JP2004017606A - 耐熱性に優れた塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【構成】この塗装金属板は、ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂の1種又は2種以上を主成分とし、耐熱樹脂粒及び顔料が分散している耐熱樹脂塗膜が下地金属板の表面に形成されており、耐熱樹脂塗膜のガラス転移温度Tgが50℃以上,顔料の総配合割合が30質量%以下,明度(L値)が30以下となるように濃色着色顔料の配合割合が20質量%以下に規制されている。濃色着色顔料には、粒径0.01〜3μmのカーボンブラック,黒鉛,黒鉄,アニリンブラック,シアニンブルー,ファストスカイブルー,シアニングリーンや、黒色系,茶色系,青色系又は緑色系複合酸化物顔料等が使用される。
【選択図】 図3
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子レンジ,オーブンレンジ,ガステーブル等の調理機器、ファンヒーター,ストーブ等の暖房機器等に使用され、加熱による光沢保持率の低下が少ない耐熱性塗装鋼板に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
調理機器,暖房機器等に使用されている耐熱プレコート鋼板では、ポリエーテルサルホン(PES)や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂をPESに添加した塗料から成膜された耐熱塗膜が鋼板表面に設けられている。耐熱塗膜は、250℃以上の高温域でも優れた耐熱性を有するが、300℃以上の高温焼付けを必要とする。高温焼付けは、連続塗装ラインのラインスピードを遅くせざるを得ず、生産性を低下させる原因である。生産性の低下は、塗料単価が高いことと相俟って耐熱塗装鋼板のコストを常用の樹脂塗料を用いた塗装鋼板に比較して大幅に上昇させる。
【0003】
調理機器,暖房機器等にあっても、常に250℃以上の耐熱性が必要とされるものではない。たとえば、ヒータ等の加熱部に直接曝されない部材では、使用形態にもよるが200℃程度の耐熱性で十分な場合もあり、PES,PES+PTFE等の耐熱塗料に代えて安価な塗料の使用可能性を検討する余地がある。しかし、ポリエステル樹脂に代表される従来の塗料組成物から成膜された塗膜は、150℃を超える高温雰囲気に曝されると光沢低下や変色が生じやすい。加熱された塗膜の耐磨耗性が低下し、疵付きや摩耗に起因して下地が露出することも問題である。加熱による塗膜の変質を考慮すると、ポリエステル樹脂に代表される従来の塗料組成物を耐熱用途に使用し難く、200℃で問題にならない部材用にも耐熱温度250℃の高価な塗料を使用せざるを得ない。
【0004】
本発明者等は、安価な塗料組成物の使用を前提とし、塗膜の性状及び添加物が耐熱性に及ぼす影響を種々調査・検討した。その結果、塗膜のガラス転移温度Tgを50℃以上に調整した塗料組成物に比較的粒径の大きな耐熱粒子を分散させると、塗膜の耐熱性が向上することを提案した(特願2001−375869号)。耐熱粒子としては、塗料の焼付け温度で軟化しない耐熱性を呈するポリエーテルサルホン(PES),ポリイミド(PI),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP),4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等がある。
【0005】
ガラス転移温度Tgの規制及び耐熱粒子の分散によって、ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂等を塗料組成物のベースに使用することが可能となる。その結果、200℃程度の耐熱性が要求される部材に適した塗装金属板を安価に提供できる。
