JP2014015037A - 薄膜黒色塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の薄膜黒色塗装金属板は、金属板の少なくとも片面に、水系樹脂で表面が被覆された表面処理カーボンブラックを含有する水系黒色樹脂組成物から形成される膜厚0.4〜1.0μmの第一黒色層が積層され、該第一黒色層の上に、溶剤系黒色塗料から形成される膜厚1.4〜9μmの第二黒色層が積層されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明で用いる金属板としては、プレコートメタルの原板として用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、非めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)等の鋼板の他、アルミニウム板およびチタン板等を挙げることができる。これらの中でも、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、アルミニウム板およびチタン板が好ましい。
化成皮膜層(下地層)としては、有機皮膜層、無機皮膜層、りん酸塩皮膜層、クロメート皮膜層等が挙げられ、これらの中でも有機皮膜層、無機皮膜層、りん酸塩皮膜層が好ましい。有機皮膜層としては、例えばポリエチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物、共重合体、変性樹脂等を適宜選択して使用すればよい。該有機皮膜中にはさらに、耐食性向上を目的としてシリカゲル、コロイダルシリカ等を添加したり、塗膜付与後の加工性向上を目的として各種ワックス成分を微量添加したり、あるいは塗膜密着性向上を目的としてシランカップリング剤を添加してもよい。無機皮膜層としては、例えば珪酸塩皮膜層等が挙げられ、該珪酸塩皮膜にはリン酸やフッ化物を添加してもよい。
前記金属板の少なくとも片面に積層される第一黒色層は、水系黒色樹脂組成物から形成される。
<表面処理カーボンブラック>
水系黒色樹脂組成物は、黒色顔料として水系樹脂で表面が被覆された表面処理カーボンブラックを含有するものである。表面が水系樹脂で被覆されていない通常のカーボンブラックでは、後述するバインダー樹脂と混合したときにpHの変化やバインダー樹脂との相溶性などによって二次凝集を起こし易く、その結果、着色力が低くなるが、水系樹脂で表面が被覆された表面処理カーボンブラックであれば、バインダー樹脂と混合された際に優れた分散性を発揮して、二次凝集し難いため、水系黒色樹脂組成物で形成される第一黒色層は後述するように薄い膜厚であっても十分に高い黒色度を発揮する。
なお、本明細書において、「水系樹脂で表面が被覆された表面処理カーボンブラック」とは、水系樹脂でカーボンブラックの表面全体が被覆された態様のみならず、その一部が被覆された態様をも含むものである。
水系黒色樹脂組成物は、通常、該組成物で形成される第一黒色層中に表面処理カーボンブラックを固定するためのバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂としては、表面処理カーボンブラックを固定できるものであれば、その種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂等が、組成物中の表面処理カーボンブラックの二次凝集を効果的に抑制することができ、優れた液状安定性を得ることができる点で好ましい。特に好ましくはポリエチレン樹脂である。バインダー樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記炭酸ジルコニウムアンモニウムの市販品としては、日本軽金属(株)製の「ベイコート20」が好適に用いられる。
水系黒色樹脂組成物は、さらにコロイダルシリカを含有することが好ましい。これにより、表面処理カーボンブラックを第一黒色層に良好に固定でき、また得られる黒色金属板の耐食性や硬度を向上させることができる。このメカニズムの詳細は不明であるが、腐食環境下においてシリカが溶解、溶出して、pHの緩衝作用や不動態皮膜形成作用が生じることに起因すると推測される。さらに、コロイダルシリカを含有させると、水系黒色樹脂組成物の塗布・乾燥時のはじき防止などにも効果が認められる。
水系黒色樹脂組成物は、さらにシランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤を含有させると、第一黒色層と金属板との密着性を高めることができる。
シランカップリング剤としては、末端にグリシドキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
水系黒色樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに各種添加剤を含有させることもできる。例えば、薄型テレビなどの家電分野では、黒色金属板に複雑なプレス加工などが実施される場合が多く、黒色金属板への要求性能として加工性が求められる。そのような場合には、水系黒色樹脂組成物に水系のワックスを添加することにより、第一黒色層へ潤滑性を付与して加工性の向上を図ることができる。水系のワックスとしては、三井化学社製の「ケミパール(登録商標)W700」、「ケミパール(登録商標)W950」、「ケミパール(登録商標)W900」などのポリエチレン系ワックスが挙げられる。
第一黒色層の膜厚(乾燥膜厚)は、0.4μm以上(好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.6μm以上)であり、1.0μm以下(好ましくは0.98μm以下、より好ましくは0.9μm以下)である。第一黒色層の膜厚が0.4μm未満であると、第一黒色層、ひいては得られる黒色金属板の黒色度が不十分になり、暗茶色を呈することになる。一方、第一黒色層の膜厚が1.0μmを超えると、黒色度には優れるものの、黒色度のさらなる向上効果は得られにくくなる一方、塗装や乾燥にかかる時間が長くなり、製造コストが上がることになる。また第一黒色層の膜厚が厚すぎると、例えば薄型テレビなど家電分野で使用する際に要求される導電性を達成できない場合もある。
