクジェットヘッドとフレキシブル配線基板とは、対応するインクジェットヘッドの各ヘッド端子とフレキシブル配線基板の各ランド端子との間においてのみ接続されているので、フレキシブル配線基板に外力が作用したときに剥がれやすいという問題がある。
一方、特許文献2に記載のインクジェットヘッドでは、複数の駆動電極から複数の配線が配線領域へ引き出されており、駆動装置(配線基板)と駆動電極とがこれら複数の配線を介して接続されていることから、FPCを用いた前述の構成と比べるとその電気的接続の信頼性は高い。しかし、圧力室の数が少ない場合には、変位領域に配置された複数の駆動電極から夫々延びる複数の配線を配線領域のみに配置することは容易であるが、多数の圧力室が高密度に配置される場合には、低誘電層が形成されていない変位領域にも一部の配線を配置せざるを得なくなる。そして、このときには、変位領域において、電圧が印加された配線に直接接する圧電層に余分な静電容量が生じる。
本発明の目的は、圧電層に駆動電圧を印加するための電気的接続構造の簡略化とその電気的接続の信頼性向上の両方を実現可能で、さらに、駆動電圧の印加時における余分な静電容量の発生をも抑制できる圧電アクチュエータ及びその製造方法、並びに圧電アクチュエータを用いた液体移送装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットの一表面に設けられて、制御装置からの指令に基づき供給される駆動電圧に応じて前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる液体移送装置の圧電アクチュエータであって、前記複数の圧力室を覆う振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記圧力室に対応して形成されて前記駆動電圧を供給するための配線部と、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に形成され、前記制御装置と電気的に接続される端子と、を備え、前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填され、前記配線部は、前記絶縁層上の平坦な領域にわたって形成されている圧電アクチュエータが提供される。
本発明の第1の態様の圧電アクチュエータでは、絶縁層を貫通し、例えば圧電層の上面まで達する第1貫通孔の内部に充填された導電性材料と、この導電性材料に駆動電圧を供給する駆動装置とが、平坦な絶縁層の表面に形成された複数の配線部を介して接続されることから、駆動装置から駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、さらに、FPC等の配線部材を省略することも可能になる。絶縁層と圧電層との間には空隙がなく、絶縁層は圧電層に密着して形成されているので、例えば絶縁層と圧電層とを引き離す力などに対する絶縁層の機械的強度は非常に大きい。そのため、絶縁層の表面に形成された複数の配線部は、FPC等の配線部材と比べて外力に対する機械的強度が大きい。従って、複数の個別電極の表面に平面的に配置された、FPC等の配線部材を介して駆動装置と個別電極とが接続されている場合に比べて、その機械的接続及び電気的接続の信頼性が高くなる。さらに、配線部と共通電極との間に挟まれる圧電層に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。また、圧電層が絶縁層により保護されているため、製造段階において圧電層が損傷しにくい。尚、本発明は振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様をも含む。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記配線部は、対応する前記圧力室と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記圧力室の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料は、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面まで達していてもよい。この場合には、例えば、圧電層の圧力室と反対側の面と絶縁層との間に個別電極が存在しない場合であっても、その代わりに、第1貫通孔内に充填された導電性材料が圧電層の圧力室と反対側の面まで達することにより、個別電極の役割を果たすことができる。つまり、絶縁層を貫通し、圧電層の上面まで延びる第1貫通孔に充填された導電性材料に、配線部から駆動電圧が印加されたときに、この導電性材料と共通電極との間の圧電層に電界が作用して圧電層が変形し、圧力室内の液体に圧力が印加される。この場合には、これらの効果に加えて、さらに、製造段階において、圧電層の圧力室と反対側の面に複数の圧力室に夫々対応する電極(個別電極)を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、さらに、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面と、前記絶縁層との間に、前記圧力室に対応する個別電極を備え、前記配線部は、対応する前記個別電極と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記個別電極の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料により前記配線部と前記個別電極とが接続していてもよい。この場合、複数の個別電極に対して選択的に駆動電圧が印加されると、個別電極と共通電極との間の圧電層に電界が作用して圧電層が変形し、この圧電層の変形に伴って、駆動電圧が供給された個別電極に対応する圧力室の容積が変化して圧力室内の液体に圧力が印加される。
