JP2010179541A - 意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板 - Google Patents

意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで良好な導電性と放熱性を具備し、意匠性、耐溶剤性に優れた樹皮被覆アルミニウム板を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金板3の上に化成皮膜2を設け、このアルミニウム合金板の一方の面に形成された有機樹脂100質量部に対して平均粒径0.5〜5μm以下の土状グラファイトを20〜50質量部含有し、かつ有機樹脂100質量部に対して最大長径の平均値が0.5〜100μm以下のりん片状ニッケルを30〜70質量部含有している、膜厚0.4〜2μmの有機樹脂皮膜1とからなり、前記有機樹脂は架橋硬化前の平均分子量が3000〜10000で、ガラス転移温度(Tg)が10〜30℃であり、硬化剤と反応する水酸基が分子の末端にある線状ポリエステル系樹脂と、これを加熱硬化させる硬化剤のメラミン系樹脂と、を備える樹脂被覆アルミニウム板。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部で熱を発する電子部品、家電製品等の筐体や放熱板等に用いる樹脂被覆アルミニウム板に関し、より詳細には、意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板に関する。
情報家電製品や事務用機器など電子機器の筐体に用いられる外装材においては、美観上の観点から表面を黒色化した材料が求められることがある。一方、これら電子機器の内部には電子部品などの発熱体が組み込まれたものがある。電子機器の小型化、高性能化に伴い、これらの電子部品から放出される熱が、狭い空間に蓄積されることが多くなり、該空間からの排熱が問題となってきている。つまり、電子機器内の発熱による機器内部の高温化は、精密な電子機器本体の性能を損なう恐れがあるため、熱を効率よく外部へ排出することが重要な課題となっている。
例えば、パソコンの場合、近年の著しい小型化、演算速度の上昇によって、CPUからの筐体内部容積当たりの発熱量は大幅に増大しており、その熱の筐体内部からの排出が大きな課題となっている。通常、筐体内からの熱の排出のためにファンが設けられているが、冷却量の向上のためのファンの回転数を上げて排出風量を増大させると、振動や騒音が大きくなるという問題がある。この場合、パソコンの筐体表面からの赤外線等の放射による排熱量を増やすことが出来れば、ファンの回転数を増大させることなく内部で発生した熱を速やかに外部に放散することができることになる。
さらに、CD−ROMなどのドライブケース、パソコン関連機器、計測器などの電子機器部品用材料としては、従来から精密な電子機器本体の性能を損なわない電気特性(アース性、シールド性)を具備することが要求されている。
また、電子機器の筐体などはアルミ塗装板を成形油を用いプレス成形によって、目的の形状に加工されるが、成形後にこの成形油を製品から除去するために有機溶剤等で洗浄されるので、材料には加工性のほかに耐溶剤性が要求されている。
このような課題を解決するために、特許文献1には、放熱性、導電性及び耐疵付性の良好な材料として、例えばアルミニウム合金板からなる基材表面に赤外放射率が0.65以上、ニッケル微粒子とカーボンブラックなどの着色剤を含有し、硬化前の平均分子量が20000以下である主剤と硬化剤とを有す熱硬化性樹脂を加熱硬化し形成した熱硬化性樹脂皮膜を用いた塗装金属板が記載されている。
