JP2005262841A - 加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な加工性と放熱性の両方を具備する樹脂被覆アルミニウム材を得る。
【解決手段】 化成皮膜上に高分子ポリエステル系樹脂と高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂、さらに高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して2〜10質量部のカーボンブラックと5〜30質量部の有機樹脂系微粒子を含み、皮膜厚が5〜40μmの黒色樹脂皮膜を少なくとも最外層に施した樹脂被覆アルミニウム材。
また、前記黒色樹脂皮膜の表面粗さ(Ra)を1.0〜5.0μmとする。
【選択図】 無し
【解決手段】 化成皮膜上に高分子ポリエステル系樹脂と高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂、さらに高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して2〜10質量部のカーボンブラックと5〜30質量部の有機樹脂系微粒子を含み、皮膜厚が5〜40μmの黒色樹脂皮膜を少なくとも最外層に施した樹脂被覆アルミニウム材。
また、前記黒色樹脂皮膜の表面粗さ(Ra)を1.0〜5.0μmとする。
【選択図】 無し
Description
本発明は、内部で熱を生じる電子部品、家電製品等の筐体や放熱板等に好適な、加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材に関する。
電子機器の小型化、高性能化に伴い、これらの電子部品から放出される熱が多くなり問題となってきている。つまり、電子機器内の発熱量の増加は、この精密な電子機器本体の性能を損なうおそれがあるため、熱を効率良く外部へ逃がすことが重要な課題となっている。
例えば、パソコンの場合、近年の著しい演算速度の上昇によってCPUからの発熱量は大幅に増大しており、その熱の拡散が大きな課題となっている。通常、放熱のためにファンが用いられているが、回転数を上げて風量を増大させると騒音が大きくなるという問題がある。この場合、パソコンの筐体からの放射による伝熱量を増すことができれば、ファンの回転数を増大させることなく内部で発生した熱を速やかに外部に放散することができる。
従来、放熱性材料として陽極酸化処理を施した放熱性の高い放熱性材料が提案されている。(特許文献1)
特開平5−241148号公報
しかし、陽極酸化処理を施した場合、この陽極酸化皮膜は無機皮膜のため、皮膜が非常に硬く成形時に皮膜が割れ易く、加工性の低下が起こる。さらに、陽極酸化処理工程が必要なためもともとコストが高い。
また、低コストで加工性、放熱性の良い材料として、赤外線放射性顔料を含む樹脂の塗装を施した放熱性の高い放熱性材料(内層塗膜の部分が該当)が提案されている。(特許文献2)
特開2002−228085号公報
しかし、前記赤外線放射性顔料を含む樹脂の塗装を施した材料は、有機皮膜のため無機皮膜と比較すると曲げ加工性が向上するものの、実際の筐体等の加工はより厳しい加工のプレス成形が行なわれ、本願と異なり使用する樹脂が特に限定されておらず、また塗膜表面に潤滑性がないため、加工性が十分とは言えない。その結果、加工部の耐食性が劣るという品質問題、また大きな塗膜割れや傷の場合、商品価値が無くなるため生産性が低下し、コスト上昇を招くなどの問題が発生している。
又、プレコートメタルに使用される熱硬化性高分子ポリエステル系樹脂の場合、架橋剤を添加することが行われているが架橋剤の種類や添加量が適切でないと放熱性が低下する場合があることが研究の結果判明した。
本発明は、良好な加工性と放熱性の両方を具備する樹脂被覆アルミニウム材を得ることを課題とするものである。
