JP2009196126A - 加工性、導電性及び放熱性に優れた樹脂塗装アルミニウム材 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な導電性、放熱性、加工性(曲げ加工性、剥離性)を有する、アルミニウム材を提供する。
【解決手段】アルミニウム基材3の表面に化成皮膜2を形成し、化成皮膜2の表面に、100重量部の熱硬化性樹脂1に対して、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを20〜60重量部、さらにニッケル粉末を30〜100重量部含有させた、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂からなる熱硬化性樹脂1を、膜厚0.5〜2μmとなるよう塗膜形成させた。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム基材3の表面に化成皮膜2を形成し、化成皮膜2の表面に、100重量部の熱硬化性樹脂1に対して、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを20〜60重量部、さらにニッケル粉末を30〜100重量部含有させた、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂からなる熱硬化性樹脂1を、膜厚0.5〜2μmとなるよう塗膜形成させた。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部で熱を発する電子部品、家電製品等の筐体や放熱板等に用いられる、加工性及び導電性、ならびに放熱性に優れた高機能のアルミニウム材に関する。
電子機器に組み込まれる電子部品の小型化、高性能高集積化による、電子機器内の高温化により、電子機器の誤動作や、寿命低下を防ぐ為、熱を効率よく電子機器筐体の外部へ排出することが重要な課題となっている。
このような課題を解決するために、特許文献1には、低コストで加工性、放熱性が良好な材料として、金属等からなる基材表面に外層皮膜と内層皮膜とを設けた、熱放射性表面処理材であって、熱放射率70%以上の顔料を乾燥重量の0.03〜70重量%含有する内層皮膜を用いた熱放射性表面処理材料が記載されている。この顔料は赤外線放射性でありこれを含む樹脂塗装を施した材料は、放熱性に優れる。また、一方でこれら電子機器部品用材料としては、従来から精密な電子機器本体の性能を損なわない電気特性(アース性、シールド性などの導電性)を具備することが要求されていた。しかしながら、この材料は導電性フィラーを含有していないため、導電性を発現しないという問題があった。
特開2002−228085号公報
また、CD−ROMなどのドライブケース、パーソナル・コンピュータ関連機器や計測器などの電子機器部品用材料としては、従来から精密な電子機器本体の性能を損なわない電気特性(アース性、シールド性などの導電性)を具備することが要求されていた。このような要求を満たす材料として、特許文献2には、表面に0.1〜10μmの厚さのを設けた電子機器部品用金属板が記載されている。ここで、層は、ポリエステル系、エポキシ系、フェノール系、アルキド系の1種又は2種以上と、樹脂100重量部に対し2〜60重量部のニッケル粉末とを含む。このニッケル粉末は、最大長径の平均値が0.1〜100μmの球状、スパイク球状、又は鱗片状の互いに独立した単体粒子及びニッケル粒子が互いに結合した鎖形ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種から選択される。このニッケル粉末は導電性フィラーでありこれを含む樹脂塗装を施した材料は、導電性についての要求はある程度対応することができていた。しなしながら、近年の電子機器の小型化、高集積化に伴い前述のように電子部品から放出される熱が多量となっている。しかしながら、この材料は放熱性フィラーを含有していないため、その結果、上記電子機器部品用材料では電子機器筐体内部の熱が電子機器筐体内にこもり、精密な電子機器本体の性能を損なう問題が起こっている。
特開2001−205730号公報
かかる導電性と放熱性の両立を図るプレコートアルミニウム板として、特許文献3には2μm以上の塗膜厚さで、放熱性添加剤として平均粒径5〜100nm、含有量4〜15%のカーボンブラックと導電性フィラーとしてニッケルを含有する熱硬化性樹脂塗膜を設けたものが記載されている。しかしながら、高い導電性を発現するためには出来る限り膜厚は薄くすることが必要で、例えば下限膜厚の2μmの場合、導電性はある程度満足するものの、放熱性については、放熱性添加剤のカーボンブラックを最大含有量の15%含有した場合でも十分ではない。さらに、このカーボンブラックは塗料中、塗膜中では通常非常に小さな一次粒子が融合合一した異方性のある凝集体またはその集合体として存在するため、プレスなどの強加工を受けた場合、微粒子の応力緩和による塗膜割れの低減効果があらわれず、加工性も十分ではない。また、放熱性を優先させた場合、膜厚を厚くする必要があり、この場合は電気絶縁性の樹脂成分に導電性フィラーが十分に被覆されて導電性が低下する。このように導電性と放熱性の両立については未だ改善の余地があり、また加工性も十分でないため、その特性をさらに向上させることが必要である。
特許第3563731号公報
