JP2010069748A - 樹脂被覆アルミニウム板 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで良好な放熱性と強度の両方を具備し、且つ加工性に優れた樹脂被覆アルミニウム板を提供する。
【解決手段】所定合金組成を有し、導電率が54%IACS以上で、引張強さが180MPa以上であり、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が10〜100μmであるAl−Si−Mg系アルミニウム合金板と、Al−Si−Mg系アルミニウム合金板の両面に設けられた化成皮膜と、化成皮膜の少なくとも一方の面上に設けられた有機樹脂塗膜であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜60℃の有機樹脂100質量部に対して平均粒径30μm以下のカーボン系放熱性添加剤を1〜50質量部含有し、赤外放射率が0.5以上の有機樹脂塗膜と、を備える樹脂被覆アルミニウム板。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部で熱を発する電子部品、家電製品等の筐体や放熱板等に用いる樹脂被覆アルミニウム板に関し、より詳細には、高強度でありながら加工性と放熱性に優れた高機能の樹脂被覆アルミニウム板に関する。
電子機器の小型化、高性能化に伴い、これらの電子部品から放出される熱が、狭い空間に蓄積されることが多くなり、該空間からの排熱が問題となってきている。つまり、電子機器内の発熱による機器内部の高温化は、精密な電子機器本体の性能を損なう恐れがあるため、熱を効率よく外部へ排出することが重要な課題となっている。
この解決方法として、従来はファンやヒートシンクが採用されていた。しかし、従来方法では近年増加している小型化、小スペース化などの要求には対応できていないという問題があった。また、電子機器の小型化、軽量化及び形状の複雑化から、熱伝導性の良いアルミニウム合金を用いながらも高強度で、優れた加工性が要求されるようになってきている。
このような課題を解決するために、特許文献1には、耐疵付性、放熱性の良好な材料として、熱伝導率が100W/(m・℃)以上である金属板、例えばアルミニウム合金板からなる基材表面に赤外放射率が0.65以上、皮膜表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜5μmである熱硬化性樹脂皮膜を用いた塗装金属板が記載されている。
:特開2004−160979号公報
塗装金属板の放熱性を向上させるためには金属板の熱伝導性を大きくすることと皮膜の赤外放射率を大きくすることが重要である。金属板の中でアルミニウム合金板は熱伝導性の良い金属板である。しかし、一般的に基材の熱伝導性と強度、加工性とは両立することが難しいため、熱伝導性を優先すれば強度や加工性が不足し、強度や加工性を優先すれば熱伝導性が劣るため強度、加工性と放熱性を高度に満足できないという問題があった。
また、特許文献1では熱硬化性樹脂皮膜の表面粗さを調整することにより皮膜の耐疵付性を向上させているが、根本的に基材の加工性が劣り、例えば基材自身に割れや肌荒れなどの欠陥が発生した場合、それに伴い当然皮膜も損傷してしまうため、皮膜の改善だけでは加工性の向上には限界があった。
また、特許文献2には、加工性、放熱性の良好な材料として、Al−Mg−Cu系アルミニウム合金板を用い、その一方の面に潤滑性皮膜、他方の面に放熱性皮膜を用いた両面プレコートアルミニウム合金板が記載されている。Al−Mg−Cu系アルミニウム合金板を積極的に採用することにより高強度で加工性の良い基材上に、潤滑性皮膜と放熱性皮膜を供えた両面塗装板とすることにより、強度、加工性、放熱性を向上させている。しかしながら、基材の強度、加工性を優先させたため、基材の熱伝導性が十分良いとは言えず、強度、加工性、放熱性を高度に満足するには未だ改善の余地があり、その特性をさらに向上させることが必要である。
特開2006−312243号公報
本発明は低コストで良好な放熱性と強度の両方を具備し、且つ加工性に優れた樹脂被覆アルミニウム板を提供するものである。
本発明者らは日々積み重ねた研究の結果、Al−Si−Mg系アルミニウム合金板に着目してその表面形状を特定し、かつ、その少なくとも一方の面に、カーボン系放熱性添加剤を含有させた、特定ガラス転移温度(Tg)と赤外放射率を有する有機樹脂塗膜を設けることにより、高強度で加工性と放熱性の両性能を満足し得ることを見出した。そして、更に研究を重ねることにより、アルミニウム合金板の各成分の含有量や表面形状の適正範囲、さらに放熱性有機樹脂塗膜のガラス転移温度(Tg)の適正範囲を見出して本発明を完成させるに至った。
