JP2002113857A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP2002113857A
JP2002113857A JP2000307839A JP2000307839A JP2002113857A JP 2002113857 A JP2002113857 A JP 2002113857A JP 2000307839 A JP2000307839 A JP 2000307839A JP 2000307839 A JP2000307839 A JP 2000307839A JP 2002113857 A JP2002113857 A JP 2002113857A
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ink jet
substrate
forming substrate
flow path
jet recording
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Soichi Moriya
壮一 守谷
Shiro Yazaki
士郎 矢崎
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
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    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • B41J2002/14241Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm having a cover around the piezoelectric thin film element
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形による応力の集中を防ぎ基板の破壊を防
止すると共に振動板の応力変化によるバラツキを防止し
たインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記
録装置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口21に連通する圧力発生室1
2が画成される流路形成基板10と、前記圧力発生室1
2の一部を構成する振動板50を介して前記圧力発生室
12に対向する領域に設けられて前記圧力発生室12内
に圧力変化を生じさせる圧電素子300とを具備するイ
ンクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板
10の前記圧電素子300側に接合されて当該圧電素子
300の運動を阻害しない程度の空間を確保する圧電素
子保持部32を有する接合基板30を有し、前記流路形
成基板12及び前記接合基板30の少なくとも一方の基
板には、前記圧力発生室12の列方向両側の端部に、凹
部15を形成することにより剛性を低下させた応力緩和
部16を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子
の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通する
圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電
素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノ
ズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振
動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわ
み振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2
種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】また、このようなインクジェット式記録ヘ
ッドでは、流路形成基板の圧電素子側に、圧電素子の運
動を阻害しない程度の空間を確保した圧電素子保持部を
有する接合基板が接合されたものが提案されている。
【0007】この接合基板によれば、圧電素子を外部環
境と遮断して、大気中の水分等の外部環境による圧電素
子の破壊を防止している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ノズル
プレートを熱硬化性の接着剤を加熱硬化して流路形成基
板に接着する際、または、流路形成基板と接合基板との
組立体にワイヤーボンディングにより配線を接続する際
など、高温で加熱することにより流路形成基板及び接合
基板が熱膨張する。この熱膨張では、流路形成基板と接
合された材料の異なる部材との熱膨張率の違いにより基
板が変形してしまう。このとき、流路形成基板及び接合
基板の周縁部近傍は、圧力発生室が設けられた中央部に
比べ剛性が高く、剛性が高い領域と低い領域との境界近
傍に応力が集中し、流路形成基板及び接合基板にクラッ
ク等の破壊が発生するという問題がある。
【0009】また、流路形成基板の周縁部近傍は、圧力
発生室の設けられた中央部に比べ剛性が高いため、流路
形成基板上に設けられた振動板はその中央部近傍と周縁
部近傍とでは変位量が異なるという問題がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑み、変形によ
る応力の集中を防ぎ基板の破壊を防止すると共に振動板
の応力変化によるバラツキを防止したインクジェット式
記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供するこ
とを課題とする。
【0011】
【発明が解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が
画成される流路形成基板と、前記圧力発生室の一部を構
成する振動板を介して前記圧力発生室に対向する領域に
設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧
電素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおい
て、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合されて当
該圧電素子の運動を阻害しない程度の空間を確保する圧
電素子保持部を有する接合基板を有し、前記流路形成基
板及び前記接合基板の少なくとも一方の基板には、前記
圧力発生室の列方向両側の端部に凹部を形成することに
より剛性を低下させた応力緩和部が設けられていること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】かかる第1の態様では、凹部を設けること
により流路形成基板及び接合基板の剛性を低下させて、
流路形成基板及び接合基板の変形による応力の集中を防
