JPH115305A - 液体噴射装置とその製造方法 - Google Patents

液体噴射装置とその製造方法

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JPH115305A
JPH115305A JP10113448A JP11344898A JPH115305A JP H115305 A JPH115305 A JP H115305A JP 10113448 A JP10113448 A JP 10113448A JP 11344898 A JP11344898 A JP 11344898A JP H115305 A JPH115305 A JP H115305A
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ejecting apparatus
liquid ejecting
liquid
substrate
piezoelectric
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JP10113448A
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English (en)
Inventor
Akihiko Nanba
昭彦 南波
Yoshihiro Tomita
佳宏 冨田
Tetsuyoshi Ogura
哲義 小掠
Osamu Kawasaki
修 川▲崎▼
Masahito Sugimoto
雅人 杉本
Katsumi Imada
勝巳 今田
Atsushi Komatsu
敦 小松
Kazuo Eda
和生 江田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェットプリンタのヘッドに利用される
液体噴射装置において、接合部を強固にし、耐久性をあ
げると共に、接合部から不純物が出ないような液体噴射
装置を提供する。 【解決手段】凹状のケーシング部材と、凹状部分に覆い
被さる圧電駆動素子とで液体を貯蔵する液体貯蔵部を形
成する。 凹状部分の開口面と圧電駆動素子とが直接接
合され、接着剤を用いず、強固な接合部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体噴射装置,特
にインクジェットプリンタのヘッドに代表される微細な
液体粒子を間欠的に噴射する装置とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年,カラー印刷を低価格で実現できる
プリンタとして,インクジェットプリンタの普及が急速
に進んでいる。このインクジェットプリンタの性能を決
めるのがプリンタヘッドであり,微細な液体粒子を間欠
的に噴射する液体噴射装置からなっている。インクジェ
ットプリンタには高解像度印刷,多階調印刷,高速印刷を
低価格で実現することが求められている。
【0003】高解像度印刷を実現するには,液体噴射装
置の性能として、1ドットあたりのインクの粒径を小さ
くする(小ドット径)ことが必要である。これには、イ
ンクを噴射する噴射口部分を精密に加工する必要があ
る。例えば、600dpiで印刷を行うには,ドット径
を40μm以下にしなければならず、40μm以下の噴
射口の精密加工が必要となる。
【0004】多階調度印刷を実現するには、液体噴射装
置の性能として、以下のようなことが要求される。まず
第1に、インクの粒径、形状を精度よく制御すること
(ドット制御)であり、これには、インクを制御性良く
噴射すること、つまり、安定した噴射手段を用いて、所
望の量のインクを安定して噴射することが必要とされ
る。更に、詳細に説明する。一般に、階調制御の方法と
しては、面積変調やドット変調などが挙げられる。面積
変調は記録するドットを間引いて、つまり、ドットの記
録密度を下げることにより、濃淡を表現する方法であ
り、実質的な意味で、高解像度、多階調印刷とは言えな
い。これに対し、ドット変調は、インクの噴射量を変え
ることにより、濃淡を表現する方法である。例えば、ド
ット変調を用いて、一色あたり16階調の印刷を実現す
るには、インクの量の制御を5%程度で行わなければな
らないが、現在では、インクを制御性良く噴射すること
が困難であるため、ドットあたりの階調は2〜4と極め
て小さい。
【0005】高速印刷を実現するには、液体噴射装置の
性能として、以下のようなことが要求される。ます第1
に、短時間で間欠的にインクが噴射をできるということ
である。例えば、A4用紙に600dpiで印刷するに
は、一色あたり3〜4千万ドット必要であり、1分で印刷
しようとすれば、50万ドット/秒以上で印刷しようと
すれば、3千万ドット/秒以上の高速な間欠噴射のでき
る液体噴射装置が必要である。第2に、液体噴射ノズル
を多数並列に設置する(多ノズル化)ということであ
る。多ノズル化を行うには、価格の高騰、素子の大型化
を抑えつつ、ノズルを高密度の加工、配置していく必要
がある。
【0006】また、インクなどの液体を精度よく噴射す
る装置は、インクジェットプリンタのみならず、工業製
品への刻印や描画、薬液の塗布など、製造ラインでも利用
されており、他分野でも高速で精度のよい液体噴射装置
が求められている。
【0007】ここで、従来の液体噴射装置として、代表
的なインクジェットプリンタ用のヘッドを例に説明す
る。インクジェットプリンタ用のヘッドは、熱式と圧電
式の大きく2種類に分類することができる。熱式の原理
を図22を参照しながら説明する。図22はヘッド部の
断面図である。基板801と基板802の間に挟まれた
空間にインク貯蔵部803が設けられており、インク貯
蔵部803の間にヒーター804が設けられている。イ
ンクは毛細管現象により、インク貯蔵部の供給側(イン
ク注入口805)から自然供給され、ヒーター504に
電流を流すことでインクが突沸し、先端部のインクをイ
ンク噴射口806から噴射する。
【0008】圧電式のインクジェットプリンタ用のヘッ
ドの例を、ヘッドの断面図である図23を参照しながら
説明する。図23で811はモノモルフ圧電駆動素子で
ある。モノモルフ圧電駆動素子は固定基板813と電極
が上下面に設けられた圧電性セラッミクから構成されて
いる。また、インク流路(貯蔵部)818、インク注入
口815、インク噴射口816は接着媒体817を基体
814を積層することで形成されている。形成方法は、
モノモルフ圧電駆動素子811はジルコニアからなる積
層焼結体にした電極を印刷・焼成し、その上に圧電性セ
ラミックとしてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のペー
ストを印刷・焼成し、その上に上電極を印刷・焼成して
いる。流路(貯蔵)部は、3層の金属板を樹脂接着フィ
ルムを挟んで積層・接着することで、ノズルとインク供
給流路をかねた構造を実現している。インクの供給はノ
ズル部に設けられたインク供給流路を経てインク駆動
部、ノズル部へと毛細管現象によりなされ、インクの噴
射はモノモルフ圧電駆動素子によりインク流路部(貯蔵
部)818のインクを加圧することで噴射口816から
行う。実際のヘッドは高速印刷のため、以上説明した素
子が複数一列に並んだ構造となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱式及び、圧電式の液体噴射装置では、高解像印刷、多
階調印刷、高速印刷を低価格で実現する上で以下の課題
がある。
【0010】従来の熱式の液体噴射装置は構造が単純で
あるため、安価に製造できる利点を有しているが、液体の
突沸を利用して液体を噴射しているため、1ドットの印
刷時に気化する液体の量や液体の噴射量を制御すること
がきわめて難しく、高解像度、多階調の印刷が困難であ
る。また、液体の噴射毎に加熱、冷却を繰り返すため、ヒ
ーターを支える気体や液体の熱容量の分だけ昇温、降温
に時間がかかり、高速な印刷が困難である。更に、加熱、冷
却を高速で繰り返すため、熱衝撃により基体やヒーター
が損傷し、寿命が短いという課題がある。
【0011】一方、圧電式の液体噴射装置は、圧電駆動
素子を用いて液体を押し出しているため、熱式に比べて
瞬時に変形し、液体の噴射の繰り返し時間を短くでき、
噴射量の制御も容易である。しかし、より微細な液体粒
子の噴射や噴射量の正確な制御には、所望の粒子径に合
わせた微細で精度のよい液体貯蔵部、ノズル部の形成
と、圧電駆動素子の高い制御性、再現性が必要である。
従来の圧電式の液体噴射装置は、ジルコニアのグリーン
シートに流路形状の穴を抜いたものを積層して流路を形
成しており、微細で高精度な流路形成が困難である。穴
開けの精度だけではなく、積層時のプレスでの流路形状
の変形、焼成時の収縮、たわみなどが生じ、更に、モノモ
ルフ圧電駆動素子部は、流路材質とは異なる圧電セラミ
ックを積層。高温焼成するため、より変形してしまう。
これらの焼成変形は大面積になるほど誤差が大きくな
り、高速印刷に対応して、多ノズル化した場合のノズル
間ピッチなどの寸法精度を出すことが困難となり、大面
積、多ノズル化には限界がある。また、圧電駆動部と液
体貯蔵、噴射部を別部品として樹脂フィルムにより接着
固定しており、位置合わせのずれや接着層の厚さ、接着状
態のむらにより流路の条件が微妙に異なり噴射量のばら
つきが生ずる。また、圧電駆動部と液体貯蔵、噴射部が
別部品で、高精度な位置合わせを必要とすることから、
組立が難しく、組立コストの増大を招く。
【0012】また、圧電セラミックは印加電圧に対する
駆動特性が非線形であり、高精度な制御が難しい。更
に、ヒステリシスを持つため印加されたパルスの履歴に
より、噴射量のばらつきが生じる。また、分極処理が容
易なキュリー点が300℃程度のものが用いられるた
め、動作時の自己発熱と印加電圧の影響により分極状態
が徐々に変化してしまう。多ノズル化した場合、それぞ