先願で提案した塗装金属板の物性を更に改良するため、200℃程度の高温雰囲気に長時間保持した塗装金属板を観察したところ、黄変が生じた耐熱樹脂塗膜が散見された。黄変した耐熱樹脂塗膜では、光沢度も低下していた。黄変のメカニズムに種々の検討を加えた結果、耐熱樹脂塗膜に配合している顔料に原因があることを解明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、耐熱樹脂塗膜の黄変に及ぼす顔料の影響をベースに案出されたものであり、耐熱樹脂塗膜に分散させる顔料の総配合割合及び比較的粒径の大きな着色顔料の配合割合を規制することによって耐熱樹脂塗膜の黄変や光沢度低下を抑制し、加熱後にも良好な光沢度,色調が維持される塗装金属板を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の塗装金属板は、その目的を達成するため、ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂の1種又は2種以上を主成分とし、耐熱樹脂粒及び顔料が分散している耐熱樹脂塗膜が下地金属板の表面に形成されており、耐熱樹脂塗膜のガラス転移温度Tgが50℃以上,顔料の総配合割合が30質量%以下(好ましくは、20質量%以下),明度(L値)が30以下となるように濃色着色顔料の配合割合が20質量%以下(好ましくは、10質量%以下)に規制されていることを特徴とする。濃色着色顔料には、粒径0.01〜3μm(好ましくは、0.1〜0.5μm)のカーボンブラック,黒鉛,黒鉄,アニリンブラック,シアニンブルー,ファストスカイブルー,シアニングリーン,黒色系,茶色系又は緑色系の複合酸化物顔料から選ばれた1種又は2種以上が使用される。
【0008】
【作用】
ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂等の樹脂ベースに耐熱樹脂粒を配合した塗料組成物から成膜された塗膜は、先願で紹介しているように200℃程度の耐熱性を呈する。塗料組成物には、下地金属板の色調を隠蔽し耐食性を改善し、更にニーズに合った色調を付与するために体質顔料,着色顔料,防錆顔料等が配合される。各種顔料は、塗膜のネットワークを不連続化(分断)させる。なかでも、体質顔料,防錆顔料に比較して粒径が大きく、配合量も多い着色顔料は、ネットワークの不連続化に大きな影響を及ぼす。
ネットワークの不連続化は、顔料が分散している塗膜を高温雰囲気に曝すことにより更に進行する。本発明者等は、高温保持による不連続化の進行を次のように推察した。
【0009】
樹脂塗膜は、有機高分子が互いに連なったネットワーク1を形成し、ネットワーク1の間に顔料粒子2が分散している(図1)。ネットワーク1の末端は顔料粒子2で切れているが、未加熱の塗膜では全体としてネットワーク1が連続しているとも言え、結果として必要とする塗膜強度が発現する。しかし、塗膜が加熱されると、有機高分子と顔料粒子2との熱膨張が異なることから熱応力が発生する。熱応力は、顔料粒子2に比較して強度の小さな有機高分子に集中し、ネットワーク1を破断させる。
分断されたネットワーク3は、塗膜に入射した光を乱反射させ、塗膜の光沢度を低下させる。また、入射光の散乱によって黄色が強調され、或いはネットワーク1の分断個所等で熱反応によってC=C,C=O等の二重結合が形成され、紫〜青色光の吸収が促進されるため、塗膜の黄変が観察される。ネットワーク1の分断は、塗膜強度を低下させ、塗膜がチョーキング的に剥離しやすくなる原因でもある。
【0010】
ネットワーク1が顔料粒子2で分断されることを前提にすると、顔料の配合割合を低減することによって塗膜の黄変が抑えられ、加熱後にも良好な光沢度が維持されることが予想される。実際、後述の実施例でも説明しているように、顔料の総配合割合及び着色顔料の配合割合を規制することにより、黄変及び光沢度低が防止された耐熱樹脂塗膜が得られている。
顔料の配合割合を低減した塗膜では、ネットワーク1を分断する顔料粒子2が少ないため、有機高分子や大きなネットワーク1を構築する。大きなネットワーク1は、軟質の有機高分子で形成されているため、ネットワーク1,顔料粒子2間の熱膨張差に起因する熱応力をネットワーク1の弾性的な変形として吸収し、ネットワーク1の破断に至らない。その結果、加熱後においても黄変がなく、良好な光沢度が維持される。因みに、多数の顔料粒子2が分散している塗膜ではネットワーク1が小さいため、弾性的な変形で熱応力を吸収する前にネットワーク1自体が破断する。
