JP2002210865A - 被覆層の密着性および加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
被覆層の密着性および加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法Info
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Abstract
覆アルミニウム合金板として、被覆層の密着性が確実か
つ安定して高く、苛酷な成形加工やレトルト処理等の加
熱処理を行なっても剥離が生じず、耐食性も充分なもの
を提供する。 【解決手段】 表面の凹凸の平均間隔Smが5〜200
μm、凹凸の斜面の平均傾斜角θaが3〜30°、十点
平均粗さRzが0.5〜5μmの各条件を満たす被覆用
アルミニウム合金板の少なくとも片面に、溶融状態の熱
可塑性樹脂を積層して急冷する。また積層前のアルミニ
ウム合金板を予め加熱しておく。さらには、積層後の被
覆板を再加熱する。
Description
装に用いられる缶やレトルト容器等の容器、あるいは各
種電気電子部品、そのほか自動車部品、家具、内外装建
材などに使用される被覆アルミニウム合金板、特に熱可
塑性樹脂を被覆した被覆アルミニウム合金板の製造方法
に関するものである。
でかつ成形性や耐食性等に優れるところから、飲料缶や
食品レトルト容器等の包装容器、あるいは電気電子部
品、自動車部品、家具、内外装建材、そのほか各種の日
用品等に広く使用されている。これらの用途において
は、深絞り加工やしごき加工等の成形加工を施すことが
多く、また耐食性や装飾性の向上を目的として脱脂洗
浄、塗装等の表面処理を施すことが多いが、従来は塗装
等は成形加工の後に行なうのが通常であった。しかしな
がら最近では、コスト低減や環境負荷軽減等の観点か
ら、予めアルミニウム合金板表面に樹脂フィルムをラミ
ネートしたりあるいは塗装により樹脂塗膜を形成して、
被覆アルミニウム合金板としておき、その後に被覆アル
ミニウム合金板に対して成形加工を行なうことが多くな
っている。
たり塗膜を形成したりしておいた被覆アルミニウム合金
板において、フィルムや塗膜とその下地のアルミニウム
合金板(被覆用アルミニウム合金板)の表面との密着性
が不充分であれば、成形加工時においてフィルムや塗膜
の剥離が生じたり、また密着性の不充分な箇所から腐食
が発生してしまうおそれがある等の問題がある。したが
って被覆アルミニウム合金板においては、下地に対する
フィルムや塗膜の密着性を向上させることが重要な課題
となっている。
フィルムもしくは塗膜と下地表面との密着力は、主とし
て(A)機械的結合力、(B)化学的結合力、および
(C)分子間結合力、以上3種類の結合力によって左右
される。ここで、(A)の機械的結合力は、アンカー効
果とも称されるものであって、板表面の微細凹凸構造の
凹部に侵入したフィルム樹脂や塗料が界面に作用する剪
断力に抗して密着力を発揮するものであり、また(B)
の化学的結合力は、−OH、−COOH等の活性基によ
り密着力を得るものであり、さらに(C)の分子間結合
力はファンデルワールス力等の極めて微弱な結合力であ
る。これらの結合力のうち、特に機械的結合力と化学的
結合力は、下地アルミニウム合金板の表面性状によって
大きく左右されるところから、被覆アルミニウム合金板
を製造するにあたっては、フィルムをラミネートしたり
塗料を塗布したりする以前に、密着性向上のためにアル
ミニウム合金板表面にいわゆる下地処理を施して表面性
状を改善しておくことが従来から広く行なわれている。
ンドブラスト、ショットブラスト等の機械的粗面化処
理、(2)酸やアルカリ等による化学的エッチング、
(3)クロメート処理、ベーマイト処理等の化成処理、
(4)陽極酸化処理、(5)シランカップ剤、チタネー
トカップリング剤等によるウォッシュプライマー処理、
(6)コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的表面処
理などが知られている。しかしながらこれらの下地処理
を施した被覆用アルミニウム合金板に樹脂フィルムをラ
ミネートもしくは塗装した場合でも、複雑な形状の容器
等のために苛酷な絞り成形やしごき加工を行なったり、
また食品用レトルト容器等において加熱処理、例えばレ
トルト処理が行なわれたりした場合には、フィルムや塗
膜の剥離が生じたり、長期間使用するうちに腐食が生じ
たりするおそれがあり、したがって未だ充分な密着性を
確実かつ安定して得ることは困難であった。
ルムや塗膜と下地の被覆用アルミニウム合金板表面との
機械的結合力を増すべく、アルミニウム合金板表面の微
視的性状に着目した提案が既にいくつか知られている。
例えば特開昭61−243158号や特開平2−310