れの圧電素子の特性が組成や焼結条件、分極処理条件に
よりばらつく。
【0013】また、液体噴射装置において、1回の噴射
で押さなくてはならない液体の体積は、圧電駆動部と液
体貯蔵部(ノズル部も含む)をあわせた体積である。従
来のごとく微細化が困難である場合、噴射させたい微少
な液体粒子の体積に比べて、大量の液体を押さなくては
ならず、高速な間欠噴射が難しいという課題を有してい
た。また、液体噴射装置の液体貯蔵部を構成する際に接
着剤を用いると、次に説明するような種々の弊害が生じ
る。 (イ)接着剤の一部が液体貯蔵部に析出し、インクの質
を低下させる。 (ロ)接着剤の一部が液体貯蔵部に析出し、噴射口がつ
まる。 (ハ)接着剤の一部が液体貯蔵部にはみ出し、液体貯蔵
部体積にばらつきが生ずる。 (ニ)接着剤の一部が液体貯蔵部にはみ出し、そこに気
泡が付着する。 (ホ)接着剤を用いた場合、接着強度に限界がある。 (ヘ)接着剤を用いた場合、経年変化が生じ、寿命が短
い。 (ト)液体貯蔵部内に高圧力が生じ、接着剤の接合部に
激しい疲労が生ずる。
【0014】本発明は、以上説明した課題を解決するも
のであり、噴射する液体をミクロンオーダーに小径化す
ること(小ドット径)及び、液体の噴射量を精密に制御
する(ドット径制御)ことにより、高解像な印刷を実現
し、更には、液体の噴射量の再現性(ドット再現性)を
高めること、及び精密なドット径制御により、多階調な
印刷を実現し、更には、短い時間で間欠的に液体を噴射
する(高速噴射)こと、及び装置に具備されるノズルの
数を増やすこと(多ノズル化)により、高速印刷を実現
し、更には、これらの機能を備えた長寿命で安価な液体
噴射装置提供することを目的としており、本発明の液体
噴射装置を用いることで、高解像、多階調、高速な印刷を
低価格で実現するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる液体噴
射装置は、平坦な開口面を有する凹状のケーシング部材
と、該ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆う
ように開口面に配置された圧電駆動素子から成り、ケー
シング部材と圧電駆動素子とで形成される空間に液体を
貯蔵する液体貯蔵部を形成し、液体貯蔵部には、少なく
とも、液体を注入するための液体注入口と、貯蔵された
液体を噴射する液体噴射口を設けた液体噴射装置であっ
て、該開口面と該圧電駆動素子とが直接接合されたこと
を特徴とする液体噴射装置である。
【0016】請求項2にかかる液体噴射装置は、前記圧
電駆動素子が第1と第2の圧電基板で構成され、該第1と
第2の圧電基板は直接接合されたことを特徴とする請求
項1記載の液体噴射装置である。
【0017】請求項3にかかる液体噴射装置は、前記圧
電駆動素子が第1と第2の圧電基板で構成されたバイモル
フ素子であることを特徴とする請求項1記載の液体噴射
装置である。
【0018】請求項4にかかる液体噴射装置は、前記第
1と第2の圧電基板は、互いに逆向きの分極方向で直接接
合していることを特徴とする請求項3記載の液体噴射装
置である。
【0019】請求項5にかかる液体噴射装置は、前記圧
電駆動素子は、第1と第2の圧電基板の間に配置される
導電性を有する少なくとも1つの中央基板を有し、該中
央基板と第1、第2の圧電基板のうち少なくとも1つと
が直接接合していることを特徴とする請求項3記載の液
体噴射装置である。
【0020】請求項6にかかる液体噴射装置は、前記中
央基板がシリコン、或いは、ガリウム砒素、或いは、イ
ンジウムリンであることを特徴とする請求項5記載の液
体噴射装置である。
【0021】請求項7にかかる液体噴射装置は、前記圧
電駆動素子は、少なくとも1つ以上の圧電基板と、屈曲
変位を発生させ、該圧電基板を固定するための固定基板
で構成されるモノモルフ素子であることを特徴とする請
求項1記載の液体噴射装置である。
【0022】請求項8にかかる液体噴射装置は、前記固
定基板は、前記圧電駆動素子に電圧を印加するための電
極であることを特徴とする請求項7記載の液体噴射装置
である。
【0023】請求項9にかかる液体噴射装置は、前記圧
電駆動素子は、単結晶ニオブ酸リチウム、単結晶タンタ
ル酸リチウム、単結晶ニオブ酸カリウム、チタン酸ラン
タン酸ジルコン酸鉛のうちの少なくとも1種類の材料か
らなることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置で
ある。
【0024】請求項10にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材はシリコンで構成されていることを特徴
とする請求項1記載の液体噴射装置である。
【0025】請求項11にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材には電気回路が形成されていることを特
徴とする請求項1記載の液体噴射装置である。
【0026】請求項12にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材は、一体構成されていることを特徴とす
る請求項1記載の液体噴射装置である。
【0027】請求項13にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材は、ベース基板と、該ベース基板に直接
接合された枠基板で構成されていることを特徴とする請
求項1記載の液体噴射装置である。
【0028】請求項14にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材は、ガラスで構成されていることを特徴
とする請求項1記載の液体噴射装置である。
【0029】請求項15にかかる液体噴射装置は、底部
と平坦な開口面を有する凹状のケーシング部材と、該底
部に接続された圧電駆動素子と、該ケーシング部材の開
口面を覆うように開口面に配置された支持基板から成
り、ケーシング部材と支持基板とで形成される空間に液
体を貯蔵する液体貯蔵部を形成し、液体貯蔵部には、少
なくとも、液体を注入するための液体注入口と、貯蔵さ
れた液体を噴射する液体噴射口を設けた液体噴射装置で
あって、該開口面と該支持基板とが直接接合されたこと
を特徴とする液体噴射装置である。
【0030】請求項16にかかる液体噴射装置は、前記
圧電駆動素子は、単結晶ニオブ酸リチウム、単結晶タン
タル酸リチウム、単結晶ニオブ酸カリウム、チタン酸ラ
ンタン酸ジルコン酸鉛のうちの少なくとも1種類の材料
からなることを特徴とする請求項15記載の液体噴射装
置である。
【0031】請求項17にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材はシリコンで構成されていることを特徴
とする請求項15記載の液体噴射装置である。
【0032】請求項18にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材には電気回路が形成されていることを特
徴とする請求項15記載の液体噴射装置である。
【0033】請求項19にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材は、ガラスで構成されていることを特徴
とする請求項15記載の液体噴射装置である。
【0034】請求項20にかかる液体噴射装置は、前記
圧電駆動素子は前記底部に直接接合されたことを特徴と
する請求項15記載の液体噴射装置である。
【0035】請求項21にかかる液体噴射装置は、開口
面を有する凹状のケーシング部材の開口面を鏡面仕上げ
し、圧電駆動素子の少なくとも一面を鏡面仕上げし、該
ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆うように
圧電駆動素子を配置し、該圧電駆動素子の鏡面仕上げさ
れた一面と、鏡面仕上げされた開口面とを直接接合した
ことを特徴とする液体噴射装置の製造方法である。
【0036】請求項22にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材の開口面または圧電駆動素子の一面の少
なくともいずれか一方は、研磨により鏡面仕上げされた
ことを特徴とする請求項21記載の液体噴射装置の製造
方法である。
【0037】請求項23にかかる液体噴射装置は、底部
と開口面を有する凹状のケーシング部材の開口面を鏡面
仕上げし、支持基板の少なくとも一面を鏡面仕上げし、
該ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆うよう
に支持基板を配置し、該支持基板の鏡面仕上げされた一
面と、鏡面仕上げされた開口面とを直接接合し、該底部
に圧電駆動素子を接続したことを特徴とする液体噴射装
置の製造方法である。
【0038】請求項24にかかる液体噴射装置は、前記
ケーシング部材の開口面または支持基板の一面の少なく
ともいずれか一方は、研磨により鏡面仕上げされたこと
を特徴とする請求項23記載の液体噴射装置の製造方法
である。
【0039】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)本発明の液体噴射装置の第1の実
施の形態を図1を参照しながら説明する。図1(a)〜
(b)は本実施の形態の液体噴射装置の構造を示した図
であり、図1(a)は液体噴射装置の斜視図、図1
(b)は図1(a)のハ−ニ−ホ−ヘで囲まれた領域に
おけるシリコン基板のみの斜視図である。また、図2は
図1の液体噴射装置の1素子のみを見た場合の図で、図
2(a)は上面図、図2(b)は図1(a)のイ−ロに
おける断面図、図2(c)は下面図である。
【0040】図1、及び、図2において、101、及
び、102は圧電基板であり、例えば、単結晶ニオブ酸
リチウム基板である。103a,103bは単結晶ニオ
