JPH09327912A - 記録ヘッド - Google Patents

記録ヘッド

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JPH09327912A
JPH09327912A JP17296696A JP17296696A JPH09327912A JP H09327912 A JPH09327912 A JP H09327912A JP 17296696 A JP17296696 A JP 17296696A JP 17296696 A JP17296696 A JP 17296696A JP H09327912 A JPH09327912 A JP H09327912A
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recording
recording head
ink
nozzle
head
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JP17296696A
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Toru Miyabori
透 宮堀
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Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 層構成あるいは構成部品の少ないインクジェ
ット記録ヘッドの構成にかかわる。 【解決手段】 インク滴を射出するための複数のノズル
と、該ノズルのそれぞれに配備された加圧室と、該加圧
室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該加圧室
にインクを供給する各ノズルに共通のインク室と、前記
振動板に対向し、前記加圧室,前記流路,前記流体抵抗
部,前記共通インク室を前記インク供給口と前記ノズル
孔を除いて密閉するヘッド筺体部とからなる、ヘッド筺
体部は射出成形,モールド成形もしくは押し出し成形に
より作製されるPET,PE,PC,フッ素樹脂などの
高分子プラスチックからなり、それ以外のノズル用溝,
加圧室,流路,流体抵抗部,インク室,振動板等は、一
枚の接合部の無いSi単結晶基板で構成されている。構
成部品をヘッド筺体部とSi基板との2点のみとし、簡
易な構造とし、組み付け精度等の向上を図ったものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式の記録ヘッドに関し、特に、層構成あるいは構成部品
の少ないインクジェット記録ヘッドの構成にかかわる。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来の加圧オンデマンドマル
チヘッドのインクジェット記録ヘッドの一例を説明する
ための要部構成図で、図10(A)は断面図、図10
(B)はその上面図を示し、図中、1は上板、2は電歪
アクチュエータ、3はインク供給路、4はインク供給側
流路、5はインク加圧室、6は基板、7は流路、8はノ
ズル、9は共通液室、10はインク供給孔で、この加圧
オンデマンドマルチヘッドは、電歪アクチュエータ2に
より液室(インク加圧室)5を加圧してノズル8よりイ
ンクを射出して記録媒体11に記録するものである。
【0003】一般に、圧力パルス方式と呼ばれる、電歪
アクチュエータあるいは発熱素子によりインクに圧力パ
ルスを印加してインク粒子を射出する方式には、円筒状
電歪素子2aを用いる振動子円筒型(ZoltanあるいはGo
uld式、図11(A))、平板型電歪素子2bを用いる
振動子平板型(サイクロニクス方式、図11(B))、
平板型電歪素子2cを用いるステメ型(Stemme式、図1
1(C))、および、ヒータ12を用いてインクを加熱
してバブル13を発生し、該バブル13によってインク
を加圧,噴射する加熱気化型(バブルジェット方式、、
図11(D))等が考案されている。この他、固定イン
ク(スーパージェット)方式,電気浸透方式,スプレー
ガン方式,メカニカルシャッター方式をはじめ、多数の
方式が提案・試作されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、振動板を含む圧
力発生部材、及びインク流路形成部材を積層構造により
構成して振動板の変位方向に平行にノズル開口を設けて
小型化を図ったインクジェット記録ヘッドが提案されて
いる(特開昭62−111758号公報)。しかし、積
層する構成部材が多くなればなるほど製造工程は簡素化
されず、さらに各部材の平面度を含む精度や、各板材の
接着に起因する位置ずれ、接着剤の流れ込みによる流路
抵抗の変動等による機能の不全や信頼性の低下を招くこ
とになる。
【0005】また、上記のような問題を解消するため
に、半固化状態のセラミックス板(グリーンシート)を
所要の形状に加工して、流路部材と圧電振動子または電
歪アクチュエータを形成し、これらを積層して焼成する
ことにより、電歪アクチュエータの取り付け作業を不要
としたインクジェット記録ヘッドが提案されている(特
開昭63−149159号公報及び特開平6−2342
18号公報)。しかし、セラミックス板の焼成時に発生
するセラミックスの体積収縮により高精度・高集積度の
記録ヘッドには適用の限界があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の記録ヘ
ッドは、記録体(インク)の流路の一部が振動部材によ
り構成された流路構成体と、該振動体を駆動するための
第1の電極及び第2の電極と、該第1の電極と第2の電
