JP2007217584A - 塗料組成物の製造方法及びそれから形成される樹脂被覆膜を備えた樹脂被覆金属板 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで光反射性、加工性の良好な樹脂被覆膜用の塗料組成物、ならびに、この樹脂被覆を備えた樹脂被覆金属板を提供する。
【解決手段】樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を、湿式ビーズミルを用いて分散した塗料組成物の製造方法、ならびに、金属板と、金属板の両面に設けた化成皮膜と、化成皮膜の少なくとも一方の上に設けた樹脂被覆膜であって、前記塗料組成物から形成され、膜厚が30〜150μmである樹脂被覆膜と、からなる樹脂被覆金属板。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を、湿式ビーズミルを用いて分散した塗料組成物の製造方法、ならびに、金属板と、金属板の両面に設けた化成皮膜と、化成皮膜の少なくとも一方の上に設けた樹脂被覆膜であって、前記塗料組成物から形成され、膜厚が30〜150μmである樹脂被覆膜と、からなる樹脂被覆金属板。
【選択図】図1
Description
本発明は、パソコンやテレビ等の液晶ディスプレイにおいてバックライト用反射板等に用いられる、光反射性に優れた樹脂被覆膜用の塗料組成物の製造方法、ならびに、このような樹脂被覆膜を備えた光反射性、加工性、放熱性及び導電性に優れ、かつ、廉価な樹脂被覆金属板に関する。
従来、光反射板としては、接着剤等を用いて白色のフィルムを金属板に貼り付けたフィルム被覆金属板(例えば、特許文献1参照)や、白色の塗装を施した白色塗装金属板(例えば、特許文献2、3参照)が提案されている。
特開平10−177805号公報
特開2002−172735号公報
特開2003−73624号公報
また、近年、液晶表示装置の表示輝度を高くするために、光源出力が高いバックライトが用いられるようになった。このようなバックライトでは発熱量が増大し、表示装置、特にバックライトユニット室内の温度が上昇するとともに部分的に高温になる等の温度のバラツキも大きくなった。その結果、表示装置の性能において、色のアンバランスやコントラストの不均一といった問題が発生した。この問題に対して、特許文献4では、一方の面を白色フィルム又は白色塗膜からなる反射面とし、他方の面をカーボンブラック、酸化チタン等の放熱性添加剤を含有した熱硬化性樹脂皮膜からなる放熱面、或いは、前記放熱性添加剤に加えニッケルを含有した熱硬化性樹脂皮膜からなる放熱導電面とした放熱性の高い反射材が提案されている。
特開2004−160979号公報
しかしながら、特許文献1のフィルム被覆金属板では、成形加工時において曲げ部等でシワが発生したりフィルムが剥離したりする問題や、フィルム厚みが厚く、さらにフィルム貼付け工程が必要なため製造コストが増大するという問題がある。
特許文献2の白色塗装金属板では、酸化チタン含有量と白色塗装皮膜の厚みを規定することにより、反射性を向上させ比較的低コストで塗装板を製造できるとしている。しかしながら、反射率が近年の高輝度用反射板として十分満足できるものではなく、更に酸化チタンの含有量が多く加工性に劣るという問題がある。また、特許文献3の白色塗装金属板では、白色顔料に加えて蛍光顔料を添加することにより反射率を向上させている。しかしながら、このような白色塗装金属板では、初期の反射率は向上するものの蛍光顔料の影響でランプなどの紫外線照射により経時的に塗膜が黄変して反射率が低下してしまうので、反射持続性に劣り実使用上の問題が残った。
また、特許文献4の片面白色皮膜、片面放熱又は放熱導電塗膜の樹脂被覆金属板では、塗膜として形成される白色皮膜は反射率が十分ではなく、白色フィルムとして形成される白色皮膜はコストが高く成形加工性も劣るという問題がある。さらに、放熱導電塗膜では十分な導電性が得られないという問題もある。
本発明は、製造コストが廉価で、成形加工性に優れ、反射性と放熱性又は放熱導電性に優れた樹脂被覆膜用の塗料組成物、ならびに、このような樹脂被覆膜を備えた樹脂被覆金属板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは白色塗装金属板に関し、塗料の組成ではなく従来ほとんど検討されていない塗料の製造方法に着目して鋭意研究した。その結果、金属板上に化成皮膜を設け、反射面側に形成した光反射性の樹脂被覆膜中における白色顔料の分散方法に関し、分散機の種類及びその仕様を特定することにより反射性を向上し得ることを見出した。また、反射面とは反対の面に放熱性樹脂被覆膜又は放熱導電性樹脂被覆膜を設けることにより反射性を低下させずに放熱性や導電性を向上し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は請求項1において、樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を、湿式ビーズミルを用いて分散する塗料組成物の製造方法とした。また、請求項2では、請求項1における湿式ビーズミルのアジテーターディスク及びシンダー、ならびに、媒体メディアをジルコニア製とした。