熱硬化性樹脂皮膜の膜厚を厚くすることにより放熱性を向上させることは可能であるが、膜厚を厚くすると電気絶縁性の樹脂成分に導電性付与成分が十分に被覆されてしまい導電性が低下する傾向にあるため、膜厚10μm程度の厚さの場合、導電性が十分でないという問題があった。また、特許文献1では耐疵付性向上のために、皮膜を硬くしている。具体的には架橋反応前の分子量を小さく、分子鎖を短くすることにより、架橋反応後における皮膜の網目構造が目の細かいものとし、分子鎖同士の結合が強固になるため、皮膜の分子構造が緻密になり、皮膜の硬度が高くなり、架橋反応前の分子量は小さいほど良いと記載されている。耐溶剤性を向上させるためには、つまり、有機溶剤等で熱硬化性樹脂皮膜が膨潤した状態で皮膜に力が加えられた場合において、皮膜の損傷を抑制させるためには、単に皮膜の網目構造が目の細かいだけの皮膜、つまり硬く脆い皮膜よりも強靭な皮膜とする必要がある。したがって、耐溶剤性に関する記載はないが、単に皮膜の網目構造が目の細かいだけの皮膜の硬度が高い場合、耐溶剤性は十分でないという問題があった。
また、特許文献2には、放熱性、耐傷付き性及び導電性の良好な材料として、アルミニウム合金板を用い、その一方の面に潤滑性皮膜、他方の面に放熱性皮膜を用いた両面プレコートアルミニウム合金板が記載されている。放熱性皮膜は放熱性物質として酸化チタンとカーボンブラック、導電性物質としてニッケルフィラーを含有し、硬化前の平均分子量が5000〜30000であるポリエステル樹脂系塗料を用いると、記載されている。
熱硬化性樹脂皮膜の膜厚を厚くすることにより放熱性を向上させることは可能であるが、膜厚を厚くすると電気絶縁性の樹脂成分に導電性付与成分が十分に被覆されてしまい導電性が低下する傾向にあるため、膜厚15μm程度の厚さの場合、導電性が十分でないという問題があった。また、特許文献2では成形性と耐傷付き性を両立するために、皮膜を適度な硬さに調整している。つまり、硬化前のポリエステル樹脂の平均分子量が5000未満では塗膜が硬くなりすぎ成形性が悪くなり、一方、平均分子量が30000を超える場合、塗膜が柔らかく耐傷付き性が低下すると記載されている。耐溶剤性を向上させるためには、強靭な皮膜とする必要がある。強靭な皮膜とするためには、硬化前のポリエステル樹脂の平均分子量の調整だけでは困難であり、耐溶剤性は十分でないという問題があった。
特許文献1、2は、ともに意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性の全てを満足するものではなく、未だ改善の余地があり、その特性をさらに向上させることが必要である。
特開2004−160979号公報 特開2006−312243号公報
本発明は低コストで良好な放熱性と導電性の両方を具備し、且つ意匠性と耐溶剤性に優れた樹脂被覆アルミニウム板に関する。
本発明者らは日々積み重ねた研究の結果、有機樹脂皮膜の組成に着目し、少なくとも一方の面に、特定のグラファイトとニッケルを含有し、特定の架橋硬化前の平均分子量とガラス転移温度(Tg)のポリエステル系樹脂とこれを加熱硬化するための硬化剤であるメラミン系樹脂とからなる有機樹脂皮膜を設けることにより、意匠性と耐溶剤性に優れ、放熱性と導電性の両性能を満足し得ることを見出した。そして、更に研究を重ねることにより、架橋硬化前のポリエステル系樹脂の化学構造、分子量、ガラス転移温度(Tg)の適正範囲を見出して本発明を完成させるに至った。
本発明は請求項1において、アルミニウム合金板の上に化成皮膜を設け、この化成皮膜を施したアルミニウム合金板の少なくとも一方の面に形成された有機樹脂100質量部に対して平均粒径0.5〜5μm以下の土状グラファイトを20〜50質量部含有し、かつ有機樹脂100質量部に対して最大長径の平均値が0.5〜100μm以下のりん片状ニッケルを30〜70質量部含有している、膜厚0.4〜2μmの有機樹脂皮膜とからなり、前記有機樹脂皮膜は熱硬化性樹脂が加熱されて硬化することにより形成されたものであり、前記熱硬化性樹脂は架橋硬化前の平均分子量が3000〜10000で、ガラス転移温度(Tg)が10〜30℃であり、硬化剤と反応する水酸基が分子の末端にある線状ポリエステル系樹脂と、これを加熱硬化させる硬化剤のメラミン系樹脂と、を有することを特徴とする意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板とした。