極の対向した間隙に形成された誘電物質とからなり、前
記2つの電極間に電圧を印加した時にこれら電極の間隙
に存在する前記誘電物質の起こす体積膨張による振動板
の変位を用いる電歪アクチュエータの動作原理を用い、
前記流路の可変容積に起因する流路内部の圧力増加によ
り、前記記録体に運動エネルギーを与えて射出し、該記
録媒体を記録媒体に付着させ、記録する記録ヘッドにお
いて、インク滴を射出するための複数のノズルと、該ノ
ズルのそれぞれに配備された加圧室と、該加圧室の少な
くとも一方の壁を構成する振動板と、前記加圧室にイン
クを供給する各ノズルに共通のインク室と、前記振動板
に対向し、前記加圧室,前記流路,前記流体抵抗部,前
記共通インク室をインク供給口と前記ノズル孔を除いて
密閉するヘッド筺体部とからなり、該ヘッド筺体部は射
出成形,モールド成形もしくは押し出し成形により作製
されるPET,PE,PC,フッ素樹脂などの高分子プ
ラスチックからなり、それ以外のノズル用溝,加圧室,
流路,流体抵抗部,インク室,振動板等は、一枚の接合
部の無いSi単結晶基板で構成されていることを特徴と
し、もって、構成部品を前記ヘッド筺体部とSi基板と
の2点のみとし、簡易な構造とし、組み付け精度等の向
上を図り、更には、振動板をSi基板のエッチングにて
作製するようにして、精度や振動板回りの構造を簡素化
したものである。
【0007】請求項2記載の記録ヘッドは、請求項1に
記載の記録ヘッドにおいて、ノズル孔をヘッド筺体部に
配備するとともに、該ヘッド筺体部により振動板の一端
を固定し、且つヘッド筺体部の両面に前記振動板を含む
Si基板からなる複数のヘッド構成部材を接合してなる
ことを特徴とし、もって、ノズル孔をSi基板ではなく
ヘッド筺体部に設け、インク加圧室下部の振動板の形成
をより容易とし、かつノズル孔の加工もをヘッド筺体の
プラスチックを加工とし、製作を時間的に短縮し、か
つ、容易にしたものである。
【0008】請求項3に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は2に記載の記録ヘッドにおいて、Si基板に配備さ
れた電歪アクチュエータ用振動板を、加圧室側に位置
し、インクと接する面をSiNx,アクチュエータ駆動
用の第1の電極に接する面をSiOxでコーティングし
たことを特徴とし、もって、SiNxやSiO2を振動
板の両面にコーティングすることにより、振動板の強
度、及び、振動板と厚みの異なる接続部の補強を可能と
したものである。
【0009】請求項4に記載の記録ヘッドは、請求項3
に記載の記録ヘッドにおいて、前記振動板を、SiOx
上に形成される第1の電極として、Pt,W,Ta,P
t/Pd高融点金属もしくはそれらの合金からなり、さ
らに、加圧室に位置し、インクに接する面のSiNx上
はAu,Pt,Mo,SUSの耐アルカリ性を有する金
属もしくはそれらの合金でコーティングされていること
を特徴とし、もって、請求項3による振動板の両面に金
属薄膜を配備することにより、電歪アクチュエータ側に
設けられたコモン電極とのバランスを取り、且つ、振動
板に粘りを持たせて補強することを可能としたものであ
る。
【0010】請求項5に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は4に記載の記録ヘッドにおいて、前記ヘッド筺体部
は、該ヘッド筺体部のインク面と接する面上で、且つS
i基板と接着されない部分が、Au,Pt,Mo,SU
Sの耐アルカリ性を有する金属、もしくはそれらの合金
でコーティングされていることを特徴とし、もって、請
求項4による記録ヘッドの振動板以外でインクと直接接
触する流路全体に同様の金属薄膜を配備することによ
り、基板および筺体とインクとの接液性を向上させるこ
とを可能としたものである。
【0011】請求項6に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は5に記載の記録ヘッドにおいて、前記Si単結晶基
板に形成された流体抵抗部の終端からノズル直前までの
容積部分を用いるインク加圧室が、その幅が流体抵抗部
終端で最も大きく、ノズル直前で最少となることを特徴
とし、もって、インク加圧室の内部形状をノズル面に近
づくほど幅を狭く、流体抵抗部に近づくほど幅を広くす
ることにより、インク滴を射出した後の内部のインク量
の変動に伴う負の圧力によるバックラッシュをより容積
の大きな空間に導くことにより単位断面積当たりの圧力
を減少させ、流体抵抗部からの次のインクの流入を滑ら
かに行うことを可能としたものである。
【0012】請求項7に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は6に記載の記録ヘッドにおいて、前記ノズルはSi
単結晶基板の水平方向で、且つ振動板の設けられる面と
対向する面に近い部分に設けられ、該ノズルは一個の該
ヘッド筺体部に2枚のSi基板を対向するように配備さ
れる時には、対向する加圧室同士が干渉しない筺体の厚
みを隔てて最近接する位置に設けられることを特徴と
し、もって、ヘッド筺体部の両面にSi基板を配備し、
ノズルの数を1列から2列に増加し、高密度高集積実装
を可能としたものである。
【0013】請求項8に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は7に記載の記録ヘッドにおいて、前記流体抵抗部は
Si基板上に加圧室からの容積変化に伴う圧力の伝達を
減少させるために、幅と高さとがインク加圧室のそれら
よりも小さく、かつその流れ方向の形状が直線部を含み
かつ屈曲部をもち、且つその屈曲部はインク粘性流のそ
の部分での渦の発生を防止するために曲率を持ったこと