また、かかる導電性と放熱性の両立を図るプレコートアルミニウム板として、特許文献4には、0.5〜40μmの塗膜厚さで、放熱性添加剤としてベース樹脂100重量部に対して酸化チタンを3〜60重量部及びカーボンブラックを0.2〜15重量部、さらに導電性フィラーとしてベース樹脂100重量部に対してニッケルを1〜70重量部含有する熱硬化性樹脂塗膜を設けたものが記載されている。しかしながら、前述のように高い導電性を発現するためには出来る限り膜厚は薄くすることが必要で、例えば下限膜厚の0.5μmの場合、導電性はある程度満足するものの、放熱性添加剤として酸化チタンとカーボンブラックを含有しているが高熱放射性顔料のカーボンブラックの配合量が少ないため、放熱性については十分ではない。さらに、このカーボンブラックも先述のように塗料中、塗膜中では通常非常に小さな一次粒子が融合合一した異方性のある凝集体またはその集合体として存在するため、プレスなどの強加工を受けた場合、微粒子の応力緩和による塗膜割れの低減効果があらわれず、加工性も十分ではない。また、放熱性を優先させた場合、膜厚を厚くする必要があり、この場合は電気絶縁性の樹脂成分に導電性フィラーが十分に被覆されて導電性が低下する。このように導電性と放熱性の両立については未だ改善の余地があり、また加工性も十分でないため、その特性をさらに向上させることが必要である。
特開2006−312243号公報
本発明は、低コストで良好な放熱性と導電性の両方を具備し、且つ加工性に優れた樹脂塗装アルミニウム材に関する。
本発明者らは研究の結果、両面に化成皮膜を設けたアルミニウム基材に、熱硬化性樹脂、グラファイト粉末及びニッケル粉末を含有する樹脂塗膜を設けることにより、放熱性ならびに導電性の両性能を向上し得ることを見出した。
アルミニウム基材の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜表面に、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを熱硬化性樹脂100重量部に対して20〜60重量部含有させ、膜厚0.5〜2μmとなる熱硬化性樹脂塗膜を形成したことを特徴とする樹脂塗装アルミニウム材。
アルミニウム基材の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜表面に、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを熱硬化性樹脂100重量部に対して20〜60重量部含有し、さらに最大長径の平均値が100μm以下のニッケル粉末を30〜100重量部を含有した、膜厚0.5〜2μmとなる熱硬化性樹脂塗膜を形成したことを特徴とする樹脂塗装アルミニウム材。
熱硬化性樹脂がポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2の樹脂塗装アルミニウム材。
本発明の高機能アルミニウム材は、低コストで熱の放射性及び導電性に優れ、さらに耐プレス加工性にも優れる。したがって、このアルミニウム材は、パーソナル・コンピュータ等の電子機器、冷蔵庫等の家電製品、エアコンの室内機や室外機のラジエターなど、熱の放散が必要とされるものの筐体材料として極めて有用である。
1.アルミニウム基材
本発明に用いるアルミニウム基材は特に限定されるものではないが、筐体を形成・保持するに足る強度を有し、また絞り加工、曲げ加工時において十分なプレス成形加工性を有することから1000系、3000系及び5000系のアルミニウム合金板が好ましい。アルミニウム基材としては、0.1〜2.5mm厚さのものが通常用いられる。
本発明に用いるアルミニウム基材は特に限定されるものではないが、筐体を形成・保持するに足る強度を有し、また絞り加工、曲げ加工時において十分なプレス成形加工性を有することから1000系、3000系及び5000系のアルミニウム合金板が好ましい。アルミニウム基材としては、0.1〜2.5mm厚さのものが通常用いられる。
2.化成皮膜
アルミニウム基材表面に形成する化成皮膜には、塗布型及び反応型の皮膜を用いることができる。塗布型及び反応型の皮膜のいずれでもよく、特に制限されるものではないが、アルミニウム基材と熱硬化性樹脂塗膜の両方に対して密着性が良好な反応型化成皮膜を用いるのが好ましい。反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム等の処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート皮膜が、汎用性、コストの点で好ましい。アルミニウム基材面に熱硬化性樹脂塗膜を直接形成するのではなく、アルミニウム基材と熱硬化性樹脂塗膜との間に化成皮膜を設けることにより、熱硬化性樹脂塗膜の密着性が向上する。これによって、熱硬化性樹脂塗膜のクラック発生を防止する効果が向上して加工性が良好となる。
アルミニウム基材表面に形成する化成皮膜には、塗布型及び反応型の皮膜を用いることができる。塗布型及び反応型の皮膜のいずれでもよく、特に制限されるものではないが、アルミニウム基材と熱硬化性樹脂塗膜の両方に対して密着性が良好な反応型化成皮膜を用いるのが好ましい。反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム等の処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート皮膜が、汎用性、コストの点で好ましい。アルミニウム基材面に熱硬化性樹脂塗膜を直接形成するのではなく、アルミニウム基材と熱硬化性樹脂塗膜との間に化成皮膜を設けることにより、熱硬化性樹脂塗膜の密着性が向上する。これによって、熱硬化性樹脂塗膜のクラック発生を防止する効果が向上して加工性が良好となる。