【0011】
顔料の配合量を単純に低減しただけでは、ネットワーク1の分断による塗膜性状の劣化を防止できるものの、塗膜に要求される色調,耐食性等が不足しがちになる。ネットワーク1の分断に及ぼす着色顔料,防錆顔料,体質顔料等の影響度を考慮し、少量でも色調発現に有効な濃色着色顔料を使用し、顔料の総配合量を30質量%(好ましくは、20質量%)以下,着色顔料の配合量を20質量%(好ましくは、10質量%)以下に規制するとき、必要な色調が付与され、200℃程度の耐熱性をもつ塗装金属板が得られる。
着色顔料は、平均粒径が3μmにも達する比較的大きな粒子であり、塗料に多量配合されるため、ネットワーク1の分断に大きな影響を及ぼす。ネットワーク1の分断を抑制する上では着色顔料の配合量を低減するだけで良いが、単純な配合量低減では塗膜に必要な色調を付与できない。ネットワーク1の分断抑制及び色調付与を両立させるため、黒,青,茶,緑等の濃い色調の濃色着色顔料を主として使用すると、少量配合でも30以下の明度(L値)が達成される。ニーズに合った色調を塗膜に付与する上で、他の着色顔料も必要に応じて配合できる。
【0012】
防錆顔料,体質顔料は、着色顔料に比較し小径の粒子で配合量も少ないため、ネットワーク1の分断に及ぼす影響は着色顔料より小さい。しかし、防錆顔料,体質顔料を過剰に添加すると、ネットワーク1の分断の起点となる顔料粒子2が塗膜中に多数分散する結果、加熱された塗膜においてネットワーク1の分断が進行しやすくなる。この点、着色顔料,防錆顔料,体質顔料等の顔料総配合割合を30質量%(好ましくは、20質量%)以下に規制することによって、着色顔料以外の顔料によるネットワーク1の分断が実質的に抑制される。
【0013】
【実施の形態】
塗装原板には、普通鋼,ステンレス鋼,各種めっき鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板等が使用される。塗装原板に脱脂・酸洗,クロメート処理,リン酸塩処理,クロムフリー処理等の前処理が施される。塗装前処理した塗装原板4に、必要に応じてプライマ塗膜5を介し耐熱樹脂塗膜6が形成される(図2)。
プライマ塗膜5用の塗料は、ポリエステル,エポキシ変性ポリエステル,エポキシ等の樹脂をベースとし、防錆顔料,体質顔料,着色顔料等を適宜配合することにより調製される。
【0014】
耐熱樹脂塗膜6用の塗料組成物は、PES等の耐熱樹脂に比べて安価なポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂の1種又は2種以上を主成分にしており、焼付け温度も200〜250℃程度の比較的低温である。
耐熱樹脂塗膜の耐熱性を向上させるため、樹脂(モノマー)の種類,分子量,硬化剤添加量等によってガラス転移温度Tgを50℃以上に設定する。ガラス転移温度Tgは、分子量が低く硬化剤添加量が少ないほど高く、分子量が同じ場合ポリエステル→エポキシ変性ポリエステル→アクリル又はエポキシ→アクリルシリコーンの順で高くなる傾向にある。塗料組成物に配合される硬化剤は特に制約されるものではないが、塗膜の耐汚染性を改善する上ではメラミン樹脂硬化剤,ウレタン樹脂(イソシアネート)硬化剤等が好ましい。
【0015】
ガラス転移温度Tgを50℃以上に調整することにより、200℃に加熱された耐熱樹脂塗膜に生じがちな樹脂の軟化,加熱劣化,塗膜の摩耗が抑えられる。これに対し、ガラス転移温度Tgが50℃未満の塗膜では、加熱状態にあるマトリックス樹脂が著しく軟化し、摩耗環境においては耐熱粒子が塗膜から脱落し易くなる。低いガラス転移温度Tgは、加熱された塗膜に変色や光沢度低下を引き起こす原因でもある。
ガラス転移温度Tgが50℃以上の塗料組成物でも、加熱による樹脂の劣化が避けられない。樹脂単味から成膜された塗膜や粒径の小さな顔料を配合した塗膜では、加熱の影響を受けやすい樹脂マトリックスで塗膜表面が実質的に構成されており、樹脂の劣化は塗膜の変色,耐磨耗性,光沢度低下等の塗膜性状の劣化となって現れる。200℃程度の高温雰囲気における樹脂の劣化は、比較的粒径の大きな耐熱樹脂粒を耐熱樹脂塗膜に分散させることにより抑制できる。
【0016】