ここで、圧電層及び複数の個別電極の表面(圧力室と反対側の面)に絶縁層が全面的に形成され、この絶縁層の表面に複数の配線部が形成されている。そして、各個別電極とそれに対応する配線部が、絶縁層に形成された貫通孔内の導電性材料により接続されている。従って、駆動電圧を供給する駆動装置と複数の個別電極とが、平坦な絶縁層の表面に形成された複数の配線部を介して接続されることから、駆動装置と個別電極との間の電気的接続構造が簡単なものになり、さらに、FPC等の配線部材を省略することも可能になる。また、複数の個別電極の表面に平面的に配置されたFPC等の配線部材を介して、駆動装置と個別電極とが接続されている場合に比べて、その電気的接続の信頼性が高くなる。
さらに、個別電極に接続された配線部と圧電層との間には絶縁層が介在しているため、配線部と共通電極との間の圧電層の部分に余分な静電容量(寄生容量)が発生するのを抑制することができる。そのため、圧電アクチュエータの駆動効率が向上させ、駆動装置のコストを低減させることも可能になる。さらに、この余分な静電容量に起因して圧電層の分極特性が低下するのを防止できる。また、圧電層は一般的に靭性が低いことから、製造段階において圧電層に外力や衝撃等が作用すると圧電層が損傷しやすい。しかしながら、本発明では、圧電層が絶縁層に覆われて保護されており、圧電層に作用する外力や衝撃等が絶縁層により緩和される。そのため、製造段階で圧電層が損傷しにくくなり、製造工程における歩留まりが向上する。尚、本発明は、振動板と共通電極とが別部材で構成されている態様だけでなく、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様をも含む。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記各配線部は対応する前記圧力室と対向する端部を有し、前記端部は前記配線部の他の部分よりも幅広に形成されており、第1貫通孔は、前記絶縁層の、幅広の前記端部と対向する領域に複数形成されていてもよい。このように、配線部の端部が幅広に形成されて、この幅広の端部と対向する領域に複数の第1貫通孔が形成されている場合には、これら複数の第1貫通孔内に夫々充填された導電性材料により、圧力室と対向する圧電層の所望の領域に対して確実に電圧を印加することができる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記絶縁層の、前記圧力室と対向し且つ前記配線部とは対向しない領域に、第2貫通孔が形成されていてもよい。圧電層を保護する絶縁層は、圧電層の変形時にその変形を阻害するように作用する。しかし、本発明においては、絶縁層には、前述の第1貫通孔に加えて、さらに、配線部と対向しない領域に第2貫通孔が形成されており、その分、絶縁層が変形しやすくなっていることから、この絶縁層により圧電層の変形が阻害されにくい。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記導電性材料の弾性率は、前記絶縁層の弾性率よりも小さくてもよい。この場合には、第1貫通孔内に充填された導電性材料の方が絶縁層よりも変形しやすい。つまり、絶縁層に複数の貫通孔が形成され、それらの内部に導電性材料が充填されることによって、絶縁層が変形しやすくなるため、この絶縁層により圧電層の変形が阻害されにくくなる。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の配線部と接続された駆動装置が配置されていてもよい。この場合、圧電層に接して電圧を印加する本発明の個別電極及び導電性材料と駆動装置とが、複数の配線部のみで接続されているため、FPC等の配線部材が不要になり、製造コストの面で有利である。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記駆動装置と前記共通電極が、前記圧電層と前記絶縁層とに跨ってこれらの積層方向に延びる導通部を介して接続されていてもよい。従って、圧電層に電圧を印加するための複数の配線部が平坦な絶縁層の表面に形成されているのに加えて、さらに、駆動装置と共通電極とを接続する導通部も絶縁層の表面まで引き出されて、絶縁層の表面において配線部及び導通部と、駆動装置とが接続されている。そのため、駆動装置から圧電層に電圧を印加するための電気的接続構造が、FPC等の配線部材を介して接続される場合と比べて簡単なものになり、その接続の信頼性も高くなる。
本発明の第2の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、前記流路ユニットの一表面に設けられて、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電アクチュエータとを備え、
前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室を覆う振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記圧力室に対応して形成された配線部とを有し、前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填されている液体移送装置が提供される。
本発明の液体移送装置によれば、例えば、圧電層の表面まで達する導線性材料を有する場合には、その導電性材料に駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、その電気的接続の信頼性も高くなる。あるいは、例えば、個別電極を有する場合には、その個別電極に対して駆動電圧を供給するための電気的接続構造が簡単になり、その電気的接続の信頼性も高くなる。また、配線部と共通電極との間に挟まれる圧電層に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。さらに、圧電層が絶縁層により保護されているため、製造段階において圧電層が損傷しにくい。これらに加えて、個別電極を形成しない場合には、圧電層の圧力室と反対側の面に複数の圧力室に夫々対応する電極を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。尚、本発明は、振動板が導電性を有し、この振動板の圧力室と反対側の面が共通電極の表面を兼ねている態様を含む。