3.熱硬化性樹脂塗膜
アルミニウム基材表面に形成された化成皮膜の一方の上又は両方の上には、赤外線領域において、特に5〜12μmの波長域において優れた赤外線吸収(放射)性を示す熱硬化性樹脂塗膜が形成される。このような熱硬化性樹脂塗膜のベース樹脂にポリエステル系樹脂成分とメラミン系樹脂成分を含む熱硬化性樹脂を用いた場合、放熱性がより向上する。熱硬化性樹脂塗膜には、カーボンブラック、ニッケル粉末が含有される。
アルミニウム基材表面に形成された化成皮膜の一方の上又は両方の上には、赤外線領域において、特に5〜12μmの波長域において優れた赤外線吸収(放射)性を示す熱硬化性樹脂塗膜が形成される。このような熱硬化性樹脂塗膜のベース樹脂にポリエステル系樹脂成分とメラミン系樹脂成分を含む熱硬化性樹脂を用いた場合、放熱性がより向上する。熱硬化性樹脂塗膜には、カーボンブラック、ニッケル粉末が含有される。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂としては特に限定されず、例えばエポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン架橋タイプポリエステル系樹脂、イソシアネート架橋タイプポリエステル系樹脂などを用いることができる。電子機器からの放射熱はプランクの法則に従い、波長8〜10μmにピークを有する赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性向上に有効である。したがって、特に、ポリエステル系樹脂成分とメラミン系樹脂成分を含む熱硬化性樹脂を用いることによって、このような放熱性を向上することができる。なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射も高い材料といえる。
ベース樹脂としては特に限定されず、例えばエポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン架橋タイプポリエステル系樹脂、イソシアネート架橋タイプポリエステル系樹脂などを用いることができる。電子機器からの放射熱はプランクの法則に従い、波長8〜10μmにピークを有する赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性向上に有効である。したがって、特に、ポリエステル系樹脂成分とメラミン系樹脂成分を含む熱硬化性樹脂を用いることによって、このような放熱性を向上することができる。なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射も高い材料といえる。
用いるポリエステル系樹脂としては、加工性と塗装性の観点から数平均分子量が4000〜25000のものが好ましい。数平均分子量が4000未満では、熱硬化性樹脂塗膜の可撓性低下による曲げ加工性の低下を招く。一方、数平均分子量が25000を超えると、皮膜用塗料の粘度がの急激に上昇することにより塗装性の低下を招く。また、ガラス転移温度については、加工性と皮膜硬度の観点から−10〜70℃のものが好ましい。ガラス転移温度が−10℃より低いと皮膜硬度の低下に伴う柔軟化によりプレス成形等の加工時に疵が発生し易い。一方、ガラス転移温度が70℃を越えると、皮膜の柔軟性低下により曲げ加工性の低下が生じる。
メラミン系樹脂としては、メチル化メラミン系樹脂、ブチル化メラミン系樹脂などが用いられるが、加工性の点からメチル化メラミン系樹脂が好ましい。メラミン系樹脂は広範囲の赤外線波長域において赤外線放射性(吸収性)が良好であり、ポリエステル系樹脂100重量部に対して10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部の割合で配合される。メラミン系樹脂の配合割合が10重量部未満では、皮膜の架橋度が不十分となり、曲げ加工性及びその他塗膜の一般物性が低下する。一方、メラミン系樹脂の配合割合が50重量部を超えると、架橋反応が進行し過ぎて塗膜が硬くなり、曲げ加工性が低下する。
(2)カーボンブラック
塗膜への赤外線放射性による放熱性付与として、熱硬化性樹脂塗膜にはカーボンブラックが含有される。用いるカーボンブラックの平均粒径は、120〜700nm、好ましくは200〜600nmである。平均粒径が120nm未満では、カーボンブラックの凝集により分散性が低下し高濃度での塗料化が困難となる場合やまた、塗料化できた場合でも熱硬化性樹脂塗膜の成膜が均一ではなく、カーボンブラックの凝集により加工性が低下する。一方、平均粒径が700nmを超えると、カーボンブラックとしては製造コストが高くなる。カーボンブラックは、熱硬化性樹脂100重量部に対してに20〜60重量部の割合で含有される。含有割合が20重量部未満では、カーボンブラックの塗膜中の絶対量が不足し放熱性向上の効果が十分に得られない。一方、含有割合が60重量部を超えると、カーボンブラックの凝集により分散性が低下し高濃度での塗料化が困難となる場合やまた、塗料化できた場合でも熱硬化性樹脂塗膜の成膜が均一ではなく、カーボンブラックの凝集により加工性が低下する。カーボンブラックの形状は真球状のものが用いられ、塗膜中でほとんど単独の微粒子から成り立っている。好ましいカーボンブラックはサーマルカーボンブラックである。このサーマルカーボンブラックはサーマル(熱分解)法、すなわち燃料を燃焼させて熱分解温度以上に加熱した炉内に天然ガスを導入し、天然ガスの熱分解により生産されたカーボンブラックである。