JP2005298316A - 酸化チタン粒子、及び酸化チタン粒子の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チタンアルコキシドの加水分解生成物又はチタン金属塩の加水分解生成物及び有機アルカリ類を所定の溶媒中で混合し、反応溶液を作製する。次いで、前記反応溶液を密閉容器中で加熱し、放射状に伸びた複数の延在部を有するとともに、前記延在部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈する酸化チタン粒子を作製する。本発明の星型酸化チタン粒子は、塗料、樹脂組成物、プラスチックフィルム及びプラスチック板などに含有させることができ、これらの白色度を向上させることができる。
【選択図】なし
Description
放射状に伸びた複数の延在部を有するとともに、前記延在部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈することを特徴とする、酸化チタン粒子に関する。
チタンアルコキシドの加水分解生成物又はチタン金属塩の加水分解生成物及び有機アルカリ類を所定の溶媒中で混合し、反応溶液を作製する工程と、
前記反応溶液を密閉容器中で加熱する工程とを具え、
放射状に伸びた複数の延在部を有するとともに、前記延在部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈する酸化チタン粒子を作製することを特徴とする、酸化チタン粒子の作製方法に関する。
前述のようにして作製し、前述のような特性を有する本発明の前記酸化チタン粒子は、その外観形状さらには粒径に起因して、特に可視光から近赤外光の光散乱能に優れる。したがって、塗料として好適に使用することができる。
塗布後の加熱温度は、基材およびバインダーに合わせた温度を適宜選択することができる。
本発明の酸化チタン粒子は、樹脂中に練り込み等により直接含有、分散させることにより、光散乱性、反射性、光触媒性、紫外線遮蔽性に優れるとともに、特に白色性に優れた樹脂組成物を形成することができる。
本発明の酸化チタン粒子を用いて、白色反射フィルム及び光散乱フィルムなどのプラスチックフィルム、並びに光散乱板、及び白色反射板などのプラスチック板を形成することができる。
本発明の酸化チタン粒子は、その外観形状さらには粒径に起因して、前述したように、特に可視光から近赤外光の光散乱能に優れる。したがって、上述した塗料の他、紫外線防止用インキや写真感光体などにも有用である。これら用途に本発明の酸化チタン粒子を使用する場合には、前記酸化チタン粒子に対して、各種溶剤やバインダ、各種添加剤やフィラーを混合することができる。
[実施例1]
容量1Lのガラス容器に10℃に冷却した純水250mLを入れ、撹拌羽により300rpmで撹拌しながら、高純度化学社製チタンテトライソプロポキシド71gを滴下ロートを用いて滴々投入した。1時間の撹拌後に前記チタンテトライソプロポキシドは加水分解され白色水性懸濁液となった。この白色水性懸濁液をヌッチェと東洋濾紙社製濾紙No2で吸引濾過を行い、続いて純水500mLで洗浄を行い、白色ケーキ状物質を得た。この白色ケーキ状物質、及び東京化成社製テトラメチルアンモニウムヒドロキシド26%水溶液1.4gを純水中に添加し、総量で200gとなるようにした。得られた反応溶液はスラリー状となり、pHは10.23であった。反応溶液中のチタン原子濃度は1.25mol/Lであった。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを加えることなく反応溶液を作製した以外は、実施例と同様にして予備加熱処理及び加熱処理を実施して、酸化チタン粒子を作製した。なお、本比較例における前記反応溶液のpHは8.2であった。反応溶液中のチタン原子濃度は1.25mol/Lであった。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代えて和光純薬社製硝酸1.42を5gを加えた以外は、実施例と同様にして予備加熱処理及び加熱処理を実施して、酸化チタン粒子を作製した。なお、本比較例における前記反応溶液のpHは2.0であった。反応溶液中のチタン原子濃度は1.25mol/Lであった。
上記実施例及び比較例1、2で作製した酸化チタン粒子を分析するために、電子顕微鏡で粒子形状を測定し、粉末X線回折で結晶相の同定を行った。評価結果を表1に示す。実施例においては、星形形状であり、一次粒径が200nm〜350nmであって、各延在部がアナタース単相を呈する双晶の酸化チタン粒子が得られていることが判明した。また、比較例1においては、一次粒径数十nm程度のアナタース単相からなる粒状の酸化チタン粒子が得られていることが判明した。さらに、比較例2においては、一次粒径数十nmのアナタース相及びルチル相が混在した酸化チタン粒子が得られていることが判明した。
上記実施例及び比較例1の酸化チタン粒子、並びに一次粒径20nmの凝集体で平均凝集粒径300nmのアナターゼ単相からなる粒状の酸化チタン粒子(和光純薬社製:比較例3)との光散乱性を調べた。最初に、αテルピネオール(関東化学社製)70gにエチルセルロース45(関東化学社製)5gをホモジナイザーで溶解させビヒクルを作製した。次いで、前記ビヒクルに実施例及び比較例1で得た酸化チタン粒子の25g、及び和光純薬社酸化チタン粒子の25gをホモジナイザーで攪拌しながら添加した。次いで、このようにして得た酸化チタンペーストを3本ロールミルで混練し印刷ペーストとした。
[実施例2]
イソプロピルアルコール、t−ブタノール、アセトン混合溶液に1次粒子径が200nm〜300nmの本発明のアナターゼ型星形酸化チタン粒子(概六角形)を20重量%、ポリオキシエチレン系分散材Triton-Xを5重量%、アクリル樹脂を25重量%混合し、1mm径のガラスビーズを混合液の体積と同じだけ添加し、高速ビーズミルを用いて2500rpm、3時間の分散を行い、塗料を得た。この塗料を用い、予め50℃に加熱してあるアクリル基板にスピンコート法を用いて塗布し、70℃で乾燥することで、厚さ3μmの白色膜付アクリル板を得た。