ブ酸リチウム基板101,及び102の所定の部分に設
けられたチタン、金を積層した電極である。108は単
結晶ニオブ酸リチウム基板101、及び、102と電極
103から構成されるバイモルフ素子(圧電駆動素子)
である。104はバイモルフ素子108を保持し、か
つ、インク106を貯蔵,噴射するための凹状のケーシ
ング部材で、例えばシリコン基板である。105はシリ
コン基板104に設けられたインク106を貯蔵するた
めの液体貯蔵部であり、107はインクを噴射するため
の噴射口である。109はフィルムレジストである。ま
た、113はインクの注入口である。
【0041】本実施の形態の液体噴射装置の寸法につい
て説明する。図1の液体噴射装置の大きさは、長辺方向
(圧電素子の幅方向で直線ハ−ニに平行な方向)が24
mmで、短辺方向(圧電素子の長手方向)が7mmであ
る。また、図2において、単結晶ニオブ酸リチウム基板
101、102の大きさは,共に,縦(幅方向)120
μm,横(長手方向)は1〜5mmで,厚みは各々20
μmである。シリコン基板104の空隙105の上面か
らみた開口部は縦90μm,横4.2mmである(図2
(a))。シリコン基板104で噴射口107を除く空
隙105の深さは50μmである。噴射口107の下面
からみた開口部は縦20μm、横20μmである(図2
(c))。
【0042】次に、本実施の形態の液体噴射装置の圧電
駆動基板の構造について図5を説明する。単結晶ニオブ
酸リチウム基板101、及び、102は基板の厚み方向
に対して、図5(a)に示すように、反対方向に分極さ
れている。通常、単結晶ニオブ酸リチウムは結晶のZ軸
方向、つまり、c軸方向に分極している。単結晶ニオブ
酸リチウム基板101、102は図5(c)に示すよう
に、x軸を回転軸としてy軸を140度回転させて新た
にy’軸とし、同時にz軸も140度回転させてz’軸
とした時、y’軸を法線方向とするように、切断された
基板である。つまり、単結晶ニオブ酸リチウム基板10
1、102は図5(d)に示すように切断された基板で
ある。この基板101、102を表裏反対になるように
貼り合わせると図5(a)に示したような分極方向を持
つ基板となる。また、図5(b)に示すように、分極方
向を完全な逆方向ではなくて、80度の開きになるよう
に切断し、貼り合わせても良い。
【0043】本実施の形態では、ニオブ酸リチウム基板
101、及び、102は、所定の方位に分極しているイ
ンゴットから、前記したカット角度で切断された後、後
述する工程により直接接合され、更に、電極103a、
103bが上下面に形成される。また、ニオブ酸リチウ
ム基板101、及び、102は基板の板厚方向にパルス
電圧が印加されると、基板の長手方向に伸縮するという
特性をもつため、分極反転して貼り合わせることによ
り、ニオブ酸リチウム基板101が伸びの変位を持つ場
合には、ニオブ酸リチウム基板102は縮みの変位を持
つことになり、屈曲変位をうるバイモルフ素子108を
構成することができる。また、バイモルフ素子108は
シリコン基板104と樹脂シート、例えば、フィルムレ
ジストを介して保持されている。フィルムレジストによ
る保持は単結晶ニオブ酸リチウム基板102の3つの辺
で行われており、3辺保持となっている。
【0044】次に、本実施の形態の液体噴射装置の動作
原理について説明する。毛細管現象によりインクは空隙
105に貯蔵され、表面張力により保持される。電極1
03にパルス電圧を印加すると、バイモルフ素子は屈曲
変位を生じ、空隙105に貯蔵されたインク106を加
圧する。インク106は加圧されることにより、噴射口
107より押し出され(図6(a))、パルス電圧がな
くなるとバイモルフ素子は元の状態に戻り、押し出され
たインクは切り離される(図6(b))。押し出される
勢いが強いので、押し出されたインクは噴射される。
【0045】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、バ
イモルフ素子108を構成する圧電体として、圧電単結
晶材料を用いていること、及び、バイモルフ素子108
を構成する単結晶ニオブ酸リチウム基板101、及び、
102が直接接合していることである。図4(a)は本
実施の形態の圧電単結晶バイモルフ素子、及び、PZT
(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いて構成したセラミック
材料バイモルフ素子の相対駆動電圧値と規格化変位の関
係を示したものである。図のように、本実施の形態の圧
電単結晶バイモルフ素子では、駆動電圧値に対して、素
子の変位量、つまりは、インクの噴出量が直線的に変化
し、噴出量の制御性(ドット制御性)が良い。
【0046】また、図4(b)は本実施の形態の圧電単
結晶バイモルフ素子、及び、PZT(チタン酸ジルコン
酸鉛)を用いて構成したセラミック材料バイモルフ素子
の相対駆動電圧値と規格化変位の関係を電圧印加履歴を
含めて示した図である。図のように、セラミック材料バ
イモルフ素子では、駆動電圧値の印加履歴によって、同
一の駆動電圧値であっても、素子の変位量が異なるとい
う現象(材料特性によるヒステリシス)が起こる。ま
た、図に示した特性は一例で、印加履歴を変えること
で、種々の変位特性をとることになる。以上のヒステリ
シスは、セラミック材料(PZT)の分極状態が印加電
圧によって変化し、圧電特性が変化するために起こる現
象である。このような材料特性によるヒステリシスを有
する圧電材料で、圧電駆動素子を構成すると、駆動電圧
値により素子の変位量を制御するということが非常に困
難になり、つまりは、液体の噴射量を制御することが困
難となる。
【0047】また、これとは、別に、接着剤によっても
ヒステリシスが発生する。例えば、2枚のPZT基板を
接着剤ではりあわせ、セラミック材料バイモルフ素子を
構成すると、接着剤の影響により、変位−駆動電圧特性
にヒステリシスが発生する。このヒステリシスには種々
の原因が考えられるが、その主なものとしては、以下の
ことがあげられる。セラミック材料バイモルフ素子に電
圧を加えると、素子は屈曲の方向に変形する(変位が大
きくなる)し、接着剤に応力が加わることになる。駆動
電圧を変えても、この応力が残留応力となって素子の変
位特性に影響を与える。また、これらヒステリシスは液
体噴射量の再現性も悪くする。また、ヒステリシス以外
にも、接着剤により素子特性が影響を受けることがあ
る。接着剤は、弾性エネルギーの損失を少なくするため
には、極力薄くすることが必要であるが、現実的には、
接着剤の厚みは数μm程度になる。また、接着剤を均一
の厚さで塗布することは困難であるが、接着剤の厚みむ
らは圧電駆動素子の特性のばらつきの原因となる。以上
の理由で、圧電駆動素子に接着剤を用いることで、液体
噴射装置の噴射量の再現性、制御性が悪くなる。
【0048】なお、図1に示すように、シリコン基板1
04上に圧電駆動素子(バイモルフ素子108)の駆動
回路30を組み込むことが可能である。駆動回路30か
らは、各圧電駆動素子に駆動信号が送られ、ゲート31
を介して電極103aに伝えられる。他方の電極103
bは、圧電駆動素子の裏面のほぼ一面に設けられ、接地
される。駆動回路30を別に設ける必要がないので、装
置のさらなる小型化が実現できる。特に、圧電駆動素子
の駆動制御電圧を個々の圧電駆動素子に分配して印可す
る回路素子を内蔵することにより、従来用いていた並列
の電気ケーブルが不要となり、大幅な小型化が実現でき
る。
【0049】以上説明した構造により、以下のような効
果がある。まず第1に圧電単結晶である単結晶ニオブ酸
リチウム基板101,102を用いて圧電駆動素子10
8を構成しているため、次のような効果がある。
【0050】前記した駆動電圧値に対する素子の変位量
が直線的に変化することから、液体噴射量の制御(ドッ
ト制御)が容易に行える。
【0051】また、単結晶材料を用い、圧電駆動素子を
形成することにより、材料特性によるヒステリシスもな
く、かつ、圧電単結晶基板を直接接合によりはりあわせ
ているため、接着剤によるヒステリシスもなく、液体噴
射量の制御が確実に行え、かつ、液体噴射量の再現性も
高くなる。噴射量の再現性を高くすることで、ドットサ
イズを均一にすることが可能となる。
【0052】 また、単結晶材料は製造ロッド間、及
び、同一基板内での材料特性のばらつきが小さいため、
液体噴射装置間の特性のばらつき、及び、同一液体噴射
装置内における素子間の特性のばらつきが小さい。つま
りは、装置間、及び、素子間における液体噴射量の再現
性(ドット再現性)を高くできる。
【0053】また、単結晶材料は、セラミック材料と異
なり、粒界がないため、ミクロンオーダーでの薄板化が
容易にできるので圧電駆動素子の変位量を大きくとるこ
とができる。また、単結晶材料の機械的強度の低下は、
セラミック材料のそれよりも小さいので、圧電駆動素子
の駆動周波数を高くした場合でも素子寿命の低下、素子
特性の劣化は軽減される。従って高い駆動周波数による
高速噴射が可能となる。
【0054】また、第2に、圧電駆動素子が単結晶ニオ
ブ酸リチウム基板101,102を直接接合することで
構成されていることから、以下のような効果がある。原
子レベルの固着である直接接合により、圧電単結晶基板
が固着しているため、接合状態のばらつきによる圧電駆
動素子の特性のばらつきはほとんどなく、装置間、及
び、素子間における液体噴射量の再現性(ドット再現
性)を高くできる。直接接合は、経年変化がほとんどな
い安定な接合であり、径年変化による圧電駆動素子の特
性劣化、及び、径年変化による特性の素子間のばらつき
をすくなくすることがでる。従って、径年変化なく噴射
量の再現性(ドット再現性)を高くできる。更に、接着
剤によるエネルギー損失もなく低い駆動電圧で大きな変
位、つまりは、液体の噴射量を得ることが可能となる。