本発明は請求項3において、金属板と、当該金属板の両面に設けた化成皮膜と、前記化成皮膜の少なくとも一方の上に設けた樹脂被覆膜であって、請求項1又は2に記載の塗料組成物から形成され、膜厚が30〜150μmである樹脂被覆膜と、からなる樹脂被覆金属板とした。
本発明の樹脂被覆金属板は、良好な反射性と放熱性及び/又は導電性を有し、廉価で加工性に優れ、特に液晶ディスプレイのバックライト用反射板として好適に使用される。更に本発明に係る塗料組成物は、このような樹脂被覆金属板に設けられる樹脂被覆膜用の塗料組成物として好適に用いられる。
A.塗料組成物
本発明に係る塗料組成物の製造方法は、ビーズミルを用いて、樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を分散するものであり、特に、ビーズミルに備えられるベッセル内のシリンダー、アジテーターディスク、ならびに、分散メディアをジルコニア製としたものである。分散によって得られる塗料組成物は、樹脂、白色顔料及び溶剤からなる。
本発明に係る塗料組成物の製造方法は、ビーズミルを用いて、樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を分散するものであり、特に、ビーズミルに備えられるベッセル内のシリンダー、アジテーターディスク、ならびに、分散メディアをジルコニア製としたものである。分散によって得られる塗料組成物は、樹脂、白色顔料及び溶剤からなる。
A―1.白色顔料
白色顔料としては、二酸化チタン、硫化亜鉛、亜鉛華及び炭酸カルシウム等が用いられるが、二酸化チタンを必須とする。硫化亜鉛、亜鉛華及び炭酸カルシウム等の白色顔料は、二酸化チタンと比較すると屈折率が低く可視光線の反射性も劣る。したがって、白色顔料としては二酸化チタンが好ましいが、二酸化チタンを主成分とし硫化亜鉛、亜鉛華、炭酸カルシウム等を副成分とするものでもよい。
白色顔料としては、二酸化チタン、硫化亜鉛、亜鉛華及び炭酸カルシウム等が用いられるが、二酸化チタンを必須とする。硫化亜鉛、亜鉛華及び炭酸カルシウム等の白色顔料は、二酸化チタンと比較すると屈折率が低く可視光線の反射性も劣る。したがって、白色顔料としては二酸化チタンが好ましいが、二酸化チタンを主成分とし硫化亜鉛、亜鉛華、炭酸カルシウム等を副成分とするものでもよい。
白色顔料の平均一次粒子径は、0.1〜1.0μmである。0.1μm未満では粒子径が可視光線の波長よりも小さ過ぎるため可視光線が白色顔料粒子に反射される確率が低下し、その結果、光反射性が低下する。1.0μmを超えると、樹脂に対する白色顔料の含有量が低い場合には、白色顔料粒子の絶対量が不足し光反射性が低下する。更に、1.0μmを超えると、粒子径が大きいため樹脂被覆膜にクラックが入り易くなり曲げ加工性が低下する。
白色顔料は、樹脂100重量部に対して全体として70〜150重量部分散される。白色顔料は一般に可視光線を反射する性質を有する。樹脂100重量部に対する白色顔料の分散量が70重量部未満では可視光反射性が低下し、分散量が150重量部を超えると加工性が低下する。
A―2.樹脂
塗料組成物に用いる樹脂としては、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種が用いられる。各樹脂には一長一短があり、耐光性、加工性、コストの点より適宜選定される。なお、熱硬化タイプの樹脂の場合は樹脂を架橋硬化させる硬化剤を含めたものを‘樹脂’と称す。
塗料組成物に用いる樹脂としては、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種が用いられる。各樹脂には一長一短があり、耐光性、加工性、コストの点より適宜選定される。なお、熱硬化タイプの樹脂の場合は樹脂を架橋硬化させる硬化剤を含めたものを‘樹脂’と称す。
A−3.溶剤
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン,芳香族炭化水素、イソホロン、メチルアルコール、エチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が用いられる。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン,芳香族炭化水素、イソホロン、メチルアルコール、エチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が用いられる。
B.ビーズミル
白色顔料の樹脂への分散には、湿式の粉砕・分散機であるビーズミルが好適に用いられる。図1に示すように、ビーズミル10は、円筒状の容器(ベッセル)11内に分散メディア13と不図示のミルベース(樹脂、白色顔料、溶剤)を収容し、回転軸14に支持された複数枚のアジテーターディスク15を高速回転させる。図において、16は外側シリンダー、17は内側シリンダー、18は両シリンダーによって形成される調温水溝、19は被分散物の投入口、20は媒体メディアの投入口、21は媒体メディアの流出口である。このような高速回転によって分散メディア13による衝撃力が高くなるため、二酸化チタンを一次粒子径まで小径化しつつ樹脂中に均一に分散できる。更に、短時間での分散が可能なため、発熱による樹脂の黄変などの変質もほとんど発生しない。このように、ビーズミルによって分散して得られる塗料組成物は優れた反射性を有する。