耐熱樹脂塗膜6に分散させた耐熱樹脂粒7は、一部が塗膜面から突出し、膜面における樹脂マトリックスの占有面積を低減する(図2)。しかも、耐熱樹脂粒7は、無機顔料と異なり樹脂マトリックスに対する親和性が高いため、耐熱樹脂塗膜6から脱落しがたく、樹脂ネットワーク1を分断する作用も小さい。膜面から突出した耐熱樹脂粒7は、膜面を摩耗から保護することにも有効である。塗膜性状の改善効果は、耐熱樹脂塗膜6の膜厚tに対し平均粒径dがd=(0.6〜1.7)×tの範囲にある耐熱樹脂粒7を20〜60質量%の割合で分散させるとき顕著になる。耐熱樹脂粒7の分散によって、耐熱樹脂塗膜6の耐汚染性も向上する。
【0017】
耐熱樹脂粒7は、塗料の焼付け温度でも軟化しない耐熱性を呈する限り樹脂種に制約を受けるものではない。具体的には、ポリエーテルサルホン(PES),ポリイミド(PI),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),四フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP),四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等がある。
【0018】
必要とする色調を耐熱樹脂塗膜6に付与するため着色顔料を塗料組成物に配合するが、少量でも所定の色調を発現する平均粒径0.01〜3μm(好ましくは、0.1〜0.5μm)の濃色着色顔料を使用し、塗料組成物に対する濃色着色顔料の配合割合を20質量%(好ましくは、10質量%)以下に設定する。
濃色着色顔料としては、たとえばカーボンブラック,黒鉛,黒鉄,アニリンブラック,シアニンブルー,ファストスカイブルー,シアニングリーンや、Cu−Cr,Cu−Cr−Mn,Cu−Fe−Mn,Co−Fe−Cr等の黒色系複合酸化物顔料,Fe−Zn,Fe−Zn−Cr等の茶色系複合酸化物顔料,Co−Al,Co−Al−Cr等の青色系複合酸化物顔料,Ti−Co−Ni−Zn,Co−Al−Cr等の緑色系複合酸化物顔料が挙げられる。
濃色着色顔料の種類,配合割合は、形成される耐熱樹脂塗膜6の明度L値が30以下となるように選定される。明度がL≦30になると、耐熱樹脂塗膜6に若干の色調変動があっても目立たない。30以下の明度L値は、淡色の着色顔料では多量配合を必要とするが、濃色着色顔料では少量の配合によっても達成できる。なかでも、10質量%以下の少量配合で必要とする色調が得られるので、顔料に起因した樹脂ネットワークの劣化も少なくなる。
【0019】
体質顔料,防錆顔料等を塗料組成物に併用添加する場合もあるが、これらの顔料は、着色顔料に比較して小径であり、樹脂ネットワーク1を分断する作用が小さい。しかし、過剰添加するとネットワーク分断の起点が多くなるので、濃色着色顔料,体質顔料,メタリック顔料,防錆顔料等の総配合割合を30質量%(好ましくは、20質量%以下)に規制する。特に、粒径の大きなメタリック顔料を配合する場合には、樹脂ネットワーク1に及ぼす悪影響を考慮し、可能な限り配合量を低減することが好ましい。
【0020】
濃色着色顔料の配合割合及び顔料の総配合割合が規制された塗料組成物は、ロールコート,スプレーコート,カーテンフロー,浸漬法等によって塗装原板4上のプライマ塗膜5に塗布され、或いは塗装前処理した塗装原板4に直接塗布される。次いで、180〜250℃×20〜60秒の加熱・焼付けにより耐熱樹脂塗膜6となる。耐熱樹脂塗膜6は、必要な塗膜強度,耐熱性,耐磨耗性等を確保するため、好ましくは5〜20μmの膜厚で形成される。
【0021】
【実施例】
板厚0.5mm,片面当り付着量70g/m2の55%Al−Znめっき鋼板を塗装原板に使用した。塗装原板にクロム付着量20mg/m2の塗布型クロメート処理を施した後、エポキシ樹脂塗料の塗布・焼付けで膜厚5μmのプライマ塗膜5を形成した。
プライマ塗膜5に耐熱塗料を塗布し、220℃×40秒の加熱・焼付けにより膜厚13μmの耐熱樹脂塗膜6を形成した。耐熱塗料は、表1に示すように数平均分子量8000のポリエステル樹脂をベース樹脂とし、平均粒径0.2μmのCuO−Fe2O3−MnO(黒色系複合酸化物顔料),平均粒径0.1μmのTiO2(体質顔料),防錆顔料を種々の割合で配合することにより調製した。
