JP3988042B2 - 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧電素子によって加圧することにより、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置としては、例えば、圧電素子や発熱素子によりインク滴吐出のための圧力を発生させる複数の圧力発生室と、各圧力発生室にインクを供給する共通のリザーバと、各圧力発生室に連通するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装置があり、このインクジェット式記録装置では、印字信号に対応するノズルと連通した圧力発生室内のインクに吐出エネルギを印加してノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドには、前述したように圧力発生室として圧力発生室内に駆動信号によりジュール熱を発生する抵抗線等の発熱素子を設け、この発熱素子の発生するバブルによってノズル開口からインク滴を吐出させるものと、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させてノズル開口からインク滴を吐出させる圧電振動式の2種類のものに大別される。
【0004】
また、圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0005】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0006】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0007】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成することで高密度配列を実現したものがある。
【0008】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を高密度に作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0009】
また、圧力発生室が形成される流路形成基板の圧電素子側の一方面に、この圧電素子を封止する圧電素子保持部を有するリザーバ形成基板が接合されると共にリザーバ接合基板に圧電素子保持部と外部とを連通する連通孔が設けられ、この連通孔により圧電素子保持部を封止することで、圧電素子の外部環境に起因する破壊が防止されたインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−160366号公報(第6−7頁、第1−3図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、圧電素子が並設された列が複数列設けられたインクジェット式記録ヘッドにおいて、従来のように、リザーバ形成基板上に設けられた駆動ICと圧電素子の個別電極とを電気的に接続するための駆動配線を挿通する貫通孔が、圧電素子の並設された列の外側に位置する場合、ノズル列間の間隔及び圧力発生室の長手方向の大きさは設計上の都合により所定の寸法に固定されてしまうため、貫通孔の幅だけヘッドの外形幅が大きくなってしまう。さらに、駆動ICが各列共通となっているので、比較的外形幅の広い駆動ICが必要となる。よって、これらの理由により結果的にヘッドの製造原価が高くなってしまうという問題がある。
【0012】
また、封止基板に設けられた封止孔の開口から未硬化状態の封止部材を注入しようとすると、未硬化状態の封止部材が封止孔の開口周囲に流れ出し易く、封止基板の駆動配線を挿通する貫通孔内より流路形成基板の引き出し配線に達することもある。例えば、圧電素子保持部の封止をした後に、駆動ICと圧電素子の引き出し配線とをワイヤボンディング等で接続する場合には、流れ出した封止部材により配線の接続ができなくなるという品質上の問題がある。
【0013】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑み、ヘッド及び駆動ICの外形幅を小さくすることにより製造原価を低減すると共に、熱による封止基板の破損を防止して、圧電素子保持部の封止を容易に且つ確実に行うことにより製造品質を向上した液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて前記圧電素子の並設された列毎に運動を阻害しない程度の独立した空間を確保した状態で該空間を封止する圧電素子保持部が少なくとも2つ以上設けられた封止基板とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記圧電素子を駆動するための駆動ICが前記封止基板上に列毎に独立して設けられ、また、前記封止基板の列毎に並設された前記圧電素子保持部の間の領域には、当該封止基板上に設けられた前記駆動ICと前記圧電素子の個別電極とを電気的に接続するための貫通孔が、前記圧電素子の並設方向に複数設けられていると共に当該貫通孔と貫通孔との間の領域に、厚さ方向に貫通する封止孔と、この封止孔が設けられた領域の前記流路形成基板との接合面に設けられ且つ一端が前記封止孔に連通すると共に他端が前記圧電素子保持部のそれぞれに連通する封止路とが設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0016】
かかる第1の態様では、駆動ICが列毎に独立して設けられているので、駆動ICの外形幅を小さくすることができ、また、貫通孔を列間に設けることによって、ヘッドの外形幅も小さくなり、これらの理由により製造原価が低減できる。また、貫通孔と貫通孔との間の領域を封止基板の略中央に設けることにより、封止基板の剛性を高めてワイヤボンディング等での駆動配線の実装時や、外部配線の実装時等の後工程において、封止基板にかかる熱による破損を防止することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記封止基板上の前記封止孔の開口に対向する領域には、該開口の周囲に連続して形成された環状の封止部材の流出防止パターンが設けられ、前記封止孔及び前記封止路に樹脂からなる封止部材が充填されて前記圧電素子保持部が密封されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0018】