本発明者らは鋭意研究の結果、アルミニウム材上に化成皮膜を設け、その上に、高分子ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、カーボンブラック、有機樹脂系微粒子を含有する黒色樹脂皮膜を設けることにより、放熱性を低下させずに加工性を向上し得ることを見出し、さらに実験を重ねてそれらの適正量を見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち請求項1記載の発明は、両面に化成皮膜を有するアルミニウム板の少なくとも一方の面の化成皮膜上に高分子ポリエステル系樹脂と高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂、さらに高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して2〜10質量部のカーボンブラックと5〜30質量部の有機樹脂系微粒子を含み、皮膜厚が5〜40μmの黒色樹脂皮膜を少なくとも最外層に施したことを特徴とする加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材である。
また、請求項2記載の発明は、前記黒色樹脂皮膜の表面粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項1記載の加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材である。
本発明の樹脂被覆アルミニウム材は、良好な放熱性を有し、かつ加工性にも優れたものなので、特に電子部品、筐体用放熱板として好適に使用される。
本発明において、基材のアルミニウム材は特に限定されるものでないが、筐体を形成・保持するに足る強度を有し、また絞り加工、曲げ加工時において充分なプレス成形加工性を有することから1000系、3000系、5000系のアルミニウム板が好ましい。
前記アルミニウム材上に設ける化成皮膜は、塗布型と反応型があり、特に制限されないが、主にアルミニウムと樹脂皮膜の両方に密着性が良好な反応型化成皮膜が用いられる。前述の特許文献1のようにアルミニウム材上に直接放熱性皮膜を設けるよりも、アルミニウムと樹脂皮膜層の間に化成皮膜を設けることにより、塗膜密着性が格段に向上し、その結果加工性が向上する。反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムなどの処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート処理皮膜が、コスト、汎用性の点で好ましい。
黒色樹脂皮膜は、高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂を含む。
一般的にプレコートメタルに使用される樹脂のうち、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂と比較し、高分子ポリエステル系樹脂は特に5〜12μmの赤外線領域で優れた赤外吸収(放射)性を示す。同様に、架橋剤であるメラミン系樹脂も、高分子ポリエステル系樹脂のもう1種の代表的な架橋剤であるブロック化イソシアネートと比較し、広範囲の赤外線領域で優れた赤外吸収(放射)性を示す。
電子機器からの放射熱はプランクの分布則に従い、波長8〜10μmにピークを有しており、赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性の向上に有効であることから、これらの樹脂を用いることによって放熱性が向上する。
なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射も高い材料であると言える。
前記高分子ポリエステル系樹脂は、加工性と塗装性の点から数平均分子量が8000〜25000のものが好ましい。つまり、数平均分子量が小さいと塗膜の可とう性が低下することによる曲げ加工性の低下、また数平均分子量が大きいと塗料粘度の急激な上昇による塗装性の低下が起こる場合がある。また、ガラス転移温度については加工性と塗膜硬度の点から−10〜70℃のものが好ましい。ガラス転移温度がこれより低いと塗膜硬度が低下し柔らかくなることによりプレス成形など加工時に傷の発生が、またガラス転移温度がこれより高いと塗膜の柔軟性低下により曲げ加工性の低下が起こる場合がある。
架橋剤である前記メラミン系樹脂には、メチル化メラミン系樹脂、ブチル化メラミン系樹脂などがあるが、加工性の点からメチル化メラミン系樹脂が好ましい。