【0022】
【0023】
得られた各耐熱塗装金属板の明度L値を測定した結果を表1に併せ示す。
各耐熱塗装鋼板から試験片を切り出し、200℃に100時間加熱した後で膜面の光沢度,色調を測定し、濃色着色顔料の配合割合が光沢度保持率,加熱前後の色差ΔEに及ぼす影響を調査した。光沢度保持率は、加熱前後の膜面についてJIS K5600に準じ60度鏡面光沢を測定し、加熱前の光沢測定値に対する加熱後の光沢測定値の比率として算出した。色差ΔEは、JIS K5600に準じて加熱前後の膜面を測色し、ΔE=[(加熱後のL値−加熱前のL値)2+(加熱後のa値−加熱前のa値)2+(加熱後のb値−加熱前のb値)2]1/2として算出した。
【0024】
図3の調査結果にみられるように、濃色着色顔料の配合割合が少なくなるほど光沢度保持率が良くなっていた。色差ΔEも、濃色着色顔料の配合割合が少なくなるに応じて小さくなったが、濃色着色顔料を配合しない塗膜では極端に色差ΔEが大きくなった。
濃色着色顔料を除く他の顔料の配合割合を変えた耐熱樹脂塗膜6では、顔料の総配合割合を30質量%以下に維持する限り、他の顔料の増減が光沢度保持率,色差ΔEに及ぼす影響はみられなかった。しかし、顔料の総配合割合が30質量%を超えると、耐熱樹脂塗膜6の光沢度,色調が加熱後に劣化した。
【0025】
数平均分子量5000のエポキシ樹脂,数平均分子量9000のエポキシ変性ポリエステル樹脂,数平均分子量12000のアクリル樹脂,数平均分子量12000のアクリルシリコン樹脂はベース樹脂に使用した耐熱塗料を用いて耐熱樹脂塗膜6を形成した場合でも、濃色着色顔料の配合割合を20質量%以下,顔料の総配合割合を30質量%以下に規制することによって加熱後においても光沢度が保持され、色調の変化が抑えられた。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したように、ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコン樹脂等をベースにする耐熱樹脂塗膜に分散している顔料に関し、濃色着色顔料の配合割合を20質量%(好ましくは、10質量%)以下,顔料の総配合割合を30質量%(好ましくは、20質量%)以下に規制することにより、使用時の加熱で樹脂ネットワークが分断される起点が少なくなり、光沢度保持率が高く色調変動の少ない耐熱塗装金属板が得られる。しかも、耐熱樹脂塗膜に耐熱樹脂粒が分散しているので、200℃程度の耐熱性が付与される。このようにして,電子レンジ,オーブンレンジ,ガステーブル等の調理機器、ファンヒーター,ストーブ等の暖房機器等に適した安価な塗装金属板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂ネットワークの分断に顔料粒子が起点となることを説明する図
【図2】本発明に従った塗装金属板の表層断面図
【図3】濃色着色顔料の配合割合が光沢度保持率,色差ΔEに及ぼす影響を表したグラフ
【符号の説明】
1:樹脂ネットワーク 2:顔料粒子 3:分断されたネットワーク 4:塗装原板 5:プライマ塗膜 6:耐熱樹脂塗膜 7:耐熱樹脂粒
Claims (2)
- ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ変性ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂の1種又は2種以上を主成分とし、耐熱樹脂粒及び顔料が分散している耐熱樹脂塗膜が下地金属板の表面に形成されており、耐熱樹脂塗膜のガラス転移温度Tgが50℃以上,顔料の総配合割合が30質量%以下,明度(L値)が30以下となるように濃色着色顔料の配合割合が20質量%以下に規制されていることを特徴とする耐熱性に優れた塗装金属板。
- 粒径0.01〜3μmのカーボンブラック,黒鉛,黒鉄,アニリンブラック,シアニンブルー,ファストスカイブルー,シアニングリーン,黒色系,茶色系,青色系又は緑色系の複合酸化物顔料から選ばれた1種又は2種以上を濃色着色顔料に使用した請求項1記載の塗装金属板。
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