かかる第2の態様では、流出防止パターンが設けられることにより、未硬化状態の封止部材が流出防止パターンの外側に流出し、封止基板の駆動配線を挿通する貫通孔内より流路形成基板の引き出し配線に達することを防止できる。よって、圧電素子保持部の封止をした後に、駆動ICと圧電素子の引き出し配線とをワイヤボンディング等で接続する場合、流れ出した封止部材により配線の接続ができなくなるという品質上の問題が解決できる。
【0019】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記流出防止パターンが、前記封止基板上に設けられた配線パターンと同一層で、且つ独立して形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0020】
かかる第3の態様では、封止基板上に配線パターンと流出防止パターンとを同時に形成することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0021】
本発明の第4の態様は、第2又は3の態様において、前記流出防止パターンが金からなることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0022】
かかる第4の態様では、金からなる流出防止パターンにより、未硬化状態の封止部材が流出防止パターンの外側に流れ出るのを確実に防止することができる。
【0023】
本発明の第5の態様は、第2〜4の何れかの態様において、前記封止基板がシリコン単結晶基板からなり、前記流出防止パターンが形成された面側の少なくとも当該流出パターン内には、二酸化シリコン層が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0024】
かかる第5の態様では、二酸化シリコン層により、未硬化状態の封止部材との濡れ性を向上して、封止孔を封止部材で確実に封止することができる。
【0025】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記封止路が屈曲した屈曲路であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0026】
かかる第6の態様では、屈曲した封止路によって、狭い領域に路長の長い封止路を形成することができ、圧電素子保持部内に封止部材が充填されるのを確実に防止して、圧電素子の運動を阻害することがない。
【0027】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
【0028】
かかる第7の態様では、ヘッドの信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
【0029】
本発明の第8の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて前記圧電素子の並設された列毎の運動を阻害しない程度の独立した空間を確保した状態で該空間を封止する圧電素子保持部が少なくとも2つ以上設けられた封止基板とを具備し、前記封止基板の列毎に並設された前記圧電素子保持部の間の領域には、当該封止基板上に設けられた駆動ICと前記圧電素子の個別電極とを電気的に接続するための貫通孔が、前記圧電素子の並設方向に複数設けられた液体噴射ヘッドの製造方法において、前記流路形成基板の一方面に前記振動板及び前記圧電素子を形成する工程と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に、隣接する前記圧電素子保持部の間の貫通孔と貫通孔との間の領域に設けられた厚さ方向に貫通する封止孔と、この封止孔が設けられた領域の前記流路形成基板との接合面に設けられ且つ一端が前記封止孔に連通すると共に他端が前記圧電素子保持部のそれぞれに連通する封止路とを具備し、前記封止基板上の前記封止孔の開口に対向する領域には、該開口の周囲に連続して形成された環状の流出防止パターンが設けられた前記封止基板を接合する工程と、前記封止孔及び前記封止路に樹脂からなる封止部材を充填して前記圧電素子保持部を密封する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0030】
かかる第8の態様では、封止基板の剛性を向上して変形による破損を防止することができると共に隣接する圧電素子保持部を1つの封止孔で容易に且つ確実に封止することができる。また、流出防止パターンを設けることにより、封止部材上の封止孔の開口に対向する領域に封止部材を容易に形成して確実に封止することができると共に流出防止パターンの外側に封止部材が形成されることがない。さらに、屈曲した封止路によって圧電素子保持部内に封止部材が充填されることがなく圧電素子の変形を阻害することがない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図であり、図3は、図2のA−A′断面図及びB−B′断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0032】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12が幅方向に2列並設され、その長手方向外側には、後述する封止基板30に設けられるリザーバ部32に連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