036号等においては、塗膜やフィルムが被覆されるア
ルミニウム合金板表面の凹凸の最大高さRmaxや中心
線平均粗さRa、特定測定長さあたりの山頂PPIを規
定することが提案されている。また特開平7−1972
72号においては、板表面の1cm角の表面積を5cm
2 以上とすることによって、フィルムの密着性を改善す
ることが提案されている。
ようにフィルムや塗膜が被覆されたアルミニウム合金板
表面の微視的性状を規定することによって、ある程度は
フィルムや塗膜等の被覆層の密着性を改善する効果が得
られることもあるが、これらの提案に従った場合でも、
前述のような苛酷な成形加工や加熱処理が行なわれた場
合には、充分な密着性が確保されないことがあったのが
実情である。
なされたもので、苛酷な成形加工や加熱処理が施される
場合でも、被覆層の密着性を確実かつ充分に確保するこ
とができ、被覆層の剥離が生じたり、密着性の不充分な
部分から腐食が生じたりすることを確実に防止し得る被
覆アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的
とするものである。
の成形加工時や加熱処理時においてフィルムもしくは塗
膜等の被覆層の密着性が低下する原因は、下地の被覆用
アルミニウム合金板とフィルムもしくは塗膜などの被覆
層との接合界面に剪断力が作用したときに、界面にミク
ロ的なずれが生じて界面の結合が緩むことに起因する。
そこで上述の剪断力に抗してミクロ的なずれが生じない
ようにするためには、板表面に凹凸を設けることが考え
られ、この考えが前述の各提案の基本的前提となってい
る。
表面を荒らさなければならないが、あまりに荒らし過ぎ
れば被覆時において空気の巻き込みが多くなり、逆に密
着性を低下させてしまう。また、凹凸の窪みの部分の幅
が小さかったり凹凸の斜面の傾斜が大き過ぎたりすれ
ば、被覆時にフィルムの樹脂や塗料が凹部の深い部分ま
で充分に入り込むことが困難となって、逆に密着性を低
下させる原因となってしまう。したがって前記各提案の
ように単純にRmaxやRaで表示される表面粗さを規
定するだけでは、界面の剪断力に充分に対抗することが
できない場合もある。そこで本発明者が板表面の微視的
性状と被覆層の密着性との関係について詳細に実験・検
討を重ねた結果、単純にRmaxやRaで表示される表
面の粗さを規定するのではなく、凹凸の幅(平均間隔)
Sm、凹凸の斜面の傾斜角θa、および十点平均粗さR
zを厳密に規定することによって、界面の剪断力に抗し
て被覆層の密着力を充分に向上させ得ることを見出し
た。
等は既に特願2000−316076において、表面の
凹凸の平均間隔Smが5〜200μmの範囲内にあり、
かつ凹凸の斜面の平均傾斜角θaが3〜30°の範囲内
にあり、しかも十点平均粗さRzが0.5〜5μmの範
囲内にある被覆用アルミニウム合金板、あるいはアルミ
ニウム合金基板の表面に化成処理皮膜が形成ていてその
化成処理皮膜の表面の凹凸の平均間隔Smが5〜200
μmの範囲内にあり、かつ凹凸の斜面の平均傾斜角θa
が3〜30°の範囲内にあり、しかも十点平均粗さRz
が0.5〜5μmの範囲内にある被覆用アルミニウム合
金板を提案している。
板を用いれば、被覆層の密着力を充分に向上させること
が可能であるが、本発明者等はその提案をベースとし
て、さらに実験・検討を重ねた結果、上述のように被覆
用アルミニウム合金板の表面性状を調整するばかりでな
く、特に溶融状態の熱可塑性樹脂を用いて被覆用アルミ
ニウム合金板の表面に樹脂被覆層を形成することによっ
て、より確実かつ安定して被覆層の密着力を向上させ得
るとともに、加工性を向上させ得ることを見出し、この
発明をなすに至ったのである。
脂被覆アルミニウム合金板の製造方法は、表面の凹凸の
平均間隔Smが5〜200μmの範囲内にあり、かつ凹
凸の斜面の平均傾斜角θaが3〜30°の範囲内にあ
り、しかも十点平均粗さRzが0.5〜5μmの範囲内
にある被覆用アルミニウム合金板の少なくとも片面に、
溶融状態の熱可塑性樹脂を積層し、次いでその熱可塑性
樹脂のガラス転移温度以下の温度に急冷することを特徴
とするものである。
ルミニウム合金板の製造方法は、アルミニウム合金基板
の表面に化成処理皮膜が形成され、かつその化成処理皮
膜の表面の凹凸の平均間隔Smが5〜200μmの範囲
内にあり、かつ凹凸の斜面の平均傾斜角θaが3〜30
°の範囲内にあり、しかも十点平均粗さRzが0.5〜
5μmの範囲内にある被覆用アルミニウム合金板の少な
くとも片面に、溶融状態の熱可塑性樹脂を積層し、次い
でその熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度に急冷
することを特徴とするものである。
項3で規定するように反応型化成処理皮膜であっても、
また請求項4で規定するように塗布型化成処理皮膜であ