止して、流路形成基板及び接合基板の破壊を防止するこ
とができる。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記応力緩和部が前記流路形成基板及び前記接合基
板の両方に設けられていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第2の態様では、凹部からなる応力
緩和部を両方の基板に設けることにより、さらに応力の
集中を防止して、流路形成基板及び接合基板の変形によ
る破壊を防止することができる。
【0015】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記応力緩和部が、前記基板の端部の前記圧
力発生室の長手方向中央部に少なくとも設けられている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】かかる第3の態様では、基板の圧力発生室
の長手方向中央部に少なくとも設けることによって、効
率よく基板の応力の集中を防止して、流路形成基板及び
接合基板の変形による破壊を防止することができる。
【0017】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記凹部が前記流路形成基板と前記接
合基板との接合面とは反対側の面に貫通することなく設
けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0018】かかる第4の態様では、凹部を接合面とは
反対側の面に設けることによって、流路形成基板及び接
合基板の剛性を低下させることができる。
【0019】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記凹部が前記流路形成基板と前記接
合基板との接合面側に設けられていることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】かかる第5の態様では、凹部を接合面側に
設けることによっても、流路形成基板及び接合基板の剛
性を低下させることができる。
【0021】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記応力緩和部が、前記凹部を複数設
けることにより形成されていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0022】かかる第6の態様では、凹部を複数設ける
ことによって、さらに流路形成基板及び接合基板の剛性
を広範囲に低下させることができると共に剛性の調整を
容易に行うことができる。
【0023】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様において、前記応力緩和部は、前記基板から前記
圧力発生室近傍にかけて剛性が徐々に低下するように設
けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0024】かかる第7の態様では、応力緩和部が徐々
に剛性を低下するように設けることによって、流路形成
基板及び接合基板の変形に伴う応力の集中を防ぎ、流路
形成基板及び接合基板の破壊を防止することができる。
【0025】本発明の第8の態様は、第7の態様におい
て、前記凹部の開口面積を変化させることにより剛性を
変化させていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0026】かかる第8の態様では、凹部の開口面積を
変化させることによって、流路形成基板及び接合基板の
剛性を容易に調整することができ、基板の破壊を防止す
ることができる。
【0027】本発明の第9の態様は、第7の態様におい
て、前記凹部の深さを変化させることにより剛性を変化
させていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドにある。
【0028】かかる第9の態様では、凹部の深さを変化
させることによって、流路形成基板及び接合基板の剛性
を容易に調整することができ、基板の破壊を防止するこ
とができる。
【0029】本発明の第10の態様は、第1〜9の何れ
かの態様において、前記流路形成基板に設けられた前記
凹部の一部が、前記接合基板の前記圧電素子保持部に対
向する領域に設けられていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0030】かかる第10の態様では、基板の応力が集
中する領域に凹部の一部を設けることによって、さらに
応力の集中を抑えて基板の破壊を防止することができ
る。
【0031】本発明の第11の態様は、第1〜10の何
れかの態様において、前記接合基板には、その接合面と
は反対側の面の前記圧電素子保持部に対向する領域に前
記凹部が少なくとも一つ設けられていることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0032】かかる第11の態様では、基板の応力が集
中する領域に凹部の一部を設けることによって、さらに
応力の集中を抑えて基板の破壊を防止することができ
る。
【0033】本発明の第12の態様は、第1〜11の何
れかの態様において、前記接合基板が単結晶シリコンで
形成されていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0034】かかる第12の態様では、接合基板を流路
形成基板と同様の材料で形成することによって、流路形
成基板と接合基板との接合体の熱膨張による変形を抑え
ることができ、基板の破壊を防止することができる。
【0035】本発明の第13の態様は、第1〜12の何
れかの態様において、前記圧電素子保持部が前記圧電素
子の複数に亘って設けられていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0036】かかる第13の態様では、複数の圧電素子
に亘って圧電素子保持部を設けることによって、製造工
程を簡略化することができる。
【0037】本発明の第14の態様は、第1〜13何れ
かの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備すること
を特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0038】かかる第14の態様では、ヘッドのインク
吐出特性を向上したインクジェット式記録装置を実現で
きる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0040】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、その上面図であり、図3は、図2のA
−A’断面図及びB−B’断面図である。
【0041】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0042】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0043】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁により区画された圧力発生室12が幅方向に