また、曲げなどの機械的衝撃に対しても直接接合部の変
化、例えば、剥がれなどはほとんどなく、高周波で素子
を駆動することができ、高速噴射を実現できる。
【0055】以上説明した効果により、ドット径の制御
性が高く、ドットの再現性が高く、高速印刷が可能な液
体噴射装置を径年変化なく構成することができる。
【0056】なお、単結晶ニオブ酸リチウム基板10
1,102を単結晶圧電基板で構成すれば、基板10
1,102の接着は必ずしも直接接合による必要はな
く、接着剤を用いても良い。例えば、図3に示すように
接着剤110としてポリイミド薄膜を用いて2枚の圧電
体である単結晶ニオブ酸リチウム基板101,102を
接着してバイモルフ素子を構成しても良い。また、前記
した接着層を持つバイモルフ素子では接着層によるエネ
ルギー損失があり、本実施の形態において、2〜4μm
の接着層をもつ構造の場合、直接接合を用いる構造に比
べ、25〜35%のエネルギー損失がある。
【0057】また、シリコン基板104は、シリコンを
用いているため液体噴射口、液体貯蔵部を精密に微細化
でき、ドット再現性の向上、多ノズル化という点で効果
がある。
【0058】また、前記したように、集積回路を内蔵し
たシリコン基板を用いることで、素子の大幅な小型化が
可能である。
【0059】次に、本実施の形態の液体噴射装置の製造
方法を図7、及び図8を参照しながら説明する。図7
(a)、(b)、(c)はシリコン基板の一部を拡大し
た図、図8(a)、(b)は単結晶ニオブ酸リチウム基
板101、102の接合基板、及び、接合基板を薄板化
した基板である。
【0060】以下、本実施の形態の液体噴射装置の製造
方法について説明する。 (ステップ1)図7(a)に示すように、基板表面が
(100)面であるシリコン基板104上に酸化珪素の
エッチングマスクをフォトリソグラフィーにより形成
し、ヒドラジンにより異方性エッチングを行う。これに
より、空隙105が形成される。また、同時に、ダイシ
ングライン114を形成する。 (ステップ2)図7(b)に示すように、シリコン基板
104の裏面(下面)に噴射口107をステップ1と同
様の工程で作成する。次に、図7(c)に示すように、
単結晶ニオブ酸リチウム基板102と接着する部分に感
光性のフィルムレジストをフォトリソグラフィーにより
設ける。このフィルムレジストは、後のステップ5にお
いて利用する。なお,フィルムレジストによる保持強度
を強くするために,フィルムレジストの設けられている
部分は予め,エッチング,サンドブラスト等により,表
面を荒らしておくことが好ましい。これは,後で説明す
るステップ4についても同様である。 (ステップ3)単結晶ニオブ酸リチウム101、及び、
102を直接接合する。直接接合の工程を以下に示す。
単結晶ニオブ酸リチウム基板101、及び102を所定
の厚み、例えば、300μmに鏡面研磨する。2枚の基
板101,102を親水化処理する(図21(a))。
親水化処理はアルカリ系の洗浄液で洗浄後、純水で充分
リンスすることにより行う。次に、2つの基板を重ね合
わせる(図21(b))。この時点でかなりの接着効果
が得られているので、ここで直接接合を終了しても良
い。更に接着強度が必要な場合は、500℃で2時間、
熱処理を行う(図21(c))。熱処理は、100℃〜
1000℃の温度範囲で行っても良いが、好ましくは、
200℃〜600℃の温度範囲で行う。以上の工程によ
り、単結晶ニオブ酸リチウム基板1及び2は直接接合さ
れる。更に、直接接合された基板を単結晶ニオブ酸リチ
ウム基板101、及び、102が各々20μmの厚みに
なるよう鏡面研磨を行う(図8(c))。
【0061】ここで、直接接合について更に説明する。
直接接合は、例えば、以下のような工程で実現される。
【0062】(ステップa)基板の重ね合わせる面を鏡
面仕上げする。
【0063】(ステップb)基板を洗浄し、基板表面を
親水化処理する。すると、基板表面に水酸基が、付着さ
れる(図21(a))。
【0064】(ステップc)基板を重ね合わせる。する
と、一方の面の水酸基が他方の面の水酸基と水素結合す
る(図21(b))。
【0065】(ステップd)熱処理を行う。すると、水
分子が排出され、原子間接合が達成される(図21
(c))。
【0066】以上の工程で、基板は直接接合される。ま
た、直接接合の接合の形態には、概ね次の3種類が存在
する。
【0067】(イ)水素結合による固着状態 接合前の工程において意図的に基板表面に付着させた水
酸基、或いは、微量に残った水分子等の水素結合により
固着した接合状態である。
【0068】(ロ)原子間接合による固着状態 原子間接合による固着とは、基板表面を構成している原
子同士が、接着剤などの基板表面を構成する原子以外か
らなる中間接着層を介すことなく、直接に接合されてい
る状態を意味する。例えば、シリコン基板同士の接合で
のシロキサン接合(Si−O−Si)が原子間接合にあ
たり、共有結合やイオン結合は原子間接合である。
【0069】(ハ)水素結合及び、原子間接合の共存し
た固着状態 以上の接合状態は、主に、熱処理温度によって変わり、
高温で熱処理を施すことによって、接合形態は、(イ)
(ハ)(ロ)の順に変化していき、接合強度も順に大き
くなっていく。
【0070】このような直接接合は原子レベルで固着し
ているため、経年変化がほとんどない安定な接合を実現
することができる。例えば、実施の形態1で詳しく述べ
るが、直接接合により固着した2枚の圧電体において、
接合面にわたって圧電振動を起こしても、接合面におけ
る弾性エネルギーの損失はほとんどない。 (ステップ4)直接接合された単結晶ニオブ酸リチウム
基板101、及び、102上にチタン、金からなる電極
103を真空蒸着により成膜する。以上の工程により、
バイモルフ素子108を作製する。次に、シリコン基板
104と接着する部分に感光性のフィルムレジストをフ
ォトリソグラフィーにより設ける。この、フィルムレジ
ストは次のステップ5において利用される。 (ステップ5)バイモルフ素子形成基板108とシリコ
ン基板104とを重ね合わせ、ステップ2とステップ4
で設けたフィルムレジスト109a,109bが互いに
当接し、加圧され、接着される。なお、フォトレジスト
は、一方のみでも良い。更に、図1の形状にダイシング
により切断する。
【0071】 本実施の形態の液体噴射装置の製造方法
の特徴は、バイモルフ素子形成基板108を直接接合を
用いて作製している点である。
【0072】以上説明した製造方法により、以下のよう
な効果がある。
【0073】直接接合を用いることで、圧電単結晶の薄
板化も容易に行え、特性の良い圧電駆動素子、しいて
は、液体噴射装置を簡易に量産性良く製造することが可
能となる。
【0074】(第2の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第2の実施の形態を図9を参照しながら説明する。
図9(a)は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0075】図9(a)で120はシリコンにリンがド
ープされた低抵抗シリコン層である。本実施の形態が第
1の実施の形態と異なるのは、単結晶ニオブ酸リチウム
基板101、102の分極方向が、図9(b)、(c)
で示すように、同一方向を形成されている点と、単結晶
ニオブ酸リチウム基板101,102の間に低抵抗シリ
コン層120を設けた点である。低抵抗シリコン層12
0は、単結晶ニオブ酸リチウム基板101,102と直
接接合され、バイモルフ素子118を構成している。バ
イモルフ素子118の駆動は低抵抗シリコン層120を
共通電極とし上下の電極103a,103bと低抵抗シ
リコン層120間にパルス電圧を印加することにより行
う。
【0076】以上説明した構造により、長寿命で、特性
劣化の少ない圧電駆動素子(バイモルフ素子118)を
実現できる、ドット径の制御性が高い、ドットの再現性
が高い、高速印刷を実現できる、等の実施の形態1で説
明した効果に加え、単結晶ニオブ酸リチウム基板10
1、102に個々に電圧を印加することから、低電圧駆
動が可能となるという効果がある。
【0077】本実施の形態の液体噴射装置の製造方法で
実施の形態1と特に異なる工程(ステップ3)について
説明する。(100)面のシリコン基板に拡散によりリ
ンをドープし、低抵抗のn+層(低抵抗シリコン層12
0)を形成する。次に、単結晶ニオブ酸リチウム基板1
01とシリコン基板の低抵抗シリコン層120の面を直
接接合する。直接接合のプロセスを以下に示す。単結晶
ニオブ酸リチウム基板101を所定の厚み、例えば、3
00μmに鏡面研磨する。シリコン基板をフッ酸系の洗
浄液により洗浄する。単結晶ニオブ酸リチウム基板10
1、及び、シリコン基板をアルカリ系の洗浄液により洗
浄し、純水で充分リンスするこにより親水化処理を施
す。予め鏡面仕上げされているシリコン基板の低抵抗シ
リコン層120の面と単結晶ニオブ酸リチウム基板10
1を重ね合わせ、400℃で2時間、熱処理を行う。熱
処理は、100℃〜1000℃の温度範囲で行うが、好
ましくは、200〜500℃の温度範囲で行うのが良
い。以上の工程により、シリコン基板と単結晶ニオブ酸
リチウム基板101は直接接合される。更に。作製した
接合基板をヒドラジンを用いて異方性エッチングする。
エッチングは低抵抗シリコン層120で停止し、単結晶
ニオブ酸リチウム基板101と低抵抗シリコン層120
からなる基板となる。次に、低抵抗シリコン層120を
鏡面研磨し、単結晶ニオブ酸リチウム基板102と同様
の工程で直接接合する。以下、実施の形態1と概略同様
の工程を行う。
【0078】以上説明した製造方法により実施の形態1
と同様の効果がある。
【0079】また,実施の形態1で説明したように,接
着剤を用いて圧電駆動素子を構成することも可能であ
る。