【0033】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0034】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0035】
なお、このような圧力発生室12等が形成される流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12を配設する密度に合わせて最適な厚さを選択することが好ましい。例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度に圧力発生室12を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、180〜280μm程度、より望ましくは、220μm程度とするのが好適である。また、例えば、360dpi程度と比較的高密度に圧力発生室12を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、100μm以下とするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0036】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
【0037】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50と下電極膜60とが振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0038】
ここで、圧電素子300の個別電極である上電極膜80には、圧電素子300の長手方向端部近傍から圧力発生室12の外側の領域まで引き出されるリード電極90がそれぞれ接続されている。このリード電極90は、例えば、金(Au)等からなり、本実施形態では、圧電素子300の長手方向端部近傍から圧力発生室12の列間に対応する領域まで延設されている。
【0039】
また、流路形成基板10の圧電素子300側には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態でその空間を密封する圧電素子保持部31を有する封止基板30が接合されている。この圧電素子保持部31は、各圧電素子300に対向する領域、すなわち、各圧力発生室12の列に対向する領域のそれぞれに設けられた圧電素子300の並設された列毎をそれぞれ独立して封止している。
【0040】
さらに、封止基板30には、圧力発生室12の並設された列毎に共通のインク室となるリザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられ、このリザーバ部32は、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。この封止基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0041】
また、本実施形態では、封止基板30の流路形成基板10との接合面とは反対側の面には、詳しくは後述する封止孔から未硬化状態の封止部材を充填する際に未硬化状態の封止部材との濡れ性を向上させる二酸化シリコン層33が形成されている。この二酸化シリコン層33は、例えば、予めシリコン単結晶基板を熱酸化することにより形成することができる。なお、二酸化シリコン層33は、少なくとも詳しくは後述する流出防止パターン内に設けられていればよいが、本実施形態では、封止基板30の流路形成基板10との接合面とは反対側の全面に亘って設けた。
【0042】
さらに、圧電素子保持部31の間、すなわち、封止基板30の中央部に対応する領域には、この封止基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔34が2つ設けられている。この貫通孔34は、圧電素子300の並設方向に亘って2つ設けられ、封止基板30の略中央部で分割されている。そして、上電極膜80から引き出されたリード電極90の一部がこの貫通孔34内に露出されている。
【0043】
また、封止基板30上の二酸化シリコン層33上には、各圧力発生室12に対応して設けられた圧電素子300の並設された列毎に、圧電素子300を駆動するための駆動IC110(半導体集積回路)が設けられている。そして、圧電素子300の上電極膜80から引き出されて貫通孔34内に延設されたリード電極90と駆動IC110とが、例えば、ボンディングワイヤ等の駆動配線111を介して電気的に接続されている。さらに、封止基板30の二酸化シリコン層33上には、圧電素子300の並設された端部側に外部配線112が接続され、外部配線112と駆動IC110とは、二酸化シリコン層33上に設けられた、例えば、金(Au)からなる配線パターン113を介して接続されている。
【0044】
このような封止基板30の2つの圧電素子保持部31の間の領域の、2つの貫通孔34が分割された領域には、封止基板30を厚さ方向に貫通して設けられた封止孔35と、この封止孔35が設けられた流路形成基板10との接合面に設けられて、一端が封止孔35に連通すると共に他端が圧電素子保持部31のそれぞれに連通する封止路36とが設けられている。
【0045】
なお、封止路36は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、複数回屈曲した屈曲路とした。これにより、封止路36を封止基板30の狭い領域で路長をできるだけ長くすることができ、詳しくは後述する未硬化状態の封止部材を封止路36に注入する際に圧電素子保持部31内に封止部材が注入されるのを防止することができる。また、封止孔35及び封止路36の路長及び断面積は、詳しくは後述する封止孔35及び封止路36内に注入する未硬化状態の封止部材の粘度や注入条件等によって、未硬化状態の封止部材が圧電素子保持部31内まで充填されないように適宜決定すればよい。このような封止孔35及び封止路36内には、封止基板30に設けられた封止孔35の開口側から樹脂材料からなる封止部材120が充填され、圧電素子保持部31を密封している。