並設され、その長手方向外側には、後述するリザーバ形
成基板のリザーバ部に連通して各圧力発生室12の共通
のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通
部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部
とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
なお、本実施形態では、流路形成基板10に幅方向に並
設された圧力発生室12の列を2列設け、2列の圧力発
生室12が、長手方向に一直線上とならないように、幅
方向に若干ずらして設けられている。
【0044】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、圧力発生室12を高密度に配列することが
できる。
【0045】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また、各圧力発生室12の
一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12
より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するイ
ンクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、イン
ク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中
までエッチング(ハーフエッチング)することにより形
成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング
時間の調整により行われる。
【0046】このように圧力発生室12が設けられた流
路形成基板10は、後述する熱膨張率の違う部材、例え
ばノズルプレートなどが接続された状態で加熱される
と、熱膨張率の違いから変形してしまう。また、流路形
成基板10は、圧力発生室12が設けられた領域では剛
性が低く、その周縁部では剛性が高くなっている。その
ため、両端側に設けられた圧力発生室12の周縁部側の
側面近傍が剛性が高い領域と低い領域との境界となって
おり、この境界に変形による応力が集中することによっ
て、流路形成基板10は、圧力発生室12の周縁部側の
側面に沿ってクラック等の破壊が発生してしまう。
【0047】そのため、流路形成基板10の圧力発生室
12が開口する面側の圧力発生室12の列方向両側の端
部には、流路形成基板10を貫通することなく圧力発生
室12の幅方向に並設された複数の凹部15からなる応
力緩和部16が形成されている。
【0048】流路形成基板10に、この応力緩和部16
を設けることによって、流路形成基板10の周縁部の剛
性を低くして、剛性の高い領域と低い領域との境界を無
くし、応力の集中を抑えることによりクラック等の破壊
を防止している。
【0049】また、本実施形態では、凹部15の一部は
後述するリザーバ形成基板30の圧電素子保持部32に
対向する領域に延設されている。これは、流路形成基板
10とリザーバ形成基板30との接合体が熱膨張するこ
とによって変形した際に、圧電素子保持部32の周縁部
側の側面近傍が剛性の高い領域と低い領域との境界とな
り、ここに応力が集中するのを防ぐためである。
【0050】なお、凹部15の形成方法は、特に限定さ
れず、本実施形態では、例えば、流路形成基板10をハ
ーフエッチングすることにより形成した。
【0051】また、流路形成基板10の開口面側には、
各圧力発生室12にインク供給路14とは反対側で連通
するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が
加熱硬化性の接着剤を介して固着されている。なお、ノ
ズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mmの
不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面
で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単
結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果た
す。
【0052】このようなノズルプレート20は、流路形
成基板10と熱膨張率が異なる材料で形成されているた
め、流路形成基板10にノズルプレート20を加熱硬化
性の接着剤で接着した際に、流路形成基板10は熱膨張
により何れかの面側に反るように変形してしまう。この
とき、流路形成基板10には、複数の凹部15からなる
応力緩和部16が形成されているため、変形による応力
の集中を抑えることができ、流路形成基板10にクラッ
ク等の破壊が発生するのを防止することができる。
【0053】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
【0054】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態で
は、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上
電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、
駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部
が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素
子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じ
る振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。な
お、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振
動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるよう
にしてもよい。
【0055】また、圧電素子300の個別電極である上
電極膜80は、上電極膜80上から弾性膜50上まで延
設されたリード電極90を介して図示しない駆動配線と
接続されている。
【0056】また、流路形成基板10の圧電素子300
側には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリ
ザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合され
ている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザ
ーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12
