JP4995521B2 - 放熱体 - Google Patents

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本発明は放熱体に係り、特に、放熱体の熱放射率を高めるための塗膜に関する。

一般に、銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等からなる放熱基材を有する放熱体が知られている。このような放熱体は、半導体集積回路のヒートシンクとして用いられたり、放熱構造を有する回路基板の基体として用いられたりしている。また、上記の放熱基材の表面に熱伝導性や熱放射率が高い顔料、例えば、カーボンブラックや酸化チタン等の無機フィラーを混合してなる塗料を塗布して塗膜を形成することで、放熱性を向上させる技術が知られている(例えば、以下の特許文献1及び3参照)。
特開平3−120378号公報 特開平4−307795号公報 特開2002−228085号公報
しかしながら、近年の半導体集積回路の高性能化及び高集積化によって電子部品の発熱量は年々増加している一方、携帯電話等の普及によって電子回路の小型化の要請も強くなっていることから、放熱体の大型化にも制約があるため、放熱体には放熱特性に関するさらなる高性能化が求められている。
また、従来の塗膜を備えた放熱体は、塗料を表面に塗布して乾燥させたものが多く、基材に対する密着性が充分でないため、基材から熱を効率的に外部へ放散させることができず、塗膜自体の熱放射特性を充分に利用することができないとともに、急激な温度変化により剥離を生ずる虞があるという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、従来よりも放熱基材に対する密着性を高めることができ、しかも効率的に放熱作用を得ることができる塗膜を形成できる塗料及びこの塗料を用いて塗装された放熱体を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本願発明者らは、放熱体の塗装方法として密着性が良好で、しかも、膜厚制御性及び膜厚均一性が高い方法について鋭意検討した。その結果、放熱基材としては導電性を有するものがほとんどであることから、この導電性を有する放熱基材の表面に、無機フィラーを混入して分散させた電着塗料を用いて電着塗装を施すことで、密着性が高く、基材の熱を効率的に放散することができる塗膜を形成することができることを見い出した。
ここで、電着塗料中に混入される無機フィラーとしては、金属酸化物の微粒子や粉体が好ましく、例えば、チタン、亜鉛、マンガン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅、アルミニウム等の酸化物が挙げられる。特に、酸化チタン、酸化亜鉛等の遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
本発明に用いる電着塗料には水溶性又は水分散性の溶液が用いられる。例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂を樹脂基材として含む水溶性又は水分散性の塗料を用いることができる。特に、耐食性等の観点からカチオン系電着塗料が好ましい。電着塗装に際しては、電着塗料中に対向電極と放熱基材を対向させて配置し、所定電圧を印加して放熱基材の表面上に塗膜を形成する。この電着塗装は付き回り性が良好で、密着性が高く、安定した膜厚が得られる。このように塗膜を形成した後に焼付処理を施すことで、電着塗膜が完成される。
特に、本願発明者らが鋭意検討した結果、上記無機フィラーとして導電性酸化チタンを用いることにより、高い放熱性を有する放熱体を形成できることが判明した。導電性酸化チタンは、酸化チタンと酸化錫の合成物又は混合物である。導電性酸化チタンの粒径は、球状のものの場合、0.05〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1〜0.5μmの範囲内であることが望ましい。また、上記導電性酸化チタンとして、特に針状構造を有するものが効果的であることも判明しており、この場合には、長軸/短軸比が5〜30で、短軸が0.05〜1.0μm、長軸が0.5〜10.0μmの範囲内であることが好ましい。特に、長軸/短軸比が10〜20で、短軸が0.1〜0.3μm、長軸が1.0〜6.0μmの範囲内であることが望ましい。