本発明は請求項2において、前記アルミニウム合金板のAl含有量が99.0mass%以下であることを特徴とする請求項1記載の意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板とした。
本発明の樹脂被覆アルミニウム板は意匠性と耐溶剤性に優れ、また放熱性及び導電性に優れる。したがって、この樹脂被覆アルミニウム板はパーソナル・コンピュータ等の電子機器、FPD(フラットパネルディスプレイ)のバックカバーなど、熱の放散が必要とされるものの筐体材料として極めて有用である。
本発明の樹脂被覆アルミニウム板を模式的に示す断面図である。
A.樹脂被覆アルミニウム板
A−1.アルミニウム基材
本発明に用いるアルミニウム基材は特に限定されるものではないが、筐体を形成・保持するに足る強度を有し、また絞り加工、曲げ加工時において十分なプレス成形加工性を有することから1000系、3000系、5000系のアルミニウム板が好ましい。特に、Al含有量が99.0mass%以下の場合、意匠性が向上する。アルミニウムは可視光線の反射性が比較的高い金属であるため、このアルミニウムの含有量を低下させることにより反射光が減少し、その結果、黒色化するのである。
アルミニウム基材としては、0.1〜2.5mm厚さのものが通常用いられる。
A−2.化成皮膜
アルミニウム基材面に形成する化成皮膜には、塗布型及び反応型の皮膜を用いることができる。塗布型及び反応型の皮膜のいずれでもよく特に制限されるものではない。例えば、反応型化成皮膜はリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、リン酸亜鉛等の処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート皮膜が、汎用性、コストの点で好ましい。また、塗布型化成皮膜は処理液成分の変化が無く水洗を必要としない塗布型ジルコニウム等の処理液で形成される皮膜である。アルミニウム基材面に有機樹脂皮膜を直接形成するのではなく、アルミニウム基材と有機樹脂皮膜との間に化成皮膜を設けることにより、有機樹脂皮膜の密着性が向上する。これによって、有機樹脂皮膜のクラック発生を防止する効果が向上して加工性が良好となる。このような化成処理は、アルミニウム合金板に所定の化成処理液をスプレーしたり、アルミニウム合金板を処理液中に所定の温度で所定時間浸漬したりすることによって施される。なお、化成処理を行なう前に、アルミニウム合金板表面の汚れを除去したり表面性状を調整したりするために、アルミニウム合金板を、硫酸、硝酸、リン酸等による酸処理(洗浄)、或いは、カセイソーダ、リン酸ソーダ、ケイ酸ソーダ等によるアルカリ処理(洗浄)を行なうのが望ましい。このような洗浄による表面処理も、アルミニウム合金板に所定の表面処理液をスプレーしたり、アルミニウム合金板を処理液中に所定温度で所定時間浸漬したりすることによって施される。
A−3.有機樹脂皮膜
アルミニウム基材の両面に形成された化成皮膜の一方の面又は両方の面には、放熱性添加剤としてグラファイト、導電性付与剤としてニッケルを含有する、線状ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂からなる熱硬化性有機樹脂皮膜が形成される。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂としてはポリエステル系樹脂と硬化剤としてメラミン系樹脂を用いる。電子機器からの放射熱はプランクの法則に従い、波長8〜10μmにピークを有する赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性向上に有効である。したがって、ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂を含む熱硬化性樹脂を用いることによって、このような放熱性を向上することができる。なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射も高い材料といえる。
