JP3953703B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
また、このようなインクジェット式記録ヘッドでは、何れにしても圧電素子を駆動するための半導体集積回路(IC)等の駆動回路が必要であり、この駆動回路はインクジェット式記録ヘッド近傍に搭載されている。そして、圧電素子から流路形成基板上に延設された電極配線と駆動回路から延設された、例えば、ボンディングワイヤ等の外部配線とを接続することにより、これら圧電素子と駆動回路とが電気的に接続されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成では、電極配線と外部配線との接続部の下側には、流路形成基板に形成されたインク流路が存在している。そのため、ボンディングワイヤを接着する際に付加をかけることにより、流路形成基板が割れてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、流路形成基板の破壊を防止したインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室の長手方向一端部に連通するインク供給路が複数の隔壁によって画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の前記圧電素子側には当該圧電素子を駆動するための駆動回路が設けられると共に前記圧電素子から延設されたリード電極の接続部と前記駆動回路とがボンディングワイヤからなる駆動配線を介して接続され、前記リード電極の接続部が前記流路形成基板上の隣接する圧力発生室の間の隔壁又は隣接するインク供給路の間の隔壁に対向する位置に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0011】
かかる第1の態様では、接続部の下側にインクの流路が存在しないため、ボンディングワイヤからなる駆動配線を接続する際に、その負荷によって流路形成基板に割れ等が発生するのを防止できる。また、リード電極を延設することにより、隔壁に対向する領域に接続部を容易に形成できる。
【0014】
本発明の第2の態様は、前記流路形成基板には前記インク供給路を介して前記圧力発生室に連通するリザーバの少なくとも一部を構成する連通部を有し、前記流路形成基板上の前記リード電極が隣接するインク供給路の間の隔壁上まで延設されて前記駆動配線との接続部となっていることを特徴とする第1の態様のインクジェット式記録ヘッドにある。
【0015】
かかる第2の態様では、接続部を圧力発生室の長手方向端部よりも外側に配置することにより接続部を露出させやすく、駆動配線の接続が容易となる。
【0016】
本発明の第3の態様は、前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合される接合基板を有し、前記駆動回路が当該接合基板上に設けられていることを特徴とする第1又は2の態様のインクジェット式記録ヘッドにある。
【0017】
かかる第3の態様では、流路形成基板の圧電素子側に駆動回路を容易に配置することができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、前記接合基板が、前記圧電素子に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で当該空間を密封可能な圧電素子保持部を有することを特徴とする第3の態様のインクジェット式記録ヘッドにある。
【0019】
かかる第4の態様では、外部環境に起因する圧電素子の破壊が防止される。
【0020】
本発明の第5の態様は、前記駆動回路が前記接合基板上に直接形成されていることを特徴とする第3又は4の態様のインクジェット式記録ヘッドにある。
【0021】
かかる第5の態様では、駆動回路を比較的容易に形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。
【0030】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0031】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0032】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12が幅方向に並設され、その長手方向外側には、後述するリザーバ形成基板のリザーバ部に連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。なお、このインク供給路14も圧力発生室12と同様に隔壁11によって区画されている。
【0033】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0034】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0035】
この流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
【0036】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
【0037】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
【0038】
また、流路形成基板10の圧電素子300側には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されている。そして、上述のように流路形成基板10の連通部13と弾性膜50に形成された貫通孔51を介して連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0039】
このリザーバ形成基板30としては、例えば、ガラス、セラミック材料等の流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。これにより、上述のノズルプレート20の場合と同様に、両者を熱硬化性の接着剤を用いた高温での接着であっても両者を確実に接着することができる。したがって、製造工程を簡略化することができる。
【0040】
さらに、このリザーバ形成基板30には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部32となっている。
【0041】
また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口35が形成されている。さらに、リザーバ形成基板30には、インク導入口35とリザーバ100の側壁とを連通するインク導入路36が設けられている。なお、本実施形態では、一つのインク導入口35及びインク導入路36によって、リザーバ100にインクを供給するようにしているが、これに限定されず、例えば、所望のインク供給量に応じて、複数のインク導入口及びインク導入路を設けるようにしてもよいし、あるいはインク導入口の開口面積を大きくしてインク流路を拡大するようにようにしてもよい。
【0042】
また、リザーバ形成基板30は、圧電素子300を外部環境と遮断する封止板を兼ねており、圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態でその空間を密封可能な圧電素子保持部33が設けられている。そして、圧電素子300の少なくとも圧電体能動部320が、この圧電素子保持部33内に密封されている。