を特徴とし、もって、流体抵抗部の直線部分に屈曲部を
配備し、かつ、該屈曲部の形状を十分な曲率を持つ曲線
状の溝にし、該屈曲部での渦や乱流の発生無しに流体抵
抗を増加させることを可能とし、安定したインク滴の射
出に必要な後部流体抵抗と滑らかなインク供給を可能と
したものである。
【0014】請求項9に記載の記録ヘッドは、請求項1
又は8に記載の記録ヘッドにおいて、前記電歪アクチュ
エータを駆動するための第1,第2の電極を、Si基板
上のアクチュエータ後方からインク供給口に至る部分に
駆動ICチップのピン配列に対応して配線し、かつその
終端にパッド部を配備し、このパッド部に駆動ICチッ
プを実装したことを特徴とし、もって、ヘッドのSi基
板の電歪アクチュエータの配備された側の面にアクチュ
エータからの配線を引き回し、ICチップを配線終端の
バンプ電極に異方導電性接着剤により実装するように
し、ヘッドへの外部信号入力と接続本数を減少させ、全
体をコンパクトにすることを可能とし、製造工程上の簡
素化と信頼性を向上させるようにしたものである。
【0015】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなさ
れたもので、主に、構成部材を最少にし、かつ、高精
度,高集積度が可能なインクジェット記録ヘッドを提供
することを目的としてなされたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、記録体(インク)と該
記録体の流路を構成する流路構造の一部もしくは全体が
振動部材である第1の電極と、前記流路外に前記第1の
電極に対向して設けられた第2の電極と、および、これ
ら電極間に電圧を印加した時に前記振動部材を変位さ
せ、前記流路の容積を変化させ、この容積変化に対応す
る流路内部の圧力増加により、前記記録体に運動エネル
ギーを与えてノズルより射出し、該記録体を記録媒体に
付着させ記録すること、さらには、記録ヘッドを成形プ
ラスチックのヘッド筺体とSi単結晶基板の(100)
面に対し異方性エッチングを施すことにより得られる流
体抵抗部,インク加圧室,振動板(以下、これらをSi
基板と呼ぶ)との2層の構成部材により構成すること、
また、ヘッド筺体の両面に前記Si基板を配して、マル
チノズルの高密度化を図ること、振動板を電歪素子の焼
成時に、その高温、および、Si基板への望まない金属
原子等の混入や、弱アルカリ性インクによる侵食等から
防止するために保護層を設けること、振動板の振動によ
る劣化を防止し、板バネとして機能を増大するための金
属層を設けること、電歪アクチュエータの駆動によるイ
ンク加圧室内に発生した圧力の効率的なノズルへの伝達
のためのインク加圧室の形状を考慮すること、ヘッドの
信頼性を向上させ、かつ駆動部品の実装を容易にするた
めにヘッドのSi基板側の下面にICチップを実装する
ことを特徴としたものである。以下、本発明の実施例に
基づいて説明する。
【0017】(請求項1の発明)図1は、本発明の請求
項1による記録ヘッドの一実施例を説明するための構成
図で、図1(A)は断面図、図1(B)は上部平面図
(図1(A)のB−B線断面図)、図1(C)は下部平
面図で、図中、20はSi基板、21はプラスチックヘ
ッド筺体、22はインク供給口、23は流体抵抗部、2
4はインク加圧室、25はノズル孔、26はコモン電
極、27はデータ電極、28はPZT(電歪振動子)、
29はヘッド駆動用ICチップ、30は信号電極、31
はコネクタ(電極)、32は共通インク室、33は振動
板である。
【0018】Si単結晶基板は、高温(80℃)のKO
Hなどのアルカリ液を用いてエッチングする際に、その
結晶面方位によりエッチング速度が大きく異なることを
利用して異方性エッチングを行えることが知られてい
る。そこで、通常の半導体チップ製造用の6インチSi
ウェハを用いてヘッド用のSi基板20を作製した。ウ
ェハの厚さは500μmであったが、300μmほど裏
面を研磨し、最後に表面を鏡面研磨して、200μmに
したものを用いた。次に、ウェハの所定の位置にインク
加圧室24と共通インク室32とをアルミナペースト等
の研磨剤と研磨装置を用いて加工する。これら研磨され
た加圧室24,共通インク室32の底部や側壁は、この
時点では鏡面である必要は無く、後に薄い振動板を作製
する工程でエッチングにより表面の平滑化を行う。この
ウェハにハイドロジェネレーションでSiO2のパッシ
ベーション膜(エッチングストッパー)を全面に1μm
形成した。さらに流体抵抗部23,ノズル部25をフオ
トレジストパターン化して、フッ酸を主成分とするエッ
チング液で、異方性エッチングを実施するため、その部
分のSiO2膜を除去する。
【0019】この後、異方性エッチングを行うのでこの
段階ではフォトレジストパターンは残しておく。前記の
ように、KOHとIPA(イソプロピルアルコール)と
の混合液をエッチャントとして用い、80℃に保ったま
まウェハを投入する。Si(111)面はエッチング速
度が最も小さく、(100)面のエッチングが進行する
に連れ(111)面は平滑面を形成する。(111)面
は(100)面に対し約55゜の角度で交差しているた
め、パターン幅の小さなノズル部や流体抵抗部などは
(111)面が側壁として残留し、自動的にエッチング
がストップする。
【0020】しかし、振動板33は幅100μmと大き
いためこれを異方性エッチングするとインク加圧室24
の上面は380μmほどの初期開口部が必要となってし
まい、高集積化には適さなくなってしまう。従って、異
方性エッチングは幅の小さな流体抵抗部23とノズル部
25にのみ施すものとし、インク加圧室24や共通イン
ク室32等の大きな変形加工の必要な部分は、前記のよ