導電性酸化チタンの塗料中の混入量としては4〜25wt%の範囲内であることが好ましい。この範囲を下回ると塗膜中の導電性酸化チタンの量が低下して放熱性の向上効果が充分に得られず、また、この範囲を上回ると電着塗料の流動性が阻害されて電着塗装が困難になる。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1は本発明に係る実施形態である放熱体(放熱板或いはヒートシンク)11及び、この放熱体11で構成される放熱構造を備えた装置(電子回路装置)10の側面図、図2は放熱体11の概略斜視図である。本実施形態の放熱体11は、銅、銅合金、マグネシウム合金等の導電体からなり、板状の基部11Aと、この基部の片面から突出した複数の放熱フィン11Bとを一体に備えたものとなっている。なお、放熱性の観点で放熱フィン11Bを有することは有利であるが、単に板状に構成されたものなど、放熱体としては必ずしも放熱フィンを有する必要はない。
この装置10は、放熱体11の基部11Aの放熱フィン11Bが設けられた面とは反対側の面上に固定された発熱体12を含む。この発熱体12は、半導体集積回路等を構成するチップ12Aと、このチップ12Aを包摂するセラミックスや合成樹脂等からなるパッケージ12Bと、チップ12Aと熱的に接触しているとともにパッケージ12Bに被覆されない露出部分を備えたアルミニウム等といった熱伝導性の良好な基板(取付板)12Cとを有している。発熱体12は、基板12Cが螺子止めなどの適宜の方法によって放熱体11の基部11Aの表面上に固定されることにより、放熱体11と一体的に構成される。基板12Cと基部11Aとの間には図示しない密着剤、例えば、放熱グリス、各種ペースト、接着剤等が介在し、発熱体12と放熱体11との間の実質的な熱的接触面積を増大させている。この密着剤としては、熱伝導性の良好な放熱グリスや金属ペーストなどが好ましい。
本実施形態の放熱体11の表面には電着塗膜が形成されている。この電着塗膜は、電着塗料中で電圧を印加することによって放熱基材の表面に形成される樹脂被膜である。電着塗膜は放熱基材の全表面上に形成されていることが好ましく、以下の実施形態では全面塗装を実施しているが、少なくとも発熱体12が接触している基部11Aの表面部位から主として放熱が行われる部位、例えばフィン11Bの表面部に至る範囲に亘り連続して形成されていることが望ましい。本発明において電着塗料に関しては何ら限定されるものではないが、電着塗装時において放熱基材からの溶出がなく、耐食性に優れた被膜を形成することができる点でカチオン系電着塗装を用いることが好ましい。カチオン系電着塗装では、電着塗料中に放熱基材を対向電極とともに浸漬し、対向電極を陽極、放熱基材を陰極として、電着塗料をプラスに帯電させた状態で、放熱基材の表面上に塗料を析出させる。
図3は本実施形態の放熱体の製造方法の一例を示す概略工程図である。本実施形態の熱伝導材の製造方法では、まず、銅、銅合金、マグネシウム合金等よりなる放熱基材を用意する。この放熱基材は、放熱体としての最終的な用途に応じた形状に成形しておくことが好ましい。例えば、電子部品の放熱シンクとして上記の放熱体11を製造する場合には、図1及び図2に示す形状に加工された放熱基材を用いる。
ここで、放熱基材は、銅、銅合金、マグネシウム合金に限らず、少なくとも表面の一部に導電性を有する材料であれば(すなわち電着塗装が可能な材料であれば)、アルミニウム、アルミニウム合金等といった、適宜の材料で構成されたものを用いることができる。
本実施形態の放熱体の製造方法では、図3のステップS1に示すように、基材の前処理を行う。この前処理は必須の構成ではないが、通常、一般的に入手した放熱基材に対しては、表面を清浄化して、後述する電着塗膜を良好かつ均一に形成するために行われる。この前処理においては、通常、脱脂処理、アルカリ処理、中和処理を順次に行う。脱脂処理では例えば洗剤や溶剤で基材を洗浄して表面の油脂類を除去する。アルカリ処理では例えば5〜8wt%程度の苛性ソーダ水溶液を50〜60℃程度としたもので放熱基材を洗浄する。中和処理ではアルカリ処理で付着したアルカリを中和するために例えば10〜15%程度の硝酸又は塩酸を適用する。最後に、放熱基材を充分に水洗する。