本発明は請求項1において、Si:1.1〜1.5質量%、Mg:0.3〜0.6質量%、Cu:0.6〜0.8質量%を含有し、さらにTi:0.005〜0.15質量%を単独であるいはB:0.0001〜0.05質量%と共に含有し、不純物としてのFeを0.35質量%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物とよりなり、導電率が54%IACS以上で、引張強さが180MPa以上であり、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が10〜100μmであるAl−Si−Mg系アルミニウム合金板と、当該Al−Si−Mg系アルミニウム合金板の両面に設けられた化成皮膜と、当該化成皮膜の少なくとも一方の面上に設けられた有機樹脂塗膜であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜60℃の有機樹脂100質量部に対して平均粒径30μm以下のカーボン系放熱性添加剤を1〜50質量部含有し、赤外放射率が0.5以上の有機樹脂塗膜と、を備えることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム板とした。
更に請求項2において、前記有機樹脂をポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂とからなりものとし、前記カーボン系放熱性添加剤をグラファイトとした。
本発明の樹脂被覆アルミニウム板は高強度で加工性及び放熱性に優れる。したがって、この樹脂被覆アルミニウム板はパーソナル・コンピュータ等の電子機器、FPD(フラットパネルディスプレイ)のバックカバーなど、熱の放散が必要とされる機器の筐体材料として極めて有用である。
本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板について、以下に詳述する。
A.アルミニウム合金板
本発明に用いるアルミニウム基材には、Al−Si−Mg系アルミニウム合金板が用いられる。また、このようなアルミニウム合金板は、Si:1.1〜1.5%(質量%、以下同じ)、Mg:0.3〜0.6%、Cu:0.6〜0.8%を含有し、さらにTi:0.005〜0.15%を単独であるいはB:0.0001〜0.05%と共に含有し、不純物としてのFeを0.35%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる。そして、導電率が54%IACS以上、引張強さが180MPa以上である。なお、導電率と熱伝導性とは高い相関があることは周知の事実であり、導電率の高い材料ほど熱伝導性も高い材料であるといえる。また、本発明に用いるアルミニウム基材は、表面の算術平均粗さ(Ra)0.1〜1μmと、凹凸の平均間隔(Sm)10〜100μmを有する。
A−1.アルミニウム合金板の成分組成
先ず、上記アルミニウム合金板の成分組成の限定理由について説明する。
Si:SiとMgはこの合金の強度、曲げ加工性、導電率などの特性を確保するために必要な元素である。Si量はMg量とのバランスで放熱部品の強度を確保するが1.5%を超えると導電率の低下や曲げ加工性を阻害する要因となる。一方、Si量が1.1%未満だと強度不足の原因となる。そこでSi量は1.1〜1.5%の範囲とする。
Mg:Mgは強度を向上させ、放熱部品の強度を確保するために必要な元素であり、0.3%未満だと強度不足となり、0.6%を超えると導電率低下の要因となる。そこでMg量は0.3〜0.6%の範囲とする。
Cu:Cuも強度を確保するために必要な元素であり、0.6%未満だと強度不足となり、0.8%を超えると導電率低下の要因となる。そこでCu量は0.6〜0.8%の範囲とする。
Ti:Tiは鋳塊の結晶粒の微細化に効果があり、鋳塊割れを防止する。0.005%未満だとその効果がなく、0.15%を超えると初晶AlTiが晶出して曲げ加工性の劣化や導電率低下の要因となる。そこでTi量は0.005〜0.15%の範囲とする。
また、鋳塊の結晶粒の微細化のために、TiとBを複合添加することも行われている。その場合のB量は0.0001%(1ppm)未満では効果がなく、0.05%(500ppm)を超えるとTiBが生成して曲げ加工性が阻害されるので、B量は0.0001〜0.05%の範囲とする。
Fe:Feはアルミスクラップやアルミ地金などに含有される不純物元素であり、多すぎるとAl-Fe系金属間化合物のサイズが大きくなって曲げ加工性の劣化や導電率低下の要因となる。そこでFe量は0.35%以下に規制する。
上記以外のMn、Cr、Znなどの不純物元素は各々0.10%以下であれば、本発明に用いるアルミニウム合金板の性能を損なうことはない。
A−2.アルミニウム合金板の導電率と引張強さ
本発明では、圧延にて得られた冷間圧延板を焼鈍した最終焼鈍板の特性値を規定しており、これらについて以下に説明する。すなわち、アルミニウム合金板は、最終焼鈍板の導電率を54%IACS以上、引張強さを180MPa以上と規定している。その理由は次の通りである。