うに所定の形状より5μm程度小さく研磨しておくこと
が望ましい。ここで流体抵抗部23とノズル部25の形
成のために用いたフォトレジストパターンを除去し、さ
らにこの面(表面)全面にフォトレジストを必要な厚さ
だけ塗布し、ベークしておく。次いで、裏面に振動板の
ネガティブパターンをフォトレジストで形成する。
【0021】ここで、振動板33の厚み5μmだけ裏面
からSiウェハにB(ボロン)ドーピングを行う。これ
は先程のハイドロジェネレーションと同様であるが、水
蒸気に代えてBBr3の蒸気をN2をキャリアガスとし
てO2とともに適用する。アルカリエッチングにおい
て、高濃度のBドーパントを含むp型Si層のエッチン
グレートが非常に小さくなる事実を応用するものであ
る。振動板33の厚さを5μmとしてSi表面から5μ
mの深さでのBドーパント濃度が4〜5×10-19cm
-3となるようにドーピングすれば反対側の面からエッチ
ングしてもウェハ裏面からの厚さ5μm付近でエッチン
グが停止する、もしくは停止を制御するのに十分な時間
的余裕を工程上持つことが可能となる。
【0022】このようにして作製したSi基板20の各
部の寸法は、振動板幅100±1μm,インク加圧室幅
160μm,深さ195±0.3μm,インク室の長さ
6mm,ノズル最大径30μm,流体抵抗部最大幅40
μm,ノズルピッチ200μm,ノズル数128と加工
精度のよいマルチノズル用Si基板が得られる。一方、
ヘッド筺体21は、PET,PE,PC,テフロンTA
F等の高分子プラスチックの射出,押し出し,モールド
等の各成型法により作製される。本実施例では、PCと
PETを用いて作製した。ヘッド筺体21は、Si基板
20とエポキシ系接着剤を介して図1(B)に示される
Si基板20の表面のインク流路に相当しない部分に接
合され、ヘッド全体をノズル25とインク供給口22を
除いて密閉する。Si基板20はあらかじめ鏡面研磨さ
れているために、成型プラスチックの比較的粗い表面で
もエポキシ系接着剤を適量塗布し、表面粗さを平担化し
て接着することができる。
【0023】(請求項2の発明)また、振動板33を、
図2に示すように、Si基板20の端部の梁の厚みを持
たせずに研磨,エッチング処理を施し、前記の例と同様
に、厚さ5μmの振動板33を形成する。この場合、前
記の工法で作製されたヘッド筺体21は平板形状とは異
なり、図2に示すように、上部のヘッド閉鎖面とノズル
面を持つ。ノズル25は、ヘッド筺体21の材料である
プラスチックに機械加工、または炭酸ガスレーザーで作
製する。望ましくは、レーザー加工で、この場合、イン
ク加圧室側からレーザーを照射し、ノズル孔を形成す
る。こうしてできたノズル孔は進行方向に対し、約5゜
のデーパー状の形状となり、インクの作るメニスカスや
射出後の圧力のバックラッシュに対して有効となる。ま
た、ヘッド筺体21のノズル面下部は振動板を抱え込む
ような構造となっており、この部分で振動板と硬度のあ
るエポキシ系接着剤35を用いて接合される。振動板3
3の一端は、結果として、より強固な部材に接合される
ため、電歪アクチュエータの作動により発生する振動を
減衰する要素が減少する。
【0024】(請求項3の発明)一方、電歪アクチュエ
ータ28からの変位を効率良くインク加圧室24に満さ
れたインクに圧力波として伝達するためには、振動板3
3は振動振幅が大きく、且つ元の状態に速やかに復帰す
るものであることが望ましい。エッチングレートを減少
させるためにボロンBをドーピングしたSi振動板も十
分な振動振幅を持つ。この振動板はSi基板の一部を利
用しているために、該Si基板の厚みは振動板の開始位
置で極端に異なることになる。実施例では、200μm
のSi基板から5μmの振動板を作製するために前述の
厚さの変わる部分では195μmものステップが存在す
ることになり、長期間のインクジェットの使用中に振動
板端部の信頼性が問題となるであろうことが予測され
る。そこで電歪アクチュエータの下部コモン電極が配備
される側の面には、再度SiO2をSiをターゲット材
として酸素ガスを反応性プラズマ中に導入したスパッタ
リングにより1500Å堆積させ振動板とそれ以外の部
分の絶縁と補強を兼ねたパッシベーション膜とする。
【0025】また、SiO2膜は、後に、コモン電極上
にPZT,PLZT等のピエゾ層を焼成する際にも、1
200℃にも達する焼成プロセス温度から振動板を保護
する役割も果たす。更に、インク加圧室に面した振動板
表面にもパッシベーション膜を配備するが、インク自体
は弱アルカリ性であることが多くSiO2を用いること
はできない。このため、図3に示すように、同じスパッ
タリングで導入ガスを酸素ガスから窒素ガスに代え、S
iNx膜を1500Å堆積させる。こうしてできた振動
板33aは、両面の膜によりSi基板の厚さの急激に変
化する部分と接続されるため、その強度が増加し信頼性
が向上する。
【0026】(請求項4,5の発明)また、Bドーピン
グしたSi基板33aの振動板はSi単結晶に比して硬
度が増しているため、電歪アクチュエータの振動板のさ
らなる補強と振動板に粘りを持たせ、かつインク加圧室
内部の振動板を含む領域においては、インクとの接液性
を改善するために、図4に示すように、Au,Pt,M
o,SUS316の耐アルカリ性を有する各金属膜およ
びそれらの合金膜をスパッタ法により厚さ1250Åで
配備した。また、電歪アクチュエータのコモン電極26
として用いるPt,Pt/Pdは前述のPZT,PLZ
T等のピエゾセラミックス28の焼成のために1200
℃まて昇温することから選択され、インク加圧室内面に
配備した金属膜との硬度のバランスをとるため、同種金
属の場合は同膜厚に、異種金属の場合にはそれぞれの金