【0080】(第3の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第3の実施の形態を図10を参照しながら説明す
る。図10は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0081】図10で121は単結晶ニオブ酸リチウム
基板で、厚みは20μmである。123は厚み20μm
のシリコン基板でシリコンの単結晶ニオブ酸リチウム基
板121側の面にはリンがドープされた低抵抗シリコン
層が形成され、電極として用いられる。128はモノモ
ルフ素子である。各々の基板の大きさは前記した厚みを
除き、概略実施の形態1と同じである。
【0082】本実施の形態が実施の形態1及び、2と異
なるのは、圧電駆動素子がモノモルフ素子であるという
ことである。
【0083】本実施の形態の液体噴射装置の構造につい
て説明する。単結晶ニオブ酸リチウム基板121は板厚
方向にパルス電圧が印加されると基板の長手方向に伸縮
するという特性を持つ。シリコン基板123は単結晶ニ
オブ酸リチウム基板121と直接接合により接合してい
る。ここで、シリコン基板123は単結晶ニオブ酸リチ
ウム基板121に電圧を印加するための電極、及び、単
結晶ニオブ酸リチウム基板121の圧電振動から屈曲変
位を得るための固定基板として働く。電極103はシリ
コン基板123と対向して設けられており、単結晶ニオ
ブ酸リチウム基板121にパルス電圧を印可するための
電極である。以上の構造をもってモノモルフ素子128
を形成している。また、モノモルフ素子128はシリコ
ン基板104とフィルムレジストを介して保持されてい
る。本実施の形態の液体噴射装置の動作原理は実施の形
態1と概略同じであるが、固定基板であるシリコン基板
123は自発的には変位せず、単結晶ニオブ酸リチウム
基板121の伸縮変位をモノモルフ素子128において
屈曲変位にするための基板である。
【0084】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、モ
ノモルフ素子128を構成する圧電体として圧電単結晶
材料である単結晶ニオブ酸リチウムが用いられているこ
と、及び、固定基板として弾性エネルギーの損失が小さ
いシリコンが用いられ、かつ、固定基板であるシリコン
が単結晶ニオブ酸リチウム基板121にパルス電圧を印
加する電極を兼ねていること、及び、単結晶ニオブ酸リ
チウム基板121とシリコン基板123が直接接合によ
り接合され、モノモルフ素子128が形成されているこ
とである。
【0085】以上説明した構造により、圧電駆動素子を
モノモルフ素子とした場合でも、実施の形態1と同様の
効果が得られる。また、シリコン基板123が電極と固
定基板を兼ねることにより、簡易な構造をとることがで
きる。更には、シリコンを固定基板とすることにより、
エネルギーの損失が少なく、低電圧駆動のモノモルフ素
子を構成することができる。また、液体中に浸漬される
電極としてシリコン基板を用いるために電極の腐食等が
ほとんどない。
【0086】本実施の形態の液体噴射装置は、実施の形
態2で説明した製造方法を用いることで、可能となる
が、特に、本実施の形態では、シリコン基板123の薄
板化に機械的研磨を用いている。このような製造方法に
より実施の形態1と同様の効果がある。
【0087】(第4の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第4の実施の形態を図11を参照しながら説明す
る。図11は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0088】図11で131は単結晶ニオブ酸リチウム
基板で、厚みは20μmである。132は無機薄膜層
で,例えば,酸化珪素薄膜で厚み0.5μmである。1
33は固定基板で,例えば,厚み20μmで熱膨張率が
8×10−6/℃のガラス基板である。138はモノモ
ルフ素子である。各々の基板の大きさは前記した厚みを
除き、概略実施の形態1と同じである。
【0089】本実施の形態は実施の形態3と同様,圧電
駆動素子がモノモルフ素子であるが,異なるのは、単結
晶ニオブ酸リチウム基板131が裏面に電極103,酸
化珪素薄膜132を介して,固定基板であるガラス基板
133と直接接合しているということである。ただし,
実際の直接接合はガラス基板133と酸化珪素薄膜13
2の間で行われている。
【0090】以上説明した構造により、実施の形態3と
概略同等の効果があるが,エネルギー損失の軽減という
点では劣る。しかしながら,実施の形態3と違い,単結
晶ニオブ酸リチウム基板131の上下電極に金属電極1
03を用いているので、電極の抵抗率は実施の形態3に
比べ小さく、圧電駆動素子を低インピーダンス領域(共
振付近)で使用する場合に有利である。また、直接接合
においては、シリコンに比べ,単結晶ニオブ酸リチウム
基板と熱膨張率の近いガラス基板133を用いているた
め,残留応力や周囲の温度変化により加わる熱応力を軽
減でき、温度変化による誤動作等を軽減することができ
る。
【0091】本実施の形態の液体噴射装置の製造方法は
工程(ステップ3)を除き概略同じである。工程(ステ
ップ3)について,以下に説明する。単結晶ニオブ酸リ
チウム基板131上にチタン、金の積層された電極10
3を真空蒸着により作製する。更に、スパッタリングに
より、電極103上に酸化珪素の薄膜132を作製す
る。以上の工程で作製された基板の酸化珪素薄膜132
の面とガラス基板133を直接接合する。以下にその工
程を説明する。2つの基板をアルカリ系の洗浄液により
洗浄し、純水で充分リンスするこにより親水化処理を施
す。ガラス基板133と酸化珪素薄膜132の面を重ね
合わせ、300℃で2時間、熱処理を行う。熱処理は、
100℃〜600℃の温度範囲で行うが、好ましくは、
100〜400℃の温度範囲で行うのが良い。以上の工
程により、ガラス基板133と、単結晶ニオブ酸リチウ
ム基板131、電極103、酸化珪素薄膜132からな
る基板は直接接合される。次に,作製した接合基板のガ
ラス基板133を研磨により薄板化、更に、ポリッシュ
により鏡面研磨する。
【0092】このような製造方法により実施の形態3の
効果に加え,以下のような効果がある。ガラスと単結晶
材料の直接接合では、単結晶材料同士の直接接合と比
べ、より低い熱処理温度で強固な接合力が得られるた
め、直接接合の際の熱処理温度を低くすることができ、
素子を製造する際の材料などの耐熱温度の制約が軽減さ
れる。また、ガラスには種類が多く、いろいろな熱膨張
率をもったものが存在する、つまり、熱膨張率に対する
自由度が高い。従って、接合する材料により、熱膨張率
を選択することにより、製造後の残留応力や、周囲温度
により加わる熱応力を軽減し、特性劣化のない、長寿命
な素子を製造することができる。
【0093】(第5の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第5の実施の形態を図12を参照しながら説明す
る。図12(a)は実施の形態1で説明した図1におけ
る1素子のみを取り出した斜視図である。図12(b)
はイ−ロにおける断面図である。
【0094】図12で141は単結晶ニオブ酸リチウム
基板で、厚みは20μmである。144は(110)面
を表面にもつシリコン基板で構成された凹状のケーシン
グ部材で、その底部の厚みは20μmである。底部の外
側には,単結晶ニオブ酸リチウム基板141が直接接合
されている。シリコン基板144の直接接合される面に
は,リンがドープされた低抵抗シリコン層が形成されて
いる。145は熱膨張率が3.4×10−6のガラス基
板である。ガラス基板145は、フィルムレジスト10
9を介してシリコン基板144が接続され、凹状部分が
ふさがれ、液体貯蔵部を形成する。148は単結晶ニオ
ブ酸リチウム基板141及び,シリコン基板144,及
び,電極103からなるモノモルフ素子148である。
また,113はインク注入口で107はインク噴射口で
あるが,各々素子の表面(モノモルフ素子側)に設けら
れている。各々の基板の大きさは前記した厚みとモノモ
ルフ素子の横方向(長手方向)が4.5mmであること
を除き、概略実施の形態1と同じである。
【0095】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、圧
電駆動素子(モノモルフ素子)の固定基板を形成する基
板上に液体貯蔵部、液体噴射口、液体注入口が一体的に
構成されている点である。これにより、実施の形態3の
効果に加え、簡易な構造で装置を形成できるという効果
がある。
【0096】本実施の形態の液体噴射装置の製造方法は
実施の形態3で説明した製造方法を応用することで可能
となるが、特に、単結晶ニオブ酸リチウム基板141と
シリコン基板144を直接接合後、単結晶ニオブ酸リチ
ウム基板141、及び、シリコン基板144の薄板化、
及び、エッチングを行うことで、工程は更に、簡略化さ
れ、製造コストは低下する。また、実施の形態3の製造
方法で説明した効果も同時に有することになる。
【0097】(第6の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第6の実施の形態を図1,及び図13を参照しなが
ら説明する。但し,図1は実施の形態1で説明した寸法
と異なる部分がある。図中の符号は実施の形態1と同じ
ものを用いる。図13は液体噴射装置の1素子の図で、
図13(a)は上面図、図13(b)は図13(a)の
横断面図、図13(c)は下面図である。
【0098】本実施の形態の液体噴射装置が実施の形態
1と異なるのは、バイモルフ素子108が保持基板10
4と直接接合により固着してしているという点である。
また、これにより、装置の寸法が異なるので、以下に説
明する。図13で液体噴射装置全体の大きさは、長辺方
向が24mmで短辺方向(圧電素子の長手方向)が6.