前記高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂を配合する。メラミン系樹脂が10質量部未満では、塗膜の架橋が不十分となり、曲げ加工性及びその他一般塗膜物性が低下する。また、30質量部を超えると、架橋が進みすぎ塗膜が硬くなり曲げ加工性が低下する。さらにメラミン系樹脂は広範囲の波長域で赤外線吸収性が良好なため、多目の20〜30質量部の添加が好ましい。
一般的にプレコートメタルに使用される樹脂のうち、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂と比較し、高分子ポリエステル系樹脂は特に5〜12μmの赤外線領域で優れた赤外吸収(放射)性を示す。同様に、架橋剤であるメラミン系樹脂も、高分子ポリエステル系樹脂のもう1種の代表的な架橋剤であるブロック化イソシアネートと比較し、広範囲の赤外線領域で優れた赤外吸収(放射)性を示す。
電子機器からの放射熱はプランクの分布則に従い、波長8〜10μmにピークを有しており、赤外線領域の熱放射性を向上させることが放熱性の向上に有効であることから、これらの樹脂を用いることによって放熱性が向上する。
なお、キルヒホッフの法則より熱放射率と熱吸収率は等しく、赤外線の吸収性の高い材料は、赤外線の放射も高い材料であると言える。
前記高分子ポリエステル系樹脂は、加工性と塗装性の点から数平均分子量が8000〜25000のものが好ましい。つまり、数平均分子量が小さいと塗膜の可とう性が低下することによる曲げ加工性の低下、また数平均分子量が大きいと塗料粘度の急激な上昇による塗装性の低下が起こる場合がある。また、ガラス転移温度については加工性と塗膜硬度の点から−10〜70℃のものが好ましい。ガラス転移温度がこれより低いと塗膜硬度が低下し柔らかくなることによりプレス成形など加工時に傷の発生が、またガラス転移温度がこれより高いと塗膜の柔軟性低下により曲げ加工性の低下が起こる場合がある。
架橋剤である前記メラミン系樹脂には、メチル化メラミン系樹脂、ブチル化メラミン系樹脂などがあるが、加工性の点からメチル化メラミン系樹脂が好ましい。
前記高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂を配合する。メラミン系樹脂が10質量部未満では、塗膜の架橋が不十分となり、曲げ加工性及びその他一般塗膜物性が低下する。また、30質量部を超えると、架橋が進みすぎ塗膜が硬くなり曲げ加工性が低下する。さらにメラミン系樹脂は広範囲の波長域で赤外線吸収性が良好なため、多目の20〜30質量部の添加が好ましい。
また、前記黒色樹脂皮膜は高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して2〜10質量部のカーボンブラックを含有させる。赤外線放射性黒色顔料であるカーボンブラックの添加量が2質量部未満では放熱性の効果が十分でない。また10質量部を超えると、1次粒子径がnmレベルで表面積が非常に大きいため塗料粘度が急激に上昇し塗料化が困難となる。なお、赤外線放射性黒色顔料としてはカーボンブラックのほかに鉄マンガン系、銅クロム系などの金属酸化物等が一般に用いられるが、鉄マンガン系、銅クロム系金属酸化物は、波長10μm以下の赤外線放射性が劣り、また粒子径もミクロンオーダーでカーボンブラックより大きく、添加量によっては曲げ加工性が低下することがある。
さらに、前記黒色樹脂皮膜は、高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して5〜30質量部の有機樹脂系微粒子を含有させる。有機樹脂系微粒子は、塗膜を粗面化し面接触から点接触にすることによる塗膜表面の潤滑性向上と表面粗さ(Ra)の調整により表面積を大きくし熱線の放射面積を大きくすることによる放熱性向上の目的で添加される。よって、有機樹脂系微粒子は塗料の焼付塗装時の熱により容易に軟化溶融しその形状が消失してしまうものは好ましくなく、焼付温度同等以上の耐熱性を有する有機樹脂系微粒子が好ましい。含有量が5質量部未満では添加量が少ないため潤滑性が低下する。30質量部を超えると有機樹脂系微粒子の添加量が多く、曲げ加工時塗膜の亀裂の起点となり曲げ加工性が劣る。また、有機樹脂系微粒子の種類は、ナイロン系、PTFE系、アクリル系、ウレタン系などがあり特に限定されないが、微粒子自身に潤滑性のあるナイロン系、PTFE系が特に好ましい。