本発明の第3の態様に従えば、前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記絶縁層を全面的に形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層の前記圧力室に対向する領域に、第1貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、第1貫通孔に、前記導電性材料を前記圧電層に達するように充填する充填工程と、前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記導電性材料に接続される前記配線部を形成する配線部形成工程とを含む圧電アクチュエータの製造方法が提供される。この製造方法によれば、種々の効果を奏する本発明の圧電アクチュエータを得ることができる。
本発明の圧電アクチュエータの製造方法において、前記充填工程と前記配線部形成工程とを同時に行ってもよい。この製造方法によれば、第1貫通孔に導電性材料を充填しつつ配線部を形成することができるため、製造工程を簡素化することができる。
本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、液体移送装置として、ノズルから記録用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。まず、インクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル式のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ102等を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面のインク吐出面に形成されたノズル20(図4参照)の出射口から記録用紙Pに対してインクを噴射する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により前方(紙送り方向)へ排出される。
次に、インクジェットヘッド1について図2〜図7を参照して詳細に説明する。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド1は、圧力室14を含む個別インク流路21(図4参照)が複数形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に配置された圧電アクチュエータ3とを備えている。
まず、流路ユニット2について説明する。図4、図6に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができる。また、ノズルプレート13は、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2〜図4、図6に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14が形成されており、これら複数の圧力室14は、後述の振動板30側(図4、図6の上方)へ開口している。また、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート11の、平面視で圧力室14の長手方向両端部と重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向(図2の上下方向)に延びるマニホールド17が形成されている。また、図2〜図4に示すように、マニホールド17は、平面視で、左側に配列された圧力室14の左半分、及び、右側に配列された圧力室14の右半分と夫々重なるように配置されている。そして、このマニホールド17は、後述の振動板30に形成されたインク供給口18が接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給口18を介してインクが供給される。また、マニホールドプレート12の、平面視で複数の圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、夫々、複数の連通孔16に連なる複数の連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13の、平面視で複数の連通孔19に夫々重なる位置には、複数のノズル20が夫々形成されている。これらのノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
そして、図4に示すように、マニホールド17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、この圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路21が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図2〜図6に示すように、圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の上面に配置された振動板30と、この振動板30の上面(圧力室14と反対側の面)に形成された圧電層31と、この圧電層31の上面に複数の圧力室14に夫々対応して形成された複数の個別電極32とを備えている。
振動板30は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金からなる。この振動板30は、キャビティプレート10の上面に複数の圧力室14を覆うように配設され、キャビティプレート10の上面に接合されている。また、金属製の振動板30は導電性を有しており、この振動板30と個別電極32との間に挟まれた圧電層31に電界を作用させる共通電極を兼ねている。