の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形
成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12
の共通のインク室となるリザーバ100を構成してい
る。
【0057】このようなリザーバ形成基板30として
は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例え
ば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好まし
く、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシ
リコン単結晶基板を用いた。これにより、両者を熱硬化
性の接着剤を用いた高温での接着により確実に接着し
て、製造工程を簡略化することができる。
【0058】なお、このリザーバ形成基板30に流路形
成基板10と熱膨張率の異なる材料を用いると、上述し
たノズルプレート20と同様に、両者を加熱硬化性の接
着剤で接合した際に、熱膨張によって変形してしまう
が、流路形成基板10に凹部15からなる応力緩和部1
6を設けることにより、変形による応力が集中するのを
抑えることができ、流路形成基板10及びリザーバ形成
基板30にクラック等の破壊が発生するのを防止するこ
とができる。
【0059】また、リザーバ形成基板30の圧電素子3
00に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害
しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可
能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300は
この圧電素子保持部32内に密封されている。なお、本
実施形態では、圧電素子保持部32は幅方向に並設され
た複数の圧電素子300の各列毎を覆う大きさで形成さ
れている。
【0060】このように、リザーバ形成基板30はリザ
ーバ100の一部を構成するリザーバ部31と共に圧電
素子300を密封する圧電素子保持部32を有し、圧電
素子300を外部環境と遮断するための封止部材を兼ね
ており、大気中の水分等の外部環境による圧電素子30
0の破壊を防止している。
【0061】さらに、リザーバ形成基板30には、圧電
素子300の上電極膜80に接続されたリード電極90
に対向する領域に、厚さ方向に貫通する貫通溝37が圧
力発生室12の列の長手方向両側に、圧力発生室12の
並設方向に亘って設けられており、図示しないボンディ
ングワイヤからなる駆動配線が、この貫通溝37を介し
てリード電極90と接続されている。なお、この駆動配
線は、リード電極90にワイヤーボンディングで接続さ
れている。
【0062】また、このリザーバ形成基板30には、封
止膜41及び固定板42からなるコンプライアンス基板
40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が
低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリ
フェニレンスルフィド(PPS)フィルム)からなり、
この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止
されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料
(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)
等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に
対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部4
3となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性
を有する封止膜41のみで封止され、内部圧力の変化に
よって変形可能な可撓部45となっている。
【0063】また、このリザーバ100の長手方向略中
央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ
100にインクを供給するためのインク導入口44が形
成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、イ
ンク導入口44とリザーバ100の側壁とを連通するイ
ンク導入路36が設けられている。なお、本実施形態で
は、一つのインク導入口44及びインク導入路36によ
って、リザーバ100にインクを供給するようにしてい
るが、これに限定されず、例えば、所望のインク供給量
に応じて、複数のインク導入口及びインク導入路を設け
るようにしてもよいし、あるいはインク導入口の開口面
積を大きくしてインク流路を拡大するようにようにして
もよい。
【0064】このようなリザーバ形成基板30と流路形
成基板10との接合体では、流路形成基板10に凹部1
5からなる応力緩和部16を設けたとしても、熱膨張に
よって変形した際の応力が圧電素子保持部32の周縁部
側の側面近傍に集中してしまう。このため、リザーバ形
成基板30の圧電素子保持部32に対向する領域にも応
力緩和部16を設けるのが好ましい。
【0065】このように本実施形態では、流路形成基板
10とリザーバ形成基板30との接合体にノズルプレー
ト20やコンプライアンス基板40などの熱膨張率の異
なる部材を熱硬化性の接着剤を用いて接着する際、及び
流路形成基板10及びリザーバ形成基板30の接合体に
駆動配線などをワイヤーボンディングにより接合する際
などの加熱による熱膨張で変形したとしても、流路形成
基板10の剛性の高い領域に応力緩和部16として凹部
15を設けることにより、流路形成基板10の剛性を低
下させて、変形による応力の集中を抑えることができ、
流路形成基板10及びリザーバ形成基板30にクラック
等の破壊が発生するのを防止することができる。
【0066】また、流路形成基板10の剛性が、全体的
に均一となるため、弾性膜50の変化量のバラツキを抑
えることができ、吐出特性を向上することができる。
【0067】このような本実施形態のインクジェット式
記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続し
たインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ1
00からノズル開口21に至るまで内部をインクで満た
した後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60
と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下
電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることに
より、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口2
1からインク滴が吐出する。
【0068】また、このような本実施形態のインクジェ
ット式記録ヘッドの製造工程、特に、流路形成基板10
に圧力発生室12を形成する工程及びこの圧力発生室1
2に対応する領域に圧電素子300を形成する工程につ
いて、以下に説明する。なお、図4及び図5は、圧力発
生室12の幅方向の断面図である。
【0069】まず、図4(a)に示すように、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0070】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を流路形成基板10の圧力発生室
12側に全面に亘って形成すると共に所定形状にパター
ニングする。この下電極膜60の材料としては、白金、
イリジウム等が好適である。これは、スパッタリング法
やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜
後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000
℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからで
ある。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高
温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、
殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変
化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金、イ
リジウムが好適である。
【0071】次に、図4(c)に示すように、圧電体層
70及び上電極膜80を形成すると共に圧電体層70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300の
パターニングを行う。
【0072】この圧電体層70は、例えば、本実施形態
では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾル
を塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで
金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル
−ゲル法を用いて形成した。圧電体層70の材料として
は、PZT系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使
用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の
成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング
法又はMOD法(有機金属熱塗布分解法)等のスピンコ
ート法により成膜してもよい。
【0073】また、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法
もしくはMOD法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆
体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低
温で結晶化させる方法を用いてもよい。
【0074】さらに、上電極膜80は、導電性の高い材
料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等
の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施
形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0075】次に、図4(d)に示すように、リード電
極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共
に、各圧電素子300毎にパターニングする。
【0076】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図5(a)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12、連通部13及びイン
ク供給路14等を形成する。
【0077】また、このとき同時に流路形成基板10に
凹部15からなる応力緩和部16を形成する。この凹部
15の製造方法は、特に限定されないが、本実施形態で
は、例えば、流路形成基板10をハーフエッチングする
ことにより形成している。
【0078】次いで、図5(b)に示すように、流路形
成基板10の圧電素子300側、本実施形態では、下電
極膜60上にリザーバ形成基板30を接合する。
【0079】その後、流路形成基板10の圧力発生室が
開口する面にノズルプレート20を接合することにより
インクジェット式記録ヘッドが形成されている。
【0080】このノズルプレート20の接着では、上述
したように、熱硬化性の接着剤が用いられ、インクジェ
ット式記録ヘッドを加熱することにより熱膨張が起こ
る。このとき、流路形成基板10及びリザーバ形成基板
30とノズルプレート20とは熱膨張率が違うため、イ
ンクジェット式記録ヘッドは、何れかの面側に反るよう
に変形してしまう。このとき、流路形成基板10に凹部
15からなる応力緩和部16を設けることによって、流
路形成基板10の周縁部近傍の剛性を低くしたため、変
形による応力が集中することが無く、流路形成基板10
にクラック等の破壊が発生するのを防止することができ
る。
【0081】また、リード電極90に接続配線をワイヤ
ーボンディングで接合する際にも、インクジェット式記
録ヘッドは、高温、例えば、100℃〜120℃で加熱
されるが、上述したように流路形成基板10に凹部15
からなる応力緩和部16を設けることにより、流路形成
基板10の変形によるクラック等の破壊が発生するのを
防止することができる。
【0082】このように本実施形態のインクジェット式
記録ヘッドでは、流路形成基板10に凹部15からなる
応力緩和部16を設けることにより、インクジェット式
記録ヘッドの製造時等に加熱した際に、熱膨張による変
形で流路形成基板10及びリザーバ形成基板30にクラ
ック等が発生して破壊されるのを防止することができ
る。
【0083】また、流路形成基板10の周縁部近傍の剛
性が高いために発生する弾性膜50の変位量のバラツキ
を抑えることができる。
【0084】なお、本実施形態では、流路形成基板10
のノズルプレート20側に複数の凹部15からなる応力
緩和部16を形成したが、これに限定されず、例えば、
図6(a)に示すように、流路形成基板10のリザーバ
形成基板30側に凹部15Aからなる応力緩和部16A
を設けるようにしても、同様の効果が得られる。