属のヤング率から異なる厚さにスパッタ法により薄膜を
堆積させリフトオフ法およびマスク法によりパターン化
した電極を形成した。
【0027】また、ピエゾセラミックスを金属アルコキ
シドを主原料とするゾルゲル法で原料を加水分解したゾ
ルを塗布しセラミック薄膜、もしくはゾルの粘度を調整
することにより厚膜とする水熱焼成法と呼ばれる製法を
用いることによりセラミックスの形成プロセス温度は4
00℃から600℃程度に低くなるため、W,Mo,T
a等の高融点金属でかつ1200℃近辺では使用が困難
な金属厚さ1000から1500Åでスパッタ法により
堆積することが可能になる(請求項4の発明に相当)。
【0028】また、インク加圧室に適用した金属薄膜に
よるコーティングを共通インク室,流体抵抗部,ノズル
孔等のインク流路全域、つまりインクに接する面全てに
施すことにより、流路の接液性が補完され、スムーズな
インクの流通が可能となる(請求項5に相当)。
【0029】(請求項6の発明)また、振動板を介して
電歪アクチュエータから伝達されるピエゾセラミックス
の容積変化に起因する圧力波を、よりノズル方向に効率
良く伝え、圧力のバックラッシュの減少を図るために、
図5に示すように、インク加圧室24内に楔型の突起3
6を設け、インク加圧室の形状を、図5に示すように変
更した記録ヘッドを検討した。図1(B)の記録ヘッド
の製法の比較的複雑なSi基板側のインク加圧室の基本
形状を図5に示すように変えてしまうと、当然振動板の
幅もこれにつれて変わることになり望ましくない。ま
た、Si基板の製造工程をさらに複雑にしてしまうこと
にもなりかねない。
【0030】そこで、ヘッド筺体部のインク加圧室の天
井を形成する部分に、図6に示すように、流体抵抗部近
傍で頂点を持ち、ノズル近傍に底面を持ち、かつインク
加圧室の深さ200μmの80%にあたる160μmの
高さを持つ楔型の突起36′をインク加圧室の底面に位
置する振動板の幅100μmから上方に延長した直方体
空間内に配備した。これにより圧力波、もしくは圧力パ
ルスはインク加圧室のさらに小さな空間に誘導され、効
率よくノズル方向にその圧力を伝える一方、インク滴を
射出した後の内部のインクの量の変動に伴うノズル方向
から見て負の圧力による圧力バックラッシュをより幅の
大きな空間に誘導することにより、単位断面積当たりの
圧力を減少させ流体抵抗部からの次のインクの流入を滑
らかに行うことが可能となる。
【0031】(請求項7の発明)このような記録ヘッド
は、ノズルの並列に並んだ水平方向への高密度実装を行
うにはクロストークの発生,物理的加工限界等の制約が
ある。このため、よりノズル数を増加しさせるには、水
平方向に長いヘッドを作製することになる。ところが、
水平方向のヘッド寸法の増加は、加工の均一性、1枚の
ウェハからの切り出し個数の減少等の不具合な点が多々
存在する。このため、前記の実施例からなるSi基板を
ヘッド筺体の両面に、図7に示すように接合した。これ
で2列のマルチノズルとなり印字密度が増大する。この
ときヘッド筺体の厚さは上下に配置したSi基板20に
設けられたインク加圧室24同士が相互に圧力波の干渉
を行わない程度に十分なものである必要がある。ヘッド
筺体の上下Si基板が相互に干渉しない厚さは採用する
ヘッド筺体の材質とインク加圧室の物理的寸法,形状に
依存する。本発明では、PETのヘッド筺体に対し1.
5mmを採用したが、より薄くすることも可能である。
【0032】また、共通インク室の至るインク供給口も
上側のSi基板にその共通インク室に至る貫通口を設
け、更に供給口と対応する位置のヘッド筺体にも同じ形
状の貫通口を設けてあるため、一個の外部インク供給口
により下側のSi基板の共通インク室にインクの供給が
可能な構造となっている。ノズルはSi基板とヘッド筺
体部との接合面から100μmの距離にあるので、上下
のノズル間の距離は1.7mmとなる。この距離はヘッ
ド筺体に用いるプラスチックの材質,インク加圧室の形
状,電歪アクチュエータの変位量等の最適化によりさら
に近接させることが可能である。
【0033】(請求項8の発明)流体抵抗部23は、前
記の実施例等では直線的なインク加圧室の幅に比して小
さく浅い溝状の流路となっている。この流体抵抗部23
の幅と深さを制御しても十分な流体抵抗は得られるが作
製プロセスでの精度,工程時間に大きな影響を与える。
特に、溝の深さの制御をSi単結晶基板の(100)面
と(111)面との異方性エッチングに依存している例
では溝の幅と深さとは相互に関連し、前述のSi単結晶
の2つの面が55゜で交差していることを考慮すると、
深い溝を作製するには広い幅の流路であることが避けが
たく、狭い流路を作製しようとすれば溝の深さも減少し
てしまう。流路の直線の長さを増加させる手段も考えら
れるが、ヘッド全体の物理的寸法の増加を引き起こす。
本来流体抵抗部23は、電歪アクチュエータ33の作動
により圧力波がノズル方向に効率良く伝達され、射出後
のインク供給に極力影響を与えないように設計されるべ
きである。通常、粘性流は角をつけてその方向を変化さ
せると、流線が滑らかに曲がれないための渦の発生、更
には乱流を起こし流体抵抗を大きくする。
【0034】しかし、このような流体抵抗の増加方法
は、渦や乱流の存在により、インク滴射出後のインク加
圧室への共通インク室からのインク供給まで阻害してし
まう。このため、単にインク流路を単数回から複数回キ
ンクさせることはインク射出時の流体抵抗としては適し
ているが、その後に来るインク供給プロセスには適して
いないことになる。そこで、図8に示すように、渦や乱
流を引き起こさない程度の方向角の変化を屈曲部で作り
出し、かつ、その屈曲部の頂点の形状を適度な曲率を持
つ曲管あるいは曲線溝としてやればよい。今、これまで