振動板30の上面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層31が配置されている。図2〜図6に示すように、この圧電層31は振動板30の上面において、複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている。
圧電層31の上面には、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32が形成されている。これら複数の個別電極32は、平面視で、対応する圧力室14の中央部に重なる位置に夫々形成されている。また、個別電極32は金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタン等の導電性材料からなる。
また、図2〜図6に示すように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面には、絶縁層33が全面的に形成されている。この絶縁層33は、アルミナやジルコニア等のセラミックス材料、あるいは、ポリイミド等の合成樹脂材料等の、絶縁性を有する材料からなる。尚、この絶縁層33の誘電率は、圧電層31の誘電率よりも十分に低い。
この絶縁層33の上面には、複数の個別電極32の連通孔15側の端部(インクジェットヘッド1の幅方向外側の端部)と対向する領域から夫々延びる複数の配線部35が形成されている。また、絶縁層33の、個別電極32の端部と配線部35の端部の両方と対向する領域には貫通孔33aが形成されている。さらに、図4、図5に示すように、この貫通孔33a内には導電性材料36が充填されており、この導電性材料36により、絶縁層33の下側に位置する個別電極32と絶縁層33の上側に位置する配線部35とが導通している。
図2に示すように、絶縁層33の、複数の圧力室14と対向する領域よりも上側(紙送り方向の上流側)の領域にはドライバIC37が配置されている。そして、複数の個別電極32と導電性材料36を介して接続された複数の配線部35は、平坦な絶縁層33の上面において、それぞれ図2における上側へ延びてドライバIC37に接続されている。また、絶縁層33の上面には、ドライバIC37に接続された複数の端子38(例えば、4つ)も形成されており、これら複数の端子38を介して、ドライバIC37と、このドライバIC37を制御するインクジェットプリンタ100の制御装置(図示省略)とが接続されている。そして、制御装置からの指令に基づいて、ドライバIC37から、絶縁層33の上面の配線部35と貫通孔33a内の導電性材料36を介して個別電極32に対して駆動電圧が供給される。
また、図2、図7に示すように、絶縁層33には、ドライバIC37の近傍位置にも貫通孔33bが形成されており、さらに、その下の圧電層31にはこの貫通孔33bに連なる貫通孔31aが形成されている。そして、これら2つの貫通孔33b,31aには導電性材料39(導通部)が充填されており、この導電性材料39は、絶縁層33の上面から圧電層31と絶縁層33とに跨ってそれらの積層方向に延びて、共通電極としての振動板30の上面まで達している。さらに、この導電性材料39は、絶縁層33の上面に形成された配線部40を介してドライバIC37に接続されている。従って、振動板30は、導電性材料39と配線部40を介してドライバIC37に接続されているため、振動板30の電位は、このドライバIC37を介して常にグランド電位に保持されている。
次に、圧電アクチュエータ3のインク吐出動作時における作用について説明する。複数の個別電極32に対してドライバIC37から選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電圧が供給された圧電層31上側の個別電極32の電位とグランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の電位とが異なる状態となり、個別電極32と振動板30の間に挟まれた圧電層31の部分に上下方向の電界が生じる。このとき、圧電層31がその分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。この圧電層31の収縮に伴って振動板30が圧力室14側に凸となるように変形するため、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクの液滴が吐出される。
ここで、前述したように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面には絶縁層33が全面的に形成され、この絶縁層33の上面には個別電極32に対応する配線部35と、共通電極を兼ねる振動板30に対応する配線部40とが形成されている(図2参照)。そして、図4、図7に示すように、個別電極32と配線部35は、絶縁層33に形成された貫通孔33a内の導電性材料36により接続され、振動板30と配線部40も、絶縁層33及び圧電層31にそれぞれ形成された貫通孔33b,31a内の導電性材料39により接続されている。さらに、ドライバIC37も絶縁層33の上面に配置されており、配線部35,40と接続されている。従って、ドライバIC37と、複数の個別電極32及び共通電極としての振動板30とを、細かな配線パターンが形成されたFPC等の配線部材を用いることなく、平坦な絶縁層33の上面に形成された複数の配線部35,40を介して接続することができる。そのため、複数の配線部35,40の電気的接続構造を簡略化でき、製造コスト面で有利である。また、複数の個別電極32の表面に平面的に配置された、FPC等の配線部材を介して、ドライバIC37と、個別電極32及び振動板30とが接続される場合(例えば、前述した特許文献1参照)に比べて、電気的接続の信頼性が高くなる。
また、複数の配線部35と圧電層31との間に、圧電層31よりも誘電率の低い絶縁層33が介在している。この絶縁層により、駆動電圧が付与された配線部35と、振動板30との間の圧電層31の部分に、余分な静電容量が発生するのが抑制される。従って、放電による損失が抑えられることから、圧電アクチュエータ3の駆動効率が向上し、ドライバIC37のコストを低減することも可能になる。さらに、この余分な静電容量に起因して圧電層31の分極特性が低下するのを極力防止できる。