白色顔料の樹脂への分散には、湿式の粉砕・分散機であるビーズミルが好適に用いられる。図1に示すように、ビーズミル10は、円筒状の容器(ベッセル)11内に分散メディア13と不図示のミルベース(樹脂、白色顔料、溶剤)を収容し、回転軸14に支持された複数枚のアジテーターディスク15を高速回転させる。図において、16は外側シリンダー、17は内側シリンダー、18は両シリンダーによって形成される調温水溝、19は被分散物の投入口、20は媒体メディアの投入口、21は媒体メディアの流出口である。このような高速回転によって分散メディア13による衝撃力が高くなるため、二酸化チタンを一次粒子径まで小径化しつつ樹脂中に均一に分散できる。更に、短時間での分散が可能なため、発熱による樹脂の黄変などの変質もほとんど発生しない。このように、ビーズミルによって分散して得られる塗料組成物は優れた反射性を有する。
また、用いる分散メディアは直径0.05〜2mmのものが好適に用いられる。直径が0.05mm未満では分散に長時間を要し、直径が2mmでは白色顔料が一次粒子径まで小径化しつつ樹脂中に均一に分散できない。
ビーズミルの分散メディア及びベッセル内のシリンダーとアジテーターディスクの材質については、ジルコン、ジルコニアなどのセラミックス製とすることにより、反射性を更に向上させることができる。ビーズミルの分散メディアは、通常、ガラス製、ジルコン製、ジルコニア製、スチール製等であり、ベッセル内のシリンダー、アジテーターディスクは、通常、ステンレス製、特殊焼入鋼製等である。これらの素材がセラミックス以外の場合には、耐久性が劣るため磨耗粉等が塗料組成物に混入する。磨耗粉等の微量不純物の混入により、塗料組成物によって形成される樹脂被覆膜の反射性が低下し、要求される高度な反射性を満たすことができなくなる。
湿式の粉砕・分散機としては、ビーズミルの他にボールミル、アトライター、サンドミルなどが挙げられるが、白色顔料の樹脂への良好な分散状態を得ることは以下のように困難である。
ボールミルでは、直径10〜30mmのスチール球やアルミナ球を分散メディアとしてこれとミルベースを円筒状のドラムに収容しつつドラムが低回転速度で回転する。回転中における分散メディアの落下衝撃力によって、顔料と樹脂とが練り合わされるものである。落下による分散メディアの衝撃力は小さいために分散効率が低く、二酸化チタンが一次粒子径まで分散せずに凝集してしまう。その結果、見掛けの粒子径が大きくなり分散に長時間を要するので、樹脂が黄変するなど変質してしまう。このように、ボールミルによって分散して得られる塗料組成物は反射性が劣る。
ボールミルでは、直径10〜30mmのスチール球やアルミナ球を分散メディアとしてこれとミルベースを円筒状のドラムに収容しつつドラムが低回転速度で回転する。回転中における分散メディアの落下衝撃力によって、顔料と樹脂とが練り合わされるものである。落下による分散メディアの衝撃力は小さいために分散効率が低く、二酸化チタンが一次粒子径まで分散せずに凝集してしまう。その結果、見掛けの粒子径が大きくなり分散に長時間を要するので、樹脂が黄変するなど変質してしまう。このように、ボールミルによって分散して得られる塗料組成物は反射性が劣る。
アトライターでは、3〜15mmのフリント石をアームで低回転させ、フリント石の衝撃力でミルベースを練り合わせる。このようなフリント石の衝撃力は小さいので分散効率が低く分散に長時間を要するので、樹脂に黄変などの変資が発生する。このように、アトライターによって分散して得られる塗料組成物は反射性が劣る。
サンドミルでは、円筒状のベッセルに直径1〜5mmのガラス球等の分散メディアとミルベースを収容しつつディスクを高速回転させる。高速回転で分散するため分散効率は比較的良好であるが、ビーズミルの分散効率には及ばない。
サンドミルでは、円筒状のベッセルに直径1〜5mmのガラス球等の分散メディアとミルベースを収容しつつディスクを高速回転させる。高速回転で分散するため分散効率は比較的良好であるが、ビーズミルの分散効率には及ばない。
C.樹脂被覆金属板
図2に示すように、樹脂被覆金属板は、金属板3の両面に化成皮膜2、2を形成し、一方の化成皮膜2上に樹脂被覆膜1を形成したものである。
図2に示すように、樹脂被覆金属板は、金属板3の両面に化成皮膜2、2を形成し、一方の化成皮膜2上に樹脂被覆膜1を形成したものである。
C−1.金属板
基材の金属板3は特に限定されるものでなく、例えばアルミニウム板;ステンレス鋼板;低炭素鋼板、高炭素鋼板、高張力鋼板等に使用される低合金鋼からなる鋼板;あるいは、これらの鋼板を母材としてその表面にめっきを施しためっき鋼板;などが用いられる。特に、照明装置や反射部材を形成、保持するに足る強度を有し、絞り加工、曲げ加工時において十分な成形加工性を有し、内部で発生した熱をより速やかに外部に発散させることができ、熱伝導性に優れる1000系、3000系、5000系のアルミニウム板が好ましい。
基材の金属板3は特に限定されるものでなく、例えばアルミニウム板;ステンレス鋼板;低炭素鋼板、高炭素鋼板、高張力鋼板等に使用される低合金鋼からなる鋼板;あるいは、これらの鋼板を母材としてその表面にめっきを施しためっき鋼板;などが用いられる。特に、照明装置や反射部材を形成、保持するに足る強度を有し、絞り加工、曲げ加工時において十分な成形加工性を有し、内部で発生した熱をより速やかに外部に発散させることができ、熱伝導性に優れる1000系、3000系、5000系のアルミニウム板が好ましい。