本発明のアナターゼ型星形酸化チタン粒子の代わりに、平均一次粒子径が200nmのWako社製の市販アナターゼ粒子を用いた以外は、実施例2と同様に塗料を作製し、膜付のアクリル板を得た。
上述のようにして得た膜付きアクリル板の白色度を色差計(GC−5000,日本電色社製)を用いて測定した。結果を表3に示す。
[実施例3]
シリコンアルコキシドで表面を被覆した一次粒子径100〜500nmの本発明のアナターゼ型星形酸化チタン粒子(概六角形)をポリエステル系樹脂に25wt%混合し、260〜350℃で溶融し、口金より吐出して、25℃の冷却ドラム上に塗布し、その後冷却することによって前記酸化チタン粒子を含む前記ポリエステル系樹脂を膜状に形成した。次いで、前記膜状のポリエステル樹脂に対して二軸延伸工程を施し、膜厚150μmの白色フィルムを得た。なお、前記二軸延伸工程において、延伸温度は100℃とし、延伸倍率は3倍とし、熱固定は200℃とした。
本発明のアナターゼ型星形酸化チタン粒子の代わりに、平均一次粒子径が200nmのWako社製の矩形状アナターゼ粒子用いた以外は、実施例3と同様に白色フィルムを作製し、白色度及び反射率を評価した。結果を表4に示す。
Claims (20)
- 放射状に伸びた複数の延在部を有するとともに、前記延在部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈することを特徴とする、酸化チタン粒子。
- 前記複数の延在部は6つの延在部からなり、これら6つの延在部は互いに略等間隔で放射状に伸びていることを特徴とする、請求項1に記載の酸化チタン粒子。
- 一次粒径が100nm以上1000nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子。
- 前記複数の延在部はそれぞれ単結晶であって、前記酸化チタン粒子は全体として双晶を呈することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の酸化チタン粒子。
- 前記延在部はアナターゼ単相であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の酸化チタン粒子。
- チタンアルコキシドの加水分解生成物又はチタン金属塩の加水分解生成物及び有機アルカリ類を所定の溶媒中で混合し、反応溶液を作製する工程と、
前記反応溶液を密閉容器中で加熱する工程とを具え、
放射状に伸びた複数の延在部を有するとともに、前記延在部は長さ方向における略中心部において稜を有し、全体として星形を呈する酸化チタン粒子を作製することを特徴とする、酸化チタン粒子の作製方法。 - 前記加熱工程は120℃〜350℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項6に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記チタンアルコキシドは、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルプロポキシチタン、及びテトラノルマルブトキシチタンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記チタン金属塩は、四塩化チタン及び硫酸チタンの少なくとも一種であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記有機アルカリ類は、アミン類、高分子アミン及びその塩、並びにアンモニアから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記反応溶液のpHが9〜11であることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記反応溶液中のチタン原子濃度が、0.05mol/L以上10mol/L以下の範囲であることを特徴とする、請求項6〜11のいずれか一に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記反応溶液はスラリー状であることを特徴とする、請求項6〜12のいずれか一に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記反応溶液に対して予備加熱処理を施すことを特徴とする、請求項13に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記予備加熱処理は70℃〜150℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項14に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 前記酸化チタン粒子において、前記複数の延在部は6つの延在部からなり、これら6つの延在部は互いに略等間隔で放射状に伸びていることを特徴とする、請求項6〜15のいずれか一に記載の酸化チタン粒子の作製方法。
- 請求項1〜5のいずれか一に記載の酸化チタン粒子を具えることを特徴とする、塗料。
- 請求項1〜5のいずれか一に記載の酸化チタン粒子を具えることを特徴とする、樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一に記載の酸化チタン粒子を具えることを特徴とする、プラスチックフィルム。
- 請求項1〜5のいずれか一に記載の酸化チタン粒子を具えることを特徴とする、プラスチック板。
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