【0043】
このようなリザーバ形成基板30上には、圧電素子300を駆動するための駆動回路110が搭載され、ボンディングワイヤからなる駆動配線120を介して圧電素子300と電気的に接続されている。なお、この駆動回路110は、回路基板あるいは駆動回路を含む半導体集積回路(IC)であってもよい。
【0044】
ここで、圧電素子300と駆動回路110との配線構造について詳しく説明する。
【0045】
図2(a)に示すように、圧電素子300の上電極膜80の長手方向一端部近傍から圧力発生室12の周壁に対向する領域にはリード電極90が延設され、その先端部は圧力発生室12等を区画する隔壁11上、例えば、本実施形態では、インク供給路14に対応する領域の隔壁11上に位置している。
【0046】
また、リザーバ形成基板30には、このリード電極90の先端部に対向する領域に、厚さ方向に貫通する貫通溝37が圧力発生室12の列に亘って設けられており、駆動配線120は、この貫通溝37を介して、一端部が駆動回路110と接続されると共に他端部がリード電極90の先端部に接続されている。すなわち、圧電素子300から延設されたリード電極90と駆動配線120との接続部90aが隔壁11に対向する領域に設けられている。
【0047】
このように、隔壁11に対向する領域に圧電素子300から延設されたリード電極90と駆動配線120との接続部90aを設けることにより、リード電極90にボンディングワイヤからなる駆動配線120を接続する際にかかる負荷によって、流路形成基板10に割れ等の破壊が発生するのを防止でき、歩留まりを向上することができると共に、信頼性を向上したヘッドを実現することができる。
【0048】
また、本実施形態では、接続部90aが、インク供給路14に対応する領域の隔壁11上、すなわち、圧力発生室12の長手方向端部よりも外側に設けられているため、貫通溝37によって接続部90aを容易に露出させることができ、駆動配線120を比較的容易に接続することができる。
【0049】
なお、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口35からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0050】
なお、本実施形態では、圧電素子300から延設されたリード電極90と駆動配線120との接続部90aをインク供給路14に対応する領域の隔壁11上に設けるようにしたが、勿論、圧力発生室12に対応する領域の隔壁11上であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、リード電極90を圧電素子300の長手方向端部から隔壁11に対向する領域まで延設するようにしたが、このリード電極の配置は、特に限定されず、例えば、図3に示すように、圧電素子300の幅方向端面略中央部から隔壁11に対向する領域に延設するようにしてもよい。なお、この場合には、リード電極90が延設される領域の下電極膜60を除去する必要がある。
【0052】
何れにしても、圧電素子300と駆動配線120との接続部90aを隔壁11上、すなわち、インクの流路に対向する部分以外の領域に設けることにより、上述のように流路形成基板10の破壊を防止することができる。
【0053】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、流路形成基板10にリザーバ形成基板30を接合し、このリザーバ形成基板30に駆動回路110を設けるようにしたが、これに限定されず、流路形成基板10の圧電素子300側に駆動回路110が設けられていれば何れの構造であってもよい。
【0055】
なお、上述の実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0056】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0057】
図4に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0058】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、圧電素子と駆動回路とをボンディングワイヤからなる駆動配線で接続し、この駆動配線と圧電素子との接続部を隔壁上に設けるようにした。これにより、駆動配線を圧電素子に接続する際に、その負荷によって流路形成基板に割れ等が発生するのを防止でき、歩留まりが向上すると共に信頼性を向上したヘッドを製造することができる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの他の例を示す要部平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
11 隔壁
12 圧力発生室
20 ノズルプレート
30 リザーバ形成基板
40 コンプライアンス基板
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体層
80 上電極膜
90 リード電極
110 駆動回路
120 駆動配線
300 圧電素子
Claims (5)
- ノズル開口に連通する圧力発生室と該圧力発生室の長手方向一端部に連通するインク供給路が複数の隔壁によって画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記流路形成基板の前記圧電素子側には当該圧電素子を駆動するための駆動回路が設けられると共に前記圧電素子から延設されたリード電極の接続部と前記駆動回路とがボンディングワイヤからなる駆動配線を介して接続され、前記リード電極の接続部が前記流路形成基板上の隣接する圧力発生室の間の隔壁又は隣接するインク供給路の間の隔壁に対向する位置に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 前記流路形成基板には前記インク供給路を介して前記圧力発生室に連通するリザーバの少なくとも一部を構成する連通部を有し、前記流路形成基板上の前記リード電極が隣接するインク供給路の間の隔壁上まで延設されて前記駆動配線との接続部となっていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記流路形成基板の前記圧電素子側に接合される接合基板を有し、前記駆動回路が当該接合基板上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記接合基板が、前記圧電素子に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で当該空間を密封可能な圧電素子保持部を有することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット式記録ヘッド。
- 前記駆動回路が前記接合基板上に直接形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のインクジェット式記録ヘッド。
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