また、PZTなどの圧電セラミックス材料からなる圧電層31は一般的に靭性が低いことから、例えば、インクジェットヘッド1の製造段階において圧電層31に外力や衝撃等が作用したときに、圧電層31に亀裂や割れなどの損傷が発生しやすい。しかし、この第1実施形態の圧電アクチュエータ3では、圧電層31が絶縁層33に覆われて保護されているため、圧電層31に作用する外力や衝撃等が絶縁層33により緩和されて、圧電層31が損傷しにくくなり、製造段階における歩留まりも向上する。
次に、この圧電アクチュエータ3の製造方法について図8を参照して説明する。まず、図8(a)に示すように、振動板30の一表面に圧電層31を形成する。ここで、この圧電層31は、例えば、非常に小さな圧電材料の粒子を基板に吹き付けて高速で衝突させ、基板に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成することができる。あるいは、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などにより形成することもできる。また、PZTのグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板30に貼り付けることにより圧電層31を形成することも可能である。
次に、図8(b)に示すように、圧電層31の上面に、スクリーン印刷などにより複数の個別電極32を形成する。さらに、図8(c)に示すように、圧電層31及び複数の個別電極32の上面に絶縁層33を全面的に形成する。ここで、例えば、絶縁層33をアルミナやジルコニア等のセラミックス材料により形成する場合には、AD法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などの方法を用いることができる。また、絶縁層33をポリイミド等の合成樹脂材料により形成する場合には、スクリーン印刷、スピンコート、あるいは、ブレード塗布等の方法を用いることができる。
次に、図8(d)に示すように、レーザー加工などにより、絶縁層33に、個別電極32用の複数の貫通孔33aを形成する。尚、図8には図示していないが、このとき同時に、振動板30(共通電極)用の貫通孔33bとこれに連なる圧電層31の貫通孔31a(図7参照)も同時に形成する。この場合、貫通孔33aを形成するときよりも、レーザーの出力を大きくするか、又は、レーザーの照射時間を長くする。さらに、図8(e)に示すように、液滴吐出法やスクリーン印刷などの方法により、貫通孔33aに導電性材料36を充填し、且つ、貫通孔33b,31aに導電性材料39を充填する(図7参照)。さらに、図8(d)に示すように、絶縁層33の上面にスクリーン印刷などにより個別電極32の接続用の配線部35と振動板30の接続用の配線部40(図7参照)を形成する。このとき、複数の個別電極32に対応する複数の配線部35と、振動板30(共通電極)に対応する配線部40とを、平坦な絶縁層33の上面に一度に形成することができるため、配線部35,40の形成を容易に行える。
尚、図8(d)のように絶縁層33に貫通孔33a,33bを形成した後に、スクリーン印刷などの方法により、貫通孔33a,33b内に導電性材料36,39を充填させながら、これら導電性材料36,39と同じ材料で絶縁層33の上面に配線部35,40を形成してもよい。この場合には、導電性材料36,39の充填と配線部35,40の形成を同時に行うことができるため、製造工程を簡素化することができ、製造コスト面で有利である。
次に、前記第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
前記第1実施形態では、絶縁層33の上面のドライバIC37に接続された配線部40と共通電極としての振動板30とが、貫通孔33b,31a内の導電性材料39により接続されているが(図7参照)、図9に示すように、絶縁層33及び圧電層31の側面に、これら絶縁層33と圧電層31とに跨ってそれらの積層方向に延びる配線部51(導通部)が形成され、この配線部51により、絶縁層33の上面の配線部50と振動板30とが接続されていてもよい。尚、この配線部51は、例えば、絶縁層33及び圧電層31の側面に導電性ペーストを塗布することにより形成することができる。
<第2変更形態>
振動板30の上面が共通電極を兼ねている必要は必ずしもなく、図10に示すように、共通電極34が振動板30とは別に設けられていてもよい。但し、振動板30が金属板である場合には、共通電極34が形成される振動板30の上面に、絶縁材料層が形成されるなどして、振動板30の上面が絶縁性を備えている必要がある。振動板30がシリコン材料からなる場合には、振動板30の上面に酸化処理を施して絶縁性を有するようにしてもよい。また、振動板30が、セラミックス材料、あるいは、合成樹脂材料等の絶縁材料からなる場合には、振動板30の上面に直接共通電極34が形成される。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。図11、図12に示すように、第2実施形態のインクジェットヘッド61は、複数の圧力室14が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の一表面に配置された圧電アクチュエータ63とを備えている。流路ユニット2は前記第1実施形態と同じものであり、その説明は省略する。
圧電アクチュエータ63は、圧力室14に対向する個別電極32(図4参照)が省略されている点で、前記第1実施形態の圧電アクチュエータ3とは異なる。図11〜図13に示すように、この圧電アクチュエータ63は、複数の圧力室14を覆い、共通電極を兼ねる金属製の振動板30と、この振動板30の上面に複数の圧力室14に跨って連続的に配置された圧電層31とを有する。圧電層31の上面には前記第1実施形態における個別電極32(図4参照)は形成されていない。その一方で、圧電層31の上面には、前記第1実施形態と同様に、セラミックス材料や合成樹脂材料等の絶縁材料からなる絶縁層73が形成されている。また、この絶縁層73の上面には、その端部75aにおいて複数の圧力室14と夫々対向する複数の配線部75が形成されている。ここで、図11に示すように、各配線部75の端部75aは、圧力室14よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有し、この配線部75の他の部分よりも幅広に形成されている。