また、ポリエステル系樹脂の架橋硬化前の平均分子量は3000〜10000である。平均分子量が3000未満の場合、架橋密度が高くなり、溶剤による皮膜の膨潤は少なくなるが、その一方で皮膜は硬く脆くなるため、耐溶剤性が低下する。一方、平均分子量が10000を越える場合、架橋密度が低くなり、溶剤にて皮膜が膨潤し、耐溶剤性が低下する。
また、ポリエステル系樹脂の架橋硬化前のガラス転移温度(Tg)は10〜30℃である。ガラス転移温度が10℃未満の場合、皮膜の柔軟性は増加するものの皮膜強度が著しく低下し、耐溶剤性が低下する。一方、ガラス転移温度(Tg)が30℃を越えると、皮膜の架橋密度が比較的高い場合、特に皮膜の柔軟性が低下し、皮膜は硬く脆くなるため、耐溶剤性が低下する。
また、ポリエステル系樹脂の架橋硬化前の構造は硬化剤と反応する水酸基が分子の両末端にある線状ポリエステル系樹脂を用いる。架橋硬化前のポリエステル系樹脂の構造としては硬化剤と反応する水酸基が分子の両末端のみにある場合や直鎖状の分子の途中にある場合がある。本発明者らは鋭意検討の中で、ポリエステル系樹脂の架橋硬化前の硬化剤と反応する水酸基の数、平均分子量が架橋密度、そして耐溶剤性に大きく影響を及ぼすことを見出した。ここで、硬化剤と反応する水酸基が直鎖状の分子の途中にある場合、分子量が小さくなると硬化剤と反応する架橋点が多くなり、架橋密度が過剰に高くなる。その結果、溶剤による皮膜の膨潤は少なくなるが、その一方で皮膜は硬く脆くなるため、耐溶剤性が低下する。
また、硬化剤であるメラミン系樹脂としては、メチル化メラミン系樹脂、ブチル化メラミン系樹脂などが用いられるが、加工性の点からメチル化メラミン系樹脂が好ましい。メラミン系樹脂は広範囲の赤外線波長域において赤外線放射性(吸収性)が良好であり、ポリエステル系樹脂100質量部に対して20〜60質量部、好ましくは30〜50質量部の割合で配合される。メラミン系樹脂の配合割合が20質量部未満では、皮膜の架橋度が不十分となり、皮膜強度が低下し、加工時の基材の変形に伴う皮膜の変形により皮膜が破断しやすくなり加工性が低下する。一方、メラミン系樹脂の配合割合が60質量部を超えると、架橋反応が進行し過ぎて皮膜の柔軟性が極度に低下し、加工時の基材の変形に皮膜が追従できず皮膜が破断しやすくなり加工性が低下する。
(2)放熱性添加剤
放熱性添加剤としては土状グラファイトが用いられる。グラファイトは土状、鱗片状、鱗状などの種類があるが、土状グラファイトが用いられる。鱗片状、鱗状などを用いた場合、放熱性が低下する。このメカニズムは明確ではないが形状が影響しているものと推定される。
用いるグラファイトの添加量は、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して20〜50質量部の割合で含有される。含有割合が20質量部未満では、グラファイトの皮膜中の絶対量が不足し放熱性向上の効果が十分に得られない。一方、含有割合が50質量部を超えると、有機樹脂皮膜の成膜が困難となり、グラファイトが有機樹脂皮膜から脱落し易くなって加工性が低下する。
また、用いる土状グラファイトの平均粒径は、0.5〜5μmである。平均粒径が0.5μm未満では、表面積が大きくなりグラファイトの分散性が低下し塗料粘度が増加する。塗料粘度が高い状態で塗装すると均一な塗装は困難となり、グラファイトの凝集による不均一な皮膜となる場合がある。その結果、耐溶剤性、導電性、加工性が低下する。一方、平均粒径が5μmを超えると、粒子数が少なくなるため、グラファイトの無い部分の隠蔽性が低下し、意匠性が低下する。
(3)導電性付与成分
導電性付与剤としてはりん片状ニッケルが用いられる。ニッケルには球状、りん片状などの種類があるが、りん片状ニッケルが用いられる。球状を用いた場合、ニッケルが皮膜割れの起点となったり、皮膜から脱落しやすくなるため加工性が低下する。
用いるニッケルの添加量は、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して30〜70質量部の割合で含有される。ニッケルの含有割合が30質量部未満では、ニッケルの皮膜中の絶対量が不足し、十分な導電性付与効果が得られない。一方、含有割合が70質量部を超えると有機樹脂皮膜の成膜が困難となり、ニッケルが有機樹脂皮膜から脱落し易くなって加工性が低下する。