前記黒色樹脂皮膜の厚さは、5〜40μmとする。5μm未満では、赤外線放射性の高いカーボンブラックの数が不足し、放熱効果が十分には望めない。また、40μmを超えると曲げ加工性が低下する。
前記黒色樹脂皮膜の表面粗さ(Ra)は、1.0〜5.0μmであることが好ましい。
表面粗度が大きいと表面積が大きくなることにより熱の放射面積が大きくなり、放熱性が向上する。1.0μm未満では表面積の増加が充分でなく放熱性向上の効果が小さい。また、5.0μmを超えると、塗膜外観(意匠性)が損なわれ好ましくない。
表面粗さの調整は、主に前記有機樹脂系微粒子添加により行う。シリカなどの無機系微粒子を多量に添加したり、少量でも粒子径の大きい無機系微粒子を添加する場合は加工時の微粒子の脱落や粒子の割れが起こりそれを起点とした塗膜の割れ等曲げ加工性が低下する。それに対して有機樹脂系微粒子の場合は、樹脂皮膜との親和性が良く粒子の脱落はほとんど起きず、また脆くないので加工時に応力がかかっても割れないため加工性の低下が無い。
表面粗度が大きいと表面積が大きくなることにより熱の放射面積が大きくなり、放熱性が向上する。1.0μm未満では表面積の増加が充分でなく放熱性向上の効果が小さい。また、5.0μmを超えると、塗膜外観(意匠性)が損なわれ好ましくない。
表面粗さの調整は、主に前記有機樹脂系微粒子添加により行う。シリカなどの無機系微粒子を多量に添加したり、少量でも粒子径の大きい無機系微粒子を添加する場合は加工時の微粒子の脱落や粒子の割れが起こりそれを起点とした塗膜の割れ等曲げ加工性が低下する。それに対して有機樹脂系微粒子の場合は、樹脂皮膜との親和性が良く粒子の脱落はほとんど起きず、また脆くないので加工時に応力がかかっても割れないため加工性の低下が無い。
本発明に使用する塗料には、塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために通常の塗料に使用される、溶剤、ツヤ消し剤、レベリング剤、顔料分散剤、ワキ防止剤、潤滑付与剤等を適宜含有させても良い。また、基材との密着性を向上させるためにプライマーを使用しても良い。プライマーについては、特に制限するものではないが、上塗り黒色樹脂塗料と同系統の高分子ポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、密着性向上としてエポキシ樹脂を配合したものが良い。これに白顔料や黒顔料を配合し着色することも可能であり、特にプライマーも黒色化すると放熱性がさらに向上する。プライマー層を有する場合等も考慮して請求項では、「黒色樹脂皮膜を少なくとも最外層に施した」と言う表現をとっている。
また、両面とも黒色樹脂皮膜であっても良いし、一方の面は他の機能を持たせるために他の皮膜を施したり、何の皮膜も施さなくても構わないので請求項では「両面に化成皮膜を有するアルミニウム板の少なくとも一方の面の」と言う表現をとっている。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
アルミニウム板(材質:JIS A5052、板厚:0.5mm)に対し、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行い、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液にて下地処理を行い、その上に表1に示す条件で塗料をロールコーターで両面に塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃〜250℃にて焼付した。なお、比較例24の黒色樹脂皮膜には鉄マンガン系金属酸化物黒色顔料をカーボンブラックのかわりに4質量部添加した。なお、比較例25の黒色樹脂皮膜には平均粒径30μmのシリカ微粒子を含有させて塗膜表面の粗さを調整した。こうして図1に模式的に断面図を示す樹脂被覆アルミニウム材を製造した。図中1は、黒色樹脂皮膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム合金板である。