次に、ステップS2において電着塗装処理を実施する。この電着塗装処理では、放熱基材を一方の電極(カチオン系電着塗装の場合には陰極)とし、電着塗料中で放熱基材を他方の電極(陽極)と対向配置させ、所定の電圧を印加することにより、放熱基材の表面上にて化学反応が生じ、塗膜が形成される。電着塗料としては、一般には基材表面上に絶縁被膜が形成されるが、本実施形態では、電着塗料中に金属酸化物よりなる所定量の無機フィラーを後述するように添加することにより、当該無機フィラーを取り込んだ電着塗膜が形成される。印加電圧は、放熱基材の材質や表面積によっても異なるが、例えば縦7mm×横7mm×厚み2mmの銅板を処理する場合、30〜35V程度である。この電着塗装処理で得られる塗膜の膜厚は処理時間等により異なるが、一般的には、上記銅板を30〜35V程度で3分程度処理すると15μm程度となる。放熱性を良好にするためには膜厚は15〜35μmの範囲内の厚みとすることが好ましい。この範囲より薄いと充分な放射率向上効果が得られにくくなり、また、上記範囲より厚いと基材表面より塗膜表面への熱伝導性が悪化し、全体として効率的な放熱作用が阻害される。特に、放熱性を高める観点から15〜25μmの範囲が望ましい。
その後、ステップS3において、表面上に塗膜が形成されてなる放熱基材を加熱して塗膜を加熱乾燥させるための焼付処理を行う。この焼付処理は例えば140−180℃、好ましくは160℃で15−30分、好ましくは25分間実施する。
上記のようにして電着塗膜が放熱基材の表面上に形成された放熱体が完成する。表面の電着塗膜は、無機フィラー(導電性酸化チタン)を混入した場合には、混入しない場合よりも凹凸が見られ、光沢が失われた粗面状になっていた。
本発明では、電着塗料に導電性酸化チタンの粉体を混入する。導電性酸化チタンとしては、酸化チタンの微粒子の表面上に酸化スズSnOをコーティングしたものを用いることができる。特に、酸化チタンを、Sbをドープしたn型半導体であるSnOでコーティングしたものを入手することができる。また、酸化チタンと酸化錫の合成物、混合物なども用いることができる。導電性酸化チタンとしては、球状(粒子状)のものと針状のものとが知られているが、本願発明者らはいずれの導電性酸化チタンでも放射率の向上に大きな効果をもたらすことを確認した。
上記の効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば、以下のように考えることができる。通常、銅又は銅合金、マグネシウム又はマグネシウム合金等の金属は高い熱伝導率を有するが、熱の放射率は必ずしも高くない。例えば、アルミニウムの研磨面では放射率は0.04、銅の表面では平坦度にもよるが0.02−0.04程度、銀は0.035程度である。これに対して、金属の表面を酸化させた場合には素材にもよるが放射率は0.5−0.9程度となり、大幅に増大する。また、レンガ、コンクリート、粘土、陶器等の無機物でも0.7−0.9程度と高い。ただし、これらの酸化物や無機物はいずれも絶縁体であり、熱伝導性が低いために効率的に放熱を行うには適していない。通常の電着塗膜も絶縁体であり、放射率は0.82−0.84程度と比較的高いが熱伝導率が低いために充分に効率的な放熱を行うことができない。
一方、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫等の金属酸化物はn型半導体であり、n型半導体は電子をキャリアとする半導体であり、バンドギャップ以上のエネルギーを吸収することによってキャリア電子が励起される。これによってn型半導体は温度が上昇するに従って電気抵抗が低下する特性を有している。本実施形態の電着塗膜は、励起した自由電子の存在により、図4に示すように電気抵抗Rと静電容量Cとが直列に接続された等価回路を有するものと考えることができる。放熱体が熱を受けて温度が上昇すると、等価回路中の電気抵抗Rが低下するので塗膜のインピーダンスが低下し、これによって塗膜の熱伝導率が増大するため、全体として熱の放射効率が高まるものと考えられる。したがって、本発明の金属酸化物を混入させた電着塗膜は温度が上昇するほど熱伝導性が向上し、放熱基材からの熱を受けて効率的に表面から放射させることができるものと考えられる。特に、キャリア励起が容易に発生し、相対的に高い導電性を有する導電性酸化チタンの粉体を用いることで、さらに効率的に放熱を行うことができるものと思われる。また、金属酸化物の粉体を混入することで塗膜の表面粗さも増大し、表面積が増大することで放熱性がさらに増大するということも考えられる。
[実施例]