C−2.化成皮膜
金属板3の両面に形成する化成皮膜2、2には塗布型と反応型があり、特に制限されるものではないが、金属板3と樹脂被覆膜1の両方に対する密着性が良好である反応型化成皮膜が好適に用いられる。反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムなどの処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート処理による化成皮膜が、コスト及び汎用性の点から好ましい。
なお、化成皮膜を形成する前に、金属板3の表面の汚れを除去したり表面性状を調整するために、金属板3を脱脂処理するのが望ましい。
金属板3の両面に形成する化成皮膜2、2には塗布型と反応型があり、特に制限されるものではないが、金属板3と樹脂被覆膜1の両方に対する密着性が良好である反応型化成皮膜が好適に用いられる。反応型化成皮膜とは、具体的にはリン酸クロメート、クロム酸クロメート、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウムなどの処理液で形成される皮膜である。特にリン酸クロメート処理による化成皮膜が、コスト及び汎用性の点から好ましい。
なお、化成皮膜を形成する前に、金属板3の表面の汚れを除去したり表面性状を調整するために、金属板3を脱脂処理するのが望ましい。
C−3.樹脂被覆膜
図1に示すように、金属板3の両面に形成した化成皮膜2、2の一方の上に樹脂被覆膜1が形成される。これに代わって、両方の化成皮膜2、2上に樹脂被覆膜1、1を形成するようにしてもよい。樹脂被覆膜1は、上記塗料組成物をロールコーターによって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、ロールコーターに代えてエアスプレーやバーコーター等によって塗料を塗布してもよい。なお、塗料組成物の粘度を塗布し易いものとすべく、溶剤を更に加えたり、溶剤の一部を除去してもよい。
図1に示すように、金属板3の両面に形成した化成皮膜2、2の一方の上に樹脂被覆膜1が形成される。これに代わって、両方の化成皮膜2、2上に樹脂被覆膜1、1を形成するようにしてもよい。樹脂被覆膜1は、上記塗料組成物をロールコーターによって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、ロールコーターに代えてエアスプレーやバーコーター等によって塗料を塗布してもよい。なお、塗料組成物の粘度を塗布し易いものとすべく、溶剤を更に加えたり、溶剤の一部を除去してもよい。
乾燥状態での樹脂被覆膜の厚さは、30〜150μmである。30μm未満では樹脂被覆膜中に存在して可視光線を反射する白色顔料の絶対量が不足し、その結果光反射性が低下するからである。150μmを超えると樹脂被覆膜が厚過ぎて加工性が低下し、更に熱伝導性も低下するので断熱効果が生じて放熱面への熱の伝達が良好に行われず、その結果、放熱性が低下する。
D.放熱性樹脂被覆膜を備えた樹脂被覆金属板
樹脂被覆金属板に放熱性を付与する場合には、図3に示すように、樹脂被覆膜1を上に形成したのとは別の化成皮膜2の上に、放熱性を有する放熱性樹脂被覆膜9が形成される。放熱性樹脂被覆膜9は、樹脂と放熱性顔料とを含有し、0.3〜30μmの膜厚を有する。
樹脂被覆金属板に放熱性を付与する場合には、図3に示すように、樹脂被覆膜1を上に形成したのとは別の化成皮膜2の上に、放熱性を有する放熱性樹脂被覆膜9が形成される。放熱性樹脂被覆膜9は、樹脂と放熱性顔料とを含有し、0.3〜30μmの膜厚を有する。
D−1.樹脂
放熱性樹脂被覆膜に用いる樹脂は、特に制限されるものではないが、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種である。これら樹脂を用いることにより、放熱性能が向上する。特に、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いると高度の加工性が得られる。また、フッ素系、ポリエステル系樹脂は赤外線吸収能が高く、放熱性が更に向上する。
放熱性樹脂被覆膜に用いる樹脂は、特に制限されるものではないが、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種である。これら樹脂を用いることにより、放熱性能が向上する。特に、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いると高度の加工性が得られる。また、フッ素系、ポリエステル系樹脂は赤外線吸収能が高く、放熱性が更に向上する。
D−2.放熱性顔料
放熱性顔料は、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタンから選択される少なくとも1種である。特に、黒色系顔料であるカーボンブラック、グラファイトを用いると放熱性が向上する。放熱性顔料は、樹脂100重量部に対して総量で1〜60重量部含有するのが好ましい。1重量部未満では十分な放熱効果が得られず、60重量部を超えても放熱効果が飽和し不経済だからである。