っても良い。
アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1もしくは請
求項2に記載の熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の
製造方法において、前記熱可塑性樹脂の融点をTm
(℃)とし、溶融状態の熱可塑性樹脂を被覆用アルミニ
ウム合金板の少なくとも片面に積層するに先立って、予
め被覆用アルミニウム合金板をTm−100(℃)以
上、Tm+30(℃)以下の範囲内の温度に予熱してお
くことを特徴とするものである。
被覆アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1〜請求
項5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂被覆アルミニウム
合金板の製造方法により得られた熱可塑性樹脂被覆アル
ミニウム合金板について、さらに熱可塑性樹脂の融点T
m(℃)以上、Tm+30(℃)以下の範囲内の温度に
再加熱し、その後熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の
温度に急冷することを特徴とするものである。
れる熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板は、基本的に
は図1に示すようにアルミニウム合金基板1の表面1A
上に直接被覆層(熱可塑性樹脂層)3を設けたものであ
り、また請求項2〜4の方法により得られる熱可塑性樹
脂被覆アルミニウム合金板は、基本的には図2に示すよ
うにアルミニウム合金基板1の表面1A上に反応型もし
くは塗布型の化成処理皮膜5を形成し、その化成処理皮
膜5の表面5A上に被覆層(熱可塑性樹脂)3を形成し
たものである。ここで、被覆層3の密着性は、その被覆
層3に対する下地との界面によって決定されるから、図
1に示すようにアルミニウム合金基板1の表面1Aに直
接被覆層3を形成する場合には、請求項1で規定してい
るようにアルミニウム合金基板1の表面1Aの微視的性
状を厳密に規定し、また図2に示すようにアルミニウム
合金基板1の表面1A上に形成した化成処理皮膜5の表
面5Aに被覆層3を形成する場合には、請求項2で規定
しているように化成処理皮膜5の表面1Aの微視的性状
を厳密に規定している。
成処理皮膜は下地のアルミニウム合金基板と化成処理液
との反応によって生成されるものであるため、下地のア
ルミニウム合金基板との密着性は極めて高く、また塗布
型化成処理皮膜の場合も、塗布膜と下地のアルミニウム
合金との間で反応が生じるため、反応型化成処理皮膜よ
りは密着力は低いものの、かなりの程度の密着力が得ら
れ、いずれにしても化成処理皮膜とその下地のアルミニ
ウム合金基板との間の密着力は、最表面のフィルムもし
くは塗膜とその下地の化成処理皮膜との間の密着力より
も格段に大きい。そこで請求項2の発明の構造の場合
(図2)においては、もっぱら最表面のフィルムもしく
は塗膜とその下地の化成処理皮膜との界面に注目し、そ
の界面における密着力向上のために化成処理皮膜の表面
性状を厳密に規定している。
ては、化成処理皮膜を形成せずに熱可塑性樹脂からなる
被覆層を形成する場合(請求項1)よりも、予め化成処
理皮膜を形成しておいてその上に熱可塑性樹脂からなる
被覆層を形成した場合(請求項2)の方が樹脂被覆層の
密着性や被覆板としての耐食性の点で有利となる。そこ
で次の説明では、予めアルミニウム合金基板の表面に化
成処理皮膜を形成しておいた被覆用アルミニウム合金板
に対して、熱可塑性樹脂を被覆する方法について説明す
る。
金基板表面に化成処理皮膜を形成してなる被覆用アルミ
ニウム合金板の表面に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を
設ける工程の代表的な一例の概要を示す。
1は例えば予めコイルとされており、そのコイル状の被
覆用アルミニウム合金板1は供給側ロール7から連続的
に繰出されて、第1加熱手段9を連続的に通過する。こ
こで、被覆すべき熱可塑性樹脂の融点をTm(℃)とす
れば、被覆用アルミニウム合金板1は第1加熱手段9を
通過する間に、(Tm−100)℃以上、(Tm+3
0)℃以下の範囲内の温度に加熱される。続いて被覆用
アルミニウム合金板1は、巻付け用ロール10と冷却さ
れた圧着用ロール11との間隙部(圧接部)12に至
る。この間隙部12の上方にはTダイ14が配置されて
おり、予め溶融された熱可塑性樹脂16がこのTダイ1
4から連続的に供給される。すなわち、被覆用アルミニ
ウム合金板1が間隙部12に導入される直前に、その被
覆用アルミニウム合金板1の表面に溶融状態の熱可塑性
樹脂16が連続的に積層される。そして積層された熱可