放熱部品材として必要とされる導電率は50%IACS以上、一方パネル強度は市販プラズマディスプレーテレビのパネル強度を調査した結果、引張強さは180MPa程度であることから、本発明はさらに高放熱部品材を狙って導電率は54%IACS以上、強度は引張強さで180MPa以上を目標とした。
次に、このような導電率及び引張強さを達成するためのアルミニウム合金板の製造方法について説明する。
アルミニウム合金板の製法上の特徴は、熱間圧延中の任意パス工程での制約を受けずに圧延を施して300℃以下で終了し、製造工程途中の溶体化処理を省略し、冷間圧延を20%以上の圧延率で行うことを規定することにより、目的とする導電率、強度を低コストで達成するものである。
先ず前述のようなアルミニウム合金を溶解し、常法に従ってDC鋳造などによって鋳造する。
得られた鋳塊を均質化処理してから熱間圧延を施し、さらに冷間圧延を施して0.5〜2.5mm程度の板厚とし、最後に最終焼鈍を施して製品とする。
ここで、均質化処理は500〜570℃の範囲内の温度で1〜24時間保持の条件とする。均質化処理温度が500℃未満では均質化が不足して曲げ加工性が悪く、一方570℃を越えれば溶解する恐れがある。また保持時間が1時間未満では均質化が不足し、また24時間を越える保持は均質化が飽和して経済的に無駄である。
上述のように均質化処理した後、直ちに熱間圧延を開始するが、その熱間圧延開始温度は450℃以上とする。熱間粗圧延開始温度が450℃未満では熱間加工性が悪く、熱間圧延効率が悪い。なお、熱間粗圧延は均質化処理後の鋳塊を一旦室温まで下げてから450℃以上に加熱して開始してもよい。
また熱間圧延の終了温度は300℃以下とする。熱間圧延終了温度が300℃を越えると部分再結晶や完全再結晶が起こり、最終板の強度低下やバラツキの原因となる。
熱間圧延後に施す冷間圧延は圧延率を20%以上で行なう。冷間圧延率が20%未満では冷間ひずみが不足して強度不足となる。
さらにまた、冷間圧延後に施す最終焼鈍は200℃を超えて280℃以下で行う。200℃以下では伸びが不足して曲げ加工性が劣化し、280℃を超えると強度が低下して強度不足となり好ましくない。
また、導電率は、240〜260℃程度が最大値を示し、それよりも低温側あるいは高温側になるほど低下傾向を示すが、本発明で規定する導電率54%IACS以上は最終焼鈍を200℃を超えて280℃以下の範囲で行えば問題ない。
A−3.アルミニウム合金板の表面形状
アルミニウム合金板の表面形状については、算術平均粗さ(Ra)を0.1〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)10〜100μmと規定している。その理由は次の通りである。
Raが0.1μm未満の場合又はSmが100μmを超える場合、アルミニウム合金板の表面の凹凸が小さすぎて表面積が小さくなる。その結果、熱伝導性の良いアルミニウム合金板と赤外放射率の高い有機樹脂塗膜との接触面積が小さくなって放熱性が劣る。
一方、Raが1μmを超えると、数μm以上の山高さの凸部が部分的に存在するため、有機樹脂塗膜の塗膜厚さが薄いとアルミニウム合金板の凸の部分が有機樹脂塗膜で十分に被覆されない。その結果、薄い部分の塗膜が破断し易くなり、加工性が低下する。
Smが10μm未満の場合、凹凸の間隔があまりにも小さいため、有機樹脂塗料が凹凸の隙間に流れ込まず、アルミニウム合金板と有機樹脂塗膜との間に隙間ができてしまう。その結果、このような隙間での密着性が低下して加工性が低下する。
また、Raが1μmを超える場合やSmが10μm未満の場合、アルミニウム合金板の表面の凹凸が粗すぎて、有機樹脂塗料をロールコーターなどで塗装することにより有機樹脂塗膜を設ける際に、ゴム製のロールの損傷が激しく実用上問題となる。
なお、アルミニウム合金板表面において、算術平均粗さ(Ra)を0.1〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)を10〜100μmとするように、冷間圧延工程における最終パスの圧延ロールの表面粗度と圧下率、圧延油の粘性を次の通りに調整する。圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)は0.1〜1.2μmである。また、圧下率は20〜90%である。圧延油の粘性は、1.0〜9.0cSt、好ましくは3.0〜6.0cStである。
本発明者らは、アルミニウム合金板の表面形状に関し鋭意検討した結果、アルミニウム合金板表面の算術平均粗さ(Ra)は主に圧延ロールの表面形状の影響を受け、凹凸の平均間隔(Sm)は主にオイルピットの形状や分布状態の影響を受けることを突き止めた。
オイルピットは圧延時にロールとアルミニウム合金板との間に圧延油が巻き込まれ、アルミニウム合金板表面が油圧によって局部的に凹状になる現象である。よって、オイルピットの発生が多い場合、凹凸の平均間隔(Sm)は小さくなり、逆にオイルピットの発生が少ない場合は、凹凸の平均間隔(Sm)は大きくなる。また、圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)や圧下率はオイルピットの発生に影響を及ぼすことがわかっている。