の実施例で作製した流体抵抗部23の最大幅は40μm
であり、長さは2mmであるため、この中間点の1mm
で方向変化の内角が135゜であるように設定した。こ
の時の曲率半径は50μmとした。こうしてできた屈曲
部を持つ流体抵抗部23は、インク加圧室で電歪アクチ
ュエータの作動により発生した圧力波は流体抵抗部23
の側壁で複数回反射されながら共通インク室32に至る
ため、直線流路に比して大きな流体抵抗を得ることが可
能となる。一方、この曲率では流体抵抗部、特に、屈曲
部での渦や乱流の発生は見られず、滑らかなインク供給
が可能であった。
【0035】(請求項9の発明)こうしてできた記録ヘ
ッドは、通常、別の回路基板に取り付けられた駆動素
子、及び駆動回路により駆動され、記録ヘッドと回路基
板は、フレキシブル基板等を熱圧着,はんだ接続,コネ
クタを用いたピン接続等の方法で連結され、印字信号を
ヘッド駆動信号に変換したデータ及び電歪アクチュエー
タ駆動波形,グランド等の一連の信号群が処理される。
しかし、ヘッドからの配線距離が長い程、接続接点が多
いほどノイズや信号の電圧減衰,延長等の問題が発生す
る。このため、本発明では、図9(A)に示すように、
ヘッドの電歪アクチュエータの位置する面のSi基板上
に各ノズルに配備されたアクチュエータ28の第1の電
極であるコモン電極26とPZT,PLZT上に配備さ
れた第2の電極であるデータ電極27からの引き出し線
を基板面上に配線し、その終端にバンプと呼ばれる接続
電極40を設けた。バンプは、図9(B)に示すよう
に、駆動ICチップ29のピン電極41の配列,ピッチ
に対応しており、バンプ電極とICチップ29のピン電
極42とを異方導電性接着剤43で接続および固定し
た。もちろん、ICチップ29への入力信号もヘッドの
後部に設けたコネクタ(やはりバンプ電極とコネクタ電
極とを異方導電性接着剤を介して接続,固定してある)
間を、電歪アクチュエータのデータ電極形成時にパター
ン化しておいた配線電極により接続され、ヘッドには入
力用の8ビットのデータ線,駆動用電圧30V,VDD
5V,クロック,グランド等の最低限12本のライン
の接続を行えばよい。
【0036】もし、駆動電圧を可変にしてパルス高変調
やパルス幅変調により打ち出すインクの量を変化させイ
ンク滴の径を変えるような階調性を発現させたりする場
合には、これに対応する入力ピンが増加するが、十分に
スペースがあるので特に問題はない。また、ここで使用
した異方導電性接着剤43は、熱硬化型エポキシ系接着
剤に直径5μmのスチレンビーズ表面にNiコーティン
グを施したものを隣接するビーズ同士が接触しないよう
に十分な距離をおいて分散されたもの(エポキシ系接着
剤を100とした時、重量比で5から10)を用いる。
この接着剤をバンプとその周辺に配備し、ICチップを
上方から適当な圧力を加えて押し付け、仮接続温度とし
て120℃を2分程加えると上方からの加圧を取り除く
ことが可能となり、その後、180℃の本加熱を5分施
して完全に固定する。接続不良は本実施例では発生しな
かった。また、適当に紫外線カット樹脂でモールドした
ICチップを用いれば、光硬化型エポキシ系接着剤の使
用も可能であり、このほうが熱負荷をかけないので望ま
しいが、本実施例ではSiベアチップを用いたために、
この実験は実施されていない。
【0037】
【発明の効果】請求項1に記載の記録ヘッドによると、
記録体(インク)の流路を構成する流路構成体の一部を
振動部材とし、該振動部材を駆動するための第1の電極
及び第2の電極と、該第1の電極と第2の電極の対向し
た間隙に形成された誘電物質層とからなり、前記2つの
電極間に電圧を印加した時に電極の間隙に存在する前記
誘電物質の起こす体積膨張による振動板の変位を用いる
電歪アクチュエータの動作原理を用い、前記流路の可変
容積に起因する流路内部の圧力増加により、前記記録体
に運動エネルギーを与えて射出し、記録媒体に付着さ
せ、記録する記録ヘッドにおいて、インク滴を射出する
ための複数のノズルと、該ノズルのそれぞれに配備され
た加圧室と、該加圧室の少なくとも一方の壁を構成する
振動板と、該加圧室にインクを供給する各ノズルに共通
のインク室と、前記振動板に対向し、前記加圧室,流
路,流体抵抗部,共通インク室をインク供給口とノズル
孔を除いて密閉するヘッド筺体部とからなり、該ヘッド
筺体部は射出成形,モールド成形もしくは押し出し成形
により作製されるPET,PE,PC,フッ素樹脂など
の高分子プラスチックからなり、それ以外のノズル用
溝,加圧室,流路,流体抵抗部,インク室,振動板等
は、一枚の接合部の無いSi単結晶基板で構成したの
で、構成部品がヘッド筺体部とSi基板との2点のみの
ため、簡易な構造となり、組み付け精度等の向上が図れ
る。また、振動板はSi基板をエッチングして作製され
るため、精度や振動板回りの構造が簡素化される。
【0038】請求項2記載の記録ヘッドによると、請求
項1に記載の記録ヘッドにおいて、ノズル孔をヘッド筺
体部に配備し、同時に筺体部が振動板の一端を固定し、
且つ該筺体部の両面に該振動板を含むSi基板からなる
複数のヘッド構成部材を接合し、ノズル孔をSi基板で
はなくヘッド筺体部に設けたため、インク加圧室下部の
振動板の形成がより容易となり、かつノズル孔の加工も
をヘッド筺体のプラスチックを加工するため、時間的に
短縮され容易になる。
【0039】請求項3に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は2に記載の記録ヘッドにおいて、Si基板に
配備された電歪アクチュエータ用振動板は、加圧室側に
位置し、インクと接する面をSiNx,アクチュエータ
駆動用の第1の電極に接する面をSiOxでコーティン