このサーマルカーボンブラックは比較的大粒径で比表面積が小さく単体球形粒子として存在しており、これにより添加量が高濃度の場合でも塗膜中に均一に分散され、放熱性や加工性等の品質が安定化する。さらに、この真球状の微粒子は塗膜中で単独に存在しており、強加工を受けた場合でも微粒子による応力緩和により塗膜のクラックの進行が低減され、その結果加工性が向上する。一方、カーボンブラックの主流のオイルファーネスカーボンブラックや他のチャンネルカーボンブラック、アセチレンカーボンブラックは一次粒子がつながった異方性のある凝集体またはその集合体として塗膜中に存在しており、添加量が高濃度の場合、凝集程度が大きくなり加工性が低下する。また、凝集程度が小さい場合でも、プレスなどの強加工を受けた場合、従来放熱性向上剤として用いられるカーボンブラックは異方性のある凝集体またはその集合体であるため塗膜中に単独で存在する真球状の微粒子に見られるような応力緩和による塗膜割れの低減効果があらわれず、加工性が十分ではない。
塗膜への赤外線放射性による放熱性付与として、熱硬化性樹脂塗膜にはカーボンブラックが含有される。用いるカーボンブラックの平均粒径は、120〜700nm、好ましくは200〜600nmである。平均粒径が120nm未満では、カーボンブラックの凝集により分散性が低下し高濃度での塗料化が困難となる場合やまた、塗料化できた場合でも熱硬化性樹脂塗膜の成膜が均一ではなく、カーボンブラックの凝集により加工性が低下する。一方、平均粒径が700nmを超えると、カーボンブラックとしては製造コストが高くなる。カーボンブラックは、熱硬化性樹脂100重量部に対してに20〜60重量部の割合で含有される。含有割合が20重量部未満では、カーボンブラックの塗膜中の絶対量が不足し放熱性向上の効果が十分に得られない。一方、含有割合が60重量部を超えると、カーボンブラックの凝集により分散性が低下し高濃度での塗料化が困難となる場合やまた、塗料化できた場合でも熱硬化性樹脂塗膜の成膜が均一ではなく、カーボンブラックの凝集により加工性が低下する。カーボンブラックの形状は真球状のものが用いられ、塗膜中でほとんど単独の微粒子から成り立っている。好ましいカーボンブラックはサーマルカーボンブラックである。このサーマルカーボンブラックはサーマル(熱分解)法、すなわち燃料を燃焼させて熱分解温度以上に加熱した炉内に天然ガスを導入し、天然ガスの熱分解により生産されたカーボンブラックである。このサーマルカーボンブラックは比較的大粒径で比表面積が小さく単体球形粒子として存在しており、これにより添加量が高濃度の場合でも塗膜中に均一に分散され、放熱性や加工性等の品質が安定化する。さらに、この真球状の微粒子は塗膜中で単独に存在しており、強加工を受けた場合でも微粒子による応力緩和により塗膜のクラックの進行が低減され、その結果加工性が向上する。一方、カーボンブラックの主流のオイルファーネスカーボンブラックや他のチャンネルカーボンブラック、アセチレンカーボンブラックは一次粒子がつながった異方性のある凝集体またはその集合体として塗膜中に存在しており、添加量が高濃度の場合、凝集程度が大きくなり加工性が低下する。また、凝集程度が小さい場合でも、プレスなどの強加工を受けた場合、従来放熱性向上剤として用いられるカーボンブラックは異方性のある凝集体またはその集合体であるため塗膜中に単独で存在する真球状の微粒子に見られるような応力緩和による塗膜割れの低減効果があらわれず、加工性が十分ではない。
(3)ニッケル粉末
導電性向上として、熱硬化性樹脂塗膜にはニッケル粉末が含有される。ニッケル粉末には球状、鎖型、鱗片状等の種類があり特に制限されるものではないが、鎖型、鱗片状のものが特に、加工性、導電性ともに良好であり好ましい。これらの種類中から1種又は2種以上を混合したものが用いられる。
用いるニッケル粉末の最大長径の平均値は、100μm以下とする。最大長径の平均値が100μmを超えると、ニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から脱落し易くやすくなるため加工性が低下する。また、好ましくは最大長径の平均値が0.5μm以上である。0.5μm未満では、導電性向上の効果が小さく、一方コストは増加してしまうためである。
ニッケル粉末は、ベース樹脂である熱硬化性樹脂100重量部に対して30重量部〜100重量部の割合で含有される。ニッケル粉末以外金属粉末でも導電性向上には有効であるが、特に材料コストと導電性能のバランスからニッケル粉末が用いられる。ニッケル粉末の含有割合が30重量部未満では、十分な導電性向上効果が得られない。また、好ましくはニッケル粉末の含有割合が100重量部以下である。含有割合が100重量部を超えると熱硬化性樹脂塗膜の成膜が困難となり、ニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から脱落し易くなって加工性が低下する場合があるためである。
導電性向上として、熱硬化性樹脂塗膜にはニッケル粉末が含有される。ニッケル粉末には球状、鎖型、鱗片状等の種類があり特に制限されるものではないが、鎖型、鱗片状のものが特に、加工性、導電性ともに良好であり好ましい。これらの種類中から1種又は2種以上を混合したものが用いられる。
用いるニッケル粉末の最大長径の平均値は、100μm以下とする。最大長径の平均値が100μmを超えると、ニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から脱落し易くやすくなるため加工性が低下する。また、好ましくは最大長径の平均値が0.5μm以上である。0.5μm未満では、導電性向上の効果が小さく、一方コストは増加してしまうためである。