用いるニッケルの最大長径の平均値は0.5〜100μmである。最大長径の平均値が0.5μm未満では、導電性のバラツキが大きく不安定になり導電性が低下する。一方、
最大長径の平均値が100μmを超えると、ニッケルが有機樹脂皮膜から脱落し易くやすくなるため加工性が低下する。
(4)有機樹脂皮膜の形成
有機樹脂皮膜を形成するには、アルミニウム基材表面に形成した化成処理皮膜表面に、有機樹脂皮膜用の塗料を塗装(塗布)しこれを焼付ける。
このような塗料はベース樹脂であるポリエステル系樹脂及びメラミン系樹脂の有機樹脂ならびに、グラファイト、ニッケル、また、必要に応じて、後述する潤滑性付与成分や添加剤を、溶媒に溶解、分散して調整される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な有機溶剤を用いることができる。
塗料の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、皮膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。また、皮膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
皮膜形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が200〜250℃で、焼付け時間が30〜90秒の条件で行うのが好ましい。皮膜形成における焼付温度が200℃未満であったり、焼付け時間が30秒未満である場合には、皮膜が十分に形成されず皮膜密着性が低下する。焼付温度が250℃を超えたり、焼付温度が90秒を超える場合には、皮膜成分が変性することになる。
(5)有機樹脂皮膜の皮膜厚
有機樹脂皮膜の皮膜厚は、0.4〜2.0μmである。皮膜厚が0.4未満では、皮膜が薄すぎるため、耐溶剤性が低下する。また、放熱性添加剤の皮膜中の絶対量が不足し放熱性が低下する。一方、皮膜厚が2.0μmを超えると、電気絶縁性の樹脂成分に導電性付与成分であるニッケルが十分に被覆されてしまい、導電性が低下する。
A−4.潤滑性付与成分
本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板の加工性を更に向上させる目的で、ベース樹脂である有機樹脂に潤滑性付与成分を添加しても良い。潤滑性付与成分としては、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス等の潤滑剤が用いられる。潤滑性付与成分の添加量としては、ベース樹脂である有機樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。潤滑性付与成分が10質量部を超えると、導電性の低下やブロッキング性、加工時における塗膜カスの発生等が起こり、電子機器や家電製品の筐体などの材料として好適ではない。
A−5.添加剤
有機樹脂皮膜用の塗料には、塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために通常の塗料に使用される、溶剤、レベリング剤、ワキ防止剤、つや消し剤、分散剤等を適宜含有させても良い。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜23及び比較例24〜40
アルミニウム板(材質:JIS A5052、板厚:1.0mm)に対し、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行ない、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液を用いて、皮膜中のクロム量が30±5mg/mとなるように化成処理を行った。更に、化成処理したアルミニウム基材の片面に表1に示す塗料をロールコーターで塗装し、PMT(最高到達板温度)230℃にて60秒間焼付けした。また、実施例22はアルミニウム板(材質:JIS A1100、板厚:1.0mm)をアルミニウム基材に用いた。さらに、実施例23は有機樹脂皮膜がベース樹脂である有機樹脂100質量部に対してマイクロクリスタリンワックスを0.2質量部含有する以外は実施例13と同一である。このようにして作製した樹脂被覆アルミニウム板4の模式的断面図を図1に示す。図中1は有機樹脂皮膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム基材である。