具体的には圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)が小さい程、ロールとアルミニウム合金板との間における圧延油の巻き込み量が少なくなりオイルピットの発生を抑えることができる。逆に、圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)が大きい程、ロールとアルミニウム合金板との間における圧延油の巻き込み量が多くなりオイルピットの発生を助長する。一方、圧下率が小さい程、ロールと基材との間における圧延油の巻き込み量が多くなり、オイルピットの発生を助長する。逆に、圧下率が大きい程、オイルピットの発生を抑制する。
アルミニウム合金板表面を所定の凹凸の平均間隔(Sm)とするためには、先ず圧延ロールの表面粗度と圧下率を適宜設定し、次に圧延油の粘度を調整することによって、達成することができる。なお、圧延油の粘度については圧延油の粘度が小さい程、冷間圧延時に圧延油が濡れ広がるため、オイルピットの発生を抑制する。逆に、圧延油の粘度が大きい程、冷間圧延時に圧延油が濡れ拡がりにくい為、オイルピットの発生を助長する。
圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm未満の場合、圧延ロール表面の凹凸がアルミニウム合金板に転写されるので、アルミニウム合金板表面の算術平均粗さ(Ra)は0.1μm未満となり、一方、圧延ロール表面の算術平均粗さが1.2μmを超えると、アルミニウム合金板表面の算術平均粗さ(Ra)は1μmを超える。
また、圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm未満で、圧下率が90%を超え圧延油が1.0cSt未満の場合、オイルピットの発生が少なく、凹凸の平均間隔(Sm)は100μmを超える。一方、圧延ロール表面の算術平均粗さ(Ra)が1.2μmを超え、圧下率が20%未満で圧延油が9.0cStを超える場合、オイルピットの発生が多く、凹凸の平均間隔(Sm)は10μm未満となる。
なお、圧延ロールの表面形状を調整する方法としては、研磨あるいはショットブラスト、放電加工、レーザー加工等が挙げられる。アルミニウム合金板としては、0.1〜2.5mm厚さのものが通常用いられる。
B.化成皮膜
アルミニウム合金板の表面に形成する化成皮膜には、塗布型及び反応型の皮膜を用いることができる。塗布型及び反応型の皮膜のいずれでもよく特に制限されるものではないが、アルミニウム合金板と有機樹脂塗膜の両方に対して密着性が良好な反応型化成皮膜を用いるのが好ましい。
反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム等の処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート皮膜が、汎用性、コストの点で好ましい。アルミニウム合金板面に有機樹脂塗膜を直接形成するのではなく、アルミニウム合金板と有機樹脂塗膜との間に化成皮膜を設けることにより、有機樹脂塗膜の密着性が向上する。これによって、有機樹脂塗膜のクラック発生を防止する効果が向上して加工性が良好となる。
C.有機樹脂塗膜
アルミニウム基材の両面に形成された化成皮膜の一方の面又は両方の面には、赤外線領域において、特に5〜12μmの波長域において優れた赤外線放射(吸収)性を示す有機樹脂塗膜が形成される。また、このような有機樹脂塗膜のベース樹脂にポリエステル系樹脂を用いた場合、放熱性と加工性がより向上する。
C−1.ベース樹脂
有機樹脂塗膜のベース樹脂としては特に限定されず、例えばエポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン架橋タイプポリエステル系樹脂、イソシアネート架橋タイプポリエステル系樹脂などを用いることができる。電子機器からの放射熱はプランクの法則に従い、波長8〜10μmにピークを有する赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性向上に有効である。したがって、特に、ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂を含む熱硬化性樹脂であるメラミン架橋タイプポリエステル系樹脂を用いることによって、このような放熱性を向上することができる。なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射性も高い材料といえる。また、有機樹脂塗膜に強靭なメラミン架橋タイプポリエステル系樹脂を用いることによって、加工性が向上する。