塑性樹脂は、間隙部(圧接部)12において圧着用ロー
ル11によって加圧されつつ、熱可塑性樹脂のガラス転
移温度以下の温度に急冷される。このようにして熱可塑
性樹脂が被覆された被覆用アルミニウム合金板1は、補
助ロール18を介して第2加熱手段13に導入され、そ
の第2加熱手段13により熱可塑性樹脂が、融点Tm
(℃)以上、(Tm+30)℃以下の温度に再加熱され
て、被覆用アルミニウム合金板の表面に強固に溶融密着
される。このようにして熱可塑性樹脂が積層被覆された
後、冷却手段15により冷却されてから巻取り側ロール
17に連続的に巻取られる。
れた樹脂フィルムを積層する方法の場合は、未溶融状態
のフィルムを積層することから、積層時に空気の巻込み
によりフィルムと下地との界面に微細な気泡が多数存在
した状態となっていることが多く、そのため被覆用アル
ミニウム合金板表面の微細な凹部の隅々まで樹脂を充分
に侵入させることが困難となって、確実かつ安定した密
着力を得ることが困難となる。これに対しこの発明の方
法の場合は、溶融状態の樹脂を被覆用アルミニウム合金
板の表面に直接積層させるため、空気の巻込みを最小限
に抑えつつ、下地表面の微細な凹部の隅々まで溶融樹脂
を確実に進入させることができ、そのため樹脂被覆層の
高い密着力を確実かつ安定して得ることができる。そし
てこのように溶融状態の溶融樹脂を下地表面の微細な凹
部の深部まで充分に侵入させて高い密着力を得るために
は、後に詳細に説明するように、下地表面の凹凸の平均
間隔Smが5〜20μm、凹凸の斜面の平均傾斜角θa
が3〜30°、十点平均粗さRzが0.5〜5μmとな
るように、下地表面(被覆用アルミニウム合金板表面)
の微視的性状を厳密に調整する必要がある。
B0601に規定されているように、粗さ曲線からその
平均線の方向に基準長さだけ抜取り、この抜取り部分に
おいて一つの山およびそれに隣り合う一つの谷に対応す
る平均的長さの和(以下、凹凸の間隔という)を求め、
この多数の凹凸の間隔の算術平均値をミリメートル(m
m)で表わしたものをいう。すなわち、一つの山とそれ
に隣り合う一つの谷に対応する平均線における凹凸の間
隔をSmi、基準長さl内での凹凸の間隔の個数をnと
すれば、Smは、数1であらわされる。なお凹凸の平均
間隔Smを求めるための基準長さlは、一般にSm値の
大きさに応じて0.08mm、0.25mm、0.8m
m、2.5mm、8mm、25mmの6種類のうちから
選ばれるが、この発明の場合は、0.25mmとするこ
とが望ましい。また実際上は、任意の5点についてそれ
ぞれ基準長さlを抜き取ってSm値を測定し、その5点
の平均値を求めることが望ましい。
は、前記同様に粗さ曲線からその平均線の方向に基準長
さだけ抜取り、その抜取り部分における傾斜量(縦横
比)の算術平均を平均傾斜量Δaとし、それを角度で表
わしたものが平均傾斜角θaである。すなわち、図4に
示すように、斜面の微小長さdxにおける傾きをdx/
dyとし、一つの谷に対して隣り合う一つの山の高さを
hiとすれば、平均傾斜量Δaは数2であらわされ、平
均傾斜角θaは、Δaを用いて、数3であらわされる。
も、基準長さlについては、この発明の場合は前記同様
に0.25mmとし、任意の5点で測定してその平均値
を求めることが望ましい。
0601で規定されているように、また一般に広く知ら
れているように、粗さ曲線からその平均線の方向に基準
長さだけ抜取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の
方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の
標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5
番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和
を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表わした
ものをいう。なおこの十点平均粗さの測定に対しても、
基準長さlは前記同様に0.25mmとすることが望ま
しく、また任意の5点について測定してその平均値を求
めることが望ましいことも前記同様である。
mが5μm未満であれば、溶融状態の樹脂が凹部に急速
に侵入することができず、凹部内に気泡が残留した状態
となって、機械的結合力としての充分なアンカー効果が
得られない。一方凹凸の平均間隔Smが200μmを越
えれば、凹部への溶融状態の樹脂の侵入は容易となる
が、単位面積当りの凹部の総数が少なくなるため、下地
との界面に剪断力が作用したときにおけるアンカー効果
による保持力の総和が小さくなって、逆に密着力が低下
してしまう。そこで凹凸の平均間隔Smは5μm以上、