放熱性顔料は、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタンから選択される少なくとも1種である。特に、黒色系顔料であるカーボンブラック、グラファイトを用いると放熱性が向上する。放熱性顔料は、樹脂100重量部に対して総量で1〜60重量部含有するのが好ましい。1重量部未満では十分な放熱効果が得られず、60重量部を超えても放熱効果が飽和し不経済だからである。
D−3.放熱性樹脂被覆膜の形成
放熱性樹脂被覆膜9は、上記樹脂と放熱性顔料とを適当な溶剤に溶解又は分散した塗料組成物をロールコーター等によって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、溶剤を用いないで粉体塗装し放熱性樹脂被覆膜9を形成してもよい。
放熱性樹脂被覆膜9は、上記樹脂と放熱性顔料とを適当な溶剤に溶解又は分散した塗料組成物をロールコーター等によって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、溶剤を用いないで粉体塗装し放熱性樹脂被覆膜9を形成してもよい。
D−4.放熱性樹脂被覆膜の厚さ
乾燥状態での放熱性樹脂被覆膜の厚さは0.3〜30μmである。0.3μm未満では、赤外線を放射する性質を有する顔料及び樹脂成分の量が不足し、十分な放熱効果が望めない。一方、30μmを超えると放熱性樹脂被覆膜全体の熱伝導性が低下し、その結果、放熱性が低下する。
乾燥状態での放熱性樹脂被覆膜の厚さは0.3〜30μmである。0.3μm未満では、赤外線を放射する性質を有する顔料及び樹脂成分の量が不足し、十分な放熱効果が望めない。一方、30μmを超えると放熱性樹脂被覆膜全体の熱伝導性が低下し、その結果、放熱性が低下する。
E.放熱導電性樹脂被覆膜を備えた樹脂被覆金属板
樹脂被覆金属板に放熱性と導電性を付与する場合には、図3に示すように、樹脂被覆膜1を上に形成したのとは別の化成皮膜2の上に、放熱性と導電性を有する放熱導電性樹脂被覆膜9が形成される。放熱導電性樹脂被覆膜9は、樹脂、放熱性顔料及び導電性顔料とを含有し、0.3〜5μmの膜厚を有する。
樹脂被覆金属板に放熱性と導電性を付与する場合には、図3に示すように、樹脂被覆膜1を上に形成したのとは別の化成皮膜2の上に、放熱性と導電性を有する放熱導電性樹脂被覆膜9が形成される。放熱導電性樹脂被覆膜9は、樹脂、放熱性顔料及び導電性顔料とを含有し、0.3〜5μmの膜厚を有する。
E−1.樹脂
放熱導電性樹脂被覆膜に用いる樹脂は、上記放熱性樹脂被覆膜に用いられるのと同じフッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種である。高度の加工性を得るには、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましく、赤外線吸収能による放熱性の更なる向上のためには、フッ素系、ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。
放熱導電性樹脂被覆膜に用いる樹脂は、上記放熱性樹脂被覆膜に用いられるのと同じフッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種である。高度の加工性を得るには、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましく、赤外線吸収能による放熱性の更なる向上のためには、フッ素系、ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。
E−2.放熱顔料と導電性顔料
放熱顔料には少なくともグラファイトが含まれる。また、導電性顔料には少なくともニッケルフィラーが含有される。ニッケルフィラーとしては、ニッケル粉末が好適に用いられる。放熱顔料と導電性顔料との総量は、樹脂100重量部に対して30〜200重量部であるのが好ましい。30重量部未満では十分な放熱効果と導電効果が得られず、200重量部を超えても放熱効果と導電効果が飽和し不経済だからである。
また、放熱性顔料のグラファイトは平均粒径0.1〜20μmのものが好ましい。0.1μm未満では、グラファイト粉末の分散性が低下し塗料化が困難となる場合がある。また、20μmを超えると加工性が低下する場合がある。
放熱顔料には少なくともグラファイトが含まれる。また、導電性顔料には少なくともニッケルフィラーが含有される。ニッケルフィラーとしては、ニッケル粉末が好適に用いられる。放熱顔料と導電性顔料との総量は、樹脂100重量部に対して30〜200重量部であるのが好ましい。30重量部未満では十分な放熱効果と導電効果が得られず、200重量部を超えても放熱効果と導電効果が飽和し不経済だからである。
また、放熱性顔料のグラファイトは平均粒径0.1〜20μmのものが好ましい。0.1μm未満では、グラファイト粉末の分散性が低下し塗料化が困難となる場合がある。また、20μmを超えると加工性が低下する場合がある。
E−3.放熱導電性樹脂被覆膜の形成