ポリエステル系樹脂としては、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び変成アルキド樹脂等が用いられる。アルキド樹脂は、無水フタル酸などの多塩基酸とグリセリンなどの多価アルコールとの縮合物を骨格とし、これを脂肪酸の油脂で変性したものである。用いる油脂の種類と含有量によって、短油性アルキド樹脂、中油性アルキド樹脂、長油性アルキド樹脂及び超長油性アルキド樹脂に分類される。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和多塩基酸又は飽和多塩基酸とグリコール類をエステル化することによって合成される。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びアジピン酸が用いられ、グリコール類としては、プロピレングリコールが多く用いられる。変成アルキド樹脂としては、天然樹脂、フェノール樹脂又はスチレンなどの重合性モノマーで変成されたものが用いられる。
メラミン系樹脂としては、メチル化メラミン系樹脂、ブチル化メラミン系樹脂などが用いられるが、加工性の点からメチル化メラミン系樹脂が好ましい。メラミン系樹脂は広範囲の赤外線波長域において赤外線放射性(吸収性)が良好であり、ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部の割合で配合される。メラミン系樹脂の配合割合が10質量部未満では、有機樹脂塗膜の架橋度が不十分となり、有機樹脂塗膜強度が低下する。その結果、加工時のアルミニウム合金板の変形に伴う有機樹脂塗膜の変形により、有機樹脂塗膜が破断し易くなり加工性が低下する。
一方、メラミン系樹脂の配合割合が50質量部を超えると、架橋反応が進行し過ぎて有機樹脂塗膜の柔軟性が極度に低下し、加工時のアルミニウム合金板の変形に有機樹脂塗膜が追従できず皮膜が破断し易くなり加工性が低下する。
また、ベース樹脂のガラス転移温度(Tg)は0〜60℃である。ガラス転移温度が0℃未満の場合、有機樹脂塗膜の柔軟性は増加するものの塗膜強度が著しく低下する。その結果、加工時のアルミニウム合金板の変形に伴う有機樹脂塗膜の変形により有機樹脂塗膜が破断し易くなり加工性が低下する。一方、ガラス転移温度(Tg)が60℃を越えると、有機樹脂塗膜の柔軟性が極度に低下する。その結果、加工時のアルミニウム合金板の変形に有機樹脂塗膜が追従できず有機樹脂塗膜が破断し易くなり加工性が低下する。
C−2.放熱性添加剤
放熱性添加剤としては、カーボンブラック、グラファイトなどのカーボン系放熱性添加剤が用いられる。特に、グラファイトはカーボンブラックと異なり塗料中に高濃度で添加した場合、放熱性添加剤の凝集や塗料の増粘などの問題が発生せず、高濃度添加が可能なために好ましい。また、グラファイトの種類は特に限定されるものではない。具体的には、人造タイプと天然タイプがあり、天然タイプはさらに土状、鱗片状、鱗状などの種類があり、これらの中から1種または2種以上混合したものでも良い。
カーボン系放熱性添加剤の添加量は、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して1〜50質量部の割合で含有される。含有割合が1質量部未満では、放熱性添加剤の有機樹脂塗膜中における絶対量が不足し放熱性向上の効果が十分に得られない。一方、含有割合が50質量部を超えると、塗料粘度の上昇による有機樹脂塗膜の成膜の不均一化や有機樹脂塗膜の強度低下により加工性が低下する。
また、カーボン系放熱性添加剤の大きさは、平均粒径30μm以下である。平均粒径が30μmを超えると、カーボン系放熱性添加剤が有機樹脂塗膜割れの起点となったり、有機樹脂塗膜から脱落し易くなるため加工性が低下する。このカーボン系放熱性添加剤を添加した後の有機樹脂塗膜の赤外放射率は0.5以上とする。赤外放射率が0.5未満の場合、有機樹脂塗膜の赤外線放射性または赤外線吸収性が不足し、その結果、放熱性が低下する。
C−3.有機樹脂塗膜の形成
有機樹脂塗膜を形成するには、アルミニウム合金板表面に形成した化成皮膜表面に有機樹脂塗膜用の塗料を塗装(塗布)しこれを焼付ける。このような塗料はベース樹脂である有機樹脂、ならびに、カーボンブラックまたはグラファイト、また、必要に応じて、後述する潤滑性付与成分、導電性付与成分、添加剤を溶媒に溶解、分散して調整される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、水、アルコール、シンナーなどの一般的な有機溶剤を溶媒として用いることができる。
塗料は、溶解又は分散したベース樹脂の濃度が、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%のものが用いられる。5重量%未満では、多量の溶液を塗布しなければならず樹脂層が形成できない場合がある。一方、60重量%を超えると、塗布する溶液量が少量になって有機樹脂塗膜層厚さの制御が困難となる。具体的には、上記範囲内の濃度を有する塗料の塗布量を適宜選択する。