また、絶縁層73の、各配線部75の幅広の端部75aと対向する領域(圧力室14と配線部75の両方と対向する領域)には、複数の貫通孔73a(第1貫通孔)が形成されている。さらに、これら複数の貫通孔73aには、それぞれ、配線部75と接続された導電性材料76が圧電層31の上面まで達するように充填されている。つまり、複数の貫通孔73a内に充填された導電性材料76が圧電層31の上面に接しており、これらの導電性材料76が、圧電層31に電圧を印加する前記第1実施形態の個別電極32の役割を果たしている。即ち、前記第1実施形態と同様の構成を有するドライバIC37(図2参照)から配線部75を介して複数の導電性材料76に駆動電圧が印加されると、これら導電性材料76と共通電極としての振動板30との間の圧電層31の部分に電界が生じて、圧電層31が変形する。
この第2実施形態の圧電アクチュエータ63によれば、前記第1実施形態の圧電アクチュエータ3と同様に、複数の貫通孔73a内で圧電層31に接する導電性材料76と、これらの導電性材料76に駆動電圧を供給するドライバIC37とを、平坦な絶縁層73の表面に形成された複数の配線部75を介して接続することができることから、FPC等の配線部材を省略することが可能になり、電気的接続の信頼性も高くなる。また、配線部75と共通電極としての振動板30との間に挟まれる圧電層31に余分な静電容量が生じるのを抑制することができる。さらに、圧電層31が絶縁層73により保護されているため、その製造段階において圧電層31が損傷しにくい。
また、絶縁層73の上面の配線部75の、圧力室14と対向する端部75aが幅広に形成され、さらに、この幅広の端部75aと対向する領域に複数の貫通孔73aが形成されているため、これら複数の貫通孔73a内に夫々充填された導電性材料76により、圧力室14と対向する圧電層31の所望の領域に対して確実に電圧を印加することができる。
尚、圧電層31を保護する絶縁層73は、圧電層31の変形時にはその変形を阻害するように作用するため、圧電層31の上面に絶縁層73を設けることにより、圧電アクチュエータ63の駆動効率は多少低下する。しかし、この第2実施形態では、絶縁層73に複数の貫通孔73aが形成されており、さらに、これら複数の貫通孔73aに充填された導電性材料76の弾性率(例えば、エポキシ系導電性接着剤:4GPa)は、絶縁層73の弾性率(例えば、アルミナ:300GPa、ポリイミド:6GPa)よりも小さくなっている。即ち、貫通孔73a内に充填された導電性材料76の方が絶縁層73よりも変形しやすい材料である。従って、絶縁層73に複数の貫通孔73aが形成され、それらの内部に導電性材料76が充填されることによって、貫通孔73a及び導電性材料76がない場合よりも絶縁層73が変形しやすくなるため、絶縁層73により圧電層31の変形が阻害されにくくなる。
次に、圧電アクチュエータ63の製造方法について図14を参照して説明する。まず、図14(a)に示すように、振動板30の一表面に圧電層31を形成する。ここで、この圧電層31は、AD法、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などにより形成することができる。あるいは、PZTのグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板30に貼り付けることにより圧電層31を形成することも可能である。
次に、図14(b)に示すように、圧電層31の上面に絶縁層73を全面的に形成する(絶縁層形成工程)。ここで、例えば、絶縁層73をアルミナやジルコニア等のセラミックス材料により形成する場合には、AD法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、溶液塗布法、あるいは、水熱合成法などの方法を用いることができる。また、絶縁層73をポリイミド等の合成樹脂材料により形成する場合には、スクリーン印刷、スピンコート、あるいは、ブレード塗布の方法を用いることができる。
そして、図14(c)に示すように、レーザー加工などにより、絶縁層73に、複数の貫通孔73aを形成する(貫通孔形成工程)。そして、図14(d)に示すように、液滴吐出法やスクリーン印刷などの方法により、複数の貫通孔73aに、導電性材料76を圧電層31の上面まで達するように充填する(充填工程)。さらに、図14(e)に示すように、絶縁層73の上面に、スクリーン印刷などにより幅広の端部75aを有する配線部75を形成する(配線部形成工程)。
この第2実施形態においては、前記第1実施形態と同様に、配線部形成工程において、複数の圧力室14に夫々対応する複数の配線部75を、平坦な絶縁層73の上面に一度に形成することができるため、これら配線部75の形成を容易に行える。これに加えて、圧電層31の圧力室14と反対側の面に、複数の圧力室14に夫々対応する個別電極を形成する工程が不要になることから、製造工程を簡略化できるという効果も得られる。
尚、この第2実施形態においても、図14(c)のように絶縁層73に貫通孔73aを形成した後に、スクリーン印刷などの方法により、貫通孔73a内に導電性材料76を充填しつつ、導電性材料76と同じ材料で絶縁層73の上面に配線部75を形成してもよい。この場合には、導電性材料76の充填と配線部75の形成を同時に行うことができるため、製造工程を簡素化することができ、製造コスト面で有利である。
次に、前記第2実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第2実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