L*=1.3632L−3.5904
b*=1.5744b−0.0380
前記第一黒色層の上に積層される第二黒色層は、溶剤系黒色塗料を所定の乾燥膜厚になるよう塗布し、乾燥、焼付けすることにより形成することができる。かかる第二黒色層を有することにより、前記水系黒色樹脂組成物により形成される第一黒色層の膜厚が前記範囲のように薄く、その形成時に塗布ムラや製造ラインのゴミブツなどによる塗膜欠陥を生じてしまっても、黒色金属板は良好な外観を保つことができる。
特に、樹脂粒子の粒子径は、第二黒色層の膜厚をt(μm)としたときにt(μm)以上2t(μm)以下であることが好ましい。例えば第二層目の塗膜が15μm程度の厚さであると、塗料中の溶剤が揮発する際にウエット状態で層内に揮発に伴う渦対流が発生し、樹脂粒子が塗膜の表面に移動することにより凹凸の塗膜が形成されるが、本発明では後述のように第二黒色層の膜厚が薄いので、渦対流の発生は期待できない。第二黒色層の膜厚と樹脂粒子の粒子径が上記関係を満たせば、第二黒色層の膜厚が薄くても良好な凹凸を発現できることになる。
L*=1.3632L−3.5904
b*=1.5744b−0.0380
分光光度計(日本電色工業株式会社製「Spectro Color Meter SQ2000」)を用いて、供試材(第一黒色層のみを設けた金属板、もしくは、第一黒色層および第二黒色層を有する黒色金属板)のL値、b値を測定し、得られたL値、b値または該L値、b値を下記式に基づいて変換したL*値、b*値により黒色度を評価した。
L*=1.3632L−3.5904
b*=1.5744b−0.0380
本発明では、第一黒色層についてはL値が25以下を合格とし、第一黒色層および第二黒色層(黒色金属板)についてはL値が20以下(L*値が24以下)を合格とした。
供試材(第一黒色層のみを設けた金属板、もしくは、第一黒色層および第二黒色層を有する黒色金属板)について、JIS Z2371に基づいて塩水噴試験を実施して、白錆が5%発生するまでの時間(SST時間)を測定することにより耐食性を評価した。
本発明では、第一黒色層についてはSST時間が72時間以上を合格とし、第一黒色層および第二黒色層(黒色金属板)についてはSST時間が240時間以上を合格とした。
50mm×50mmの大きさにカットした供試材(黒色金属板)を、室温(20℃)で、表面(第二黒色層形成面)を外側にして万力で軽く折り曲げ、その曲げ部に同じ黒色金属板(供試材)を挟み限界まで曲げ、加工後の折り曲げ部におけるクラックの有無を、目視もしくは10倍のルーペで観察した。評価方法は、挟みこむ黒色金属板の枚数が0枚を0Tとし、1枚を1Tとして表面にクラックが発生したときの枚数よりも1枚多い枚数をクラック限界(例えば、1Tでクラックが発生した場合には、2Tがクラック限界)とした。
砂消しゴム6mm径を摺動試験装置にセットし、供試材(黒色金属板)の表面(第二黒色層形成側)に荷重16.5Nをかけながら、摺動距離約26mmを200往復させ、素地金属(下地処理金属板)の露出を目視により観察し、下記基準で評価した。
◎:素地金属の露出が全く認められない
○:素地金属の露出が極わずかに認められる
△:素地金属の露出部の長さが2mm以内である
×:素地金属の露出部の長さが2mm超である
供試材(黒色金属板)について、JIS K5400(1990)に基づいて、第二黒色層表面に鉛筆引っかき試験機で疵の発生しない鉛筆硬度を求めた。
供試材(第一黒色層のみを設けた金属板、もしくは、第一黒色層および第二黒色層を有する黒色金属板)を沸騰水に1時間浸漬した後、塗膜からのカーボンブラックの流出による外観変化を目視で観察し、下記基準で評価した。
◎:外観に変化無し
○:極わずかに変化あり
△:黒色度の低下あり(光沢低下)
×:色抜けによる外観むら発生
供試材(黒色金属板)の表面(第二黒色層形成側)について、目視による観察と手触りから下記基準で評価した。
◎:鮮明な黒色を呈するとともに、適度な凹凸感を有し手触りも良好である
△1:鮮明な黒色は呈しているものの、凹凸感が認められない
△2:鮮明な黒色は呈しているものの、凹凸が大きすぎて手触りが悪い
(下地処理金属板の作製)
まず、純水約952質量部に、酸性コロイダルシリカ(日産化学社製「スノーテックス(登録商標)O」;固形分20質量%)26.3質量部と重リン酸アルミニウム(米山化学社製;固形分50質量%)19.5質量部とを加え、これにポリアクリル酸(日本純薬社製「ジュリマー(登録商標)AC−10−LP」;固形分100質量%)0.075質量部を添加し、さらにシランカップリング剤(信越化学社製「KBM403」;固形分100質量%)1.13質量部を添加して、下地処理組成物溶液(固形分濃度1.7質量%)を調製した。
<水系黒色樹脂組成物の調製>
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた乳化設備を有するオートクレイブ(内容量1.0L)に、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製「プリマコール(登録商標)5990I」、アクリル酸由来の構成単位:20質量%、メルトインデックス:1300)200.0質量部、ポリマレイン酸水溶液(日本油脂社製「ノンポール(登録商標)PMA−50W」、重量平均分子量:約1100(ポリスチレン換算)、50質量%品)8.0質量部、トリエチルアミン35.5質量部、48%NaOH水溶液6.9質量部(1.5当量分)、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製「ハートールFA3」)3.5質量部、イオン交換水792.6質量部を加えて密封し、150℃、5気圧で3時間高速攪拌した後、30℃まで冷却した。次いで、シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(旧社名:GE東芝シリコーン)社製「TSL8350」;固形分100質量%)10.4質量部、ポリカルボジイミド(日清紡社製「SV−02」)31.2質量部、イオン交換水72.8質量部を添加し、10分間攪拌して、固形分20質量%の樹脂エマルションを得、これをバインダー樹脂前駆体とした。