【0046】
また、封止基板30上の二酸化シリコン層33の封止孔35の開口に対向する領域には、開口の周囲に連続して形成された環状の流出防止パターン37が形成されている。そして、この流出防止パターン37は、封止基板30上の二酸化シリコン層33の封止孔35の開口から未硬化状態の封止部材を注入する際に、未硬化状態の封止部材が流出防止パターン37の外側に流れ出すのを防止して、封止孔35の開口に対向する領域に硬化状態の封止部材120が形成されて、封止孔35の封止を確実に行っている。なお、封止部材120としては、例えば、揮発性溶媒を含有する樹脂の他、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0047】
また、流出防止パターン37は、例えば、金(Au)等の金属からなり、駆動IC110と外部配線112とを接続する配線パターン113と同一層で、且つ電気的に独立して形成することができる。このように流出防止パターン37を配線パターン113と同時に同一層で形成することで、流出防止パターン37を形成する工程を簡略化することができる。さらに、本実施形態では、封止基板30がシリコン単結晶基板を用いたため、圧電素子保持部31、リザーバ部32、貫通孔34、封止孔35及び封止路36等は、圧力発生室12等と同様にシリコン単結晶基板をアルカリ溶液による異方性エッチングを行うことにより高精度に形成することができる。
【0048】
このように、封止基板30に封止孔35及び封止路36が形成され、且つ貫通孔34の分割された領域を封止基板30の略中央部に設けることにより、封止基板30の剛性を高めて、熱による変形等によって破壊されるのを防止することができる。また、封止孔35及び封止路36内に充填した封止部材120によって2つの圧電素子保持部31を同時に封止することができるため、圧電素子保持部31の封止工程を簡略化することができる。
【0049】
さらに、封止基板30の流路形成基板10との接合面とは反対側の面に二酸化シリコン層33を形成するようにしたため、封止孔35に充填する未硬化状態の封止部材が、二酸化シリコン層33と濡れ性がよく、未硬化状態の封止部材が二酸化シリコン層33上に溜まり易いため、溜まった封止部材120によって封止孔35の封止、すなわち圧電素子保持部31の封止を確実に行うことができる。
【0050】
また、封止基板30の二酸化シリコン層33上に流出防止パターン37を形成するようにしたため、未硬化状態の封止部材が流出防止パターン37の外側に流出し、封止基板30の駆動配線111を挿通する貫通孔34内より流路形成基板10のリード電極90に達することを防止できる。よって、圧電素子保持部31の封止をした後に、駆動IC110と圧電素子300のリード電極90とをボンディングワイヤ等の駆動配線111で接続する場合、流れ出した封止部材120により駆動配線111の接続ができなくなるという品質上の問題が解決できる。さらに、本実施形態では、圧電素子保持部31と外部に開口する封止孔35とを連通する封止路36を屈曲させたため、長い封止路36を狭い領域に形成でき、封止部材120が圧電素子保持部31内まで充填されず、圧電素子300の運動を阻害することがない。
【0051】
また、封止基板30には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が形成されている。さらに、封止基板30には、インク導入口44とリザーバ100の側壁とを連通するインク導入路38が設けられている。
【0052】
なお、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段からインク導入口44及びインク導入路38を介してインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0053】
図4〜図6は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。まず、図4(a)に示すように、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0054】
次に、図4(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を弾性膜50の全面に形成後、下電極膜60をパターニングして全体パターンを形成する。この下電極膜60の材料としては、白金(Pt)等が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
【0055】
次に、図4(c)に示すように、圧電体層70を成膜する。この圧電体層70は、結晶が配向していることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
【0056】
何れにしても、このように成膜された圧電体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させた状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmである。次に、図4(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0057】
次に、図5(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300のパターニングを行う。次に、図5(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニングする。本実施形態では、リード電極90を各圧電素子300毎に上電極膜80上の長手方向端部近傍から弾性膜50上の圧電素子300の並設された列間まで形成した。以上が成膜プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図6(a)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300側の面に、圧電素子保持部31、封止孔35、封止路36及び流出防止パターン37等が予め形成された封止基板30を接合する。