200μm以下とする必要がある。
満では界面に作用する剪断力に対する抵抗が小さくなっ
て充分な密着力が得られず、一方θaが30°を越えれ
ば、溶融状態の樹脂が凹部に侵入し難くなり、アンカー
効果による密着力向上効果が充分に得られなくなる。
に相当するものであるが、この十点平均粗さが0.5μ
mより小さければ、アンカー効果による機械的保持力の
総和が小さくなり、充分な密着力が得られない。一方十
点平均粗さRzが5μmを越えれば、溶融状態の樹脂が
凹部の底まで充分に入り込むことができず、気泡が残存
した状態となって、密着力の低下を招くばかりでなく、
苛酷な条件での成形加工時におけるクラックの発生原因
ともなる。したがって十点平均粗さRzは0.5μm以
上5μm以下とする必要がある。
を満たすように被覆用アルミニウム合金板の表面を調整
するための具体的方法は特に限定されるものではない
が、 イ:圧延ロール表面を適切な条件によって研磨、あるい
はショットブラスト、放電加工、レーザー加工等の手段
によって処理して、圧延ロールの表面形状を適切に調整
しておき、圧延時に圧延ロール表面の凹凸形状を板に転
写する方法、 ロ:圧延速度や圧延用潤滑油の粘度の調整にって、圧延
時に板表面に形成されるオイルピット等の形状や分布状
態を調整する方法、 ハ:圧延終了後に粗さ調整ロールや引張矯正ロールある
いはプレス等によって板表面に面圧を加えて機械的に調
整する方法、 ニ:圧延終了後に板表面に化学的エッチング処理や電気
化学的エッチング処理を施す方法、 ホ:圧延終了後に板表面にブラシ研磨等の機械的研磨を
加える方法、などがある。実際上は、確実かつ安定して
前述の表面条件を満たすように、これらのイ〜ホの方法
から適宜選択したり、2種以上の方法を組合せたりすれ
ば良いが、安定性や生産性、経済性等の点から考慮すれ
ば、イの圧延による方法を用いるか、あるいはイの圧延
法とニの化学的もしくは電気化学的エッチング法とを組
合せて適用することが望ましい。
るように、アルミニウム合金基板上に予め化成処理皮膜
を形成しておき、その化成処理皮膜表面に溶融樹脂を積
層する場合において、化成処理皮膜表面の性状を前述の
各条件を満たすように調整するためには、一般には化成
処理前のアルミニウム合金基板自体の表面性状を前述の
イ〜ホのような方法によって前記条件を満たすように調
整しておけば良い。但し場合によっては化成処理によっ
て表面性状が若干変化することもあり、その場合にはそ
の変化分を見込んで化成処理前のアルミニウム合金基板
表面の性状を調整しておき、化成処理後の表面性状が前
記各条件を満たすようにすれば良い。
ている化成処理皮膜について説明する。
(B)の化学的結合力を利用して被覆層の密着力および
耐食性を向上させることにあり、アルミニウム合金基板
表面に予め化成処理皮膜を形成しておいてその化成処理
皮膜上に被覆層を形成することによって、直接アルミニ
ウム合金基板上に被覆層を形成する場合よりも一層被覆
層の密着力、耐食性を向上させることができる。もちろ
ん、被覆層との界面となる化成処理皮膜の表面の微視的
性状について既に述べたように規定しておくことはもち
ろんである。
において規定するように、クロメート処理やベーマイト
処理、チタネート処理によって代表される反応型化成処
理を施して得られる皮膜であっても、あるいは請求項4
において規定しているように、組成物を塗布して乾燥さ
せる塗布型化成処理皮膜であっても良い。
Ti、Mo、W、Mn等の金属のうちから選ばれた1種
または2種以上を1〜50mg/m2 を含有する無機皮
膜とすることが望ましい。これらの金属の含有量が1m
g/m2 未満では、被覆層の密着力および耐食性の向上
の効果が充分に得られず、一方50mg/m2 を越えれ
ば、密着力向上の効果が飽和するばかりでなく、厳しい
成形加工を受けた場合に膜内で破壊が生じて、逆に密着
性を低下させてしまうおそれがある。このような反応型
化成処理皮膜の形成方法としては、圧延後のアルミニウ
ム合金基板を、アルカリ金属もしくはアンモニウムの水
酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ
酸塩のうちから選ばれた1種または2種以上を含んだア
ルカリ水溶液に浸漬もしくはスプレーする方法、または
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸のうちから選ばれた1種また
は2種以上を含む酸水溶液に浸漬させるかまたはスプレ
ーする方法、さらにはこれらのうちの2種類以上の方法
を実施した後に、Cr、Zr、Ti、Mo、W、Mn等
の金属の1種または2種以上およびアンモニウム塩、リ
ン酸、フッ酸、硝酸等の1種または2種以上を含有する
水溶液に浸漬またはスプレーする方法等がある。なお反
応型化成処理皮膜の膜厚は特に限定しないが、5nm以