アルミニウム板(材質:JIS A5052、板厚:0.5mm)に対し、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行い、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液にて下地処理を行い、その上に表1に示す条件で塗料をロールコーターで両面に塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃〜250℃にて焼付した。なお、比較例24の黒色樹脂皮膜には鉄マンガン系金属酸化物黒色顔料をカーボンブラックのかわりに4質量部添加した。なお、比較例25の黒色樹脂皮膜には平均粒径30μmのシリカ微粒子を含有させて塗膜表面の粗さを調整した。こうして図1に模式的に断面図を示す樹脂被覆アルミニウム材を製造した。図中1は、黒色樹脂皮膜、2は化成皮膜、3はアルミニウム合金板である。
加工性のうち、潤滑性はバウデン式摩擦試験機にて摩擦係数の測定を行い、○:
0.10未満、△:0.10以上〜0.15未満であるが使用可能、×:0.15以上で使用不可、の基準で評価した。
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして180度3T曲げを行い、樹脂皮膜層の割れを目視で観察し、◎:塗膜の割れなし、○:非常に軽微な塗膜の割れあるが良好、△:小さな塗膜の割れあるが使用可能、×:大きな塗膜割れあり使用不可、の基準で評価した。
更に、割れ観察後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の塗膜の剥れ具合を観察するテープ試験を行い、○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離ありの基準で評価した。
0.10未満、△:0.10以上〜0.15未満であるが使用可能、×:0.15以上で使用不可、の基準で評価した。
加工性のうち、曲げ加工性は評価面を外側にして180度3T曲げを行い、樹脂皮膜層の割れを目視で観察し、◎:塗膜の割れなし、○:非常に軽微な塗膜の割れあるが良好、△:小さな塗膜の割れあるが使用可能、×:大きな塗膜割れあり使用不可、の基準で評価した。
更に、割れ観察後、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の塗膜の剥れ具合を観察するテープ試験を行い、○:剥離なし、△:軽微の剥離あるが使用可能、×:剥離ありの基準で評価した。
放熱性は下記の方法で筐体を作製し、筐体表面温度を測定し、◎:30℃以下、○:
31〜32℃、△:33〜34℃、×:35℃以上、の基準で評価した。すなわち、得られた樹脂被覆アルミニウム材により底面が150mm×150mm、高さ100mmの筐体を作製した。作製した筐体を図2に示す。図中4は光源、5は樹脂被覆アルミニウム材、1は黒色樹脂皮膜、3はアルミニウム合金板である。なお図2においては黒色樹脂皮膜、とアルミニウム合金板の間にある化成皮膜の表示を省略している。この筐体の内部に光源として60Wの電球を入れて通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体表面の温度を測定した。
得られた性能試験結果を表1に示す。
表1において重量部の数値は請求項に記載の定義による。
31〜32℃、△:33〜34℃、×:35℃以上、の基準で評価した。すなわち、得られた樹脂被覆アルミニウム材により底面が150mm×150mm、高さ100mmの筐体を作製した。作製した筐体を図2に示す。図中4は光源、5は樹脂被覆アルミニウム材、1は黒色樹脂皮膜、3はアルミニウム合金板である。なお図2においては黒色樹脂皮膜、とアルミニウム合金板の間にある化成皮膜の表示を省略している。この筐体の内部に光源として60Wの電球を入れて通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体表面の温度を測定した。
得られた性能試験結果を表1に示す。
表1において重量部の数値は請求項に記載の定義による。
表1に示される結果から明らかなように、発明例No.1〜14は潤滑性、曲げ加工性、放熱性のいずれも良好である。