塗料の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、有機樹脂塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。また、有機樹脂塗膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
有機樹脂塗膜を形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が180〜250℃で、焼付け時間が30〜90秒の条件で行うのが好ましい。有機樹脂塗膜形成における焼付温度が180℃未満であったり、焼付け時間が30秒未満である場合には、有機樹脂塗膜が十分に形成されず塗膜密着性が低下する。焼付温度が250℃を超えたり、焼付温度が90秒を超える場合には、塗膜成分が変性することになる。
C−4.有機樹脂塗膜の塗膜厚
有機樹脂塗膜の塗膜厚は、特に限定されないが30μm以下、好ましくは0.5〜25μmである。30μmを超えると加工性が劣る。
C−5.潤滑性付与成分
本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板の加工性を更に向上させる目的で、ベース樹脂である有機樹脂に潤滑性付与成分を添加しても良い。潤滑性付与成分としては、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス等の潤滑剤が用いられる。潤滑性付与成分の添加量としては、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。潤滑性付与成分が30質量部を超えると、ブロッキング性、加工時における塗膜カスの発生等が起こり、電子機器や家電製品の筐体などの材料として好適ではない。
C−6.導電性付与成分
有機樹脂塗膜用の塗料には、導電性を付与するために、通常の導電性塗料に使用されるニッケル粉末などの導電性付与剤を適宜含有させても良い。ニッケル粉末には球状、鎖型、鱗片状等の種類があり特に制限されるものではないが、特に鎖型、鱗片状のものが加工性、導電性ともに良好であり好ましい。これらの種類中から1種又は2種以上を混合したものが用いられる。
用いるニッケル粉末の最大長径の平均値は100μm以下とする。最大長径の平均値が100μmを超えると、ニッケル粉末が有機樹脂塗膜から脱落し易く易くなるため加工性が低下する。また、好ましくは最大長径の平均値が0.5μm以上である。0.5μm未満では、導電性付与の効果が小さく、一方コストは増加する場合があるからである。
ニッケル粉末は、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して30質量部以上の割合で含有される。ニッケル粉末以外の金属粉末でも導電性付与には有効であるが、特に材料コストと導電性能のバランスからニッケル粉末が用いられる。ニッケル粉末の含有割合が30質量部未満では、十分な導電性付与効果が得られない。また、好ましくはニッケル粉末の含有割合が100質量部以下である。含有割合が100質量部を超えると有機樹脂塗膜の成膜が困難となり、ニッケル粉末が有機樹脂塗膜から脱落し易くなって加工性が低下する場合があるためである。
C−7.添加剤
有機樹脂塗膜用の塗料には、塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために通常の塗料に使用される、溶剤、レベリング剤、ワキ防止剤、つや消し剤、分散剤等を適宜含有させても良い。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜21及び比較例22〜40
アルミニウム基材としては、表1に示す成分組成のAl−Si−Mg系アルミニウム合金板(板厚1.5mm)を用いた。比較例22では、アルミニウム合金板A(板厚1.5mm、JIS H4000 AA1100−H14)、比較例23ではアルミニウム合金板B(板厚1.5mm、JIS H4000 AA5052−H34)をアルミニウム基材として用いた。
Figure 2010069748
表1の合金番号1〜11に示す合金は、常法にて溶解し、それぞれ、DC鋳造法にて厚さ450mm×幅1080mm×長さ2800mmの鋳塊に鋳造した。得られた鋳塊を530℃で8時間均質化処理した。次いで、これを最終板厚3.7mmまで熱間圧延を行なった。熱間圧延の開始温度は520℃、終了温度は265℃であった。次いで、これを最終板厚1.5mmまで圧延率60%で冷間圧延を行なった。冷間圧延後に、240℃で5時間最終焼鈍を行なった。
各最終焼鈍板について、導電率は圧延方向に平行に板厚×幅50mm×長さ1000mm(測定基準長さ500mm)の試験片を採取し、ダブルブリッジ法により比抵抗値を測定し、標準銅の比抵抗値を100として導電率を算出した。また、引張強度についてはJISZ2201に定める5号引張試験片にて圧延方向に直角な方向の引張強さを求めた。このようにして測定した導電率及び引張強度を表2に示す。