【0058】
次に、図6(b)に示すように、封止基板30に形成された封止孔35及び封止路36内に封止部材120を充填することで、圧電素子保持部31を封止する。具体的には、未硬化状態の封止部材を二酸化シリコン層33の封止孔35の開口から注入して、封止孔35及び封止路36内に未硬化状態の封止部材を注入する。そして、注入した未硬化状態の封止部材を硬化させることで封止孔35及び封止路36内に封止部材120を形成し、圧電素子保持部31を封止することができる。
【0059】
この圧電素子保持部31の封止工程では、未硬化状態の封止部材を封止孔35の開口から注入する際に、封止基板30の表面に二酸化シリコン層33が形成されているため、二酸化シリコン層33が未硬化状態の封止部材との濡れ性が良好なことから、封止孔35の開口する領域の二酸化シリコン層33上に封止部材120が形成され易く、封止孔35の封止を確実に行うことができる。
【0060】
また、封止孔35の開口する二酸化シリコン層33上には、金属からなる環状の流出防止パターン37が形成されているため、未硬化状態の封止部材が流出防止パターン37の外側に流出し、封止基板30の駆動配線111を挿通する貫通孔34内より流路形成基板10のリード電極90に達することを防止できる。よって、圧電素子保持部31の封止をした後に、駆動IC110と圧電素子300のリード電極90とをボンディングワイヤ等の駆動配線111で接続する場合、流れ出した封止部材120により駆動配線111の接続ができなくなるという品質上の問題が解決できる。
【0061】
さらに、封止路36を屈曲させることで、封止部材120が圧電素子保持部31内に充填されることがなく、封止部材120により圧電素子300の運動が阻害されることがない。また、1つの封止孔35から2つの圧電素子保持部31を封止部材120で封止することができるため、封止工程を簡略化することができ、生産効率を向上することができる。
【0062】
次に、図6(c)に示すように、流路形成基板10を上述したアルカリ溶液による異方性エッチングを行うことにより、流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。なお、このように異方性エッチングを行う場合には、封止基板30の表面を封止した状態で行う。その後、流路形成基板10の封止基板30とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、封止基板30にコンプライアンス基板40を接合し、さらに、封止基板30上に駆動IC110を実装して駆動IC110と各圧電素子300とを駆動配線111を介して電気的に接続することにより、図1に示すような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
【0063】
なお、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。そして、分割した流路形成基板10に、コンプライアンス基板40及びノズルプレート20を接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。また、圧電素子保持部31の封止孔35を介した封止工程は、流路形成基板10と封止基板30とを接合後で、且つ一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する前であれば、何れのタイミングで行ってもよく、ウェハ単位で圧電素子保持部31の封止を行うことで、生産効率を向上させることができる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明の構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、圧力発生室12の並設された列を2列有する構造のインクジェット式記録ヘッドを例示して説明したが、勿論、本発明は、圧力発生室の並設された列を3列以上、複数列有するインクジェット式記録ヘッドに適用できることは言うまでもない。
【0065】
また、例えば、上述した実施形態1では、特に言及しなかったが、圧電素子保持部31内に不活性ガス等の乾燥流体を充填するようにしてもよい。これにより、圧電素子300が圧電素子保持部31内の乾燥流体雰囲気中に確実に密封されて外部環境と遮断される。なお、乾燥流体としては、不活性ガスの他、還元性ガスを用いることもできるが、逆に、酸化性ガスを含有させることにより、圧電体層70の劣化を防止する環境を形成することができる。また、このような不活性ガスを用いる場合には、その中の水の蒸気圧(分圧)をできるだけ低くするのが望ましい。また、このように圧電素子保持部31内に乾燥流体を充填するには、例えば、流路形成基板10と封止基板30とが接合された状態で、乾燥流体が充填された密封空間に配置し、その空間を減圧する。次いで、密封空間内に乾燥流体を導入して常圧に戻すことで圧電素子保持部31内に乾燥流体を充填し、この状態で、封止孔35及び封止路36を封止部材120で封止することで圧電素子保持部31内に乾燥流体を充填することができる。
【0066】
さらに、上述した実施形態1では、予め配線パターン113及び流出防止パターン37の形成された封止基板30を流路形成基板10に接合するようにしたが、特にこれに限定されず、封止孔35及び封止路36に封止部材120を充填する前の工程であれば、流路形成基板10と封止基板30とを接合後に配線パターン113及び流出防止パターン37を形成するようにしてもよい。また、例えば、上述の実施形態1では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0067】