ニッケル粉末は、ベース樹脂である熱硬化性樹脂100重量部に対して30重量部〜100重量部の割合で含有される。ニッケル粉末以外金属粉末でも導電性向上には有効であるが、特に材料コストと導電性能のバランスからニッケル粉末が用いられる。ニッケル粉末の含有割合が30重量部未満では、十分な導電性向上効果が得られない。また、好ましくはニッケル粉末の含有割合が100重量部以下である。含有割合が100重量部を超えると熱硬化性樹脂塗膜の成膜が困難となり、ニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から脱落し易くなって加工性が低下する場合があるためである。
(4)熱硬化性樹脂塗膜の形成
熱硬化性樹脂塗膜を形成するには、アルミニウム基材表面に形成した化成処理皮膜表面に、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を塗装(塗布)しこれを焼付ける。
このような塗料は、ベース樹脂である熱硬化性樹脂、カーボンブラック、ニッケル粉末、ならびに、必要に応じて後述する潤滑性付与成分や添加剤を、溶媒に溶解、分散して調整される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な有機溶剤を用いることができる。
塗料の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、被膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。また、皮膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
皮膜形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が180〜250℃で、焼付け時間が30〜90秒の条件で行うのが好ましい。皮膜形成における焼付温度が180℃未満であったり、焼付け時間が30秒未満である場合には、皮膜が十分に形成されず皮膜密着性が低下する。焼付温度が250℃を超えたり、焼付温度が90秒を超える場合には、皮膜成分が変性することになる。
熱硬化性樹脂塗膜を形成するには、アルミニウム基材表面に形成した化成処理皮膜表面に、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を塗装(塗布)しこれを焼付ける。
このような塗料は、ベース樹脂である熱硬化性樹脂、カーボンブラック、ニッケル粉末、ならびに、必要に応じて後述する潤滑性付与成分や添加剤を、溶媒に溶解、分散して調整される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な有機溶剤を用いることができる。
塗料の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、被膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。また、皮膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
皮膜形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が180〜250℃で、焼付け時間が30〜90秒の条件で行うのが好ましい。皮膜形成における焼付温度が180℃未満であったり、焼付け時間が30秒未満である場合には、皮膜が十分に形成されず皮膜密着性が低下する。焼付温度が250℃を超えたり、焼付温度が90秒を超える場合には、皮膜成分が変性することになる。
(5)熱硬化性樹脂塗膜の膜厚
熱硬化性樹脂塗膜の膜厚は、膜厚0.5〜2μm以下とする。アルミニウム基材表面は通常、中心線平均粗さ(Ra)がおおよそ0.1〜1μm程度の表面粗さを有している。導電性向上成分を含有しない場合には、熱硬化性樹脂塗膜がアルミニウム基材表面を部分的に覆わないか、非常に薄い部分があった場合に導電性が発現する。また、導電性向上成分であるニッケル粉末を含有する場合には、アルミニウム基材と接触しているニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から露出することにより導電性が発現する。したがって、膜厚が2μmを超えると、電気絶縁性である熱硬化樹脂成分によってアルミニウム基材表面や導電性向上成分であるニッケル粉末が完全に被覆され易くなり導電性が低下する恐れがある。したがって、導電性の低下を更に防止するには、熱硬化性樹脂塗膜の膜厚を1.5μm以下とするのが好ましい。また、膜厚は0.5μmまでとするべきである。これ未満では塗膜中の放熱性添加剤の絶対量が不足し放熱性が劣る。また、膜厚が薄いため微粒子が脱落し易いため加工性(剥離性)が低下する。
熱硬化性樹脂塗膜の膜厚は、膜厚0.5〜2μm以下とする。アルミニウム基材表面は通常、中心線平均粗さ(Ra)がおおよそ0.1〜1μm程度の表面粗さを有している。導電性向上成分を含有しない場合には、熱硬化性樹脂塗膜がアルミニウム基材表面を部分的に覆わないか、非常に薄い部分があった場合に導電性が発現する。また、導電性向上成分であるニッケル粉末を含有する場合には、アルミニウム基材と接触しているニッケル粉末が熱硬化性樹脂塗膜から露出することにより導電性が発現する。したがって、膜厚が2μmを超えると、電気絶縁性である熱硬化樹脂成分によってアルミニウム基材表面や導電性向上成分であるニッケル粉末が完全に被覆され易くなり導電性が低下する恐れがある。したがって、導電性の低下を更に防止するには、熱硬化性樹脂塗膜の膜厚を1.5μm以下とするのが好ましい。また、膜厚は0.5μmまでとするべきである。これ未満では塗膜中の放熱性添加剤の絶対量が不足し放熱性が劣る。また、膜厚が薄いため微粒子が脱落し易いため加工性(剥離性)が低下する。