Figure 2010069748
次に、有機樹脂塗膜用の塗料を以下のように調整した。表2に示す市販の有機樹脂であるベース樹脂100質量部に対し、カーボンブラック(CB)またはグラファイト(GP)を表1に示す質量部加え、これをシクロヘキサノン及び高沸点芳香族ナフサ、イソホロンを主成分とする有機溶媒(いわゆる「シンナー」)中に分散して、有機樹脂塗膜用の塗料を調整した。ここで、塗料は、有機溶媒400質量部に対して、ベース樹脂100質量部、ならびに、(CB)又は(GP)を表2に示す質量部だけ配合した。
次いで、このようにして調整した塗料を用いて、以下のようにして樹脂被覆アルミニウム板を作製した。
これらアルミニウム合金板を、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行ない、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液を用いて、有機樹脂塗膜中のクロム量が30±5mg/mとなるようにアルミニウム合金板の両面に化成処理を施した。更に、化成処理したアルミニウム合金板の両面に表1に示す塗料をロールコーターで塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃〜250℃にて60秒間焼付けした。このようにして作製した樹脂被覆アルミニウム板4の模式的断面図を図1に示す。図中1は有機樹脂塗膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム合金板である。
作製した樹脂被覆アルミニウム材の試料について下記の試験方法にて性能評価を行った。各試験方法の詳細を以下に示す。
放熱性試験
放熱性試験は、図2に示す簡易放熱性評価装置を用い試験片中央表面温度を測定することによって行った。図中5は銅ブロックヒーターであり、その他は図1と同じである。上述の樹脂被覆アルミニウム板(100mm×200mm)の化成皮膜面の中央部に熱伝導シートを介して銅ブロックヒーターを取りつけた。銅ブロックヒーターを10Wで通電し、発熱させ、試験片表面温度が定常状態となった時点における有機樹脂塗膜の中央表面温度を測定した。なお、熱伝導性の良好なアルミニウム合金板Aの素板(未塗装板)の測定値を基準値として、これより何度温度が低下したかで放熱性を評価した。
◎:10℃以上、○:8℃以上10℃未満、△:5℃以上8℃未満、×:5℃未満の基準で評価した。中央表面温度の低下が5℃未満の場合は、温度の低下が小さく放熱性が不足する。そこで、有機樹脂塗膜の中央表面温度の温度低下が基準値より5℃未満である×を不合格とし、それ以外を合格とした。
加工性:曲げ加工性
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして90°曲げ(R/t=1.0、Rは内側曲げ半径mm、tは材料板厚mmを行ない、アルミニウム合金板または有機樹脂塗膜の割れを目視で観察した。○:素材または塗膜の割れないか、または非常に軽微な割れのため良好、△:小さな割れあるが使用可能、×:大きな割れあり使用不可、の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
加工性:剥離性
曲げ加工性試験の観察終了後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の有機樹脂塗膜の剥離具合を観察する剥離性試験を行なって、有機樹脂塗膜の加工性としての剥離性を評価した。○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離あり使用不可の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
また、アルミニウム合金板の強度によっては、強度不足により筐体が適切に形成できなかったものもあった。そこで、筐体形成の可否も表2に併せて示した。適切に形成できた場合を○、適切に形成できなかった場合を×とした。○を合格とした。
放熱性試験、曲げ加工性試験及びテープ試験による評価結果、ならびに、筐体形成の可否を表2に示す。表2に示すように、実施例1〜21では、放熱性、曲げ加工性、剥離性がともに良好であり、筐体も形成できた。
一方、比較例22、24、26、28では、アルミニウム合金板の引張強さが低いため筐体が適切に形成できなかった。また、比較例23、25、27、29〜40は放熱性、曲げ加工性、剥離性のいずれかが不合格であり、電子機器用又は家電製品用の樹脂被覆アルミニウム板としては不適当であった。
具体的には、比較例22では、アルミニウム基材に用いたアルミニウム合金板の引張強さが低いため、筐体が適切に形成できなかった。
比較例23では、アルミニウム基材に用いたアルミニウム合金板の導電率が低いため、放熱性が劣っていた。