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、表1〜4に示す下地処理金属板の表面に、バーコート塗装装置にて、表1〜4に示す乾燥膜厚になるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、粒子径が約2〜12μmのアクリルビーズ(大日精化社製「ラブコロール」)を塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、表1〜4に示す乾燥膜厚になるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。第二黒色層の膜厚が1.42〜4.55μmのものは各実施例の薄膜黒色塗装金属板であり、第二黒色層が塗布されていない(膜厚0μm)のものは比較例1’の薄膜黒色塗装金属板である。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.2〜1.5倍であった。
なお得られた薄膜黒色塗装金属板のうち、第二黒色層の膜厚が0μmの比較例1’の黒色塗装金属板について目視で塗膜表面を観察したところ、塗布ムラやゴミブツなどの外観不良が認められた。しかし、第二黒色層を形成した実施例の黒色塗装金属板については、同様の観察で外観不良は認められなかった。
実施例1の第一黒色層の形成において、水系黒色樹脂組成物に代えて、溶剤系黒色プライマー(KCCコーポレーション社(韓国)製「ブラックプライマーFP1817」)を用い、表1〜4に示す乾燥膜厚になるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、第一黒色金属層および第二黒色層を形成し、比較用の薄膜黒色塗装金属板を得た。
以上のようにして第一黒色層および第二黒色層の膜厚を変えて得た比較用の薄膜黒色塗装金属板についてのL値、L*値、b値、b*値を、表1〜4にそれぞれ示す。表1、3は、金属板として下地処理金属板EGを用いた場合であり、表2、4は、金属板として下地処理金属板GIを用いた場合である。また薄膜黒色塗装金属板における第二黒色層の膜厚と該黒色金属板のL値またはb値との関係を図1〜4に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルションおよびオキサゾリン基含有重合体)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約4.0μmになるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.5倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、第一黒色層のみを形成した段階のL値及びb値と、第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板のL値及びb値と、加工性とを表5に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルションおよびオキサゾリン基含有重合体)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。ただしオキサゾリン基含有重合体については一部表に示すものに変更した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約4.0μmになるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.5倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、第一黒色層のみを形成した段階の耐食性及び耐水性と、第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板の黒色度(L値)、耐食性及び加工性を表6に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
オキサゾリン基含有重合体を炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属(株)製「ベイコート20」;固形分20質量%)に変更した以外は、実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルション)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC6080ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約4.0μmになるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.5倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、第一黒色層のみを形成した段階の耐食性及び耐水性と、第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板の黒色度(L値)、耐食性、加工性、耐砂消しゴム磨耗性および耐疵付き性を表7に示す。
(第一黒色層の形成)