前記第2実施形態では、絶縁層73の、配線部75の幅広の端部75aと対向する領域にのみ複数の貫通孔73a(第1貫通孔)が形成されているが、図15、図16に示すように、絶縁層73Aの、圧力室14と対向するが配線部75とは対向しない領域にも、複数の貫通孔73b(第2貫通孔)が形成されていてもよい。このように、配線部75と対向しない領域にも複数の貫通孔73bが形成されることにより、絶縁層73Aがさらに変形しやすくなり、この絶縁層73Aにより圧電層31の変形が阻害されにくくなる。尚、当然ながら、配線部75と対向する領域に形成された貫通孔73aとは異なり、配線部75と対向しない領域に形成された複数の貫通孔73bには導電性材料76は充填されない。
<第2変更形態>
図17、図18に示すように、絶縁層73Bの、配線部75の幅広の端部75aと対向する領域に、この端部75aの面積に略等しい開口面積を有する大径の貫通孔73cが1つ形成され、この大径の貫通孔73cに導電性材料76Bが充填されていてもよい。この場合には、前記第2実施形態よりも導電性材料76Bと圧電層31との接触面積が広くなるため、圧電層31に対してさらに確実に電圧を印加することができる。
<第3変更形態>
また、この第2実施形態に対しても、前述した前記第1実施形態に対する変更(ドライバIC37と振動板30の導通部が絶縁層及び圧電層の側面に形成された形態(図9参照)や、共通電極34が振動板30とは別に設けられた形態(図10参照))と同様の変更を加えることが可能である。
以上、本発明をインクジェットヘッドに適用した形態について第1実施形態及び第2実施形態を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な形態は、これら第1実施形態及び第2実施形態に限られるものではない。例えば、インク以外の液体を移送する種々の液体移送装置に本発明を適用することも可能である。
図1は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 図2はインクジェットヘッドの平面図である。 図3は図2の一部拡大図である。 図4は図3のIV-IV線断面図である。 図5は図4の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。 図6は図3のVI-VI線断面図である。 図7は図2のVII-VII線断面図である。 図8は第1実施形態の圧電アクチュエータの製造工程を示す図であり、図8(a)は圧電層形成工程、図8(b)は個別電極形成工程、図8(c)は絶縁層形成工程、図8(d)は貫通孔形成工程、図8(e)は導電性材料の充填工程、図8(f)は配線部形成工程をそれぞれ示す。 図9は第1実施形態の変更形態に係る図7相当の断面図である。 図10は第1実施形態の別の変更形態に係る図4相当の断面図である。 図11は第2実施形態のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 図12は図11のXII-XII線断面図である。 図13は図12の一点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。 図14は第2実施形態の圧電アクチュエータの製造工程を示す図であり、図14(a)は圧電層形成工程、図14(b)は絶縁層形成工程、図14(c)は貫通孔形成工程、図14(d)は導電性材料の充填工程、図14(e)は配線部形成工程をそれぞれ示す。 図15は第2実施形態の変更形態に係る図11相当の一部拡大平面図である。 図16は図15のXVI-XVI線断面図である。 図17は第2実施形態の別の変更形態に係る図11相当の一部拡大平面図である。 図18は図17のXVIII-XVIII線断面図である。
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
14 圧力室
30 振動板
31 圧電層
32 個別電極
33 絶縁層
33a 貫通孔
34 共通電極
35 配線部
36 導電性材料
39 導電性材料(導電部)
51 配線部(導電部)
61 インクジェットヘッド
63 圧電アクチュエータ
73,73A,73B 絶縁層
73a 貫通孔(第1貫通孔)
73b 貫通孔(第2貫通孔)
73c 貫通孔75 配線部
75a 端部
76,76B 導電性材料

Claims (18)

  1. 平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットの一表面に設けられて、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる液体移送装置の圧電アクチュエータであって、
    前記複数の圧力室を覆う振動板と、
    前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、
    前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、
    前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記圧力室に対応して形成された配線部とを備え、
    前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、