比較例24では、基材に用いたアルミニウム合金板のSi含有量が少ないため引張強さが低く、筐体が適切に形成できなかった。
比較例25では、基材に用いたアルミニウム合金板のSi含有量が多いため、曲げ加工性が劣っていた。
比較例26では、基材に用いたアルミニウム合金板のMg含有量が少ないため引張強さが低く、筐体が適切に形成できなかった。
比較例27では、基材に用いたアルミニウム合金板のMg含有量が多いため、導電率が低く放熱性が劣っていた。
比較例28では、基材に用いたアルミニウム合金板のCu含有量が少ないため、引張強さが低く筐体が適切に形成できなかった。
比較例29では、基材に用いたアルミニウム合金板のCu含有量が多いため、導電率が低く放熱性が劣っていた。
比較例30では、基材に用いたアルミニウム合金板のTi含有量、B含有量が多いため曲げ加工性が劣っていた。
比較例31では、基材に用いたアルミニウム合金板のFe含有量が多いため導電率が低く、放熱性が劣り及び加工性が劣っていた。
比較例32では、アルミニウム合金板のRaが小さすぎるため、アルミニウム合金板と有機樹脂塗膜との接触面積が小さく放熱性が劣っていた。
比較例33では、アルミニウム合金板のRaが大きすぎるため、有機樹脂塗膜が破断し易く、曲げ加工性が劣っていた。
比較例34では、アルミニウム合金板のSmが小さすぎるため、有機樹脂塗膜と基材の密着性が低下し、曲げ加工性が劣っていた。
比較例35では、アルミニウム基材のSmが大きすぎるため、基材と有機樹脂塗膜との接触面積が小さく、放熱性が劣っていた。
比較例36では、有機樹脂塗膜のガラス転移温度(Tg)が低いため、有機樹脂塗膜強度が低下し、剥離性が劣っていた。
比較例37では、有機樹脂塗膜のガラス転移温度(Tg)が高いため、有機樹脂塗膜の柔軟性が低下し、曲げ加工性が劣っていた。
比較例38では、放熱性添加剤のグラファイトの平均粒径が大きいため、有機樹脂塗膜割れの起点となったり、有機樹脂塗膜から脱落し易くなり、曲げ加工性及び剥離性が劣っていた。
比較例39では、放熱性添加剤のグラファイトの添加量が少ないため、赤外放射率が低く、放熱性が劣っていた。
比較例40では、放熱性添加剤のグラファイトの添加量が多いため、有機樹脂塗膜から脱落し易くなり、剥離性が劣っていた。
本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板は、高強度で良好な放熱性、加工性(曲げ加工性、剥離性)を有する。したがって、本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板は、パーソナル・コンピュータ等の電子機器、FPD(フラットパネルディスプレイ)のバックカバーなど、熱の放散が必要とされる機器の筐体材料や放熱板等の材料として好適である。
本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板を模式的に示す断面図である。 本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板の放熱性評価装置を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1‥‥‥有機樹脂塗膜
2‥‥‥化成皮膜
3‥‥‥アルミニウム基材
4‥‥‥有機樹脂被覆アルミニウム材
5‥‥‥銅ブロックヒーター

Claims (2)

  1. Si:1.1〜1.5質量%、Mg:0.3〜0.6質量%、Cu:0.6〜0.8質量%を含有し、さらにTi:0.005〜0.15質量%を単独であるいはB:0.0001〜0.05質量%と共に含有し、不純物としてのFeを0.35質量%以下に規制し、残部がAlおよび不可避的不純物とよりなり、導電率が54%IACS以上で、引張強さが180MPa以上であり、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が10〜100μmであるAl−Si−Mg系アルミニウム合金板と、
    当該Al−Si−Mg系アルミニウム合金板の両面に設けられた化成皮膜と、
    当該化成皮膜の少なくとも一方の面上に設けられた有機樹脂塗膜であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜60℃の有機樹脂100質量部に対して平均粒径30μm以下のカーボン系放熱性添加剤を1〜50質量部含有し、赤外放射率が0.5以上の有機樹脂塗膜と、を備えることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム板。
  2. 前記有機樹脂がポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂とからなり、前記カーボン系放熱性添加剤がグラファイトである、請求項1記載の樹脂被覆アルミニウム板。
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