グされているので、SiNxやSiO2を振動板の両面
にコーティングすることにより、振動板の強度、及び振
動板と厚みの異なる接続部の補強が可能となる。
【0040】請求項4に記載の記録ヘッドによると、請
求項3に記載の記録ヘッドにおいて、前記振動板は、S
iOx上に形成される第1の電極として、Pt,W,T
a,Pt/Pd高融点金属もしくはそれらの合金からな
り、さらに加圧室に位置し、インクに接する面のSiN
x上にはAu,Pt,Mo,SUSの耐アルカリ性を有
する金属、もしくはそれらの合金でコーティングされて
いるので、請求項3による振動板の両面に金属薄膜を配
備することにより、電歪アクチュエータ側に設けられた
コモン電極とのバランスを取り、且つ振動板に粘りを持
たせ補強することが可能となる。
【0041】請求項5に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は4に記載の記録ヘッドにおいて、前記ヘッド
筺体部は、該ヘッド筺体部のインク面と接する面上で、
且つSi基板と接着されない部分は、Au,Pt,M
o,SUSの耐アルカリ性を有する金属、もしくはそれ
らの合金でコーティングされているので、請求項4によ
る記録ヘッドの振動板以外でインクと直接接触する流路
全体に同様の金属薄膜を配備することにより、基板およ
び筺体とインクとの接液性を向上させることが可能とな
る。
【0042】請求項6に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は5に記載の記録ヘッドにおいて、前記Si単
結晶基板に形成された流体抵抗部の終端からノズル直前
までの容積部分を用いるインク加圧室は、その幅が流体
抵抗部終端で最も大きく、ノズル直前で最少となるよう
にし、インク加圧室の内部形状をノズル面に近づくほど
幅を狭くし、流体抵抗部に近づくほど幅を広くしたの
で、インク滴を射出した後の内部のインク量の変動に伴
う負の圧力によるバックラッシュをより容積の大きな空
間に導くことにより単位断面積当たりの圧力を減少さ
せ、流体抵抗部からの次のインクの流入を滑らかに行う
ことが可能となる。
【0043】請求項7に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は6に記載の記録ヘッドにおいて、前記ノズル
はSi単結晶基板の水平方向、且つ振動板の設けられる
面と対向する面に近い部分に設けられ、該ノズルは一個
の該ヘッド筺体部に2枚のSi基板を対向するように配
備される時には、対向する加圧室同士が干渉しない筺体
の厚みを隔てて最近接する位置に設けられ、ヘッド筺体
部の両面にSi基板を配備したので、ノズルの数が1列
から2列に増加し、高密度高集積実装が可能となる。
【0044】請求項8に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は7に記載の記録ヘッドにおいて、流体抵抗部
はSi基板上に加圧室からの容積変化に伴う圧力の伝達
を減少させるために、幅と高さとがインク加圧室のそれ
らよりも小さく、かつその流れ方向の形状が直線を含み
屈曲部をもち、且つその屈曲部はインク粘性流のその部
分での渦の発生を防止するために曲率を持ち、流体抵抗
部の直線部分に屈曲部を配備し、屈曲部の形状を十分な
曲率を持つ曲線状の溝にしたので、屈曲部での渦や乱流
の発生無しに流体抵抗を増加させることが可能となり、
従って、安定したインク滴の射出に必要な後部流体抵抗
と滑らかなインク供給が可能となる。
【0045】請求項9に記載の記録ヘッドによると、請
求項1又は8に記載の記録ヘッドにおいて、前記電歪ア
クチュエータを駆動するための第1,第2の電極はSi
基板上のアクチュエータ後方からインク供給口に至る部
分に駆動ICチップのピン配列に対応して配線され、そ
の終端にパッド部が配備されており、このパッド部に駆
動ICチップが実装されているので、ヘッドのSi基板
の電歪アクチュエータの配備された側の面にアクチュエ
ータからの配線を引き回し、ICチップを配線終端のバ
ンプ電極に異方導電性接着剤により実装するため、ヘッ
ドへの外部信号入力と接続本数を減少させ、全体をコン
パクトにすることが可能となり、製造工程上の簡素化と
信頼性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図2】 請求項2に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図3】 請求項3に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図4】 請求項4に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図5】 請求項6に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図6】 請求項6に記載の記録ヘッドの他の実施例を
説明するための構成図である。
【図7】 請求項7に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図8】 請求項8に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図9】 請求項9に記載の記録ヘッドの一実施例を説
明するための構成図である。
【図10】 従来のオンデマンドマルチヘッドのインク
ジェット記録ヘッドの一例を説明するための図である。
【図11】 従来のインクジェットヘッドの各種の構成
例を説明するための図である。
【符号の説明】
20…Si基板、21…ヘッド筺体、22…インク供給
口、23…流体抵抗部、24…インク加圧室、25…ノ