5mmである。また、図13において、1素子あたりの
単結晶ニオブ酸リチウム基板101、102の大きさ
は,共に,縦(幅方向)40μm,横(長手方向)は
4.5mmで,厚みは各々20μmである。シリコン基
板104の空隙105の上面からみた開口部は縦30μ
m,横4.2mmである(図13(a))。シリコン基
板104で噴射口107を除く空隙105の深さは50
μmである。噴射口107の下面からみた開口部は縦1
0μm、横10μmである(図13(c))。以上のよ
うに、実施の形態1に比べ、更に、微細な形状となって
いる。
【0099】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、圧
電駆動素子(バイモルフ素子)と保持基板(シリコン基
板104)が直接接合により固着している点である。
【0100】以上説明した構造により、次のような効果
がある。
【0101】まず、第1の効果は、直接接合が原子レベ
ルの強固な接合であるということに起因するものであ
る。直接接合は、保持面積が小さくても十分な固着力が
得られるため、本実施の形態のように素子の配置間隔を
40μmと狭くすることが可能となる。接着層を介した
接着により、微少な面積に素子を集積化すると、十分な
接合力が得られない、保持が弱いため隣接する素子へ圧
電駆動素子の変位が伝わる等の問題が発生する。
【0102】第2の効果は、圧電駆動素子が、低剛性材
料(接着剤)を介して、別の基板と接合されていないこ
とに起因するものである。接着剤等の剛性の小さい材料
を用いて保持すると、圧電駆動素子の加圧力が液体に効
率よく伝達しにくい。従って、必要以上の圧電駆動素子
の変位量が必要となり、高い駆動電圧を必要とする。こ
の現象は、接着層の剛性と相関があり、接着層の厚みが
大きい(剛性が小さい)ほど顕著に現れる。従って、接
着層の厚みむらは、個々の圧電駆動素子の特性に直接的
に影響し、同一の駆動電圧であっても、噴射特性が異な
るといった現象が発生する。つまり、液体噴射の再現性
が悪くなる。直接接合による固着は、基板表面を形成す
る原子、或いは、官能基同士が直接固着するため、接着
層がなく、圧電駆動素子の加圧力を効率よく液体に伝達
させることができる。また、接着層の厚みむらに起因す
る噴射特性のばらつきはほとんどない。以上のことによ
り、低電圧での駆動が可能となり、かつ、液体噴射の再
現性も良好となる。
【0103】第3の効果は、圧電駆動素子が、厚みをも
つ接着層を介していないということに起因する。液体の
接着剤や、固体の接着シートを用いて、圧電駆動素子と
液体貯蔵部を構成する基板を接着すると、接着層が液体
貯蔵部にしみだしてしまう。これにより、液体貯蔵部の
体積が変化し、噴出特性が変化し、噴射の再現性がよく
ない等の影響を受ける。また、液体貯蔵部は同時に液体
が流れる流路になっており、貯蔵部を形成する隔壁は液
体に対して同一の濡れ性(同一の表面エネルギー)を有
していることが必要である。貯蔵部内に接着層のしみ出
し部ができると、その部分は液体に対する濡れ性が変わ
り、結果として、液体内に気泡が入りやすい等の問題を
引き起こすことになる。いったん液体貯蔵部内に気泡が
入ると、必要以上の加圧力を加え液体を抑えなければ、
液体は噴出しなくなる。直接接合を用いることで、接着
層のしみだしはなくなり、以上の問題は解決される。
【0104】第4の効果は、直接接合が接合部の機械疲
労による強度劣化、経年変化がほとんどないということ
に起因する。これにより、噴射特性の再現性が得られ、
また、圧電駆動素子を高周波駆動しても保持部の劣化、
経年変化はほとんどなく、高速印刷を実現できる。
【0105】第5の効果は、直接接合が機械的に安定な
接合であるということに起因する。実施の形態1で述べ
た接着剤によるヒステリシスは保持部に接着剤を用いた
場合でも発生するが、実施の形態1と同様に、これらの
問題は解決される。
【0106】なお、本実施の形態の液体噴射装置は圧電
駆動素子を構成する圧電体として、圧電単結晶を用いて
いること、直接接合により圧電駆動素子が構成されてい
ることにより実施の形態1で説明した各々の効果がある
ことは言うまでもないが、前記した本実施例に特有の効
果は、これらの構造に束縛されることなく単独でも効果
がある。
【0107】本実施の形態の液体噴射装置の製造方法は
実施の形態1で説明した製造方法と以下の点が異なる。
実施の形態1では、フィルムレジスト(樹脂シート)を
基板上にパターニングし、工程(ステップ5)で加圧接
着を行ったが、本実施の形態では、保持基板104と圧
電駆動素子108を直接接合する工程をとる。直接接合
の工程は熱処理条件を350℃で2時間とした他は、実
施の形態2で説明したシリコンと単結晶ニオブ酸リチウ
ム基板の直接接合工程と概略同じである。
【0108】以上の製造方法により、以下のような効果
がある。実施の形態1ではパターニングされたフイルム
レジストを高精度に位置合わせする必要があるため、素
子形状の微細化には限界があったが、直接接合を用いる
ことで、位置合わせ精度の要求は軽減され、微細な素子
が連なった装置を高精度に、かつ、容易に作製できるた
め、ノズルの狭ピッチ化が実現でき、小ドット径と多ノ
ズル化を同時に実現できる。なお、本実施の形態では、
圧電駆動素子の作製にも直接接合の工法を用いているた
め、製造コストの削減にもなる。
【0109】(第7の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第7の実施の形態を図14を参照しながら説明す
る。図14は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0110】本実施の形態の液体噴射装置が実施の形態
2と異なるのは、バイモルフ素子118が保持基板10
4と直接接合により固着してしているという点である。
また、装置の寸法については実施の形態6と概略同じで
ある。
【0111】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、圧
電駆動素子(バイモルフ素子)と保持基板(シリコン基
板104)が直接接合により固着している点で、実施の
形態6と同様である。また、以上の構造により実施の形
態6と同様の効果が得られる。
【0112】本実施の形態の液体噴射装置は実施の形態
2と実施の形態6の製造方法を組み合わせることによっ
て実現できる。
【0113】(第8の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第8の実施の形態を図15を参照しながら説明す
る。図15は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0114】本実施の形態の液体噴射装置が実施の形態
3と異なるのは、モノモルフ素子128が保持基板10
4と直接接合により固着してしているという点である。
また、装置の寸法については実施の形態6と概略同じで
ある。
【0115】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、圧
電駆動素子(モノモルフ素子)と保持基板(シリコン基
板104)が直接接合により固着している点で、実施の
形態6と同様である。また、以上の構造により実施の形
態6と同様の効果が得られる。
【0116】本実施の形態の液体噴射装置は実施の形態
3と実施の形態6の製造方法を組み合わせることによっ
て実現できる。
【0117】(第9の実施の形態)本発明の液体噴射装
置の第8の実施の形態を図16を参照しながら説明す
る。図16は実施の形態1で説明した図2(b)に対応
する1素子の断面図である。
【0118】本実施の形態の液体噴射装置が実施の形態
4と異なるのは、モノモルフ素子138が保持基板10
4と直接接合により固着してしているという点であり、
これはガラスとシリコンの直接接合によるものである。
また、装置の寸法については実施の形態6と概略同じで
ある。
【0119】以上説明した構造により、実施の形態6で
説明した効果に加え、次のような効果がある。接合の材
料としてガラスとシリコンを用いているので、ガラスの
熱膨張率を適当選ぶことにより、残留応力や周囲の温度
変化により加わる熱応力を軽減でき、更に、素子特性の
劣化を少なくすることができる。また、素子の寿命も長
くなる。ガラスの熱膨張率について更に、詳細に説明す
る。本実施の形態では、熱膨張率が8×10−6/℃の
ガラス基板を用いているため、単結晶ニオブ酸リチウム
基板131とシリコン基板104の熱膨張率の差より発
生する応力が緩和されている。ガラスの熱膨張率は通
常、圧電体(本実施の形態ではニオブ酸リチウム)の最
大熱膨張率と保持基板(本実施の形態ではシリコン)の
熱膨張率の中間の値が選ばれる。本実施の形態の組み合
わせでは、通常、15×10−6/℃〜4×10−6/
℃の熱膨張率を持つガラスを用いるが、好ましくは、1
1×10−6/℃〜6×10−6/℃の熱膨張率を持つ
ガラスを用いるのがよい。
【0120】本実施の形態の液体噴射装置の製造方法は
実施の形態4で説明した製造方法と圧電駆動素子と保持
基板の固着工程が異なり、保持基板104と圧電駆動素
子138を直接接合する工程をとる。この直接接合の工
程を以下に説明する。シリコン基板104をフッ酸系の
洗浄液により洗浄する。更に、シリコン基板104、及
び、モノモルフ素子138をアルカリ系の洗浄液により
洗浄する。2つの基板、素子を純水で充分リンスする。
以上の工程により親水化処理を施す。次に所定の位置
で、2つの基板を重ね合わせる。更に、300℃で2時
間、熱処理を行う。熱処理は、100℃〜600℃の温
度範囲で行うが、好ましくは、100℃〜400℃の温
度範囲で行う。熱処理温度は実施の形態6で説明したも
のより低いが、ガラスを接合材料としているため固着力
は同等のものが得られる。以上の工程により、モノモル
フ素子138の構成材料であるガラス基板133とシリ
コン基板104は直接接合される。
【0121】以上説明した製造方法により、以下のよう
な効果がある。いっぽうの基板にガラスを用いた場合の
直接接合では、単結晶材料同士の直接接合と比べ、より
低い熱処理温度で強固な接合力が得られるため、直接接
合の際の熱処理温度を低くすることができ、素子を製造
する際の材料などの耐熱温度の制約が軽減される。ま
た、ガラスには種類が多く、いろいろな熱膨張率をもっ
たものが存在する、つまり、熱膨張率に対する自由度が
高い。従って、接合する材料により、熱膨張率を選択す
ることにより、製造後の残留応力や、周囲温度により加