作製した樹脂被覆アルミニウム材の試料について下記の試験方法にて性能評価を行った。各試験方法の詳細を以下に示す。
(意匠性)
意匠性は分光測色計を用いて、L値を測定した。そして、◎:50以下、○:50を超え55以下、△:55を超え60以下、×:60を超えるもの、の基準で評価した。なお、L値が60を超える場合、電子機器部品にした時に、所望の意匠性に乏しいためL値60以下を使用可能とした。
(耐溶剤性)
耐溶剤性はメチルエチルケトン(溶剤)を染込ませたガーゼを付けたハンマーにて、往復ラビングを行い、素地が見えるラビング回数にて評価した。そして、◎:30回以上、○:20回以上30回未満、△:10回以上20回未満、×:10回未満のもの、の基準で評価した。なお、耐溶剤性が10回未満の場合、電子機器部品にした時に、成形後の洗浄により皮膜が損傷し製品とならないため耐溶剤性10回以上を使用可能とした。
(導電性)
導電性は四端子法により、銀製のプローブ(直径5mm、先端2.5R)を荷重100gで塗膜面に接触させた時の抵抗値を測定した。そして、◎:5Ω以下、○:5Ωを超え10Ω以下、△:10Ωを超え20Ω以下、×:20Ωを超えるもの、の基準で評価した。なお、電気抵抗値が20Ωを超える場合、電子機器部品にした時に、所望の電気特性(アース製やシールド性)が得られないため電気抵抗値20Ω以下を使用可能とした。
(放熱性)
放熱性は、赤外放射測定ユニットを付帯したフーリエ変換赤外分光光度計を用い、50℃での波長4〜14μmの平均化した放射率を測定した。そして、◎:0.70以上、○:0.60以上0.70未満、△:0.50以上0.60未満、×:0.50未満のもの、の基準で評価した。なお、放射率が0.50未満の場合、電子機器部品にした時に、所望の放熱特性が得られないため放射率0.50以上を使用可能とした。
(加工性:曲げ加工性)
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして180度3T曲げを行ない、素材または有機樹脂皮膜の割れを目視で観察し、○:素材または塗膜の割れないか、または非常に軽微な割れのため良好、△:小さな割れあるが使用可能、×:大きな割れあり使用不可、の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
(加工性:剥離性)
曲げ加工性試験の観察終了後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の塗膜の剥離具合を観察するテープ試験を行ない、塗膜の剥離性を評価した。評価は、○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離あり使用不可の基準で評価した。○及び△を合格とし、×を不合格とした。
意匠性、耐溶剤性、導電性、放熱性、加工性の各試験による評価結果を表1に示す。表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜23は意匠性、耐溶剤性、導電性、放熱性、加工性ともに良好であった。
一方、比較例24〜40は意匠性、耐溶剤性、導電性、放熱性、加工性のいずれかが劣り、電子機器用の樹脂被覆アルミニウム板としては不適当であった。
Figure 2010179541
具体的には、比較例24は膜厚が薄いため、耐溶剤性が劣り、また、皮膜中のグラファイトの絶対量が不足し意匠性、放熱性が劣る。
比較例25は膜厚が厚いため、電気絶縁性の樹脂成分に導電性付与成分であるニッケルが十分に被覆されてしまい、導電性が劣る。
比較例26は分岐状ポリエステル系樹脂を用いているため、架橋密度が高くなり、溶剤による皮膜の膨潤は少なくなるが、その一方で皮膜は硬く脆くなるため、耐溶剤性が劣る。