【0085】また、例えば、図6(b)に示すように、
リザーバ形成基板30の接合面とは反対側の面に複数の
凹部15Bからなる応力緩和部16Bを設けるようにし
てもよく、図6(c)に示すように、リザーバ形成基板
30の接合面側に複数の凹部15Cからなる応力緩和部
16Cを設けるようにしてもよい。このようにリザーバ
形成基板30に応力緩和部16B又は16Cを設けるよ
うにしても、流路形成基板10とリザーバ形成基板30
との接合体では、応力をリザーバ形成基板30の応力緩
和部16B又は16Cで緩和することができ、クラック
等の破壊が発生するのを防止することができる。
【0086】また、流路形成基板10及びリザーバ形成
基板30の両方に応力緩和部16又は16Aと応力緩和
部16B又は16Cとを設けるようにしてもよい。これ
により、より応力の集中を抑えて流路形成基板10及び
リザーバ形成基板30の破壊を防止することができる。
【0087】さらに、図7に示すように、流路形成基板
10の圧力発生室12の長手方向に複数の凹部15Dか
らなる応力緩和部16Dを設けるようにしてもよい。な
お、図7は、インクジェット式記録ヘッドの上面図であ
る。
【0088】このように凹部15Dを長手方向に並設す
るときは、図7に示すように、長手方向に隣り合う凹部
15Dが略一直線上とならないように設けるのが好まし
い。これは、凹部15Dの側壁が略一直線上となると、
この長手方向に並設された凹部15Dに沿って剛性が著
しく低下し、変形による応力が集中してクラック等の破
壊が発生する虞があるからである。
【0089】このように、凹部からなる応力緩和部は、
流路形成基板10及びリザーバ形成基板30の何れか一
方、又は両方のどちらの面側に設けたとしても、加熱に
よって変形した際の応力の集中を防止することができ、
流路形成基板10及びリザーバ形成基板30にクラック
等の破壊が発生するのを防止することができる。
【0090】(実施形態2)図8は、実施形態2に係る
インクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の幅方向の断
面図である。
【0091】本実施形態は、図8に示すように、応力緩
和部16Eとして流路形成基板10の端部から圧力発生
室12近傍にかけて剛性が徐々に低下するように深さの
異なる凹部15Eからなる応力緩和部16Eを設けた以
外は、上述した実施形態1と同様である。
【0092】この複数の凹部15Eは、圧力発生室12
に向かってその深さが徐々に深くなることで、流路形成
基板10の端部から圧力発生室12近傍にかけて剛性を
低下させている。
【0093】このように、剛性を徐々に変化させること
によって、応力が集中する領域を無くし、さらに流路形
成基板10にクラック等が発生して破壊されるのを防止
することができる。
【0094】なお、凹部の深さではなく、凹部間の間
隔、すなわち、ピッチを変えることにより剛性を徐々に
変化させるようにしてもよい。
【0095】また、上述したように流路形成基板10に
凹部15Eを複数設けず、例えば、流路形成基板10に
一つの凹部を設けるようにしてもよい。
【0096】このような例を図9に示す。なお、図9
は、インクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の幅方向
の断面図である。
【0097】図9に示すように、流路形成基板10の圧
力発生室12の幅方向両端部側には、一つの凹部15F
からなる応力緩和部16Fが設けられている。この凹部
15Fの底面は、流路形成基板10の端部から圧力発生
室12近傍にかけて深さが階段状に深くなるように設け
られている。
【0098】このような凹部15Fからなる応力緩和部
16Fとしても、流路形成基板10の周縁部から圧力発
生室12にかけて剛性を徐々に低下させることができ
る。
【0099】また、流路形成基板10に設けられる応力
緩和部は、複数の浅い凹部の形成密度を変化させること
によって、流路形成基板10の端部から圧力発生室12
近傍にかけて剛性を低下させるようにしてもよい。
【0100】このような例を図10に示す。なお、図1
0は、インクジェット式記録ヘッドの上面図及び圧力発
生室の並設方向の断面図である。
【0101】図10に示すように、流路形成基板10に
は、四角円錐状の複数の凹部15Gからなる応力緩和部
16Gが設けられている。この凹部15Gは、流路形成
基板10の外縁部近傍では少なく設けられ、圧力発生室
12にかけて近いほど高密度に設けることで、流路形成
基板10の剛性を徐々に低下させている。なお、このよ
うな凹部15Gの形状及び製造方法は、特に限定されな
いが、本実施形態では、例えば、流路形成基板10にシ
リコン単結晶基板として面方位(100)を用いて、こ
れをエッチングすることにより四角錐状の凹部15Gを
形成した。
【0102】なお、本実施形態では、流路形成基板10
に凹部15E〜15Gからなる応力緩和部16E〜16
Gを設けるようにしたが、上述した実施形態1と同様
に、凹部からなる応力緩和部をリザーバ形成基板30に
設けてもよく、両方の基板に設けるようにしてもよい。
また、何れの基板に設ける場合でも、接合面及び接合面
とは反対側の面の何れに設けるようにしてもよい。
【0103】さらに、このような15E及び15Fから
なる応力緩和部16E及び16Fを上述した実施形態1
と同様に、圧力発生室12の長手方向に並設するように
してもよい。
【0104】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0105】例えば、流路形成基板及びリザーバ形成基
板の何れか一方、又はその両方に応力緩和部を設けた場
合であっても、図11に示すように、さらにリザーバ形
成基板30の接合面とは反対側の面の圧電素子保持部3
2に対向する領域に、少なくとも一つの凹部15Hから
なる応力緩和部16Hを設けることにより、より応力の
集中を抑えて基板の破壊を防止することができる。
【0106】また、例えば、上述した実施形態1及び2
では、リザーバ形成基板30の圧電素子保持部32は、
幅方向に並設された列毎の圧電素子300を覆うように
形成されているが、これに限定されず、例えば、各圧電
素子300毎に圧電素子保持部を設け、それぞれ圧電素
子300を密封するようにしてもよい。
【0107】さらに、例えば、上述の実施形態1及び2
では、圧力発生室12が流路形成基板10を貫通して形
成されたものを例示したが、勿論、圧力発生室の形状等
は特に限定されず、例えば、流路形成基板の一方面側に
流路形成基板を貫通することなく形成されたものであっ
てもよい。
【0108】また、同様に、ノズル開口21を流路形成
基板10の圧電素子300とは反対側の面に設けるよう
にしたが、これに限定されず、例えば、リザーバ形成基
板にノズル開口を形成して圧電素子側に設けるようにし
てもよいし、圧力発生室を流路形成基板の端面まで延設
して、流路形成基板の端面にノズル開口を設けるように
してもよい。
【0109】また、上述した実施形態1及び2では、ノ
ズルプレート20に流路形成基板10と異なる材料を用
いたが、ノズルプレートに流路形成基板10と同様の部
材であるシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよ
い。
【0110】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図12
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
【0111】図12に示すように、インクジェット式記
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0112】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、流路形
成基板及び接合基板の少なくとも一方の基板に、圧力発
生室の列方向両端側に凹部からなる応力緩和部を設ける
ことにより、流路形成基板の剛性を低下させて基板の変
形による応力の集中を抑え、基板にクラック等が発生し
て破壊されるのを防止することができる。また、流路形
成基板の剛性が均等化されるため、流路形成基板に設け
られた振動板の変位量のバラツキを抑え、インク吐出特
性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す上面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図であり、図2のA−A’断面図及びB
−B’断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す圧力発生室の幅方向の断面図で
ある。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す上面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの圧力発生室の幅方向の断面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す圧力発生室の幅方向の断面図で
ある。
【図10】本発明の実施形態2に係るインクジェット式
記録ヘッドの変形例を示す上面図及びC−C’断面図で
ある。
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドの圧力発生室の幅方向の断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るインクジェット式
記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 13 連通部 14 インク供給路 15、15A〜15H 凹部 16、16A〜16H 応力緩和部 20 ノズルプレート 21 ノズル開口 30 リザーバ形成基板 31 リザーバ部 32 圧電素子保持部 40 コンプライアンス基板 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体層 80 上電極膜 100 リザーバ 300 圧電素子

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画成
    される流路形成基板と、前記圧力発生室の一部を構成す
    る振動板を介して前記圧力発生室に対向する領域に設け
    られて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素
    子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合されて当該圧
    電素子の運動を阻害しない程度の空間を確保する圧電素
    子保持部を有する接合基板を有し、前記流路形成基板及
    び前記接合基板の少なくとも一方の基板には、前記圧力
    発生室の列方向両側の端部に、凹部を形成することによ
    り剛性を低下させた応力緩和部が設けられていることを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記応力緩和部が前
    記流路形成基板及び前記接合基板の両方に設けられてい
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記応力緩和
    部が、前記基板の端部の前記圧力発生室の長手方向中央
    部に少なくとも設けられていることを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記凹
    部が前記流路形成基板と前記接合基板との接合面とは反
    対側の面に貫通することなく設けられていることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記凹
    部が前記流路形成基板と前記接合基板との接合面側に設
    けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記応
    力緩和部が、前記凹部を複数設けることにより形成され
    ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記応
    力緩和部は、前記基板から前記圧力発生室近傍にかけて
    剛性が徐々に低下するように設けられていることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記凹部の開口面積
    を変化させることにより剛性を変化させていることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項7において、前記凹部の深さを変
    化させることにより剛性を変化させていることを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
    流路形成基板に設けられた前記凹部の一部が、前記接合
    基板の前記圧電素子保持部に対向する領域に設けられて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
    記接合基板には、その接合面とは反対側の面の前記圧電
    素子保持部に対向する領域に前記凹部が少なくとも一つ
    設けられていることを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
    記接合基板が単結晶シリコンで形成されていることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12の何れかにおいて、前
    記圧電素子保持部が前記圧電素子の複数に亘って設けら
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13の何れかのインクジェ
    ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
    ェット式記録装置。
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