わる熱応力を軽減し、特性劣化のない、長寿命な素子を
製造することができる。
【0122】(第10の実施の形態)本発明の液体噴射
装置の第10の実施の形態を図17を参照しながら説明
する。図17(a)は実施の形態1で説明した図1にお
ける1素子のみを取り出した斜視図である。図17
(b)はイ−ロにおける断面図である。
【0123】本実施の形態の液体噴射装置が実施の形態
5と異なるのは、モノモルフ素子148が保持基板14
5と直接接合により固着してしているという点である。
また、装置の寸法については実施の形態6と概略同じで
ある。
【0124】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、圧
電駆動素子(モノモルフ素子)と保持基板(シリコン基
板144)が直接接合により固着している点で、実施の
形態6と同様である。また、以上の構造により実施の形
態6と同様の効果が得られる。
【0125】(第11の実施の形態)本発明の液体噴射
装置の第11の実施の形態を図18を参照しながら説明
する。図18は実施の形態1で説明した図2(b)に対
応する1素子の断面図である。
【0126】本実施の液体噴射装置の構造について、符
号の説明と合わせて以下に説明する。図18で501、
及び502は(100)面を表面に持つシリコン基板
で、縦、及び、横の寸法は実施の形態6と同様である。
シリコン基板502はベース基板として作用し、シリコ
ン基板501は、枠基板として作用する。ベース基板5
02と枠基板501は直接接合され、凹状のケーシング
部材を構成する。厚みはシリコン基板501が50μ
m、シリコン基板502が100μmである。500は
シリコン基板501に設けられた噴射口で、シリコン基
板502の下面から見た開口部が縦、横とも10μmで
ある。499はシリコン基板501と502が直接接合
することで形成される基板である。
【0127】次に、本実施の形態の液体噴射装置の製造
方法について説明する。説明は実施の形態6と異なるシ
リコン基板501、502の直接接合工程について説明
する。シリコン基板501、及び502を所定の厚みに
鏡面研磨し、異方性エッチングにより所定の箇所に空隙
5、及び、噴射口500を設ける。次に、シリコン基板
501とシリコン基板502を直接接合する。直接接合
の工程を以下に示す。2つの基板をフッ酸系の洗浄液で
洗浄後、アルカリ系の洗浄液で洗浄し、純水で十分リン
スする。以上の工程で、基板表面を親水化処理すること
ができる。更に、2つの基板を所定の位置で重ね合わ
せ、熱処理を行う。熱処理は100〜1200℃の温度
範囲で行うが、好ましくは、300℃〜1200℃の温
度範囲で行うのがよい。本実施の形態では、1100℃
で2時間熱処理を行っている。更に、接合基板499を
所定の厚みに仕上げた後、バイモルフ素子108とシリ
コン基板499を実施の形態1と同様の工程で、直接接
合する。
【0128】インク貯蔵用の空隙105を形成するため
の主たる基板であるシリコン基板501と噴射口500
を形成するための主たる基板であるシリコン基板502
が直接接合により接合されているということである。
【0129】以上説明した構造により、材料としてシリ
コンを用いているため、液体噴射口、及び、液体貯蔵部
を精密かつ微細な形状にすることができ、高いドット再
現性と多ノズル化が実現できるという効果がある。ま
た、液体貯蔵部の主たる構成基板として(100)面を
表面に持つシリコン基板を用いることでCMOS等の回
路素子を形成することにより装置のさらなる小型化を実
現できることなどの効果がある。
【0130】また、以上説明した製造方法により、以下
のような効果がある。液体貯蔵部、液体噴射口を個々の
基板(シリコン基板501、502)を用いて個別に作
製することから、基板のフォトリソ工程、異方性エッチ
ングの工程を簡易化できる。また、他の面方位の基板に
比べ、(100)面を表面にもつシリコン基板は汎用性
が高く、安価に入手できるという効果がある。
【0131】なお、本実施の形態では、隙105を形成
するための主たる基板として、(100)面を持つシリ
コン基板501を用いたが、異方性エッチングすること
により基板表面に対し、垂直方向にエッチングされる
(110)面のシリコン基板を用いることで、素子のさ
らなる小型化をはかることができる。
【0132】(第12の実施の形態)本発明の液体噴射
装置の第12の実施の形態を図19を参照しながら説明
する。図19は実施の形態1で説明した図2(b)に対
応する1素子の断面図である。
【0133】本実施の液体噴射装置の構造、及び製造方
法について、実施の形態11との相違点を中心に以下に
説明する。本実施の形態の液体噴射装置は基板表面が
(110)面であるシリコン基板503を用いて液体噴
射口500を形成している。液体噴射口500の形成に
は、実施の形態11と同様、異方性エッチングを用いて
いる。
【0134】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、実
施の形態11の特徴に加え、液体噴射口500の主たる
形成基板として、異方性エッチングすることにより基板
表面に対し、垂直方向にエッチングされる(110)面
のシリコン基板503を用いている点である。
【0135】以上説明した構造、及び、製造方法によ
り、実施の形態11の効果に加え、更に、以下のような
効果がある。基板表面に対し垂直方向に液体噴射口が形
成されることにより、液体の直進性は増し、ドット再現
性は更に向上する。また、液体噴射口の開口部の形状を
精密に制御することが容易となり、ミクロンオーダーの
微細加工を行っても開口部の形状を精密に制御すること
ができるので、高いドット再現性、小ドット径、多ノズ
ル化を実現できる。また、液体貯蔵部の主たる構成基板
であるシリコン基板501は表面が(100)面を持つ
シリコン基板であるため、CMOS等の回路素子を形成
することにより装置のさらなる小型化を実現できる。
【0136】(第13の実施の形態)本発明の液体噴射
装置の第13の実施の形態を図20を参照しながら説明
する。図20は実施の形態1で説明した図2(b)に対
応する1素子の断面図である。
【0137】本実施の液体噴射装置の構造、及び製造方
法について、実施の形態12との相違点を中心に以下に
説明する。本実施の形態の液体噴射装置は基板表面が
(110)面であるシリコン基板504を用いて液体貯
蔵部105を形成している。液体噴射口500の形成に
は、実施の形態12と同様、異方性エッチングを用いて
いる。
【0138】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、実
施の形態12の特徴に加え、液体貯蔵部105の主たる
形成基板として、異方性エッチングすることにより基板
表面に対し、垂直方向にエッチングされる(110)面
のシリコン基板504を用いている点である。
【0139】以上説明した構造、及び、製造方法によ
り、実施の形態11の効果に加え、更に、(110)面
を表面に持つシリコン基板504を用いることで装置の
さらなる小型化をはかることができる。
【0140】(第14の実施の形態)本発明の液体噴射
装置の第14の実施の形態を説明する。説明は図19を
参照しながら行うことにする。
【0141】本実施の液体噴射装置の構造、及び製造方
法について、実施の形態12との相違点を中心に以下に
説明する。本実施の形態の液体噴射装置は熱膨張率が8
×10ー6/℃のガラス基板を用いて液体貯蔵部105
を形成している。液体噴射口500の形成には、実施の
形態12と同様、異方性エッチングを用いている。
【0142】本実施の形態の液体噴射装置の特徴は、実
施の形態12の特徴に加え、液体貯蔵部105の主たる
形成基板として、熱膨張率が単結晶ニオブ酸リチウム基
板102とシリコン基板503の間の値を持つガラス基
板を用いている点である。これにより、実施の形態9と
同様の効果が得られ、実施の形態11から13と比べ、
実施の形態9で説明した熱応力、残留応力に起因する問
題が解決され、特性劣化の軽減、長寿命化をはかること
ができる。
【0143】なお、実施の形態1〜14では圧電駆動素
子の圧電体材料として、単結晶ニオブ酸リチウムを用い
たが、単結晶タンタル酸リチウムやニオブ酸カリウムや
チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛等の圧電体材料を用い
ても同様の効果は得られる。また、保持基板としては、
シリコン基板、ガラス基板、圧電体と同種の材料などが
あげられ、用途に応じて使い分ければいよい。また、液
体噴射装置は小型化という利点から、回路素子と一体化
することが望ましく、その手法としては、実施の形態6
で述べた、回路素子が形成されたシリコン基板を保持基
板とすることの他、個別に製造された回路素子の搭載さ
れたICチップを保持基板に直接接合したり、他の手法
により固定したりすることが挙げられる。
【0144】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
シリコン基板104の上に、接着剤を用いず、直接接合
により圧電駆動素子108を設けた場合、次の効果かあ
る。
【0145】(イ)接着剤の一部が、液体貯蔵部へ析出
することがなくなり、インクの質を低下させることがな
くなる。
【0146】(ロ)接着剤の一部が、液体貯蔵部へ析出
することがなくなり、噴射口が詰まることがなくなる。
【0147】(ハ)接着剤の一部が液体貯蔵部へはみ出
すことが無いので、液体貯蔵部の体積を高い精度で一定
にすることができ、素子間でのばらつきがなくなる。
【0148】(ニ)接着剤の一部が液体貯蔵部へはみ出
すことが無いので、気泡の混入が軽減される。(何故な
ら、接着剤の多くは、液体をよくはじき、液体との濡れ
性が良くないからである。) (ホ)接着剤に比べ、直接接合を用いたほうが、高剛性
材料で液体貯蔵部を密閉できるため、圧力のロスが少な
い。
【0149】(ヘ)接着剤に比べ、直接接合を用いたほ
うが、接合力が強く、耐久性に優れているので、寿命が
長く、経年変化が少ない。
【0150】(ト)液体噴射装置の液体貯蔵部内は高圧
力になるため、接着剤では接合部分の疲労が激しいが、
直接接合ではほとんど接合部分の疲労が無い。
【0151】また、本発明にかかる液体噴射装置にあっ
ては、噴射する液体をミクロンオーダーに小径化し(小
ドット径)、液体の噴射量を精密に制御し(ドット径制
御)、液体の噴射量の再現性(ドット再現性)を高め、
短い時間で間欠的に液体を噴射し(高速噴射)、装置に