電着塗料として日本ペイント社製の「パワーニックス エクセル 1100」(商標・商品番号、下塗用、エポキシ樹脂、高耐食性、鉛フリータイプ)を用い、これに金属酸化物よりなる無機フィラーとして導電性酸化チタンを混入させた。この導電性酸化チタンとしては、石原産業社製の「FT−1000」(商品番号)を用いた。この導電性酸化チタンは所謂、導電性針状酸化チタンであり、ルチル型針状酸化チタンをSbドープのSnOでコーティングしてなるものである。この導電性酸化チタンの9.8MPaの圧粉体の粉体抵抗は2−10Ω・cm、真比重は4.4である。ベースとなる針状酸化チタンは画像解析による体面積平均径が短軸0.13μm、長軸1.68μmである。ただし、短軸0.21μm・長軸2.86μmの同社製「FT−2000」、短軸0.27μm・長軸5.15μmの同社製「FT−3000」を用いることも可能である。
上記の電着塗料を用いて上記のように前処理、電着塗装処理、焼付処理を順次に実施し、放熱体11を製造した。その後、図5に示すように放熱体11に発熱体12を取り付け、発熱体12を発熱させた状態で発熱体12の外装温度Tiと、放熱体11の表面温度Toとを測定した。ここで、放熱体11は銅製のCPU用放熱器を放熱基材(素材は銅材C5191P−H)としたものであり、発熱体12としては放熱基板付き集積回路(3端子レギュレータ)を用いた。上記の電着塗料中に4−20wt%となるように導電性針状酸化チタンの粉体を混合してなる塗料で放熱基材の表面に電着塗装を施したもの(実施例1−9)と、放熱基材そのままを用いたもの(比較例1)と、導電性針状酸化チタンを混合しない上記電着塗料で電着塗装したもの(比較例2)とについてそれぞれ実験を行った。なお、実験前に行った放熱体11の表面の放射率は以下のようであった。すなわち、放熱体11の放射率をDEVICE & SERVICESS COMPANY社製の放射率計で測定すると、比較例1の放熱素材の放射率は0.05、比較例2の電着塗膜の放射率は0.82、実施例1−9の電着塗膜の放射率は順番に、0.83、0.84、0.85、0.85−0.86、0.86、0.87、0.87、0.88、0.88−0.89であった。
上記の比較例1、2、実施例1−9について、室温24−27℃、無風状態で温度測定を実施した。この温度測定では、発熱体12にDC電源から電力を供給しつつ、発熱体12の出力を電子負荷装置にて設定された一定の電気負荷に接続した。発熱体12の消費電力は12Wとした。温度の測定部位としては、熱電対によって発熱体12のパッケージ12Bの外面上の温度(温度Ti)及び放熱体11の基部11Aの側部表面上の温度(温度To)をそれぞれ測定した。そして、加熱開始より30分後(この時間で温度はほとんど一定になる。)の温度Ti,Toの測定データに対して測定時の室温と基準室温25.4℃との差を加減してなる校正データを表1に示す。
Figure 0004995521
実施例1−9において、判定×は導電性針状酸化チタンを含まない塗料(上記の市販の塗料)で電着塗装をした比較例2より放熱性が劣る場合、判定△は比較例2に比べて温度Ti又はToの一方のみが低く、ほぼ同等の放熱性を示す場合、判定○は比較例2に比べて温度TiとToの双方が低いが、温度Tiの差が1℃未満の場合、判定◎は比較例2に比べて温度TiとToの双方が低く、しかも温度Tiの差が1℃以上の場合である。導電性針状酸化チタンの電着塗料への混入量を増加させることで放熱性は確実に向上していることから、電着塗料への導電性針状酸化チタンの混入により確実に効果が得られることがわかる。塗料への配合比が20wt%を越えてもほぼ同様の効果を奏するが、25wt%を越えると塗料として構成できなくなり、電着塗装処理にも支障が生ずる。したがって、導電性針状酸化チタンの塗料への配合比は4−25wt%の範囲内であることが好ましく、特に、6−20wt%の範囲内であることが望ましいことがわかる。
表2は上記実施例1〜9の塗膜への導電性針状酸化チタンの取込量を蛍光X線分析によって同定したTiの量で示すものである。この表2に示すように、電着塗料への導電性針状酸化チタンの混入により、塗膜中への導電性酸化チタンの取り込みも確実に行われていることがわかる。塗膜中のチタンの取込量としては、0.2wt%以上であることが好ましく、0.5wt%以上であることが望ましい。上限としては8wt%程度までは取込可能である。なお、電着塗料中への導電性針状酸化チタンの混入量が小さい場合には、電着塗膜への導電性針状酸化チタンの取込量もきわめて少なくなるため、混入による効果が明確に現れていない可能性がある。
Figure 0004995521