ズル孔、26…コモン電極(第1電極)、27…データ
電極(第2電極)、28…PZT(誘電物質層)、29
…ICチップ、30…信号電極、31…コネクタ、32
…共通インク室、33…振動板、35…接着剤、36,
36′…楔型の突起、40…バンプ、41…IC電極、
42…ピン電極、43…接着剤。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録体の流路の一部が振動部材により構
    成されている流路構成体と、前記振動部材を振動させる
    ための誘電物質層と、該誘電物質層を挟んで配設された
    第1及び第2の電極とから成り、該2つの電極間に電圧
    を印加した時にこれら電極の間隙に存在する前記誘電物
    質の起こす体積膨張による前記振動板の変位を用いる電
    歪アクチュエータの動作原理を用い、前記流路の可変容
    積に起因する流路内部の圧力増加により、記録体に運動
    エネルギーを与えて射出し、該記録体を記録媒体に付着
    させて記録する記録ヘッドにおいて、記録体を射出する
    ための複数のノズルと、該ノズルのそれぞれに配備され
    た加圧室と、該加圧室の少なくとも一方の壁を構成する
    振動板と、該加圧室に記録体を供給する各ノズルに共通
    の記録体室と、振動板に対向し、前記加圧室,流路,流
    体抵抗部,共通記録体室を記録体供給口とノズル孔を除
    いて密閉するヘッド筺体部とからなり、該ヘッド筺体部
    は射出成形,モールド成形もしくは押し出し成形により
    作製されるPET,PE,PC,フッ素樹脂などの高分
    子プラスチックからなり、それ以外のノズル用溝,加圧
    室,流路,流体抵抗部,記録体室,振動板等は、一枚の
    接合部の無いSi単結晶基板で構成されていることを特
    徴とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の記録ヘッドにおいて、
    ノズル孔をヘッド筺体部に配備し、同時に筺体部が振動
    板の一端を固定し、且つ該ヘッド筺体部の両面に該振動
    板を含むSi基板からなる複数のヘッド構成部材を接合
    してなることを特徴とする記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の記録ヘッドにお
    いて、Si基板に配備された電歪アクチュエータ用振動
    板は、加圧室側に位置し、記録体と接する面がSiN
    x,アクチュエータ駆動用の第1の電極に接する面がS
    iOxでコーティングされていることを特徴とする記録
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の記録ヘッドにおいて、
    前記振動板は、SiOx上に形成される第1の電極とし
    て、Pt,W,Ta,Pt/Pd高融点金属もしくはそ
    れらの合金からなり、さらに加圧室に位置し、記録体に
    接する面のSiNx上にはAu,Pt,Mo,SUSの
    耐アルカリ性を有する金属もしくはそれらの合金がコー
    ティングされていることを特徴とする記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の記録ヘッドにお
    いて、前記ヘッド筺体部は、該ヘッド筺体部の記録体面
    と接する面上で、且つSi基板と接着されない部分は、
    Au,Pt,Mo,SUSの耐アルカリ性を有する金属
    もしくはそれらの合金でコーティングされていることを
    特徴とする記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の記録
    ヘッドにおいて、前記Si単結晶基板に形成された流体
    抵抗部の終端からノズル直前までの容積部分を用いる記
    録体加圧室は、その幅が流体抵抗部終端で最も大きく、
    ノズル直前で最少となることを特徴とする記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の記録
    ヘッドにおいて、前記ノズルはSi単結晶基板の水平方
    向で、且つ振動板の設けられる面と対向する面に近い部
    分に設けられ、該ノズルは一個の前記ヘッド筺体に2枚
    のSi基板を対向するように配備される時には、対向す
    る加圧室同士が干渉しない筺体の厚みを隔てて最近接す
    る位置に設けられることを特徴とする記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の記録
    ヘッドにおいて、流体抵抗部はSi基板上に加圧室から
    の容積変化に伴う圧力の伝達を減少させるために、幅と
    高さとが記録体加圧室のそれらよりも小さく、かつその
    流れ方向の形状が直線を含み屈曲部をもち、且つその屈
    曲部は記録体の粘性流のその部分での渦の発生を防止す
    るために曲率を持ったことを特徴とする記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の記録
    ヘッドにおいて、前記電歪アクチュエータを駆動するた
    めの第1及び第2の電極は、Si基板上のアクチュエー
    タ後方から記録体供給口に至る部分に駆動ICチップの
    ピン配列に対応して配線され、その終端にパッド部が配
    備されており、このパッド部に駆動ICチップが実装さ
    れていることを特徴とする記録ヘッド。
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