4.潤滑性付与成分
本発明に係るアルミニウム材の加工性を更に向上させる目的で、ベース樹脂である熱硬化性樹脂に潤滑性付与成分を添加しても良い。潤滑性付与成分としては、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス等の潤滑剤が用いられる。潤滑性付与成分の添加量としては、ベース樹脂である熱硬化性樹脂100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。潤滑性付与成分が30重量部を超えると、ブロッキング性、導電性低下、加工時における塗膜カスの発生等が起こり、電子機器や家電製品の筐体などの材料として好適ではない。
本発明に係るアルミニウム材の加工性を更に向上させる目的で、ベース樹脂である熱硬化性樹脂に潤滑性付与成分を添加しても良い。潤滑性付与成分としては、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス等の潤滑剤が用いられる。潤滑性付与成分の添加量としては、ベース樹脂である熱硬化性樹脂100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。潤滑性付与成分が30重量部を超えると、ブロッキング性、導電性低下、加工時における塗膜カスの発生等が起こり、電子機器や家電製品の筐体などの材料として好適ではない。
5.添加剤
熱硬化性樹脂塗膜用の塗料には、塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために通常の塗料に使用される、溶剤、レベリング剤、ワキ防止剤、つや消し剤、分散剤等を適宜含有させても良い。
熱硬化性樹脂塗膜用の塗料には、塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために通常の塗料に使用される、溶剤、レベリング剤、ワキ防止剤、つや消し剤、分散剤等を適宜含有させても良い。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜21及び比較例22〜31
まず、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を以下のように調整した。表1に示す市販の熱硬化性樹脂100重量部に対し、カーボンブラック、ニッケル粉末のそれぞれを表1に示す重量部加え、これをシクロヘキサノン及び高沸点芳香族ナフサ、イソホロンを主成分とする有機溶媒(いわゆる「シンナー」)中に分散して、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を調整した。ここで、例えば実施例14は、有機溶媒400gに対して、ポリエステル/メラミン系樹脂は100g、カーボンブラックは40g、ニッケル粉末は50gを配合した。
実施例1〜21及び比較例22〜31
まず、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を以下のように調整した。表1に示す市販の熱硬化性樹脂100重量部に対し、カーボンブラック、ニッケル粉末のそれぞれを表1に示す重量部加え、これをシクロヘキサノン及び高沸点芳香族ナフサ、イソホロンを主成分とする有機溶媒(いわゆる「シンナー」)中に分散して、熱硬化性樹脂塗膜用の塗料を調整した。ここで、例えば実施例14は、有機溶媒400gに対して、ポリエステル/メラミン系樹脂は100g、カーボンブラックは40g、ニッケル粉末は50gを配合した。
次いで、このようにして調整した塗料を用いて、以下のようにしてアルミニウム材を作製した。
アルミニウム板(JIS A5052、板厚0.6mm)をアルミニウム基材に用いた。この基材を、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行ない、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液を用いて、皮膜中のクロム量が30±5mg/m2となるように化成処理を行った。更に、化成処理したアルミニウム基材の両面に表1に示す塗料をロールコーターで塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃〜250℃にて60秒間焼付けした。このようにして作製したアルミニウム材4の模式的断面図を図1に示す。図中1は熱硬化性樹脂被膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム基材である。
アルミニウム板(JIS A5052、板厚0.6mm)をアルミニウム基材に用いた。この基材を、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行ない、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液を用いて、皮膜中のクロム量が30±5mg/m2となるように化成処理を行った。更に、化成処理したアルミニウム基材の両面に表1に示す塗料をロールコーターで塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃〜250℃にて60秒間焼付けした。このようにして作製したアルミニウム材4の模式的断面図を図1に示す。図中1は熱硬化性樹脂被膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム基材である。