放熱導電性樹脂被覆膜9は、上記樹脂、放熱性顔料及び導電性顔料を適当な溶剤に溶解又は分散した塗料をロールコーター等によって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、溶剤を用いないで粉体塗装し放熱性樹脂被覆膜9を形成してもよい。
放熱導電性樹脂被覆膜9は、上記樹脂、放熱性顔料及び導電性顔料を適当な溶剤に溶解又は分散した塗料をロールコーター等によって化成皮膜2上に塗布し、所定温度のオーブン中で所定時間処理して焼付けした後に乾燥して形成される。なお、溶剤を用いないで粉体塗装し放熱性樹脂被覆膜9を形成してもよい。
E−4.放熱導電性樹脂被覆膜の厚さ
乾燥状態での放熱導電性樹脂被覆膜の厚さは、0.3〜5μmである。0.3μm未満では、赤外線を放射する性質を有する顔料及び樹脂成分の量が不足し、十分な放熱効果が望めない。また、5μmを超えると絶縁性の樹脂成分に導電性顔料が被覆されてしまい導電性が低下する。
乾燥状態での放熱導電性樹脂被覆膜の厚さは、0.3〜5μmである。0.3μm未満では、赤外線を放射する性質を有する顔料及び樹脂成分の量が不足し、十分な放熱効果が望めない。また、5μmを超えると絶縁性の樹脂成分に導電性顔料が被覆されてしまい導電性が低下する。
樹脂被覆膜、放熱性樹脂被覆膜、放熱導電性樹脂被覆膜のための塗料組成物に潤滑性付与剤を添加することにより、これら被覆膜の成形性を向上させることができる。潤滑性付与剤としては、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス等が用いられる。潤滑性付与剤の添加量としては、樹脂成分100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。30重量部を超えると加工時において被覆膜のカスの発生や被覆膜割れ等の加工性低下が起こり易くなる。
塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために、塗料に一般的に添加されるレベリング剤、顔料分散剤、ワキ防止剤等を、被覆膜の塗料組成物に適宜添加してもよい。
塗装性及びプレコート材としての一般性能を確保するために、塗料に一般的に添加されるレベリング剤、顔料分散剤、ワキ防止剤等を、被覆膜の塗料組成物に適宜添加してもよい。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1〜10及び比較例1〜10
アクリル系樹脂100重量部に対して、所定の平均一次粒子径を有する二酸化チタンの所定量を分散させて塗料組成物を調製した。分散機には、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミルを用いた。ビーズミルには、図1に示すものを用い、分散メディアには直径0.3mmのジルコニア製ビーズを、溶剤には芳香族炭化水素、イソホロンの混合溶剤を用い、アジテーターディスクの周速は15m/秒とした。一方、ボールミル、アトライター、サンドミルでは、標準操作条件によって分散を行なった。このようにして樹脂被覆膜用の塗料組成物を調製した。
実施例1〜10及び比較例1〜10
アクリル系樹脂100重量部に対して、所定の平均一次粒子径を有する二酸化チタンの所定量を分散させて塗料組成物を調製した。分散機には、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミルを用いた。ビーズミルには、図1に示すものを用い、分散メディアには直径0.3mmのジルコニア製ビーズを、溶剤には芳香族炭化水素、イソホロンの混合溶剤を用い、アジテーターディスクの周速は15m/秒とした。一方、ボールミル、アトライター、サンドミルでは、標準操作条件によって分散を行なった。このようにして樹脂被覆膜用の塗料組成物を調製した。
金属板としてアルミニウム板(材質:JIS A5052、板厚:0.5mm)を用い、アルミニウム板の両面を、市販のアルミニウム用脱脂剤にて脱脂処理を行い、水洗後、市販のリン酸クロメート処理液によって両面を化成処理した。次いで、一方の化成処理面に、上記のようにして調製した塗料組成物をロールコーターで塗装し、PMT(最高到達板温度)200℃にて焼付した。このようにして、図2に示す樹脂被覆金属板を作成した。塗料組成物の調整条件及び樹脂被覆膜の厚さを表1に示す。
なお、比較例10は、樹脂被覆膜が下塗り層と上塗り層の二層からなるものである。下塗り層の塗料組成物は、実施例1と同じアクリル系樹脂100質量部に対して平均一次粒子径0.3μmの二酸化チタン250重量部を含有するもので、上塗り層の塗料組成物は、同アクリル系樹脂100質量部に対して平均一次粒子径0.3μmの二酸化チタン150重量部を含有するものである。塗料組成物の溶剤はともに、実施例1と同じ芳香族炭化水素、イソホロンの混合溶剤を用いた。上塗り層の膜厚は20μmであり、下塗り層の膜厚は80μmであった。二酸化チタンの樹脂への分散には、ボールミルを用いた。
このようにして作製した樹脂被覆金属板について下記の試験方法によって性能評価試験を行なった。
(光反射性)
光反射性は、波長550nmでの全反射率で評価した。すなわち、スガ試験機社製多光源分光測色計MSC−IS−2DH(積分球使用、拡散光照明8°方向受光)を用いて、波長550nmでの全反射率(正反射成分を含む)を測定し、BaSO4白板を標準板とした際の全反射率に対する百分率で評価した。なお、作成した樹脂被覆金属板は液晶反射板として用いるため、全反射率が90%以上を使用可能レベルにあるとして合格とし、90%未満は不合格とした。