上、5000nm以下の範囲内が好ましい。膜厚が5n
m未満では密着力、耐食性の充分な向上を図ることが困
難となり、一方5000nmを越えれば、厳しい加工を
受けたときに皮膜自体が破壊されてしまうおそれがあ
る。
ル、フェノール、メラミン等の樹脂の1種または2種以
上と、Cr、Zr、Ti、V、Mg、Ba等の金属の1
種または2種以上を1〜50mg/m2 とを含有し、さ
らに必要に応じてリン酸、フッ酸等を含有する組成物層
とすることが好ましい。このような塗布型化成処理皮膜
の形成方法としては、圧延板をアルカリ水溶液に浸漬ま
たはスプレーして水洗、乾燥した後、前記成分を含有す
る組成物をロールコーター等により塗布し乾燥させる方
法が適当である。塗布型化成処理皮膜の膜厚は、乾燥後
の膜厚で5nm以上、5000nm以下が好ましい。膜
厚が5nm未満では密着性や耐食性向上の効果が得られ
ず、一方5000nmを越えれば厳しい加工を受けたと
きに皮膜自体が破壊することがあり、好ましくない。な
お皮膜中の前記金属の含有量としては、前述のように1
〜50mg/m2 が望ましいが、そのうちでも特に3〜
30mg/m2 が適当である。金属含有量が1mg/m
2 未満では密着性や耐食性の向上効果が得られず、一方
50mg/m2 を越えて含有させてもそれ以上の効果の
向上は期待できず、また不経済となる。
脂の具体的種類は特に限定されるものではないが、通常
は例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフ
タレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエス
テルおよびこれらの変性体やポリマーブレンド、ポリマ
ーアロイなどを用いれば良く、さらに必要に応じて滑
剤、安定剤、酸化防止剤などの添加剤を配合することが
できる。
積層および冷却についての態様および好ましい条件につ
いて説明する。
は、積層する熱可塑性樹脂を、その融点Tm(℃)以上
に加熱して流動性を高めておかなければならない。一般
に温度が高いほど樹脂の流動性は良好となるが、あまり
に温度が高過ぎれば、樹脂が分解するため、好ましくな
くなる。したがって樹脂の加熱温度は融点以上で分解が
生じない限界の温度とすることが望ましく、具体的な加
熱温度は、使用する樹脂の種類により決定される。なお
溶融状態の樹脂を積層するための具体的な方法として
は、前述したように充分に加熱混練された樹脂をTダイ
から押出して、被覆用アルミニウム合金板上に積層し、
直ちに温度制御された圧着ロールにより加圧・冷却する
方法が代表的であるが、この方法に限定されるものでは
ない。また積層後の冷却については、樹脂の結晶化を防
止するため、積層後に直ちに樹脂のガラス転移温度以下
に急速冷却する必要がある。ここで、樹脂の結晶化を防
止するためには、樹脂の種類にもよるが30℃/秒以上
の冷却速度が望ましい。30℃/秒未満で冷却すれば、
樹脂によっては著しい結晶化が起こることがあり、この
場合樹脂被覆層の白化や密着性の低下を招いて好ましく
なくなる。したがって図3の方法によりこの発明の方法
を実施する場合、圧着用ロール11の温度を、これらの
冷却温度および冷却速度が満足されるように制御する必
要がある。
件について説明する。請求項5の発明の方法では、熱可
塑性樹脂の融点をTm℃としたとき、積層前のアルミニ
ウム合金板を(Tm−100)℃以上、(Tm+30)
℃以下に予め加熱しておく。このように積層前のアルミ
ニウム合金板を加熱(予熱)しておくことにより、溶融
状態の樹脂を板上に積層した際に樹脂が急激に冷却固化
することがなく、溶融状態を保ちながら板表面の微細な
凹部の隅々まで入り込むことができ、樹脂の密着性をよ
り一層向上させることができる。この場合、板の加熱温
度が(Tm−100)℃未満では、樹脂の溶融温度との
差が大きいため、樹脂が急激に冷却されて充分な密着性
の向上効果が得られない場合があるから、加熱温度の下
限は(Tm−100)℃とした。一方加熱温度の上限に
関しては、加熱温度が高いほど樹脂の流動性の点では好
ましいが、加熱温度が高過ぎれば、前記同様に樹脂の分
解を生じるおそれがあるため好ましくない。また高い温
度での加熱は板の強度低下を招くおそれもある。したが
って加熱温度の上限は(Tm+30)℃が適当である。
る条件について説明する。
方法により製造された熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合
金板を、Tm℃以上、(Tm+30)℃以下の温度に再
加熱し、直ちに樹脂のガラス転移温度以下の温度に急冷
する。この場合の再加熱の目的は、樹脂の配向を崩壊さ
せて、樹脂の加工性および密着性を向上させることにあ
る。被覆される樹脂には積層、圧着の段階で引張り力が