実施例4−4で得た水系黒色樹脂組成物(炭酸ジルコニウムアンモニウムの固形分の含有率が5質量%)を用い、これを実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC6080ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、表8に示す乾燥膜厚となるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の0.6〜3倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板(第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板)について、黒色度(L値)、耐食性、加工性、耐砂消しゴム磨耗性および耐疵付き性を表8に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルションおよびオキサゾリン基含有重合体)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約4.0μmになるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.5倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、第一黒色層のみを形成した段階の耐食性及び耐水性と、第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板の黒色度(L値)、耐食性、加工性及び耐疵付き性を表9に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルションおよびオキサゾリン基含有重合体)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、粒子径が約6μmのアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約4.0μmになるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。なお、添加するアクリルビーズの粒子径は、第二黒色層の膜厚の1.5倍であった。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、第一黒色層のみを形成した段階の耐食性及び耐水性と、第一黒色層の上に第二黒色層を形成した黒色金属板の耐食性、加工性及び耐疵付き性を表10に示す。
(第一黒色層の形成)
<水系黒色樹脂組成物の調製>
実施例1と同じ原料(表面処理カーボンブラック、バインダー樹脂(樹脂エマルションおよびオキサゾリン基含有重合体)、コロイダルシリカ、シランカップリング剤)を用い、各使用量を次の様に変更したこと以外は実施例1と同様にして、水系黒色樹脂組成物を調製した。
上記で得た水系黒色樹脂組成物を、実施例1で得た下地処理金属板EGの表面に、バーコート塗装装置にて、乾燥膜厚が約0.7μmになるように塗布し、その後、160℃で60秒間乾燥して、第一黒色金属層を形成した。
溶剤系黒色塗料(日本ファインコーティングス社製「FLC495ブラック」)に、表11に示す粒子径(約2〜14μmの範囲)のアクリルビーズを塗料の乾燥固形分100質量部に対して2質量部添加し、シンナーを加えて粘度をフォードカップNo.4で50秒程度に調整した後、上記第一黒色層の表面にバーコート塗装装置にて、表11の乾燥膜厚(約2.0〜7.0μmの範囲)になるように塗布し、その後、230℃で60秒間乾燥、焼き付けして、第二黒色層を形成し、薄膜黒色塗装金属板を得た。
得られた各薄膜黒色塗装金属板について、凹凸外観の評価を表11に示す。
Claims (8)
- 金属板の少なくとも片面に、水系樹脂で表面が被覆された表面処理カーボンブラックを含有する水系黒色樹脂組成物から形成される膜厚0.4〜1.0μmの第一黒色層が積層され、該第一黒色層の上に、溶剤系黒色塗料から形成される膜厚1.4〜9μmの第二黒色層が積層されていることを特徴とする薄膜黒色塗装金属板。
- 前記水系黒色樹脂組成物の全固形分100質量%中、前記表面処理カーボンブラック(固形分)の含有率が10〜40質量%である請求項1に記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記第一黒色層表面の黒色度(L値)が25以下であり、かつb値が3以下である請求項1または2に記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記溶剤系黒色塗料が樹脂粒子を含有し、該樹脂粒子の粒子径は14μm以下であり、かつ前記第二黒色層の膜厚をt(μm)としたときにt(μm)以上2t(μm)以下である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記溶剤系黒色塗料が粒子径14μm以下の樹脂粒子を含有し、前記第一黒色層の上に積層された第二黒色層表面の黒色度(L値)が20以下であり、かつb値が1.5以下である請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記水系黒色樹脂組成物がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が、オレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体と、α,β−不飽和カルボン酸重合体と、オキサゾリン基含有重合体および炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる架橋剤とから構成され、前記架橋剤の含有量がオレフィン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体とα,β−不飽和カルボン酸重合体との合計100質量部に対して2〜19質量部であり、前記バインダー樹脂の含有率は水系黒色樹脂組成物の全固形分100質量%中、30〜85質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記水系黒色樹脂組成物がさらにコロイダルシリカを含有し、該コロイダルシリカの含有率が前記水系黒色樹脂組成物中の全固形分100質量%中、5〜30質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜黒色塗装金属板。
- 前記水系黒色樹脂組成物が、前記表面処理カーボンブラック、前記バインダー樹脂および前記コロイダルシリカの合計固形分100質量部に対して5〜25質量部のシランカップリング剤をも含有する請求項7に記載の薄膜黒色塗装金属板。
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