作製したアルミニウム材の試料について下記の試験方法にて性能評価を行った。各試験方法の詳細を以下に示す。
(導電性試験)
試料の導電性は、四端子法により、銀製のプローブ(直径5mm、先端2.5R)を荷重80gで塗膜面に接触させたときの電気抵抗値を測定した。測定値は、◎:2Ω以下、○:2Ωを越え4Ω以下、○△:4Ωを越え7Ω以下、△:7Ωを越え10Ω以下、×:10Ωを越える、の基準で評価した。電気抵抗値が10Ωを超える場合、電子機器部品に加工した際に所望の電気特性(アース性やシールド性)が得られないため×を不合格とし、それ以外を合格とした。
(導電性試験)
試料の導電性は、四端子法により、銀製のプローブ(直径5mm、先端2.5R)を荷重80gで塗膜面に接触させたときの電気抵抗値を測定した。測定値は、◎:2Ω以下、○:2Ωを越え4Ω以下、○△:4Ωを越え7Ω以下、△:7Ωを越え10Ω以下、×:10Ωを越える、の基準で評価した。電気抵抗値が10Ωを超える場合、電子機器部品に加工した際に所望の電気特性(アース性やシールド性)が得られないため×を不合格とし、それ以外を合格とした。
(放熱性試験)
放熱性試験は、下記のように筐体を作製して筐体表面温度を測定することによって行った。上述のアルミニウム材により、底面が150mm×150mm、高さ100mmの筐体を作製した。作製した筐体を図2に示す。図中5は光源であり、その他は図1と同じである。なお、熱硬化性樹脂塗膜1とアルミニウム基材3の間に設けた化成皮膜の表示を省略している。この筐体の内部に光源5として60Wの電球を設置して通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体表面の温度を測定した。
測定値は、◎:28℃以下、○:28℃を超え30℃以下、○△:30℃を超え32℃以下、△:32℃を超え35℃以下、×:35℃を超える、の基準で評価した。筐体表面温度が35℃を超えると温度の低下が小さく、放熱性が不足するため筐体表面温度は35℃を超える×を不合格とし、それ以外を合格とした。
放熱性試験は、下記のように筐体を作製して筐体表面温度を測定することによって行った。上述のアルミニウム材により、底面が150mm×150mm、高さ100mmの筐体を作製した。作製した筐体を図2に示す。図中5は光源であり、その他は図1と同じである。なお、熱硬化性樹脂塗膜1とアルミニウム基材3の間に設けた化成皮膜の表示を省略している。この筐体の内部に光源5として60Wの電球を設置して通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体表面の温度を測定した。
測定値は、◎:28℃以下、○:28℃を超え30℃以下、○△:30℃を超え32℃以下、△:32℃を超え35℃以下、×:35℃を超える、の基準で評価した。筐体表面温度が35℃を超えると温度の低下が小さく、放熱性が不足するため筐体表面温度は35℃を超える×を不合格とし、それ以外を合格とした。
(加工性:曲げ加工性)
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして180°3T曲げを行ない、熱硬化性樹脂塗膜の割れを目視で観察し、○:塗膜の割れないか、または非常に軽微な塗膜の割れのため良好、△:小さな塗膜の割れあるが使用可能、×:大きな塗膜割れあり使用不可、の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして180°3T曲げを行ない、熱硬化性樹脂塗膜の割れを目視で観察し、○:塗膜の割れないか、または非常に軽微な塗膜の割れのため良好、△:小さな塗膜の割れあるが使用可能、×:大きな塗膜割れあり使用不可、の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
(加工性:テープ試験)
曲げ加工性試験の観察終了後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の塗膜の剥離具合を観察するテープ試験を行ない、塗膜の剥離性を評価した。評価は、○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離ありの基準で評価した。
○及び△を合格とし、×を不合格とした。
導電性、放熱性、加工性の各試験による評価結果を表1に示す。表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜21は導電性、放熱性ともに良好であり、加工性についても良好であった。
一方、比較例22〜28は、導電性、放熱性、加工性のいずれかが不合格であり、電子機器用又は家電製品用のアルミニウム材としては不適当であった。
曲げ加工性試験の観察終了後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の塗膜の剥離具合を観察するテープ試験を行ない、塗膜の剥離性を評価した。評価は、○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離ありの基準で評価した。
○及び△を合格とし、×を不合格とした。