作用するため、配向を生じる場合があり、このような配
向は、被覆樹脂層の加工性を低下させるため、被覆板が
強加工を受けるときには皮膜に亀裂が発生したり、密着
性が低下するなどの不都合が生じることがある。これを
防止するためには、再加熱により配向を崩壊させる必要
がある。また積層時に取り込まれた極くわずかな空気で
も、被覆界面に残存すれば、強加工やレトルト等の加熱
殺菌処理を行なった場合に樹脂被覆層の密着性を低下さ
せる原因となる。したがって被覆界面に残存するこのよ
うな極くわずかな空気をも消滅させて、加工性、密着性
を向上させるためにも再加熱が必要である。
は、Tm℃以上、(Tm+30)℃以下の温度に加熱し
なければならない。再加熱温度がTm℃未満では、樹脂
の配向の崩壊が不充分でまた樹脂の流動性も低いため、
加工性や密着性の充分な改善効果が得られない。流動性
を高めるためには高い温度ほど好ましいが、高過ぎれば
樹脂の分解やアルミニウム合金板の強度低下を招くおそ
れがある。したがって再加熱の上限の温度は(Tm+3
0)℃とする。また再加熱後は直ちに樹脂のガラス転移
温度以下の温度に急冷する必要がある。この際の冷却速
度としては30℃/秒以上の冷却速度が望ましい。30
℃/秒未満で冷却すれば、樹脂によっては著しい結晶化
が起こることがあり、樹脂被覆層の白化や密着性が低下
するため好ましくなくなる。
を用いて、JIS 5052アルミニウム合金を圧延
し、板厚0.5mmの種々の表面状態の圧延板を作製し
た。これらの圧延板に対し、5%の水酸化ナトリウムを
含むアルカリ水溶液を用いたスプレー法により脱脂し
て、水洗した後、一部のもの(表1のNo.12)を除
き、リン酸5%、クロム酸1%、フッ酸0.2%を含む
水溶液をスプレーして、反応型化成処理皮膜としてCr
を含む無機皮膜を形成し、被覆用アルミニウム合金板と
した。このとき、スプレー時間を調整することによって
反応型化成処理皮膜中のCr量を20mg/m2 とし
た。その後(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器サーフ
コーダSE−30D(商品名)によって表面の凹凸の平
均間隔Sm、凹凸の斜面の平均傾斜角θa、および十点
平均粗さRzを測定した。ここで、各測定における基準
長さlは0.25mmとし、それぞれ任意の5点を測定
して、その平均値を求めた。さらにこれらの被覆用アル
ミニウム合金板に厚さ15μmで融点Tmが265℃、
ガラス転移温度が67℃のポリエステル樹脂を積層した
サンプル(被覆アルミニウム合金板)を作製した。樹脂
の積層方法としては、予め温度T1(表1参照)に加熱
された板の片面に、Tダイから280℃の溶融状態の樹
脂を流下させて積層し、水冷された圧着用加圧ロールに
より加圧、急冷した。その後、温度T2(表1参照)で
再加熱し、水冷した。被覆用アルミニウム合金板の表面
性状測定結果および樹脂積層温度条件について、表1の
No.1〜No.21に示す。
盤目セロテープ(登録商標)剥離試験によって樹脂被覆
層の密着性を評価した。ここで密着性評価は、樹脂被覆
を行なったままの状態のサンプル、125℃で30分の
加熱処理(レトルト処理)を行なったサンプル、および
30%、50%、65%の各圧延を行なったサンプルに
ついてそれぞれ実施した。この密着性評価結果を、表2
のNo.1〜No.21に示す。
例として実施した(表1のNo.17)。この場合、フ
ィルムとしては、接着層厚み2μm、表層厚み18μ
m、全厚み20μmとし、接着層融点215℃、表層融
点265℃の2層フィルムを用いた。
性評価基準は、1mm角100目の試験を行なった後の
剥離状態を観察して、次のような4段階で評価した。 ◎:全く剥離なし ○:周縁部がやや浮き気味の目が50個以下 △:周縁部がやや浮き気味の目が50個を越える場合、
但し全面剥離はなし ×:1個でも全面剥離がある場合
o.5は本発明例であり、いずれも良好な加工性および
密着性を示している。No.6〜No.11はSm、θ
a、Rzのいずれかが本発明の範囲外となった例であ
り、これらの場合、被覆直後の密着性はそれほど悪くは
ないものでも、レトルト処理や圧延加工を行なうことに
より密着性が劣る結果となった。No.12は積層前の
アルミニウム合金板の加熱および被覆後の加熱を実施し
なかった本発明例であり、これらの加熱を実施した実施
例に比べれば密着性がやや劣るものの、実用上差し支え
ない程度であった。No.13、No.14は積層前の
板を加熱した例、No.15は再加熱を行なった例であ
り、No.12に比べてさらに密着性が向上している。
No.16は積層前の板加熱および積層後の加熱を行な
った本発明例であり、著しく良好な加工性、密着性を示
している。No.17は従来のフィルム被覆材の例であ
り、充分な板加熱と再加熱を行なっているためにNo.