    第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記配線部は、対応する前記圧力室と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記圧力室の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料は、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面まで達していることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. さらに、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面と、前記絶縁層との間に、前記圧力室に対応する個別電極を備え、前記配線部は、対応する前記個別電極と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記個別電極の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料により前記配線部と前記個別電極とが接続していることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記配線部は対応する前記圧力室と対向する端部を有し、前記端部は前記配線部の他の部分よりも幅広に形成されており、第1貫通孔は、前記絶縁層の、幅広の前記端部と対向する領域に複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記絶縁層の、前記圧力室と対向し且つ前記配線部とは対向しない領域に、第2貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記導電性材料の弾性率は、前記絶縁層の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の配線部と接続された駆動装置が配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の圧電アクチュエータ。
  8. 前記駆動装置と前記共通電極が、前記圧電層と前記絶縁層とに跨ってこれらの積層方向に延びる導通部を介して接続されていることを特徴とする請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
  9. 平面に沿って配置された複数の圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、前記流路ユニットの一表面に設けられて、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電アクチュエータとを備え、
    前記圧電アクチュエータは、
    前記複数の圧力室を覆う振動板と、
    前記振動板の前記圧力室と反対側の面に形成された共通電極と、
    前記共通電極の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の圧力室に跨って連続的に配置された圧電層と、
    前記圧電層の前記圧力室と反対側の面に全面的に形成された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記圧力室に対応して形成された配線部とを有し、
    前記絶縁層の、前記配線部と対向する領域には、第1貫通孔が形成され、
    第1貫通孔には、前記配線部に接続された導電性材料が充填されていることを特徴とする液体移送装置。
  10. 前記配線部は、対応する前記圧力室と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記圧力室の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料は、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面まで達していることを特徴とする請求項9に記載の液体移送装置。
  11. 前記圧電アクチュエータは、さらに、前記圧電層の前記圧力室と反対側の面と、前記絶縁層との間に、前記圧力室に対応する個別電極を備え、前記配線部は、対応する前記個別電極と少なくとも一部が対向し、第1貫通孔は、前記絶縁層の、前記配線部と前記個別電極の両方と対向する領域に形成され、第1貫通孔に充填された前記導電性材料により前記配線部と前記個別電極とが接続していることを特徴とする請求項9に記載の液体移送装置。
  12. 前記配線部は対応する前記圧力室と対向する端部を有し、前記端部は前記配線部の他の部分よりも幅広に形成されており、第1貫通孔は、前記絶縁層の、幅広の前記端部と対向する領域に複数形成されていることを特徴とする請求項10に記載の液体移送装置。
  13. 前記絶縁層の、前記圧力室と対向し且つ前記配線部とは対向しない領域に、第2貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の液体移送装置。
  14. 前記導電性材料の弾性率は、前記絶縁層の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の液体移送装置
  15. 前記絶縁層の前記圧力室と反対側の面に、前記複数の配線部と接続された駆動装置が配置されていることを特徴とする請求項10〜14に記載の液体移送装置。
  16. 前記駆動装置と前記共通電極が、前記圧電層と前記絶縁層とに跨ってこれらの積層方向に延びる導通部を介して接続されていることを特徴とする請求項15に記載の液体移送装置。
  17. 請求項2に記載の圧電アクチュエータを製造する方法であって、
    前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記絶縁層を全面的に形成する絶縁層形成工程と、
    前記絶縁層の前記圧力室に対向する領域に、第1貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    第1貫通孔に、前記導電性材料を前記圧電層に達するように充填する充填工程と、
    前記圧電層の前記振動板と反対側の面に、前記導電性材料に接続される前記配線部を形成する配線部形成工程と、
    を備えることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  18. 前記充填工程と前記配線部形成工程とを同時に行うことを特徴とする請求項17に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
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