導電性、放熱性、加工性の各試験による評価結果を表1に示す。表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜21は導電性、放熱性ともに良好であり、加工性についても良好であった。
一方、比較例22〜28は、導電性、放熱性、加工性のいずれかが不合格であり、電子機器用又は家電製品用のアルミニウム材としては不適当であった。
具体的には、比較例22は、熱硬化性樹脂塗膜の膜厚が厚いため、導電性が劣っていた。
比較例23は、熱硬化性樹脂塗膜の膜厚が薄いため、加工性が劣っていた。
比較例24は、カーボンブラックが真球状の単独の微粒子ではなく、一次粒子がつながった凝集体として塗膜中に存在しているため、加工性が劣っていた。
比較例25は、カーボンブラックの平均粒径が小さいため、一次粒子がつながった凝集体として塗膜中に存在しているため、加工性が劣っていた。
比較例26は、カーボンブラックの添加量が不十分であるため、放熱性が劣っていた。
比較例27は、カーボンブラックの添加量が過剰であるため、熱硬化性樹脂塗膜の成膜が妨げられ、カーボンブラックが熱硬化性樹脂塗膜から脱落し、加工性が劣っていた。
比較例28は、ニッケル粉末が過剰であるため、加工性が劣っていた。
比較例23は、熱硬化性樹脂塗膜の膜厚が薄いため、加工性が劣っていた。
比較例24は、カーボンブラックが真球状の単独の微粒子ではなく、一次粒子がつながった凝集体として塗膜中に存在しているため、加工性が劣っていた。
比較例25は、カーボンブラックの平均粒径が小さいため、一次粒子がつながった凝集体として塗膜中に存在しているため、加工性が劣っていた。
比較例26は、カーボンブラックの添加量が不十分であるため、放熱性が劣っていた。
比較例27は、カーボンブラックの添加量が過剰であるため、熱硬化性樹脂塗膜の成膜が妨げられ、カーボンブラックが熱硬化性樹脂塗膜から脱落し、加工性が劣っていた。
比較例28は、ニッケル粉末が過剰であるため、加工性が劣っていた。
1 熱硬化性樹脂塗膜
2 化成皮膜
3 アルミニウム基材
4 熱硬化性アルミニウム材
5 光源
2 化成皮膜
3 アルミニウム基材
4 熱硬化性アルミニウム材
5 光源
Claims (3)
- アルミニウム基材の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜表面に、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを熱硬化性樹脂100重量部に対して20〜60重量部含有させ、膜厚0.5〜2μmとなる熱硬化性樹脂塗膜を形成したことを特徴とする樹脂塗装アルミニウム材。
- アルミニウム基材の表面に化成皮膜を形成し、該化成皮膜表面に、平均粒径120〜700nmとなる真球状のカーボンブラックを熱硬化性樹脂100重量部に対して20〜60重量部含有し、さらに最大長径の平均値が100μm以下のニッケル粉末を30〜100重量部を含有した、膜厚0.5〜2μmとなる熱硬化性樹脂塗膜を形成したことを特徴とする樹脂塗装アルミニウム材。
- 熱硬化性樹脂がポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2の樹脂塗装アルミニウム材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008037870A JP2009196126A (ja) | 2008-02-19 | 2008-02-19 | 加工性、導電性及び放熱性に優れた樹脂塗装アルミニウム材 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009196126A true JP2009196126A (ja) | 2009-09-03 |
Family
ID=41140219
Family Applications (1)
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JP2008037870A Pending JP2009196126A (ja) | 2008-02-19 | 2008-02-19 | 加工性、導電性及び放熱性に優れた樹脂塗装アルミニウム材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009196126A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012056254A (ja) * | 2010-09-10 | 2012-03-22 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 放熱性樹脂被覆アルミニウム材及びその製造方法 |
JP2013212692A (ja) * | 2013-05-22 | 2013-10-17 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 放熱性樹脂被覆アルミニウム材及びその製造方法 |
JP2015231712A (ja) * | 2014-06-10 | 2015-12-24 | 株式会社Uacj | 放熱性アルミニウム塗装材 |
-
2008
- 2008-02-19 JP JP2008037870A patent/JP2009196126A/ja active Pending
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