12の本発明例とほぼ同等の密着性を示しているが、板
加熱や再加熱を行なった他の本発明例にはおよばない結
果となった。No.18は板加熱を行なったが温度が低
かったため、充分な温度に加熱した他の実施例にはおよ
ばない結果となった。No.19は積層後に再加熱を行
なったが、やや再加熱温度が低かったため、被覆後の密
着性は極めて良好であったものの、レトルト後や圧延後
の密着性が他の実施例に比べてやや劣る結果となった。
No.20は積層前の板を300℃に加熱した例であ
り、極めて良好な密着性を示したが、被覆板の強度が著
しく低下する結果となった。No.21は積層後に30
0℃に加熱した例であり、密着性はそれほど悪い結果と
はならなかったが、樹脂表面に荒れが発生し、商品価値
を損ねる結果となった。
実施例1と同様に処理して被覆板を得、前記同様に密着
性を評価した。その結果を表1、表2のNo.22に示
す。この場合は密着性が悪いばかりでなく、樹脂被覆層
に著しい白化が発生してしまった。
変えて被覆板を得、前記同様に密着性を評価した。その
結果を表1、表2のNo.23に示す。この場合も他の
発明例と同様に良好な密着性を示した。
様に処理して被覆板を得、前記同様に密着性を評価し
た。その結果を表1、表2のNo.24に示す。この場
合は若干密着性が劣るものの、実用上支障のない程度に
良好であった。
の発明の方法により得られる熱可塑性樹脂被覆アルミニ
ウム合金板は、被覆層に対する下地となる被覆用アルミ
ニウム合金板表面の微視的性状のうち、特に凹凸の平均
間隔Sm、凹凸の斜面の平均傾斜角θa、および十点平
均粗さRzを厳密かつ適切に調整し、しかも被覆すべき
熱可塑性樹脂を下地表面に溶融状態で積層するため、被
覆層の密着性を確実かつ充分に高めることができ、さら
には積層前の板の予熱や積層後の再加熱を行なうことに
よって、密着性および加工性をより一層向上させること
ができる。そのためこの発明の方法による熱可塑性樹脂
被覆アルミニウム合金板は、苛酷な成形加工やレトルト
処理などの加熱処理を行なっても被覆層に剥離が生じる
おそれが極めて少なく、また食品容器や飲料缶等に長期
間使用するうちに密着性が劣る部分から腐食が生じるお
それも極めて少なく、したがって食品包装容器その他各
種部品や建材等に好適である。
ミニウム合金板の概要を説明するための略解的な縦断面
図である。
ミニウム合金板の概要を説明するための略解的な縦断面
図である。
脂を積層被覆する工程の一例を示す略解図である。
るための略解図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 表面の凹凸の平均間隔Smが5〜200
μmの範囲内にあり、かつ凹凸の斜面の平均傾斜角θa
が3〜30°の範囲内にあり、しかも十点平均粗さRz
が0.5〜5μmの範囲内にある被覆用アルミニウム合
金板の少なくとも片面に、溶融状態の熱可塑性樹脂を積
層し、次いでその熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の
温度に急冷することを特徴とする、被覆層の密着性およ
び加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板
の製造方法。 - 【請求項2】 アルミニウム合金基板の表面に化成処理
皮膜が形成され、かつその化成処理皮膜の表面の凹凸の
平均間隔Smが5〜200μmの範囲内にあり、かつ凹
凸の斜面の平均傾斜角θaが3〜30°の範囲内にあ
り、しかも十点平均粗さRzが0.5〜5μmの範囲内
にある被覆用アルミニウム合金板の少なくとも片面に、
溶融状態の熱可塑性樹脂を積層し、次いでその熱可塑性
樹脂のガラス転移温度以下の温度に急冷することを特徴
とする、被覆層の密着性および加工性に優れた熱可塑性
樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。 - 【請求項3】 前記化成処理皮膜が反応型化成処理皮膜
である、請求項2に記載の被覆層の密着性および加工性
に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方
法。 - 【請求項4】 前記化成処理皮膜が塗布型化成処理皮膜
である、請求項2に記載の被覆層の密着性および加工性
に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方
法。 - 【請求項5】 請求項1もしくは請求項2に記載の熱可
塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において、 前記熱可塑性樹脂の融点をTm(℃)とし、溶融状態の
熱可塑性樹脂を被覆用アルミニウム合金板の少なくとも
片面に積層するに先立って、予め被覆用アルミニウム合
金板をTm−100(℃)以上、Tm+30(℃)以下
の範囲内の温度に予熱しておくことを特徴とする、被覆
層の密着性および加工性に優れた熱可塑性樹脂被覆アル
ミニウム合金板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法により
得られた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金板につい
て、さらに熱可塑性樹脂の融点Tm(℃)以上、Tm+
30(℃)以下の範囲内の温度に再加熱し、その後熱可
塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度に急冷することを
特徴とする、被覆層の密着性および加工性に優れた熱可
塑性樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。
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