具備されるノズルの数を増やし(多ノズル化)、更に
は、これらの機能を備えた長寿命で安価な液体噴射装置
提供できるという効果がある。また、本発明の液体噴射
装置を用いることで、高解像、多階調、高速な印刷を低価
格で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の液体噴射装置の斜視図、
及びシリコン基板の斜視図
【図2】 第1の実施の形態の液体噴射装置の1素子の
上面図、断面図、下面図
【図3】 第1の実施の形態の液体噴射装置の変形例の
断面図
【図4】 第1の実施の形態の液体噴射装置を構成する
圧電駆動素子の特性図
【図5】 第1の実施の形態の液体噴射装置の圧電駆動
素子の分極図
【図6】 第1の実施の形態の液体噴射装置の動作説明
【図7】 第1の実施の形態の液体噴射装置の製造方法
を示す工程図
【図8】 第1の実施の形態の液体噴射装置の製造方法
を示す工程図
【図9】 第2の実施の形態の液体噴射装置の1素子の
断面図及び圧電駆動素子の分極図
【図10】 第3の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の断面図
【図11】 第4の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の断面図
【図12】 第5の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の斜視図及び断面図
【図13】 第6の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の上面図、断面図、下面図
【図14】 第7の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の断面図
【図15】 第8の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の断面図
【図16】 第9の実施の形態の液体噴射装置の1素子
の断面図
【図17】 第10の実施の形態の液体噴射装置の1素
子の斜視図、断面図
【図18】 第11の実施の形態の液体噴射装置の断面
【図19】 第12の実施の形態の液体噴射装置の断面
【図20】 第13の実施の形態の液体噴射装置の断面
【図21】 直接接合の説明図
【図22】 従来の液体噴射装置の説明図
【図23】 従来の液体噴射装置の説明図
【符号の説明】
101、102・・・圧電基板 103a、103b・・・電極 104・・・シリコン基板 105・・・空隙 106・・・インク 107・・・噴射口 108・・・バイモルフ素子(圧電駆動素子) 109・・・フィルムレジスト 110・・・接着剤 113・・・インク注入口 120・・・低抵抗シリコン層 121・・・単結晶ニオブ酸リチウム基板 123・・・シリコン基板 131・・・単結晶ニオブ酸リチウム基板 132・・・酸化珪素薄膜 133・・・ガラス基板 500・・・噴射口 501・・・シリコン基板 502・・・シリコン基板 503・・・シリコン基板 504・・・シリコン基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川▲崎▼ 修 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 杉本 雅人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 今田 勝巳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小松 敦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 江田 和生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平坦な開口面を有する凹状のケーシング部
    材と、 該ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆うよう
    に開口面に配置された圧電駆動素子から成り、 ケーシング部材と圧電駆動素子とで形成される空間に液
    体を貯蔵する液体貯蔵部を形成し、液体貯蔵部には、少
    なくとも、液体を注入するための液体注入口と、貯蔵さ
    れた液体を噴射する液体噴射口を設けた液体噴射装置で
    あって、 該開口面と該圧電駆動素子とが直接接合されたことを特
    徴とする液体噴射装置。
  2. 【請求項2】前記圧電駆動素子が第1と第2の圧電基板で
    構成され、該第1と第2の圧電基板は直接接合されたこと
    を特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  3. 【請求項3】前記圧電駆動素子が第1と第2の圧電基板で
    構成されたバイモルフ素子であることを特徴とする請求
    項1記載の液体噴射装置。
  4. 【請求項4】前記第1と第2の圧電基板は、互いに逆向き
    の分極方向で直接接合していることを特徴とする請求項
    3記載の液体噴射装置。
  5. 【請求項5】前記圧電駆動素子は、第1と第2の圧電基
    板の間に配置される導電性を有する少なくとも1つの中
    央基板を有し、該中央基板と第1、第2の圧電基板のう
    ち少なくとも1つとが直接接合していることを特徴とす
    る請求項3記載の液体噴射装置。
  6. 【請求項6】前記中央基板がシリコン、或いは、ガリウ
    ム砒素、或いは、インジウムリンであることを特徴とす
    る請求項5記載の液体噴射装置。
  7. 【請求項7】前記圧電駆動素子は、少なくとも1つ以上
    の圧電基板と、屈曲変位を発生させ、該圧電基板を固定
    するための固定基板で構成されるモノモルフ素子である
    ことを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  8. 【請求項8】前記固定基板は、前記圧電駆動素子に電圧
    を印加するための電極であることを特徴とする請求項7
    記載の液体噴射装置。
  9. 【請求項9】前記圧電駆動素子は、単結晶ニオブ酸リチ
    ウム、単結晶タンタル酸リチウム、単結晶ニオブ酸カリ
    ウム、チタン酸ランタン酸ジルコン酸鉛のうちの少なく
    とも1種類の材料からなることを特徴とする請求項1記
    載の液体噴射装置。
  10. 【請求項10】前記ケーシング部材はシリコンで構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装
    置。
  11. 【請求項11】前記ケーシング部材には電気回路が形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装
    置。
  12. 【請求項12】前記ケーシング部材は、一体構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  13. 【請求項13】前記ケーシング部材は、ベース基板と、
    該ベース基板に直接接合された枠基板で構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  14. 【請求項14】前記ケーシング部材は、ガラスで構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装
    置。
  15. 【請求項15】底部と平坦な開口面を有する凹状のケー
    シング部材と、 該底部に接続された圧電駆動素子と、 該ケーシング部材の開口面を覆うように開口面に配置さ
    れた支持基板から成り、 ケーシング部材と支持基板とで形成される空間に液体を
    貯蔵する液体貯蔵部を形成し、液体貯蔵部には、少なく
    とも、液体を注入するための液体注入口と、貯蔵された
    液体を噴射する液体噴射口を設けた液体噴射装置であっ
    て、 該開口面と該支持基板とが直接接合されたことを特徴と
    する液体噴射装置。
  16. 【請求項16】前記圧電駆動素子は、単結晶ニオブ酸リ
    チウム、単結晶タンタル酸リチウム、単結晶ニオブ酸カ
    リウム、チタン酸ランタン酸ジルコン酸鉛のうちの少な
    くとも1種類の材料からなることを特徴とする請求項1
    5記載の液体噴射装置。
  17. 【請求項17】前記ケーシング部材はシリコンで構成さ
    れていることを特徴とする請求項15記載の液体噴射装
    置。
  18. 【請求項18】前記ケーシング部材には電気回路が形成
    されていることを特徴とする請求項15記載の液体噴射
    装置。
  19. 【請求項19】前記ケーシング部材は、ガラスで構成さ
    れていることを特徴とする請求項15記載の液体噴射装
    置。
  20. 【請求項20】前記圧電駆動素子は前記底部に直接接合
    されたことを特徴とする請求項15記載の液体噴射装
    置。
  21. 【請求項21】開口面を有する凹状のケーシング部材の
    開口面を鏡面仕上げし、 圧電駆動素子の少なくとも一面を鏡面仕上げし、 該ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆うよう
    に圧電駆動素子を配置し、該圧電駆動素子の鏡面仕上げ
    された一面と、鏡面仕上げされた開口面とを直接接合し
    たことを特徴とする液体噴射装置の製造方法。
  22. 【請求項22】前記ケーシング部材の開口面または圧電
    駆動素子の一面の少なくともいずれか一方は、研磨によ
    り鏡面仕上げされたことを特徴とする請求項21記載の
    液体噴射装置の製造方法。
  23. 【請求項23】底部と開口面を有する凹状のケーシング
    部材の開口面を鏡面仕上げし、 支持基板の少なくとも一面を鏡面仕上げし、 該ケーシング部材の開口面の少なくとも一部を覆うよう
    に支持基板を配置し、 該支持基板の鏡面仕上げされた一面と、鏡面仕上げされ
    た開口面とを直接接合し、 該底部に圧電駆動素子を接続したことを特徴とする液体
    噴射装置の製造方法。
  24. 【請求項24】前記ケーシング部材の開口面または支持
    基板の一面の少なくともいずれか一方は、研磨により鏡
    面仕上げされたことを特徴とする請求項23記載の液体
    噴射装置の製造方法。
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