(光反射性)
光反射性は、波長550nmでの全反射率で評価した。すなわち、スガ試験機社製多光源分光測色計MSC−IS−2DH(積分球使用、拡散光照明8°方向受光)を用いて、波長550nmでの全反射率(正反射成分を含む)を測定し、BaSO4白板を標準板とした際の全反射率に対する百分率で評価した。なお、作成した樹脂被覆金属板は液晶反射板として用いるため、全反射率が90%以上を使用可能レベルにあるとして合格とし、90%未満は不合格とした。
(曲げ加工性)
曲げ加工性は評価面を外側にして180度5T曲げを行い、樹脂被覆膜の割れを目視で観察した。割れがない場合を○で表わし合格とし、小さな割れあるが使用可能である場合を△で表わし合格とし、大きな割れあり使用不可能である場合を×で表わして不合格とした。
曲げ加工性は評価面を外側にして180度5T曲げを行い、樹脂被覆膜の割れを目視で観察した。割れがない場合を○で表わし合格とし、小さな割れあるが使用可能である場合を△で表わし合格とし、大きな割れあり使用不可能である場合を×で表わして不合格とした。
(剥離性)
剥離性は、評価面を外側にして180度5T曲げを行い、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の樹脂被覆膜の剥れ具合を観察した。剥離がない場合を○で表わし合格とし、剥離があった場合を×で表わし不合格とした。
以上、全反射率、曲げ加工性、剥離性の性能評価の試験結果も表1に示す。
剥離性は、評価面を外側にして180度5T曲げを行い、曲げ部にセロハンテープを密着させ、テープを急激に剥離した際の樹脂被覆膜の剥れ具合を観察した。剥離がない場合を○で表わし合格とし、剥離があった場合を×で表わし不合格とした。
以上、全反射率、曲げ加工性、剥離性の性能評価の試験結果も表1に示す。
表1に示される結果から明らかなように、実施例1〜10は光反射性(全反射率)、曲げ加工性及び剥離性のいずれも良好であった。
一方、比較例1〜10では、光反射性、曲げ加工性、剥離性のいずれかが劣り、反射板用の樹脂被覆金属板としては不適当であった。すなわち、比較例1は、膜厚が薄いため光反射性が劣った。比較例2は、膜厚が厚いため曲げ加工性が劣った。比較例3は、白色顔料の平均一次粒子径が小さいため光反射性が劣った。比較例4は、白色顔料の平均一次粒子径が大きいため光反射性と曲げ加工性が劣った。比較例5は、白色顔料の含有量が少ないため光反射性が劣った。比較例6は、白色顔料の含有量が多いため曲げ加工性が劣った。比較例7は、分散機の種類がボールミルのため分散効率が悪く光反射性が劣った。比較例8は、分散機の種類がアトライターのため分散効率が悪く光反射性が劣った。比較例9は、分散機の種類がサンドミルのため分散効率が悪く光反射性が劣った。比較例10は、白色顔料の含有量が多いため(下塗り層と上塗り層の全体として、樹脂100重量部に対して224重量部の白色顔料が含有される)、曲げ加工性と剥離性が劣った。
実施例11〜15
実施例11では、図3に示す樹脂被覆金属板を作成した。すなわち、実施例2で作成した樹脂被覆金属板において樹脂被覆膜が形成されていない方の化成皮膜2上に、放熱性樹脂被覆膜9を形成した。放熱性樹脂被覆膜9は、ポリエステル系樹脂とグラファイトを溶剤である芳香族炭化水素、シクロヘキサノンの混合溶剤に分散した放熱性塗料組成物を、乾燥後の塗膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗装し、焼付けした。塗料組成物中における、グラファイトの含有量は、樹脂固形分100重量部に対して5重量部であった。この樹脂被覆膜の赤外線放射率は86%であった。
実施例11では、図3に示す樹脂被覆金属板を作成した。すなわち、実施例2で作成した樹脂被覆金属板において樹脂被覆膜が形成されていない方の化成皮膜2上に、放熱性樹脂被覆膜9を形成した。放熱性樹脂被覆膜9は、ポリエステル系樹脂とグラファイトを溶剤である芳香族炭化水素、シクロヘキサノンの混合溶剤に分散した放熱性塗料組成物を、乾燥後の塗膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗装し、焼付けした。塗料組成物中における、グラファイトの含有量は、樹脂固形分100重量部に対して5重量部であった。この樹脂被覆膜の赤外線放射率は86%であった。
実施例12では、実施例2で作成した樹脂被覆金属板の樹脂被覆膜が形成されていない方の化成皮膜上に、放熱導電性樹脂被覆膜9を形成した(図3)。放熱導電性樹脂被覆膜9は、ポリエステル系樹脂、グラファイト及びニッケルを溶剤である芳香族炭化水素、シクロヘキサノンの混合溶剤に分散した放熱導電性塗料組成物を、乾燥後の塗膜厚が1μmになるようにバーコーターで塗装し、焼付けした。塗料組成物中における、グラファイトとニッケル粉末の含有量は、樹脂固形分100重量部に対してそれぞれ40重量部であった。
実施例13〜15では、金属板の基材3を銅板、SUS304板、電気亜鉛めっき鋼板にそれぞれ代えて、実施例12と同様にして、放熱導電性樹脂被覆膜9を備えた樹脂被覆金属板を作成した。