比較例27はポリエステル系樹脂の架橋硬化前の平均分子量が小さいため、架橋密度が高くなり、溶剤による皮膜の膨潤は少なくなるが、その一方で皮膜は硬く脆くなるため、耐溶剤性が劣る。
比較例28はポリエステル系樹脂の架橋硬化前の平均分子量が大きいため、架橋密度が低くなり、溶剤にて皮膜が膨潤し、耐溶剤性が劣る。
比較例29はポリエステル系樹脂の架橋硬化前のガラス転移温度(Tg)が低いため、皮膜の柔軟性は増加するものの皮膜強度が著しく低下し、耐溶剤性が劣る。
比較例30はポリエステル系樹脂の架橋硬化前のガラス転移温度(Tg)が高く、また皮膜の架橋密度が比較的高いため、特に皮膜の柔軟性が低下し、皮膜は硬く脆くなり、耐溶剤性が劣る。
比較例31はグラファイトがりん片状のため、放熱性が劣る。
比較例32はグラファイトの平均粒径が小さいため、塗料粘度が増加し、グラファイトの凝集による不均一な皮膜となり、その結果、耐溶剤性、導電性、加工性が劣る。
比較例33はグラファイトの平均粒径が大きいため、粒子数が少なくなり、グラファイトの無い部分の隠蔽性が低下し、意匠性が劣る。
比較例34はグラファイトの添加量が少ないため、放熱性添加剤であるグラファイトの皮膜中の絶対量が不足し放熱性が劣る。
比較例35はグラファイトの添加量が多いため、有機樹脂皮膜の成膜が困難となり、グラファイトが有機樹脂皮膜から脱落し易くなって加工性が劣る。
比較例36はニッケルが球状のため、ニッケルが皮膜割れの起点となったり、皮膜から脱落しやすくなるため加工性が劣る。
比較例37はニッケルの最大長径が小さいため、導電性のバラツキが大きく不安定になり導電性が劣る。
比較例38はニッケルの最大長径が大きいため、ニッケルが有機樹脂皮膜から脱落し易くやすくなるため加工性が劣る。
比較例39はニッケルの添加量が少ないため、導電性付与剤であるニッケルの皮膜中の絶対量が不足し、導電性が劣る。
比較例40はニッケルの添加量が多いため、有機樹脂皮膜の成膜が困難となり、ニッケルが有機樹脂皮膜から脱落し易くなって加工性が劣る。
本発明の樹脂被覆アルミニウム板は、良好な意匠性、耐溶剤性、導電性、放熱性、加工性を有する。したがって、本発明の樹脂被覆アルミニウム板は、パーソナル・コンピュータ等の電子機器、FPD(フラットパネルディスプレイ)のバックカバーなど、熱の放散が必要とされるものの筐体材料や放熱板等の材料として、好適である。
1 有機樹脂皮膜
2 化成皮膜
3 アルミニウム基材
4 有機樹脂被覆アルミニウム材

Claims (2)

  1. アルミニウム合金板の上に化成皮膜を設け、この化成皮膜を施したアルミニウム合金板の少なくとも一方の面に形成された有機樹脂100質量部に対して平均粒径0.5〜5μm以下の土状グラファイトを20〜50質量部含有し、かつ有機樹脂100質量部に対して最大長径の平均値が0.5〜100μm以下のりん片状ニッケルを30〜70質量部含有している、膜厚0.4〜2μmの有機樹脂皮膜とからなり、前記有機樹脂皮膜は熱硬化性樹脂が加熱されて硬化することにより形成されたものであり、前記熱硬化性樹脂は架橋硬化前の平均分子量が3000〜10000で、ガラス転移温度(Tg)が10〜30℃であり、硬化剤と反応する水酸基が分子の末端にある線状ポリエステル系樹脂と、これを加熱硬化させる硬化剤のメラミン系樹脂と、を有することを特徴とする意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板。
  2. 前記アルミニウム合金板のAl含有量が99.0mass%以下であることを特徴とする請求項1記載の意匠性、耐溶剤性、放熱性及び導電性に優れた樹脂被覆アルミニウム板。
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JP2020141142A (ja) * 2020-04-28 2020-09-03 星和電機株式会社 難燃性放熱シート

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