一方、比較例であるNo.15〜No.25及び従来例であるNo.26、27は、潤滑性、曲げ加工性、放熱性のいずれかが劣り、電子機器用放熱性樹脂被覆アルミニウム材としては不適当である。すなわち、No.15は、黒色樹脂皮膜の膜厚が薄く、赤外線放射性の高いカーボンブラックの数が充分でなく、放熱性が劣る。No.16は、黒色樹脂皮膜の膜厚が厚く、皮膜の可とう性が低下し曲げ加工性が劣る。No.17は、架橋剤であるメラミン樹脂の添加量が少なく塗膜の架橋が不十分となり曲げ加工性が劣る。No.18は、架橋剤であるメラミン樹脂の添加量が多く、架橋が進み過ぎ塗膜が硬くなり曲げ加工性が劣る。No.19は、赤外線放射性の高いカーボンブラックの添加量が少なく、放熱性が劣る。No.20は、ナイロン系微粒子の添加量が少なく潤滑性が劣る。No.21は、ナイロン系微粒子の添加量が多く、曲げ加工時塗膜の亀裂の起点となり曲げ加工性が劣る。No.22は、ベース樹脂がエポキシ系樹脂のため赤外線吸収性が劣り、その結果放熱性が劣る。No.23は、ベース樹脂がアクリル系樹脂のため赤外線吸収性が劣り、その結果放熱性が劣る。No.24は、黒色顔料が赤外線放射性の劣る鉄マンガン系金属酸化物のため、放熱性が劣る。No.25は、無機系微粒子であるシリカを用い表面粗さを調整しているため潤滑性、曲げ加工性が劣る。No.26は、陽極酸化皮膜が非常に硬いため曲げ加工性が劣り、また皮膜自身に潤滑性がないため、その結果潤滑性が劣る。No.27は、皮膜に有機樹脂系微粒子が添加されていないため、潤滑性が劣り、また表面粗さが小さく、さらに膜厚が薄めでメラミン樹脂添加量も少なめなので、放熱性が劣る。
一方、比較例であるNo.15〜No.25及び従来例であるNo.26、27は、潤滑性、曲げ加工性、放熱性のいずれかが劣り、電子機器用放熱性樹脂被覆アルミニウム材としては不適当である。すなわち、No.15は、黒色樹脂皮膜の膜厚が薄く、赤外線放射性の高いカーボンブラックの数が充分でなく、放熱性が劣る。No.16は、黒色樹脂皮膜の膜厚が厚く、皮膜の可とう性が低下し曲げ加工性が劣る。No.17は、架橋剤であるメラミン樹脂の添加量が少なく塗膜の架橋が不十分となり曲げ加工性が劣る。No.18は、架橋剤であるメラミン樹脂の添加量が多く、架橋が進み過ぎ塗膜が硬くなり曲げ加工性が劣る。No.19は、赤外線放射性の高いカーボンブラックの添加量が少なく、放熱性が劣る。No.20は、ナイロン系微粒子の添加量が少なく潤滑性が劣る。No.21は、ナイロン系微粒子の添加量が多く、曲げ加工時塗膜の亀裂の起点となり曲げ加工性が劣る。No.22は、ベース樹脂がエポキシ系樹脂のため赤外線吸収性が劣り、その結果放熱性が劣る。No.23は、ベース樹脂がアクリル系樹脂のため赤外線吸収性が劣り、その結果放熱性が劣る。No.24は、黒色顔料が赤外線放射性の劣る鉄マンガン系金属酸化物のため、放熱性が劣る。No.25は、無機系微粒子であるシリカを用い表面粗さを調整しているため潤滑性、曲げ加工性が劣る。No.26は、陽極酸化皮膜が非常に硬いため曲げ加工性が劣り、また皮膜自身に潤滑性がないため、その結果潤滑性が劣る。No.27は、皮膜に有機樹脂系微粒子が添加されていないため、潤滑性が劣り、また表面粗さが小さく、さらに膜厚が薄めでメラミン樹脂添加量も少なめなので、放熱性が劣る。
1 黒色樹脂皮膜
2 化成皮膜
3 アルミニウム合金板
4 光源
5 黒色樹脂被覆アルミニウム材
2 化成皮膜
3 アルミニウム合金板
4 光源
5 黒色樹脂被覆アルミニウム材
Claims (2)
- 両面に化成皮膜を有するアルミニウム板の少なくとも一方の面の化成皮膜上に高分子ポリエステル系樹脂と高分子ポリエステル系樹脂100質量部に対して10〜30質量部のメラミン系樹脂、さらに高分子ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の合計100質量部に対して2〜10質量部のカーボンブラックと5〜30質量部の有機樹脂系微粒子を含み、皮膜厚が5〜40μmの黒色樹脂皮膜を少なくとも最外層に施したことを特徴とする加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材。
- 前記黒色樹脂皮膜の表面粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項1記載の加工性と放熱性に優れた樹脂被覆アルミニウム材。
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