このようにして作成した樹脂被覆金属板について下記の試験方法によって性能評価試験を行なった。
(放熱性)
作成した樹脂被覆金属板を用いて底面150mm×150mmで高さ200mmの筐体を組み立てた。なお、筐体を液晶表示装置と同様の状態とするために筐体上面にはアクリル板を用いた。組み立てた筐体を図4に示す。図中4はガラス、5は液晶、6はアクリル拡散板、7は光源(陰極管)、8は樹脂被覆金属板、1は樹脂被覆膜、3は金属板、9は放熱性樹脂被覆膜又は放熱導電性樹脂皮膜である。
この筐体の内部に光源として60Wの電球を入れて通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体内の雰囲気温度を測定した。測定温度が29℃未満を○で表わし、29℃〜31℃を△で表わし、31℃を超える場合を×で表わした。○と△が使用可能レベルであり合格とし、×を不合格とした。
作成した樹脂被覆金属板を用いて底面150mm×150mmで高さ200mmの筐体を組み立てた。なお、筐体を液晶表示装置と同様の状態とするために筐体上面にはアクリル板を用いた。組み立てた筐体を図4に示す。図中4はガラス、5は液晶、6はアクリル拡散板、7は光源(陰極管)、8は樹脂被覆金属板、1は樹脂被覆膜、3は金属板、9は放熱性樹脂被覆膜又は放熱導電性樹脂皮膜である。
この筐体の内部に光源として60Wの電球を入れて通電し、発光・発熱させ、筐体内部の温度が定常状態となった時点における筐体内の雰囲気温度を測定した。測定温度が29℃未満を○で表わし、29℃〜31℃を△で表わし、31℃を超える場合を×で表わした。○と△が使用可能レベルであり合格とし、×を不合格とした。
(導電性)
導電性は、四端子法により、銀製のプローブ(直径5mm、先端2.5R)を荷重100gで樹脂被覆膜面に接触させた時の抵抗値を測定した。測定抵抗値が4Ω以下を◎で表わし、4Ωを超え7Ω以下を○で表わし、7Ωを超え10Ω以下を△で表わし、10Ωを超えるものを×で表わした。電気抵抗値が10Ωを超える場合、電子機器部品にしたときに、所望の電気特性(アース性やシールド性)が得られないため電気抵抗値10Ω以下を使用可能として、◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
導電性は、四端子法により、銀製のプローブ(直径5mm、先端2.5R)を荷重100gで樹脂被覆膜面に接触させた時の抵抗値を測定した。測定抵抗値が4Ω以下を◎で表わし、4Ωを超え7Ω以下を○で表わし、7Ωを超え10Ω以下を△で表わし、10Ωを超えるものを×で表わした。電気抵抗値が10Ωを超える場合、電子機器部品にしたときに、所望の電気特性(アース性やシールド性)が得られないため電気抵抗値10Ω以下を使用可能として、◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
上記性能評価試験の結果を表2に示す。
表2から、光反射性の樹脂被覆膜の反対面に放熱性樹脂皮膜を設けた実施例11は放熱性が良好であった。反対面に放熱導電性樹脂被覆膜を設けた実施例12〜15では、放熱性及び導電性が共に良好であった。なお、表2には示していないが、実施例11〜15での樹脂被覆膜の全反射率(光反射性)は実施例2と同じ96%であった。
1 樹脂被覆膜
2 化成皮膜
3 金属板
4 ガラス
5 液晶
6 アクリル拡散板
7 光源(陰極管)
8 樹脂被覆金属板
9 放熱性樹脂被覆膜又は放熱導電性樹脂被覆膜
10 ビーズミル
11 ベッセル
13 分散メディア
14 回転軸
15 アジテーターディスク
16 外側シリンダー
17 内側シリンダー
18 調温水溝
19 被分散物の投入口
20 媒体メディアの投入口
21 媒体メディアの流出口
2 化成皮膜
3 金属板
4 ガラス
5 液晶
6 アクリル拡散板
7 光源(陰極管)
8 樹脂被覆金属板
9 放熱性樹脂被覆膜又は放熱導電性樹脂被覆膜
10 ビーズミル
11 ベッセル
13 分散メディア
14 回転軸
15 アジテーターディスク
16 外側シリンダー
17 内側シリンダー
18 調温水溝
19 被分散物の投入口
20 媒体メディアの投入口
21 媒体メディアの流出口
Claims (3)
- 樹脂100重量部に、少なくとも二酸化チタンを含む平均一次粒子径0.1〜1μmの白色顔料70〜150重量部を、湿式ビーズミルを用いて分散したことを特徴とする塗料組成物の製造方法。
- 前記湿式ビーズミルのアジテーターディスク及びシリンダー、ならびに、分散メディアがジルコニア製である、請求項1に記載の塗料組成物の製造方法。
- 金属板と、
当該金属板の両面に設けた化成皮膜と、
前記化成皮膜の少なくとも一方の上に設けた樹脂被覆膜であって、請求項1又は2に記載の塗料組成物から形成され、膜厚が30〜150μmである樹脂被覆膜と、からなる樹脂被覆金属板。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010006994A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Ube Ind Ltd | 耐熱導電性白色塗料及び宇宙機用耐熱導電性白色塗料 |
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