次に、上記の導電性針状酸化チタンの代わりに、球状の導電性酸化チタンを用いた実施例について説明する。球状の導電性酸化チタンは球状の酸化チタンの微粒子の表面に酸化スズをコーティングしたものである。実施例としては、上記と同じ電着塗料中に、石原産業社製の「ET−500W」(製品番号)を所定量添加したものを用いた。この導電性球状酸化チタンは、平均粒径が0.2〜0.3μmのルチル構造の球状酸化チタンにSbドープのSnOをコーティングし、9.8MPa圧粉体の粉体抵抗が2.5Ω・cm程度、真比重を4.6としたものである。なお、同社製「ET−600W」(製品番号)、同社製「ET−300W」(製品番号)などを用いても構わない。上記と同様に電着塗料への混入量を変えて製造したものを実施例10−17とし、放射率測定及び温度測定を実施した。放射率は上記と同じ器具で測定した結果、実施例10−17は順に、0.87、0.87−0.88、0.88、0.88−0.89、0.87−0.88、0.87、0.86−0.88、0.88であった。これは、導電性球状酸化チタンの塗料への混入量が低い領域では実施例1−9よりも全般的に高い放射率を呈することを示している。また、上記の温度測定の結果を表3に示す。
Figure 0004995521
実施例10−17において、判定×は導電性球状酸化チタンを含まない塗料で電着塗装をした比較例2より放熱性が劣る場合、判定△は比較例2に比べて温度Ti又はToの一方のみが低く、ほぼ同等の放熱性を示す場合、判定○は比較例2に比べて温度TiとToの双方が低いが、温度Tiの差が1℃未満の場合、判定◎は比較例2に比べて温度TiとToの双方が低く、しかも温度Tiの差が1℃以上の場合である。導電性球状酸化チタンの電着塗料への混入量を増加させることで放熱性は確実に向上していることから、電着塗料への導電性球状酸化チタンの混入により確実に効果が得られることがわかる。塗料への配合比が20wt%を越えてもほぼ同様の効果を奏するが、25wt%を越えると塗料として構成できなくなり、電着塗装処理にも支障が生ずる。したがって、導電性球状酸化チタンの塗料への配合比は6−25wt%の範囲内であることが好ましく、特に、10−20wt%の範囲内であることが望ましいことがわかる。
Figure 0004995521
表4は上記実施例10〜17の塗膜中の導電性球状酸化チタンの取込量を蛍光X線分析によって同定したTiの量で示すものである。この表4に示すように、電着塗膜への導電性球状酸化チタンの取込量は表2に示す導電性針状酸化チタンを用いた場合より大幅に多いことがわかる。しかしながら、導電性球状酸化チタンの放熱性への寄与は導電性針状酸化チタンより弱いものと思われる。すなわち、実施例10−17では、導電性球状酸化チタンの取込量が大きいにも拘わらず、また、上述のように放射率が高いにも拘わらず、実施例1−9とそれほど効果に差が生じていない。これは、導電性針状酸化チタンの導電性向上効果が導電性球状酸化チタンより高いために実施例1−9の塗膜の熱伝導性が実施例10−17の塗膜よりも良好であることによるものと思われる。
尚、本発明の放熱体、及び、電着塗料は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である
熱伝導材の実施形態である放熱体及び放熱構造を備えた装置の概略側面図。 実施形態の放熱体の概略斜視図。 熱伝導材の製造方法の実施形態を示す概略工程図。 実施形態の放熱体の陽極酸化被膜の等価回路図。 実施形態の放熱体の放熱効果を測定する測定系の説明図。
10…放熱構造を備えた装置(電子回路装置)、11…放熱体、11A…基部、11B…フィン、12…発熱体(電子回路素子)、12A…チップ、12B…パッケージ、12C…基板

Claims (4)

  1. 導電性を有する放熱基材の表面上に金属酸化物よりなる無機フィラーが取り込まれた電着塗膜が形成されてなり、前記無機フィラーは導電性酸化チタンであることを特徴とする放熱体。
  2. 前記導電性酸化チタンは球状であり、0.05〜5μmの範囲内の粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の放熱体。
  3. 前記導電性酸化チタンは針状構造を有し、長軸/短軸比が5〜30で、短軸が0.05〜1.0μm、長軸が0.5〜10.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の放熱体。
  4. 前記導電性酸化チタンの塗料中の混入量が4〜25wt%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放熱体。
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