さらに、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図7に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上に搬送されるようになっている。
【0068】
また、上述の実施形態1では、液体噴射ヘッドとして、印刷媒体に所定の画像や文字を印刷するインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法を一例として説明したが、勿論、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等、他の液体噴射ヘッド及びその製造方法にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図。
【図2】 実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図。
【図3】 実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図。
【図4】 実施形態1に係る製造工程を示す断面図。
【図5】 実施形態1に係る製造工程を示す断面図。
【図6】 実施形態1に係る製造工程を示す断面図。
【図7】 一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図。
【符号の説明】
10 流路形成基板、12 圧力発生室、20 ノズルプレート、21 ノズル開口、30 封止基板、31 圧電素子保持部、32 リザーバ部、33 二酸化シリコン層、34 貫通孔、35 封止孔、36 封止路、37 流出防止パターン、40 コンプライアンス基板、60 下電極膜、70 圧電体層、80 上電極膜、90 リード電極、100 リザーバ、110 駆動IC、112 外部配線、113 配線パターン、120 封止部材、300 圧電素子
Claims (8)
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて前記圧電素子の並設された列毎に運動を阻害しない程度の独立した空間を確保した状態で該空間を封止する圧電素子保持部が少なくとも2つ以上設けられた封止基板とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、
前記圧電素子を駆動するための駆動ICが前記封止基板上に列毎に独立して設けられ、また、前記封止基板の列毎に並設された前記圧電素子保持部の間の領域には、当該封止基板上に設けられた前記駆動ICと前記圧電素子の個別電極とを電気的に接続するための貫通孔が、前記圧電素子の並設方向に複数設けられていると共に当該貫通孔と貫通孔との間の領域に、厚さ方向に貫通する封止孔と、この封止孔が設けられた領域の前記流路形成基板との接合面に設けられ且つ一端が前記封止孔に連通すると共に他端が前記圧電素子保持部のそれぞれに連通する封止路とが設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記封止基板上の前記封止孔の開口に対向する領域には、該開口の周囲に連続して形成された環状の封止部材の流出防止パターンが設けられ、前記封止孔及び前記封止路に樹脂からなる封止部材が充填されて前記圧電素子保持部が密封されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
- 前記流出防止パターンが、前記封止基板上に設けられた配線パターンと同一層で、且つ独立して形成されていることを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッド。
- 前記流出防止パターンが金からなることを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴射ヘッド。
- 前記封止基板がシリコン単結晶基板からなり、前記流出防止パターンが形成された面側の少なくとも当該流出防止パターン内には、二酸化シリコン層が形成されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記封止路が屈曲した屈曲路であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて前記圧電素子の並設された列毎の運動を阻害しない程度の独立した空間を確保した状態で該空間を封止する圧電素子保持部が少なくとも2つ以上設けられた封止基板とを具備し、前記封止基板の列毎に並設された前記圧電素子保持部の間の領域には、当該封止基板上に設けられた駆動ICと前記圧電素子の個別電極とを電気的に接続するための貫通孔が、前記圧電素子の並設方向に複数設けられた液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記流路形成基板の一方面に前記振動板及び前記圧電素子を形成する工程と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に、隣接する前記圧電素子保持部の間の貫通孔と貫通孔との間の領域に設けられた厚さ方向に貫通する封止孔と、この封止孔が設けられた領域の前記流路形成基板との接合面に設けられ且つ一端が前記封止孔に連通すると共に他端が前記圧電素子保持部のそれぞれに連通する封止路とを具備し、前記封止基板上の前記封止孔の開口に対向する領域には、該開口の周囲に連続して形成された環状の流出防止パターンが設けられた前記封止基板を接合する工程と、前記封止孔及び前記封止路に樹脂からなる封止部材を充填して前記圧電素子保持部を密封する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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